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TPP協定交渉の大筋合意に伴う宮崎県への影響(総括表)

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TPP協定交渉の大筋合意に伴う宮崎県への影響(総括表)
TPP協定交渉の大筋合意に伴う宮崎県への影響(総括表)
資料4
Ⅰ 物品市場アクセス関係
品目
1 農産物
想定される影響等
(1)米
・新たに設定される国別枠による輸入量の増加に対し、備蓄米の運営を含め、国産米に与える影響を回避する確実な措置が講じられない場合は、
国産米全体の価格下落が懸念
・加工用米限定SBSの運用や備蓄米の放出方法によっては、本県が推進している加工用米の需給や価格に影響を与える懸念あり
(2)牛肉
・和牛肉は競合の度合いは小さいと見込まれるが、品質的に競合する交雑種・乳用種牛肉を中心に国内産牛肉全体の価格下落が懸念
・輸出に関しては、積極的な輸出促進が図られ牛肉輸出量の拡大が期待
(3)豚肉
・当面輸入の急増は見込み難いが、長期的に国内産豚肉の価格下落が懸念
(4)乳製品
・安価な脱脂粉乳やバター等の輸入増加により牛乳を含めた乳製品全体の国内需給への影響が懸念
・長期的には国内産の脱脂粉乳・チーズの価格下落等により加工原料乳の価格下落、全体的な生乳価格への影響が懸念
(5)鶏肉
・TPP参加国からの輸入量は少量で国産品との競合もほとんどないため影響は限定的。長期的には国産鶏肉の価格下落も懸念
(6)鶏卵
・鶏卵の輸入量は少量で、かつTPP参加国からの輸入も極少量であり、国産品との競合もほとんどないため影響は限定的。長期的には国産鶏卵
の価格下落も懸念。
(7)野菜
・TPP参加国からの輸入量は少量で現行も低関税率であることから特段の影響は見込み難い
・国産ピーマン・トマトについては、長期的には需給バランスの変動、参加国からの輸入増等により価格下落が懸念
(8)果実
・外国産とは品質や外観等で差別化ができており、価格差も既にあることから影響は限定的であるが、長期的には価格下落等の影響も懸念
(9)花き
・輸入切花は大筋合意前から関税が無いため、特段の影響は見込み難い
・輸出については県産花きの主な輸出先である米国・カナダの関税が即時撤廃となったため両国への輸出増が見込まれる
(10)茶
・TPP参加国からの輸入量は少量で国産品と棲み分けもできており、影響は見込み難い
・まぐろ類については資源管理により漁獲や輸入の急増が発生しにくく、その他もTPP関係国からの輸入量は少量のため影響は限定的
・長期的には安価な輸入品の流通により、本県水産物の価格下落や消費の減少が見込まれる
・輸出に関しては、伸びが著しいベトナム等への輸出拡大が期待
2 水産物
(1)製材等
・関税撤廃となる針葉樹合板やSPF製材は、本県スギ製材品等と競合。長期的に価格の低下、シェアの縮小が懸念
・安価な輸入製品流入による競合製品を生産する加工工場の経営への影響、県産材の利用減少による経営意欲の減退・適切な森林整備の遅れ
などが懸念
・関税撤廃により新たに木材製品等の輸出拡大が期待される
(2)合板等
・合板等においては、関税が半減・撤廃となったとしても、価格上昇等の可能性は少なく、今後の工事の円滑な執行に大きな影響はなし
3 林産物
品目
想定される影響等
・関税の撤廃や貿易規則の透明性の向上などにより、TPP参加国への輸出拡大の可能性が高まるが、本県食品の大口輸出先の香港、中国が不
参加であること、参加国の中で最大の輸出先のアメリカは輸出実績の多くが肉類で、また、その他参加国についても、容器・容量規制や高率な物
品税等の非関税障壁が存在するため、大きな効果があるかは不透明。
4 加工食品
(1)全般的事項
・製品輸出割合の高い企業や積極的に海外輸出に取り組もうとする企業においては追い風となり、県内での事業拡大に繋がることが期待
・内需関連企業は、関税撤廃により海外から安価な製品が輸入されることにより、県内企業から調達していた部品等を海外からの調達に切り替え
たり、原材料が高い国内生産を減らして海外に進出するおそれがある
