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干潟再生事業実施計画(素案) 資料4

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干潟再生事業実施計画(素案) 資料4
資料4
干潟再生事業実施計画(素案)
1.自然再生の内容
山口県環境政策課
(1)箇所別事項
自然再生を行う実施箇所は図 1 に示す 2 箇所で実施する。その具体的内容は表 1、
概略工程は表2に示すとおりである。
具体的な工種については、平成 16 年度に行っている干潟回復工法に係る実証試験の
中間成果を反映した。また、泥干潟の再生で採用した工法の選定は、資料 3-3 に示す
ように数種類の工法を選択して、
『工事費の安価性、工事期間の短縮(濁り影響の軽減、
工事による占有期間の短縮)、濁りの発生量が少ない工法』に着目して選定を行った。
豊かな泥干潟の再生
(中潟)
豊かな砂干潟の再生
(南潟)
図1
自然再生実施箇所の位置
表1(1)
豊かな泥干潟の再生
事業場所
事業方法
自然再生実施内容
中潟のカキ殻高密度分布域(赤色区域)
カキ殻粉砕及び覆砂工
耕耘工及び混合砂
覆砂工
上層(20∼60cm 厚)に存 上層に存在するカキ殻と現 地盤が低いカキ殻分
在するカキ殻を粉砕して現 有基質(下層土)と混合さ 布域を良質砂により
事業内容
有基質(下層土)と混合さ せる。また、施工域の一部 覆砂を行い、地盤調整
せる。また、施工域の一部 では良質砂を 20%の混合 する。
に良質砂を覆砂する。
比で混入する。
工法詳細は資料 3-1 を参照。 工法詳細は資料 3-2 を参照。
カキ殻分布による水域利用 カキ殻と下層土及び川砂と 干潟の地盤調整及び
事業効果
施
工
面
積
H17
障害の改善及び砂浜生物な の混合により底質改善を行 覆砂による底質再生
どの多様性の向上を図る。
い、生物の多様性の向上を による砂浜生物の生
図る。
息環境の改善を図る。
カキ殻粉砕:0.56ha
耕耘工:0.56ha
0.04ha
(内、覆砂:0.14ha)
(内、混合砂:0.14ha)
H18 モニタリング結果等を科学的に検討し順応的に見直し、最善の方法・工法で事業
∼
工期
を進めていく。施工面積は工法を限定することにより 2.5∼4.0 ha/年とする。
約 30 日
約 30 日
約5日
但し、準備工、磁気探査工などで上記工事の前に約 1 ヶ月が必要となる。
表1(2)
事業場所
自然再生実施内容
豊かな砂干潟の再生
南潟の東側海域(紫色区域)
事業方法
耕耘
硬質化、無機質化した干潟を耕耘する。なお、カ
事業内容
ブトガニ生息場が近接しているため、人力や漁船
の底曳による方法とする。
事業効果
施工面積
工期
硬質化や無機質化した干潟の改善を行い、二枚貝
などの生息環境の再生・改善を行う。
0.2∼0.5ha/年
1日で随時実施
表2
工 種
施工数量
概略工程
概 略 工 程 (日)
0
10
20
30
40
50
60
70
80
準備工
磁気探査工
11,300 m2
カキ殻粉砕工
5,400 m2
耕運工
4,000 m2
(砂混合なし)
耕運工
1,400 m2
(砂混合あり)
覆砂工
1,400 m2
(カキ殻粉砕部)
(t:20cm)
覆砂工
(波多瀬西側窪地)
500 m2
(V:100m3、t:20cm)
バックホウ浚渫・運搬
260 m3
川砂積込み・運搬
390 m3
(阿知須漁港)
跡片付け工
390 m3
(現地、阿知須漁港)
(※1)川上流の採取砂の支給・積込みは、工程にあわせて遅滞無く可能であると仮定している。
(※2)モニタリング等の調査期間は含んでいない。
また、工事と平行して調査等が必要な場合には、施工効率が低下し工程が長くなる可能性がある。
