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RCアクティブフィルタ最適設計手法の 一検討

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RCアクティブフィルタ最適設計手法の 一検討
RCア クテ ィブフィル タ最適設計手法 の一検討
RCア クテ ィブフ ィルタ最 適 設計手法 の
一 検討
香川職業能力開発短期大学校
稲
益
悦
夫
A Study of the Optimal Design Method for RC Active Filters
Etsuo INAMASU
要約
│イ 1籍 lfj冶 残後翼 燦 墓 ttttξ よ I`7ι
;写 多
ングフィルタに も数 百 kHzの 高周波帯域 で使用 で き るものが必 要 になって きている。本研究 で
象
ィブフィル
は、高性能演算増幅器
を利用 した高周波帯域 での単 一演算増幅器型回路 の RCア クテ `こ
`lttTIF野
タの最適設計手法 について検討 して い る。
RCア クテ ィブフィルタは高周波帯域 や ポール Qが 高 い領域 で使用す る場合演 算増幅器 の影響
によ り、周波数特性 が設計値 に対 して偏差 を生す る。本研究では連 立チ ェビシェフ特性低域通過
フィル タを数十 ∼百 kHz帯 域 で設計 し、試作 して い る。演算増幅器の影響を補償す る方法につい
ては受動素子 の値 を逐次近似手法 によ り修 正 し周波数特性 の偏差を正確 に補 正で きる こ とを確認
している。 また、逐次近似 に よる最適化結果 は試作 の回路 で実測確認を行 って い る。
! はじめに
的 アル ゴ リズ ムの適用を試み ている。最適化結果 は、
回路 シ ミュレー タ (PSpice)に よ り周波数特性を確認
職業能力開発短期大学校 の電子・ 情報系 の実習科 目
し、最終的 に回路を試作 して実測値 と比較 してその有
では A/D変 換器や D/A変 換器 が 多数使 用 され て
効性 を確認 して い る。 この結果、 フィルタ試作時 の微
い る。実務 において もアナ ログ信号を コン ピュータを
調整 の作業 を最小限に抑 え、 かつ迅速 に 目的 の周波数
用 いてデ ィンタル処理す る際、多 くの場合 A/D変 換
特性 を有す る フィルタを試作で きる こ とを確認 したの
器や D/A変 換器 が使用 され る。そ して、 これ らと共
で報 告す る。
にア ンチエ リアシ ング フィル タや スムージン グ フィル
タが使用 されて い る。近年 では、 デ ィジタル フ ィル タ
及 び ス イ ッチ トキ ャパ シタフィル タの利用 が普及 して
‖ アンチエリアシングフィルタの設計
A/D変 換 を行 う場合 は、 ナイキス ト周波数 よ り高
きているが 、 システ ムの規模 が比較的小 さく、 アナ ロ
い周波数領域 の信号成分を充分減衰 させ る必要 が あ り
グインタフェース部 を経済的に実現す る こ とが要求 さ
アンチエ リアシ ングフィルタが使用 され る。 この フイ
れ る場合は、 ク ロ ック回路等 のデ イジタル 回路 を必要
ル タは概ね以下 の よ うな手順で設計 されている。
としないアナ ログフィル タの利用 が不可欠 となる。
① A/D変 換器の ビット数 より所要減衰量を定 める。
本研究 は、 アンチ エ リアシ ング フィルタを アナ ログ
