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患者急変時の対応 - 大阪府放射線技師会

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患者急変時の対応 - 大阪府放射線技師会
アドバンス放射線技師格取得セミナー
『救急医療学』
患者急変時の対応
大阪大学医学部附属病院
放射線部 佐藤和彦
大阪府放射線技師会 2004/08/22
1
放射線部で起こる患者急変
2
3
第34回 全国国立大学 放射線診療部門会議
将来構想小委員会
4
日本放射線技術学会
放射線業務における医療事故防止に関する学術調査報告書
(2004年06月)
5
リスク感覚
リスク感覚とは
リスクにさらされているという意識のこと。
行なっている行為に伴うリスクを
瞬時にイメージすることが大切である。
リスクを回避する予防策を
立案、実行することが重要である。
日本放射線技術学会 『放射線業務における医療事故防止に関する学術調査報告書』より
6
リスクとは
リスクの意味
(1)予測できない危険
(2)保険で、損害を受ける可能性
大辞林(国語辞典) より
患者がさらされている危険
Patient Safety
Risk Management
Clinical Risk Management
7
患者の危険を想像できますか?
イメージ、想像して下さい。。
車椅子から立ち上がった患者が
胸部撮影検査を受けている状態。。。
・患者に背を向けたときに患者が転倒し頭部を打撲する。
・撮影後、息を楽にしたときに患者が足からくずれる。
・フィルム現像の際に患者の血圧が低下する。
8
呼吸停止、心停止、血圧低下、死亡 事例
● 立位撮影時に貧血、めまいを起こし転倒し、車椅子、
装置などに激突し頭部打撲、創傷、擦過傷を負った。
● 胸部立位撮影時に貧血を起こし、患者が足元にくず
れ落ちた、後へ倒れた。後頭部を打撲した。
● 急患撮影時、患者の状態が急変した(呼吸停止、心
停止、血圧低下)。
● 心臓の手術後の患者の容態が撮影中に急変し死亡
した(病室撮影)。
9
呼吸停止、心停止、血圧低下、死亡 事例
● 検査終了後、血圧低下し転倒した(CT)。
● 肺喚気検査中、呼吸停止、心停止があった(RI)。
● 緊急の頭部CT中に呼吸停止した(CT)。
● バリウムを気管に誤嚥し、軽い呼吸困難を起こした。
● 胃透視終了後、イレウスを起こした。
10
呼吸停止、心停止、血圧低下、死亡 事例
● MRI検査幼児鎮静下、呼吸困難。
● 撮影中患者容態が悪化し意識喪失。
● CTガイド下生検中ショック状態。
● 立位パノラマ撮影時立ちくらみ顔面蒼白。
● 乳房圧迫撮影中、患者容態急変。
● 単純CT施行中、患者容態急変。食道静脈瘤出血。
● 心カテ検査時患者心停止。
● 撮影時抑制のため麻酔薬を静注、患児呼吸停止。
11
各ゾーンにおける事例の内容
一般
核医 放射線 造影 その 血管
全体に占め
CT MRI
病室 合計
撮影
学
治療 検査 他 造影
る割合,%
機械トラブル
18
9
8
3
8
13
3
14
2
78
15.7
ルート・チューブトラブル
2
30
7
3
4
2
4
2
54
10.9
患者間違い
24
11
5
3
3
1
1
5
53
10.7
転倒・転落
16
7
6
2
6
8
2
47
9.5
検査種・部位間違い
15
14
6
7
1
2
45
9.1
登録間違い
15
10
1
3
1
2
6
4
42
8.5
MRIトラブル
26
26
5.2
患者容態急変
3
8
4
2
1
1
2
21
4.2
与薬ミス
6
11
1
2
20
4.0
