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情報サービス・ソフトウェア産業の現状と 競争力強化について
資料2 情報サービス・ソフトウェア産業の現状と 競争力強化について 2010年3月19日 経 済 産 業 省 商 務 情 報 政 策 局 情 報 処 理 振 興 課 今後の情報サービス・ソフトウェア産業のあり方と施策(1/2) 我が国情報サービス・ソフト ウェア産業の世界市場における 強み・弱み 今後の情報サービス・ソフトウェア 産業のあり方 施策 情報サービス業の今後の方向性 日本の情報サービス・ソフト ウェア市場は世界第3位 しかし、市場は成熟 世界市場はアジア等新興国中 心に市場拡大見込み 海外展開 ソフトウェア業の今後の方向性 クラウドビジネスの拡大、業務 ノウハウをベースにシステム 輸出、信頼性の見える化 SaaSビジネスの展開、業務ノウハ ウを取り込んでパッケージ化 情報サービス業の今後の方向性 ユーザとのパートナー関係構築、コ ンサル機能の拡大 クラウドの進展、価格低減圧 力の増大などにより従来型の SIビジネスだけでは厳しい状 況 クラウドへの対応・国際展開(ソフ トウェアプラットフォーム、データ センタの規模拡大、グリーン化・高 信頼化が付加価値) ソフトウェア業の今後の方向性 プラットフォーム事業者とのアライ アンス形成 要件定義の精緻化、モデル取 引・契約書、新しい契約形態へ の対応 クラウド基盤の整備・ルール整 備、B PO業務への対応やクラ ウ ド型開発への対応人材の育 成 2 今後の情報サービス・ソフトウェア産業のあり方と施策(2/2) 我が国情報サービス・ソフト ウェア産業の世界市場における 強み・弱み 一方、組込みソフトウェアは 我が国輸出製品の6割を支え る付加価値の源泉 情報システム・ソフトウェア でも品質・信頼性の高さは我 が国の強み。 他方、インド、中国を中心と する新興国ベンダは規模を急 拡大 オフショア開発にとどまら ず、サービス提供能力を高め ている 我が国の情報サービス・ソフ トウェア産業は、多くの地 域・中小ベンダの下支えによ り形成。 一方、地域・中小ベンダは、 地域の中小ユーザのニーズに 応え切れておらず、さらに、 クラウド時代を見据えて業態 の転換も求められている。 今後の情報サービス・ソフトウェア 産業のあり方 組込みソフトウェア業の今後の方向性 海外展開 情報サービス業・ソフトウェア業・組 込みソフトウェア業の今後の方向性 開発期間の短縮、信頼性向上 情報サービス業の今後の方向性 (地域・中小ベンダ) 下請け構造からの脱却と地元ユーザ 密着型のITサービス展開のための供 給力強化 SaaS型ビジネスへの参入のための 基盤強化 施策 非競争領域の特定・共同開発・ 標準化の推進 ソフトウェアエンジニアリング の高度化・推進、検証工程の自 動化、第三者検証の推進による 信頼性の見える化、障害事例共 有、人材・スキルの見える化促 進 中小ベンダ間の連携促進(共同 受注、技術・提案力強化等の人 材育成)、ユーザのための中小 ベンダの可視化と マッチング 機会の拡大、中小企業のIT投資 促進 3 参 考 資 料 4 情報サービス・ソフトウェア産業の現状と課題 情報サービス・ソフトウェア産業は従業者数約86万人とエレクトロニクス産業にも匹敵する雇用を抱えている。 我が国の情報サービス・ソフトウェア市場は、米国・英国に次ぐ世界第3位の規模であるが、誰もが使わざるを得な いサービス基盤(OSや汎用パッケージソフト等)では米国勢の独壇場。 日本の情報サービス・ソフトウェア産業の 売上高・従業者数の推移 世界の情報サービス・ソフトウェア市場(国別) 90 20 18 売上高 16 従業者数 統計分類の見直し 80 70 14 売 上 12 高 10 兆 円 8 23% その他 [ [ 60 従 業 50 員 数 30 6 万 人 ] ] 40 20 4 2 10 0 0 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 (出所)経済産業省「特定サービス産業実態調査」 【参考:他産業の従業員数】 3.2% イタリア 3.3% 中国 5.7% フランス 6.8% ドイツ 2007年 世界規模 約119兆円 7.2% 日本 44% アメリカ 7.3% イギリス 鉄鋼業: 輸送用機械器具製造産業: 23万人(2007年) 105万人(2007年) 情報通信機械器具製造業: 電子部品・デバイス製造業: 23万人(2007年) 53万人(2007年) (出典)Digital Planet 2008〔World Information Technology and Services Alliance〕 5 製品別のシェア(DBMS 製品別のシェア( DBMS) データベース管理ソフトウェア(DBMS)の世界市場は、70%以上が米国と西欧諸国である。 ベンダ別に見るとオラクル・IBM・MSの3強体制。国内では富士通・日立が合わせて約20%をシェア。 