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アルブミン治療のエビデンスと新使用ガイドラインについて

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アルブミン治療のエビデンスと新使用ガイドラインについて
平成27年度北海道合同輸血療法研修会
2016年2月13日(土)
札幌医科大学
内容
アルブミン治療のエビデンスと
新使用ガイドラインについて
1. アルブミン製剤について
2. 重症患者へのアルブミン使用のエビデンス
3. 肝硬変の病態とアルブミンの有効性
4. アルブミン使用指針について
富山大学附属病院
検査・輸血細胞治療部
安村 敏
雨晴海岸 義経岩
Division of Transfusion Medicine and Cell Therapy, Toyama University Hospital
Division of Transfusion Medicine and Cell Therapy, Toyama University Hospital
2つのアルブミン製剤
•高張アルブミン
• 等張アルブミン
循環血漿量の補充
低蛋白血症に伴う
体液貯留の改善
•出血性ショック
•重症熱傷
•腹水
•肺水腫
肺水腫
•難治性の浮腫
5%
250ml
どちらも
12.5g/本
25%
50ml
• 1941年、初めの静脈内ヒトアルブミン投与は、
米国ワシントンで20歳の多発外傷患者に行われ、
低血圧から回復した。
http://history.amedd.army.mil/
70年以上使用されている血漿分画製剤
• 同年12月、真珠湾攻撃で7名の重症熱傷患者に
静脈内ヒトアルブミン投与が行われ、臨床試験が
開始された。
含有
Peters T. Historical perspective. All about albumin. San
Diego, California: Academic Press Limited; 1996:1‐8.
成人が1日に産生するアルブミン量に相当
Division of Transfusion Medicine and Cell Therapy, Toyama University Hospital
• 2016 年 1月18日にアップデートされた
Medline におけるタンパク質の検索
1位
2位
「アルブミン」
「ヘモグロビン」
218,219
171,562
• アルブミンについての論文報告の 40% が
40% が
ここ 10 年間に集中している
• いまでも生理学や病態生理において、
hotで非常に重要なタンパクである
アルブミンの生理的機能
血管系
免疫調節作用
• 膠質浸透圧の維持
• 微小血管の維持
• 血管内皮安定化
代謝
•
•
•
運搬機能
ジアゼパム
クロフィブレート
イブプロフェン Sudlow’s
L-トリプトファン
Site II
Sudlow’s
Site I
酸塩基平衡
抗酸化作用
凝 作
凝固作用
ワルファリン
フロセミド
フェニトイン
トルブタミド
ビリルビン
エイコサイド
Boldt, J. Br. J. Anaesth. 2010 104:276-284; doi:10.1093/bja/aep393
Division of Transfusion Medicine and Cell Therapy, Toyama University Hospital
Division of Transfusion Medicine and Cell Therapy, Toyama University Hospital
1
還元型ALB
アルブミンの酸化・還元
Human mercaptalbumin
(HMA)
34Cys-SH
ALB
34Cys-SH
75%
肝硬変ではアルブミン値は低下し
酸化型が増加する
酸化型ALB
Human nonmercaptalbumin
((HNA-1))
34Cys-S-S-R
ALB
23%
disulfide bond
Cys
Glutathione
超酸化型ALB
スルフェン酸 -SOH
スルフィン酸 -SO2H
スルフォン酸-SO3H
Human nonmercaptalbumin
(HNA-2)
ALB
34Cys-SO
1-3H
2%
Division of Transfusion Medicine and Cell Therapy, Toyama University Hospital
透析で酸化型アルブミンは還元される
還元型アルブミン
酸化型
アルブミン
透析時間(分)
還元型アルブミンの比率
51%
300
46%
200
39%
100
マルチ機能タンパク質:
血清アルブミン
恵良 聖一 著
0
32%
Division of Transfusion Medicine and Cell Therapy, Toyama University Hospital
アルブミンの酸化は物質との
結合能を変化させる
Division of Transfusion Medicine and Cell Therapy, Toyama University Hospital
酸化型アルブミンが増加する病態
•
•
•
•
•
•
•
•
加齢
糸球体硬化症
腎不全
糖 病
糖尿病
外科手術
肝疾患
過度の運動
子宮内発達遅延
Division of Transfusion Medicine and Cell Therapy, Toyama University Hospital
酸化型アルブミンは分解されやすい
N:酸化型アルブミン
H:還元型アルブミン
還元型
アルブミン
(%)
結合能(%)
還元型アルブミン
酸化型アルブミン
還元型アルブミン
酸化型アルブミン
Kawakami A, FEBS J. 2006;273(14):3346-57
Division of Transfusion Medicine and Cell Therapy, Toyama University Hospital
Kawakami A, FEBS J. 2006;273(14):3346-57
Division of Transfusion Medicine and Cell Therapy, Toyama University Hospital
2
酸化型アルブミンは
ラジカル消去能が低下する
(UV photolysis 法)
同じアルブミン製剤でも
会社によって
酸化型と還元型の
比率が異なる
ラジカル消去能
大量投与で、
① 酸・塩基平衡、
酸 塩基平衡
② 抗酸化作用、
③ 薬物代謝
に影響を与える?
