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122 号
I.T.I. NEWS 2012 1 (社)国際演劇協会 (ITI/ ユネスコ)日本センター Japanese Centre of International Theatre Institute / UNESCO I.T.I. NEWS 2012.1.15. No.122 スウェーデンの舞踏グループSU-ENに 第19 回内村直也賞 社団法人国際演劇協会(ITI/ ユネ スコ)日本センターは、ユネスコ 傘下の国際組織である国際演劇協会 ITI(International Theatre Institute) 加盟の公認団体です。ITI は世界平 和と相互理解の促進を希求するユネ スコ憲章の精神に基づいて、演劇に よる国際交流の増進を目的に 1948 年創設され、本部はパリのユネスコ 本部の中に置かれて、現在 100 カ 国以上が加盟しています。 第 回内村直也賞はスウェーデンの舞踏グループ「ス・エン 」による『ルシオス Luscious (自然の中に漂う甘美なも SU-EN の) 』 (振付・演出スザンナ・オーケルント)=写真=が受賞し ました。授賞式は昨年 月 日、ストックホルムで渡邉芳樹在 19 22 スウェーデン日本大使夫妻が臨席、 賞金 万円が贈られました。 10 責任を担っています。 の国際賞としての評価は高く、日 UNESCO 本センターは創設以来この賞の管理運営の 奨 励 す る こ と を 目 的 と し て い ま す。 ITI / 作にとり組んだ作り手たちをサポートし、 海 外 で 日 本 の 文 化 を 学 び、 舞 台 芸 術 の 創 象に毎年出している数少ない賞の一つで、 まれたこの賞は、日本が外国の芸術家を対 国際演劇協会日本センターの第3代会長 の故内村直也氏=写真=の遺志によって生 日本文化を学び、舞台芸術の創作を 賞と位置づけることで一致しました。 (報告・小田切ようこ) 「日本の文化をもとに創作にとり組んだ海外の作品を奨励する」 の一ジャンルとして世界が評価しており、内村賞を当初の趣旨 の作品が多く選ばれていましたが、 「舞踏」はすでに日本文化 賛同を得ました。慣例では内村賞には舞踊よりも演劇ジャンル され、内村賞委員会は最上位に推挙、理事国会議でも全理事の 現したもので、舞踏をベースにした「移ろいの美」が高く評価 『ルシオス』は8人のダンサーが自然賛歌と平和への祈りを表 50 2 I.T.I. NEWS 2012 が、現 在 は 日 本 ・ ス ロ ヴ ェ ニ ア ・ ス イ ス の するというルールで進められてきました られ、 各 国 が 推 薦 す る プ ロ ジ ェ ク ト を 検 討 賞の選 考 は 当 初 、 I T I 理 事 国 会 議 に 委 ね り、 正 式 に 国 際 賞 と し て 創 設 さ れ ま し た 。 リで開 か れ た 第 回 I T I 理 事 国 会 議 に 諮 内村 家 か ら 氏 の 遺 志 を 伝 え ら れ た 当 時 の 国際理 事 ・ 故 戸 張 智 雄 氏 が 、 1 9 9 2 年 パ 「平和を目指す芸術」というユネスコの理 家の日本文化と舞台芸術に対する熱意は 現在第4次の5年間を迎えています。内村 次 の 5 年 間、 第 3 次 の 5 年 間 と 継 続 さ れ、 賞の授与期間は当初、5年間に限ってい ましたが、内村家の強い意志によって第2 とができます。 ることに大きな意味と意義があるというこ おり、国際機関が世界的な視野から審査す ル・リンネへのオマージュ」が内村賞候補 没後230年記念祭の折に創作した「カー なお、ス・エンの作品は2008年にも カール・リンネ(スウェーデンの博物学者) 審査経過と受賞作は昨年9月、中 今回アの モイ 国・厦門で開かれたITI世界大会全体会 きています。 を発掘し、育てることで豊かな実を結んで 議の席で全世界に発表されました。 3国に よ る 「 内 村 賞 委 員 会 」 で 検 討 し た 結 に挙がっています。 念にも通じ、世界の舞台芸術に関わる人材 ▽ 1992 パリ俳優伝統研究会 ▽ 1993 ハンガリーの演出家イシュトバン・ビン チェス ▽ 1994 ハンス・パゾヴィック率いるサラエボ・ フェスティバル・アンサンブルによる『絹の太鼓』 ▽ 1995 オーストラリアのプレイボックスシア ターによる田中千禾夫作『マリアの首』上演 ▽ 1996 ハワイ大学のジェイムス・ブランドン氏 演出の『助六」上演をはじめとする歌舞伎研究 ▽ 1997 リトアニアで翻訳上演された矢代静一作 『弥々』▽ 1998 ウルグアイで翻訳上演された 『夕 鶴』 ▽ 1999 ロンドン大学ロイヤル・ハロウェイ校の 能楽研究に対して ▽ 2000 グアテマラ・オーストリア共同制作の 『砧』を演出したアベル・ソラレス氏 ▽ 2001 クリスティナ・ニグレン氏 ( ストックホ ルム大学 ) の日本伝統芸能、祭と旅回りの大衆芸 能の研究 ▽ 2002 ルーマニア国立カラギアーレ劇場制作に よる近松門左衛門作『心中天網島』 ▽ 2003 ホ イ ク ー ル・ グ ン ナ ル ソ ン 氏 ( ノ ル ウェー・アイスランド ) による日本演劇研究と創 作『弱法師』『班女』 ▽ 2004 ドーン・アケミ・サイトー ( アメリカ ) のソロ・パフォーマンス『ブラッド・チェリーズ』 ▽ 2005 該当者なし ▽ 2006 ジェローム・ヴァキエ氏の主宰するカン パニー・デ・リュシアル ( フランス ) の『羽衣」 『隠 狸」ほかのオムニバス作品 ▽ 2007 スティーブストン能プロジェクト ( アメ リカ・カナダ・日本混成チーム ) による英語能『か もめ』 ▽ 2008 バングラデシュのコレクティブ・シア ター・プロダクションの『米百俵』 ▽ 2009 スロベニア国立マリボール・ドラマ劇場 制作の翻訳能オムニバス『ウィンド・イン・パイ ンズ』( 松風 ) ▽ 2010 舞踏グループ ス・エンによる『ルシオ ス』( スゥェーデン ) 果を理 事 国 会 議 で 再 検 討 す る こ と に な っ て 内村直也賞 受賞者・団体 93 I.T.I. NEWS 2012 3 より求められる公益性と財務の安定 「公益社団法人」設立総会へ向けて 支状況、資産状況のほ かに雇用の安定化(人 材の確保) 、業務遂行 体制の整備(新体制へ の移行準備を含む)が 財務と管理体制の要件を満たすためには 新法人定款の案文作成、設立総会に向けて 必要となります。 ②経営の安定性が確保されているかの2点 新しい理事候補の人選、理事会規則、職員 の要件は①公益目的の団体であるかどうか 平成 年 度 通 常 総 会 の 議 決 を 受 け 、 国 際 演劇協 会 日 本 セ ン タ ー は 公 益 社 団 法 人 へ の に要約されます。 ました。 法人解散となり、法人存続のためには なっています。申請を行わない場合は ちらかを選び、移行申請を行うことに 般社団法人」か「公益社団法人」のど の社団法人は平成 年 (収益事業は課税) 、公益法人への寄附 おいて公益目的事業が非課税となり が厳しく求められる一方で、法人税に 内閣府や都道府県に認められた「公 益社団・財団法人」には、高い公益性 あります(内閣府ホームページより) 。 23 げます。 スムーズな移行に向けて、会員の皆様の ご理解ご協力を賜りますようお願い申し上 賛成を得る必要があります。 めに従い、総会で構成員の4分の3以上の になります。解散については、現定款の定 ず現社団法人を解散した上で移行すること 設立総会は今年5月の通常総会、あるい は秋口の臨時総会を予定していますが、ま るからです。 のルールを明確にすることが求められてい 定的に運営を行っていけるように団体運営 自らが責任を持って自主的・自律的かつ安 新しい公益法人制度の考え方では、監督 官庁の指導を前提とするのではなく、法人 就業規則、事務局組織規程等、法人運営に 移行に 向 け て 準 備 を 始 め る こ と に な り ま し た。 必要な規程類を整備する必要があります。 当協 会 の 場 合 は 東 京 都 知 事 に 申 請 し 移 行 認定を 受 け る こ と に な り ま す が 、 公 益 認 定 新 公 益 法 人 制 度 と は 平成 年に公 益 法 人 改 革 の た め の 法 律 が 制 定 さ れ、 この「新公益法人制度」導入の目的 は「民間による非営利の活動を活発に 避けて通れない関門です。当協会とし 者に対する寄附税制の優遇措置などが みん すでに平成 年 月から「新公益法人 ては、平成 年度通常総会で公益社団 設けられています。 月までに「一 し、民による公益を増進する」ことに 12 25 20 法人への準備を進めることが承認され 11 制度」が施行されています。これまで 18 いものと考えられます。②については、収 ①については、当法人の活動と実績、関 係機関の評価から考えると、原則、問題な 23 昨年6月 日(土)午後1時~2時 分、 平成 年度国際演劇協会通常総会は、 松竹株式会社大会議室(築地東劇ビル 階) にて開催されました。(報告・曽田修司) より、平成 頁)に基づき平成 年度収支予 世界の秀作短編研究シリーズ イギリス・ めの準備を行うことが提案され、採決の結 名は アイルランド編 『巨匠の見た世界』 」が中 止となりましたが、それ以外の事業につい 果、賛成多数で了承されました。 効 に 成 立 し ま し た。 出 席 会 員 年度の会員の異動状況にかん する報告が事務局よりなされ、今年度四月 一日現在の会員数は302名となりました。 ▽議案3及び議案4 平成 年度事業計画 および予算案の承認について 資料4( 配 付 資 料 3( 〜 頁 ) に 基 づ き 平 成 二十三年度事業計画(案)が、また、配付 ▽議案1及び議案2 平成 年度事業報告 及び決算報告の承認 ▽議案5 1 5 6 名 を 上 回 っ た の で、 総 会 は 有 平成 年度事業報告書案に基づき、同年 度に実施した事業の概要について、事務局 ては予定通り実施し、それぞれに大きな成 において公益社団法人への移行申請の議決 ス ケ、 岡 田 恒 雄、 小 田 切 よ う こ( 洋 果を収めたことが報告されました。