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沖縄県内の最近のホテル稼働状況について
平成 27年 11月 27日 各 位 「沖縄県内の最近のホテル稼働状況について」の発表について りゅうぎん総合研究所は、本日、トピック「沖縄県内の最近のホテル稼働状況につい て」を発表いたしました。 県内のホテル稼働状況は、需要の高まりをうけて客室稼働率に加えて客室単価も上昇 しており、ホテル業界全体が好調であることが示されています。 株式会社りゅうぎん総合研究所 代表取締役社長 池端 透 担当:城間 秋乃 連絡先:(098)8 35 ‐4 65 0 トピック:沖縄県内の最近のホテル稼働状況について 1. はじめに 2 0 0 8年9月のリーマンショック以降、県内主要ホテルの稼働状況は、景気後退に加え新 設ホテル建設ラッシュによる需要の奪い合いなどからしばらく低迷した。しかし、2 0 1 2年 度からはじまった沖縄振興予算の増額や 2 0 1 3年からの量的・質的金融緩和政策などから県 内の景気は底入れ後回復し、2 0 1 3年ごろに拡大に転じた。景気の拡大にともない、ホテル 稼働状況も客室稼働率、客室単価ともに上昇傾向にある。 そこで、ここでは足元のホテル稼働状況はリーマンショック前のピーク時の水準に回復 しているかをみるために、リーマンショック前年の 2 0 0 7年から直近 2 0 1 5年9月までのホ テル稼働状況をみてみる。 なお、年別推移では 2 0 0 7年から継続的に調査を行っている 1 9ホテル(市内7ホテル、リ ゾート 1 2ホテル)を対象とし各年の1~9月を抽出したものであり、弊社が過去に公表し たホテル関連の数値とは相違があることに注意されたい。 2. ホテル稼働状況 県内主要ホテルの稼働状況をみると、 客室稼働率は 2 0 0 7年をピークにその後低下し、2 0 1 1 年には 6 6. 3 %まで落ち込んだ。2 0 1 2年以降は上昇し、2 0 1 5年は 8 1 . 1 %とリーマンショック 前のピーク時を上回る水準で推移している。一方の宿泊客室単価は、客室稼働率が上昇した 3年後の 2 0 1 5年から上昇基調に転じているものの、リーマンショック前のピーク時の水準 までは回復していないことが分かる(図表1) 。現状のホテル稼働状況は、需要の高まりを うけて客室稼働率に加えて客室単価も上昇しており、ホテル業界全体が好調であることを 示している。 (図表1)県内主要ホテルの稼働状況 (%) 105.0 105.0 100.0 100.0 95.0 90.0 宿泊客室単価: 2 00 8 年を 1 00 とした場合 97.4 96.7 客室単価(右軸) 95.0 89.5 87.5 85.0 80.0 79.5 88.5 85.3 83.6 82.9 79.6 81.1 71.9 70.0 65.0 2007 08 09 75.1 66.3 69.8 90.0 85.0 客室稼働率(左軸) 77.7 75.0 100.0 80.0 75.0 70.0 70.4 65.0 10 11 12 13 (出所)りゅうぎん総合研究所 (注1)サンプル数 1 9 ホテル(市内7ホテル、リゾート 1 2 ホテル) (注2)各年、1~ 9 月の値 14 2015年 客室単価の推移をホテルタイプ別でみると、①リゾートホテルは 2 0 1 4年を底に上昇傾向 にあること、②市内ホテルは客室単価の低下が著しかったものの、2 0 1 3年を底に上昇傾向 にあることが分かる(図表2)。市内ホテルでは、リーマンショック以降、ホテル数の増加 のため限られた需要を奪い合う形で競争が激化し、その影響などを受けて客室単価は下降 していた。しかし、外国人観光客をはじめとした観光客の増加などを背景にリゾートホテル より1年早く上昇に転じている。 (図表2)客室単価のホテルタイプ別推移 105.0 ※2 00 8 年を 1 00 とした場合 100.0 リゾートホテル 95.0 90.0 85.0 市内ホテル 80.0 75.0 70.0 2007 08 09 10 11 12 13 14 2015年 (出所)りゅうぎん総合研究所 (注1)サンプル数 1 9 ホテル(市内7ホテル、リゾート 1 2 ホテル) (注2)各年、1~ 9 月の値 2 0 1 5年の月別推移をみると、①9月の客室稼働率が8月を上回っていること、②リゾー トホテルと比較し市内ホテルの客室単価の前年比の伸び幅が大きいことが特徴として挙げ られる(図表3) 。 通常、県内ホテルは8月がトップシーズンで客室稼働率、客室単価ともに年間で最も高い 数字となるが、2 0 1 4年および 1 5年の客室稼働率は8月と比較して9月の方が高い。8月は 高稼働であることから、客室稼働率よりも客室単価重視の運営にシフトしている動きが見 受けられる。 リゾートホテルと比較し市内ホテルの客室単価の伸び幅が大きい要因は、買い物目的で 訪れる外国人観光客の多くが市内ホテルに好んで宿泊する傾向にあることや、空港に近い という利点からリゾートホテルよりも台風の影響が小さかったことなどが挙げられる。 また、通常、外国人観光客は国内客よりも低く室料の価格設定がされているが、少しずつ ではあるものの国内客の価格水準に近づいている。外国人観光客向けの室料の上昇も、全体 の客室単価上昇に寄与している。旺盛な旅行需要を背景に、ホテル業界では室料を上げる機 運が高まっていることが分かる。 (図表3)2015年ホテル稼働状況 110.0 (%) 30.0 105.0 20.0 100.0 10.0 95.0 0.0 90.0 -1 0.0 85.0 -2 0.0 80.0 -3 0.0 75.0 -4 0.0 70.0 -5 0.0 (%) 65.0 -6 0.0 1 (左軸) 2 3 客室稼働率 (右軸)客室単価(前年同月比) 4 5 6 7 8 9月 総合計 市内 リゾート 総合計 市内 リゾート (出所)りゅうぎん総合研究所 (注)サンプル数 2 7 ホテル(市内 1 0 ホテル、リゾート 1 7 ホテル) 3.まとめ 客室稼働率はリーマンショック前のピーク時を上回る水準で推移している一方、客室単 価はリーマンショック前のピーク時の水準に回復するまでには多少の時間を要するとみら れる。客室稼働率は高止まりの傾向もみられ、需要の高まりに供給が追いつかない事態が懸 念されるなどの課題はあるものの、総じてホテル稼働は好調に推移しているといえよう。