(※3)現地条件やモニタリング調査項目への影響等により、カキ殻粉砕工と耕運工を平行して実施できない場合には、工程が長くなる。
90
備 考
2.完了後の順応的維持管理
事業完了後については、順応的に事業を進めることから、下記の項目のモニタリング
を実施し、その結果を科学的に検討し、対象地域特性に適応した自然再生方法や工法等
の選定を行っていく。
(1)モニタリングの基本的な考え方
モニタリングに際しては、地盤高や地盤硬度などの物理的要素、底質の化学的性状
や粒度組成そして、生物調査として底生生物と底生微細藻類について追跡調査を行う。
評価の考え方については、短期的にはライフサイクルが短い底生微細藻類の種類数
や細胞数及び植物色素、そして底質性状を指標として検討を行う。長期的には、底生
生物を主体とした種の変遷や個体数や量の変化及び生物多様性に着目して行うもの
とする。
また、干潟形成や底質有機物の由来が課題となっていることから、底質の主要元素
(金属)組成により干潟形成の海川由来の推定、炭素安定同位体により現在の浮泥に
含まれる有機物の起源の推定も実施する。
(2)モニタリング項目
地形調査(地盤高、底質硬度)
、水質調査(直上水の植物色素)
、底質調査(柱状採
泥:全硫化物、酸化還元電位、COD、強熱減量、粒度・比重、全窒素、全燐、pH、
含水率、植物色素、鉱物組成、炭素安定同位体)、生物調査(底生生物、底生微細珪
藻)
(3)モニタリング回数
施工時、施工後(1,4,9 ヶ月後)の計 4 回
(4)モニタリングの進め方
モニタリング等の実施や順応的管理に際しては、プロセスの各段階で、地域住民、N
PO等、学識者、地方公共団体、関係行政機関など各方面の人々との連携・協働で行う。
更に、調査、事業の合意形成の前提として、基本的にすべての情報はホームページ等
を使って公開し、住民、地元関係団体、専門家をはじめとする関係者が情報を共有でき
るようにする。
資料4-1
カキ殻粉砕耕耘工法
1.概要
カキ殻の破砕機構としては、海岸の岩盤土砂掘削等の港湾工事においてウォータージ
ェットの利用による工法が多数あることに着目し、高圧泥水ポンプを用いて、カキ殻の
堆積物を処理するものである。
この工法は堆積しているカキ殻を自然のままで破砕、耕運し、または海底の固化した
地盤を耕運することによって、あさり、あげまき、その他の魚介類の生息可能な良質海底
地盤に改良するものである。
2.特長
①高圧ジェットポンプを使いカキを一度
も海上に上げることなく作業ができる。
②施工後の凹凸が少ない。
③海上の汚濁が少ない。
④破砕耕運により漁場の改良ができる。
⑤使用船団が少なくてすむ。
⑥海上の投棄を必要としない(捨て場)。
⑦施工性に優れている。
3.工法の概要
カキ殻粉砕工法の施工
手順は図1に示すように
なる。
①粉砕機(図2参照)の
設置、着床
②ジェット噴射の開始
③粉砕機の貫入開始、改
良深到達、貫入停止
④ジェット定位置噴射
⑤粉砕機引き上げ
また、カキ殻粉砕後の
土中の鉛直構造の模式と
改良後の粒度組成を図3
に示す。
図1
工法の施工手順
<側面図>
<平面図>
図2
図3
粉砕機の概要(2軸3セット)
カキ殻粉砕前後の状況
4.現地実証試験事例
(1)有明海
施工前
施工後
(2)浜名湖
<施工前>
<施工後>
資料4-2
スラリーBOX 覆砂工法
(現地底質と覆砂材とをブレンドする覆砂技術)
1.概要
水質浄化目的の覆砂施工においては、覆砂時の濁り発生を極力抑えるとともに、均一
厚さで確実に底質を覆うことが重要でる。一方で、アサリなどの貝類の生育環境整備と
しての覆砂施工では、砂質土のみの覆砂材よりも、細粒分をある程度含んだ材料の方が、
よりよい生育環境であると言われている。
スラリーBOX 覆砂工法は、現地底質(細粒分)と覆砂材(砂)をブレンドし、その
ブレンド材をそのまま覆砂材として利用できる新しい覆砂工法である。
2.特長
①密閉枠内での作業のため、汚濁発生が少ない。
