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チタン及びチタン合金溶接用棒及びワイヤ
チタン及びチタン合金溶接用棒及びワイヤ 溶接上の注意 チタン及びチタン合金 7 チタンは、大気中の酸素、窒素、水素などのガスと極めて反応し易く、 また高温では種々の酸化物、油脂、水分、塵埃および金属(鉄等)そ の他の化学物質と容易に反応してもろい化合物を作り、溶接部がぜい 化すると同時にブローホールを発生して耐食性を劣化させたり、継手 効率を低下させたりします。 これらの現象を防止するためには、溶接の際に溶接部を大気より完全 に遮断し、且つ前処理を充分に行なって不純物を完全に除去する必要 があります。 溶融溶接法として現在一般に実用化されている不活性ガスアーク溶接 (アルゴンガスアーク溶接)法について注意する点を主眼として述べます。 (a)開先の加工法と前処理 開先の加工は機械切削のみとします。薄板などでシヤー切断をし た場合には、やすりがけ後、更にスクレーパ加工等により、加工 面を平滑に仕上げる必要があります。加工後、加工の際に附着し た鉄粉、塵埃、油脂および手あか等を完全に除去するためアセト ンで洗浄したのち、更に HF 5%+ HNO3 35%溶液に数分浸漬し、 温水洗後、清浄な空気で乾燥します。 溶加棒も同様な加工と前処理を行ない、一度高温に加熱された部 分はペンチ等で切り除いて前述のような処理をして使用します。 注 1. 素材表面の開先部から約 25mm の母材表面は、アセトンで 洗浄する。 注 2. 開先を止むを得ずグラインダーまたはサンドペーパーなど で加工する場合は、開先面を 更にやすりがけ後、スクレー パ等でやすり目が残らないように滑らかな表面肌にする。 注 3. 溶接環境は湿気、風、ごみや汚染物などから遮断する。 (b)シールド用アルゴンガス ボンベ入りの溶接用高純度アルゴンガスは、通常 99.99%以上の純 度ですが、圧力が 0.5MPa 以下になると 99.97%以下に純度が低下 − 7-2 − することがありますので、0.5MPa 以下ではチタン用として使用し ない方が安全です。 (c)タングステン電極等 タングステン電極は 2%トリウム入りタングステンを使用するとエ ミッション効果が優れ、アークのスタートも容易で且つ安定した アークが得られます。また溶接の際、アークのスタートにはタン グステンタッチを防ぐため、タッチスタートを絶対に避け、高周 波発生装置を使用してアークをスタートします。 ガスシールド治具例 5° ∼15°(フィラーロッドを使用しない場合) <30° (フィラーロッドを用いる場合) アルゴン アルゴン入口 ⒜ トーチ タングステン電極 附属ガス・ シールド治具 (トレーラー) 約1mmφ孔 ピッチはアルゴン入口 側をあら目とする。 フィラーロッド 25∼50mm 20° ∼30° チタン 当金 アーク長さ <3mm 80∼200mm (巾25∼50mm) グラス、ステンレス綱 または銅ウール 銅あみ チタン ⒝ アルゴン 当金 アルゴン (バック・シールド) − 7-3 − 7 チタン及びチタン合金 (d)溶接始めと終りの操作 溶接の始めと終りには、タブを使用することをおすすめしますが、 使用しない場合は、始めは十分な溶け込みが得られるように溶融 池を若干時間スタートで保持し、終りはクレーターを残さないよ うにアークを切断したのち十分冷却するまでアルゴンガスでシー ルドするようにします。溶接部を十分に大気と遮断するためには、 ノズルからアルゴンを溶融部分に流すと共に、図に示すようなガ スシールド治具を用いる必要があります。 チタンの TIG 溶接条件(DC 棒 ⊖ ) 開 先 寸 法 開 先 形 状 パス 数 ルート ルート 角度 間 隔 面 1) 電極径 溶接電流 溶加材 ─ ─ 0.8 1 ─ 径 20∼30 0.8 6∼8 25∼35 ─ 8∼12 0.8 ─ ─ チタン及びチタン合金 7 ノズル 0.8 ─ 0.8 カップ (ℓ/min) トーチ 補 助 裏 面 (mm) 0.5 1 ガ ス (mmφ) (A) (mmφ) r 度) b (mm)d(mm) ( 0.5 2) シールドガス流量 15∼18 20∼30 6.4 8∼12 16∼20 20∼30 8.0 1.6 11∼15 20∼25 20∼35 9.6 2.4 11∼15 25∼35 30∼40 9.6 2.4 12∼16 25∼35 30∼40 9.6 2.4 12∼16 25∼35 30∼40 9.6 0.8 30∼40 1.2 ─ 1 1.5 1 ─ ─ 1.6 45∼60 2.4 50∼60 1.5 2 3.0 1.5 ─ 1 3 3 0∼2 90∼120 1.5 5.0 10.0 70∼100 100∼130 45∼90 2 ─ 5 表2 裏2 0∼2 1.5 3.2 110∼140 60∼90 3.2 120∼150 1)立向、横向(水平)の場合には溶接電流値を 15%程度低くし、かつ溶接速度も遅くする。 U 形、X 形及び H 形開先を用いる場合、パス数は変わるが、溶接条件は同様である。同 一板厚のパイプの溶接では溶接電流値を約 20%程度低くする。 2)シールドガスの流量はジグの形状、寸法によりそれぞれ異なる。 − 7-4 −