フィルムトラブル
9
2
3
4
1
19
3.8
患者受傷
6
3
3
12
2.4
CPUトラブル
3
1
3
1
8
1.6
病院環境
1
1
1
2
1
6
1.2
線量間違い
5
5
1.0
その他
10
10
6
7
5
6
7
7
2
60
12.1
合計
119 110
74
41
39
37
33
30
13 496
100
全体に占める割合,% 24.0 22.2 14.9 8.3
7.9 7.5 6.7 6.0 2.6 100
第34回 全国国立大学 放射線診療部門会議 将来構想小委員会
12
造影剤、薬剤副作用
● 注腸検査終了後、患者が失神した。
● ブスコパン注射後、気分不良となった。
● 造影剤注入後、すぐに嘔吐した。
● IVP検査時、造影剤注入後気道狭窄を起こした。
挿管し、気道を確保した。
● IVP検査時、造影剤注入後、患者がかゆみを訴え、
発疹が出てきた。
● 造影を行ったら患者の気分が悪くなり嘔吐した。
● 薬剤負荷後の患者が倒れそうになった。
13
造影剤使用の禁忌について
14
造影剤副作用の大規模調査
15
造影剤副作用発現の危険因子
● 造影剤副作用歴
● アレルギー歴(特に喘息)
● 心疾患
● イオン性造影剤の使用
16
重症度別副作用発現率
17
症状別発現率
18
遅発性副作用について
19
遅発性副作用発現までの時間
20
遅発性副作用の継続時間
21
承諾書の有無について
造影CT
血管造影
無回答
20%
病院の
形式
37%
放射線
部の形
式
16%
診療科
の
形式
27%
無回答
7%
放射線部
の形式
27%
診療科の
形式
7%
なし
44%
病院の
その他 形式
9%
4%
『国立大学医学部附属病院、歯学部附属病院、研究所附属病院の
放射線部における リスク マネージメン トに関するアン ケート調査結果報告書』より
2002年1月現在、45施設から の回答結果(回答率78.9%)
22
造影剤使用時には
検査承諾書
造影剤使用承諾書
造影剤使用歴
造影剤副作用歴
喘息、アレルギー歴の有無
緊急処置の行なえる環境
(救急カート、緊急時応援体制、スタッフ)
23
24
こんなときどうしますか?
CT検査を受けた患者
さんが、検査終了後、
更衣室にて倒れました。
たまたまそこを通りか
かったあなたはどうしま
すか?
25
さあ、どうしましょう。。。
救急車を呼
ぶ!
26
さあ、どうしましょう。。。
1.救急コールをする。
2.人工呼吸を行なう。
3.意識の確認を行なう。
4.知らないふりをする。
27
倒れた人を見かけたら。。。
意識の確認を行なう。
人を呼ぶ。
救急コールを行なう。
28
CPRチーム到着まで
嘔気、発疹あり。大丈夫ですかとの問い
かけに対し、「大丈夫です。」との反応
あったが、除々に血圧、意識レベル低下
する。血圧測定不能。
CPRコール。
CPRチーム到着まで
気道確保を行っていた。
29
CPRチーム到着の後。。
O210L/minアンビュー換気開始。
ST3200⇒ヴィーンFへ輸液変更。
除々に血圧が上昇し(70/30mmHg)。
呼名反応あり。アンビュー下
SaO296%のため、 O25L/minに変更。
頭部CT撮影後O2Off。嘔気消失。
会話可能となり、救命センターへ搬
送となった。
30
何が起きたのか?
HCC患者の腹部造影CT後であった。
今まで造影剤副作用はなかったとのこと(患者)。
頭部CTでは頭蓋内に転移所見が見られた。
造影剤の副作用による
アナフィラキシーショックが原因
31
どうしたらいいのか?
32
1.ショックについて
2.意識障害について
33
1.ショックについて
2.意識障害について
34
こんなんとちゃいまっせ!