フィル タの代表的存在 で ある RCア クテ ィプフィル タ
②処理する信号の性質に応 して、適切な フィルタ特性
(表 1)を 選定する。サ ンプルホール ド回路を使用
を用 いて設計 し、数十 ∼百 kHzの 高周波帯域 で利用
する場合 アパ ーチ ャ効果を補正するフイルタ特性を
で きるよ うにす る こ とを主 な 目的 として い る。
付加する。
設計 の過程 で必要 となる逐次近似手法 については、
古典的 な手法に加 えて、近年注 目されて きている遺伝
論文受付 日
③処理する信号の帯域に応してフィルタの遮断周波数
や ナ イキ ス ト周波数 を決定 す る。
19051215
19
職業能 力開発報 文誌
l
標準 フ ィルタ特性
年 1の 極
■
フ ィル タ特 性
阻 止域減 衰量 を確 保 す る
高精 度 な規格 の 場 合
連 立 チ ェ ビシ ェフ
ベ ッセ ル
を重 視 す る場 合
④周波数特性やその他のフィルタの仕様等を考慮 して
フィルタ回路の選定を行 う。
図1
⑤ 回路の素子値を決定 し、試作 。調整を行 う。
■ 2の 零点
■ 3の 零点
∞
通 過 域 リップル を許 容 す る
逆 チ ェ ビシ ェフ
● 3の 種
●
m m m
チ ェ ビシ ェフ
=2の
極
・
0 ・0
パ タ ー ワ ース
特 徴 と用途
標 準 的 な使 い方 の場 合
× □
表
Vo1 8 No 2116),1996
フィルタの極・零配置
本研究で設計す る 8ビ ットA/D変 換器用 フィル
タの周波数特性仕様を表 2に 示す。 この仕様を満足す
るフイルタ関数 は表 1の 標準特性の連立 チェビシェフ
した もので、 これ によ り伝達関数 の把握を容易 に行 う
特性で 5次 の伝達関数で実現できる。表 3に 得 られた
極 (ポ ール)及 び零点の配置を示す。
27で 基準化 して実周波数 の次元で表現 してい る。
2
表
項
格
目
100 kHz
阻止
160 kHz ルXT
3
#1
#2
13
縦続接続 によ り総合特性を実現す る方法が とられ る。
この場合、各 々の フィル タ区間を正確 に実現す る こ
とが基本 となる。しか し、RCア クテ ィブフィル タでは
フ ィルタ伝達関数の極・ 零配置
区間利 得
極周 波 数
零周波数
K
fO
fz
10
10
10
49.63
クテ ィプフィルタの最適設計
達関数 に分解 して、 これ らを実現す る フイル タ区間 の
dB "ス _L
通 過 域上 限周 波数
表
区間
50
RCア
特性 の設計 で得 られた伝達関数を 1次 または 2次 の伝
03 dB以 内
阻止域 減衰 量
Ⅲ
l.日 Cア クティブフィルタの周波数特性
一般的に RCア クテ ィブフィルタの設計 では周波数
低域通過 フ ィルタ特性 :仕 様 一 覧
通 過 域減 衰量
こ とがで きる。図 1で は虚軸 を 1/2に 縮小 し全体を
ポ ール Q
79.1
244 6
1 18
103 4
162 2
5 32
使用す る演 算増幅器 の GB積 が 有 限 で あ る こ とか ら
GB積 無限大の理想演 算増幅器 を用 いた場合 の周波数
特性 に対 して偏差を生 じる。この ため、GB積 の影響 を
受 けに くい回路構成 が種 々検討 されて いるが、最終的
には、回路 の初期特性 を GB積 の影響 による周波数特
性偏差が許容で きる範囲 となるよ うに受動素子 の値 を
調整す る必要があ る。L
Freq.