データベース管理ソフトウェアの地域別市場規模 Ea s tern Europe, 4.1% Japan, 9.1% As i a/Pacific, 9.2% データベース管理ソフトウェアのベンダ別世界シェア Other Syba s e,Fuji tsu, Hi ta chi, Vendors, 2.7% 1.0% 0.9% 7.2% Tera data, 3.4% Ora cl e, 42.3% Mi cros oft, 19,614 M$ 19.1% La ti n Ameri ca, Mi ddle East a nd Afri ca, 3.3% 1.9% 19,614 M$ Wes tern Europe, 31.2% North Ameri ca, 41.3% IBM, 23.5% データベース管理ソフトウェアのベンダ別国内シェア Hi ta chi, 9.4% Fuji tsu, 10.8% Other Vendors, 7.8% Oracle, 36.7% 17,786 M$ Microsoft, 17.2% IBM, 18.1% 6 製品別のシェア(ERP 製品別のシェア( ERP) 業務用パッケージソフトウェア(ERP)の世界市場は、約80%が米国と西欧諸国である。 ベンダ別に見るとSAP・オラクルが40%をシェア。国内ではワークス、富士通がシェアを伸ばしている。 業務用パッケージソフトウェアの地域別市場規模比較 La ti n Ameri ca, 3.9% Japan, 4.8% Ea s tern Europe, 3.7% 業務用パッケージソフトウェアのベンダ別世界シェア Mi ddle East a nd Afri ca, 2.6% As i a/Pacific, 7.0% Other Vendors, 39.5% SAP, 27.5% 20,732 M$ 20,732 M$ Wes tern Europe, 38.8% Oracle, 13.9% North Ameri ca, 39.2% Hitachi, 0.1% Sage, 7.0% OBIC , 0.3% Fujitsu, 0.5% Microsoft, Infor Global Works Solutions, Applications, 4.1% 6.4% 0.5% 業務用パッケージソフトウェアのベンダ別国内シェア Other Vendors, 42.1% SAP, 22.6% 1,005 M$ Fujitsu, 9.8% Hitachi, 2.6% OBIC , 5.4% Oracle, 6.2% Works Applications, 11.3% 7 成熟する国内市場 国内の情報サービス・ソフトウェア市場は成熟。 →2002年以降情報サービス市場の成長率は大きく鈍化。 →ユーザ企業における人件費単価の抜本的な価格見直し、クラウドコンピューティングの進展、オフショア開発 の普及等による価格低減圧力の高まり等を背景にIT価格の構造的な低下圧力が常態化。 情報サービス業の売上高対前年成長率の推移 1 00% 80% 世界のIT市場の主要国の構成比(予測)(%) 8 .0 % .3 % 0 .5 11.7 % 1 1.1% 0.7 % % 1.9 9.7 % 22.5 % 60% 2 6.4% 6 .5 % 13.4 % 1 .6% 8 .7% 8 .2% 27 .0% 25.2 % 7.0% 6 .5% 7.5 % 40% 20% 12 .7% 1.3% 6.4% 9.3% その他 インド 中国 日本 その他欧州 英国 米国 50.5 % 4 2.7% 36 .2% 36.4 % 2 005 20 09 201 5 0% 2 00 1 700 % 各国のIT市場規模の伸び率の比較(予測) 2001 -05 20 05-0 9 200 9-15 600 % 500 % 400 % 300 % 200 % (出典)特定サービス産業実態調査を基にNRI作成 100 % 0% 米国 英国 その他欧州 日本 中国 イ ンド その他 8 (出典)World Information Technology and Services Alliance “Digital Planet 2006” グローバル展開の必要性の増加 国内市場は成熟する一方、ユーザ企業のグローバルな事業展開が拡大しており、グローバルレベル でのIT投資が増加する可能性が高い。 また、アジア等新興国のIT市場が今後拡大見込み。 →我が国情報サービス・ソフトウェア産業はグローバルな対応が求められる。 主要産業の海外売上高比率 オフショア開発への今 後の取組 日本企業の海外売上、経常利益推移 オフショア開発への今後の 取組 9 輸出製品の競争力を支える組込みソフトウェア 我が国の輸出製品の約6割が、組込みソフトウェアよって機能を実現する製品が占めている。 製品開発費においてもソフトウェア開発費が大きなウェイトを占めるようになってきており、組込みソフトウェア は輸出製品の競争力を担う大きなカギとなっている。 