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平成 28 年度 施策及び 当初予算に対する提言

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平成 28 年度 施策及び 当初予算に対する提言
平成 28 年度 施策及び
当初予算に対する提言
民主党愛知県議員団
平成27年10月14日
愛 知 県 知 事
大
村
秀
章
殿
民主党愛知県議員団
団
長
高木ひろし
安藤としき
副 幹 事 長
かじ山義章
総 務 会 長
永井
雅彦
副総務会長
河合
洋介
政策調査会長
森井
元志
副政策調査会長
久野
哲生
監
福田
喜夫
監
嶋口
忠弘
幹
事
長
塚本
長
事
久
副
団
事
常 任 顧 問
中村
友美
黒川
節男
高橋
正子
富田
昭雄
西川
厚志
中村すすむ
鈴木
純
長江
正成
浅井よしたか
谷口
知美
水谷
満信
天野
正基
小山たすく
西久保ながし
佐波
和則
樹神
義和
日比たけまさ
安井
伸治
朝倉
浩一
黒田
鳴海やすひろ
大嶽
理恵
太郎
安心して働き生活できる魅力ある愛知へ向けて
本県の経済は、輸出産業がけん引する形で緩やかな回復基調にあり、設備投
資なども増加傾向にある。また雇用、所得環境も改善し、個人消費や住宅投資
なども改善傾向を継続している。しかし、先般県が行った財政中期試算では、
県財政は今後も慢性的な収支不足が見込まれ、県債発行残高は増加の一途をた
どるとされている。加えて、目前に迫るリニア時代に懸念されるストロー現象
によるさらなる東京一極集中への対策や、本県では辛くも踏みとどまっている
とはいえ、人口減少の進行や高齢社会の広がりなど、厳しい県財政運営に加え
て社会形成の基盤の変革が県政に及ぼす影響は深刻度を増している。
本県が「あいちビジョン2020」で提唱する「日本一の元気を暮らしの豊
かさに」を実現していくためには、より効果的・効率的、持続可能な事業執行
が求められており、従来からの行政手法を大胆に見直し、民間・地域の力を総
結集して、産業立県を基盤としつつ、安心して働き生活できる、人を引き付け
る魅力ある社会環境を形成していかなければならない。
我々は、先の県議会議員選挙で、県民の皆様の「命」
「雇用」
「暮らし」を守
り、「安定」した地域づくりを目指したローカルマニフェスト「2015 政策集
MAP48」をお示しし大きな躍進をすることができた。
この提言をまとめるにあたっては、MAP48で県民の皆様にお約束した政
策を基調とし、誰もが参画できる社会づくり、格差の広がりや貧困問題に歯止
めをかける健全な労働環境の構築、女性の活躍促進、選挙権付与に伴う青少年
教育など、人材育成、安心して働き生活できる愛知を支える明るく逞しいそし
て魅力ある社会環境構築を強く意識した内容とした。
知事におかれては、我々がここに取りまとめた 41 の提言とその背景をご賢
察頂き、来年度の当初予算の編成に際して格段の配慮を頂きますよう強く要望
する。
平成28年度 施策及び当初予算に対する提言
目
1
次
南海トラフ巨大地震に備え命と暮らしを守る愛知づくり―――1
① 耐震化対策等の促進
② ゼロメートル地帯の災害対策の推進
③ 基幹的広域防災拠点の整備
2
安心・安全で持続可能な地域づくり――――――――――――4
① 社会資本の老朽化対策
② 犯罪が起きない生活環境対策
③ 交通事故対策
3
産業振興と経済の好循環で元気な愛知づくり―――――――10
① 次世代産業の育成
② リニアインパクトを活かした地域づくり
③ MRJ生産を活かした名古屋空港周辺地域の整備推進
④ 観光産業の育成
⑤ 中小企業支援体制の強化
⑥ 6次産業化の推進及び「あいちブランド」の発信
⑦ 地産地消及び食育の促進
⑧ 農林水産業における品種等の研究開発の促進
⑨ 農地の利用集積と集約化の推進
⑩ 交通体系の整備、港湾整備の促進
⑪ 有料道路コンセッションによる地域活性化の推進
4
誰もが活き活きと活躍できる社会づくり―――――――――18
① 次世代を担う人材の育成
② 就労支援の強化
③ 女性の活躍促進
5
誰もが学び未来が描ける環境づくり―――――――――――23
① 教育環境の整備
② いじめ・不登校対策
③ 情報モラル教育の取組
④ 教員の多忙化解消
⑤ 選挙権年齢引き下げに伴う青少年の主権者教育の充実
⑥ スポーツによる地域活性化の推進
6
健康で元気に暮らせる社会づくり――――――――――――28
① 子育て支援の充実
② 介護サービスの充実
③ 地域包括ケアシステムの構築
④ 障害者福祉サービスの充実と障害者雇用の拡充
⑤ 健康長寿あいちの実現
7
未来へつなぐ環境先進県づくり―――――――――――――34
① 環境首都あいちの実現に向けた取組
② 再生可能エネルギーの普及
③ 三河湾における干潟・浅場の造成の効率的・安定的な実施
④ あいち森と緑づくり事業の着実な推進
⑤ アスベスト対策の充実
8
未来に責任を負う行政づくり――――――――――――――39
① 財政の健全化
② しなやか県庁創造プランの推進
③ 「中京大都市圏づくり」の推進
④ 「まち・ひと・しごと創生」の推進
⑤ 「公契約条例」の制定
1
南海トラフ巨大地震に備え命と暮らしを守る愛知づくり
① 耐震化対策等の促進
(1) あいち建築減災プラン2020に基づく取組を更に進めること。とりわけ、耐
震改修・段階的耐震改修・耐震シェルター設置等の補助制度が県内すべて
の市町村において活用されるように、耐震化・減災化の取組を強化すること。
(2) 家具や家電の販売業者や引越業者、家具固定を実施するボランティア団
体等と連携し、家具等転倒防止対策を推進すること。
② ゼロメートル地帯の災害対策の推進
(1) ゼロメートル地帯における河川・海岸堤防や排水機場、水門など、地震・津
波・高潮対策事業の推進を図るとともに、橋梁などの緊急輸送道路への対策
を充実させること。
また、津波避難における一時避難場所として、沿岸部の高い場所にある道
路等の活用に積極的に取り組むこと。
(2) 堤防の沈下等により広域的に浸水した場合においても、災害応急対策活
動が迅速かつ的確に実施できるよう、広域的な防災拠点を整備すること。
③ 基幹的広域防災拠点の整備
政府の現地対策本部としての施設整備が進められている「名古屋市三の丸
地区」に加え、「名古屋飛行場」「名古屋港」においても基幹的広域防災拠点と
して位置付け整備するよう、国に働き掛けること。
≪提言の背景≫
①
耐震化対策等の促進については、以下のとおり。
(1) 本県被害予測調査においては、過去地震最大モデルの地震・津波により県内で約6,400
人の死者、約94,000棟の建物の全壊・焼失が想定されている。そのうち、建物倒壊での
死者数は約2,400人、揺れによる建物の全壊は約47,000棟と想定されているが、耐
震化率100%を達成すれば建物倒壊での死者数は約700人、揺れによる建物の全壊は約
20,000棟と大幅に減災される。
このことからも学校や病院などの公共構造物、防災拠点となる施設や県民が利用する公的施
設や民間住宅・民間建築物等、建築物の耐震化の状況を整理し、建築物の耐震化と減災化の目
標を定め取り組むとする「あいち建築減災プラン2020」を加速させることが重要である。
-1-
■県内市町村の住宅・建築物の耐震改修補助制度の整備状況
(H27 年4月現在)
補助制度の種類と対象建築物
住宅
木造
(全市町村
制度有り)
市町村数
市町村の
上乗せ有り
34
市町村の
上乗せなし
20
非木造
耐震改修
19
不特定多数の者が利用する大規模建築物等
(病院・旅館・店舗等)
3
避難路沿道建築物
(県・市町村が指定した道路の沿道建築物)
2
防災上重要な建築物
(避難所・救急病院等)
0
段階的耐震改修
31
耐震シェルター
44
資料:愛知県
(2) 本県の家具等の転倒・落下防止対策実施率は、現在56%であり被害予測調査では約200
人の死者が想定されている。実施率100%を達成すれば約80人に減災される。多くの人が
家具等の転倒・落下が危険であることは認識してはいるものの、実施率が上がらないのは固定
方法が難しいことや高齢で自らできないことも原因のひとつとなっている。実施率100%達
成に向けては、専門業者やボランティアの協力が不可欠である。
②
ゼロメートル地帯の災害対策の推進については、以下のとおり。
(1) 愛知県には、日本最大のゼロメートル地帯である濃尾平野など広大なゼロメートル地帯が存
在するが、こうした地域は、海岸や河川の堤防等が被災した場合には、広範囲が浸水するとと
もに、自然には排水されないことから長期的に湛水する恐れがある。
昨年5月に本県で実施した南海トラフ地震に係る被害予測調査では、堤防等の被災を前提と
した結果、国の被害想定を上回る広い範囲が浸水し、特にゼロメートル地帯においては、河川
や海岸付近で地震発生直後から浸水が始まるところがあると想定された。その結果、最悪のケ
ースでは、死者数約29,000人のうち浸水・津波による死者が約13,000人とされた。
また、平成21年に三河湾で伊勢湾台風に匹敵する潮位となったことを契機として設定した
高潮浸水想定(H26.11公表)において、最大クラスの高潮では、27,000haを超
える浸水が想定された。
こうしたことから、ゼロメートル地帯においては、河川堤防はもとより、地震時の津波の遡
上や、その後の台風での高潮による被害を防ぐために排水機場や水門の耐震対策を実施してい
くことが重要である。
また、橋梁など緊急輸送道路は被災直後の救助活動や物資輸送に重要な役割を担うことから、
その整備や耐震対策が求められ、また、沿岸部の高い場所にある道路等は、一時避難場所とし
て活用していく必要がある。
本県では、第3次あいち地震対策アクションプランにおいて、これらのハード対策に関し
て明記しており、今年度中に作成される工程管理のロードマップを基に、第3次あいち地震
対策アクションプランの計画期間内の完了に向けて着実に対策を進めていかなければならな
い。
-2-
また、高速道路等の一時避難場所としての活用は、地域により有効かつ不可欠な取組であ
り、車道利用の制限解除や避難者等の安全確保対策など、国に対する働きかけを強くしてい
くことが必要である。
(2) 海岸堤防の沈下等により広大な地域が浸水エリアとなるため、現状では、避難場所の確保や
災害応急活動を実施するための拠点の確保が困難であることから、新たな避難場所や拠点の整
備が必要となる。
③
国の被害想定結果からも、広域かつ甚大な災害となる南海トラフ地震においては、広域支援部
隊の活動や緊急支援物資の円滑な中継・分配を支援する機能を有する基幹的広域防災拠点を、こ
の地域に整備することが効果的な応急対策活動を行う上で不可欠である。中部圏内の各機関の合
意により策定した中部圏広域防災ネットワーク整備計画に基づき、現在整備が進められている
「名古屋市三の丸地区」を始め、「名古屋飛行場」及び「名古屋港」においても、基幹的広域防
災拠点として位置付け整備されるよう国に強く働き掛ける必要がある。
-3-
2
安心・安全で持続可能な地域づくり
① 社会資本の老朽化対策
道路・橋梁・河川・港湾・病院・教育施設・県営住宅など、社会インフ
ラや施設の計画的な更新・長寿命化に取り組むとともに、民間活力の活用
及び基礎自治体との連携を図ること。
とりわけ、近年多発するゲリラ豪雨等に備え、河川改修などの治水対策
を強力に推進すること。また、老朽化の著しい警察署・県立学校・消防学校・
病院施設については、計画的に整備を進めること。
② 犯罪が起きない生活環境対策
(1) 「あいち地域安全戦略2017」の重点取組である「住宅対象侵入盗」、「自動
車盗」、「振り込め詐欺等の特殊詐欺」の3つの犯罪防止を強力に進めるこ
と。
(2) 犯罪抑止と検挙向上に向けて、自主防犯団体の設立促進や活動支援な
ど、地域防犯力の向上に資する取組に所要の財政措置、支援策を講ずるこ
と。
(3) 犯罪抑止と検挙向上に効果が上がっている防犯カメラの更なる設置に向
け、所要の財政措置、支援策を講ずること。
(4) 交番・駐在所の機能強化に取り組むこと。
(5) 児童虐待防止、ストーカー・DV対策、性犯罪等の対策の推進を図るととも
に、犯罪弱者や被害者への支援を充実させること。
(6) 危険ドラッグなどの薬物乱用、サイバー犯罪、JKビジネス等から子供を守
るため、少年非行防止の対策を強化すること。
③ 交通事故対策
(1) 交通事故死者の半数以上を占める高齢者への対策を始め、交通事故多
発箇所の優先整備、道路標識・標示の更新、信号灯器のLED化、歩車
分離式信号への改良及びゾーン30の整備など、安全な道路交通環境の
整備を着実かつ強力に推進すること。
(2) 自転車は車両であることを徹底させるなど、自転車利用者の規範意識の
醸成を図る教育を推進するとともに、自転車通行環境の整備、自転車運転
者講習制度の充実、危険行為の取締り強化に取り組むこと。
-4-
(3) DSSS(安全運転支援システム)・ITCS(高度交通管制システム)・ITS(高
度道路交通システム)の整備充実を図ること。
≪提言の背景≫
①
我が国においては、戦後の復興期から高度経済成長期にかけて、学校、公営住宅等の公共施設
や道路、河川、港湾、上下水道、都市公園等のインフラ資産が集中的に整備されたが、これらが
耐用年数を迎えつつあり、近い将来には多額の更新費用が必要となる。
こうした状況の中、本県では、
「愛知県公共施設等総合管理計画」を平成27年3月に策定し、
長期的な視点をもって計画的に必要な対策を講じていくこととしている。また、既存インフラだ
けでなく、今後新設する施設も含めて長寿命化対策を実施するためには、点検・診断結果を集約
し、設計・施工・材料等の技術指針に反映することが重要である。
今後、インフラ長寿命化基本計画に基づき地方が適正な水準の下で施設の維持管理・更新を効
率的に行うためには、膨大な数のインフラの点検・診断を正確かつ迅速に行うことのできるIC
T技術の開発等の技術的支援を国はもとより民間活力を活用することも検討し進めるべきであ
る。
また、本県の警察施設は全般的に老朽化が著しく、警察署については全体の約7割が築30年
以上となっている。本県においては、財政状況が厳しい中ではあるが、特に災害時において、地