表 3の 極配置 の フィル タを演算増幅器 が理想的であ
表 3に おいて区間利得 は、10と しているが、この値
は適当 に各区間へ 配分で きる。
ると仮定 して設計 した場合 の初期 フィルタ特性 を回路
シ ミュレータ PSpiceを 使用 して計 算 した結果 を図 3
図 1は 表 3の 極・ 零配置 を複素周波数平面上で図示
に示す。 100 kHz付 近 に許容 で きない誤差 が生 して い
CND
GND
図2
20
5次 連立チ ェビシェフフ ィルタ回路図
RCア
クテ ィブフ ィル タ最適設計手法 の一 検討
m
A(s)=轟
o
m
∞
Nff(s)、 Nfb(s)、
“
^
9 ︶0 書
m
2. 2 RC回 路網 の素子値計算
D(s)は
RC回 路網 の節点解析 によ
“
り得 られ、抵抗値 R、 容量値 Cを パ ラメータ として含
∞
んでいる。回路 の素子値 を計算す る場合 は、(1)式 は演
“
算増幅器 の項 を含んでお り、設計伝達関数 と次数が一
∞
致 しないので 演 算増幅器 の GB積 を無 限大 と仮定 し
100
図
3
kHz〉
周波数 く
1000
て、(1)式 を
初 期 フ ィル タ 周 波 数 特 性
T(s)=β
ミ署発3=[設
計伝達関数]
(3)
る ことが確認で きる。図 2は 試作 シ ミュレーシ ョンに
として、多項式中 の Sの 係数 が設計伝達関数 と一 致す
用 いた フィルタ全体 の回路図 で ある。
るよ うに抵抗値 R、 容量値 Cを 決定す る。
この よ うに して計算 された素子値 を使用す ると、実
2.単一 演算増 幅器 型 基本 2次 フ ィルタ 区 固
際 の回路 の周波数特性 は、演算増幅器 の影響 で設計値
2. 1
か ら偏差 を生ず る結果 となる。
回路解析方法
単 一演算増幅器型 の RCア クテ ィブフィル タは 図 4
の プ ロ ック図で表現 で きる。
演 算 増 幅 器 に NS社 製 LF356の
GB積
と ポール 周
波数 を使用 して フィル タ区間#3の 周波数特性 を計算
した 結果 を図 5に 示す。図 5か ら極 が低 周波側 へ 約
25%移 動 していることがわか る。 また、(1)式 の分子多
項式 で決定 され る零点 は全 く影響を受けて い ないこと
V OU7
が確認 され る。
“
GND
5..
"
20
図 4 単一演算増幅器型 RCア クテイブフイルタ
810
: :〔
選
0輌
「:.: ハ
`「
ノ
-5籠
1/
q.、
:
: : ::
」
1
,
11
―
また、伝達関数 の一 般式 は次式 で示 され る。
"
‐
∞
-40
欄
T(s)=β
Nff(s)
Nfb(s)+お
こ こで Nff(s)は
1
10
1∞
周波数 (kHz〉
D(s)
図
5
フ ィルタ区間
(♯
1囲
1000
3) の周波数特性
RC回 路 網 の フィー ドフォーワー
ド伝達関数 の、Nfb(s)は フィー ドバ ック伝達関数 の分
この結果 か ら、抵抗値 R、 容量値 Cを 計算す る場合
子多項式 で ある。D(s)は 伝達関数 の共通 の分母多項式
には予め演算増幅器 の GB積 とポール周波数 の値 を考
で あ り、β は最高次 の係数を基準化す るため の定数 で
ある。。
慮 しなけれ ばな らないこ とがわかる。 しか し、一 般的
D(s)は 図 4の 回路で は Sに 関す る
本研究では、抵抗値 R、 容量値 Cの 一 部 を変更 して
2次 多項式 となる。A(s)は 演算増幅器 を 1次 の ロール
極 の位置 を修正 し残 りの抵抗値 R、 容量値 Cを (1)式 の
オ フモ デル とす ると、次式 で表 され る。
分子多項式 を満たす よ うに決定 す る方法 を とって い
)
Nff(s)、 Nfb(s)、
な計算式 を求め る こ とは困難 で ある。
つ4
職業能力開発報文誌
VoL8 No 2116),1996
”
”
①素子値ベクトルXを 定義する。
X=(Cl,C2,¨ 。,Cm,Rl,R2,¨ 。,Rn)
”
しなが ら実行 し、 日標 関数 (誤 差 )を 最 小化 す る。
1輛
“
逐 次近 似 手法 に よる最適 化 で は 以下 の 手順 を繰 り返
