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大震災がうつ病を生み出す仕組み 大震災とストレス 生きていると様々な

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大震災がうつ病を生み出す仕組み 大震災とストレス 生きていると様々な
大震災がうつ病を生み出す仕組み
大震災とストレス
生きていると様々な出来事(ストレッサ―) 先端同士の間には隙間があります。神経
に出会います。遭遇した出来事があなたの
細胞の細長い突起の中は電気信号で情報
対処能力を超える脅威であれば、あなたの
を瞬時に伝達します。電気信号が先端に
心にストレス反応が生じます。出来事がス
達すると、信号は神経伝達物質(神経ペプ
トレスになるか、単なる出来事で終わるか、 チドホルモン)に変換して神経突起の先端
その感じ方は各自によって異なります。た
から外部へ分泌します。その物質が相手
だ、人間の対処能力をはるかに超えた過
側の神経細胞の突起先端部に受け取られ
去の大災害で、6割の被災者がストレスに
ると再び電気信号にかわります。このよう
なったことが分かっています。心が外圧で
に電気信号と神経伝達物質のリレーが一
歪んでしまう状態を、ストレスを受けた状態
瞬で駆け巡り、私たちの感情・思考ができ
と言うことにします。ストレスは心の歪のこ
るとされています。与えられた外界ストレッ
とです。
サーが同じでも、各個人の脳内情報リレー
ストレッサーには、職場や学校などの生 に参加する脳神経は、個人によって異なり
活環境ストレッサ―や、不安・緊張・恐怖な
ます。この違いが、個人の考え方や感じ方
どの心理的ストレッサ―に加えて、災害・
の違いを生みだします。同じストレッサーで
戦争・暴力などによる外傷性ストレッサ―
も、ストレスと感じる人もいれば、無関心な
があります。それぞれのストレッサ―は複
人もいます。
合的に加算されてストレスを大きくします。
各人の脳内で起きる情報リレーの道筋は
大震災に始まって、その後の避難生活で
違います。神経突起先端間の情報伝達に
生じるストレスは、外傷性ストレスにその他
関与する神経ホルモンの質や量も個人で
のストレスが加わる複合ストレスへ進むこ
異なることが知られています。
とが多いと考えられます。
神経伝達物質で馴染みがあるのは、興
心と脳
奮状態で分泌されるアドレナリンでしょう。
心で喜怒哀楽を感じると言いますが、心
心拍数を高め、筋肉や肝臓の血管拡張、
はどこにあるのでしょうか?失恋すると胸
肺の酸素取り込み効率を高めるなど闘争
が張り裂けそうだと言いますが、胸にある
能力を高める脳神経ホルモンです。
心臓はドキドキするけれど、心臓は考えた
ストレスによる脳の変化
り感じることはできません。感情や意欲、満
強いストレス下では、健康を維持するた
足や落胆は、脳で感じたり考えたりします。
めに必要な神経伝達物質のセロトニン、ノ
脳と神経
ルアドレナリン、ドーパミンが減少し、うつ
人の脳は千数百億の神経細胞でできて
病の症状があらわれます。セロトニンは睡
います。1つの神経細胞は数本の突起を
眠や生活リズム・心のバランスを保ちます。
伸ばして、別の神経細胞の 1 つの突起の
ノルアドレナリンは運動能力や気分を高め
先端近くに達して連携しています。突起の
ます。ドーパミンも運動能力を高め、やる気
や満足感を高めます。これらの 3 種の神経
伝達物質がバランスよく作用していて脳の
働きが正常に保たれるのです。ストレスは
神経伝達物質の生産を減少させ、そのバ
ランスを崩します。そのような状態では、気
分が暗くなりエネルギーが湧いてこない状
態になります。朝から沈んだ気分で力が湧
かない。不安ばかりが先立ち、やる気がな
く、食欲もない。あっさりした物ばかり食べ、
神経伝達物質やホルモンの材料になるた
んぱく質や脂肪を摂らなくなります。外出す
る気がなく、好奇心もありません。脳への
刺激が減って状態はさらに悪化し、慢性化
します。必要な神経伝達物質の産生はさら
に減少し、バランスが一層崩れます。その
ことが脳のストレス状態を悪化させて、悪
循環にはまっていきます。
うつ病とタバコ・酒・麻薬
先の新聞同封情報でお知らせしたように、
うつ病の特徴は、沈み込んだ気分が続き、
楽しさを感じず、無気力で何事にも興味を
なくしてしまう状態です。食欲が低下し睡眠
障害に陥る。その他あらゆるダメ人間の特
徴があらわれてきます。その症状が、さら
に病気を悪化させ自虐的になります。うつ
病の状態を長く続けると、自身の存在に自
信をなくし自己肯定ができなくなる。 脳の
中では、快・満足・意欲を感じる報酬系が
機能しなくなっている状態が続いています。
報酬系神経細胞ではドーパミンが情報の
主要な伝達物質です。若いとき、あるいは
年取ってからもイケイケ・ムードで「前進あ