域安全の最重要拠点となる警察署が十分な機能を発揮できるよう、計画的な整備を進めていく必
要がある。
県立学校は、耐震化が進む反面、校舎の建替え、改修などは進まないまま老朽化し、水道管な
どにも影響が出ている。計画的な老朽化対策を進め、県立学校生の学習環境を整備することが必
要である。
県内市町村の消防職団員や自衛防災要員等に対して消防防災の教育訓練の場となっている消
防学校であるが、老朽化・狭隘化が進み、近年の輻輳する災害に対応するだけの機能を有してい
ないのが現状である。特に、訓練施設の高層化や水深化等、より実態に即した訓練施設となるよ
う、計画的な改善を推進する必要がある。
また、近年、多くの人命が失われる災害が、毎年のように発生しており、本年9月にも台風の
影響により関東や東北で記録的な豪雨が続き、茨城県常総市では鬼怒川の堤防が決壊するなど、
甚大な被害が生じた。本県においても、昭和34年の伊勢湾台風や平成12年東海豪雨など大規
模災害に見舞われており、河川改修等の治水対策を強力に進める必要がある。
■県有施設の耐震化現状について(平成26年9月末現在)
資料:愛知県
-5-
②
犯罪が起きない生活環境対策については、以下のとおり。
(1) 本県の刑法犯認知件数は、県民総ぐるみの安全なまちづくりに取り組んだ結果、平成26年
は約8万5千件と、昭和59年以降で最も少ない件数となった。しかし、住宅対象侵入盗や自
動車盗は依然として全国ワースト上位を占めている。そこで、地域住民が安全に安心して暮ら
せる社会の実現に向けた態勢整備に向け、平成27年度から3年間は、新たに策定した「あい
ち地域安全戦略2017」に基づき、3年間の目標値を住宅対象侵入盗(3,500件以下)、
自動車盗(2,000件以下)に初めて設定するとともに、振り込め詐欺等の特殊詐欺の3つの
犯罪への対策を最重点に取組むとしている。
(2) 自主防犯活動等を始めとする地域における取組の必要性は、年々高まっており、地域の安全
には欠かせないものとなっている。しかしながら、各行政機関では、財政状況が厳しい中、広
報啓発や自主防犯活動の促進のための対策を実施しているのが現状である。国・県・市町村等
が連携し、地域において、広報啓発活動、自主防犯団体の設立促進や活動支援、活動を担う人
材の養成など、地域安全施策を総合的に推進するために、所要の財政措置を講ずる必要がある。
(3) 防犯カメラによる犯罪抑止効果は、名古屋市内の実証実験でも明らかなように刑法犯総数や
住宅対象侵入盗等の件数を大幅に減少させ、大きな効果が確認されている。現在、県では産業
労働部が商店街でのカメラ設置に補助を、県警が歓楽街でのカメラ設置を実施しているが、引
き続き取り組む必要がある。また、市町村も犯罪の起きやすい住宅街や駐車場等へのカメラ設
置を進めているが、財政負担も大きく県に対する支援の要望も強いところである。(カメラ設
置補助制度あり…県内26市町村、補助上限額;1団体につき1~150万円)
■防犯カメラ補助制度のある都道府県の状況
都道府県
1
埼玉県
2
千葉県
3
東京都
4 神奈川県
5
富山県
6
大阪府
7
奈良県
8
兵庫県
9
岡山県
10
福岡県
11
熊本県
対 象
市町村
市町村
区市町村
地域団体
市町村
市町村
市町村
地域団体
市町村
市町村
市町村
補 助 内 容
市町村が実施する防犯カメラ・通報機器設置工事費
市町村が実施する防犯カメラの設置事業及び地域団体への補助経費
区市町村が地域団体へ補助する防犯カメラの設置工事費
地域団体の防犯カメラ購入費
市町村が実施する防犯カメラの設置事業及び地域団体への補助経費
市町村が自治会等に補助する防犯カメラの設置工事費
地域防犯重点モデル地区に補助金を交付する市町村
地域団体が実施する防犯カメラの設置工事費
市町村が実施する防犯カメラの設置事業及び地域団体への補助経費
市町村が暴力団対策を目的とする防犯カメラの設置工事費
市町村が地域団体へ補助する防犯カメラの設置工事費
補 助 額
経費の 1/2、上限200 万円/1市
経費の 1/2、上限 20 万円/台
都1/2・区市町村1/3・地域1/6
上限 24 万円/団体
経費の 1/2、上限 10 万円/台
補助額の 1/2、上限 10 万円/台
経費の1/2、上限100万円/地区
上限 8 万円/箇所
経費の 1/2、上限 15 万円/台
経費の 1/3、上限 50 万円/台
経費の 1/2、上限 20 万円/台
年間予算額
3600 万円
4000 万円
3 億 600 万円
358 万円
1000 万円
1600 万円
500 万円
2400 万円
6000 万円
200 万円
340 万円
資料:愛知県
-6-
■県内市町村の防犯カメラ補助制度
名古屋
豊 橋
一 宮
瀬 戸
春日井
豊 川
津 島
刈 谷
豊 田
補 助 内 容
補助率;2/3、上限 18 万円/台
補助率;4/5、上限50 万円/団体
補助率;1/2、上限 100 万円/団体
補助率;1/1、上限50 万円/団体
補助率;1/2、上限50 万円/団体
補助率;4/5、上限 100 万円/団体
補助率;1/2、上限50 万円/団体
補助率;1/2、上限50 万円/団体
補助率;4/5、上限80 万円/団体
安 城
犬 山
小 牧
稲 沢
新 城
知 立
尾張旭
岩 倉
日 進
補 助 内 容
補助率;4/5、上限80 万円/団体
補助率;1/2、上限50 万円/団体
補助率;1/2、上限30 万円/団体
補助率;1/2、上限50 万円/団体
補助率;1/2、上限25 万円/団体
補助率;1/2、上限 32.5 万円/団体
補助率;1/2、上限 15 万円/台
補助率;1/2、上限30 万円/団体
補助率;4/5、上限50 万円/団体
田 原
清 須
北名古屋
弥 富
みよし
長久手
蟹 江
飛 島
補 助 内 容
補助率;4/5、上限50 万円/施設
補助率;1/1、上限50 万円/団体
補助率;1/1、上限50 万円/団体
補助率;1/2、上限50 万円/団体
補助率;1/2、上限 150 万円/団体
補助率;4/5、上限 40 万円/台
補助率;1/2、上限 5 万円/団体
補助率;1/2、上限 1 万円/団体
資料:愛知県
全国では、東京・神奈川・大阪等犯罪件数の多い都道府県で、市町村等に対して防犯カメ
ラ設置の補助を行っているところが増えており、本県も市町村の実状を把握する中で補助制
度の導入検討をすべきと考える。
住宅対象侵入盗は、8年連続全国ワースト1となっており、抑止に資する検挙と併せ、住宅
対象侵入盗に対する重点的な防犯対策として、防犯性の高いCP建物部品の普及や防犯カメラ
の設置促進を図る必要がある。また、自動車盗についても平成20年から5年連続ワースト1、
25年度はワースト2となったものの、26年度は再びワースト1となっており、イモビライ
ザ等の取組みと合わせ防犯カメラの設置を進める必要がある。
(4) 平成17年度から平成26年度にかけ、警察力の適正な配分による治安基盤の強化、視認
性・利便性の向上による交番機能の強化を目的とした交番・駐在所再編強化計画に基づく取
組が実施され、所期の目的を概ね達成できたと評価できる。しかし、より一層の地域の安心
と犯罪の抑制につながる機能強化が求められるため、社会情勢や治安情勢に対応した適地へ
の移転や、女性警察官が働きやすい交番の環境整備など、交番・駐在所の建替え時等におけ
る機能の充実を引き続き図っていく必要がある。
(5) 児童虐待、ストーカー・DV事案等人身安全対処事案に迅速かつ的確に対応するため、県警
においては、本年4月、子ども女性安全対策課内に人身安全対策室を設置し、その結果、昨
年度を上回るペースで対応がなされているものの、虐待を受けた子どもや犯罪被害者等が、
再び平穏な生活を営むことができるよう、より一層、県警のみならず、児童相談センターや
医療機関等関係機関と連携し、相談・支援体制の充実を図るとともに、情報共有の推進を図
る必要がある。
■児童虐待・ストーカー・DV事案対応実績
児童虐待(認知件数)
ストーカー事案
DV事案
H23
464
749
1,186
H24
650
1,009
1,603
H25
1,364
983
2,127
H26
1,504
1,003
2,344
H27年7月末
1,240
635
1,575
資料:愛知県警察
-7-
(6) 危険ドラッグについては、平成26年7月、総合対策本部を設置し、販売店等への指導など
供給遮断に向けた取締りの強化等により、一定の効果が上がっているところである。
しかしながら、犯罪の根源として、青少年の規範意識の低下に加え、模範となるべき大人の
規範意識の低下が見られるほか、インターネット、SNS等における違法情報・有害情報の氾
濫がその低下に一層の拍車をかけているため、学校、地域、家庭、警察などが一体となった啓
発活動など防止対策の強化が必要である。
また、JKビジネスや、インターネット等を介した児童ポルノ被害など、青少年が被害者と
なる新たな形態の犯罪に対しては、立入調査やサイバーパトロール等により実態を把握し、犯
罪被害を未然に防止する取組が急務である。
資料:愛知県警察
■JKビジネスに対する立入実施店舗数(平成27年7月実施)
営 業 形 態
種 別
JK喫茶
ガールズバー
ガールズ居酒屋
リフレ
8
13
7
26
営有
店舗型
業害
役
務 無店舗型
③
見学クラブ
撮影
散歩
コミュニ
ケーション
ルーム
計
1
56
1
合計
57
1
1
交通事故対策については、以下のとおり。
(1) 第9次愛知県交通安全計画(H23~27)では、交通安全計画(道路交通)における目標
として、平成27年までに、交通事故による年間の24時間死者数を185人以下とすること
を目指しているが、平成27年7月末現在、交通事故死者数107人中59人(55.1%)
が高齢者であり、また、高齢者の交通事故死者の約8割が、自宅から約1キロメートル以内の
場所で交通事故の被害に遭っている。
こうした特徴への対策として、生活道路での最高速度を時速30キロメートルに規制する
「ゾーン30」の積極的な整備を推進する必要がある。
また、信号灯器のLED化は、視認性が向上し、特に西日により信号が見にくくなりやすい
場所における交通事故防止に効果があることから、引き続き、計画的な整備促進が求められる。
■高齢者の交通死亡事故発生状況(平成27年7月末現在)
その他
1.7%
高齢者の歩行者・自転車乗用中死者43人のうち
自宅から1km以内が36人(83.7%)
四輪車
16.9%
25
自動二輪
3.4%
原付5.1%
高齢者死者
59人
歩行者
39.0%
20
22
15
14
10
自転車
33.9%
5
5
2
0
5 0 0 m以内
歩 行
自 転
原
自 動 二
四 輪
そ
の
者
車
付
輪
車
他
23
20
3
2
10
1
1
k m以内
2 km以内
5 0 0 m 以 内
1
k
m 以 内
2
k
m以 内
2
k
m
超
22
14
2
5
2 km超
人
人
人
人
資料:愛知県警察
-8-
■平成 25 年度中に信号灯器をLED化した265交差点における交通事故(人身事故)発生件数
LED整備前
205件
人身事故件数
※
LED整備後
138件
減少率
-32.7%
整備後6か月の人身事故件数を前年の同時期と比較したもの
資料:愛知県警察
(2) 近年、自転車の通行方法等に対する関心が高まる中、本年6月から自転車運転者講習制度が
導入されるなど、自転車の交通ルールの周知は急務となっている。
よって、子どもから高齢者までの幅広い年齢層を対象とした自転車教室などの交通安全教
育の場を通じて、交通安全意識の高揚を図るとともに、一時不停止などの事故の原因となっ
ている悪質な自転車利用者に対する指導取締りを実施する必要がある。
また、県内においては普通自転車専用通行帯(自転車レーン)が6区間において供用され
ており、歩行者との交通事故減少などが期待されるところであるが、こうした自転車通行環
境の更なる整備促進を図る必要がある。
■自転車による交通事故件数の推移
区 分
平成24年中
事故死者数
235
自転車
44
負傷者数
61,576
自転車
20.1%
平成25年中
-41
219
-3
42
19.2%
-75 60,867
10,680 17.5% -818
平成26年中
-16
204
-2
37
-709 57,183
10,409 17.1% -271
9,690
18.1%
平成27年7月末
-15
107
-5
26
-3,684 31,287
16.9% -719
5,085
-3
24.3%
8
-1,658
16.3% -560
資料:愛知県警察
(3) 交通死亡事故の撲滅に向けては、歩行者・自転車・ドライバーの安全意識向上に加えて、安
全運転をサポートするシステムが必要である。
ドライバーがゆとりを持った運転ができるよう、視認困難な位置にある自動車、二輪車、
歩行者を感知機が検出し、車載装置などを通して注意喚起するDSSS(安全運転支援シス
テム)や、交通量の変動にきめ細やかに対応した信号制御等を行うITCS(高度交通管制
システム)などの整備充実に向け、国と連携して進めていくことが求められる。
■DSSS(安全運転支援システム)の概要
見えない範囲
③表示や音によって
ドライバへ情報提供
②700MHz帯電波を用いて
情報を右折車両に送信
①センサが
対向直進車や歩行者を
検知
DSSS(安全運転支援システム)は、運転者に対し、周辺の交通状況等を視覚・聴覚
情報により提供することで、危険要因に対する注意を促し、ゆとりを持った運転が出来る
環境を創り出すことにより、交通事故防止を図るもの
資料:愛知県警察
-9-
3
産業振興と経済の好循環で元気な愛知づくり
① 次 世 代 産 業の育 成
(1) 次 世 代 自 動 車 の普 及 に向 け、公 用 車 への次 世 代 自 動 車 の率 先 導
入 や、充 電 インフラ・水 素 ステーションの整 備 を促 進 するとともに、普 及
啓 発 等 を主 体 的 に取 り組 むこと。
(2) ボーイング787の大 幅 な増 産 やMRJの量 産 開 始 に向 けた支 援 を行
うとともに、将 来 に向 けて、航 空 宇 宙 産 業 の世 界 3大 拠 点 の実 現 に向