2008年輸出製品比率(輸出総額:81.0兆円) 輸送用機器, 25% その他, 43% 製品開発に占める各開発費の割合 組込みに関連しない 開発費 25.8% ソフトウェア開発費 組込みシステム 関連製品 関連 製品 57% 一般機器, 19% 組込み関連 その他 5.7% 42.4% ハードウェア(機構系) 9.7% 電子機器, 13% ハードウェア(電子系) 16.4% (出典)組込みソフトウェア実態調査 10 輸出製品の競争力を支える組込みソフトウェア 組込みの分野では、我が国ベンダも携帯電話端末メーカーなどを顧客に、作りこんだ組込みソフトウェアによりグ ローバルで高いシェアを獲得している企業も存在。 一方、世界市場が拡大する中で日本企業の最終製品シェアは減少傾向。主要製品の平均シェア:98年43%→06年 32%。 A PLIX社の組込み向けJava仮想マシンの搭載数(出荷台数)の推移 (単位:台) 世界市場に占める日本企業のシェア(1998年→2006年) 100% デジタルカメラ 80% ロボット 60% DVDレコーダ 40% 半導体製造装置 モバイルPC 自動車 工作機械 20% 携帯電話 デスクトップPC 世界市場規模(M$) 0% 1,000 (出展)株式会社APLIX 平成20年12月期決算説明会資料 10,000 100,000 1,000,000 10,000,000 (出典)経済産業省「07年度産業構造調査」プロジェクト 11 高い我が国の情報システム・ソフトウェアの信頼性 比較①: ソフトウェアの不具合数に関する国際比較 日本のソフトウェア開発は、他国と比べて不具合が少 ないと言われている 日本 プロジェクト数 ソフトウェアの品質 システム導入後1年間に発見された1Kあたりの不具合報告(中央値) 米国 インド 欧州他 計 27 31 24 22 104 0.020 0.400 0.263 0.225 0.150 出典:CUSUMANO,M.等(IEEE Software Nov./Dec. 2003, pp28-34) 日本の方が、10倍以上停止時間が短いと言える (米国14.7時間/月 v s 日本1.32時間/月) 比較②: 情報システムの月間停止時間に関する日米比較 選択項目 1 件当たりの 月間停止時間 ( 時間)(※) 回答 件数 月間停止時間合 計(時間) 1.99.999%以上(5分) 0.0072 64 0.461 2.99.99%以上(50分) 0.0720 64 4.608 3.99.90%以上(8.6時間) 0.7200 48 34.560 4.99%以上(86時間) 7.2000 24 172.800 5.98%以下(175時間) 14.400 4 57.600 合計 1 .3200 204 270.029 ※1ヶ月の稼働時間を30×24=720時間として停止時間比率をかけたもの (出典)ガートナーリサーチ “Dataquest Insight: Unplanned Downtime Rising for Mission-Critical Applications” (2008年9月 分析、10月3日発行)、ガートナーコンサルティング分析 米国のミッションクリティカルなアプリケーションの平均停止時間 (出典)「企業IT行動調査2008(社団法人日本情報システム・ユー ザー協会、2008年4月)」のデータを基に計算 日本の従業員が1,000人以上の規模の基幹系システムの稼働実績12 海外・新興国ベンダの台頭① オフショア開発の取引額は増加傾向にあり、今後も急速に拡大していくことが見込まれる。 オフショア利用率は企業の規模が大きいほど高く、今後も拡大の意向が強い。 オフショア開発規模の推計 オフショア開発への今 後の取組 オフショア開発への今後の取組 オフショア開発への今後の取組 13 海外・新興国ベンダの台頭② 新興国ベンダーは競争力を高め、規模を急速に拡大。我が国大手ベンダの売上をも上回 るベンダーも存在。 これらの中には、日本語教育を積極的に行い、日本に対するサービス提供能力を高め日 本市場への構成を強めるものも存在する。 インド大手ベンダーの売上げ推移 中国大手ベンダーの売上げ推移 (出典)各社HPを基に野村総合研究所作成 14 IT人材をめぐる状況 IT 人材をめぐる状況 情報システム・ソフトウェアの大規模化、複雑化の進展と、あらゆる社会活動でITが活用される環境 が出現したことにより情報処理に係る人材需要が急激に拡大。 足下は、景気の悪化を受けて不足感が解消されているものの、依然、構造的には人材不足。 