覆砂材スラリーの充填や現地底質と覆砂材と
の撹拌作業は、枠で囲んだ内部での作業なので、
汚濁の発生はまったくない。また枠の貫入や引き
抜き時にも汚濁の発生がほとんど無いことを確
認している。
排水
②覆砂厚を精度良く管理できる。
密閉枠の貫入量を調整することにより、原地盤
覆砂材スラリー
と密閉枠上面とのクリアランスを所定の覆砂厚
に管理できる。
③現地底質と覆砂材との混合比を容易に調整でき
る。
撹拌軸のストローク操作により、現地底質の撹
拌深度(混合量)を調整することが可能であるた
撹拌翼
め、覆砂材と現地底質との混合比調整が容易に行
える。
【覆砂撹拌装置(実験機)
】
3.工法の概要
本工法では、覆砂撹拌装置を所定深さまで貫入した後に覆砂材スラリーを充填し、そ
の後現地底質と覆砂材とが所定混合比になるように目標深度まで撹拌することにより、
そのブレンド材を覆砂材として使用する。
装置位置決め・貫入
装置内覆砂材充填
覆砂材充填完了
原位置撹拌
装置引抜移動
M
M
排水
覆砂材
充填間隙
M
覆砂材
スラリー
M
M
ブレンド材
覆砂材
原地盤
【工法原理図】
4.現地実証試験事例
◇目
的
: 実海域において、①覆砂材スラリーの充填性と②覆砂材と現地底質と
の混合性を確認
◇場
所
:
長崎県
◇数
量
:
約 20m2(2.0m×10m)
◇実験ケース: 覆砂材ブレンド比 50∼100%
◇覆砂厚
:
t=30cm
◇土質特性
:
現地底質
含水比
w=45%
土粒子密度
ρs=2.58g/cm3
D50=0.18mm、細粒分含有率 Fc=16%
強熱減量
覆砂材
含水比
Li=6.9%
w=21%
土粒子密度
ρs=2.79g/cm3
D50=0.47mm、細粒分含有率 Fc=1%以下
100.0
覆砂材
80.0
現地底質
ブレンド比50%
60.0
ブレンド比70%
40.0
20.0
0.0
0.001
【施工全景】
0.01
0.1
1
粒 径(mm)
10
100
100.0
覆砂材
現地底質
80.0
砂100%
ブレンド比50%
ブレンド比70%
60.0
40.0
現地底質
砂70%
【サンプリング試料】
砂50%
20.0
0.0
0.001
0.01
0.1
1
粒 径(mm)
【粒度特性】
10
100
5.実施工概要(例)及び使用機材
施工例
覆砂材
を運搬
作業台
船への
投入
作業台
船で加
水スラ
リー化
ス ラリ ー
BOX 位
置決め
充填
覆砂
攪拌
投入
加水
運搬
位置決め
充填
余剰水
覆砂
撹拌
施工の流れ
泥槽
覆砂材
(砂)
作業台
ハウス
攪拌装置
ポンプ
クレーン付台船
14m
8.0m
装置配置図
施工サイクル
サイクルタイム
約13分/バッチ
1.位置決め・貫入
1バッチあたり (覆砂層厚30cmとし、1:1改良とすると)
改良面積 2m×7m
=14m2
改良土量 2m×7m×0.6m
=8.4m3
2.覆砂材充填
3.撹拌・引抜
1時間あたり
改良面積
改良土量
14m2×4.6回
8.4m3×4.6回
1日あたり (8h運転/day)
改良面積
65m2/h×8
改良土量
39m3/h×8
=65m2/h
=39m3/h
=520m2/day
=312m3/day
使用機材
使用機材一覧表
項目
仕様
数量
クレーン台船
40m×18m×2.3m 100t吊り 圧送ポンプ吊り用
1基
スラリーBOX装置
2.0m×7.0m×1.0m 1基
水中サンドポンプ
4.5m3/min×20m 37kW 1t 圧送用
1台
水中サンドポンプ
3.2m3/min×15m 22kW 加水用
1台
油圧ユニット
台
発電機
台
揚描船
1隻
土運船
1隻
曳船
1隻
出来形測定器
音響測探機
1式
位置測定器
GPS
1式
ホース
圧送用及び排水用 各50m
1式
資料4−3
工法比較
表1
工法区分
スラリーBOX覆砂工法