質疑の 今年度の事業計画に関連して、 このほか、 会員に対する連絡網の整備の必要性や、会 田 修 司、 高 橋 幸 夫、 高 萩 宏、 永 井 多 恵 子、 西 形 節 子、 林 英 樹、 菱 沼 彬 晁、 堀 川 登 志 子、 前 田 真 里 衣、 松 づき、平成二十二年度決算案の報告がなさ 産増減計算書、貸借対照表、財産目録に基 総会は、真藤美一理事及び松田和彦理事 を議事録の署名人に選び、午後2時 分に 見が複数の出席会員より表明されました。 を行うべく、今年度中に移行申請を行うた 子 )、 か わ は ら ゆ な、 小 林 弘 文、 斎 後、事業報告全体について全員一致で了承 員がより積極的に事業に参画する仕組みづ 下芳江 、 松 田 和 彦 、 吉 岩 正 晴 、 和 崎 信 哉 れた後、監事の舟本巴子氏より監査報告が 【会員異動状況報告】 散会しました。 14 なされ、質疑の後全員の了承が得られました。 7 明 寺( 関 根 ) 以 玖 子、 真 藤 美 一、 曽 されました。次いで、同決算報告書(配付 くりなど、協会活動の活発化に向けての意 から報告がなされました。東北関東大地震 配付資料5「法人改革に向けてのメモ」 (P )に基づき、平成 年度の通常総会 算案が提案され、全員の了解を得ました。 次の各氏(五十音順・敬称略)。 の影響で、3月に予定されていた「ITI 18 秋 葉 ヨ リ エ、 安 孫 子 正、 伊 藤( 舟 本 ) 巴 子、 大 島 信 久、 オ ー ハ シ ヨ ー 事に入りました。 公益社団法人への移行準備を了承 18 資料2, 〜 頁)の収支計算書、正味財 【配布 資 料 】 平成 年度事業計画書〈案) 1 平成 年度事業報告書(案) 平成 年度決算報告書(案) 平成 年度収支予算書(案) 法人改革に向けてのメモ なお、総会配布資料をご覧になりたい場 合は事務局までご一報ください。 18 2 3 22 23 23 19 24 22 15 10 議案1に関連して、配付資料( 頁)に 6 4 議長 に 理 事 の 吉 岩 正 晴 氏 が 選 出 さ れ 、 議 5 21 24 22 20 23 出 席 者 は 1 6 5 名( 委 任 状 提 出 者 1 4 1 名 を 含 む ) で、 定 足 数 の 国際演劇協会平成 23 年度通常総会 23 23 22 22 4 I.T.I. NEWS 2012 I.T.I. NEWS 2012 5 多国間コラボの互助組織を 中国・重慶で 「アジア演劇人連盟」発足 ② 合 作 Collaboration ③ 創 造 性 Creativity ④ 共 益 Common ① 交 流 Communication ──四つの理念のもとにアジアの演劇人が昨年 月、中国・重慶に参集して interest 略称 「アジア演劇人サミット」が開かれ、 「アジア演劇人連盟 Asian Theatre Alliance ATA」の設立が宣言されました。中国文化部(文化省)と中国国家話劇院(周志強 10 の国と地域のナショナル・シアター代表、 18 に一石を投じることになりそうです。 Iの関係強化、事業交流は世界の演劇情勢 嘆く声がある中、アジア演劇人連盟とIT 際組織は、ともすれば欧米偏重に傾くのを と訴えました。ITIや国際ペンなどの国 と地理的、文化的、人的親近感を強めよう とわざを引いて、 アジアの演劇人同士、 もっ 「親戚はつき合うほどに親しみが増す」 ──周志強国家話劇院院長は中国の古いこ にはどうすればよいか。このための互助機 を高めながら欧米の演劇市場に伍していく 互いに享受し、アジア演劇の活力と存在感 した。アジアの多種多彩な〝演劇資源〟を いう申し合わせから出発することになりま 様性をを尊重し、各国の法規を遵守すると 今回の演劇人会議は各国の文化的伝統と多 しかし、一口に「アジアは一つ」とは言 い切れないのがアジアの国々の現状です。 国際演劇協会加盟を視野に ラメンデュ・マジュンダITI会長が常任理事就任 ダ会長の講演とアジア演劇人連盟の概要を紹介します。 (報告・菱沼彬晁) ITI会長の出席はこの期待に応えたものと言えるでしょう。ラメンデュ・マジュン に迎えられました。連盟の規約には、 ITIとの連携が事業の柱として唱われており、 「アジア演劇人連盟」のITI加盟について歓迎の意を表し、連盟発足後、常任理事 バリゼーションと演劇人の役割」について講演し、 参会者に感銘を与えました。また、 ITI(国際演劇協会)会長のラメンデュ・マジュンダ氏です。開会式の冒頭、「グロー 芸術監督、劇作家、演出家、俳優、演劇研究家、制作者ら。その中で注目されたのは 院長)の呼びかけに応えたのは、アジア 2011 年 10 月 11 日、 「アジア演劇人サミット」の開幕式で(重慶市のマリオットホテル) 6 I.T.I. NEWS 2012 いか。 そ し て 各 国 横 断 の 情 報 交 流 、 人 材 交 ンター 間 の 関 係 が よ り 親 密 に な る の で は な 常態化 さ せ る こ と に よ っ て 、 A T A 各 国 セ 境)を 設 置 し 、 シ ス テ ム 化 し よ う 。 こ れ を が 可 能 に な る プ ラ ッ ト フ ォ ー ム( 作 業 環 各国 が 力 を 出 し 合 っ て 、 互 い に 高 い 芸 術 性を追 求 し 、 高 度 な 専 門 レ ベ ル の 共 同 作 業 役割で し た 。 関とし て の 働 き が 、 ま ず 連 盟 に 与 え ら れ た 七、ITI(国際演劇協会)と共同事業の 例を遵守する。 六、国際公認の著作権及び知的財産保護条 の共同事業に道を開く。 供し、各国センター相互、あるいは多国間 五、各国の交流公演を受け入れる空間を提 になる環境とシステムを整備する。 四、 各 国 の す ぐ れ た 作 品 と 人 材 が 出 会 い、 タバンクを構築する。 ▽国際交流委員会▽演劇創造人材委員会 ▽国際合作委員会▽演劇教育普及委員会▽ しました。 事)は連盟執行委員会委員にそれぞれ就任 事務局長・ITI理事・日本ペンクラブ理 造人材委員会委員、菱沼彬晁氏(話劇人社 富永程波氏は同委員、伊藤巴子氏は演劇創 また、連盟は次の七つの専門員会を常設 し、 宮 田 慶 子 氏 は 国 際 合 作 委 員 会 委 員 長、 し、「 ア ジ ア 演 劇 祭 」 の 計 画 と 実 施 を 積 極 二、ア ジ ア の 演 劇 芸 術 の 創 造 的 展 開 を 支 援 ワークを構築し、その共同事業を支援する。 をメンバーとしてアジア演劇人のネット 連盟規約で目的とされた事業は次の各項。 一、ア ジ ア 各 国 の 専 業 演 劇 団 体 、 関 係 機 関 (日本中国文化芸術センター社長)の三氏、 (日中演劇交流話劇人社理事長) 、富永程波 (新国立劇場演劇部門芸術監督) 、伊藤巴子 院長)の各氏のほか、日本からは宮田慶子 術センター代表) 、 柏 崇 新( 広 東 省 話 劇 院 ン ダ( I T I 会 長 ) 、 楊 紹 林( 上 海 話 劇 芸 ②各国センター共同の協力を得て、連盟内 け、相当数の台本をプールする。 ①各国センターに優秀作品の推薦を働きか がけることになりました。 門チームを早期に立ち上げ、次の業務を手 連盟の活動の主要な柱の一つがアジア演 劇のデータバンク構築です。このための専 すぐれた劇作の翻訳センターを 理事長・中国国家話劇院院長の周志強氏) 。 交流公演委員会▽劇場情報委員会▽連盟執 日本の4氏が専門委員に就任 流、事 業 交 流 、 学 術 交 流 な ど の 活 発 化 、 相 関係を維持、推進する。 長期的な展望のもとで相互交流公演が可能 互交流 公 演 の 機 会 創 出 が ひ い て は 各 国 セ ン 行委員会(連盟執行委員会の委員長は連盟 ターの 事 業 促 進 に 益 す る の で は な い か ─ ─ 日本の3氏が常任理事に こうし た 話 し 合 い が 連 盟 結 成 を 促 す 流 れ と なりま し た 。 連盟は十五人の常任理事と十人の理事で 構成され、 理事会の合議によって周志強 (中 国国家話劇院院長)氏が理事長に就任しま 的に促 進 す る 。 ③演出家や俳優の人材を発掘するために、 交流公演とアジア演劇祭開催 三、連 盟 の 機 構 を 一 つ の 作 業 台 と し て 提 供 韓国からは孫 策(韓国国立劇院芸術総監 督) 、 具 滋 興( 明 洞 芸 術 劇 場 代 表 ) の 二 氏 情報交換の機関を設立し、各国センターの した。主な常任理事はラメンデュ・マジュ し、各 国 の す ぐ れ た 作 品 と 有 為 な 演 出 家 な が選任されました。 に翻訳センターを設立する。 ど人材 の 発 掘 に つ と め 、 ア ジ ア 演 劇 の デ ー I.T.I. NEWS 2012 7 のため 、 同 劇 院 の 附 属 劇 場 や 設 備 、 ス タ ッ 連盟 の 事 務 局 は 中 国 国 家 話 劇 院 内 に 置 か れます 。 連 盟 機 構 常 態 化 と 安 定 的 な 運 営 の 中国国家話劇院との連携 国セン タ ー 使 用 の 便 宜 に 供 す る 術水準 に 関 す る デ ー タ バ ン ク を 構 築 し 、 各 ④各国 セ ン タ ー に 所 属 す る 劇 場 の 設 備 と 技 合作の ニ ー ズ に 応 え る 。 「両岸連携」公演も実現に動いています。 両国との間で具体案が進行中で、台湾との 中国国家話劇院を軸としたナショナルシ アター同士の合作はすでに韓国、ベトナム ナショナル・シアター同士の交流 的な取り組みに期待を寄せています。 論より実行」と語り、各国センターの積極 中。 連盟の理事長でもある周志強院長は 「議 み、独自の運営ができるよう支援策を考慮 さが欠けるなどの悩みも語りました。 劇場と観客の厳しい関係直視を アジア主要国 の ナ シ ョ ナ ル・ シアターの代表 や芸術監督が理 事に名を連ねた こ と に つ い て、 伊藤巴子話劇人 ほか海外との共 劇の翻訳公演の もない。