彼、彼女にふられた
気にしていることを言われた。
この店やめとけばよかった。
見てはならないものを見た。
35
ショックとは
『急性の全身性循環不全で、重要臓器や細胞の機能
を維持するのに十分な血液循環が得られない結果
発生する種々の異常を伴った状態 』
である。
ショックの本態は『末梢循環不全』であり、臨床上とらえ
られる『血圧低下』などはひとつの症状にすぎない。
生命を脅かす危険な状態
36
ショックとは
わかりやすく言えば
重要な臓器に必要な血液が流れていない。
血液
酸素
十分な酸素を
含んだ血液
37
ショックの5徴(5P)
蒼白
(Parllor)
脈拍触知不能 (Pulselessness)
虚脱
(Prostration)
冷汗
(Perspiration)
呼吸不全
(Pulmonary
insufficiency)
38
ショックの診断基準
1.血圧低下 と 2.小項目3項目以上の場合
⇒ ショック と診断する。
1.血圧低下(30分以上持続)
収縮期血圧 90mmHg 以下
平時の収縮期血圧が150mmHg以上の場合
平時より60mmHg以上の血圧下降
平時の収縮期血圧が110mmHg以下の場合
平時より20mmHg以上の血圧下降
39
ショックの診断基準
2. 小項目(3項目以上を満足)
1 心拍数100回/分以上
2 微弱な脈拍
3 爪床の毛細血管のrefilling遅延
そうしょう
(圧迫解除後2秒以上)
4 意識障害(JCS2桁以上または
GCS10点以下)、または不穏・興奮状態
5 乏尿・無尿(0.5ml/kg/hr以下)
6 皮膚蒼白と冷汗、または39度以上の
発熱(感染性ショックの場合)
40
重症度(ショックスコア)
スコア
0
1
2
3
収縮期血圧
B P≧ 1 00
B P≧ 80
BP ≧ 60
B P<6 0
HR≦ 10 0
HR ≦ 120
HR≦ 1 40
HR> 14 0
(mmHg)
脈拍 数
(beat/分)
BE
| BE |≦ 5 | BE |≦ 1 0 | BE |≦ 15 | BE | >1 5
(mEq/L)
尿量
UV ≧ 50
25 ≦ UV < 50 0 ≦UV< 25
UV=0
清明
興 奮か ら軽 度 著 名 な応 答
の応答遅延
遅延
昏睡
(ml/hr)
意識状態
5項目の合計スコア
0∼4 : ショックでない
5∼10 : 中等症
11∼15 : 重症
41
血圧を規定する因子
● 循環血液量
● 心拍出量
● 末梢血管抵抗
血圧=1回拍出量×心拍数×末梢血管抵抗
(心拍出量)
42
血液循環の3要素
組織や細胞へ正常に血液を循環させるために必要な要素
① ボリューム
十分な血液や体液を保つことのできる循環血液量
② ポンプ機能
組織の要求に応えられるだけの血液を駆出
(心拍出)できる心臓の正常なポンプ機能
③ チューブ
心拍出量や循環血液量の変化に応じて血管の緊
張度(末梢血管抵抗)を調整できる正常な血管系
43
血液循環の3要素とショック
前負荷↓
循環血液量
(ボリューム)
心拍出量↓
循環障害
減少
循環血液量
減少性ショック
正常
閉鎖性ショック
ポンプ機能↓
収縮力低下
機械的障害
不整脈
血管抵抗↓
( チューブ)
心原性ショック
その他のショック
感染性ショック
アナフィラキシー
ショック
神経原性ショック
44
ショックの分類
前負荷↓
循環血液量
(ボリューム)
心拍出量↓
循環障害
減少
循環血液量
減少性ショック
正常
閉鎖性ショック
①
ポンプ機能↓
収縮力低下
機械的障害
不整脈
血管抵抗↓
( チューブ)
②
心原性ショック
③
その他のショック
感染性ショック
アナフィラキシー
ショック
神経原性ショック
45
① 循環血液量減少性ショック
血管内の血液量が絶対的に減少するために起こる。
出血(外出血、内出血)
外傷、大動脈瘤破裂、
消化管出血、子宮外妊娠破裂
脱水(血漿、消化管液、汗など)
広範囲熱傷(挫滅創からの血漿成分漏出)
腸閉塞、重症の下痢、大量の発汗などによる
体液喪失
46
正常
出血性ショック
循環血液量減少
ショック初期
血圧
CVP
心臓
血圧
CVP
心臓
循環血液量の低下を血管収縮と心拍数の増加で
代償できなくなると血圧が低下する。
47
② 心原性ショック
収縮力低下(急性心筋梗塞、劇症型心筋炎など)
心拍出量が減少し、肺うっ血、静脈うっ血を伴う。
機械的障害(大動脈弁逆流など)
血液の流れが悪く(逆流など)心拍出量が減少
不整脈
頻脈性不整脈(150bpm以上)や
除脈性不整脈による心拍出量減少
48