58
ヽ■ ■ ■ ■ ●
¨
"甲
1
1
行 う方 法 が一 般 的 で あ る。
:
じ
0
が あ るの で 、数 値 的 な逐 次近 似 手 法 を用 い て最 適化 を
^
9こ菩キ
補 償法 が あ るが 、精 密 な特 性 が要 求 され る場 合 は限界
0
1
抵 抗値 R、 容量 値 Cの 修 正 は、古典 的 な手 法 に前置
誤羞 ● │
■\二
ロ
整 す る こ とが可能 とな る。
・
・〓
・
ヽ
肛︵一一
∞
︱ン
一● ︱
“
る。 この方法 に よ り零 点 を移 動 せ ず に極 のみ を移 動 調
10
(4)
図6
10
周波数 (kHz)
1四
前置補償後のフィルタ周波数特性
②誤差評価関数 ε(X)を 定義する。
ε(X)=△ │IT(s:X)― T。 (s)││
(5)
こ こで T(s:X)ヤ i素 子値 Xに よ り計 算 され る伝 達 関
からの距離 に対 して10%程 度以内が有効範囲で ある。
数 で あ り、 T。 (s)は 設計 値 の伝 達 関数 とす る。
性 が要求 され る場合は更に調整が必要 で あ る。
しか し、厳密 な解 は得 られないので精密 な フィル タ特
③素子値 ベク トルXを 変化させ ε(X)が 減少す ること
を確認 し、減少 していれば変化 したベ ク トルを① の
素子値 ベク トル と置き換える。
4.逐 次 近似 プ ログ ラム の作成・ 検 討
前置補償法 によ り算出 した素子値 を用 いて、実際 に
回路 を組み立てた後、適切 な抵抗器 を可変抵抗器 とし
3.前 置補償法による誤差補 正の手順
てお き、周波数特性を測定 しなが ら微調整を行 うこと
周波数特性の偏差が伝達関数 の極配置の変動 と等価
な場合は、一般的に予め極の変動を見込んで極を配置
す る前置補償法が使用される。以下に前置補償法によ
る周波数特性補正の設計手順を示す。●
)
① ポール位置 (Nfb(s)=0の 根)の 計算
%=― 蒟±jⅢ
で も、ある程度 の成果 が得 られ るが、 コンピュータが
利用で きる今 日で は推奨 で きる方法 ではない。
そ こで 、本研究 では最適化 に使用 され る各種の逐次
近似手法 の適用を検討 した。逐次近似手法 では多数 の
手法 が 開発 され てお り、 ソフ トウ ェア もパ ッケージ化
が進 んでいるが、適切 な選定 が必要である。伝達関数
(6)
が解析的 に求 め られ る場合は最 急降下法 や共役勾配法
などが利用で きるが、伝達関数 の計算値 のみで適用 で
② ボールシフト計算
きる直接探索法 が最 も実用性 が高 い と考 えられ る。
今回 は、上記の直接探索法 と近年注 目を浴 びている
/1寿
前 置補 償 (プ レ・ デ ィス トー シ ョン)
③
遺伝的 アル ゴ リズ ムを比較 してみた。
4 1
直接探索法 の適用
直接探索法 は、素子値 ベ ク トル Xを ベ ク トル空間 の
¨ =“ ―real(△ sO)
各成分 の方向 に少 しず つ確率的 に変化 させ る直交調整
ぃ =Ⅲ ―imag〈 △s。 )
法 で あ り、簡単 な原理であるが適用範囲 が広 い強力 な
アル ゴ リズ ムで ある。図 7に プ ログラム化す る場合の
ら 、Qの 再計算
①
ら
フ ローチ ャー トを示す。
=輌 2+Ⅲ 2
Q=Ⅲ /2“
⑤ 再計算された ら、Qを 用 いて素子値を計算す る。
以上 の手法を本研究で設計するフイルタに適用 した
結果を図 6に 示す。図 5の 初期特性に対 して大幅な改
善がみられ有効な手法であることがわか る。
経験的には極の位置変動が複素周波数平面上で原点
22
図
7
直接探索法の フローチ ャー ト
RCア
プ ログ ラ ムを作 成す る場 合 は、使 用 す る変 数 や配 列
クテ ィプフイル タ最適設計手法 の一 検討
を用 いて決定 して い る。 プ ログ ラ ムの例 を図
10に 示
等 を定義 した 後 フ ロー チ ャー トに従 って順 次 コー デ ィ
す。 また 、今 回 は、簡単 の ため に突然 変 異 の ル ーチ ン
ン グ を進 めれ ば よい。
は実行 して い な い。