けた明 確 なビジョンを示 し、研 究 ・開 発 ・生 産 ・整 備 といった航 空 宇 宙
関 連 産 業 の高 度 集 積 を図 る具 体 的 な施 策 の展 開 を進 めること。
また、航 空 機 の品 質 認 証 取 得 等 の支 援 体 制 を強 化 し、航 空 宇 宙 分
野 への県 内中 小 企 業 の新 規 参 入 支 援 の充 実 を図 ること。
(3) 現 場 のニーズに即 して、健 康 長 寿 、ロボット産 業 に対 する実 効 性 ある
支 援 策 を展 開 し、県 内 への関 連 産 業 の集 積 を進 めること。
② リニアインパクトを活 かした地 域 づくり
2027年 度 開 業 予 定 のリニア中 央 新 幹 線 開 業 を見 据 え、名 古 屋 駅 を
起 点 とした鉄 道 を始 めとする総 合 的 な交 通 ネットワークの充 実 強 化 はも
とより、リニアインパクトの効 果 を最 大 限 発 揮 するため、地 域 の強 みを生
かした地 域 づくりを県 内 自 治 体 などと連 携 して着 実 に進 めること。
③ MRJ生 産を活 かした名 古 屋 空 港 周 辺 地 域 の整 備 推 進
MRJが生 産 される県 営 名 古 屋 空 港 周 辺 地 域 が航 空 機 分 野 における
産 業 観 光 の拠 点 となるように、見 学 者 受 入 拠 点 施 設 の整 備 を進 めると
ともに、道 路 整 備 など交 通 アクセスの整 備 を実 施 していくこと。
- 10 -
④ 観 光 産 業 の育 成
ハート・オブ・ジャパン誘 客 促 進 事 業 を実 効 性 のあるものとし、知 名 度
の向 上 や外 国 人 等 旅 行 者 の誘 客 につなげるため、海 外 や国 内 の状 況
に応 じ、イベントの開 催 及 び出 展 、マスメディア等 を利 用 した広 報 戦 略 の
充 実 ・強 化 を図ること。
また、食 文 化 や戦 国 武 将 ゆかりの地 、特 色 ある商 店 街 、伝 統 的 な祭 り
などの魅 力 ある地 域 資 源 や、モノづくり愛 知 ならではの特 徴 を活 かした
産 業 観 光 等 の地 域 に根 付 いた観 光 資 源 を見 出 すことで、観 光 産 業 の育
成 を推 進 し、雇 用 の場 の創 出 など、愛 知 の活 力 につながる取 組 を強 力
に進 めること。
⑤ 中 小 企 業 支援 体 制 の強 化
(1) 中 小 企 業 ・小 規 模 事 業 者 の企 業 力 の向 上 に向 け、相 談 窓 口 機 能 の
充 実 、中 小 企 業 人 材 の育 成 、融 資 ・補 助 制 度 の拡 充 など支 援 策 の充
実 を図 ること。
(2) 中 小 企 業の海 外 への販 路 開 拓 支 援 策 の更 なる充 実 を図ること。
⑥ 6次 産 業 化の推 進 及 び「あいちブランド」の発 信 (
農 林 漁 業 者 の所 得 の向 上 や農 山 漁 村 における雇 用 の確 保 ・創 出 を
図 るため、農 商 工 連 携 等 を促 進 しながら、6次 産 業 化 の取 組 を積 極 的
に進 めること。
また、地 域 の特 産 物 を「あいちブランド」として確 立 し、海 外 展 開 も視
野 に入 れたイベントの開 催 及 び出 展 、マスメディア等 を利 用 した広 報 戦
略 の充 実 ・強 化 を図 ること。
⑦ 地 産 地 消 及 び食 育 の促 進
県 産 農 林 水 産 物 の消 費 拡 大 のため、地 産 地 消 に関 する県 民 の理 解
促 進 に努 めること。
また、次 期 あいち食 育 いきいきプラン(仮 称 )に基 づき、県 内 市 町 村 の
学 校 給 食 での食 育 をより一 層 推 進 すること。
- 11 -
⑧ 農 林 水 産 業における品 種 等 の研 究 開 発 の促 進 (
食 の安 全 ・安 心 や環 境 問 題 への対 応 を図 るため、産 学 官 の連 携 を重
視 した品 種 及 び生 産 技 術 等 の研 究 開 発 を推 進 すること。
⑨ 農 地 の利 用 集 積 と集 約 化 の推 進 (
耕 作 放 棄 地 の発 生 を抑 制 するとともに、農 業 の生 産 性 を高 め、就 農
者 を増 やし、競 争 力 を強 化 していくため、農 地 中 間 管 理 機 構 の取 組 の
普 及 啓 発 を積 極 的 に行 い、貸 借 による担 い手 への一 層 の農 地 集 積 と
集 約 化 を推 進 すること。
⑩ 交 通 体 系 の整 備 、港 湾 整 備 の促 進
(1) 地 域 経 済の成 長 につながる、西 知 多 道 路 ・名 豊 道 路 ・三 遠 南 信 自 動
車 道 の整 備を着 実 に推 進 すること。
(2) 「国 際 産 業 戦 略 港 湾 」を目 指 す名 古 屋 港 を始 め、衣 浦 港 、三 河 港 な
ど県 内 の港 湾 及 びアクセス道 路 の整 備 を推 進 すること。
また、民 間 活 力 の活 用 や名 古 屋 港 と四 日 市 港 の連 携 等 も視 野 に入
れて、国 際 産 業 競 争 力 の強 化 につながるような港 湾 経 営 を実 施 してい
くこと。
⑪ 有 料 道 路 コンセッションによる地 域 活 性 化 の推 進
有 料 道 路 コンセッションの推 進 にあたっては、参 入 事 業 者 に愛 知 県 全
体 の産 業 、観 光 振 興 、地 域 づくりといった大 きな視 点 を求 め、また地 元
自 治 体 や事 業 者 等 の意 見 を踏 まえた上 で、事 業 者 の選 定 を実 施 するこ
と。
≪提言の背景≫
①
次世代産業の育成については以下のとおり。
(1) 次世代自動車の普及に向け、公用車への次世代自動車の率先導入や、EV・PHV・
F C V に 対 す る 自 動 車 税 の 課 税 免 除 の 他 、平 成 2 5 年 7 月 に 策 定 し た「 愛 知 県 次 世
代 自 動 車 充 電 イ ン フ ラ 整 備・配 置 計 画 」及 び 平 成 2 6 年 2 月 に 策 定 し た「 愛 知 県 水
素ステーション整備・配置計画」に基づき、2015年度末までに20基、2025
年度末までに100基程度とした本県の水素ステーションの整備目標の達成に向
けた取組を一層推進する必要がある。
- 12 -
(2) 本 県 を 中 心 と す る 中 部 地 域 は 、日 本 の 航 空 機・部 品 生 産 額 の 5 割 以 上 、航 空 機 体
部品では7割以上を生産する日本一の航空宇宙産業の集積地であり、平成23年
1 2 月 に 国 際 戦 略 総 合 特 区「 ア ジ ア N o.1 航 空 宇 宙 産 業 ク ラ ス タ ー 形 成 特 区 」に 指
定されたことを受けて、
「工場等新増設促進事業」
(工場立地に係る緑地規制の緩和)
や 「 国 際 戦 略 総 合 特 区 設 備 等 投 資 促 進 税 制 」( 法 人 税 の 軽 減 ) な ど の 特 区 の 支 援 措
置を活用しながら、航空宇宙産業の国際競争力強化に取り組んでいる。
今後、当地域において機体構造部品の35%を製造するボーイング787の大
幅な増産、MRJの量産開始、現行ボーイング777の後継機である777Xの
生産開始が見込まれることに伴い、関連事業者においては、生産用地の確保や設
備増強の必要性が一層高まっていることから、総合特別区域法施行後5年以内に
施行状況について、検討を加え、必要な措置を講ずるとされている総合特区制度
について、施行後5年となる平成28年8月以降も継続し、さらに拡充を図る必
要がある。また、国際戦略総合特区設備等投資促進税制は、平成28年3月31
日までが期限とされているが、今後も一層の活用が見込まれるため、制度の延長
が必要であり、国へ働きかける必要がある。
世界各国において国策として航空宇宙産業の振興に力が入れられており、世界
的な競争が一層激化することが予想される中、競争に打ち勝ち、米シアトル、仏
ツールーズに並ぶ航空宇宙産業の世界3大拠点の一つとなるためには、航空宇宙
関連産業の高度集積に向けた明確なビジョンを示した上で、特区制度に基づく規
制の特例措置、税制・財政・金融上の支援措置、企業立地に対するインセンティ
ブ、JAXAの名古屋空港飛行研究拠点における研究開発支援など具体的な施策
を引き続き展開する必要がある。
航空機は、その性質上極めて高度な信頼性が必要であり、その部品においても
厳密な品質保証が求められるため、それを担保する航空機産業特有の品質認証制
度がある。航空機産業がより発展、拡大するためには、多くの部品製造を担う中
小企業が参入し、裾野が拡大することが重要であるが、品質認証を中小企業が単
独で取得することは、人材や資金の面から困難であり、中小企業の認証の円滑な
取得を支援する必要がある。
(3) 少 子 高 齢 化 が 進 む 中 、 健 康 ・ 福 祉 ・ 介 護 ・ 医 療 へ の ニ ー ズ は 、 ま す ま す 高 ま る
ことが予想されることから、健康長寿産業は持続的な成長が期待されるため、当
地域の強みであるモノづくり技術を生かすことが可能な医療・福祉機器分野や、
生活支援分野の育成・振興を強化していく必要がある。
本県と国立長寿医療研究センターとの連携により、同センター内に「あいちサ
ービスロボット実用化支援センター」が平成27年8月に設置された。今後、福
祉・介護・医療・生活支援等のサービス分野で使われるロボットの実用化を目指
すモノづくり企業やユーザーの支援を行っていくことにより、新たな産業分野の
育成・振興が図られることが必要である。
- 13 -
②
首 都 圏 か ら 中 京 圏 に 及 ぶ 範 囲 で 人 口 5 千 万 人 規 模 の 巨 大 交 流 圏 が 誕 生 し 、首 都 圏 と
の交流が活発化すると予測される一方、首都圏へのストロー現象が懸念されている。
本 県 と し て は 、「 中 京 大 都 市 圏 」の 実 現 に 向 け 、名 古 屋 駅 か ら の 鉄 道 に よ る 4 0 分 交
通 圏 の 拡 大 を は じ め 、総 合 的 な 交 通 ネ ッ ト ワ ー ク を 充 実 強 化 し 、県 内 市 町 村 や 、民 間
企 業 、関 係 す る 諸 団 体 と の 連 携 を 一 層 深 め る 中 で 、リ ニ ア イ ン パ ク ト の 効 果 を 最 大 限
発揮できる地域づくりの推進が強く求められる。
③
中部地域はシアトル、ツールーズに匹敵する航空機産業の拠点を目指し、県営名
古屋空港周辺地域では、その中核プロジェクトとして、日本初の国産ジェット旅客
機であるMRJの開発・生産が進められている。この工場で、本格的に生産が始ま
れば、国内外から大きく注目されることとなり、航空機の開発、生産という役割に
加え産業観光拠点としても大変期待できることから、見学者にとって魅力的な受入
拠点施設の整備が必要である。
また見学者受入拠点施設の整備とともに、国道41号からのアクセス道路となる
空港中央線の整備など、増加が見込まれる航空旅客、見学者受入拠点施設の立地、
MRJ量産工場の稼働等による交通量増加への対応が強く求められる。
④
本県では本年4月に観光局を設置して一層の観光振興を図っており、5月29日
に観光PR用のキャッチワード・ロゴマーク「ハート・オブ・ジャパン」を作成し
た。これを実効性のあるものにし、知名度向上、外国人旅行者の誘客やMICE誘
致につなげるため、イベントの開催やマスメィア及び電子メディアの利用などによ
る広報活動を積極的に実施していくことが必要である。
また、本県は、国内外から観光に来ていただく観点で恵まれた資源を多く保有してい
る 。例 え ば 、な ご や め し を は じ め と す る 特 色 の あ る 食 文 化 や 、戦 国 期 か ら の 歴 史 あ る 城 、
街並みがあり、これらと結びつく商店街も存在するほか、山車祭をはじめとする伝統的
な祭りが数多くある。また、産業面でも、日本が誇るべき自動車、リニア、航空機関連
産 業 が 集 積 し て い る 。さ ら に は 、歴 史 に 育 ま れ か つ 新 し さ も 加 わ っ た 食 文 化 も 存 在 す る 。
こ う し た 資 源 を 有 機 的 に 結 び 付 け 、 積 極 的 に PR を 行 う こ と で 、 観 光 が 産 業 と し て 大 き
く育ち、その結果として雇用の増大、さらには愛知の活力増強にもつながると考えられ
る。
⑤
中小企業支援体制の強化
(1) 本 県 の 産 業 経 済 と 雇 用 を 支 え て い る 中 小 企 業・小 規 模 事 業 者 は 、厳 し い 経 営 環 境
や事業承継、また、人手の確保など、複雑・多様化した多くの課題を抱えており、
平 成 2 4 年 1 0 月 に 策 定 し た「 愛 知 県 中 小 企 業 振 興 基 本 条 例 」に 基 づ き 、経 営 、技
術、金融、人材、労働の各面から総合的な支援を行っていく必要がある。
本県における中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業(よろず支援拠
点)は、全国トップクラスの相談実績をあげており、個別の支援事例についても、
売上拡大、販路開拓等の成果が認められている。引き続き中小企業・小規模事業者
の企業力の向上に向け、支援策を充実させることが必要である。
- 14 -
(2) 県 内 の 中 小 企 業 の 中 に は 、世 界 有 数 の 技 術・技 能 を 有 し て い る 企 業 も 少 な く な い
が 、海 外 展 開 へ の 意 欲 が あ っ て も 、個 々 の 企 業 で は 、ノ ウ ハ ウ を 持 ち 合 わ せ て い な
い こ と や 、海 外 進 出 後 に お い て も 、販 路 を 継 続 的 に 確 保 す る こ と が 大 き な 課 題 と な
っ て お り 、海 外 展 開 の 検 討 段 階 か ら 、進 出 後 の ア フ タ ー ケ ア に 至 る ま で 、総 合 的 な
サポート体制を整えていく必要がある。