るのみ」とイキがっている状態は、脳のドー
パミン分泌に支えられているのでしょう。
ストレスでドーパミン分泌量が低下する
と快信号を求めてニコチン、アルコール、
合成麻薬などを服用したくなります。自然
状態では、「久しぶりに皆で一杯ヤろう
か!」という心境の脳信号です。たとえば
ニコチンはドーパミンの強い代替え物質と
して働きます。ニコチンが神経突起の先端
に付着している間は快の感覚を感じます。
しかしその間、あなたを取り巻く現実は何も
解決されません。それどころか、ニコチンが
自前のドーパミンの役割を果たしたことで、
自前のドーパミン生産は落ち込みます。脳
がサボることを知っているからです。そうな
ると、一層ニコチンへの依存性が高まりま
す。アルコール依存症も、合成麻薬への依
存症も同じ仕組みで起こり、中途半端に禁
煙や禁酒をすると、ひどい禁断症状があら
われて、再び酒やタバコの支配下に屈する
ことになります。
うつ病と睡眠障害
大震災のストレスは、短時間に解決する
ものではありません。何日間も、何週間も
命に関わる困難が続きます。その場に突き
つけられた課題を克服しようとひたすらに
努力を続ける時間の積み重ねです。それ
でも人々は、困難な状況から立ち直ろうと
精一杯努力する英雄期を過ごします。つい
に体力と気力が限界に達し、現実に打ちの
めされる幻滅期に至ります。頭の中はアレ
コレと心配事に占領され、考えても考えて
も解決策は見つかりません。1 人や家族や
被災地だけで解決できる問題ではないか
らです。遠からず精神的なバランスが崩れ、
身体のリズムも狂ってしまいます。
最初に表れるのは睡眠障害でしょう。ウ
トウトしたらパッと目が覚めてしまう。ひと眠
りで目が覚め、眠りに戻られない。睡眠障
害や睡眠不足になると、神経伝達物質の
セロトニン分泌量が低下します。セロトニン
の分泌低下は、生体リズム、睡眠リズム、
体温調節、気分障害、精神の不安定、消
化器系の活動低下など、さらに睡眠障害を
深刻化させ、うつ症状を悪化させます。セ
ロトニンの分泌低下は、ドーパミンの生産
低下を招き、報酬系が機能しないためさら
に抑うつ状態が進行します。日照時間が短
い冬期間に重なれば状況はさらに悪化し
ます。北欧の冬期うつ病と同じように、被災
地で冬季うつ病が起きることを意識すべき
です。睡眠は夜間と本能つけられている人
間にとって、お日様がない時間帯に目が覚
めていることはストレスになります。
震災うつ病の解決方法
もうお分かりでしょう。自分の努力でうつ
病から脱出しようと考えてはいけません。
マイケル・ジャクソンもマリリンモンローも、
多忙な有名人はお抱え精神科医を持って
いました。欧米では大企業の代表や主要
な政治家が、精神科医を帯同するのが一
般的です。
脳の中は複雑怪奇で、まだ十分に分か
っていません。これまでの新聞同封情報で
示したように、専門医を訪れることが大切
です。内科や外科では、血液検査の結果
や、ケガの状態によって医者が判断できま
す。患者が下手にしゃべって医者の気分を
害するより、黙っている方が良いくらいです。
ところが、精神科の医者があなたを見ても、
あなたの症状は何も分かりません。あなた
の言葉か、紙に書いた症状の記録と経過
を通じてのみ、あなたの症状を伝達するこ
とが可能です。表れた症状の記録を手渡し、
一つ一つ医師と話し合ってください。賢い
患者になることができれば、医師はあなた
の味方になります。精神科の医師は、表現
能力がない患者を相手にして毎日疲れて
います。あなたは、医師にとって表現力豊
かで、医者の立場に立って手助けしてあげ
てください。それだけ努力しても、その医者
と意思が通じないと感じた場合は、医師に
理解する能力がないのです。早く信じられ
る医師へ移ることです。
精神科や心療内科の分野は、内科や外
科と違い日進月歩です。知識や治療薬もど
んどん新しくなります。当然最新の情報を
理解している医者ばかりではないことは明
らかです。製薬会社の手先になっている医
者が、履いて捨てるほどいることも事実で
しょう。あなたにとって安心できる最良の医
師を見出すことは、あなたの努力でしかで
きません。私たちは、喜んでお手伝いをし
ます。しかし、あなたの意思がもっとも大切
です。このことは、ニコチン依存・アルコー
ル依存・薬物依存でも同じです。同様に、
睡眠薬・睡眠導入剤依存や精神安定剤依
存も、ニコチン依存と同じ脳の病気と考え
られます。脳に備わっている睡眠や満足・
安心・食欲・快を引き起こす神経と神経伝
達物質の産生を、薬物で抑制しているため
に、薬を止められない可能性があるからで
す。本人の固い意志で薬物依存をやめる
決断をしない限り、治療は人目がなくなれ
ば戻ってしまいます。あなたが信頼できる
医師と二人三脚で取り組むしか道がないこ
とを理解してください。
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