世界の演劇界を取り巻く環境が大 ヨーロッパ各国そして日本の例を引くまで 「 ナ シ ョ ナ ル・ シ ア タ ー と い う 栄 光 の 名 が同時に苦難の歴史を刻んでいることは、 社理事長は次のように感想を述べました。 同制作を多数手 きく変わり、劇場と観客の関係は厳しい緊 ジア演劇界の視野を得て、さらに世界へと がけており、宮 は演劇人会議の席上、その経験を報告しま 張状態に置かれている。日本の演劇人がア 祭を主 催 し て お り 、 こ れ ら の 舞 台 が 連 盟 の つながる行動力に期待したい」と。 催 に 移 行 し て、 ア演劇連盟の主 後の 年にアジ ついては、2年 年先の企画を準備しなければならないこと 上げる翻訳の重要性などに触れながら、2 の疎通に当たるべきこと、上演台本を作り られる役割、通訳は両国から起用して意思 異文化が触れ合う中で特に舞台監督に課せ 海話劇芸術センター、広州=広東省話劇院。 港ほか、北京=中国国家話劇院、上海=上 フィリピン、台湾、韓国、日本、中国、香 ム、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、 ングラデシュ、タイ、カンボジア、ベトナ ジア演劇祭」に 各国センターが や近年の予算減など、経済的な対応に柔軟 めの時間と費用を惜しんではならないこと、 アジア演劇人サミット参加の国と地域は 次の通り。イスラエル、カザフスタン、バ した。外国との共同作業には相互理解のた 田慶子芸術監督 日本の新国立 劇場は中国現代 フの実 務 を 必 要 に 応 じ て 連 盟 に 提 供 す る こ とにな り 、 す で に 連 盟 の ホ ー ム ペ ー ジ が 立 ち上が り つ つ あ り ま す 。 連盟 規 約 に 唱 わ れ た 「 ア ジ ア 演 劇 祭 」 の 開催に つ い て も 、 国 家 話 劇 院 と の 連 携 、 あ るいは 同 劇 院 を ど う 利 用 す る か が 決 め 手 に なりそ う で す 。 同 劇 院 は す で に 「 ア ジ ア 演 伊藤巴子話劇人社理事長 各国セ ン タ ー に も 提 供 さ れ ま す 。 特 に 「 ア 劇祭」 と 「 国 際 演 劇 シ ー ズ ン 」 の 国 際 演 劇 宮田慶子新国立劇場芸術監督 プログラムを組 周志強中国国家話劇院院長 14 8 I.T.I. NEWS 2012 「アジア演劇人連盟」創設記念講演 ラメンデュ・マジュンダ グローバリゼーションの波に抗して ションの波に対して「足どりの中に踊りを、声の中に音楽を見た」記憶を取 ゴ ー ル と 中 国 の 哲 人・ 老 子 の 言 葉 を 引 き な が ら 世 界 を 覆 う グ ロ ー バ リ ゼ ー 場の喝采を受けました。次いで、生誕150周年を迎えたベンガルの詩人タ 織にとって将来互いに有用となるに違いないと信じるからです」と述べて会 劇人連盟がITIのメンバーとなることを歓迎します。それはこの2つの組 文 学 賞 を 受 賞 し た 人 で も あ り ま し た。 1913年にアジアで最初にノーベル あ り 画 家 で あ り 社 会 改 革 者 で も あ り、 は叙情詩人であると同時に劇作家で 誕 1 5 0 年 記 念 の 年 で す。 タ ゴ ー ル 2011年は偉大なベンガルの詩 人 ラ ビ ン ド ラ ナ ッ ト・ タ ゴ ー ル の 生 のネットワークを持つITIの理念と活動内容を語ると共に「私はアジア演 りもどそうと呼びかけました。以下はその抜粋です。 (訳・小田切ようこ) タゴール生誕150周年の年に ラメンデュ・マジュンダ氏(バングラデシュ) 広告会社 を経営しながら演劇創造を生涯の事業とし、演劇学校と劇 団経営に参画。1972年に季刊の演劇専門誌を創刊。バ ングラデシュ演劇協会の初代会長。ITIバングラデシュ センターを自ら創設して会長となり、現在はITI会長。 世界の演劇人が相集い 「足どりの中に踊りを 声の中に音楽を見た」 記憶を取りもどそう 中 国・ 重 慶 で 開 か れ た「 ア ジ ア 演 劇 人 サ ミ ッ で 講 演 す る ラ メ ン デ ュ・ マ ジ ュ ン ダ I T I 会 長 会長は 「アジア演劇人サミッ ラメンデュ・マジュンダITI(国際演劇協会) ト」の冒頭で基調講演を行い、パフォーミングアーツのジャンルで世界最大 ITI(国際演劇協会 )会長 I.T.I. NEWS 2012 9 にカートはばらばらに壊れ、積み込んだ せ、行き着く先を見失ってしまう。つい ト の よ う で、 醜 い 轍 を 道 に の め り 込 ま がらくたを積み過ぎたショッピングカー に屈する社会になってしまった。まるで ている私たちの社会は、今や貪欲の暴政 保ち続ける星々や花たちに深い暗喩を見 たちの社会、神の創造物とともに調和を のように語っています。 1924年、タゴールは中国を訪れ、次 き受けなければならないのでしょうか。 かなる〝徳〟を積み、いかなる義務を引 ろでしょうか。一方、世界の演劇人はい (コンビニエンス・ストア) 」というとこ そして中国でも普及めざましい「便利店 叫ぶ既得権亡者、 強い者勝ちの格差社会、 み過ぎた金融資本、声高に権利の自由を 象徴するのは、強欲を自分のカートに積 タゴールと老子の言葉を心に留めて考 えると、今日のグローバル化した世界を ションの油を加えた演説を行っています。 者もあらゆるところでグローバリゼー 万能のキーワードです。政治家も経済学 持ち、それを確実に存続させることで 地域や企業の私利私欲を除き、地理的 世界中に存在する演劇コミュニ ティーにとって今必要なことは、国や とに気づかされています。 芸術の強さを通してのみ可能であるこ 共 に 集 い、 よ り よ い 世 界 を 築 く の は、 い知らされています。そして、人々が 記憶を奪われただけでなく、より暴力 楽 を、 手 足 の 舞 う 姿 に 美 を 見 出 し た 」 い「足どりの中に踊りを、声の中に音 わだち 徳のない者には(道を行わない)権利が ある」という言葉(注)を引用しながら 次のように書き残しています。 「 進 歩 と い う も の は、 理 想 や 徳 目 で は こわく なく外面的な蠱惑性と連れだって、我々 の際限のない要求を満足させようとする ものである」と。 よって人類が本来持っている〝芸術本 あ り ま せ ん。 そ の 再 解 釈 や 演 劇 化 に に回帰することの大事さはいうまでも と受け継いできた神話や民俗芸能の心 化の再考も必要でしょう。人類が連綿 さらに未調査の過去、見落とされた文 み返され、侵略や植民地支配の再検証、 す。そのためには歴史があらためて読 次元の境界を取り去った演劇の空間を 未調査の過去、文化の再考を 的で不信感の強い世界にいることを思 品物もすべて失ってしまうのだ」と。 グローバル化した経済は国家の境界を 消し去りつつある一方で、人々は共に集 能〟──創造の原点に触れることがで 「 足 ど り の 中 に 踊 り を、 声 の 中 に 音 楽 を、手足の舞う姿に美を見出している私 タゴールはまた中国の思想家、老子の 「徳のある者には(道を行う)義務があり、 (注)老子の言葉 「老子」第八十一章「天 の道は利して害せず=天の道は万物を利す るのみで害することがない/聖人の道は為 して争わず=聖人の道はすべての人々のた めに行い、しかもその功名を人と争おうと パン ギ ム ン はしない」を指すものと思われる。潘基文 国連事務総長もこの言葉を引用して再任演 説を行い「この不朽の智恵を今の仕事に生 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 かし、百家争鳴の中から行動の統一性を見 出したい」と訴えている。(傍点訳者) 今日の世界ではグローバリゼーション という言葉は、あらゆるものを包括する 10 I.T.I. NEWS 2012 演企画を推進する。 二、劇団あるいは演劇作品の相互交流公 利用する。 ノロジーとコミュニケーションの手段を 一、地域の演劇振興のために新しいテク に次の提案をしたいと思います。 です。私は新しく立ち上がったこの連盟 るミッション(社会的使命)であるはず ションと協力体制が私たちの連盟の主た こ で 手 を 結 び ま し ょ う、 コ ミ ュ ニ ケ ー 私たち自身が潜在的に持つ文化の強さ と他文化への関心を発見するために、こ を提供することが可能になるのです。 の人々には文化の多様性を理解する機会 私たちには互いを知る機会ができ、西欧 な フ ォ ー ラ ム を 立 ち 上 げ る こ と に よ り、 とが分かります。アジア演劇連盟のよう 形態や表現の中に多くの共通点があるこ いのですが、注意深く見れば、その文化 アジアに生きている私たちでも、隣国 の文化遺産に気がついていないことが多 きるでしょう。 をはかる。 自国以外での短期在住プログラムの実現 十一、学者・研究者・アーチストたちの る。 プが保っている形態に注目しサポートす マンス形態の多様性、特に現地のグルー 十、さまざまな地域の異なったパフォー 力する。 れらを新たに演劇化し板に載せるよう努 九、歴史や神話などの再解釈を奨励しそ トする。 落などの演劇的催しの価値を認めサポー づけサポートする。 あるいは演劇を目指す人たちの活動を力 七、 演 出 家、 舞 台 技 術 者、 舞 台 美 術 家、 ジアの主要な言語への翻訳も考慮する。 六、アジアの戯曲の英訳を推進する。ア する。 五、演劇季刊誌をウェブ上に英語で掲載 推進する。 クの研究旅行その他のリサーチを奨励・ 四、 アカデミックな研究、 フィールドワー 出すものと確信しています。 界に対しアジア演劇の新しい姿を描き ちの新しい「アジア演劇人連盟」が世 その演劇に携わることは私たちのプ ライドであります。そして私は、私た 器として私たちと共に存在しました。 ゆる邪悪な社会形態に対抗して闘う武 常に演劇は独裁や原理主義その他あら 生 き る 意 義 を 見 つ け て い る か ら で す。 に演劇を追求しています。演劇の中に にプロフェッショナルな心構えで真摯 できません。