注) 閉塞性ショック
心拡張障害による心拍出量低下。循環血液量は正常。
緊張性気胸
心タンポナーデ
胸腔内圧上昇⇒心拡張制限
縦隔偏位による下大静脈圧迫
⇒静脈環流低下
心嚢に血液が貯留
⇒心拡張制限
49
③ その他のショック
血管抵抗の低下、血管透過性亢進により起こる。
感染性ショック
アナフィラキシーショック
緊張
神経原性ショック
緊張
50
1.ショックについて
2.意識障害について
51
意識障害とは
定義:
「感覚・知覚・注意・記憶・認知・思考・判断
などの精神機能の一過性ないし持続性の障害」
実際:
「意識の明瞭度」:刺激(痛覚刺激、音刺激)に覚醒するか
「意識の内容」:見当識の程度(月日、時間、場所など)に
正しく答えられるか。
52
失神(発作)とは
「脳血流が急激に減少したために
生じる一過性の意識消失(発作)」
意識が回復しない場合
⇒
意識障害
53
失神の病態
1.起立性低血圧
交換神経の活動低下で、仰臥位から起立すると
きに起こる末梢血管の収縮が起こらず、直立姿勢
では心拍出量が減少、脳血流量が低下する。
2.血管迷走神経反射
迷走神経の活動が活発になり交感神経の活動
が低下。心拍数は低下し末梢血管が拡張する。脳
血流が低下する。
54
失神の病態
3.過換気
過換気によりPaco2は低下し、そのため脳血管が収
縮、脳血流が低下する。
4.心律動異常
頻脈性の不整脈や徐脈せいの不整脈のために、
心拍出量が減少し、脳血流が低下する。
5.ヒステリー発作
精神疾患のひとつ。意識的にせよ無意識にせよ、
神して他人の意識を引こうとする反応
55
意識障害
一次性病変 :頭蓋内に病変がある場合
脳出血、脳梗塞、てんかん、頭部外傷など
二次性病変 :頭蓋外に原因がある場合
循環障害、低酸素血症、異常体温、
電解質の異常、出血性ショックなど
56
GCS(Glasgow Coma Scale)
意識障害の指標で、開眼、言語反応、運動反応の3つについて、点数化したもの
A. 開 眼 機 能
a. 自発 的に 、 また は普 通の 呼 び掛 けに より 開眼 す る
b. 大き な声 に より 開眼 する
c. 痛み 刺激 に より 開眼 する
d. 刺激 をし て も開 眼し ない
B. 発 語 機 能
a. 見当 識( 人 、場 所、時 間) が保 たれ て いる
b. 会話 は成 立 する が、 混乱し 、見 当識 障 害が ある
c. 発語 はあ る が、会 話は 成立 しな い
d. 理解 でき な い音 声 を発 する
e. 発語し ない
C. 運 動 機 能
点数
4
3
2
1
点数
5
4
3
2
1
点数
a. 命令 に従 っ て、 手足 を動 か す
6
b. 痛み 刺激 に 対し 、そ の部 位 に手 足を 持っ てい き 、払 いの ける
5
c. 四肢 の指 先 への 刺激に 対し て、 引っ 込 める
4
d. 痛み 刺激 に 対し て、四 肢の 緩徐 に屈 曲 する
3
e. 痛み 刺激 に 対し て、 四肢 を 伸展 する
2
f. 痛み 刺激 に 対し て、全 く動 かな い
1
合計 15点
A, B, C各項の点数の合計により、意識障害の重傷度とする。
A+B+C=3-15点、最重症は3点、最軽症は15点である。
一般に8点以下を重症としている。
57
JCS(Japan Coma Scale : 3-3-9度方式)
覚醒の程度によって分類したもの。分類のやり方から、3-3-9度方式とも呼ばれま
す。数値が大きくなるほど意識障害が重い
II I . 刺 激 を し ても 覚 醒 し な い (3 桁 の 点 数で 表 現 )
3. 痛み刺 激にまったく反 応しない
300
2. 痛み刺 激で手足を動か したり、顔を しかめる
200
1. 痛み刺 激に対し、払い のけるような動作をす る
100
II . 刺激 す る と 覚 醒す る 状態 ( 2 桁 の点 数 で 表 現 )
3. 痛み、刺 激を加えつつ 呼びかけを繰り返すと かろうじて開 眼する
30
2. 大きな声 または体をゆ さぶることに より開眼 する
20
1. 普通の呼 びかけで容易に開眼す る
10
I . 刺激 し な い で も覚 醒 し て い る状 態 (1 桁 の 点 数 で表 現 )
3. 自分の名 前、生年月日が言えな い
3
2. 見当識障 害がある
2
1. 意識清明とは言え ない
1
”R”:不穏 ”I”:糞尿失禁
例 30-R 3-I 3-A など
”A”:自発性喪失
58
59
触ったことありますか?