還元型アルブミン
酸化型アルブミン
Division of Transfusion Medicine and Cell Therapy, Toyama University Hospital
A社
B社
C社
E社
酸化型アルブミン
44%
52%
57%
D社
マルチ機能タンパク質:
血清アルブミン
恵良 聖一 著
Kawakami A, FEBS J. 2006;273(14):3346-57
還元型アルブミン
25%
59%
Division of Transfusion Medicine and Cell Therapy, Toyama University Hospital
アルブミン含有輸液は有用か?
2. 重症患者へのアルブミン使用のエビデンス
• 静脈内投与されたアルブミンは10-15分で血管内
に均一に拡散し、4-7日で血管外プールと均一に
分布するため、75%は血管外に移動する。
• 侵襲で血管透過性が亢進している状態では、
血管外プールはさらに増加する。
• 急性期疾患におけるアルブミン含有輸液の有用性
がないことを示す報告もあり、膠質液としてのアルブ
ミン使用のあり方を再考する必要がある。
丘の夢牧場
Division of Transfusion Medicine and Cell Therapy, Toyama University Hospital
アルブミンの血管外漏出率を上昇させる原因
Glycocalyxは炎症や虚血で崩壊し
アルブミンの血管外への移動が増加する
 正常
•高血圧
•うっ血性心不全
•運動
•カテコラミン
カテ ラミン
•糖尿病
•感染 敗血症 ショック
•甲状腺機能低下症
•大手術 外傷
•補液
•化学療法
血管炎 糸球体腎炎
•血管炎
•心肺バイパス
•虚血 再還流
•熱傷
 ストレス下
アルブミン (6nm)
Cardiovasc Res 2009;83:388-396
hialuronan
Heparan sulfate
Chondoroitin sulfate
Glycosaminoglycans
Boldt, J. Br. J. Anaesth. 2010 104:276-284
Small pore (7~8nm)
Division of Transfusion Medicine and Cell Therapy, Toyama University Hospital
Large pore
(200~1000nm)
3
Cochrane Report (1998)
• 目的: 重症患者の管理におけるアルブミン投与の死
亡率に与える効果を検証する
循環血液量減少
13 Trials
熱傷
3 Trials
低アルブミン血症
• 方法:
方法 手術、もしくは外傷患者の循環血液量低下、
熱傷、低アルブミン血症に対する容量置換液として
のアルブミンと電解質輸液の比較
Cochrane Report (1998)
• 各グループでアルブミン投与群は死亡リスクが高かった
• 全体の電解質輸液群に対するアルブミン使用群の相対死亡リスクは1.68で、
アルブミン使用で死亡率6%上昇する
• 対象:30 RCT(患者数:1,419名)のメタアナリシス
“The potentially harmful effect of albumin administration as compared to
other fluids for volume replacement.”
Human albumin administration in critically ill patients: systematic review of randomised
controlled trials.Cochrane Injuries Group Albumin Reviewers. BMJ 1998; 317:235-40
アルブミン使用の急激な減少がもたらされた
Division of Transfusion Medicine and Cell Therapy, Toyama University Hospital
Division of Transfusion Medicine and Cell Therapy, Toyama University Hospital
The SAFE study (2004)
Outcome
生理食塩水とアルブミン使用の大規模ランダム化二重盲検比較試験
(the Saline vs. Albumin Evaluation (SAFE))
• ICU患者の死亡率に、アルブミンまたは生理食塩水による輸
液蘇生法が与える影響を比較
• AustraliaとNew Zealandの 16 ICUにおいて、6,997名の 患者
を2群にランダムに割り付け(3,497例:アルブミン投与、3,500
例を生理食塩水投与)、28日間、4%アルブミンまたは生理
食塩水を輸液蘇生のため投与
• Outcome
Primary: 28日間のあらゆる原因からの死亡
Secondary:平均ICU在室日数 入院日数 人工呼吸管理日数
透析療法日数 新規の臓器不全
Finfer S et al. A comparison of albumin and saline for fluid resuscitation in the intensive care
unit. N Engl J Med. 2004; 350:2247-56.