とはいえ、私たちは完全 では多くの 私 た ち が 生 き る ア ジかア て 国々で、演劇で生活の糧を得ることが 十五、 社 会の中における芸術家の威 信を高めるために働く。 させる。 十四、 芸 術的クオリティに関して妥 協せず、演劇を教育と文化発展に連携 十三、 経 済的社会的弱者といわれる 人々の演劇参加を推進する。 態に注視し実践を奨励する。 演劇に携わることのプライド 三、地域あるいは地方に演劇祭の組織を 十二、宗教劇の集団のパフォーマンス形 八、伝統的なアジア文化の、特に村や集 根付かせレギュラー化する。 I.T.I. NEWS 2012 11 アモイ 回ITI世界大会、中国・厦門で開催 大会テーマパフォーミング・アーツに力を──中国伝統劇への旅 本来ならば、2年に一度なので、昨年開催されるはずの世界大会ですが、これまでのITI ニュースの記事にもありました通り、 諸事情により開けずにいた大会が、 2008年のマドリッ ドから3年を経て、2011年9月 日より9月 日まで、中国政府、アモイ市のバックアッ 24 ました。参加は、 カ国、420人で、前回より国数、人数とも増加となりました。日本からは、 プのもと、ITI中国センター(中国戯劇家協会)のオーガナイズにより、アモイで開催され 19 る か と 思 い ま す。 I T I の 会 長 ラ メ ン 中国伝 統 音 楽 劇 へ の 旅 」 と い っ た 意 味 に な う が、「 パ フ ォ ー ミ ン グ・ ア ー ツ に 力 を。 う文化との交流を図る重要性です。 中でも、 要性と、文化の多様性を維持しながら、違 平和と相互理解の環境を促進することの必 大会冒頭挨拶に共通していたのは、世界平和と 相互理解の環境を促進することの必要性と 文化の多様性を維持しながら、違う文化 との交流を図る重要性でした う盛りだくさんの構成です。朝から晩まで プ、シンポジウム、レクチュアがあるとい から選択の観劇、その間に、ワークショッ による成果発表劇など、各日1〜4本の中 (伝統音楽劇)、現代劇、ユネスコ・チェア 夜 は す べ て、 京 劇 は じ め 中 国 各 地 の 戯 曲 シイチュイ 全6日の日程の、第2、4、6日の午前が 総会、2日目午後3日目午前で、各委員会、 財政基盤の強化など討議 られました。 は、総会、委員会で多くの発言者から発せ 「ダイヴァーシティ」 (多様性)という言葉 斎明寺以玖子副会長を団長に小田切国際理事、 総勢4人が参加しました。 (報告・松田和彦) 72 今 大 会 の テ ー マ は「 デュ・マジュンダ氏、トビアス・ビアンコー Empowering the 」とい ネ事務局長ほかの大会冒頭挨拶に共通して performing arts : A journey to Xiqu うもの で 、 い ろ い ろ な 解 釈 が で き る で し ょ いたのは、世界中の演劇が連帯して、世界 第 33 今大会で制定された ITIの新マーク 12 I.T.I. NEWS 2012 ホテル や 会 場 の ア モ イ 国 際 展 示 場 近 辺 の 店 ぎ っ ち り の 日 程 に も 関 わ ら ず、 深 夜 に は、 で、 「 シ ア タ ー」 と い う も の の 世 界 で の 認 初めて見る人には壮観というほかないもの では、 飲 み 食 べ な が ら の 国 際 交 流 も 行 わ れ ていま し た 。 総会 は 、 挨 拶 、 過 去 3 年 の 活 動 報 告 、 入 退会セ ン タ ー 報 告 、 各 委 員 会 ・ ワ ー キ ン グ グルー プ ( コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 、 演 劇 文 化 知度と重要性に思い至ることでしょう。 小田切ようこ国際理事再任 新理事の選挙は、定数20人に、25人 が立候補し、各候補がスピーチのあと、投 票が行われ、規定の過半数を満たした19 人が選出されました。小田切ようこ理事も 再任されました。 人の出身国は、日本の他、バングラデ シュ、米国、ドイツ、ジャマイカ、ロシア、 次 回 の 世 界 大 会 は、 2 0 1 3 年 秋 に、 キューバのハバナで開催されます。 ドラインの重要性が強調されました。 各国ITIセンターが守るべき規則・ガイ 行 わ れ ま し た。 2 0 0 9 年 に 制 定 さ れ た、 各センターの運営の仕方について、質疑が また大会中には、各国センターの事務局 を対象にしたパリ本部との会議がもたれ、 が会長に再任されました。 いメンバーの理事国会議で、マジュンダ氏 英国、クロアチア、ギリシャでした。新し た の は、 カ メ ル ー ン、 チ ャ ド、 セ ネ ガ ル、 ベルギー、メキシコ、キプロスで、落選し ロ ヴ ェ ニ ア、 ブ ル キ ナ フ ァ ソ、 オ ラ ン ダ、 スーダン、フィリピン、スイス、韓国、ス 中 国、 フ ジ ャ イ ラ U A E、 ス ウ ェ ー デ ン、 19 全般、ドラマ、ダンス、フェスティヴァル、 モ ノ ド ラ マ、 劇 作 家、 音 楽 劇、 国 際 製 作、 演劇教 育 、 若 者 育 成 、 人 権 ) の 活 動 報 告 と 承認、 増 加 す る パ リ 本 部 の 活 動 と そ れ を 支 える費 用 の た め 、 不 安 定 な 財 政 基 盤 と 引 き 続きの 資 金 集 め 努 力 が 謳 わ れ る 財 政 報 告 と 承認、 規 約 改 訂 の 説 明 と 承 認 、 新 理 事 国 の 選挙、 今 後 の 活 動 計 画 と 承 認 な ど で す 。 こ の よ う な 議 事 が、 英 仏 同 時 通 訳 つ き 350 人 収 容 の 会 場 で 、 国 連 タ イ プ の 世 界 組織と 同 じ く 、 1 国 1 票 制 度 で 進 ん で い き ます。「シアター」という言葉をもつ組織が、 こ の よ う な 世 界 大 会 を 開 い て い る こ と は、 「シアター」という言葉をもつ組織が このような世界大会を開いていることは 初めて見る人には壮観というほかないものでした 中国・厦門(アモイ)で開かれたITI世界大会に出席した日本セ ンター訪中団=後列左から松田和彦(筆者)、大原典子、前列左から 小田切ようこ、斎明寺以玖子の各氏と前列右端は韓国代表の辛一秀氏 I.T.I. NEWS 2012 13 とであったものと思います。人間は簡単に 1985年、戦後 年の年に『こ の子たちの夏』は生まれました。演 労作業、 あるいは戦時下の遅れた補修授業。 下、汗まみれの労働の最中にいた──。勤 島・長崎の子供たちの多くは、すでに炎天 古から本番へと臨んだのです。 らこそなし得ること、そう信じ私たちは稽 ちに伝えてゆく。演劇という表現形態だか 争を知らない人間がこれからを担う若者た そして再開にあたり、出演者が一斉に戦 後世代となりました。時代は流れます。戦 忘れる動物でありますから。 出家でこの作品の構成者、木村光一 沢山の子供たちが一瞬の閃光の下で集団で 新生『この子たちの夏』に寄せて が以前のパンフレットにこう書いて 焼きつくされたのも、自分たち本来の美し 分たちの心の奥深くが動く」という6名の います。 た未来のために奉仕していたからで 美しい季節 ちされている 解放感に裏う がのびやかな としてまとめたのがこの作品です。 中からテーマを「母と子」に絞り、朗読劇 憶に留めたいと、木村光一が膨大な資料の 唯一の戦争による被爆国である日 本の、日本人としての経験を記録でなく記 くいただきました。 までにない感動を覚えた」という感想も多 感じます。それが確実に観客に伝わり、「今 だ。とくに子 供たちにとっ から始まった細かな木村演出のもと、6名 夏休み。 業として新しい命を吹き返すことが出来ま た。昨年、新たに(社)国際演劇協会の事 解散と同時に上演の機会も失っていまし 年間に渡り続けられた本作品、地人会の 不幸な出来事が続きます。それを乗り越 えてこそ人間です。そのために演劇人が出 したのではないでしょうか。 とく一人一人の生命の重さをそこに再発見 こそ、お客さまは新しい作品を見るかのご は何なのかを身体で受けとめ表現したから の女優は戦争の疑似体験をし、大切なもの しかし、今 あらためて思 したのは、彼らの死の上にある〝今〟を生 て は ─ ─。 ラ うのだが、あ てゆかなければならない夏でした。 来ることを―。当然ともいえる使命を続け きる私たちにとって、ことのほか重要なこ 演劇制作体地人会解散の2007年まで 11 の日の朝、広 23 写真は昨年8月6〜9日、世田谷パブリックシアターで 上演された『この子たちの夏』 (撮影・谷古宇正彦) ンナウェイの 地人会解散後の空白を埋めて 3・ を経験してしまったからことさら だったかもしれません。しかし、状況説明 体験が、すべてを新鮮にさせていたように ある。 (後略) 」 ここまで深く触れる、そしてこんなにも 残された言葉と真剣に対峙し、何より「自 40 (地人会新社) い夏を返上して、何者かによって約束され 渡辺 江美 「夏という季節は、そのきびしさ 「心の奥深くが動く」体験 桐朋学園が参加して 北 中央戯劇学院で開催 京 名およびスタッフ 名の総勢 名をもっ 越光照文 (桐朋学園芸術短期大学学長) ンバーは、世界の演劇学校から 校(文末 今 回 の 第 回 大 会 の 参 加 校 は、 ド イ ツ、 ブ ル ガ リ ア、 ウ ク ラ イ ナ、 イ ン ド、 韓 国、 課題戯曲『リチャード三世』 演劇教育を支える大きな励みともなっている。 参考資料参照)が選ばれているが、いずれ 年の 月にスペインのバルセロナで開催さ 08 その目的はハイレベルな意味での演劇教 育の経験やその成果を交換し、 分かち合い、 満場一致で採決・承認された組織である。 リッドでの第 回ITI世界大会において ナル戯曲を 三世』を、そしてその国の特徴あるオリジ 校の参加であった。参加校には課題戯曲と 中国、そして日本からは本学が参加し計 時間以 時間 等々が条件として課せられた。参加校が7 た。