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e-Tax News
No.120
October 13, 2016
KPMG Japan
e-Tax News
税務情報
ベルギーとの新租税条約-署名
2016 年 10 月 12 日、日本国政府とベルギー王国政府との間で「所得に対する租税に関
する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とベルギー王国と
の間の条約」
(新条約)の署名が行われました。新条約は、1970 年に発効(1990 年及び
2013 年に一部改正が発効)した現行条約を全面的に改正するものです。
この e-Tax news では、新条約の主なポイントをお知らせします。
1. 源泉地国における投資所得に対する課税の軽減
配当、利子及び使用料について、源泉地国における課税の限度税率が以下のように引き
下げられます。
(1)配当(第 10 条)
《現行条約》
受益者
配当支払法人(ベルギー法人)の議決権25%以上を6ヵ月以上所有する
法人
配当支払法人(日本法人)の議決権25%以上を6ヵ月以上所有する法人
上記以外
《新条約》
受益者
•
配当支払法人の議決権 10%以上を直接又は間接に 6 ヵ月以上所有
•
年金基金
する法人
上記以外
限度税率
5%
10%
15%
限度税率
免税
10%
© 2016 KPMG Tax Corporation, a tax corporation incorporated under the Japanese CPTA Law and a member firm of the KPMG network of independent
member firms affiliated with KPMG International Cooperative (“KPMG International”), a Swiss entity. All rights reserved.
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(2)利子(第 11 条)
《現行条約》10%
《新条約》
•
•
•
政府・中央銀行等
受益者
年金基金
一方の締約国の企業(他方の締約国の企業により支払われるもの)
上記以外
限度税率
免税
10%
(3)使用料(第 12 条)
《現行条約》
《新条約》
10%
免税
2. 条約濫用防止規定(第 22 条)
•
新条約には、特典制限条項(Limitation on Benefits: LOB)が設けられ、配当・利子・
使用料について源泉地国における免税規定の適用を受けるためには、適格者テスト
等一定の要件を満たすことが必要となります。
•
さらに、新条約には主要目的テスト(Principal Purpose Test: PPT)が導入され、条
約の特典を受けることが取引等の主要な目的の一つであったと認められる場合には、
原則として、条約の特典が与えられないこととなります。
3. 新しい規定・条項
新条約には、以下の規定・条項等が新たに設けられています。
•
•
•
第 1 条(対象となる者)- ハイブリッド・エンティティ(両国間で課税上の取扱いが
異なる事業体)に関する規定
第 9 条(関連企業)- 対応的調整に関する規定
第 20 条(匿名組合)
(匿名組合契約に関連してベルギーの居住者である匿名組合員
が取得する所得(日本国内において生ずるもの)に対しては、日本の国内法に従って
租税が課されることになります。
)
•
•
第 25 条(相互協議手続)- 仲裁制度に関する規定
第 27 条(租税の徴収における支援)
4. 効力発生(第 30 条)
新条約は、両国においてそれぞれの国内手続(日本においては国会の承認)を経た後、
外交上の経路を通じて、その国内手続の完了を確認する通告を相互に行い、遅い方の通
告が受領された日の後 30 日目の日に効力を生じ、次のものについて適用されることと
なります。
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KPMG Japan e-Tax News
日本
ベルギー
課税期間に基づいて
新条約が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後
課税期間に基づかない
新条約が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後
課される租税
で課される租税
源泉徴収される租税
所得に対するその他の
租税
その他の租税
に開始する各課税期間の租税
に課される租税
新条約が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後
に貸記され、又は支払われる所得
新条約が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後
に開始する各課税期間の所得
新条約が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後
に生ずる課税事象に係る租税
《財務省プレスリリース》
ベルギーとの新租税条約が署名されました
編集・発行
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る状況に対応するものではありません。私たちは、的確な情報をタイムリーに提供するよう
努めておりますが、情報を受け取られた時点及びそれ以降においての正確さは保証の限りで
はありません。何らかの行動を取られる場合は、ここにある情報のみを根拠とせず、プロフ
ェッショナルが特定の状況を綿密に調査した上で提案する適切なアドバイスをもとにご判断
ください。
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