Division of Transfusion Medicine and Cell Therapy, Toyama University Hospital
Saline or Albumin for Fluid Resuscitation
in Patients with Traumatic Brain Injury (2007)
The SAFE Study Investigators
8 Trials
死亡数
平均ICU在室日数
入院日数
人工呼吸日数
腎臓置換療法日数
アルブミン群
生理食塩水群
P値
726 /3,473 (20.9%)
6.5士6.6
15.3±9.6
4.5士6.1
0.5±2.3
729/3,460 (21.1%)
6.2±6.2
15.6±9.6
4.3±5.7
0.4±2.0
0.87
0.44
0.30
0.74
0.41
新規の臓器不全を生じた患者の比率は2群でほぼ同じ
(P 0 85)
(P=0.85)
28日死亡率は外傷、重症敗血症、ARDS
のサブグループ解析においても2群間で
有意な差がなかった。
•
アルブミン群
生食群
外傷患者のAlbumin群で増加傾向
Albumin:13.6% Saline: 10.0% RR=1.36[0.99-1.86], p=0.06
•
重症敗血症患者のAlbumin群で減少傾向
Albumin:30.7% Saline: 35.3% RR=0.87 [0.74-1.02], p=0.09
Finfer S et al. NEJM 2004; 27;350:2247-56
Division of Transfusion Medicine and Cell Therapy, Toyama University Hospital
Impact of albumin compared to saline on organ function
and mortality of patients with severe sepsis (2011)
The SAFE Study Investigators
生食群
アルブミン群
生食群
アルブミン群
SAFE Studyで、外傷性脳損傷患者のうちアルブミン投与群
の死亡数が多かったため、転帰を24ヶ月間にわたり、
アルブミン群と生理的食塩水群で比較した
• 24ヶ月後の外傷性脳障害患者の死亡率は生理
食塩水投与群よりアルブミン投与群で高かった
(33.2% vs. 20.4%, p = 0.003)。
• GCS 8点以下の重症患者では死亡率はそれぞれ22.2%
と41.8% (p < 0.001).であった。
“in this post hoc study of critically ill patients with traumatic brain injury, fluid resuscitation with albumin was associated with higher mortality rates than was resuscitation with saline”
Myburgh J et al . N EJM 2007; 357:874-84
Division of Transfusion Medicine and Cell Therapy, Toyama University Hospital
重症敗血症患者1,218例を対象にしたSAFE Studyの再評価。
対象: SIRSの4つのCriteria (体温 < 36℃ or 38℃, 脈拍 > 90/min, 呼吸数 >20/min
(or PaCO2<32mmHg), 白血球 >12000/mm³ or <4000/mm³ (or 10%以上の幼若球出現) ) のうち
2項目以上を満たし、感染に関連した臓器障害があるもの
生理食塩水群と比べて、アルブミン投与群では腎や他の臓器機能を損なうこ
とはなく、患者背景を調整した多変量ロジスティック回帰解析で、28日以内の
死亡率はアルブミン投与群は有意に低いことが示された (調整されたオッズ
比:0.71 p=0.03)
“Administration of albumin compared to saline did not impair renal or other organ function and may have decreased the risk of death.”
Intensive Care Med. 2011;37:86-96.
Division of Transfusion Medicine and Cell Therapy, Toyama University Hospital
4
Volume Replacement With Albumin in Severe Sepsis
Albumin Italian Outcome Sepsis (ALBIOS) study N Engl J Med. 2014 ;370:1412-21.
アルブミン投与群
生存率(%)
アルブミン
• 目的:敗血症に対する高張アルブミン輸液の
有用性を示す
• 方法:重症敗血症患者1,818名を対象にアルブミン
投与群と電解質投与群にランダムに分け、生存率、
臓器不全、ICU在室期間、全入院期間について
臓器不全、ICU在室期間、全入院期間に
いて
比較する
*アルブミン投与群:入院後28日間もしくはICU在室中、3 g/dL
を越えるよう40‐60 gr のアルブミンを連日投与する
*電解質液投与群:1.5 g/dL 以下になった場合のみアルブミンを
投与する
• 期待される結果:28日後と90日の生存率の改善 臓器不全患者
の減少 ICU在室期間、全入院期間の減少
晶質液投与群
アルブミン投与群
晶質液投与群
28日後と90日の生存率の
改善はなかった
日
日
Division of Transfusion Medicine and Cell Therapy, Toyama University Hospital
有意な臓器不全の減少、ICU在室期間、全入院期間の短縮は
いずれも観察されなかった
Albumin 群
敗血性ショックの患者の90日以内の死亡率は
アルブミン群で有意に低かった
p値
晶質液群
N Engl J Med. 2014 ;370:1412-21.