探 索方 向 は直 交化 法 を使用 す る こ とに な るが 、通常
は素子値 の順 番 に変 更 してい け ば よい。 素 子値 計 算 で
void crOss_oveバ
は素子値 ベ タ トル Xに 方 位 ベ タ トル Xを か け、 これ に
{
)
〃 1点交叉法
o:kく ‐
(N_gcne/2);k++){
on():〃 select pgene[][n],pgene[][m]
int l‐ 16+random[2Ⅲ 16];//確 率的遺伝子切れ日
//遺 伝子の交叉
for[int k‐
1を 法 とす る乱 数 を乗 じた探 索 範 囲 PD[%]を か け
selec●
て 、確 率 的 な探 索 ベ ク トル を作 成 して い る。
誤 差 の評価 は各周波 数 ご との誤 差 を求 め そ の 自乗 和
for(int j‐ 0:jく l;j十
+){
cgeneL][k]‐ pgeneL][m]:
cgeneし ][k+N_gene/2]‐ pgencL][n];
を 目標 関数 とした。 この他 に最大 誤差 を 目標 関数 と し
た り、近 似精 度 を 向上 した い周波 数帯 域 に荷 重 関数 を
}
for(int,‐ 1;jく (N_element
乗 じた りして収 東精 度 を調整 で きる。
Ⅲ16),j十 +){
cgeneL][k]‐ pgeneし ][n];
cgeneL][k+N_gene/2]‐ pgcneL][m];
図 8に 、最 も簡 単 だ が強 力 な試 行錯 誤 に よる素子値
)
計 算 の部 分 の ル ーチ ンの例 を示 す。
)
}
図10 遺伝子交叉のプログラム例
void set_vectorlint k,int direction)
{
(素 子値)の 計算 */
■oat delt_x‐ (foat)PD/100■ (float)(random(1));
/*探 索ベタトル
for(int i‐ o;iく
N_element,i++)(
x[i]‐ 0,
適 応度 の 計 算 で は、 日標 関数 の値 を各 遺伝 子毎 に求
め 、誤 差 の最 大値 に対 す る差 を誤差 の最 大値 で 基準化
した もの に 、1を 法 とす る乱数 を乗 じた もあ を採 用 し
}
x[k]‐ direction;
for(int i‐ o:iく
N_elementl i++){
X[i][1]‐ X[1][0]十
sw[i],x[i]Ⅲ X[i][0]+delt x:
}
て い る。 これ に よ り、適応 度 の高 い遺伝 子 を重複 を許
して遺伝 子群 か ら確 率 的 に 2個 の規 遺伝 子 を選 定す る
こ とがで き、適応 度 の低 い遺伝 子 に含 まれ る最 適値 の
}
図
8
探索 ベ ク トルの フログラム例
棄却 を避 けて い る。 プ ログ ラ ム例 を図 11に 示 す。
単純 GA)の 適用
遺伝的 アル ゴ リズム 〈
単純 GAで は素子値 ベ ク トル Xを 2進 数 の ビット
4. 2
列で表現 したものを解候補 の遺伝子 として複数作成
し、 これを交配 させ適応度の高い個体を新 しい世代 の
遺伝子として世代交代を繰 り返す もので近年注 目され
ている手法である。 X。 フローチャー トを図 9に 示す。
“
"lec●
on(ソ /確 率的な親遺伝子選定
〃適応度 の計算
for(int k,o:kく・ N_genc;k++){
ntns[k〕 ‐
(nOat)(random(1))ホ lep maX‐ ep[k])
/ep_max;
}
noat ntmax‐ 0:ノ /最 大値計算のための初期値
〃親遺伝子mの 選定
for(int k・ o:kく
・ N_gene:k++){
if(fitmaxく fltnes[k]){
fitmax‐ fitn“ s[k],m‐ k:
}
)
for(int k‐
o,kく ‐N_genel k++)(
fltness[k]‐ (■ oat)(random(1》
■(ep_max ep[k])
/ep_max;
}
fitmax‐ 0,
〃親遺伝子 nの 選定
for(int k・ o;kく ‐N_gene,k十 ■){
if(flunaxく fttns[k]){flunax‐ fitnes[k].