GATS 世 ( 界演劇学校連盟 参 ) 加メ れぞれの『リチャード3世』と各国の特色 盟 フ ) ェスティバルは 年に一度、中央戯 劇学院で開催されることになっており、今 分程度のワークショップを主催すること 内にまとめ上演すること、加えて 本用意してそれぞれ してW・シェークスピアから『リチャード 7 30 校だったとは言え、連日にわたって各校そ にある。また、GATS 世 ( 界演劇学校連 2 1 回は 年に続いての第 回目の開催であっ 2 2 学園芸術短期大学は教員 名と学生 で、 UNESCO Chair (ユネスコ移動演劇講座) ITIによって2007年に設立され、 てこれに参加し、参加各国の演劇学校教員 14 もその国においてはトップレベルの演劇学 17 アカデミックな協力を涵養し促進すること 2 1 32 れた第 回世界演劇学校長会議およびマド 9 5 09 18 3 および学生たちとの交流を深めた。 以下に、 12 校ばかりで、本学がこれに参加できること 課題戯曲『リチャード三世』を競演=桐朋学園の舞台 その報告を簡単にまとめておきたい。 10 渡って、中国の北京・中央戯劇学院 27 は光栄の一語に尽きると共に、また本学の 2 ( 略 称・ 中 戯 ) で 開 催 さ れ た。 桐 朋 9 ( 界演劇学校連盟 と ) は GATS 世 の略称 Global Alliance of Theatre Schools 月 世界演劇学校連 第 回GATS ( 盟 フ ェ ス テ ィ バ ル が、 2 0 1 1 年 ) 日より 日までの 日間に 第 2 回 ( 世界演劇学校連盟 ) フェスティバル GATS 2 14 I.T.I. NEWS 2012 I.T.I. NEWS 2012 15 を 出 し た「 ナ シ ョ ナ ル・ パ フ ォ ー マ ン ス 」 の上演および「ワークショップ」が催され、 誠に充 実 し た 実 り 豊 か な 日 間 で あ っ た 。 参加 校 と も そ の 舞 台 成 果 に お い て は 甲 乙つけ が た く 、 ま た ワ ー ク シ ョ ッ プ の 内 容 10 におい て も 文 字 通 り 「 ハ イ レ ベ ル な 意 味 で 演劇教育の経験やその成果を分かち合う」 機会と な っ た 。 我 田 引 水 に な る が 、 本 学 の 『リチャード三世』は終演時にはスタンディ ング・ オ ベ イ シ ョ ン で 迎 え ら れ 、 ナ シ ョ ナ ル・パフォーマンスとして準備した『夕鶴』 ( 作・ 木 下 順 二 ) も 大 変 好 評 を 博 し た こ と をここ に 報 告 し て お き た い 。 年の第 回フェスティバルにも本学は 課題戯 曲 の 『 ロ ミ オ と ジ ュ リ エ ッ ト 』 及 び り、本学からも男子学生 になった。 名がその対象者 徐翔「中戯」院長の主導で国際交流 なお、GATS(世界演劇学校連盟)フェ スティバルのホスト校を務めている北京・ 中央戯劇学院と本学との関係は長く、逆上 ること既に1983年には演劇専攻を中心 とする中国研修旅行が企画され中央戯劇学 院を訪問している。その後、お互いの研修 先として教員や学生を含めた密なる交流が 年余り続いたが、1990年代の後半か らはその交流が一時途絶えていた。しかし、 2008年にはやはり中央戯劇学院がホス た、最終日の閉会式におけるセレモニーで 育センター の ) 第 回大会において、主要 メンバーであり幹事校としてもATECを ト校となっているATEC ア ( ジア演劇教 『狂言・附子』をもって参加する予定であっ は最優秀演技者賞と優秀演技者賞が参加各 す たが、 折 り か ら の 、 そ の 年 度 に 世 界 的 に 大 リードしている日本大学芸術学部演劇学科 ぶ 1 名づつ贈られ大いに盛り上がった 桐朋学園のナショナル・パフォーマンス『夕鶴』の舞台 校に 1 10 7 流行し た イ ン フ ル エ ン ザ に 本 学 の 学 生 が 罹 09 患した た め 、 出 発 の 前 日 に 参 加 を 断 念 し た 技者賞の受賞者には中央戯劇学院に半年間 フェスティバルとなった。なお、最優秀演 バーとして迎えられ、 の 好 意 あ る 推 薦 を 受 け て、 本 学 も 準 メ ン 年からは正式メン 経緯が あ り 、 そ の 意 味 に お い て も 今 回 の 参 バーとして位置付くこととなった。それが 公演、ワークショップとも「ハイレベルな意味での 演劇教育の経験やその成果を分かち合う」── GATSの目的にかなうものとなった で は あ る が、 無 償 で 留 学 で き る 特 典 も あ 3 加は有 意 義 な 成 果 を 得 る こ と が で き た 。 ま 1 演劇学校間における交流促進の任を担って 徐翔学院長の主導のもとに積極的に世界の しいことであった。また、中央戯劇学院は 流が復活したことは本学にとって誠に喜ば 切っ掛けとなり、再び中央戯劇学院との交 10 おり、 そ の 努 力 に こ の 場 を 借 り て 敬 意 を 表 してお き た い 。 演劇学校と劇場の 提 携 を 模 索 ひる が え っ て 、 我 が 国 に お け る 各 演 劇 学 校間の 連 携 は 誠 に 貧 弱 で あ る 、 と 言 っ て も 過言で は な い 。 少 子 化 に よ る 大 学 全 入 時 代 を迎え 、 そ れ ぞ れ の 学 校 の 学 生 確 保 が 年 々 厳しさ を 増 す 状 況 に は あ っ て も 、 お 互 い の 利 害 を 超 え 日 本 に お け る 演 劇 教 育 の 発 展・ 充実の た め に 、 各 演 劇 学 校 間 の 連 携 と そ の 組織化 は 必 須 の 課 題 で あ る だ ろ う 。 本 学 は その連 携 促 進 の た め に も 積 極 的 に そ の 任 に 当たり た い 、 と 考 え る 。 こ こ で は 未 だ 詳 細 を公表 で き る 段 階 に は な い が 、 最 新 の 情 報 ホール と の 連 携 促 進 も 必 要 で あ ろ う 。 そ の か ら は 各 演 劇 学 校 が あ る そ の 地 域 の 劇 場・ る こ と を 報 告 し て お き た い。 ま た、 こ れ 校間の 連 携 を 模 索 す る 旨 の 要 請 が 届 い て い 盟校は以下の通りである。 【 参 考 資 料 】 第 回 G A T S( 世 界 演 劇 学校連盟)フェスティバル参加校および加 ポートとしたい。 以上を持って、簡単ではあるがGATS 世 ( 界演劇学校連盟 フ ) ェスティバルの報 告および、我が国の演劇学校間の現状のレ として 、 東 京 都 内 の 有 力 な 劇 場 と 演 劇 コ ー 意味で 、 本 学 の 位 置 す る 地 域 に は 調 布 市 が ) The School of Dramatic Art "Ernst ドイツ ) Busch",Germany ( 2 スを擁 す る 大 学 か ら 、 本 学 を 含 め た 演 劇 学 運 営 す る「 せ ん が わ 劇 場 」 が 存 し て お り、 桐朋学園のナショナル・パフォーマンス『夕鶴』の舞台 ( 界演劇学校連盟 第 回GATS 世 フェスティバル参加校 広義の 意 味 で の 演 劇 教 育 ・ 芸 術 教 育 を 実 践 する拠 点 と し て の 劇 場 で あ る べ く 、 本 学 な りの提 言 を 模 索 し た い と 考 え て い る 。 2 16 I.T.I. NEWS 2012 National Academy of Theatre and Firm ブルガリア ) Arts – NAFTA, Bulgaria ( National I.K.Karpenko – Karyi University of Theatre, Chinema and Television from Kiev, Ukraina ( クライナ ) ウ インド ) National School of Drama, India ( Chung - Ang University, Theatre Department, Korea (国 ) 韓 The Central Academy of Drama, China 中 (国 ) Toho Gakuen College of Drama and Music, Japan (本 ) 日 世界演劇学校連盟 加 ) 盟校 GATS ( Royal Academy of Dramatic Art, Britain イ ( ギリス ) Ludwik Solski State Drama School from ポーランド ) Krakow, Poland ( St Petersburg State Theatre Arts Academy, ロシア ) Russia ( Institut del Theatre Barcelona, Spain ( ス ペイン ) Veracruzana University from Xalapa, メキシコ ) Mexico ( National Institute of Dramatic Art, オーストラリア ) Australia ( 中国 ) Shanghai Theatre Academy, China ( I.T.I. NEWS 2012 ●事業報告 17 な目標のもとに進められ、ワークショッ 3 21 22 参加者は 名(その 洋楽の『ボレロ』にも挑戦 長唄の『菊づくし』 『松の緑』 『供 長唄・三味線の で 〝生演奏〟 能舞台で公開発表会 10 時まで使 先生方が帰られた後も残って自 主練習(稽古場は夜 え た ) を す る な ど、「 伝 統 」 を 捉えようとする受講生の情熱に 接し、稽古場をあずかるITI スタッフにとっても清々しく気 の引き締まる日々であった。 舞踊史と着物文化 初日、開講式の後に舞踊評論 家の西形節子氏による日本舞踊 の概論と舞踊史の講義から始 まって、立つ・歩くなどの動作 の基本の実習に移った。それら の基本がくまなく織り込まれて いるため初歩のメソッドとして よく用いられる『菊づくし』の 練習である。 ラトビア、ドイツ) 。 