60
除細動の適応
総頚動脈で脈拍が触れない
心室細動(VF)
無脈性心室頻拍(pulselessVT)
のモニター波形を有する傷病者
61
除細動と救命率
(AHAガイドライン2000)
心室細動患者が無事退院できる
救命率は、
心停止後から除細動までの時間が
1分経過するごとに7∼10%
低下する。
62
心肺蘇生法とは
心肺
患者が意識障害、呼吸停止、心停止、
もしくはこれに近い状態に陥ったとき、
呼吸、循環を補助し、救命するために
行われる処置・治療をいう。
63
虚血許容時間が短い臓器は?
64
息止めが苦手な臓器
血流がカギ
心停止後
∼10秒 脳組織内の酸素が枯渇
3∼5分 脳組織内のエネルギー(ブドウ糖等)が枯渇
65
循環器系と血流分布
66
脳血流の自動調節
67
心肺蘇生の目的
(CPR:CardioPulmonary Resuscitation)
最低限の脳循環と脳酸素代謝を維持し、
脳の機能を回復させる。
遷延性意識障害(いわゆる植物状態)では
本人、家族にとっても幸せではない。
心肺脳蘇生法CPCR
(CPCR:CardioPulmonary Cerebral Resuscitation)
68
心停止が先か?呼吸停止が先
か?
心停止が起きると
10∼15秒 意識消失
∼30秒 不規則な呼吸
∼ 1分 呼吸停止
呼吸が停止すると
5∼12分 心停止
一定の時間が経過すると、心停止と呼吸
停止は必ず合併し、心肺停止状態となる。
69
ドリンカーの生存曲線
蘇生率
死亡率
呼吸停止(間もなく、または
ほとんど同時に心停止とな
る)からの経過時間と蘇生
の可能性を示したもの
(Drinke r.P : WHO報告書
1996)
3分までに蘇生を開始すると
75%以上の蘇生率
70
カーラーの曲線
臓停止、呼吸停止、出血などの緊急事態に
おける経過時間と死亡率の関係
心停止
呼吸停止
3分
10分
死亡率 50%
71
AHAガイドライン2000
心室細動から除細動が行われるべき時間
院内発生 発症から3分以内
院外発生 発症から5分以内
あなたの施設で可能ですか?
