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ルピナス通信2

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ルピナス通信2
ルピナス通信
( Vol.2
〒174-0076 東京都板橋区上板橋 2-3-5 メゾンみや 1 階
TEL:03-3935-5050 FAX:03-3935-5058
2013 年 8 月号-②)
2013 年 8 月 10 日(土)に「第 3 回
事業所番号:1362190207
地域ケアをかんがえる会」を開催しました。今回は、「在宅ででき
るリハビリのはなし」というテーマで、リハビリの第一人者「米田睦男先生」をお招きし講演をいただきまし
た。ルピナス通信第 3 号は、当日の要約レポートです!
米田睦男先生 略歴:ケアセンター「けやき」在宅支援部門常勤顧問。理学療法士。宮崎リハビリテーション学院副学長、宮崎県理学
療法士会長、両国リハビリテーション専門学校理学療法学科副校長を歴任。その後医療法人社団健育会竹川病院リハビリテーション部。
著書に「リハビリテーション概論」(建帛社、2006 年)
リハビリテーションとは
「病気や
病気や障がいによって
がいによって破
によって破たんした生活
たんした生活を
生活を再建し
再建し、再び人間らしく
人間らしく生
らしく生きる」
きる」
まず初めに少し堅苦しい話ですが言葉の整理から。リハビリテーションという
と、療法士が行う機能訓練などのこと・・・という理解が先行してしまいますが、こ
れは不十分です。リハビリテーションとは語源を辿れば「元の状態に戻す」とい
う意味で、古くは名誉の回復・復権・復興という言葉でした。
この意味で、リハビリテーションとは「普通の生活が送れるように支援するサ
ービスのすべて」を指す言葉ですから、療法だけに限定される訳ではなく、医学・
看護・介護・栄養・建築・工学等あらゆる分野からのアプローチが含まれるもの
なのです。これが「療法士が行う機能訓練」に限定されてしまうと、リハビリテ
ーションが目指すべき「目標」も変わってしまいますね。だからこのリハビリテ
ーションについての定義は非常に重要だと考えています。
私の考えるリハビリテーションの目標は、「病気や障害によって破たんした生活を再建し、再び人間らしく
生きること」であり、そのためにリハビリテーションは①「その人の持つ可能性をみんなで
みんなで探
みんなで探し出し、その可
能性に向かってあらゆる
あらゆる立場
あらゆる立場から
立場から支援
から支援していく
支援していく」
していく 必要があると考えています。またリハビリテーションの役割
としては、②「一次障害を可能な限り改善しながら、改善できない部分を代償機能(身体の機能を補完する器
具・装具等)で補完し、二次障害を予防していくこと」も重要です。
例えば健常な時は右足・左足がそれぞれ「5」の力を持っていたとしますね。両足で 5+5=10 の力だった。
これが病気で、右足 3、左足 2 となってしまって、療法で退院時には右足 5、左足 3 まで回復したとする。
5+3=8 です。これを杖や装具などの代償機能で補完し、5+3+杖 1+装具 1=10 と考える。これがリハビリ
テーションという考えです。療法だけの発想では、右足 5+左足 3 の回復までになってしまいますが、
「可能
性に向かってあらゆる
あらゆる立場
あらゆる立場から
立場から支援
から支援する
支援する」ことで別のアプローチが見えてくる訳です。
する
高齢者の生活期(維持期)リハビリテーション
「生活期における
生活期におけるリハビリテーション
におけるリハビリテーションの
リハビリテーションの意味を
意味を啓発する
啓発する」
する」
さてここからが本論です。リハビリテーションには介入の時期に応じて、
「急性期リハ」、
「回復期リハ」、
「維
持期リハ=生活期リハ」といったステージがありますが、それぞれどのような目標があるのでしょうか。急性