「 あ い ち 国 際 ビ ジ ネ ス 支 援 セ ン タ ー 」 に お け る 、 金 融 、 法 務 、 販 路 開 拓 な ど 、中
小 企 業 の 海 外 展 開 に 必 要 な ワ ン ス ト ッ プ に よ る サ ポ ー ト の 実 施 に よ り 、更 な る 充 実
を図ることが求められる。また、あいち中小企業応援ファンド等を活用した中小企
業の新商品開発、海外を含む販路開拓支援は着実に成果をあげており、引き続き支
援に努めていく。
⑥
平成23年3月に施行された六次産業化・地産地消法に基づき、県内では、農林
漁 業 者 等 7 0 件 の 総 合 化 事 業 計 画 が 国 の 認 定 を 受 け ( 平 成 2 7 年 3 月 3 1 日 現 在 )、
6次産業化の取組が進められている。
県においては、農林漁業者等が取り組む6次産業化を支援するため、推進会議や
指導者育成研修会を開催するとともに、6次産業化サポートセンターを設置し、プ
ランナーによる個別指導や商談会の開催等に取り組んでいる。
6次産業化の更なる推進のためには、農商工連携等の促進を含め、こうした取組
を強化する必要がある。
また、6次産業化による新商品を含め、名古屋コーチンや花、また、あさりや抹
茶など、本県の高品質な農林水産物を「あいちブランド」として広く国内外にPR
するため、海外展開も視野に入れ、本県独自の地産地消の取組である「いいともあ
いち運動」の拡大や海外における「愛知フェア」の開催などのイベントや日本食商
談会出展支援、また、マスメディア等を活用した広報戦略の充実・強化を図る必要
がある。
⑦
地元農林水産物の消費拡大のため、地産地消に関する県民の理解促進に努める必
要がある。
また、学校給食の食材として地元農産物を活用することは、食育や地産地消を推
進 す る 上 で 大 き な 意 義 が あ る が 、「 あ い ち 食 育 い き い き プ ラ ン 2 0 1 5 」は 今 年 度 最
終年度となることから、現行プランにおける県内産食材の活用割合の目標(45%
以上)の達成状況を検証し、これを踏まえた新たな目標を達成するよう取組を促進
する必要がある。
⑧
品 種 等 の 研 究 開 発 に つ い て は 、農 業 総 合 試 験 場 に お い て 、「 消 費 者 の 信 頼 に 応 え る
食 料 等 の 生 産 ・ 供 給 の 確 保 」、「 気 象 変 動 に 強 く 環 境 に 配 慮 し た 持 続 的 農 業 の 推 進 」、
「高度な技術や新たな品種による農業経営の向上」及び「地域の資源や特性を活用
した多様な付加価値の創出」の4つの重点研究目標を掲げ、計画的に取り組んでい
るところであるが、今後も、国や企業・大学との連携を促進するなどして、ニーズ
に迅速に応える新品種・新技術の研究開発を図る必要がある。
- 15 -
⑨
本県においては、農地の集積率が31.7%と、全国の都府県とほぼ同じ割合で
あるが、平地農業地域では集積が進んでいる一方で、中山間地域では、担い手不足
などにより集積が進んでいない地域も見受けられる。また、集積が進んでいる地域
であっても、今後、高齢化によりリタイアする農家の増加が予想され、その農地の
円滑な集積も必要となっている。こうした中、新たな法律が制定され、貸借による
農地の集積を推進するとして、各都道府県に農地中間管理機構が指定されることに
な り 、本 県 に お い て は 、( 公 財 )愛 知 県 農 業 振 興 基 金 を 指 定 先 と し て 、 平 成 2 6 年 度
から事業を開始し、借受希望者の公募等を行っているところである。
し か し な が ら 、農 林 水 産 省 が 発 表 し た 農 地 中 間 管 理 機 構 の 初 年 度 の 実 績 に よ れ ば 、
本県は年間目標3,720haの1%の46haしか達成できず、全国でも目標の
約2割にとどまっており、集約農地が集まらない等の課題も出てきている。
今後、農業の生産性を高め競争力を強化していくためには、農地集約の実態把握
を適切に行うとともに、農地中間管理機構の取組状況や成功事例の分析を行い、課
題解決を図ることで、一層の集積・集約化を図る必要がある。
⑩
交通体系の整備、港湾整備の促進については以下のとおり。
(1) 地 域 経 済 を 成 長 発 展 さ せ て い く 上 で 、物 流 の 基 盤 と な る 高 速 道 路 を 軸 と す る 主 要
幹 線 道 路 の 整 備 は 重 要 で あ り 、早 期 実 現 に 向 け 取 り 組 む 必 要 が あ る 。昨 今 の よ う に
環 境 変 化 が 著 し く 、ス ピ ー ド が 要 求 さ れ る 中 に お い て は 、整 備 遅 れ は 熾 烈 な 競 争 に
大 き く 影 響 を 及 ぼ す こ と と な る 。そ の た め に も 、現 在 継 続 中 の 事 業 を 速 や か に 実 施
す る と と も に 、老 朽 化 対 策 を 実 施 す る 必 要 が あ る 。そ の 上 で 、新 東 名 の 未 供 用 区 間 、
各 高 速 道 路 へ の ア ク セ ス 幹 線 道 路 な ど の 整 備 は 不 可 欠 で あ り 、国 と の 連 携 を よ り 図
り整備の遅れが生じないようチェック・フォローしていく必要がある。とりわけ、
西 知 多 道 路 は 、中 部 国 際 空 港 と 新 東 名 高 速 道 路 を 直 結 す る と と も に 、名 古 屋 高 速 道
路 を 経 由 し て リ ニ ア 中 央 新 幹 線( 名 古 屋 駅 )を 結 ぶ 重 要 な 路 線 と し て 、国 に よ る 来
年 度 の 事 業 化 を 図 ら な け れ ば な ら な い 。ま た 、名 古 屋 環 状 2 号 線 並 び に 名 豊 道 路 の
早 期 完 成 、新 東 名・東 名 や 中 央 道 を 結 ぶ 三 遠 南 信 自 動 車 道 な ど の 整 備 に も 取 り 組 む
必要がある。
(2) コ ン テ ナ 貨 物 、バ ル ク 貨 物 及 び 完 成 自 動 車 を 取 り 扱 う 総 合 的 な 港 湾 で あ る 名 古 屋
港 を 始 め と す る 愛 知 県 内 の 港 湾 は 、地 域 経 済 と 産 業 の 成 長 を 牽 引 す る 物 流 拠 点 と し
て 重 要 な 役 割 を 担 っ て い る 。と り わ け 、こ の 地 域 の 基 幹 産 業 が 国 際 競 争 に 打 ち 勝 っ
て い く た め に も 、名 古 屋 港 は 国 際 産 業 ハ ブ 港 の 取 組 を さ ら に 加 速 し 、拡 大 さ せ た「 国
際 産 業 戦 略 港 湾 」と し て 、港 湾 コ ス ト の 軽 減 や サ ー ビ ス の 充 実 、港 湾 機 能 自 体 の 強
化などに取り組んでいかなければならない。
あ わ せ て 、名 古 屋 港 で は 、現 在 、コ ン テ ナ 埠 頭 の 経 営 に つ い て 民 間 活 力 の 導 入 を
進 め て い る と こ ろ で あ る が 、先 行 す る 他 港 を 参 考 に 、四 日 市 港 と の 連 携 を 検 討 し て
い く な ど 、港 湾 経 営 の 視 点 を 持 っ て 、更 な る 国 際 競 争 力 強 化 を 図 っ て い く 必 要 が あ
る。
一 方 、三 河 港 は 、完 成 自 動 車 の 国 際 海 上 輸 送 の ハ ブ 港 と し て 、衣 浦 港 は 、バ ル ク
貨 物 や 背 後 地 域 の 物 流・生 産 活 動 を 支 え る 工 業 港 と し て 、機 能 強 化 を 図 る と と も に
大規模地震時の緊急物資の受入拠点として、早期の整備が必要である。
- 16 -
⑪
本年7月に、国会の状況により先送りになっていた構造改革特別区域法の改正案
が成立し、8月に施行された。
現在、本県においても建設部内に有料道路コンセッション推進室を設置し、事業
者 選 定 の 速 や か な 実 施 に 向 け て 動 い て い る が 、有 料 道 路 の 運 営 権 を 民 間 事 業 者 に 付
与 す る と い う こ の 事 業 の 目 的 の 一 つ は「 沿 線 開 発 を 含 む 地 域 経 済 の 活 性 化 」に あ る 。
今後、地元自治体や民間企業からの意見等を踏まえて定める実施方針をもとに、民
間事業者選定に向けて動かれるよう強く要望する。
- 17 -
4
誰もが活き活きと活躍できる社会づくり
① 次 世 代 を担う人 材 の育 成
(1) 企 業 現 場 では即 戦 力 となる技 能 検 定 2級 以 上 の能 力 が求 められる
ため、県 立 工 業 高 校 では技 能 検 定 2級 の取 得 を目 指 した実 践 的 な教
育 を進 めるなど、モノづくり愛 知 の底 上 げに取 り組 むこと。
特 に、現 在 開 校 準 備 を進 めている愛 知 総 合 工 科 高 等 学 校 で行 う実
践 的 な 教 育 が 、 県 内 の 工 業 高 校 の 底 上 げ につ な が るよう 取 り組 む こ
と。
(2) 本 県 で開 催 された技 能 五 輪 全 国 大 会 の成 果 を継 承 するとともに、青
年 技 能 者 の技 能 水 準 の向 上 による、更 なるモノづくり基 盤 強 化 を目 指
して、国 際 大 会 の誘 致 に取 り組 むこと。
(3) 子 供 や若 者 の社 会 的 ・職 業 的 自 立 に向 け、年 齢 に応 じたキャリア教
育 を行 うための指 導 者 の配 置 の充 実 を図 るとともに、家 庭 ・学 校 ・地 域
と企 業 の連 携 を強 化 すること。
(4) 成 長 著 しいアジアの活 力 を取 り込 むためにも、スピーキングテスト導
入 の促 進 や海 外 交 流 などの促 進 等 により、グローバルな人 材 の育 成
に積 極 的 に取 り組 むこと。
② 就 労 支 援 の強 化
生 きがいのある就 労 に向 けて、就 労 希 望 者 の実 情 を踏 まえた講 習 会
を開 催 するとともに、キャリアアップに向 けた職 業 訓 練 を支 援 すること。
また、就 労 希 望 者 の個 々の悩 みに配 慮 しつつ、雇 用 のミスマッチの解
消 に努 め、新 卒 者 などの若 年 者 はもとより、各 世 代 における就 労 や再 就
労 をきめ細 やかに支 援 すること。
さらに、非 正 規 労 働 者 の正 社 員 化 や労 働 条 件 の改 善 など、安 定 的 な
雇 用 の確 保 に向 けた取 組 を支 援 すること。
③ 女 性 の活 躍 促 進
(1) 生 産 年 齢 人 口 が減 少 する中 、女 性 の活 躍 は本 県 の経 済 成 長 にとっ
て不 可 欠 であることから、企 業 経 営 者 の意 識 改 革 を始 め社 会 全 体 の
気 運 醸 成 のため、効 果 的 な広 報 啓 発 や経 済 界 への働 きかけを強 化 す
ること。
- 18 -
(2) 女 性 の活 躍 促 進 の取 組 を一 層 推 進 するため、地 域 女 性 活 躍 推 進 交
付 金 を始 めとした財 政 的 支 援 を継 続 ・拡 充 するよう、国 に働 きかけるこ
と。
(3) 理 系 分 野 ・モノづくり現 場 への女 性 の進 路 選 択 支 援 や女 性 技 術 者 ・
研 究 者 ・技能 者 の育 成 支 援 に積 極 的 に取 り組 むこと。
(4) 女 性 が活 き活 きと働 き続 けるために、より一 層 のワーク・ライフ・バラン
スの充 実 に努 めるとともに、妊 娠 、出 産 などで不 利 益 を被 ることがない
ような環 境づくりを支 援 すること。
≪提言の背景≫
①
次世代を担うモノづくり人材の育成については、以下のとおり。
(1) 国 際 競 争 力 が 激 化 す る 中 で 、 本 県 産 業 が 引 き 続 き 、 競 争 力 を 高 め 、 日 本 経 済 を
リードしていくためには、成長するアジアを中心とした海外市場の需要を確実に
取り込むとともに、更に付加価値の高いモノづくりを実現していく必要がある。
このためには、次世代を担うモノづくり人材の育成を着実に進めなければならな
い。
モノづくり愛知を担う人材を着実に育てるため、小学校からのモノづくりの楽
しさを体験できる学習の導入や、職場体験、インターンシップ等の推進により、
親子が一緒になって、子供たちが自分の適性を見つけ、働くことの意義と技術を
学ぶ機会を増やす取組を進める必要がある。
また、工業高校における技能検定2級以上の取得は、企業現場において即戦力
として期待されるだけでなく、就職活動における自らの進路にも大きな影響を与
えることから、より多くの取得がなされるようにしていく必要がある。
特に、本県は全国一のモノづくり県であることから、平成28年度に開校予定
の愛知総合工科高等学校は、我が国の工業教育の中核となることが期待されてお
り、質・量ともに日本一の工業を担うスペシャリストの育成が求められているこ
とから、開校と同時に実践的な教育を行えるよう、準備を進める必要がある。
■職業高校生の技能検定受検者・合格者数
年
度
21
22
23
24
25
検
定
機 械 加 工 (旋 盤 )
その他 職 種
合計
受検
合格
受検
合格
受検
合格
2級
16
12
30
7
46
19
3級
191
159
371
315
562
474
2級
22
19
50
33
72
52
3級
163
119
367
297
530
416
2級
19
15
46
26
65
41
3級
165
149
497
424
662
573
2級
23
21
65
27
88
48
3級
172
139
548
410
720
549
2級
25
22
68
37
93
59
3級
187
175
662
491
849
666
- 19 -
※愛 知 県 では平 成 17年 度 か
ら「 モノ づ くり 人 材 育 成 事 業 」を
実 施 。企 業 の熟 練 技 能 士 の
指 導 により機 械 加 工 ・旋 盤 作
業 の実 技 訓 練 を 行 っている。
2級 検 定 になると、2年 以 上
の実 技 経 験 を有 し、中 級 技 能