72
AHAガイドライン2000
(American Heart Assocition
アメリカ心臓協会による心肺蘇生法のガイドライン)
世界中の論文を吟味、科学的に分析し、これまで経
験的に行われていた心肺蘇生法をEBM(Evidence
Based Medicine)に基づいて、処置・治療を科学的
根拠により有用性別にクラス分けした。
73
AHAガイドライン2000
(日本の救急蘇生法の指針も準拠しているガイドライン)
救命の連鎖 chain of survival
迅速な
通報
迅速な
心肺蘇生
迅速な
除細動
2次
救命処置
)
BLS*
一次救命処置
*)
)
ACLS *
二次救命処置
BLS :Basic L ife S upport
ACLS :Advanced Cardiovascular L ife S upport
74
G2000の概要
Primary ABCD
A: 気道確保 (頭部後屈顎先挙上、下顎挙上)
B: 呼吸確認 ⇒ 人工呼吸
C: 循環の確認 ⇒ 心臓マッサージ
D: 早期除細動 AED*、モニタ付除細動器
SecondaryABCD
A: 気道確保 (気管挿管)
B: 十分な酸素化と換気
C: 静脈路の確保、心電図に基づく薬剤投与
D: 鑑別診断
*)自動体外式除細動器 AED ( Automated External Defibrillator )
75
除細動の必要な心電図波形
VF(心室細動)
心筋が無秩序に興奮してい
る状態。QRS波を同定できな
い。最も助かる可能性のある
心停止。
Pulseless VT(無脈性心室頻
拍)
幅広QRS波頻拍を示し、脈が触
れない。VFとともに助かる可能
性のある心停止。早期除細動が
救命のカギ!
76
除細動の無効な心電図波形
PEA
心筋の電気活動は認めるが脈が触れ
ない状態。心電図上はVF、VT以外の
あらゆる波形を含む。原因の除去を
迅速に行えば助かる可能性を秘めて
いる。除細動は行わない。
Asystole
いわゆるFlat Line。P波のみを認める
場合、心拍数6/分以下の除脈は
Asystoleに含む。救命の可能性は低く、
Asystoleを見た場合は本当にAsystole
なのかDNAR orderがないかといった
確認が重要となる。除細動は禁忌。
77
78
患者急変時の対応の実際
ー 当施設における経験 −
1.放射線部内緊急連絡システム
2.院内救急システム
(CPRコールシステム)
3.緊急時シミュレーション
79
1.放射線部内緊急連絡システム
80
大阪大学医学部附属病院 放射線部 レイアウト図
一般撮影
消化管
CT
TV
Ns
血管造影
81
大阪大学医学部附属病院 放射線部
救命セン
ター
一般撮影
消化管
CT
TV
Ns
血管造影
82
一般撮影ゾーン
特徴: 患者情報が乏しい。
放射線技師のみで業務が行われることが多い。
患者から目を離す機会が多い。
(フィルム処理など)
83
事例件数の多い一般撮影ゾーン
あなたの施設はどちら?
廊 下
操作 室
廊 下
操作 室
撮影室がわかりやすい。
患者急変時のアクセスが容易。
84
当院の
一般撮影
ゾーン
85
一般撮影室の緊急ブザー
86
一般撮影室の操作室
87
一般撮影室の操作室
88
一般撮影室の廊下
89
一般撮影室の廊下
90
廊下側からの呼び出し
91
9番撮影室のブザー
92
大阪大学医学部附属病院
放射線部内 緊急ブザー
救命セン
ター
一般撮影
消化管
CT
TV
Ns
血管造影
93
事例1) 撮影中の突然の意識混濁への対応
乳房圧迫撮影中、撮影をしようと患者
のそばから離れようとしたとき、患者が
前のめりになり意識を喪失した。
「大丈夫ですか?」と声をかけたが
返事はなかった。担当の技師は患者
の体を抱きかかえ、圧迫を解除した。
患者を抱きかかえながら、「誰か来て
下さい!」と大声で助けを求めた。
94
事例1) 実際に行った対応
近くにいた技師が駆けつけた。
その後すぐに緊急ブザーを押し
た。外来主治医へも連絡した。
血圧計にて血圧を測定した
(血圧はほぼ正常)。その後、
看護師が運んできたストレッチャー
に患者を寝かした。しばらく様子を
みているうちに意識が戻ってきた。
血圧の観察以外に処置は行わな
かった。
95
事例1) この事例から学べること
撮影中、撮影後は患者からできるだけ
目を離さない。
撮影台の近くに緊急ブザーを設置した
ほうがよいのでは?