Primary outcome
28日までの死亡 no./total no. (%) 285/895(31.8) 288/900 (32.0)
0.94
Subgroup
患者数
アルブミン 晶質液
死亡数(%)
Relative Risk (95% CI)
P value
Secondary outcome
90日までの死亡 no./total no. (%) 365/888 (41.1) 389/893 (45.5)
0.29
新しい臓器不全 no./total no. (%)
0.99
なし
372/836 (44.5) 383/841 (45.5)
1臓器
283/836 (33.9) 287/841 (34.1)
2臓器
130/836 (15.6) 123/841 (14.6)
SOFA score (中央値)
ICU滞在期間 (日 中央値)
入院期間(日 中央値)
Tertiary outcome
6
9
20
5.62
9
20
222/903 (24.6) 194/907 (21.4)
0.11
183/834 (21.9) 190/873 (22.7)
0.71
6
なし
0.23
0.42
0.65
急性腎障害 no./total no. (%)
6
365
(41.4)
389
(43.6)
0.94
(0.85-1.05)
122
(37.0)
243
(43.6)
108
(32.7)
281
(49.9)
1.13
(0.92-1.39)
0.25
0.87
(0.77-0.99)
0.03
敗血症性
ショック
透析患者 no./total no. (%)
人工呼吸器使用期間(日 中央値)
1781
全患者
あり
0.29
0.29
660
1121
0.25
0.50
1.00
Albumin better
0.5
2.00
4.00
Crystalloids better
肝硬変の病態生理
3.肝硬変の病態と
アルブミンの有効性
HEPATOLOGY 2013;58:1836-1846より改変
肝細胞がん
肝硬変
黄疸
門脈圧亢進症
細菌移動
腹膜炎
ソ メン滝
ソーメン滝
動脈圧低下
脾腫
食道静脈瘤
血管収縮系の活性化
称名滝
(落差350m)
ハンノキ滝
(落差497m)
レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系
交感神経系
抗利尿ホルモン
腹水
低ナトリウム
血症
腎血流障害
腎不全
脳血流障害
脳症
多臓器不全
Division of Transfusion Medicine and Cell Therapy, Toyama University Hospital
5
肝硬変症の予後
初診よりの生存期間
肝硬変患者に対する使用
D'Amicoら、J Hepatol, 2006
• 肝硬変患者ではアルブミンの半減期は延長し、異化
率も低下しているが、過剰なアルブミン投与はイソロイ
シン欠乏状態を引き起こし、蛋白合成障害やアルブミ
ンの分解が亢進する。
Gales BJ,
BJ Ann Pharmacother1993; 27:84-97
27:84 97
• また血漿浸透圧の上昇や血清アルブミン濃度が
4g/dL以上では、かえってアルブミンの合成が低下する。
Pietrangelo A et al. Proc Natl Acad Sci 1994;91:182-186
代償性と非代償性で大きく異なる。年率5~7%で非代償性に進展。
腹水は非代償性肝硬変の症状として最初にあらわれるものの一つ。
しかし、肝硬変に対する大量使用が
推奨されているケースがある
Division of Transfusion Medicine and Cell Therapy, Toyama University Hospital
穿刺術誘発性の循環不全(PICD: Paracentesisinduced circulatory dysfunction)に対する有用性
Bernardi M et al.. HEPATOLOGY 2012;55:1172-1181.
大量の穿刺術後に細動脈拡張の悪化を認める障害で、関連死亡率が高い急性
腎不全の原因となる。PICDの予防におけるHSA点滴の効果については広く評価
されており,腎不全の予防および転帰改善が示されている。
穿刺術誘発性の循環不全
穿刺術後の死亡
アルブミンが有効
アルブミンが有効
Division of Transfusion Medicine and Cell Therapy, Toyama University Hospital
AASLD PRACTICE GUIDELINES
Management of Adult Patients with
Ascites Due to Cirrhosis: An Update (2009)
Runyon BA, Hepatology 2009; 49: 2087-2107
Long-term albumin infusion
improves survival in patients
with cirrhosis and ascites: An
unblinded randomized trial.
投与群
非投与群
Recommendations
• Postparacentesis albumin infusion may not be necessary for a single paracentesis of less than 4 5 L
paracentesis of less than 4‐5 L. (Class I, Level C)
• For large‐volume paracenteses, an albumin infusion of 6‐8 g/L of fluid removed can be considered.
• (Class IIa, Level C)
World J Gastroenterol 2006; 12(9): 1403-1407
非代償期の予防を目的的とした長期投与の有効性についてのTrialが進行中
(NCTOO839358 http://clinicaltrials、gov/ct2/home)
Division of Transfusion Medicine and Cell Therapy, Toyama University Hospital
肝腎症候群
(Hepatorenal syndrome, HRS)
• 肝腎症候群は肝硬変の末期、あるいは劇症肝炎などの肝不全状態に
発症する腎前性腎不全で、急激に腎不全症状が進行するⅠ型と緩徐
に進行するⅡ型がある。
• カリクレイン‐キニン系やプロスタグランジンの減少と、トロンボキサン、
ロイコトリエンの増加により、腎皮質における細動脈がれん縮し、
糸球体濾過の急激な低下する。
• 多くの場合は不可逆的に進行し、死亡率90%以上で、肝硬変の末期
の死因の一つである。
• Ⅰ型の肝腎症候群の治療として、HSA点滴と血管収縮剤の併用は
有意に血中クレアチニンを低下させ、延命効果が得られることが実証
されている。
terlipressin 1 mg 6時間毎 iv
albumin (day 1, 100 g, その後は25 g/日連投)
Sanyal AJ et al. Gastroenterology 2008;134:1360–68
Division of Transfusion Medicine and Cell Therapy, Toyama University Hospital
肝腎症候群(Hepatorenal syndrome:HRS)に対する
ノルエピネフリンとアルブミンの併用による腎機能の変化
血清クレアチニン
(μmol//)
83%の患者で血清クレアチニン値の改善がみられている
Duvoux C, et al. Hepatology. 2002 36(2):374-80.