・一概にプラスの影響のみとは言えない
・TPPでは、通関手続きなど貿易規則の透明性の向上、ビジネスに従事するヒトの移動や滞在など、貿易の円滑化のためのルールの整備も併せ
て合意
・輸出相手国の貿易手続や、ビジネスマンの入国・滞在手続が迅速化・簡素化され、投資ルールが整備されることで、日本の優れた工業製品等が
アジア太平洋地域へ輸出しやすくなり、国内の雇用や収益にも好影響を与えることが期待
・ビジネスマンの入国・滞在手続きの簡素化等により、海外ビジネスマンの入込増も期待
(2)自動車部品
・関税撤廃により、TPP域外国の製品と比較して競争力が高まることが期待される
・域内国の競合他社との競争が激化することで更なるコストダウンの要求等が厳しくなり、売上高の減少につながる懸念あり
・関税撤廃により、TPP域内国からの資材等の調達コストの低減が図られれば、製造コストの低減につながることが期待される
5 工業製品
・近年、日本国内で生産される四輪車の半数以上が海外に輸出されている状況
・一方、日系メーカーは需要のあるところで生産するという考え方のもと、現地生産が進んでおり、海外生産の比率は60%以上
(3)自動車完成品
・TPP協定の大筋合意により、大手メーカーに期待感はあるものの、早々に日本国内での生産が大幅に増えることは考えにくく、国内へのメリット
は小さいと推測
Ⅱ ルール分野関係
分野
想定される影響等
1 原産地規則及び原産地手続き
・完全累積制度により、TPP域内国で生産される製品に日本の部品を使用していても、当該国の原産品として認められるため、技術力の
ある我が国の中堅中小企業が海外に移転せずに、日本国内にいながら海外展開できる。
2 税関当局及び貿易円滑化
・通関手続きの迅速化により、特に農産物の鮮度の保持が期待できる
・事前教示制度により、本県企業、特に初めて海外展開する中小企業にとって輸出入の際のリスクを回避することができる
3 衛生植物検疫(SPS)措置
・食品の安全に関し日本の制度変更が必要なる規定は設けられておらず、国内における十分な水際防疫体制の確保が図られれば、日本
の食品の安全性が脅かされることはない
4 貿易の技術的障害(TBT)
・遺伝子組み換え食品の表示制度について制度変更が必要になる規定はないため、食の安全性について特段の影響なし
5 国境を越えるサービスの貿易
・国民皆保険制度、混合診療の解禁等制度の変更を求められることはなし
6 金融サービス
・規制緩和を通じ、新興国における出資や事業展開の機会の拡充が見込まれるものの、県内金融機関等に対する影響については現時点
では特になし
・公的医療保険制度は適用除外であり、郵政事業に係る生命保険事業も日本の制度変更が必要となる合意内容は設けられていないた
め、県民生活への特段の影響はなし
7 電子商取引
・今後、拡大が見込まれる電子商取引市場において、ソフトウェアなどをインターネットで無関税で輸出することができ、中小企業が国際展
開を図る際に有利となる。
8 政府調達
・WTO政府調達と変更点はなく、本県の物品の購入、業務委託、建設工事等の発注への影響はなし
9 知的財産
・制度の大幅な変更を求める規定は見当たらないことから、影響はほとんどなし
・WTO協定を上回る水準の規定内容となっており、本県産農水産品の産地ブランド保護が強化される
・日本における新医薬品データの保護期間についても原則8年であり現況と変更はないため特段の影響なし
10 労働
・日本では、各締約国が保証すべきこととされている労働者の権利に関する国内法令を既に有しており、追加的な法的措置が必要となる
ものはないことから、特段の影響はなし
11 環境
・日本の漁業補助金については、禁止される補助金には該当しないため引き続きその交付が可能であり、特段の影響なし
・環境保護については、日本は既に関係法令が整備され、高いレベルで環境保護政策を講じていることから特段の影響なし。なお、他の
締約国も高水準の規律に服することが明確化されたため、違法に伐採された木材の取引価格・防止などにより健全な競争が確保される。
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