日本舞踊のワークショップとし 境・芸能との関係などについて 気候風土による反物の特徴、環 これがすでに舞踊の稽古始めな 室 の よ う に 見 え る が さ に 非 ず。 稽古着の浴衣を着る。着付け教 て初めて洋楽にも挑戦、ラベル 猛暑の中、毎日朝 時半から 午後 時までの集中授業のよう な密度で稽古、さらに、講師の 10 作曲の『ボレロ』が加えられた。 簡単な講義の後、実際に自分で 美 巴 湖、 花 柳 奈 卯 女、 練習に選ばれた曲は 藤蔭瑠里娘の諸師。 6 講師は花柳寿美、花 柳翫一、藤蔭静枝、勝 うち外国人は7名─中 奴』 『手習子』 『末廣狩』と日本 2日目、着物文化を学ぼうと、 国、韓国、ポーランド、 古謡の『さくらさくら』のほか、 着物の歴史や成り立ち・仕組み、 22 10 学ぶことは日本人にこそ必要、当然備え 持つべき素養であるとの考えから、日本 人外国人混成の特色が認められて文化庁 委託事業となった。今年は、さまざまな 毎年夏に開催してきたITIの伝統芸 能ワークショップは今年で 年目という プは8月 日から 日まで水天宮ピット 芸能と関連を持つ日本舞踊の実践を通し 長寿番組である。当初は外国人に日本文 で、公開発表会 日は国立能楽堂研修能 12 て日本文化の総体を知ろう、という大き 化を紹介し理解を深めるために行ってき 23 舞台で行われた。 (報告・小田切ようこ) 国立能楽堂研修能舞台で行われた公開発表会(撮影・奥秋圭) たものが、 〜 年前から、伝統芸能を 日本 舞 踊 第 23 回伝統芸能ワークショップ のである。多様な帯の文化など、 結ぶこ と の 美 学 な ど が 着 る 指 導 の合間 に 自 然 に 入 っ て く る 。 次 には着 物 の 畳 み 方 。 ひ と 通 り 済 稽古と講義の組み合わせ 意工夫があることなどを教わ めに変化し、基本の上に常に創 たことである。 方さんの生演奏で踊る機会を得 はしょ る。受講生からは、着物の「お じうたいざ 端折り」はいつごろから一般的 橋掛りから登場して 義は藤 9日目の「鳴物」のし講 びょうし 舎千穂師ほかにより四拍子の説 んで着物が身に馴染んでくるに 明。三味線の渡来以前の伴奏は になったか、帯の「角出し」の 発表会の日、能舞台の地謡座 つ れ、 初 心 者 の 堅 さ が ほ ぐ れ、 もっぱらこの四つ(小鼓、 大鼓、 結 び 方 に 見 ら れ る 両 側 の「 角 」 のところに緋毛氈を敷き、 長唄・ 関東の 踊 り と 関 西 の 舞 い の 違 い 継がれているのだという。 囃子などにはこの四拍子が受け とはよい試みだったと思う。下 講義は午後の1時間半だけと はいえ充実し、稽古と併せたこ うかがえた。 など質問を多発、関心の高さが を出す高さは年齢でどう違うか なりユニークなのだが、これが など、能舞台の催しとしてはか て橋掛りから踊り手が登場する えないがしっかり生の音が聞こ 生方は下手の幕の向こう側で見 三味線の方々が並び、鳴物の先 太鼓、笛)のリズム楽器で行わ を学び 、 8 日 目 は 東 音 福 田 眞 規 浚いの日には地方さんの生演奏 極めて自然に感じられるくらい むしろ ゆ と り が 見 え て き た 。 師によ る 「 長 唄 と 三 味 線 」 に つ 実際に楽器を組み立てる過程 を見たり実物に触れて拍子をと とともに練習した。 えてくる。チョーンと柝が入っ ど舞踊という 張されたりな 略されたり誇 ら発展し、省 舞踊の衣裳か 衣裳が歌舞伎 いて。踊りの なった方々への鎮魂の思いを込 こ と。 東 日 本 大 震 災 で 犠 牲 と 洋楽の『ボレロ』を振り付けた は藤蔭静枝師が創作舞踊として 今回のワークショップで特筆 したいことが二つあって、一つ では黒衣の練習もあった。 に 感 謝 致 し ま す。 (テアトロ 月号から転載) ショップとなった。講師の方々 ンルにも触れる意義深いワーク 内容とともに、舞踊周辺のジャ 踊『ボレロ』等々、偏りのない 『末廣狩』 、現代を映す創作舞 ら日本舞踊に取り入れられた 誌2011年 めたものという。もう一つは地 くろこ 、狂言か 柳翫一師指導) 。また『手習子』 踊 り に し た『 手 習 子 』 の稽古を、 付け拍子も加えて (花 き いて。 受 講 生 は 実 際 に 三 味 線 に る機会など滅多にないことなの 7日目に「京舞」について山 れており、笛(能管、篠笛)も 村 流 の 山 村 若 師 が 講 義 と 実 演、 リズムを受け持って、村祭のお 触れ絃 を 弾 い て 音 を 出 し 古 謡 の で受講生は皆、興奮気味であっ た。 日目は 「衣裳」につ 9 ジャンルのた 10 じかた 『さく ら さ く ら 』 に 挑 戦 。 に溶け込んでいた。 課外には希望者が6時から た て 、娘 時 ま で 3 日 間 に わ た り「 殺 陣 」 祝 儀 物 の 古 典『 松 の 緑 』 の寺子屋からの帰り道の情景を 日本舞踊ワークショップの稽古風景 (撮影・後藤絢子) 10 18 ●事業報告 I.T.I. NEWS 2012 I.T.I. NEWS 2012 ●事業報告 19 動乱と演劇 を開始した。第 回は「バルカ 回 は「 中 東 ─ ─ 演劇」が開催された。いずれも日 ポジウム、トークによる「動乱と 大陸3戯曲のリーディングとシン ず、時代とそのときどきの社会 継承しつつ特定の地域に限定せ げ、今年度は昨年までの流れを パレスチナ・トルコ」を取り上 ン半島」 、第 本初訳・初演、さらに中国とカメ がいたが、ある演奏会で彼と再 時期、恋愛関係にあった作曲家 業する。妻は農村に下放された が、集中暖房への転換のため失 はボイラーマンの仕事に就く 語。夫婦は今は都会に住み、夫 民青年とピアノ教師の妻の物 は、文革期に農村で出会った農 / 菱 沼 彬 晁、 演 出 / 青 井 陽 治 ) 今回、取り上げられた中国戯 曲『 ボ イ ラ ー マ ン の 妻 』 原 (題 /鍋炉工的妻子、作/莫言、訳 訳/菱沼彬晁 演出/青井陽治 『ボイラーマンの妻』 中国 作/莫言 品を取り上げることとなった。 体制とが引き起こす軋轢や個人 2011年 月 日から 日ま で東京神楽坂のイワト劇場で、3 1 2 ルーンの作品は「世界初演」とも 年鑑」の調査研究事業の一環と め る こ と を め ざ し、 「国際演劇 近年のユネスコの大テー 争地の演劇」をテーマにした活 マである「芸術と平和構築」 動を活発に行っている。日本セ して、2009年から「紛争地 『ナパジ/ナパジ』の舞台(撮影・奥秋圭) に与える過酷な現実を扱った作 4 ンターはこれに呼応、世界のI 3大陸の3戯曲 日本初訳・初演で 2 なった。 (報告・林英樹) 12 を受け、ユネスコ傘下のI 『罠』の舞台(撮影・奥秋圭) 域から生まれた演劇」シリーズ リーディングと シンポジウム TI活動との「連帯と絆」を深 『ボイラーマンの妻』の舞台(撮影・奥秋圭) TI各国センターでは「紛 「芸術と平和の構築」──ユネスコと共に だが、 戯 曲 は わ ず か 作 し か な ベル賞 候 補 の 呼 び 声 が 高 い 莫 言 で多数 の 小 説 が 翻 訳 さ れ 、 ノ ー 会した 。 日 本 を は じ め 世 界 各 国 いるが、そこで同じように故郷 投獄され、いまは物乞いをして とん挫により元教師は反乱罪で 舞台にした作品。民主化革命の 彬晁氏 は 、 莫 言 の 小 説 『 牛 』 に シン ポ ジ ウ ム 「 文 化 大 革 命 と 中国演 劇 」 で パ ネ リ ス ト の 菱 沼 い。 は決して現実変革の夢を諦めな 厳しい境遇にも関わらず、彼ら く、本作品はその一つで本邦初訳。 を追われた元医師や元歌手と出 言及し 、 文 革 期 の 農 村 で の 牛 の である。 オーストラリア 作/トレヴァー・ジェイミソン スコット・ランキン 『ナパジ・ナパジ』 演出/和田喜夫 訳/佐和田敬司 オ ー ス ト ラ リ ア の『 ナ パ ジ・ ナ パ ジ 』 原 ( 題 /Ngapartji てそこに住む先住民の多くが被 爆した実話に基づく。本作は個 人史から歴史の問い返しを試み る問題作であり、被爆したヒロ シマの女性も登場し、核の問題 は個別の国のことではく、人類 共通のテーマであることを改め て認識させられることとなった。 トロイ戦争を題材にしたギリ シア悲劇 『オレステイア 部作』 本作の特徴を指摘した。アフリ る問題をより自覚化させている られ、現在の人々が直面してい に、ヨーロッパの対話法が重ね カ伝統の口承文化の基盤の上 2002年のハンブルグ、カン キン、訳/佐和田敬司、演出/ 人間の力で何とかしろよ、と問 隠 さ れ た 事 実 を、 先 住 民 独 自 ( 機 械 仕 掛 け の 神 ) に よ っ て 終 和 田 喜 夫 ) は、 公 式 の 歴 史 で いかけているのだとも受け取れ 芝 居 と し て 現 代 化 さ れ た 作 品。 焉 し な い と い う 意 味 で も あ る。 の 口 承 文 化 を ベ ー ス に、 語 り る。繰り返される「過ち」は地 の「デウス・エクス・マキーナ」 では「憎しみの連鎖」は、突然 、 作 / ト レ ヴ ァ ー・ Ngapartji ジェイミソン、スコット・ラン ら人間 の 所 業 を 問 う た 。 ま た 飯 カの演劇では、危機的状況を生 プナーゲルのラオコーン・フェ 球単位では現在形であり、未来 会う。国の貧しい現状や自身の 扱われ 方 と 福 島 の 牛 を 重 ね 合 わ シンポジウム「アフリカ演劇 の現在」で鴻英良氏は、アフリ 塚容氏 は 世 紀 の 中 国 を 動 乱 の と 芸 術 の 使 命 が 問 わ れ て い る。 スティバル、アデレード・フェ きる人間が問われ、かつ芸術家 スティバルなど数多くの国際演 に も 終 焉 し な い か も し れ な い。 せ、社 会 の 末 端 と 下 部 の 視 点 か 歴史か ら 捉 え 、 日 本 の 関 与 も 含 企画終了後、上演に参加した若 劇祭で上演されてきた。 の現状 を 語 ら れ た 。 カメルーン 作/クワン・タワ 『罠』 訳/佐藤康 演出/小川絵梨子 在意義や政治的意味、社会問題 1 9 5 3 年 か ら 年 に か け、 けれど、問いかけ続けることは サウスオーストラリア州奥地の 無駄ではない。