6
1型肝腎症候群に対するアルブミンの投与
ANGELI PANGELI P, et. Al. HEPATOLOGY 1999;29:1690‐1697:16901697
Terlipressin for hepatorenal syndrome (Review)
The Cochrane Library 2012, Issue 9
Terlipressin 単独 またはアルブミン併用 v.s. 介入なしまたはアルブミン単独
生存率
生存率(
%)
Group B
ミドドリンとオクテオチドを併用し
10-20g/日のアルブミンを20日間
投与した群
Group A
ドパミンとアルブミンの投与群
Terlipressin とアルブミン併用は死亡率を低下させ、腎機能を改善させるが、
副作用 (特に心血管イベント)は増加する。
特発性細菌性腹膜炎
(Spontaneous Bacterial Peritonitis:SBP)
• 非代償性肝硬変に合併する予後が不良な病態。
• 起因菌はE. coli, Klebsiellaなどの好気性グラム陰性菌が大部
分で、診断には腹水中の多核白血球の増加(250~500/mm3
以上)と腹水の細菌培養を行う。
• 治療:第三世代のセフェムまたはペニシリン製剤
• Cefotaximeの単独投与とCefotaximeとアルブミンの併用を比較
した臨床試験では、アルブミンの併用により肝腎症候群の発症
と死亡率を低下させることが示された。
(Sort P et al., N Engl J Med. 341(6):403‐9, 1999)
1.5 g albumin/kg body weight within 6 hours of detection and 1.0 g/kg on day アルブミンの併用により肝腎症候群の
発症と死亡が低下する
Sort P, et al. N Engl J Med 1999;341:403-9
感染症の改善
抗菌薬の投与期間
感染症改善後の腹水穿刺回数
入院期間(日)
腎機能の改善
死亡
入院中
3月間
Division of Transfusion Medicine and Cell Therapy, Toyama University Hospital
Division of Transfusion Medicine and Cell Therapy, Toyama University Hospital
アルブミン投与で特発性細菌性腹膜炎は改善する
A Meta-analysis of Randomized Control Trials
Clinical Gastroenterology and Hepatology, 11, 2013, 123 - 130.
腎機能改善
特発性細菌性腹膜炎の1例
49歳,女性
B型肝硬変
アルブミン大量投与
セフォペラゾン
入院前
治療8ヶ月後
アルブミンが有効
死亡率
アルブミンが有効
Liver volume (ml)
Alb(g/dl)
PT (%)
ヒアルロン酸 (ng/ml)
NH3 (μg/dl)
Child-Pugh
680
2.8
43
1050
106
C (10)
1271
4.6
80
178
37
A (5)
7
諸外国のアルブミン製剤使用量の推移
• 国際的公平性の問題
1980年代 に、わが国が世界生産量の1/3を使用していた
• 2010年世界保健機構(WHO)の勧告
加盟国は国内自給を達成するため 必要な措置をとること
人口百万人当たりの使用量( kg)
4. アルブミン使用指針について
松川
日本
アメリカ
フランス
イギリス
ドイツ
日本 血液製剤調査機構
海外 MRB: The Plasma Fractions Merket
血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保を
図るための基本的な方針
都道府県別年間高張アルブミン使用量(2013年)
(平成二十五年厚生労働省告示第二百四十七号)
平成25年血液使用実態調査
第一 血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保に関する基本的な方向
安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律(昭和三十一年法律第百六十号)第三条第二
項において血液製剤の国内自給が確保されることを基本とすることが規定されているとおり、倫理性、
国際的公平性等の観点に立脚し、国内で使用される血液製剤が、原則として国内で行われる献血に
より得られた血液を原料として製造され、海外の血液に依存しなくても済む体制を構築すべきである。
3 適正使用の推進
医療関係者は、血液製剤が人の血液に由来する有限で貴重なものであること及び原料に由来する
感染のリスク等について特段の注意を払う必要があることを十分認識し、患者に真に必要な場合に限
って血液製剤を使用するなど、適切かつ適正な使用を一層推進する必要がある。これは国内自給及
び安定供給の確保の観点からも重要である。
4 公正の確保及び透明性の向上
g・
床)
病床当たりの年間使用量(
1
1 安全性の向上
2 国内自給の原則と安定供給の確保
1位の京都府と最下位の島根県の間には約4倍の格差がある
第三 血液製剤に関し国内自給が確保されるための方策に関する事項
アルブミン製剤及び免疫グロブリン製剤等の血液製剤についても、平成三十年を目途に国内自
給の達成を目指すものとする。
アルブミン製剤の供給量および自給率の推移
国産製剤:すべて献血由来
輸入製剤:献血由来と非献血由来
アルブミン製剤の薬価 (2015)
(25%50mL 1本)
献血:日赤 6,204 円
献血:民間 5,817 円
輸入
4,800 円
輸入製剤
指針/ガイドライン
基準/ガイドライン
国産製剤
■科学的根拠に基づいたアルブミン製剤の使⽤ガイドライン
自給率 (%)
•科学的根拠に基づいたアルブミン製剤の使⽤ガイドライン
自給率 58.7%(H25)
血液製剤調査機構だより No.145
高張製剤:約70%以上
等張製剤:約30%
「日本輸血・細胞治療学会」
平成25年
「血液製剤使用実態調査」
■⾎液製剤等に係る遡及調査ガイドライン
•⾎液製剤等に係る遡及調査ガイドライン
•新旧対照表
•⾎液製剤等に係る遡及調査ガイドライン Q&A
■「輸⾎療法の実施に関する指針」及び「⾎液製剤の使⽤指針」の改正について
(平成24年3⽉⼀部改正)
http://yuketsu.jstmct.or.jp/medical/guidelines
8
アルブミン製剤の使用ガイドライン
文献収集状況
日本輸血・細胞治療学会 ガイドライン委員会
アルブミン製剤の使用指針策定に関するタスクフォース
1.