干潟耕転工法比較表
汎用機による工法(泥上掘削機使用)
サブマリーントラクター工法
一般の陸上木では地耐力が不足し施工不能と
なるため、キャタピラー内部にフロート構造を
有している泥上掘削機を使用して干潟の耕転を
行う。
この場合、泥状掘削機のアームに特殊なミキシ
ングバケットを装着して、干潟表土を掘削・攪
拌することで耕転効果を期待する。
水中においても運転操作可能な構造を有し、
干満に関わらず耕転を行う。
耕耘に適した器具を本体に装着して、干潟表
土を走行しながら耕転する。
(但し地盤状況によっては走行できない場合が
ある。)
投入
運搬
加水
位置決め
充填
余剰水
覆砂
撹拌
概念図
スラリーBOX覆砂工法とは、シルト質の干
潟に砂を混合して粒度分布に改良するとともに
耕運効果を期待する工法である。具体的には、
密閉式の覆砂攪拌装置を干潟の所定深度まで貫
工法説明
入させて、スラリー化した砂を充填しながら余
浄水を排出、その後攪拌翼を回転させながら干
潟の底質と砂を混合させるサイクルを繰り返
す。
・干潟の粒度分布改良と耕転を同時に行うこと
が可能である。
適用性 ・干潮時には作業船が着底するため作業が出来
及び
ない。
問題点 ・他の工法のように濁りの発生が殆ど無い。
概算直接
工 事 費
・作業は大潮干潮時に限られるため稼動率が著 ・干満に関わらず作業できるが(地盤状況によ
しく低下する。(水中作業では汚濁防止膜が
る)水中での耕耘状況の確認が難しい。
必要)
・汚濁防止膜が必要。
・スラリーBOX 工法と同様な粒度分布を改良す ・スラリーBOX 工法と同様な粒度分布を改良す
る為には、潮位が高い時間に予め薄層覆砂を
る為には、予め薄層覆砂を行い、覆砂層と在
行っておき、干潮時に覆砂層と在来干潟層を
来干潟層を攪拌させる必要があり、船舶又は
攪拌させる必要がある。
湿地用重機等、他工法との併用を必要とする。
4,200 円/m2(参考単価)
4,100 円/m2(参考単価,覆砂含む)
3,200 円/m2(参考単価、覆砂含む)
360m2/日(干潮以外の通常作業:5h/day)
160m2/日(大潮干潮時作業:3h/day)
360∼480m2/日
適用性
適用性は高い
稼動期間が制約され、著しく工期が長い
他工法との併用が必要
総合評価
○
△
×
能
力
表2
工法区分
カキ殻粉砕工法比較表
底質地盤改良(SIB)工法
汎用機械による工法
(バックホー台船+クラッシャバケット)
概念図
底質地盤改良工法は、高圧泥水ポンプと攪拌翼を装備した専用の破砕
実験工事と同様にバックホーを艤装した台船を使用し、クラッシャバケ
耕耘機を海底面に貫入させ、高圧水のジェット噴射によりカキ殻等の堆 ットを装着させ、干潟のカキ殻を含む表層をクラッシャバケットで掘削し、
工法説明
積物を粉砕混合する工法である。同様なシステムで耕運を行う牡蠣殻破 その攪拌粉砕して干潟底質と混合するものである。
砕耕運工法(OCT 工法)もある。
・ 長崎県の有明海側では、施工実績が多く、攪拌時間を調整すること ・ 表面のカキは生きている為、カキの中身や粘土粒子によりクラッシャ
適用性
及び
で、牡蠣ガラの粉砕径も調整することが出来る。
・ SIB 専用船の吃水が 1.5m あるため、干潮時には作業が出来ない。
問題点
概算直接
バケットが目詰まりを起こす可能性が高い。
・ カキ殻を細かい粒径(1∼2cm 程度)まで、粉砕させることは難しい。
・ 国内では水中で使用できるクラッシャバケットが殆ど存在しない。
2,240 円/m2
5,600 円/m2
500m2/日(干潮以外で水深 2m 程度必要)
65m2/日(大潮の干潮時のみの作業)
適用性
適用性は高い
著しく不経済で問題が多い
総合評価
○
×
工 事 費
能
力
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