者 として の 技 能 が 求 め られ 、 即
戦 力 として認 められる。
資 料:愛 知 県
(2) 平 成 2 6 年 1 1 月 に 愛 知 県 で 開 催 さ れ た 技 能 五 輪 全 国 大 会 の 成 果 を 継 承 す る こ
とにより、技能振興を図るとともに、青年技能者の技能水準の向上を目指さなけ
ればならない。モノづくりの魅力を伝え、技能の重要性を発信し、モノづくりに
対する理解を定着させるためにも国際大会の誘致が必要である。
■2015年以降の技能五輪国際大会の開催状況について
開催年
2015 年
( 平 成 27 年 )
2017 年
( 平 成 29 年 )
2019 年
( 平 成 31 年 )
開催国・地域
第 43 回
ブラジル(サンパウロ)
第 44 回
アラブ首長国連邦(アブダビ)
第 45 回
ロシア連邦(カザン)
資料:愛知県
(3) 本 県 の 平 成 2 7 年 3 月 卒 の 大 学 生 就 職 率 は 、 平 成 2 7 年 4 月 1 日 現 在 で
96.5%となり、前年同期より1.8%増加し4年連続で改善したものの、
15歳から24歳の完全失業率(平成27年1月から3月)は、2.6%と、全
年齢平均(2.2%)を上回っている。
このような状況下で、子供や若者が社会・職業に円滑に移行できるよう、職場
体 験 や イ ン タ ー ン シ ッ プ の 機 会 を 増 や し 、年 齢 に 応 じ た キ ャ リ ア 教 育 を 行 う た め 、
指導者のスキルアップや配置の充実、また、地元商工会議所・商工会等との連携
を図る必要がある。
(4) 世 界 有 数 の モ ノ づ く り 地 域 で あ る 本 県 は 、我 が 国 を 牽 引 す る 役 割 を 担 っ て お り 、
とりわけ、成長著しいアジアの活力を取り込むためにも、世界共通語として重要
度がますます高まっている英語教育において、生きた言葉の習得を目指し、スピ
ーキングテスト導入の促進や外国語指導教員・講師の配置の拡充、またあいちグ
ローバル人材事業の拡充等により海外交流などを充実し、諸外国の異文化につい
ての理解力と語学力を高め、日本人としてのアイデンティティーを持ったグロー
バルな人材育成を積極的に進める必要がある。
②
変化の激しい、先が予測しにくい時代にあって、若者が生きがいのある職場につ
き、希望ある未来をもてるようにするためには、産業構造や雇用形態の変化に対応
し、能力を高めながら、ときには転職しながらもキャリアアップしていけるような
人づくりや社会づくりが求められる。
大学生等の就職率は回復傾向にあるが、企業の求める人材と学生の意識・資質と
のギャップにより、内定が複数取れる学生と全く取れない学生の二極化が顕著にな
ることが懸念される。
ま た 、就 職 三 年 以 内 の 早 期 離 職 、若 者 を 消 耗 品 の よ う に 扱 う ブ ラ ッ ク 企 業 の 存 在 、
さらには、パート、アルバイト、派遣社員、契約社員等の非正規雇用の増加などに
より、不安定な生活を余儀なくされている若者が増加している。
- 20 -
また、一昨年、大阪市淀川区役所が「LGBT支援宣言」を発表し、普及啓発や
電話相談などの支援事業を実施したが、性的マイノリティー、LGBTに対して理
解を深め、就職・就業相談体制を整えることが必要である。人口の5%程度は
LGBTであると言われており、企業に対しても、LGBTへの対応・基本方針を
作成するなどのLGBTに対する理解を求めるよう働きかけることが必要である。
③
女性の活躍促進については、以下のとおり。
(1) 本 県 が 平 成 2 6 年 度 、 県 内 企 業 を 対 象 に 実 施 し た 「 女 性 の 活 躍 状 況 『 見 え る 化 』
調査」結果によると、規模の小さな企業ほど女性の活躍が進んでいないことから、
企業の大半を占める中小企業経営者への啓発・働きかけが重要である。また、 内
閣府が同年実施した「平成26年度女性の活躍推進に関する世論調査」によると、
女 性 が 出 産 後 も 離 職 せ ず に 同 じ 職 場 で 働 き 続 け る た め に 必 要 な こ と と し て 、「 周 囲
の 理 解 ・ 意 識 改 革 」 と 回 答 し た 者 の 割 合 が 4 9 .6 % に の ぼ り 、 社 会 全 体 の 意 識 改
革を図るための効果的な広報啓発が重要である。
(2) 本 県 で は 、平 成 2 6 年 度 に 創 設 さ れ た 地 域 女 性 活 躍 推 進 交 付 金 を 活 用 し て 、女 性
活 躍 企 業 等 の 認 証 、「 あ い ち 女 性 の 活 躍 促 進 サ ミ ッ ト 2 0 1 5 」の 開 催 な ど 、企 業
の 自 主 的 取 組 を 促 す 新 た な 事 業 を 実 施 し 、働 く 場 に お け る 女 性 の「 定 着 」と「 活 躍 」
の 場 の 拡 大 に 向 け て 各 種 取 組 を 進 め て い る と こ ろ で あ る 。今 後 、こ う し た 事 業 を 継
続・拡 大 し て 実 施 す る こ と が 企 業 に お け る 取 組 の 加 速 化 に つ な が る こ と か ら 、当 該
交 付 金 を 継 続 す る こ と は も と よ り 、交 付 金 の 増 額 、交 付 率 の 引 上 げ 、柔 軟 な 運 用 な
ど支援内容の拡充をする必要がある。
(3) 本 県 の モ ノ づ く り 産 業 を 支 え る 人 材 の 確 保 ・ 育 成 は 急 務 で あ る が 、 製 造 業 の 専
門・技 術 職 に 占 め る 女 性 比 率 は 1 0 %( 平 成 2 2 年 国 勢 調 査 )、ま た 、大 学 に お け
る 女 子 学 生 の 割 合 も 、理 学 2 6 .4 % 、工 学 1 2 .9 %( 文 部 科 学 省「 平 成 2 6 年
度学校基本調査」)と低く、これらの分野での女性の育成が重要である。
■「女性の活躍状況『見える化』調査」結果(平成26年12月 約3000社回答)
女性管理職比率別の企業の割合
この5年間で女性管理職数が5%以上増加した企業の割合
資料:愛知県
- 21 -
(4) 女 性 に つ い て は 、 出 産 ・ 子 育 て 期 に 一 旦 退 職 し 、 育 児 が 一 段 落 し た 後 に 再 び 働
き出す人が多いことから、出産・子育て期の就業率が低くなるが、30~34歳
でみると、全国が68.2%に対して本県は64.7%と低い状態にある。勤務
先における出産・子育てに係る両立支援制度が不十分なことにより退職する女性
も多く、子育てしながら働き続けられる職場環境の整備が課題となっている。
愛知労働局の男女雇用機会均等法、育児・介護休業法に関する相談状況をみる
と、妊娠・出産、育児休業等を理由とする不利益な取扱いに関する相談が増加し
ている。
■平成26年度
育児・介護休業法(育児)関係
相談内容の内訳
資料:愛知労働局
- 22 -
5
誰もが学び未来が描ける環境づくり
① 教 育 環 境 の整 備 (
(1) 35人 学 級 の拡 大
(2) 日 本 語 指 導 が必 要 な児 童 生 徒 への支 援 のための人 員 の確 保 及 び
適正配置
(3) インクルーシブ教 育 システムの構 築 に向 け、発 達 障 害 のある児 童 生
徒 のための通 級 指 導 教 室 の増 設
(4) 特 別 支 援 学 校 の過 大 化 解 消 、施 設 ・設 備 の改 善 、長 時 間 通 学 の解
消 及 び就 労 支 援
特 に、安 城 特 別 支 援 学 校 、三 好 特 別 支 援 学 校 の過 大 化 解 消 に係 る
具 体 的 な改善 方 針 の早 期 提 示
(5) 幼 児 期 からの特 別 支 援 教 育 、療 育 の充 実
② いじめ・不 登 校 対 策 (
(1) い じ め ・ 不 登 校 に 対 す る き め 細 や か な 相 談 ・ 指 導 体 制 の 充 実 に 向
け、いじめ・不 登 校 の早 期 発 見 ・対 応 のための教 員 の増 員 ・養 護 教 員
の複 数 配 置 の拡 大 、スクールカウンセラー及 びスクールソーシャルワー
カーの増 員
(2) いじめ・不 登 校 に対 応 するための教 員 の研 修 制 度 の充 実 や、教 員 が
いじめ等 の問 題 を抱 え込 み、孤 立 化 しないようサポート体 制 の構 築
③ 情 報 モラル教 育 の取 組 (
インターネットや SNS の利 用 に関 する情 報 モラル教 育 の充 実 や、トラブ
ルへの対 策 強 化 に警 察 や保 護 者 とともに取 り組 んでいく体 制 の構 築
④ 教 員 の多 忙 化 解 消 (
教 育 現 場 の声 を反 映 し、第 三 次 愛 知 県 教 育 振 興 基 本 計 画 (仮 称 )に
常 態 化 する教 員 の多 忙 な勤 務 実 態 の解 消 を重 点 的 に位 置 づけ、実 効
性 のある施 策 を推 進 すること。
- 23 -
⑤ 選 挙 権 年 齢引 き下 げに伴 う青 少 年 の主 権 者 教 育 の充 実 (
公 職 選 挙 法 の改 正 により、高 校 生 の一 部 から選 挙 権 を持 つこととなっ
たため、青 少 年 が当 事 者 意 識 を持 って、政 治 や行 政 について学 び、社
会 へ主 体 的 に参 画 していく姿 勢 を身 につけられるよう、地 域 ・家 庭 ・学 校
が連 携 して主 権 者 教 育 の充 実 に取 り組 むこと。
⑥ スポーツによる地 域 活 性 化 の推 進
新 たに設 立 されたスポーツコミッションを有 効 活 用 して、全 国 、世 界 に
打 ち出 せるスポーツ大 会 を招 致 ・育 成 し、地 域 活 性 化 につなげる取 組 を
推 進 すること。
特 に、FIFAフットサルワールドカップ2020の招 致 やラグビーワールド
カップ2019の開 催 支 援 に積 極 的 に取 り組 むこと。
また、2020年 東 京 オリンピック・パラリンピック競 技 大 会 の競 技 招 致
や事 前 合 宿 の誘 致 にも積 極 的 に取 り組 むこと。
≪提言の背景≫
①
教 育 環 境 の 整 備 に つ い て は 、特 別 な 支 援 を 必 要 と す る 児 童 生 徒 を 含 め 、す べ て の 子
供たちに行き届いた教育を行うため、以下のことに努める必要がある。
(1) 新 学 習 指 導 要 領 で は 知 識 技 能 の 習 得 と 思 考 力 ・判 断 力 ・表 現 力 等 の 育 成 の バ ラ ン
スを重視し、授業時間数を増加させた。そうした新たな課題への対応とともに、
教育課題が多様化する中、教員が子供と向き合う時間の確保や、学習支援など、
児童生徒へきめ細やかな対応をするため、35人学級の推進が必要である。
◆
少人数学級編制を実施した学校と現行基準による学校で、小学4年生と小学6
年生の児童生徒に対し、国語と算数の学力診断テストをしたところ、少人数学級
編制を実施した学校のほうが得点が高かったとの報告がなされている。
・・・
国 立 教 育 政 策 研 究 所 初 等 中 等 教 育 研 究 部「 学 級 編 制 と 少 人 数 指 導 形 態 が 児 童 の 学
力 に 与 え る 影 響 の 調 査 」 報 告 書 ( 平 成 24 年 3 月 )
(2) 産 業 の グ ロ ー バ ル 化 や 入 管 法 の 改 正 等 に よ り 、 製 造 業 が 盛 ん な 本 県 に は 、 海 外
からの就労によって、多くの日本語指導が必要な外国籍の子供たちが生活するこ
ととなった。
文部科学省によれば、平成26年5月1日現在、県内の日本語指導が必要な外
国人児童生徒数は、6,373人で全国最多であり、また、日本語指導が必要な
日本国籍の児童生徒が1,438人となっている。
こうした児童生徒が学校や社会に早く溶け込み、自立できるよう、日本語を習
得させるための個別の指導が必要であり、日本語教育適応学級担当教員の配置基
準の改善や人員確保を図る必要がある。
【 日 本 語 指 導 が 必 要 な 外 国 人 児 童 生 徒 ( 平 成 26 年 5 月 1 日 現 在 )】
計 6,373 人
小 学 校 : 4,379 人
中 学 校 : 1,769 人
高 等 学 校 : 211 人
特 別 支 援 学 校 : 14 人
出典:文部科学省「日本語指導が必要な外国人児童生徒の受入れ状況等に関する調査」より作成
- 24 -
(3) 通 常 の 学 級 に 約 6 . 5 % の 割 合 で 発 達 障 害 の 可 能 性 の あ る 児 童 生 徒 が 在 籍 し て
いるという調査結果が文部科学省から出されている。発達に偏りがある児童生徒
が、通常の学級に在籍しつつ、障害に応じた教育も受けられるようにするため、
特別に設置した通級指導教室のニーズが高まっている。
ま た 、共 生 社 会 の 形 成 に 向 け て 、障 害 の あ る 児 童 生 徒 と 障 害 の な い 児 童 生 徒 が 共
に 学 ぶ こ と が で き る よ う イ ン ク ル ー シ ブ 教 育 シ ス テ ム の 構 築 に 向 け て 、通 級 指 導 教
室の増設が必要である。
■通級指導教室
愛 知 県 の 配 置 の 状 況 ( 平 成 27 年 度 )
小学校
237 教 室
975 校 中 (う ち 5 校 分 校 )
中学校
19 教 室
418 校 中 (う ち 4 校 分 校 )
5 教室
37 校 中 (う ち 4 校 分 校 )
特別支援学校
資 料 :愛 知 県 教 育 委 員 会
(4) 特 別 支 援 学 校 の 過 大 化 解 消 、 体 温 調 節 が 上 手 に で き な い 児 童 生 徒 の た め の エ ア
コンの設置を始めとする設備改善、スクールバスを利用する児童生徒の長時間通
学の解消、職場開拓などの就労支援などについて、平成26年度に策定した特別
支 援 教 育 の 指 針 と な る 「 愛 知 県 特 別 支 援 教 育 推 進 計 画 ( 愛 知 つ な が り プ ラ ン )」 に