図 9 遺伝的アル ゴリズムのフローチヤー ト
n・
k;}
)
本 プ ログラムでは、遺伝子を 2次 元配列 に格納す る
よ うに して い る。遺伝子 の交叉 は最 も簡単 な 1点 交叉
法 を用 いてい る。交叉箇所 までの遺伝子 の長 さは乱数
図 ll 遺伝子の選別 (淘 汰 )の プ ログラム 例
23
職業能力開発報文誌 Vo1 8 No 2116),1996
また、解 の探索範囲 PDは 直接探索法 と比較す るた
めに同一 に している。
単純 GAで は数世代 で解候 補 が 均 一 にな るが図 12
の中央 の 曲線 の よ うに、再度そ の解候補 をもとにして
世代交代 の繰 り返 し回数 も直接探索法 の繰 り返 し回
数 と同 じに したが、単純 GAで は、誤差計算 の回数 は
直接探索法の遺伝 子 の個数倍 に なるので計算時間 は少
な くとも通常 10倍 以上長 くかか る。
プ ログラム作成 は C言 語 を使用 したが表計算 ソフ ト
初期個体 を生成 して世 代交代を続行 させ ると収東 に向
か うこ とが確認 された。
しか し、今回 の検討 では前置補償法 よ りやや良好 な
程度 の結果 しか得 られなかった。 この こ とは、直接探
索法 と同程度 のプ ログラム開発時間 しか与 えられず、
な どで も充分実用的 な プ ログラム作成 が可能 で あ り、
また コンピュー タの メモ リ容量や実行速度 が制約 され
グラフ表示 などはむ しろ簡単 で ある。
ている場合 は、単純 GAの 適用 は不利 で あ る こ とを意
味 している。
5.最 適 化 結果
結果的に直接探索法 と同程度 の プ ログラム規模 では
単純 GAの 優位性 は確認 で きな いと考 えられ るが、直
初期値 として は直接探索 法 と単 純 GAの 両者 の ア
ル ゴ リズ ムの優位性比較 のために理 想演算増幅器 によ
接探索法 に比較 して、 プ ログラ ミング時 に単純 GAの
り計算 した素子値 を用 いた。逐次近似 による収東 の状
ほ うが種 々のアイデアが付加 しやす い。解候補 の作成
況を図12に 示す。
方法や突然 変異、洵汰 の方法 などについて問題 に特有
の解決方法を導入すれば、強力な最 適化 のアル ゴ リズ
ムになると考 えられ る。
誤差
i■
lr(5)
■ 1・
例 えば、突然変異 は世代交代 が進 み遺伝子 が飽和 し
= _:
て きた時点で、素 子感度 の高 い抵抗器を確率的 に選定
lr`4)
ll^( 3)
10^( 2)
1●
( 1)
`
ヽ
ヽョ
k
して実行 させ 、 また、洵汰 の方法 は誤差関数 の計算時
単純G. 法
_
―
諦
!r ( o,
に極周波数付近で適当な荷重関数 を乗 じて誤差 を拡大
して行 うなどが考 えられ る。使用す る コンピュー タに
ヽ
メモ リ容量や実行速度 の制約 が少 なけれ ば、解候補 の
1“ (-1)
数を増加 で き単純 CAの 有用性 が期待 され る。
1"(2)
各区間毎 に最適化 を行 った後 の フィル タ回路 の総合
-3)
1“ 〈
綱り
回
返し
殿
"
周波数特性 を図 14に 示す。阻止域減衰量が400 kHz付
近 か ら過剰 にな りは じめ るが、演算増幅器 の通過帯域
図12 逐次近似結果
におけ る影響 は最適化 に よる受動素子値 の調整で概ね
除去で きている。
直接探索法 では短時間で良好 な収東結果 が得 られて
い る。 これに対 して単純 GAで は誤差 を完全 には除去
!0
で きていない。
│:│
-10
││││
^-20
00
ヽオ
`
-20
-5滞
-∞
-40
華
-50
r
-∞
―
`く
、
\
-40
'そ
―
■
∞
ヽ
ヽ
\
││ │
:0
1四
klL〉
周波数 く
直
ヽ
\
ノ
《
0輌
、
・・
″
直摯: 素法―一
^10
巽
5^
9
20
ヽ
こ-30
一
は
一
靭
40
ωoγ
︵
Ш
禦
颯¨
最適化後のフィルタ特性計算結果を図13に 示す。
0
ヽ
ヽ
!│口
1口
図14 フィルタ総合特性