芸術の意味・根 拠はそこと結び付いている。改 える 日間となった。 験、 6 0 0 回 に 及 ぶ テ ス ト で、 めて演劇の存在理由と根拠を考 砂漠地帯で行われた英国の核実 56 個の核爆弾が炸裂した。そし 3 カ メ ル ー ン 戯 曲『 罠 』 原 ( 題 劇の関わり方を見つめ直したい / La Trappe 、作 ク / ワン・タワ、 と語った。なぜ、自分は演劇を 訳/佐藤康、演出/小川絵梨子) やっているのか。自分たちの存 は、か つ て 美 し い 都 で あ っ た ア を再認識する機会となったよう 演になる。これは神の手では終 めて歴 史 的 な 視 点 か ら 中 国 演 劇 い俳優たちが、改めて自分と演 3 3 フリカ の 架 空 の 国 の 都 エ ボ リ を 9 20 20 ●事業報告 I.T.I. NEWS 2012 I.T.I. NEWS 2012 ●事業報告 21 ス・アイルランド編、と歴史を この秀作短編研究シリーズは 2006年 月のフランス編に 択で、その悔しさを胸に、この ました。総観客数は延 べ650名ほど、全作 品有料観劇者数も 名 ます。(報告・庭山由佳) らためて御礼申し上げ に、この場を借りてあ その多大なご支援に 場 の 協 力 を い た だ き、 ントには、会場と稽古 化センターと劇団黒テ ました。東京ドイツ文 客様にお運びいただき ほどと、たくさんのお 15 ドイツ同時代演劇 5チーム6作品 ベルリンの壁崩壊後 3 『イドメネウス』の舞台(撮影・奥秋圭) ドイツ編は チーム 作品と いう態勢で、監修として新野守 た。 月のイギリス編、 イルランド編の断念は苦渋の選 11 6 より翻訳提供を受けました。 で、新国立劇場現代戯曲研究会 「キック」は近年確立された ドキュメンタリー演劇の先駈け 作品と組み合わせて。 ジュとして書いた作品を師匠の たので、弟子が師匠へのオマー ア・ローアーが師弟関係にあっ 「画の描写」「言葉のない世界」 は、ハイナー・ミュラーとデー た。 る若手演出家たちに委ねまし う描くか、同じく同時代に生き たちが向き合っている世界をど 代に生きるドイツ語圏の劇作家 壁崩壊後のドイツ演劇」 。同時 作品選定テーマは「ベルリンの 広 氏 に ご 参 加 い た だ き ま し た。 5 08 刻んできました。イギリス・ア ITI世界の秀作短編研究シリーズ また震災の影響で中止せざるを 20 始まり、 年 ドラマリーディング・ドイツ編 ドイツ編の制作に取り組みまし 3 3 えなかった 年 月にはイギリ 日独交流150周年 に あ た る 2 0 1 1 年、 グ ドイツ編」と銘打 ち、 月 ~ 日、リー 16 ディング公演を開催し 12 は「ドラマリーディン 編研究シリーズ」で 「ITI世界の秀作短 日独交流 150 周年の年に 「光のない。」はオーストリア のノー ベ ル 賞 作 家 イ ェ リ ネ ク が 福島第 一 原 発 に つ い て 書 い た 最 ベルリンドイツ座で研修をして 聖書にはキリストの言葉として ギリシャ文字のことです。 更に、 ける当該作家の立ち位置も確認 できました。 いた頃に知り合った、ベルリン キョーより翻訳協力を受けました。 は、訳し下ろし作品の上演台本 こうして作品は決まり、稽古 が始まりました。難しかったの の尽力によるものです。 稽古の中で話し合う作業は、そ マトゥルク・演出家・出演者と それらをどう伝えるのか、ドラ 出演者も登壇、客席からは賛辞 た。トークには他に、演出家・ り深い理解を促して頂きまし 下さり、作品と作家に対するよ 新作で 、 フ ェ ス テ ィ バ ル / ト ー 「 イ ド メ ネ ウ ス 」 は、 来 日 経 験のあ る シ ン メ ル プ フ ェ ニ ヒ に 作成作業でした。専門家にドラ のままドイツ語圏の文化につい ドイツ座ドラマトゥルク部長や 「私は と A で O ある」との記述 翻訳者の皆様は、当日に配布 ITIドイツセンター事務局長 があり、ドイツ人なら「 と A 」 O し た 作 品 解 説 の 執 筆 と、 ア フ と 聞 け ば そ れ だ け で、 「 万 物 を タートーク、シンポジウムへの よる古 典 の 改 作 。 マトゥル プは、 こ う し て 選 ば れ ま し た 。 それぞれに個 近著(翻訳)。 活:現代の戯曲作家とその作品 例 え ば、「 イ ド メ ネ ウ ス 」 に は「 と の 文 字 を 発 明 し た 」 ( ロ ー ア ー と シ ン メ ル プ フ ェ ニ A O 」と題し、 ロー というくだりがあります。日本 ヒを中心として) 置き、話し合いました。 を選択すべきか、ここに重点を にまっすぐ伝えるにはどう言葉 福島第一原発を描く 「光のない。 」 図を客席 作家の意 立ち会っ クとして ンヘン大学演劇学研究所)によ バイヤーデルファー教授(ミュ として開催した中央大学招聘の わっています。まず、連携企画 な が ら、 今 回 の 企 画 の 成 功 に 大 き く 関 てもらい る ワ ー ク シ ョ ッ プ。 「戯曲の復 また、翻訳者・研究者の皆様 にいただいた学術的サポートが て知る作業と同義でした。 す。どうぞお手に取ってみて下 文学紹介雑誌 Deli の次号にて、 劇評が大きく掲載される予定で が本公演でかかってゆくことを が知られ、その作家の長編作品 編リーディング上演により作家 今回は多くの劇場関係者にも お運びいただきました。この短 トークの意義が再認識されました。 て 議 論 を 解 決 す る 場 面 も あ り、 も疑問も飛びましたが、トーク 指 す も の 」 と 解 釈 す る の で す。 登壇についても全面的にご協力 「氷の下」は現代人の葛藤を 描いた作品 また 、 ロ ー ア ー 本 人 と イ ェ リ ネクの 著 作 の 出 版 元 か ら は 上 演 アーとシンメルプフェニヒの近 さい。ご協力・ご観劇くださっ 内の短編とい うラインナッ こ と を 記 し て お き ま す。 ロ ー 権利料 支 払 い が 免 除 さ れ て い る ノーベル賞作家・イェリネク最新作 アーには来日経験があって東 人にとってのアルファベット 作を上映、劇作と演出のポイン た会員の皆様に、心より御礼申 で、 新 野 氏 の 北・福 島 の 現 状 を 心 か ら 憂 え て トを共有しました。演出家・出 し上げます。 願ってやみません。ドイツ語圏 中にお客様同士が直接会話し おり、 イ ェ リ ネ ク は 素 材 そ の も は、 か Aら ま Z でのローマ字の ことですが、ここではα(アル 演者も参加し、ドイツ語圏にお 分以 のが福 島 で あ る こ と か ら 出 版 社 ファ)からΩ(オメガ)までの 性的で が判断 し ま し た 。 こ れ は 、 私 が 75 22 ●事業報告 I.T.I. NEWS 2012 回京都賞(稲盛財団)受賞 東玉三 郎 丈 が 受 賞 さ れ ま し た 。 想・芸 術 部 門 ) を 、 五 代 目 ・ 坂 世界 の 科 学 や 思 想 ・ 芸 術 に 貢 献した 人 に 贈 ら れ る 京 都 賞 ( 思 を超えた国際的活躍が高く評価 亭」に主演、中国での昆劇の活 中国江蘇省蘇州昆劇院で「牡丹 レーション、共演など、近年は 坂東玉三郎丈、第 歌舞 伎 の 女 形 の 美 の 造 形 ば か りでは な く 、 梨 園 の 出 で な い に されたものです。 イル・バリシニコフとのコラボ もかか わ ら ず 立 女 形 の 地 位 を 確 11 10 性化に貢献するなど、ジャンル 立した 力 、 新 派 や 現 代 劇 、 和 太 表彰式は 月 日、国立京都 国際会議場で行われました。 京都国際会議場で行われた表彰式(C)稲盛財団 2011 鼓グループ、モーリス・ベジャー 23 27 ル、ア ン ジ ェ イ ・ ワ イ ダ 、 ミ ハ 会員消息 (順不同 敬称略) 入会 辰巳次郎 俳優・舞台監督 福冨はつみ 劇団山の手事情 社 宗重博之 劇団黒テント 砂川幸子 東宝株式会社 高安美帆 俳優(HMPシ アターカンパニー) 後藤絢子 制作 退会 川瀬白秋 田野暦子 関 容子 斎藤恵美 白川宣力 原珠真子 浦野進 鈴木宗夫 原田広美 ご逝去 森 康尚 大野 晃 松浦光次郎 長門裕之 菅井幸雄 中村芝翫 岩井半四郎 受賞 中村翫雀 第 回松尾芸能賞 優秀賞 坂東玉三郎 第 回京都賞 思想・芸術部門 襲名 竹本綱大夫より竹本源大夫へ 襲名されました。 (平成 年 月〜 月分) 12 32 27 1 I.T.I. NEWS 2012 ●会員消息 23 世界の ITI が「HELP JAPAN」キャンペーン 届き、仲間たちの強く 日本センターに続々と から見舞いのメールが 3・ の直後、IT Iの世界中のセンター のITI本部と日本センターを 1600ユーロが集まり、パリ 」は直ちにス 「 HELP JAPAN ロヴェニア、キプロスを中心に けるよう提案しています。 で終演後に観客へ募金を呼び掛 日にドイツ国内すべての劇場 受け入れる、旅公演を受け入れ ンターから舞台技術者の留学を 切ということで、いくつかのセ 劇場関係の復興には資金援助 だけでなく、精神的な支援も大 う。 やがて福島に届くことでしょ メイ・フェスト主催者の思いも 等 々 の 申 し 出 が あ り ま し た が、 また、フランクフルト市の近 くのヴィスバーデン市で開催さ 義捐金を福島のダンサーとダン 「 連 帯 」 を 思 い、 演 劇 の 輪 で 支 ら実現していません。 え合おうとしています。 料金 (消費税込) S席12,500円、 A席 7,500円 プレビュー公演料金 (消費税込) S席11,500円、 A席 6,500円 主催:(公財)目黒区芸術文化振興財団・東宝 り、 ようやく調べがつきました。 