2.
3.
4.
5.
初めに
アルブミン製剤の種類と投与の評価
低アルブミン血症の病態とアルブミン投与の目的
測定法による血清アルブミン値への影響
病態別のアルブミン使用の有用性と推奨
①出血性ショック ②重症敗血症 ③肝硬変に伴う腹水
④難治性の浮腫、肺水腫を伴うネフローゼ症候群
⑤循環動態が不安定な対外循環
⑥凝固因子の補充を必要としない治療的血漿交換療法
⑦重症熱傷 ⑧低蛋白血症に起因する肺水腫あるいは著明な浮腫
⑨血漿循環量の著明な減少 ⑪脳虚血(頭部外傷)
⑫人工心肺を使用する心臓手術
⑬周術期の循環動態の安定した低アルブミン血症
⑭妊娠高血圧症候群 ⑮炎症性腸疾患 ⑯蛋白質源としての栄養補給
⑰末期患者 ⑱他の血漿増量剤が適応とならない病態
3.低アルブミン血症の病態とアルブミン投与について
• 急性期に血清アルブミンの目標値を2.5-3.0g/dLに設定してア
ルブミン投与を行った臨床研究は多いが、アルブミン投与の優
位性は示されていない。少なくとも2.5g/dLに保つ必要はないと
思われる。
• 各病態での低アルブミン血症におけるアルブミン投与の目標値
を2.0-2.5g/dLとするガイドラインはあるが、科学的にコンセンサ
を
g
とするガイドラインはあるが、科学的に ンセンサ
スが得られたトリガー値は存在しない。
• アルブミン投与に明確なトリガー値はなく、低アルブミン血症の
みではアルブミン製剤の適応とはならない。
• 疾患や患者の状態を勘案して使用を決定する必要がある。
• 使用の目安
(血液製剤の使用指針)
急性時 3.0g/dl以下
慢性時 2.5g/dl以下
②それぞれの測定値の正確度はどの程度か
国内:
多施設に採用されている試薬を使用した際の測定値の変動係数は
おおむね 2%以内であり許容範囲の正確度と推測
海外:
アルブミン測定値の不確かさは許容範囲を超えており改善が必要
③エビデンスレベルの高い比較対照試験では、どの測定法が
用いられているか
2000年以降に報告された大規模な比較対照試験
• SAFE study
• ALBIOS study
→文献中に測定方法の記載がなく、用いられた測定法は不明
現状では測定法別の使用指針の作成は困難であり、アルブミン
製剤の適応となる病態においてトリガーレベル が明確でないこと、
BCG法は正確性に欠けることを勘案 し、製剤の必要性を考慮す
べきである。
ソース
検索開始年
MEDLINE
Cochrane
医中誌
1972
1992
1983
検索による
文献ヒット件数
1,979
881
199
一次選択による
採択文献数
245
26
39
文献は各CQにおいて検索した文献のうち重要なものを掲載した。
作成した試案は、タスクフォース内で査読を行い修正した。
その後、学会ホームページでパブリックコメントを求め、修正したのち最終版
とした。
4.測定法による血清アルブミン値への影響
①測定法の違いにより実測値にどの程度の差異を生じるか
• 抗体を用いた免疫法
gold standard. コストが高く、通常検査室で用いられる汎用機器で測定できない
→ 色素結合法が代替法として用いられている
• BCG(bromocresol green)法
アルブミンのみならず、グロブリンとも反応するため、特異性に問題がある。
• 改良型BCP(bromocresol purple)法
前処理によりアルブミンをすべて酸化型に変化させた後にBCP法により定量
免疫法との間に乖離が少ないがBCG法より低値となる
改良型BCP法=1.076xBCG法-0.48
0.3g/dLを加えた値がBCG法での推測値と近似
(eg. BCG法2.80 g/dl→改良型BCP2.53 g/dl)
国内の採用率 改良BCP法:46.4% BCG法:46.0% BCP法:3.3%
(平成24年度日本医師会外部精度調査)
→今後は改良型BCP法への移行が進むと予想される、
5.病態別のアルブミン使用の有用性と推奨
「Minds 診療ガイドライン作成の手引き2014」
• 推奨の強さ
「1」:強く推奨する
「2」:弱く推奨する(提案する)
青字:使用の推奨
赤字:不使用の推奨
• エビデンスの強さ
A(強) :効果の推定値に強く確信がある
無作為化比較試験のメタアナリシス 無作為化比較試験
B(中) :効果の推定値に中程度の確信がある
無作為割付を伴わない同時コントロールを伴うコホート研究
C(弱) :効果の推定値に対する確信は限定的である
ケース・コントロール研究(後ろ向き研究)
D(とても弱い):効果の推定値がほとんど確信できない
対照群を伴わない研究 症例報告
9
① 出血性ショック
CQ1. アルブミンは出血性ショックの患者に有効か?
