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〈わきゃ牛ワイドからの抜粋〉 飼料価格が高騰しています。極端に小さな牛
〈わきゃ牛ワイドからの抜粋〉 ◎飼料価格が高騰しています。極端に小さな牛を減らしましょう。 原油価格の高騰・バイオエタノール需要拡大・中国の高成長・投資ファンドの資金流入・天候異変による穀物不足など飼料価格については値上げ要因ばかりで,下げ要因に乏しい状況です。 しかしながら,徳之島は他地域以上に良く伸びる草資源があり,市場も内地並みに体重を作らなくても評価してくれます。つまり,今のところは極端に小さな子牛さえ出荷しなければある程度の子牛単価が見込まれます。そこで,極端に小さな牛をつくらず,少しでも大きくする ために・・・ ☆ 水をしっかり“いつでも”飲める環境にしてあげましょう。 の時だけ水を与えてる人や異臭を放つ水を与えている人を見かけます。 ☆ 下痢や咳をするときは早めに獣医に相談し,治療しましょう。また衛生環境を整えましょう。(消毒・換気・敷き料・水など) ☆ 適正な日齢で出荷しましょう。 ☆ が高くなったからといって飼料の急変はさけましょう。どうしても替えたいときは,新しい を徐々に混ぜて,最低1週間はかけて切り替えましょう。 ☆ 母牛の大きさにもよりますが的確な増飼いで生時体重が大きくなります。事故のない範囲で大きく産ませれば楽に大きく育ちます。 ☆ 育成初期の飼料をケチらない。体高は,はじめの3ヵ月で20㎝・次の3ヵ月で15㎝・最後の3ヵ月で10㎝伸びます。そこで,高タンパク質の ましょう。体高さえしっかり出来れば,後半は比較的楽に粗飼料主体で体重をつくることが出来ます。 付け飼料が大事になります。(値段は高いけど,量としては少ししか食べません)離乳時に1kg以上食べ込ませるようにし ☆ ただし,育成後半でも最低3kgは濃厚飼料をあげましょう。出荷前の子牛は草だけでは大きくなりません。セリへの出荷状況をみると240日から300日の間でそう大きくなっていません。 ◎自給粗飼料調査結果から言えること 平成20年1月末から2月上旬にかけてロールの成分分析と母牛への飼料給与状況の調査を行いましたでの調査結果の一部を紹介します。 表1 徳之島のローズグラスのロールの成分分析値 乾物率( 100 −水分) NPK 最高 87.012.23.256.235.115.943.671.756.322.216.213.2 最低 24.05.70.838.325.110.430.757.853.30.00.00.0 平均 68.17.81.946.231.113.037.464.955.88.53.32.8 基準・出穂前− 16.74.135.029.714.535.061.152.6 基準・出穂期− 10.32.240.833.113.638.965.655.05.0 粗蛋白 5.0 追肥成分換算量 TDN 粗脂肪 NFE 粗繊維粗灰分 ADFNDF (成分分析結果) 一般的な,ローズグラスの成分値に比べると,粗蛋白で不足するものが多く見られました。出穂後蛋白が減少傾向になることから,全般的な刈り取り遅れが考えられます。 (追肥分析結果) 追肥を,全く行っていない圃場から成分に換算して窒素 22kg (尿素 2.5 袋程度)投入している圃場まで色々な形態がありました。追肥と成分・収量等を比較してみると,必ずしも窒素肥料の追肥を多く行った方が良いとは言えません。一方 K 表2 肥料毎の成分と成分量 NPKNPKBB5521515123.03.02.4BB5015103.02.0 キビエース 151383.02.61.6 キビ配444 1414142.82.82.8 尿素 469.2 硫安 214.2 成分(%)1袋当たりの成分量(kg) 追肥の基準としては N ・ K それぞれ5kg/ 10a です (カリ)については,基準程度散布している圃場で, NFE (糖やデンプンなど)が高い傾向にありました。 適正な追肥の量は, BB 肥料などの場合だと2袋/10a程度,尿素だと 30a に2袋程度が目安になりますが,極力 K (カリ)が含まれる配合肥料を使用しましょう。 また,長年窒素肥料を多用してきた圃場では土壌の酸性化が進んでいる可能性があります。 PH 等を測定してもらい,追肥でも苦土石灰等の散布を行いましょう。 (考えられること) 刈り取りを遅らせると,収量は増えますが,成分としては低下します。収量と成分のバランスを考えると穂が出始めたら刈り取りを始めることが理想です。 現実には,飼料畑面積と頭数のバランスがあるので量を重視する場合はある程度刈遅れさせる場合もあります。その際は,草の品質を調べた上で濃厚飼料の利用方法を考えることが重要になります。 また,青草給与の場合は必要量だけの刈り取りになるので適期に刈り取ることが難しくなります。 そこで,飼料畑に余裕があり,ロールベーラーなど収穫機をもっている人は適期の刈り取りを出来るだけ行いましょう。 次ページに良い草がつくれた場合の試算をのせてあります。飼料価格が高騰しているので,もう一度自給粗飼料について考えてみましょう。 ◎もしも子牛用の草をつくれたら? 調査したローズグラスの,粗タンパク質率は5.7∼12.2%の間で平均は7.8%でした。 成分は,子牛用に購入している乾草と大差ありません。 ただし,子牛用に購入乾草のように使うためにはたくさん食べられて,腐敗しないように,ある程度,乾燥させる必要があります。乾燥させる際は濡らさないように天候を考える必要があります。 仮に,購入乾草並のものができたと仮定して試算をしてみました。 まずは,年間 8000kg/10a (生草・水分 82% )草がとれると仮定します。 乾草換算すると乾草の水分は 14% 程度なので 1,676kg/10a の乾草がとれることになります。 これは,出荷までの子牛4.5頭分に相当(マニュアルでは)します。 1,676kg 80 円(購入乾草のkg単価) =134,080 円の売上げになります。 当然,経費もある程度かかるので差額分について経費を圧縮することが可能になります。ただし,狭い面積で高い機械を買うと逆に高くなる場合もあります。 ◎もしもタンパク質の高い草をつくれたら,増飼いは? 表:蛋白質の高い(12.2%)草と低い草(5.7%)での濃厚飼料の量の比較 粗飼料(乾物量)濃厚飼料(乾物量) DM (食べる量) CPTDN 妊娠後期 7.250100133102 維 持 6.100100133102 妊娠後期 4.802.80100100120 維 持 4.801.50101100123 一番良草一番悪草 調査した中で,タンパク質が一番高かった草と一番低かった草で,母牛の管理について,飼養標準に基づき計算をしました。一番良い草ではしっかり量さえ食べられれば濃厚飼料は計算上必要ありませんでしたが,一番悪い草の場合は通常時1.5kg妊娠後期には2.8kgの 濃厚飼料が必要な計算になりました。 そこで,分 間隔380日と仮定して試算してみました。 2.8kg 60 日+ 1.5kg 320 日= 648k g 濃厚飼料の単価70円と仮定すると 648kg 70 円= 45,360 円になります。 1年では, 45,360 円 380 365 = 43,569 円 つまり1年に4万3千円程度母牛1頭あたりのコストを押さえられます。