位置付けた各種施策を展開していく必要がある。
特に、安城特別支援学校、三好特別支援学校の過大化解消について早期に具体
的な改善方針を示す必要がある。
資料:愛知県教育委員会
(5) 発 達 障 害 の 早 期 発 見 ・ 早 期 支 援 の た め 、 就 学 前 の 幼 児 に 対 す る 発 見 や 支 援 の た
めの体制整備を進め、幼稚園や保育所と医療関係機関の連携を図るとともに、小
学校入学後の継続した支援体制を構築する必要がある。
②
子 供 た ち が 安 心 し て 生 活 で き る こ と は 、自 ら の 能 力 を 伸 ば す た め の 基 盤 で あ る が 、
中 学 生 の 自 殺 か ら い じ め の 問 題 の 深 刻 さ が 露 見 さ れ 、そ の 対 策 が 急 務 と な っ て お り 、
また、何らかの不安感から登校できない生徒も多い。
子供たちが安心して学校生活を送ることができるよう、以下のとおり安全を確保
し、きめ細やかな相談や指導ができる体制を充実する必要がある。
(1) 「 愛 知 県 い じ め 防 止 基 本 方 針 」 を も と に 具 体 的 施 策 を 進 め る た め 、「 愛 知 県 い じ
め問題対策連絡協議会」における学校、教育委員会、児童相談所、法務局、警察
その他の関係者の連携を深めること。こうした状況を改善していくためには、児
童生徒支援対応教員の増員や養護教員の複数配置、スクールカウンセラー・スク
ールソーシャルワーカーの増員を行い、きめ細やかな相談や指導ができる体制を
早期に確立する必要がある。
- 25 -
(2) 平 成 2 5 年 度 の 本 県 の 不 登 校 児 童 生 徒 数 は 、 小 中 学 校 合 わ せ て 約 1 万 人 と な っ
ており、特に小学校では東京や神奈川等に続き全国で3番目の不登校児童生徒数
となっている。一方いじめは小中学校で8割以上の児童生徒が被害者加害者経験
を持っているにもかかわらず、教職員側の被害者・加害者の見当予測は約半数に
しか満たないのが現実である。
特 別 な 児 童 生 徒 が い じ め に 関 わ っ て い る の で は な い と い う 現 実 に 即 し 、全 て の 児
童 生 徒 を 対 象 に し た 指 導 を 行 う に は 、全 教 員 が い じ め・不 登 校 の 実 態 を 共 有 し 、組
織 的 に い じ め・不 登 校 の 早 期 発 見 、適 切・具 体 的 な 対 処 を し て い く た め 、教 員 の 研
修の充実を含め、早急に体制を強化する必要がある。
③
全国の小・中・高・特別支援学校におけるSNSを始めとしたパソコンや携帯電
話などネットを利用した誹謗中傷などのいじめは、平成24年度は7,855件、
平成25年度では8,788件と増加しており、その内容も特定の個人の情報をネ
ット上に拡散させるなど悪質なものとなっている。
こうしたいじめは周囲から確認するのが難しく、表面化していない各種トラブル
が日常的なものとなっており、人間不信により人間関係の構築に問題が生じたり、
不登校になったりするなど、学習にも大きな影響を与えている。
また、出会い系サイトやゲームアプリなど、児童生徒を取り巻くネット環境は多
様化しており、トラブルに遭遇する可能性が高まっている。
こうしたことから、ネットによる誹謗中傷に対する問題や出会い系サイトから身
を守ること、また、ネットによる情報を鵜呑みにしないことなど、ネットの利用や
危険性に対する情報モラル教育やネットパトロールを充実し、子供をネット世界の
危険性から守る取組が必要である。
④
「あいちの教育に関するアクションプランⅡ」が今年度最終年度となることから、
現ビジョンの検証結果を踏まえ、新たな計画を策定する必要がある。
特に、教員の多忙化解消は、中学校の教員を対象にした経済協力開発機構
(OECD)の2013年の「国際教員指導環境調査」では、日本の教員の勤務時
間は週53.9時間と、参加34か国・地域の中の最長となっており、子供たちに
きめ細かな指導をするためには、教員の負担軽減が急務である。
こ の た め 、第 三 次 愛 知 県 教 育 振 興 基 本 計 画( 仮 称 )に 教 育 現 場 の 声 を 反 映 し 、新 た
な ビ ジ ョ ン に 、教 員 の 多 忙 化 解 消 を 位 置 づ け 、会 議 や 行 事 の 見 直 し や 事 務 負 担 の 軽 減 、
部 活 動 の あ り 方 の 見 直 し な ど 、教 員 が 多 忙 化 解 消 を 実 感 で き る よ う 、実 効 性 の あ る 施
策を推進する必要がある。
- 26 -
■教員の仕事時間
資 料 : 2013 年 「 OECD 国 際 教 員 指 導 環 境 調 査 」
⑤
平 成 2 7 年 6 月 に 公 職 選 挙 法 が 改 正 さ れ 、選 挙 権 年 齢 が 1 8 歳 以 上 へ 引 下 げ ら れ 、
高校生の一部が選挙権を持つこととなった。
これにより、青少年の国や県等の行政や選挙などへの関心が高まるきっかけとな
る可能性があることから、子供たちが当事者意識を持って、政治や行政について学
んでいく姿勢を育成する必要がある。
このためには、生徒が主体的に「自ら考え、判断する」姿勢を身につけられるよ
う、社会問題等に関する小論文やディベートなどのアクティブラーニングによる学
校での教育とともに、地域・家庭・学校の連携による主権者教育の充実に取り組む
必要がある。
⑥
平成27年4月に設立したあいちスポーツコミッションを有効活用して、全国、
世界に打ち出せるスポーツ大会を招致・育成し、地域活性化につなげていく必要が
ある。
本県が招致に取り組んでいるFIFAフットサルワールドカップ2020につい
ては、開催構想概要書を昨年8月に日本サッカー協会に提出し、同年10月には、
同協会が、愛知県を開催地としてFIFA国際サッカー連盟への招致活動を行うこ
とを決定した。
また、2019年に日本で開催されるラグビーワールドカップについては、本年
3月に、愛知県及び豊田市が12開催都市の一つとして決定したところであり、8
月には、愛知県及び豊田市が中心となって、開催機運の醸成、豊田スタジアムでの
開催支援等を目的とした「ラグビーワールドカップ2019愛知・豊田開催支援委
員会」を設立した。
さらに、東京オリンピック・パラリンピック競技大会について、まず、サッカー
競技を豊田スタジアム、追加種目候補となっている野球・ソフトボールをナゴヤ
ドームへ招致できるよう取り組んでいる。また、キャンプ地誘致についても、本県
を国内外にPRし、地域活性化を図る絶好の機会となる。
- 27 -
6
健康で元気に暮らせる社会づくり
① 子 育 て支 援の充 実
(1) 待 機 児 童 の解 消 や質 の高 い保 育 に向 けて、施 設 整 備 ・保 育 士 の確
保 等 の支 援の充 実 を図 ること。
特 に、地 域 の子 育 て環 境 の改 善 につながる企 業 内 保 育 施 設 の普 及
促 進 を図 ること。
(2) 休 日 保 育 、病 児 ・病 後 児 保 育 及 び放 課 後 児 童 クラブの拡 充 に向 けた
支 援 の充 実を図 ること。
(3) 子 供 を抱 える貧 困 世 帯 の経 済 的 な負 担 軽 減 を図 るとともに、自 立 支
援 の推 進 を図 ること。
(4) 児 童 相 談 センターの一 層 の体 制 強 化 を図 るとともに、医 療 ・保 健 を始
めとして福祉 全 体 での児 童 虐 待 防 止 体 制 の充 実 強 化 を図 ること。
② 介 護 サービスの充 実
在 宅 介 護 を含 め、将 来 発 生 する要 介 護 者 に対 する必 要 なサービス量
を明 確 にするとともに、特 に入 居 待 ちが続 く施 設 サービスの拡 充 に対 し
ては、必 要 な財 政 措 置 を講 じること。
また、家 族 を始 めとした介 護 者 支 援 の施 策 についても積 極 的 に取 り
組 むこと。
③ 地 域 包 括 ケアシステムの構 築
「地 域 包 括 ケアシステム」が実 効 性 あるものとして構 築 されるよう、モ
デル事 業 の検 証 も踏 まえ、各 市 町 村 の実 情 に合 った施 策 の展 開 を図 る
こと。
特 に認 知 症 に対 応 できる地 域 づくりに向 けて、医 療 スタッフの技 能 向
上 や、地 域 の見 守 り体 制 の強 化 を始 めとした施 策 の推 進 を図ること。
- 28 -
④ 障 害 者 福 祉サービスの充 実 と障 害 者 雇 用 の拡 充
来 年 4月 に施 行 される障 害 者 差 別 解 消 法 及 び改 正 障 害 者 雇 用 促 進
法 の趣 旨 を踏 まえ、障 害 を理 由 とする差 別 の解 消 に向 け積 極 的 に取 組
むとともに、本 年 3月 に策 定 した第 4期 障 害 福 祉 計 画 に基 づき、障 害 福
祉 施 策 の着 実な推 進 を図 ること。
特 に、自 立 に向 けた支 援 として、福 祉 施 設 から一 般 就 労 への移 行 が
行 えるよう、法 定 雇 用 率 を下 回 る企 業 への啓 発 活 動 や、障 害 者 優 先 調
達 法 適 用 による仕 事 量 の確 保 策 など、障 害 者 の自 立 を促 進 する取 組 を
進 めること。
⑤ 健 康 長 寿 あいちの実 現
予 防 医 療 も含 め県 民 自 らのライフステージに応 じた健 康 づくりの取 組
を推 進 すること。
また、医 療 体 制 の維 持 ・向 上 に向 けて、医 師 不 足 、看 護 師 不 足 の解
消 を図 り、医 療 の地 域 間 格 差 や診 療 科 偏 在 の是 正 にも継 続 して取 り組
むこと。
≪提言の背景≫
①
本年4月から「子ども・子育て支援新制度」がスタートし、子育てをめぐる様々
な課題の解決に向けた施策が強化されたことを受け、県は子供の育ちを、保護者だ
けでなく社会全体で支える体制を、県は市町村と連携し早急に充実していかなけれ
ばならない。
(1) 県 内 「 待 機 児 童 」 の 数 は 、 本 年 4 月 に お い て 1 6 5 名 と 、 昨 年 と 比 べ て 5 8 名
増加しており、更に年度途中には0~2歳児を中心に大幅に増加している現状が
あり、その解消に向けた対策が求められている。
また、新制度で支援が充実された多様な保育サービスの拡充を一層推進する必
要があり、特に企業内保育は、本年3月時点で211か所設置されているが、企
業の社会や地域への貢献につながる部分もあり、補助の充実、企業名の公表も含
めて今後さらに設置を促進していく必要がある。
(2) 「 休 日 保 育 」「 病 児 ・ 病 後 児 保 育 」 は 、 実 施 箇 所 が 昨 年 比 そ れ ぞ れ 3 か 所 、 6 か
所と増えているものの、未実施自治体がそれぞれ30市町村、23市町村あるこ
とから、実施に向けた働きかけが急がれる。
ま た 、「 放 課 後 児 童 ク ラ ブ 」 に つ い て は 、 新 制 度 に よ り 対 象 学 年 が 6 年 生 ま で に
拡大されたことなどにより、本年4月時点での待機児童が昨年5月時点と比較し
て476名増と急激に増えているため、早急に待機児童が解消できるよう、しっ
かりと自治体を支援していかなければならない。
- 29 -
(3) 子 供 の 貧 困 率 は 年 々 上 昇 し て お り 、 中 で も ひ と り 親 世 帯 の 貧 困 率 の 改 善 が 必 要
であり、特に母子家庭の母のうち約8割が就業しているにもかかわらず、平均年
収185.1万円、約6割が200万円未満となっていることから、就労支援や
経済的負担の軽減を含めた支援が必要である。
■貧困率の年次推移(全国)
昭和
60年
平成
3年
63
6
9
12
15
18
21
24
相対的貧困率
子 ど もの貧 困 率
子 どもがいる現 役 世 帯
%
12.0
10.9
10.3
%
13.2
12.9
11.9
%
13.5
12.8
11.7
%
13.7
12.1
11.2
%
14.6
13.4
12.2
%
15.3
14.5
13.1
%
14.9
13.7
12.5
%
15.7
14.2
12.2
%
16.0
15.7
14.6
%
16.1
16.3
15.1
大 人 が一 人
大 人 が二 人 以 上
54.5
9.6
51.4
11.1
50.1
10.8
53.2
10.2
63.1
10.8
58.2
11.5
58.7
10.5
54.3
10.2
50.8
12.7
54.6
12.4
資料:厚生労働省
(4) 児 童 虐 待 に つ い て は 、 平 成 2 6 年 3 月 に 議 員 提 案 で 「 愛 知 県 子 ど も を 虐 待 か ら
守る条例」を制定したが、平成26年の児童虐待の対応件数は5,157件と過
去最多の状況であり、身近な窓口となる市町村との連携を強化し、より一層のネ
ットワーク体制の充実を図らなければならない。
■児童虐待対応件数の推移
6,000
愛 5,000
知
県
・ 4,000
名
古
屋 3,000
市
に
お 2,000
け
る
1,000
対
応
件
0
数
80,000
73,802
5,157
66,701
56,384
44,211
40,639 42,664
37,323
33,408 34,472
1,689
603
850
854
720
748
800
821
835
805
637
16
17
18
19
20
21
1,308
560
1,403
3,956
1,525
1,378
60,000
1,969
1,612
2,628
1,532
1,129
3,188
833
2,344
741
1,137
1,499
1,730
23
24
全
50,000 国
3,262
1,970
1,671
70,000
59,919
に
40,000 お
け
る
30,000
対
応
20,000
件
数
名古屋市
愛知県
全国
10,000
0
22
25
26
資料:愛知県
②
本県の75歳以上人口は、平成26年の77万人が、平成37年には約1.5倍