96
事例2) 入院当日の患者撮影時、
脱衣の途中で容態が急変した。
患者を呼び入れ、脱衣を指示し
た。更衣室に入るとき、患者が
少しフラついていたので、駆け
寄って容態を尋ねた。「少しくら
くらするけど大丈夫」とのことで
あったが、かなりしんどそうであ
り、狭心症の患者でもあるため、
更衣室の椅子に座らせた。緊
急ブザーにて応援を要請した。
97
事例2) 実際に行った対応
病棟へ連絡、近くにいた循環器
内科の先生へ連絡した。血圧測
定と問診を行う。問診の途中で
狭心症の発作が起こり、ニトロ舌
下にて症状が治まった。12誘導
心電図装置を総合外来にとりに
行った。放射線部のストレッ
チャーにて病棟へ帰って頂く。
98
事例2) この事例から学べること
入院当日で病棟スタッフも患者の状態を
把握できていなかった。
容態急変のハイリスク患者であると認識
していなかった。
担当技師が容態急変の兆候を察知した。
現場に配置していない緊急用器材(12誘
導心電図装置)の場所を把握していた。
99
100
大阪大学医学部附属病院 放射線部
救命セン
ター
一般撮影
消化管
CT
TV
Ns
血管造影
101
造影検査ゾーン
(アンギオ、心カテ、TV)
特徴: 患者情報が豊富である。
医師、看護師との業務が多い。
侵襲的な検査を行うため容態急変が起こり
やすい。
102
造影検査ゾーン
103
血管造影ゾーン
104
心カテゾーン
105
106
TV検査ゾーン
107
各検査室内の緊急ブザー
108
大阪大学医学部附属病院
放射線部 緊急ブザー
救命セン
ター
一般撮影
消化管
CT
TV
Ns
血管造影
109
放射線部内緊急連絡システム
110
緊急ブザー
111
緊急ブザー
112
ナースステーション
113
事例3) 造影検査ゾーンでの事例
心臓カテーテル検査中、
スワンガンツカテーテル
挿入時、ECGフラット、心
停止となった。
114
事例3) 実際に行った対応
除細動器による除細動200Jを1回行うこ
とにより、心停止を解除することができた。
115
事例3) この事例から学べること
カテーテルが心臓に達していない時点で
心停止が起きることもある。
心停止後の対応が冷静かつ迅速であった。
116
事例4) 造影検査ゾーンでの事例
肝細胞癌の治療のため抗がん剤の
動脈塞栓術を開始後しばらくして、
胸痛が出現した。通常の抗がん剤
治療時の痛がる様子とは少し異なっ
た様子であった。患者は20年前に
心筋梗塞の既往がある。
117
事例4) 実際に行った対応
循環器内科の先生に診てもらい、
12誘導心電図を行ったが、発作
は出ていないと診断した。ペンタ
ジン投与で検査を続行した。
118
事例4) この事例から学べること
患者さんの訴えをよく聞くこと。
症状を適切に評価すること。
119
120
2.院内救急システム
(CPRコールシステム)
121
各施設の心肺蘇生コール
A 「CPR! 救急外来まで」という放送を全館放送する
B TEL9番 CPRコールお願いします。○○病棟です。
C TEL77(ICU) 99(救命センター)CPRコールです。
医師に代わってください。○○病棟です。
D TEL6番 夜間212 ドクターハートお願いします。
○○病棟です。
122
院内設置のすべての電話から
123
CPR
コール
番号
124
CPRコールの問題点
患者の状態を説明するのに時間がかかる。
(ポイントが絞れない)。
CPRコール要請の場所を伝えてなかった。
場所が正しく伝わっていなかった。
( 29(番撮影室) → 西9 )
125
CPR
コール
改良後
126
CPRコール改良点
127
大阪大学医学部附属病院 放射線部
救命セン
ター
一般撮影
消化管
CT
TV
Ns
血管造影
128
129
3.緊急時シミュレーション
130
2003年シミュレーションの概要
„
内
容:
緊急時連絡体制の確認
救急カート・救急薬品の確認
患者監視装置の使用方法
気道確保と心臓マッサージ
除細動器の使用方法
グループ毎にシナリオにそったシミュレーション
131
当院における緊急時シミュレーションについて
132
133
134
救急器材
