東海経済レポート（2013 年 3 月）

2013 年 3 月 18 日
東海経済レポート（2013 年 3 月）
～東海地域の景気は、持ち直しの動きを強めている～
経済調査室（名古屋）
1．足元の経済情勢
経済指標は景気底打ちを示す
9 生産は、1 月に前月比+8.9%と急回復。主力セクターである輸送機械と電気
機械が回復を牽引。
9 輸出は、1 月に前年比+16.2%と大幅なプラスとなった。中国向けが下げ止
まったことに加え、米国、その他アジア、中東・ロシア等向けが好調。
9 設備投資では、設備投資の先行指標である金属工作機械の国内受注額が、1
月は前年比▲26.8%と 8 ヶ月連続でマイナス。
9 雇用では、1 月の愛知県の有効求人倍率が 1.14 倍と 2 ヶ月連続で上昇した。
他県も同様に上昇。
9 個人消費では、1 月の新車販売台数が前年比▲9.6%と 5 ヶ月連続でマイナ
スになった。同月のスーパー・コンビニ等小売主要 3 業態は前年比▲0.5%
と小反落。住宅着工は昨年 6 月を底に増加基調で推移。
2．当面の注目点・リスク要因
9 2012 年度補正予算の早期成立に加え、日銀正副総裁人事での衆参両院の同
意取り付け、TPP 交渉参加方針の正式発表など、安倍政権の経済政策はス
ピード感を持って着実に前進している。市場の大きな期待にしっかり応え
続けることにより、今のところ円安や株価上昇を通じた企業マインドの改
善に成功している。
9 加えて、米国で景気の底堅さを示す経済指標が相次いでいることもあり、
リスク資産への資金流入が世界的に進展。
9 ただし、①米国財政運営やイタリア政局などを材料とする円高、株安、②
日中関係緊迫化、といったリスクには引き続き警戒が必要である。
1
2013 年 3 月 18 日
生産① 1 月 の 鉱 工 業生 産 指 数 は前 月 比 生産② 業種別では、輸送機械と電気機械
+8.9%と急回復。
が回復を牽引。
（2005年=100）
（前月比寄与度、%）
120
16
115
12
110
8
105
4
100
0
95
-4
90
-8
85
-12
80
東海
-16
75
全国
-20
70
その他
電気機械
一般機械
輸送機械
東海
-24
08/1
65
05
06
07
08
09
10
11
12
13
（ 年 /月 ）
（注）東海は愛知･岐阜･三重の3県
（資料）中部経済産業局「管内鉱工業の動向」等より
三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成
7
09/1
7
10/1
7
11/1
7
12/1
7
13/1
（年/月）
（注）1．季節調整値
2．東海は愛知･岐阜･三重の3県
3．電気機械は電子部品･デバイス等を含む旧分類
（資料）中部経済産業局「管内鉱工業の動向」より
三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成
設備投資 10-12 月期の資本金 10 億円以上 金属工作機械受注（国内） 設備投資の
の大企業の設備投資（除くソフトウェア）は、 先行指標である金属工作機械の国内受注額
前年比▲10.3%とマイナスに転じた。
は、1 月は前年比▲26.8%と 8 ヶ月連続で減
（前年比、 %）
少。
50
（億円）
40
350
30
200
受注額（東海）
前年比（東海、右目盛）
300
20
（前年比、 %）
150
前年比（全国、右目盛）
250
10
0
100
200
-10
50
-20
150
非製造業（東海）
製造業（東海）
全産業（東海）
全産業（全国）
-30
-40
05
06
07
-50
50
-50
04
0
100
08
09
10
11
12
-100
0
（年、四半期）
07
（注）1．東海は、愛知、岐阜、三重、静岡の4県
2．資本金10億円以上の企業を対象
（資料）東海財務局「四半期別法人企業統計調査」より
三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成
08
09
10
11
12
13
（年/月）
（注）1．東海は中部経済産業局管内の主要8社
2．受注額は当室による季節調整値
（資料）中部経済産業局「金属工作機械受注状況」等より
三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成
輸出 1 月の輸出額は、前年比+16.2%と大幅 雇用 1 月の愛知県の有効求人倍率は 1.14
なプラス。
倍と、2 ヶ月連続で上昇した。他県も同様に
（前年比、%）
上昇。
70
（倍）
60
2.2
その他
電気機器
工作機械
自動車部品
自動車