コ
1
1●
1口
用機数 (uz)
:口
1嘲
図 13 直接探索法及び単純 GAに よる最適化結果
最適化の結果の素 子値 を用 いて フィル タを実際に試
作 し周波数特性を測定 した結果を図15に 示す。
24
RCア
クテ ィプフィル タ最適設計手法 の一 検討
^
me 率
生 に も馴染み易 く、取 り組み易 いテ ーマで あるとの感
触を得 た。
il
10 ^
1:彙
■
引コ ー
nO刹翅翅刊“一切翅
で もマ ク ロ機能 に よ り実行確認 で き、情報処理科 の学
謝辞
本研究 はシ リーズ化 したテ ーマを12名 の卒業研究生
に分担 して行 った。終始熱心 な態度 で本研究 を卒業研
究 のテーマ として取 り組 んで頂 いた平成 2年 度 か ら 6
年度 までの卒業研究生の諸氏に深 く感謝 します。
10
1∞
なお、本研究 で使用 した ソフ トウェアや機材 は平成
周波数 (k貶 )四
5年 度 の指定研究 の支援 を受けた ことを付記 し当短大
及 び雇用促進事業団 の関係各位 に謝意を表 します。
図 15 フイルタ総合特性測定結果
抵抗値や容量値 は計算値通 りの値 は存在 しないので
若千調整 を要す るが通過帯域 の 減衰量 は約0
(参 考文 献 )
(1)J J Friend et al,て 'STAR:An Active Biqua―
1dB以
dratic Filter Section",IEEE Trans,vol CAS‐
22,no 2 pp l15-121,Feb 1975
内で設計値 と一 致 している。 また、阻止帯域 の減衰量
の調整 で概ね良好 な フィル タ特性 が得 られ ていること
(2)GOBIND DARYANANI,“ PRINCIPLES OF
ACTIVE NETヽ VORK SYNTHESIS AND
DESICN'',JOHNヽ■ELY&SONS,Inc,1976
がわか る。
(3)M E VAN VALKENBURG著
は設計値 との差 は大 きいが、規格 の50 dBに 対 しては
1-2 dB小
さ くな って い る程 度 で あ り、必要最小限
一般的 には、周波数特性計算 にパ ソコンを使用 して
もパ ラメータの探索 には20∼ 30分 程度 の時間を必要 と
、柳 沢健監 訳
:
“アナ ログフィル タの設計 "、 秋葉出版、 1985
)北 野宏 明 :
“
遺伝的 アル ゴ リズ ム"、 産業図書、
す るが、本方法 を使用す る こ とで、約 1分 程度 で最適
“
1993 6 3
化 が完了す る。これ に よ り、設計仕様 が与 えられれば、
(rDl
安居院、長尾 : “ジェネテ ィックアル ゴ リズ ム"、
数分程度 の比較的短時間 に回路定数 (素 子値 )を 決定
昭晃堂、 199475
して回路 を試作 し図15の フイルタ総合特性を確認す る
こ とがで きる よ うになった。今後 A/D変 換器 と接続
し総合評価す る予定である。
IV おわりに
フィル タ設計 の ソフ トウ ェア化 と高周波化 をテ ーマ
として研究を行 った。RCア クテ ィブフィルタは、現在
で も OTAな どの素子を用 いた高周波化、IC化 の努力
が続け られて い る。 あ ま り目立たない存在 で あるが、
A/D変 換器 にとっては不可欠な回路 である。
設計試作で は、 コンピュータの利用技術、 プ ログラ
ミング技術を駆使す る必要 が あ り、電子・ 情報系 の実
習科 目に多 くの教材を提供す る分野 のひ とつ で あ る。
今回、平成 2年 度 か ら 6年 度 にか けて情報 システ ム科
(平 成 4年 よ り情報処理科)の 卒業研究 のテ ーマ とし
て個 々の 内容を シ リーズ化 して実施 してきた内容をま
とめてみた。情報処理科移行時 は電子系 の実習科 目が
激減 し学生 の理解度 の低下を懸念 していたがそれは杞
憂 で あった。逐次近似 のプ ログラムは表計算 ソフ ト上
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