135
救急器材
背板
救急薬品
ボックス
モニタ他
136
救急薬品ボックス
137
救急薬品ボックス
138
救急薬品
ボックス
139
モニタ他
140
救急カート
141
救急カート内薬剤
142
モニター付
除細動器
143
シミュレーションを行うことによって
緊急時を想定したシナリオシミュレーションを行
うことによる利点
各スタッフが何を行うべきか整理できる。
緊急時に問題となりそうな点(時間、物品)に
ついて確認できる。
問題点に対しての準備が行える。
実際の緊急時に効率よい対応が可能となる。
144
シミュレーションで想定した状況
症例
:70歳男性 肝細胞癌
合併症 :高血圧症
血管造影検査の目的
:3回目の肝動脈塞栓術
病棟準備 :左手抹消ルート1本、
バルーンカテーテル留置
検査室入室時における状況
:自動血圧計、
サチュレーションモニタ装着、
血圧170/62mmHg、
脈拍80回/分、
SpO2 98%
抗がん剤投与開始後しばらくして容態急変となった。
145
シミュレーション実施前後での変化
146
酸素投与の場面では。。
状況:
血圧90、脈拍55⇒40へ低下後、硫アト1A投与後、
血圧60、SpO280となったなったとき、
実施前
看護師:先生、どうしましょう?
実施後
看護師:先生、どうしましょう?
検査医:とりあえず酸素流して! 検査医:酸素5L流して下さい。
看護師:何Lですか?
検査医:5L流して!
147
CPRコールの場面では。。(1/2)
状況:
その後容態はどんどん悪化していった後、
実施前
応援スタッフ:どうしたんや?
(たくさんのスタッフが集まり騒然となる。)
応援医:挿管したほうがいい
よ!
指導医:挿管を試みるが困難
(頸椎術後のため後屈ができなかった。)
応援医:CPR医を呼ぼう!
指導医:そうして下さい!
実施後
検査医:技師さん、CPRコール
お願いします。
放射線技師:CPRコールです。医
師に代わってください。放射線部
1階33番アンギオ室です。HCC
患者のTAE時、意識レベル低下、
挿管の必要があります。すぐ来
てください。救急セットはあります。
148
CPRコールの場面では。。 (2/2)
状況:
その後容態はどんどん悪化していった後、
実施前
応援スタッフ:どこに電話したら
いいんですか?
(電話帳を調べる)
実施後
検査医:主治医の先生、肩枕を
入れてアンビュー換気をお願
いします。
検査医:挿管の準備お願いしま
す。
看護師C :私が連絡します。
放射線部です。アンギオ検査
中、挿管できません。すぐ来
CPR医到着、経口挿管施行
てください。(ガチャン)
149
VFの場面では。。
状況:
経口挿管の後、VF(心室細動)が起こった後、
実施前
実施後
CPR医:あっ!VF。心臓マッサー CPR医:あっ!VF。心臓マッサー
ジ、ベッド高すぎる。踏み台持っ ジ。踏み台持ってきて!
CPR医:ボスミン1A用意して!
てきて!
看護師B:ボスミン1A用意しました。
CPR医:VF!DC用意!
DCいくよ!ベッドから離れて! CPR医:DC用意!DCいくよ!
(各スタッフはベッドから離れている。)
そこ早く離れてくれ!
CPR医:ボスミン1A用意して!
看護師D:ボスミン1A吸いました。
看護師E:えっ、私も吸ったよ。
150
シミュレーション実施のポイント
リーダーシップ
:リーダーを明確に!
指示出し・受け・実施 :明確・復唱・記録
機器類
をしっかりと!
:コンセント接続、充電
救急カート
:各検査室、部門に設置。
カート内物品は同じ配列で!
定期点検を実施。
配置・未配置物品の明確化:
常備しているもの、していな
いものを明確に!各部署に
周知徹底!
151
Evidence Based Medicine
PLAN
これが
いいだろう
改善した
DO
ACTION
CHECK
やって
みた
評価
してみた
152
安全な放射線診療への継続的活動
PLAN
これが
いいだろう
改善した
DO
ACTION
CHECK
やって
みた
評価
してみた
153
154
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