期には救命措置・二次的障害予防、回復期には一次的障害の改善や早期の家庭復帰対策が目標となります。
今後特に重要となってくるのが、「生活期リハビリテーション」であり、実生活に即した応用や閉じこもり
の防止、そして QOL の向上といったことが必要になってきます。
1
■リハビリテーションの区分
【
急性期リハ
】
【
回復期リハ
】
生活期(維持期)リハ
【
・救命措置
・一次的障害改善
・実生活に即した応用
・二次的障害予防、早期離床
・寝たきり予防、ADL 改善
・閉じこもり防止と
】
QOL の向上
・早期の家庭復帰対策
こうしたリハビリテーションを最大限効果的に機能させる上では、それぞれのステージが切れ目なく連続し
ている必要があるのですが、なかなか連携が取れていないのが実態です。入院・退院し在宅に帰るまでの包括
的なケアプランが必要なのですが、実現出来ているケースは少ないでしょう。
特に、「生活期におけるリハビリテーション」については理解が進んでおらず、利用者側と提供者側にミス
マッチが生じてしまうケースがあります。利用者側は入院時に受けたような療法を期待するのですが、生活期
におけるリハビリテーションとは、それだけに留まりません。
生活期(維持期)リハビリテーションのポイント
「①生活障害をもたらしている
生活障害をもたらしている原因
をもたらしている原因の
原因の評価 ②チームアプローチ ③ピアカウンセリング ④複合的に
複合的にサー
ビスを
ビスを用いる ⑤家族の
家族の介護ストレス
介護ストレスの
ストレスの解消策」
解消策」
生活期におけるリハビリテーションを実施するうえでのポイントは幾つかあります。まず①生活障害をもた
らしている要因の評価です。要因には 1)身体的要因、2)精神・心理的要因、3)環境的要因の 3 種があり、そ
れぞれが複合的に影響しあって生活障害を引き起こしています。これを正確に評価することが重要ですね。
またリハビリテーションとは、冒頭でも申し上げたように療法だけを指すのではなく、様々な職種・家族も
含むプレイヤーによって「破たんした生活を再建する
こと」ですから、要因に応じた対応ができる②チーム
生活障害を来たす要因
アプローチが重要です。ここでは「看護師」も重要な
高血圧、麻痺、
役割を果たしてきます。
痛み、拘縮
そして、リハビリテーションには継続性=続けられ
身体的要因
抑うつ、認知症、
ることが重要です。患者さん側の「やる気」をどう啓
意欲
発するか。ここでは「③ピアカウンセリング」という
発想が有効です。ピアカウンセリングとは、同じよう
精神
な状況にある患者同士(症状、年齢、性別等)が、お
心理的要因
互いに頑張っている姿を見る事で、相互に啓発される
ようなことを意味します。良きライバルが良き成果を
生活障害
生む、ライバルがいると成長も促進されるということ
環境的
要因
人的環境、物理的環
境、社会資源
です。
また、生活期におけるリハビリテーションというと居宅でのリハビリテーションだけに偏ってしまうように
も思いますが、社会資源を複合的に利用していくことでリハビリテーションの成果も上がります。デイサービ
ス、デイケア、訪問リハビリ、訪問看護など④複合的なサービス利用が必要です。複合的なサービス利用は、
利用者だけではなく、⑤家族の介護ストレスの解消にも繋がります。
このように安全で円満な在宅生活の継続にあたっては、このような形で包括的なケアプランによって物事を
捉えていくことが重要です。
2
生活の中にリハビリテーションを組み込む ~生活リハビリテーションの考えかた~
「身だしなみを切
だしなみを切り口に気力・
気力・体力・
体力・生きがいの充実
きがいの充実を
充実を図る」
生活期のリハビリテーションを実施する上では、「生活リハビリテーション」という考えが重要です。日常
生活を送る上で、その人の持つ残存能力(全体能力)を活用しながら支援することで、関節の稼動域や筋力・
知力・体力・ADL の維持や増大を図ることができるという考えです。例えば、
