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焼却処理を想定した鳥インフルエンザ防疫シミュレーション 中央家畜保健

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焼却処理を想定した鳥インフルエンザ防疫シミュレーション 中央家畜保健
焼却処理を想定した鳥インフルエンザ防疫シミュレーション
中央家畜保健衛生所
さとうあきひこ
佐藤明彦
1, 背景
鳥インフルエンザ(以下 AI)発生時の円滑な防疫活動のため、本県では各農場の AI 防
疫シミュレーションを作成している。しかし、各農場における防疫作業や焼却処理施設等
の条件は多様で、机上だけで想定することは難しい。今般、管内にある 3 か所の焼却処理
施設において家きんの焼却試験を実施し、その結果をもとにより精度の高い防疫シミュレ
ーションを作成した。試験を実施した A,B,C 焼却施設の燃焼方式はそれぞれ連続燃焼式ス
トーカー炉、流動炉床式ガス化炉、連続燃焼式ストーカー炉であり、1日当たりの焼却能
力はそれぞれ 100t×2 基、65t×2 基、120t×1 基であった。(表 1)
表 1.各焼却施設の燃焼方式及び 1 日当たり焼却能力
燃焼方式
1 日当たり
焼却能力
A 焼却施設
B 焼却施設
C 焼却施設
連続燃焼式
流動炉床式
連続燃焼式
ストーカー炉
ガス化炉
ストーカー炉
100 t ×2 基
65 t ×2 基
120 t ×1 基
2, 焼却試験
焼却試験には、殺処分した廃鶏を感染性廃棄物密閉処理容器に詰めたもの(以下、ペー
ル)を供した。ペールを実際に焼却施設へ搬入、施設内を移送、焼却し、時間当たりの移
送量及び焼却処理可能量を検証するとともに焼却炉の異常の有無を確認した。各焼却施設
での移送にはそれぞれホイストクレーン、階段、エレベーターを用い、ペールの投入量は
それぞれゴミ全体に対する重量比にして 10%、16%、13%で行った。(表 2)
表 2.各焼却施設の移送手法と材料の投入量
移送手法
ペール投入量(ゴミ全体
に対する重量比)
A 焼却施設
B 焼却施設
C 焼却施設
ホイストクレーン
階段
エレベーター
10%
16%
13%
焼却試験の結果、各焼却施設の移送可能重量は 900 ㎏/時間、600 ㎏/時間、540 ㎏/
時間であり、焼却可能重量は 830 ㎏/時間、870 ㎏/時間、540 ㎏/時間であった。(表 3)
B 施設においては焼却可能重量より移送可能重量が少ないことから、階段以外にズームリ
フト等の重機を導入することで、焼却処理の終了までの時間が短縮できると考えられた。
また、すべての焼却施設において、焼却灰や焼却炉に燃え残りや液ダレ等の異常は確認さ
れなかった。
表 3.焼却試験結果
移送可能重量
(kg/時間)
焼却可能重量
(kg/時間)
A 焼却施設
B 焼却施設
C 焼却施設
900
600
2160
830
870
540
3, 防疫シミュレーションの作成
各焼却施設の管内にある 31 農場について、防疫シミュレーションを作成した。従来の本
県シミュレーション作成ルールと焼却試験結果から明らかとなった移送可能重量と焼却可
能重量を基に、焼却処理作業の所要時間の算出と作業工程表の作成を行った。各焼却施設
管内農場の飼養規模はそれぞれ 5.9~18.7 千羽、0.6~83.7 千羽、0.3~25 千羽であり、焼
却処理作業の所要時間はそれぞれ 11~44 時間、3~240 時間、2~82 時間であった。
(表 4)
表 4.各焼却施設管内の農場における焼却処理作業の所要時間
管内農場飼養規模
(千羽)
焼却処理所要時間
(時間)
A 焼却施設
B 焼却施設
C 焼却施設
(4 農場)
(23 農場)
(4 農場)
5.9~18.7
0.6~83.7
0.3~25
11~44
3~240
2~82
各農場の作業工程表については、従来「焼却処理」として一括りにしていた工程を細分
化し、現実的な防疫シミュレーションに改善できた。(図 1)
従来の作業
業工程表
改善後の作
作業工程表
表
図 1. 作
作業工程表
表改善イメー
ージ
4, まとめ
め
焼却試験
験を行うこ
ことで、より精度の高
高い AI 防疫
疫シミュレ
レーションが
が作成でき
きた。実際
に処理物を
を搬入し、試験結果に
に基づいた
たシミュレー
ーションを
を示すことで
で、防疫作
作業が具体
的にイメー
ージしやす
すくなり、家畜保健衛
家
衛生所のみな
ならず各焼
焼却施設が理
理解する手
手助けにな
った。今後
後、他の焼
焼却施設にお
おいても同
同様な焼却試
試験を実施
施し、正確な
な防疫シミュレーシ
ョンを共有
有すること
とで、より強
強固な AI 防
防疫体制の
の構築につなげていく
く。
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