の117万人になると推計されており、今後、急速に高齢化が進んでいくものと見
込まれている。
こうした状況を受け、平成29年度までの3年間を計画期間とする「第6期愛知
県高齢者健康福祉計画」において各保健福祉サービスの目標量を明らかにし、その
達成に向けて取り組んでいるが、特に介護老人福祉施設については、入所希望者が
高 齢 化 に 伴 っ て 増 加 す る 可 能 性 も あ る こ と か ら 、総 合 的 な 施 策 の 組 み 合 わ せ に よ り 、
待機者を解消することが求められている。
- 30 -
■特別養護老人ホーム待機者調査結果
要介護度
平 成 26年 度 調 査
待 機 者 数 (人 )
平 成 23年 度 調 査
構 成 比 (%)
待 機 者 数 (人 )
構 成 比 (%)
要介護1
1,731
14. 7
1,736
14. 9
要介護2
2,755
23. 4
2,500
21. 4
要介護3
3,097
26. 3
3,243
27. 8
要介護4
2,521
21. 4
2,569
22. 0
要介護5
1,667
14. 2
1,630
13. 9
計
11, 771
要 介 護 3~5の再 掲
7,285
11, 678
61. 9
7,442
63. 7
資料:愛知県
③
本 県 で は 、平 成 2 6 年 度 よ り 市 町 村 の 取 組 を 先 導 す る モ デ ル 事 業 を 実 施 し て お り 、
更に在宅医療・介護連携に係る市町村からの問い合わせ等に対応する相談窓口を国
立長寿医療研究センター内に設置するとともに、課題や解決策を取りまとめた愛知
県版の手引書を作成するなど、地域包括ケアシステムの構築に向けた取組が進めら
れているが、現在の県の取組内容を検証するとともに、その検証結果等を踏まえ、
各市町村の実情に合った施策を早急に展開する必要がある。
また、認知症に関しては、平成24年度時点で65歳以上高齢者の約7人に1人
と 推 計 さ れ て い る が 、平 成 3 7 年 に は 約 5 人 に 1 人 ま で 上 昇 す る と 見 込 ま れ て お り 、
本県における患者数は40万人程度まで増加すると推計されることから、認知症サ
ポート医の養成・かかりつけ医の認知症対応力向上・認知症サポーターの養成等に
よる地域の見守り体制の強化などに努めることが重要である。
■認知症高齢者数の推計
資料:愛知県
④
民主党愛知県議員団では、障害を理由とする差別の解消を目指し、県独自の条例
制定を予てから主張してきたが、障害者差別解消法及び改正障害者雇用促進法の来
年4月の施行を踏まえ、今年度中に条例案が議会に提出される予定である。
従って、条例に基づき、これまで以上に障害を理由とする差別の解消に向け積極
的に取組む必要があると同時に、本県においては、今年3月に策定した「第4期愛
知県障害福祉計画」において障害福祉サービス等の見込量や確保策を定めたところ
であるが、それらの目標達成に向け着実な施策の実施が求められている。
- 31 -
特に施設整備予算の確保については必要額を大きく下回っていることから、自治
体や事業主の整備計画に充分対応できていないのが現状であり、地域間の偏在を是
正し計画的な施設整備を図るため、国に対しても引き続き必要額の予算確保を強く
働 き 掛 け る と と も に 、県 に お い て も 安 定 的 か つ 一 定 規 模 の 財 源 確 保 が 不 可 欠 で あ る 。
また、福祉施設からの一般就労については、県の第3期愛知県障害福祉計画に定
めた施策の推進や国の法定雇用率の引き上げ等の改正などにより年々就労者が増加
しているが、依然として全国平均を下回っていることから、一層の取組の推進が求
められるとともに、国の基本方針では、平成29年度における福祉施設からの一般
就労者数を平成24年度比で2倍以上とすることが定められていることから、就労
移行支援事業者や企業等への更なる支援が不可欠であり、そのためにも、他部局・
他機関等との連携を一層強化するとともに、当事者の課題解決に向けた施策の創設
にも力を入れ、法定雇用率未達企業への働きかけや啓発活動を推進することが求め
られている。
更に本県自らも率先して障害者雇用を推進するため、職員採用の増加はもとより
優先調達の拡大を図るなど県が独自で行える施策にも積極的に取り組む必要がある。
■民間企業における障害者の実雇用率(平成26年6月1日)
区
分
愛知県
全国
実 雇 用 率 (%)
1.74
1.82
法 定 雇 用 率 達 成 企 業 (%)
41.9
44.7
資料:愛知県
⑤
高齢社会の進展に伴い社会保障関連負担の増加は避けることができず、今後の財
政を圧迫する大きな要因になることが懸念されており、今後の負担を軽減させると
と も に 、健 康 長 寿 あ い ち を 実 現 し て いくためには、県民一人ひとりの健康意識の高揚、
それを推進する環境整備が必要とされる。
本県では「健康日本21あいち新計画」を策定し、2013年度から10年間の
健康づくり施策の進むべき方向と主要な取組を示し、活動を進めているが、中でも
「疾病の発症予防・重症化予防」に向けた取組の強化が必要であり、何よりもがん
検診・特定健康診査等の受診率を向上させ、がんの早期発見、心筋梗塞・脳卒中の
予防を推進していくことが求められる。
2018年度から、国民健康保険の財政運営を県が担うことになり、運営主体で
ある市町村が競って健診受診率の向上に取り組める環境整備も進めていく必要があ
る。
■特定健康診査の受診率 (平成24年度)
全体
46.2%
市町村国保
協 会 けんぽ
組合健保
共済組合
(3,566万人)
(3,483万 人 )
(2,995万 人 )
(912万 人 )
自営業・農林水産業・
生活保護者・退職者
中 小 企 業 の従 業 員 ・
家族
大 手 企 業 ・グループ
企 業 の従 業 員 ・家 族
公 務 員 とその家 族
33.7%
39.9%
70.1%
72.7%
資料:厚生労働省
- 32 -
また、医療従事者の確保に向けて、地域枠による医学部定数増や医師派遣、女性
医師就労支援等によって改善を進めてきたが、依然として全国的にも医師数は低い
レベルにあり、医師不足により診療制限する病院数は20%を超える状況にあり、
本県では本年4月に設置された地域医療支援センターを核に、地域医療介護総合確
保基金を活用した医師確保事業の推進が求められる。
一方、2014年度の看護職員
需給状況では、需要に対する充足
■看護職員需給状況(常勤換算)
平 成 22年
平 成 24年
平 成 26年
需 要
66,000 人
70,767 人
73,321 人
ナースセンターの名駅支所を新た
供 給
60,014 人
63,082 人
65,609 人
に開設し、看護師確保に向けた情
充足率
90.9%
89.1%
89.4%
報提供・啓発活動等を展開してい
※「 需 要 」は 、看 護 職 員 需 給 見 通 し に よ る 数 値 で
あ り 、「 供 給 」 は 従 事 者 届 の 数 値
率が89.4%と非常に厳しい実
態にあり、本県では本年7月から
るが、潜在看護師の再就業につな
資料:愛知県
がるよう取組を強化していく必要
がある。
- 33 -
7
未来へつなぐ環境先進県づくり
① 環 境 首 都 あいちの実 現 に向 けた取 組
ESDユネスコ世 界 会 議 の成 功 を通 じて高 まった県 民 の高 い環 境 意 識
を、具 体 的 な環 境 配 慮 行 動 (エコアクション)に結 びつけていくため、県 民
運 動 を推 進 し、環 境 首 都 あいちの実 現 に向 けて積 極 的 に取 り組 むこと。
また、平 成 31年 に開 催 が予 定 されている第 70回 全 国 植 樹 祭 では、
生 物 多 様 性 の保 全 など、環 境 に配 慮 した独 自 の取 組 を行 うよう検 討 す
ること。
② 再 生 可 能 エネルギーの普 及
(1) 住 宅 用 地 球 温 暖 化 対 策 設 備 の導 入 を促 進 するとともに、県 有 地 ・県
有 施 設 を活 用 し、太 陽 光 発 電 施 設 の更 なる普 及 を図 ること。
(2) 農 業 用 水 を利 用 した小 水 力 発 電 の導 入 促 進 に積 極 的 に取 り組 むこ
と。
(3) バイオ燃 料 の利 用 促 進 など、バイオマスエネルギー利 用 拡 大 に積 極
的 に取 り組むこと。
③ 三 河 湾 における干 潟・浅 場 の造 成 の効率 的・安定的 な実 施
全 国 有 数 の里 海 である三 河 湾 は、全 国 1位 の漁 獲 量 を誇 るアサリ漁
場 である。その漁 場 の環 境 改 善 に向 け、干 潟 ・浅 場 の効 率 的・安 定 的 な
造 成 を進 めること。
④ あいち森 と緑 づくり事 業 の着 実 な推 進
本 県 の健 全 な森 と緑 を次 世 代 に引 き継 ぐため、公 益 的 機 能 が十 分 に
発 揮 される森 林 整 備 に努 めるなど、あいち森 と緑 づくり事 業 を着 実 に推
進 するとともに、より一 層 、事 業 の周 知 や理 解 促 進 に向 けた県 民 意 識 の
向 上 を図 ること。
⑤ アスベスト対 策 の充 実
アスベスト含 有 建 材 使 用 建 築 物 等 の解 体 ・改 造 ・補 修 時 におけるアス
ベストの一 般 環 境 大 気 中 への飛 散 防 止 に向 け、アスベストの環 境 モニタ
リングを積 極 的 に実 施 するとともに、解 体 ・改 造 ・補 修 時 の事 業 者 指 導
の徹 底 等 を図 ること。
- 34 -
≪提言の背景≫
①
愛 知 万 博 、C O P 10、E S D ユ ネ ス コ 世 界 会 議 と い っ た 国 際 的 な 環 境 イ ベ ン ト を 経 験
して、県民の環境意識は大きく高まった。こうした意識の高まりを省資源・省エネとい
った環境への負荷を減らす具体的な環境配慮行動、いわゆる「エコアクション」へとつ
なげ、県民に無理なく賢いECOな生活を実践するため、環境学習機会の提供や県民運
動の推進を実施していく必要がある。
また、本年8月に国土緑化推進機構が、平成31年の第70回全国植樹祭を本県で開
催することを内定し、今後正式決定されれば、昭和54年以来40年ぶり2回目の開催
となる。
今後、会場の選定など、具体的な開催計画を検討していくこととなるが、全国植樹祭
の開催を通じて、愛知県らしい独自の取組を行うよう、各市町村と連携しながら、検討
を進めていく必要がある。
②
再生可能エネルギーの普及については以下のとおり。
「 あ い ち 地 球 温 暖 化 防 止 戦 略 2 0 2 0 」を 平 成 2 4 年 2 月 に 策 定 し て お り 、
(1) 本 県 で は 、
2020年度の目標として、太陽光発電施設普及基数40万基(普及率約14%)な
どを掲げている。
この戦略目標を実現するために、引き続き太陽光発電施設をはじめとした住宅用地
球温暖化対策設備導入に対する補助や啓発、県有施設への太陽光発電等の率先的導入
に取り組んでいく必要がある。
(2) 農 業 用 水 は 貴 重 な 地 域 資 源 で あ り 、 本 県 で は 農 業 水 利 施 設 整 備 が 進 ん で い る こ と か
ら、小水力発電が可能な場所が数多く存在している。
本県では、農業用水を利用した小水力発電の推進に取り組んでおり、平成24年8
月に、産学官等の協働連携により、農村資源の有効活用と再生可能エネルギーの利用
促進等を目的として、
「 産 学 官 連 携・愛 知 県 農 業 用 水 小 水 力 発 電 推 進 検 討 委 員 会 」を 設
立し検討を行っており、平成26年7月に、農業水利施設を活用した小水力等発電マ
ス タ ー プ ラ ン ( 対 象 農 業 水 利 施 設 1 6 6 箇 所 ( 5 , 1 5 3 k W )) を と り ま と め た 。
小 水 力 発 電 は 、既 存 施 設 の 利 用 に よ り 地 形 改 変 な ど の 環 境 負 荷 が 小 さ い こ と や CO2
の排出量が少なく、また、水を汚したり消費することがない永続的に利用可能な再生
利用可能エネルギーであることから、より一層積極的に導入促進を図る必要がある。
(3) 循 環 型 社 会 形 成 の 推 進 に 向 け 、バ イ オ マ ス を エ ネ ル ギ ー 源 と し て 総 合 的 に 利 活 用 し
ていくことが求められており、国においては、平成22年12月に「バイオマス活用
推進基本計画」が閣議決定された。
本県は、人口集積の進行、全国有数の農業や三河地方の豊かな森林等の特性から、
多 様 な バ イ オ マ ス 資 源 が 豊 富 に 存 在 し て い る と 考 え ら れ る こ と か ら 、間 伐 材 、稲 わ ら 、
竹などの未利用資源、食品残さ、家畜排せつ物、下水汚泥などバイオマスエネルギー
をメタン発酵やエタノール発酵、ガス化、炭化を行うことにより、多様な利用を積極
的に促進していく必要がある。
- 35 -
③
三河湾の干潟、浅場は、10年連続で全国1位の漁獲量を誇る本県のあさり漁業
を支える漁場であるとともに、水産生物の稚魚が育つ生育場となっているが、「食
と緑の基本計画2015」の最終年度の計画50haに対して平成26年度までの
4年間の実績は25.7ha(計画の51.4%)であり、事業が大幅に遅れてい
る状況である。
三河湾の干潟、浅場は、高度経済成長期に実施された大規模な埋立てにより約
1,200haが消失し、漁業生産に悪影響を及ぼす赤潮や苦潮、貧酸素水塊の発
生の要因となっており、三河湾の環境改善は大きな課題となっていることから、速
やかに三河湾の環境改善に向けた効率的、安定的な造成を進める必要がある。
■ 食 と 緑 の 基 本 計 画 2015 の 計 画 と 実 績
計
区
分
H23
画
干 潟 ・浅 場 造 成
覆
砂
実
績
干 潟・浅 場 造 成
覆
砂
計
累
計
(進 捗 率 )
10
H24
10
単 位 : ha
H25
10
H26
10
3.1
1.5
3.9
4.8
4.4
1.6
3.6
2.8
7.5
3.1
7.5
7.6
7.5 10.6 18.1 25.7