「食事を食堂で食べること」も
生活リハビリテーションになります。食堂に行きましょうと声がけをする、介助しながら起き上がり、介助ト
ランスをしながら食堂に出る。こういった一連の動作を行うこと自体が生活リハビリテーションです。その人
に出来ることを促し、介助者は出来るだけ手を出さず、しかし目は離さず支援することが大切です。
例えばこんな事例がありました。高齢のご夫婦で、奥様は関節拘縮のため台
所に立っても、料理が出来ませんでした。旦那様も奥様の状態が良くないこと
で気を落とされていました。そこで一つの切り口として、台所の調理台を改造
し、奥様が立って調理ができるように作り変え、奥様の調理を支援することに
したのです。すると料理が一品作れました。それを食べたご主人はいたく感動
され、では次はこれもやってみよう、あれもやってみよう・・・と非常に前向き
になられた。一つずつでもできる事を増やしていくことが重要です。
また、こんな事例もあります。高齢の男性の方で閉じこもり傾向のある方が
いらした。ある時、お孫さんが来られて、
「お爺ちゃん、オクチ臭い、ヒゲが
痛い」と言われ、これではいけないと一念発起され、歯を磨く、髪を整える、
髭を剃る・・・こうしたことを自ら進んで行うようになられました。
生活リハビリテーションを進めていくためには、このような「身だしなみ」や「日常の生活」を切り口に気
力・体力・生きがいの充実を図っていくことが有効です。部屋の中で療法をし、運動をするだけでは意味があ
りません。外に出る際には何が必要か?人と人との関係の中で身だしなみが必要になってくる。人と接するよ
うな機会を沢山つくることで、残存能力を生かし、改善していこうという意欲も湧いてくるのです。
最後のまとめになりますが、
在宅リハビリテーション支援の目標は、障がいを持ちながらでも安全で家族と円満な生活が送れるように支援
していくことです。その人の残存能力に着目しながら、包括的にケアできる計画を立てて、実践していくこと
が重要です。是非、看護師の皆さんも日々の訪問の中で、リハビリテーションの視点から支援をすすめるよう
に取り組んでみてください。
~米田先生、ありがとうございました。~
3
<アンケート結果> 参加いただいた皆様の感想です!
開催テーマのアンケート
※直筆をそのまま掲載しているため、印刷が不鮮明な点をご了承ください
次回以降のテーマについて皆さんのご要
望を伺いました!
在宅でのお薬の管理
ベッド・マットレスの選
び方
障がいのケア
病院で貰う検査数値
の見方
高齢者住宅
認知症について
家族の制度説明の方
法
看取りの医療
在宅食事
1
2
3
できるよう検討していきます!!
<連絡板> 第 4 回 地域ケアをかんがえる会
最近のルピナスニュース ※facebook から
■日時:9 月14(土)
13:30
初回の訪問時に利用者の方に少しでも身近に感じて
15:30
訪問看護ステーション ルピナス
頂きたい、との思いからスタッフの似顔絵を作成しま
した!
■講師:ライフロボティクス研究所
取締役
尹 祐根(ゆん
うぐん)先生
■テーマ:「 利用者さんから求められ
/
喜ばれるケアマネージャーとは? 」
TEL03‐3935‐5050
於
~
スタッフの似顔絵が完成しました!
7/19
発行者 訪問看護ステーションルピナス
0
皆様からのご要望に沿ったテーマで実施
FAX03‐3935‐5058
日本最大級のケアマネージャーマッチングサイト「my
ケアマネ」を運営している 尹 祐根(ゆんうぐん)先
生をお迎えし、利用者の方がケアマネージャーの方に求
めている情報、サービスについてお話を頂きます。
Facebook ページもご覧ください!
所長の中村が日本訪問看護財団の「喀痰吸引・
経管栄養セミナー」を修了し、「介護職員等によるた
(※携帯電話からは下の QR コードからもアクセスできます。
)
んの吸引等実施のための研修」の指導看護師になりま
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