暖かい連帯感が示され 経由して仙台に震災後設立され る、 日 本 特 集 の 催 し を 試 み る ワークを通じて「 がたいダメージを受け れた「メイ・フェスト(5月祭) 」 震災が人々に「絆」という思 いを喚起させたのは、被災地だ スの組織に特化して贈りたい プレビュー公演 (7月1日 (日) ∼5日 (木) ) 4月14日 (土) チケット発売開始 周年となる2011年 月 スロヴァニアセン ターはいち早くIT た演劇復興組織「アートリバイ いずれも震災から間もない困難 た日本と日本のアーチ に、福島から2人のダンサーの けではなく、世界の演劇人たち した。 が、参加者の名前も組織も分か --9/9 6月2日 (土) チケット発売開始 2012.8/22 ら Iのワールドネット ました。 HELP バルコネクション東北」に送金 されました。 ストたちが立ち直るた 参加があって話題となりまし も創作活動と共に「絆」を思い、 な時期であったため、残念なが めに」と、広く「支援 た。主催者は公演後に集まった 」のキャンペー JAPAN ン を 打 ち 出 し、「 信 じ の連帯」を呼びかけま ドイツセンターとベ ルリン・フンボルト大 一方、チェルノブイリ事故 周年の募金はトータル12、5 学 の 森 鴎 外 記 念 館 は、 らないので調べてほしい旨、ド 青 山 劇 場 4 0 0 ユ ー ロ に の ぼ り、 こ れ も チェルノブイリ事故か 「アートリバイバルコネクショ ン東北」に送られています。世 界が東北を応援しています。 料金■ S席12,500円 A席 7,500円 (消費税込) 東宝演劇 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前 5-53-1 TEL 03(3797)5678 ※公演内容に関するお問い合わせ先 帝国劇場内「ミス・サイゴン」係 TEL03(3213)7221 25 26 東日本大震災に支援の「連帯」 めぐろパーシモンホール 〒152-0023 東京都目黒区八雲 1-1-1 TEL 03(5701)2904 --7/8 2012.7/6 11 イツセンター会長から依頼があ 25 24 ●事務局通信 I.T.I. NEWS 2012 帝劇の客席がいっせいに涙した「究極の愛」 を描くミュージカル超大作!新演出版にて2012年、全国11都市公演決定!! めぐろパーシモンホール開館10周年記念 25 I.T.I. NEWS 2012 ●海外ニュース 海外ニュース ♦ 第 30 回ファジル演劇祭 ♦ イエテボリ・ダンス演劇フェスティバル 2012 年 1 月 25 〜 2 月 11 日 / テヘラ 2012 年 5 月 18 〜 27 日 / イエテボリ (ス ン(イラン) ウェーデン) イラン・ドラマ・アート・センター主催 contact : [email protected](ITI ス contact : Vahdat Hall, Ostad Shahryar ウェーデンセンター) 、 st.,Hafez Ave., Tehran,1133914934, Iran tel: +9821-6670-8861 Fax +98216672-5316 [email protected] ♦ 国際ビュヒナー フェスティバル www.festival.goteborg.se ♦ 第 16 回ギリシャ古典劇国際演劇祭 2012 年 7 月 1 〜 31 日 / リマソル、ニ コシア(キプロス) 2012 年 2 月 19 日のゲオルグ・ビュヒ ITI キプロスセンター主催、キプロス教 ナー没後 175 年記念にあたり、ビュヒナー 育文化省・キプロス政府観光局助成 作品をベースにしたプロジェクトの提案 アダプテーションではなくオリジナルの を募集します。フェスティバルは 2013 年 ギリシャ悲劇・ギリシャ喜劇の上演 10 月、ギーセン(ヘッセン州のフランク 参加を歓迎します。 フルトの近く) Contact : Cyprus Centre of ITI--- contact : [email protected] ♦ 第 1 回ベイルート国際児童演劇祭 2012 年 3 月 20 〜 30 日(健康と環境) 、 3 月 31 日〜 4 月 9 日(イマジネーション 38, Regaena Str., 1010 Nicosia, Cyprus Tel : +357-22-674920 fax : +357-22680822 [email protected] Contact person : Neophytos Neophytou ♦ ストックホルム文化祭 と創造性) 、4 月 10 〜 20 日(平和とリー 2012 年 8 月 14 〜 19 日 / ストックホ ダーシップ) ルム(スウェーデン) レ バ ノ ン 観 光 省 主 催、Scenez Group info : www.kulturfestivalen.stockholm. production 制作 se contact : [email protected], [email protected] tel : +96170-111096 contact person : Christina Chammas ♦ コンテンポラリー ドラマ フォーラム ITI ギリシャセンター主催 。過去5年間 ♦ 第9回国際女性劇作家コンフェランス 2012 年 8 月 15 〜 21 日 / ストックホ ルム(スウェーデン) info : www.wpinternational.net ♦ イングマル・ベルイマン国際演劇祭 に書かれた戯曲のリーディング上演。 2012 年 5 月 27 〜 66 日 / ストックホ 2012 年5月、アテネ ルム(スウェーデン) contact : [email protected] info : www.bergmanfestivalen.se 事業報告 23 14 菱沼理事が新しく編集に加わっ て誌面が一新しました。ITI の活動が会員に生き生きと伝わ ることを期待しています。 心 強 い ニ ュ ー ス と な り ま し た。 ITIが国内の活動を充実させ ると共に、アジア演劇人連盟な 賞です。 年の歩みと受賞者た ど諸団体との連携を密にしなが ちのめざましい成果をまのあた ら世界へ羽ばたくためには会員 りにし、内村賞がまさに「世界 お一人お一人のご参加とご尽力 の内村賞」として高い評価を得 がどうしても必要です。 ていることを実感しました。I 越光照文桐朋学園芸術短期大 TI日本センターとして誇りに 学学長からGATS(世界演劇 思います。日本の文化と世界の 学校連盟)フェスティバル=北 舞台芸術に寄せる内村直也氏の 京公演のご寄稿をいただきまし 深い思いに敬意を表し、ご遺族 た。GATSは世界 の演劇学 にあらためて感謝申し上げます。 校 の 連 盟 で 、 I T I の 国 際 活動 氏は 「我 東アジア の国と地域が参加 の一翼を担っています。 してITI加盟を視野に入れた が国の演劇学校間の連携はまこ 「 ア ジ ア 演 劇 人 連 盟 」 の 創 設 も とに貧弱」と嘆き、劇場と演劇 大学との連携を模索中とのこと。 日本の演劇大学の積極的な国内 外の交流を願ってやみません。 ITI平成 年度通常総会 で、公益社団への移行をめざし て準備を進めることが承認され ま し た。 新 法 人 へ の 移 行 に あ たっては、現社団法人総会で構 成員の4分の3以上の賛成を得 る必要があります。会員の皆様 のご理解とご協力をいただけま すようお願い申し上げます。 会員参加で内外の活動強化を 新年 お め で と う ご ざ い ま す 。 多事 多 難 の 年 が 明 け 、 今 年 こ そ会員 の 皆 さ ま に と っ て 素 晴 ら しい年 に な り ま す よ う 、 祈 念 申 し上げ ま す 。 寄稿 19 18 ▲平成 年は、新しい公益 社団への移行が大きな課題 です。ITIの活動は世界 各地の演劇舞踊文化の相互 理解を深めることで多様な 文化的価値を継承・創造す るものです。この分野の交流を通 して、日本と世界をつなぐ役割を 今後さらに充実させていきたいと 念願しています。 (曽田修司) ▲銀杏がなかなか色づかず、すぐ に黄色から枯葉色になり、ギンナ ンも落ちない、など感じつつIT I通い。寒さが続きます。皆さま、 ご自愛下さい。 (小田切ようこ) ▲レイアウトを担当しました。I TIはいい仕事をしている。多く の人に知ってほしい──そんな手 応えを感じています。(菱沼彬晁) 24 第 122 号 2012 年 1 月 15 日発行 発行 (社団法人)国際演劇協会 ( ITI ユネスコ ) 日本センター 発行人 永井多恵子 編集人 曽田修司 〒 151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷 4-18-1 国立能楽堂内 Tel03-3478-2189 Fax03-3478-7218 Email:[email protected] http//www.green.dti.ne.jp/~iti/ ITI 国際演劇協会 日本センター会長 編集後記 (© 国際演劇協会日本センター 2012) 永井 多恵子 今号 の ト ッ プ 記 事 は 内 村 直 也 ITIニュース№ 122 主な内容 ▽第 19 回内村直也賞、スウェーデンの舞 踏グループ SU-EN に……1 ▽「公益社団法人」設立総会へ向けて……3 ▽国際演劇協会平成 23 年度総会報告……4 ▽「アジア演劇人連盟(ATA) 」ITI 加盟 を視野に発足……5 ▽ラメンデュ・マジュンダ ITI 会長「アジ ア演劇人連盟」創設記念講演……8 ▽第 33 回 ITI 世界大会アモイで開催……11 ▽新生『この子たちの夏』に寄せて/ 渡辺江美(地人会新社)……13 ▽GATS(世界演劇学校連盟)フェ スティバル=北京公演報告/越光照文 (桐朋学園芸術短期大学学長)……14 ▽第 23 回伝統芸能ワークショップ= 日本舞踊……17 ▽「動乱と演劇」リーディングとシン ポジウム……19 ▽世界の秀作短編研究・ドラマリー ディング=ドイツ編……21 ▽坂東玉三郎丈、第27回京都賞思想・芸 術部門(稲盛財団)受賞……23 ▽世界の ITI が「HELP JAPAN」キャンペー ン……24 ▽海外ニュース……25 26 ●事務局通信 I.T.I. NEWS 2012