(15.0%) (21.2%) (36.2%) (51.4%)
H27
10
-
-
-
-
計
備
考
50
13.3 農 林 水 産 部
12.4 建 設 部
25.7
25.7
(51.4%
資料:愛知県
■あさり類漁獲量の推移
資料:愛知県
- 36 -
④
近年、環境問題への関心の高まりを背景として、地球温暖化対策・低炭素社会づ
くりや水源のかん養など、森や緑が有する多様な公益的機能に対する期待が高まっ
ている。県には、三河山間部の森林、名古屋圏を中心とする都市の緑、その中間に
位置する里山林と、守るべき森と緑が多く存在しているが、手入れ不足の森林の増
加や、都市の緑の減少に伴う公益的機能の低下が危惧されている。
特に、森林については、県土の4割を占め、その内の6割をスギやヒノキの人工
林が占めているが、人工林の多くは手入れをされずに放置されており、間伐による
整備が早急に必要な状況にある。
県 で は 、「 あ い ち 森 と 緑 づ く り 税 」 を 基 金 に 積 み 立 て 、 事 業 を 進 め て お り 、 森 林 整
備・里山林整備・都市緑化等の事業目標達成に向けて、各方面から出た意見・要望
を踏まえ、引き続き計画的に取り組むとともに、事業の周知や理解促進に向けた県
民意識の向上を図ることが必要である。
■あいち森と緑づくり事業の主な内容
分野
森林整備
里山林整備
事業名
人工林整備事業
概要
21~ 26 の 実 績
林道等から遠い奥地や公道・河川沿いの間伐
8,454ha
( 15,000ha)
( 56.4% )
森林整備技術者養成事業
技 能 講 習 、 実 技 研 修 等 の 開 催 ( 200 人 )
199 人
里山林再生整備事業
除 間 伐 等 の 整 備 と 簡 易 防 災 施 設 の 設 置 ( 63 箇
43 箇 所
所)
身近な里山林整備事業
地 域 住 民 、団 体 等 に よ る モ デ ル 的 整 備 や 放 置 さ
68 箇 所
れ た 里 山 林 の 整 備 ( 129 箇 所 )
都市緑化
都市緑化推進事業
・市 街 化 区 域 等 の 民 有 樹 林 地 の 市 町 村 有 地 化 及
1,242 件
び緑地整備等
・民有地の敷地又は屋上、壁面等の緑化
・公共施設の沿道等の街路樹の植え替え等
・県 民 参 加 の 都 市 緑 化 活 動
環境活動等推進
環境活動・学習推進事業
( 2,049 件 )
多様な主体による環境保全・環境学習活動
518 件
( 900 件 )
普及啓発等
木の香る学校づくり推進事業
愛知県産木材利活用推進事業
公 立 小 中 学 校 に お け る 県 産 木 材 製 の 机・椅 子 等
(セット換算)
の導入
52,068 セット
間伐材の搬出促進や公共施設における木製ベ
14 件
ンチの導入
資料:愛知県
- 37 -
⑤
発ガン性のあるアスベスト(石綿)は既に製造・使用が禁止されているが、アスベス
ト含有建材が使用された建築物等は現在大量に市中に残されている。
(東京都のアンケー
ト 調 査 で は 5 0 % 以 上 の 建 物 )。
今後、それらの建築物等の解体・改造・補修時に作業が適正に行われない場合、アス
ベスト(石綿)が空気中に飛散することが想定されるが、この飛散したアスベストが人
体に吸引されることにより、30~40年の潜伏期間を経て肺がんや中皮腫などを発生
させる危険性が指摘されている
70~90年代に使用されたアスベスト含有建築物等の解体は2020年~2040
年にかけてピークになると見られるが、現在の大気汚染防止法などによる飛散防止のた
めの調査や規制では極めて不十分・不徹底であり、対策が必要である。
出 典 :( 社 ) 日 本 石 綿 協 会 資 料
- 38 -
8
未来に責任を負う行政づくり
① 財政の健全化
(1) 財政中期試算(2016~2019)では各年度で厳しい財政状況となることが
判明したことから、行財政改革に着実に取り組み、財政の健全化に努めるこ
と。
また、5兆円を超えるに至った県債残高の大きな要因は、臨時財政対策債
の累増であり、今後の県財政運営に深刻な影響を及ぼしている。地方交付
税の財源である国税の法定率の引上げ等による臨時財政対策債の速やか
な廃止を国へ働き掛けること。
(2) 地方法人特別税及び地方法人特別譲与税を消費税率10%段階で確実に
撤廃し、法人事業税として復元するとともに、新たに導入された地方法人税
についても、これを撤廃するよう国に求めること。
(3) 法人実効税率の引下げに際しては、全ての地方公共団体の財政運営に支
障が生じないよう、恒久的かつ確実な財源を確保できるよう国に求めること。
② しなやか県庁創造プランの推進
県が持つ経営資源(人材・資産・財源など)や民間・地域の力を最大限に活
用し、県が果たすべき役割を明確にした上で経営資源を集中していくこと。
③ 「中京大都市圏づくり」の推進
東日本大震災により弊害が顕在化した東京への一極集中を是正する観点か
らも、リニア大交流圏の西の拠点として、人、モノ、カネ、情報を呼び込む「中京
大都市圏」(名古屋を中心とした概ね80~100Km 圏)構築に向け、近隣県及
び国と協働・連携して取り組むこと。
④ 「まち・ひと・しごと創生」の推進
(1) 愛知県版の「総合戦略」に基づき、継続性を持ち、地方の創意工夫を最大
限に生かし、地域の実情に応じた施策が実施できるよう、新型交付金をはじ
めとした財源の確保と制度運用を柔軟なものとすることを国に強力に働きか
けること。
- 39 -
(2) 東京一極集中の是正の観点が必要であることから、愛知県が提案した政
府関係機関の移転の実現に向け、国に強力に働きかけること。
⑤ 「公契約条例」の制定
働く人が将来の不安を払拭して安定した生活を営むことのできる労働環境
を確立するため、賃金条項など労働条件の確保を盛り込んだ「公契約条例」
制定に向け、取り組みを強化すること。
≪提言の背景≫
①
財政の健全化については、以下の通り。
(1) 本県では、「しなやか県庁創造プラン」を着実に進められるよう、平成28年度から平成
31年度までの4年間を対象に中期的な財政の収支見通しを試算した。歳入では、県税収入は、
消費税率の引き上げの影響もあり増加していくが、地方法人二税の一部国税化の影響や県税収
入に連動した歳出が増加することから、収支改善効果は抑制される。また、地方財政措置であ
る地方交付税及び臨時財政対策債は、県税収入の増加に伴い減少する。
歳出では、義務的経費である扶助費が国の社会保障関係費と同様に年々増加し、公債費も高
止まりとなることから、平成28年以降も1,000億円を超える収支かい離が継続的に発生
するという厳しい試算がされており、「しなやか県庁創造プラン」を着実に推し進める必要が
ある。
県債残高は5兆円を超え元利償還に係る支出(公債費)も年間3,700億円となり、本県
の財政運営を圧迫する要因となっている。その県債残高増加の大きな要因となっている臨時財
政対策債は、本来、国が地方交付税交付金として地方に交付すべきものを国の財政事情から地
方の借金に肩代わりさせるものであり、地方財政措置を掌る国の責任において、地方交付税の
財源である国税の法定率引き上げ等による臨時財政対策債の速やかな廃止を国に強く働き掛
けるべきである。
(2) 平成20年度から導入された地方法人特別税及び地方法人特別譲与税については、これまで
も法人事業税への早期復元を国に求めてきたが、消費税率8%段階で規模を1/3縮小し、
10%段階で廃止するとされた。しかし、一方で、都道府県及び市町村の法人住民税法人税
割の一部が国税化されるといった、新たな措置が始まった。
最近の国の地方税財政制度には、地方の自立に逆行するものが見受けられることから、全
国知事会等を通じて、国に対して強く働き掛けるべきである。
- 40 -
(3) 国は、法人税改革として、平成27年度から法人実効税率の引下げを実施し、平成28年度
税制改正においても税率引下げ幅の更なる上乗せを図り、その後の年度の税制改正においても、
法人実効税率を20%台まで引き下げることを目指して改革を継続する方針である。
その一環として盛り込まれた法人事業税における外形標準課税の拡大についても、更なる拡
大に向けて、平成27年度税制改正の実施状況も踏まえつつ、引き続き検討を行おうとしてい
る。外形標準課税の拡大は、税収の安定化につながる面もあるが、所得課税のウエイトが高い
本県にとっては、減収の影響が生じる可能性も懸念されるところである。また、赤字法人に対
しても課税されることとなり中小零細企業の経営を圧迫することも懸念される。改正の影響が
本格的に生じる平成28年度以降、全ての地方公共団体の財政運営に支障が生じることのない
よう、適切な財政措置を国に働きかけるべきである。
■愛知県の普通交付税と臨時財政対策債の推移(単位:億円)
平成 20 年度
普通交付税
平成 21 年度
平成 22 年度
平成 23 年度
平成 24 年度
平成 25 年度
平成 26 年度
平成 27 年度
(不交付)0
406
522
525
559
643
777
400
臨時財政対策債
682
1,378
3,826
2,899
3,152
2,848
2,258
2,000
合計
682
1,784
4,348
3,424
3,711
3,491
3,035
2,400
100%
77.2%
88.0%
84.7%
84.9%
81.6%
74.4%
83.3%
臨財債の割合
資料:愛知県
②
これまで長年にわたる行財政改革において、事務事業費、職員定数、公の施設等、量的削減
に取り組んできた結果、合理化余地は狭まってきている。また、本県では、上記(1)の通り、
平成28年度から平成31年度までの4年間を対象に中期的な財政の収支見通しを試算したが、
平成28年以降も1,000億円を超える収支かい離が継続的に発生するという厳しい試算が
されたところである。こうした将来に渡り厳しい財政状況が継続することを踏まえ、3つの改
革の視点を柱とした「しなやか県庁創造プラン」を打ち出した。
「しなやか県庁」に込めた思いは、時代の変化に的確に対応する柔軟性と決して折れること
のない力強さを合わせ持つ県庁を築きたいとのことである。このプランを実効の上がるものと
するには、県が持つ経営資源(人材・資産・財源など)や民間・地域の力を最大限に活用して
いくことにあるが、とりわけ、その要となるのは人材であり、専門能力を高めつつ、自ら成長
し続ける人材育成に積極的に取り組む必要がある。
③
2027年度のリニア中央新幹線の東京-名古屋間の開業により、首都圏から中京圏に及ぶ
5千万人規模の大交流圏が誕生する。本県では、名古屋を中心とした概ね80~100km 圏を
「中京大都市圏」と位置づけ、日本一の産業県である本県を中心とした圧倒的なモノづくり産
業の集積を生かし、人、モノ、カネ、情報を呼び込み、東京一極集中にストップをかけられる
存在感ある大都市圏の実現を目指している。
このような大都市圏像を実現していくためには、中心都市である名古屋市と愛知県が一体と
なって取り組むことは勿論、中京圏域である近隣県・市町村及び国との協働・連携が不可欠で
ある。
- 41 -
④
「まち・ひと・しごと創生」の推進については、以下の通り。
(1) 本県では、「まち・ひと・しごと創生法」に基づき、平成27年2月に、知事を本部長とし
た「愛知県まち・ひと・しごと創生総合戦略推進本部」を設置し、4月には、有識者や産官学
金労言の関係者で構成する「愛知県まち・ひと・しごと創生総合戦略推進会議」を設置するな
ど、幅広く意見を聞きながら、7月には、2060年に700万人程度の人口を維持するとし
た「人口ビジョン」案とその実現に向けた「総合戦略」の骨子案をとりまとめた。10月中を
目途に、県としての「人口ビジョン」案とその実現に向けた「総合戦略」を策定する予定であ
る。
国は、自治体の総合戦略の策定・推進にあたり、「情報支援」、「人的支援」、「財政支援」
を展開するとしている。このうち、財政支援については、平成26年度補正予算において、平
成26年度から27年度の取組を支援する「地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金」が
措置されたが、28年度以降の交付金については、現在、国において制度設計が進められてい
るところである。
今後5か年にわたる「総合戦略」を実効性の高いものとするには、地方の創意工夫を最大
限に生かし、地域の実情に応じた施策を展開していかなければならない。そのための財源の
確保と制度運用を柔軟なものとすることを国に強力に働きかける必要がある。
(2) 国は、地方創生につながると考えられる政府関係機関について、地方移転の準備を進めてお
り、平成27年3月には、道府県等に対する提案募集が開始され、平成27年度末には移転機
関が決定される予定となっている。本県では、学識者及び経済界による「政府関係機関誘致検
討委員会」を平成27年4月に立ち上げ、当地域の資源、産業事情等を十分踏まえ、誘致すべ
き機関(産業技術総合研究所先進パワーエレクトロニクス研究センター等7機関)を選定し、
提案を行った。
政府関係機関の地方移転については、東京一極集中を是正し、地方創生につながることから、
移転の実現に向け、国に協力に働きかける必要がある。
⑤
公契約は国民の税金によって行われているものであり、その実施は、効率的に透明性高く行
われるとともに、働く人が将来に安心感を持ち、国民生活の向上と活力あふれる社会の実現に
寄与するものでなくてはならない。
公共事業の入札にあたっては、働く人の賃金・労働条件へのしわ寄せによる低価格契約が横
行し、結果として非正規雇用の拡大や下請け業者の倒産などを引き起こす非常に不安定な社会
構造を作り出している。このため、賃金条項(作業報酬下限額)など労働条件の確保を盛り込
んだ、公契約条例の制定が急がれる。
本県では、一昨年度、県内各団体、有識者からなる「公契約のあり方検討会議」での検討結
果がとりまとめられたが、賃金条項の扱いについては、肯定的意見・否定的意見の両論が併記
された内容となった。今後、条例制定に向け、知事は強いリーダーシップを発揮すべきである。
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