外傷もしくは手術による出血で生じた循環血液量減
少を補充するためにアルブミンを用いても死亡率を
改善しない。
出血性ショックにアルブミンを用いると、合併症発生
率を改善できる可能性がある。
③
グレード
エビデンスレベル
海外
国内
1
A
なし
19‐23
2
B
なし
24
CQ3 肝硬変に伴う腹水にアルブミン投与は有効か?
② 重症敗血症
CQ2 アルブミンは重症敗血症患者に有用か?
グレード
エビデンスレベル
海外
国内
文献
重症敗血症及び敗血症性ショックの患者へのアルブ
ミンへ投与は、晶質液投与と比べた場合、死亡率を
改善する効果はない。
1
B
なし
1, 2, 24‐26
アルブミンは、重症敗血症及び敗血症性ショック患者
に大量の晶質液輸液が必要な場合に用いる
2
C
なし
1, 2, 24‐26
⑥凝固因子の補充を必要としない治療的血漿交換療法
CQ6 凝固因子の補充を必要としない(自己免疫性神経疾患
グレード
など)治療的血漿交換療法時のアルブミン使用は有効か?
1
A
なし
46‐52
② ABO 型不適合移植の抗A、抗B抗体除去には治療的血
漿交換療法は免疫抑制剤の併用で有用である。
1
B
なし
53
③ その他の疾患に対する治療として、治療的血漿交換療法
は根本治療と比較して有効性が低く、一過性である。
2
C
なし
54,55
1. 慢性炎症性脱髄性多発神経炎やギランバレー症候群の神経疾患に対する治療として
アルブミン溶液を置換液に用いたPE (1 回につき血漿の1~1.5倍量)が推奨される(1A).
2. ABO 型不適合移植の抗A、抗B抗体除去には免疫抑制剤を併用して、アルブミン置換
液を用いた血漿交換療法は推奨される(1A).
3. 多発性硬化症や血液疾患(多発性骨髄腫やマクログロブリン血症)では薬物治療が
原則であり、治療的PEに限定される。(2C).
⑩
CQ10 脳虚血(頭部外傷)にアルブミン投与は有効か? グレード
2.くも膜下出血後の血管攣縮においては循環血液量
2
くも膜下出血後の血管攣縮においては循環血液量
を保つために有効である。
エビデンスレベ
ル
文
献
海外
国内
1
A
なし
3,7
2
1
C
なし
73,
73
74
重症外傷性脳損傷患者での輸液蘇生や急性脳梗塞の初期治療には推
奨されない(使用しないことについての強い推奨 1A)。
くも膜下出血後の血管攣縮においては、循環血液量を保つために晶質液
で反応が見られない場合には考慮する(2C)。
文献
国内
1
B
なし
27, 28
1
A
なし
29‐32
1
A
なし
33~
36
1
A
なし
37~
39
⑦ 重症熱傷
グレード
エビデンスレベル
海外
国内
文献
通常18時間以内は細胞外液で対応するが、体表面積
50%以上の熱傷にアルブミン製剤を投与する
1
A
なし
56‐
59
18時間以内でもアルブミン値が1.5 g/dL未満
の場合はアルブミン製剤を使用する
2
C
なし
60
重症熱傷に対するアルブミン使用の有効性、入院期
間、死亡率に対する効果は示されていない。
1
B
なし
56, 61‐
65
文献では重症熱傷に対するアルブミン使用の有効性、入院期間、死亡率に
対する効果を認めていなく 、アルブミン投与は熱傷後18時間以降で、血清ア
ルブミンが2.0g/dL程度未満になった時に限定的に投与を行う(1C).
⑪
脳虚血(頭部外傷)
1.外傷性脳損傷患者での輸液蘇生や急性脳梗
塞の初期治療に有効とはいえない。
前者では予後の悪化が指摘されている。
③ アルブミンはSBP患者の全身循環動態を改善させ,
肝腎症候群の発生を抑制する
④ 肝腎症候群に対して強心薬との併用は有効な治
療法である.1型肝腎症候群では65%で腎機能が改善
する 。肝移植施行前に投与して肝腎症候群を治療す
ると予後の改善がみられる
エビデンスレベル
海外
文献
国内
神経疾患に対する治療として、アルブミンを置換液とし
た治療的血漿交換療法は有効である。
グレード
次の4つの点で有用性が示されている
① 利尿薬服用中の肝硬変腹水例において腹水消失
率を高めるとともに,腹水の再発を抑制し、生存率も改
善する
② 大量腹水穿刺排液後の循環不全予防・死亡率の
低下には血漿増量剤より優れている
CQ7 重症熱傷に対するアルブミン使用は有用か?