鉄鋼
東海（総額）
全国（総額）
50
40
30
20
10
2.0
愛知県
岐阜県
1.8
三重県
静岡県
1.6
1.4
全国
1.2
0
-10
1.0
-20
0.8
-30
0.6
-40
0.4
-50
0.2
-60
08
08/1
7
09/1
7
10/1
7
11/1
7
12/1
7
13/1
09
10
11
12
13
（年/月）
（注）1．有効求人倍率=有効求人数/有効求職者数
2．季節調整値
（資料）厚生労働省「一般職業紹介状況」より
三菱東京 UFJ 銀行 経済調査室作成
（年/月）
（資料）財務省「貿易統計」、名古屋税関「管内貿易概況」より
三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
2
2013 年 3 月 18 日
個人消費 1 月の小売主要 3 業態の販売は前 住宅投資 1 月の住宅着工戸数は年率換算
年比▲0.5%と 3 ヶ月ぶりのマイナス。業種別 で約 8.2 万戸と引き続き好調。
（年率、万戸）
では、スーパーが不振。
10
6%
9
4%
8
7
2%
6
0%
5
-2%
4
3
-4%
コンビニ
スーパー
百貨店
合計
-6%
2
0807
0901
0907
1001
1007
1101
1107
1201
戸建て
貸家
0
-8%
0801
持家
マンション
1
1207
1301
2010
（注）東海は愛知･岐阜･三重･富山･石川の5県
（資料）中部経済産業局「管内大型小売店販売概況」より
三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
2011
2012
2013
（注）東海は愛知･岐阜･三重の3県
（資料）国土交通省「建築着工統計」より
三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
景気ウォッチャー調査 2 月の景気現状判 倒産件数 2 月の企業倒産件数は 100 件と
断 DI は+52.4 まで改善し、リーマンショック 減少（前年比で▲25.4%）。負債総額は同
後の最高水準（+52.7）にほぼ到達。
+36.1%と増加。
（億円）
（ DI ）
（件数）
1,600
60
55
220
負債総額
件数（右目盛）
1,400
50
200
1,200
45
40
1,000
35
800
30
180
160
140
600
25
東海
20
120
400
全国
15
100
200
10
05
06
07
08
09
10
11
12
80
0
13
07
（年 /月 ）
08
09
10
11
12
13
（年/月）
（注）愛知･岐阜･三重･静岡･長野の5県
（資料）東京商工リサーチ「倒産月報」より
三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
（資料）内閣府「景気ウォッチャー調査」より
三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
原油価格 米国の景気回復に対する期待を 円相場・株価 円相場は、積極的金融緩和
背景に、90 ドル台前半で底堅く推移。
に対する期待と好調な米国経済指標を背景
に、90 円台後半まで下落。株価は、デフレ
（ドル/バレル）
脱却・円安等による企業業績の改善期待が高
150
まり大幅上昇。
140
130
（円/ドル）
125
120
110
100
（円）
19,000
18,000
120
ドル円相場
115
日経平均株価（右目盛）
110
90
80
70
60
15,000
14,000
100
13,000
95
12,000
11,000
10,000
85
40
9,000
80
30
07
08
09
10
11
8,000
75
12
7,000
07
（年/月）
16,000
105
90
50
17,000
08
09
10
11
12
（ 年/月）
（注）原油価格はWTI先物
（資料）Bloombergより三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
（資料）Bloomberg より三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成
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2013 年 3 月 18 日
（H25.3.18 冨田
潤
[email protected]）
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