IT人材の有効求人倍率 職種別IT人材需要 2.50 0% 2.00 1.50 職業計 情報処理技術者 1.63 1.38 0.77 0.67 0.59 0.52 0.46 0.63 0.44 0.56 0.43 0.50 0.42 0.47 0.42 0.45 0.44 0.46 0.43 0.44 0.45 0.45 0.46 0.46 0.45 コンサルタント 人材の「質」と「量」に対する過不足感 0% N=549 人材の「量」 25% 16 .2% 50% 19 .3% 21.2% 12.1% 55.9 % 59.4% 100% 17.1% やや不足して いる 0% 25% 特に 過不足はな い 75% 無回答 エデュケーショ ン 100% その他 人材の「質」 N=549 32.4% 5 4.6% 8.0% 4 .9% 無回答 (特に無し) 大幅に不足している やや 不足している 特に過不足はない 44.7% 38.4% 無回答 (出典):平成20年度IT人材市場動向調査、情報処理推進機構) 15.6% ソフトウェ アデベロップメント ITサービスマネジメント やや過剰であ る(削減や職種転換等が必要) 50% 28.5% 21.1% ITスペシャリスト カスタマサービス 4.7% 2.6% 大幅に不足してい る 32.6% アプリケーションスペシャリスト 75% 100% 8.4% プロジェクトマネジメント (出所:厚生労働省「職業安定業務統計」より作成) 75% 13.7% 12.6% ITアー キテクト 0.00 5 0% 4.7% 7 .4% セールス 1.06 1.00 0.50 マーケティング 25 % 25.8% 6.7% 3.2% 12.0% 2.1% 3.6 % 1.6% 3.9% 2.6% 18.7% 26.3% H19同範囲企業 (N=35 8) 今後拡大したい職種 H20追加地域企業 (N= 190) (出典)平成20年度IT人材市場動向調査、情報処理推進機構) 15 地域別IT需給ギャップ 地域別IT 需給ギャップ 関東以外の他地域では、域内での需要に対応(地産地消)できていない状況。 需給ギャップは、近畿を除き50%程度の供給力(東北、四国は65%以上)。 産業連関表における調査・情報サービスの取引状況 産業連関表における調査・情報サービスの取引状況 (※ 調査・情報サービスには、ソフトウェア業、情報処理・サービス提供業、ニュース供給・興信所を含む) 12 10 [ ] 兆 円 8 地域内需要合計 地域内生産額 6 4 2 0 北海道 東北 関東 中部 近畿 中国 四国 九州 沖縄 (出典)平成12年各経済産業局産業連関表 16 下請受注の割合 売上高における直請と下請の平均的な割合はほぼ半々。 売上に占める割合の分布を見ると、約8割弱の企業が下請形態での受注を行っている (「すべて直請」は23%)。 年商1億5000万円以上の企業では、50.0%が売上の8割以上を下請が占めている 売上高の平均 年商規模別下請比率(直請) 年商規模別下請比率 0% 売上の占める割合(直請) 10% 20% 3000万円未満 N=73 31.5% 3000万円以上∼6000万円未満 N=59 30.5% 6000万円以上∼1億円未満 29.9% 30% 40% 50% 20.5% 60% 70% 6.8% 12.3% 18.6% 80% 90% 100% 12.3% 6.8% 9.6% 6.8% 6.8% 10.2% 8.5% 18.6% 6.0% 16.4% 7.5% 19.4% 7.5% 13.4% N=67 2.0% 20.0% 1億円以上∼1億5000万円未満 N=50 12.0% 6.0% 18.0% 18.0% 5.4% 1億5000万円以上 2.7% N=74 0% 61%∼80% 24.0% 23.0% 1∼20% 81∼99% 8.1% 10.8% 21∼40% 100% 23.0% 27.0% 41∼60% (出典)地方における中小規模の独立系IT受託開発企業の実態把握調査 (2008年)ノークリサーチ 17 地域におけるITユーザの満足度 地方圏では情報サービスの提供が不足している。 情報サービスが不足している地域では、満足度も低く、期待した効果が得られていない。 地域における情報システム会社の充足度 資料:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「ITの活用に関するアンケート調査」(2007年11月) (注)1.ITを活用している中小企業のみ集計している。 ここでの中小企業とは、従業員300人以下(卸売業、サービス業では100人以下、小売業では50人以下)の 企業を指す。 2.ここでの「情報システム会社」とは、顧客に合わせた情報 システムの企画、構築等の業務を請け負う者を指す。 3.情報システム会社の地域における充足度が「わからない」との回答を除いて集計している。 4.大都市圏は、埼玉県、千葉県、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県。 政令市を含む道県は、北海道、宮城県、新潟県、静岡県、広島県、福岡県。 その他は、上記の道府県と東京都を除いた県。 地域における情報システム会社の充足度と満足度 資料:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「ITの活用に関するアンケート調 査」(2007年11月) (注)1.ITを活用している中小企業のみ集計している。 ここでの中小企業とは、従業員300人以下(卸売業、サービス業では100人以下、小 売業では50人以下)の企業を指す。 2.情報システム会社を「活用していない」と回答した企業を除いて集計している (出典)中小企業白書2008年度 18