エビデンスレベル
海外
①
肝硬変に伴う腹水
文献
人工心肺を使用する心臓手術
CQ11人工心肺を使用する心臓手術でのアルブ
グレード エビデンスレベル
ミン使用は有効か?
人工心肺を使用した開心術における人工心肺充塡
液へのアルブミン投与の有用性は示されていない
2
海外
国内
D
D
文献
77‐80, 82
人工心肺回路の充塡液のアルブミン使用
① 回路での血小板や補体の活性化を抑制する
→ヘパリンや高分子ポリマーを用いたコーティング加工
② 体外循環中の膠質浸透圧を保って血管外への水分の漏出を抑える
人工心肺充塡液にアルブミンと晶質液を比較したランダム化比較試験
① 術後の水分バランスはアルブミン投与の方が良好
② 術後の体重増加、出血量、輸血量、ICU滞在日数、入院日数、死亡率に
は有意差はなし。
推奨:人工心肺を使用した開心術における人工心肺充塡液へのアルブミン投与
の効果少なく、アルブミン投与は慎重に行う必要がある(2D)。
10
⑮
科学的根拠に基づいたアルブミン製剤の使用ガイドライン
蛋白質源としての栄養補給
CQ15 蛋白質源としての栄養補給へのアルブミ
ン使用は有効か?
1. 蛋白質源としての栄養補給へのアルブミン使
用は意義が少ない
2. 中心静脈栄養中の低アルブミン血症に対して
アルブミン投与は予後を改善させない
一般社団法人
グレード
エビデンスレベ
ル
文献
海外
国内
2
C
なし
93
2
C
なし
94,
95
末期患者のアルブミン投与は予後を改善するという報告はなく、むしろアル
ブミン投与によって感染症の頻度が増加するという報告がある。また免疫抑
制作用の懸念もあるために末期患者へのアルブミン投与は避けるべきである
(使用しないことについての弱い推奨 2C)
推奨度
• 推奨する
• 通常は使用
しない
• 不適切な使用
• 禁忌
作成委員
(敬称略)
 厚生労働科学研究費補助金事業
「アルブミン製剤の適正使用に関するガイドライン作成のための文献検索事業」
代表研究者
牧野 茂義
虎の門病院
 厚生労働科学研究費補助金事業
「科学的根拠に基づく輸血ガイドラインの策定等に関する研究」
代表研究者
松下 正
名古屋大学
 日本輸血・細胞治療学会 ガイドライン委員会
アルブミン製剤の使用指針策定に関するタスクフォ ス
アルブミン製剤の使用指針策定に関するタスクフォース
担当理事 米村 雄士
熊本大学
委員長
安村 敏
富山大学
委員
紀野 修一
(旧)旭川医科大学
(現)日本赤十字社北海道ブロック血液センター
委員
河野 武弘
大阪医科大学
委員
田中 朝志
東京医科大学八王子医療センター
委員
牧野 茂義
虎の門病院
委員
松本 雅則
奈良県立医科大学
委員
脇坂 明美
(旧)日本血液製剤機構 千歳工場
(現)日本血液製剤機構 中央研究所
日本輸血・細胞治療学会
高張アルブミン製剤
等張アルブミン製剤
 肝硬変
① Ⅰ型肝腎症候群
② 特発性細菌性腹膜炎
③ 大量の腹水廃液
④ 難治性腹水の管理
 凝固因子の補充を必要としな
い治療的血漿交換療法
 難治性の浮腫、肺水腫を伴うネ
難治性の浮腫 肺水腫を伴うネ
フローゼ症候群
 低蛋白血症に起因する肺水腫
あるいは著明な浮腫
 凝固因子の補充を必要としない治
療的血漿交換療法
 他の血漿増量剤が適応とならな
い病態





出血性ショック
出血性シ
ク
重症熱傷
重症敗血症
循環動態が不安定な体外循環
血漿循環量の著明な減少(妊娠
高血圧症候群、急性膵炎など)
 人工心肺を使用した心臓手術
 くも膜下出血後の血管攣縮
 周術期の循環動態の安定した低アルブミン血症
 蛋白質源としての栄養補給
 末期患者
 頭部外傷(脳虚血)
まとめ
• 近年のアルブミン治療の臨床研究は、アルブミンの適正使用に
ついて重要な情報をもたらした。
• これまでのエビデンスより、重症患者への容量置換にアルブミン
は必要でなく、特に外傷性の脳損傷 を持つ患者では回避される
べきである。
• 肝硬変の難治性腹水に対する大量の穿刺廃液にはアルブミン
使用が推奨される。また肝腎症候群や特発性細菌性腹膜炎では、
アルブミン投与の効果が示されている。
• 新しいエビデンスに則って、アルブミン使用の適応となる病態に
ついて理解して、適正使用を推進することが 必要である。
砺波平野
Division of Transfusion Medicine and Cell Therapy, Toyama University Hospital
Thank you for your attention !
Division of Transfusion Medicine and Cell Therapy, Toyama University Hospital
11
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