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コンテンツ・マーケティング論 流通とは?
2015/4/23 コンテンツ・マーケティング論 第3回:Place-流通戦略 2015.4.23 立命館大学映像学部 宿南 達志郎 流通とは? • 製品を消費者に届ける仕組み。 • 生産者が直接消費者に届けることは非効率⇒ 生産者と消費者の仲立ち。 • 量販店などは卸売を介さず生産者との直接取 引も。 • インターネット通販では、(卸)小売業者を介さず 消費者との直接取引(流通業者の中抜き)も 1 2015/4/23 流通チャネルの選択肢 ① ② 卸 ③ 卸 (専売) 小売 小売 消費者 消費者 ④ ⑤ 小売 小売 (専売) (量販) ネット 直販 消費者 消費者 消費者 流通チャネルの選択肢 ① ② 卸 卸 ① スーパーで「花王」 の洗剤を購入 (専売) 小売 小売 消費者 消費者 ② コンビニで缶コー ヒーを購入 2 2015/4/23 流通チャネルの選択肢 ③ ④ 小売 小売 (専売) (量販) 消費者 消費者 ⑤ ネット 直販 消費者 ③ ルイ・ヴィトンのショッ プでバッグを購入 ④ ヤマダ電機でテレビ を購入 ⑤ 全日空のサイトから 航空券を購入 流通組織の必要性 • 【生産者】 • 消費者や小売店と直接 取引するのは、非効率ま たは不可能 – 契約数、取引数、決済数 が多くなり過ぎ • 消費者や小売店の求め る製品・サービスを具体 的に把握していない。 – 売れ筋、集客などは専門 家に任せる必要あり • 【消費者】 • 生産されている製品や サービスを網羅するのは 不可能 – 品揃えと絞込みの機能を 流通組織に期待 • 購買頻度によるがなるべ く最寄に店舗がある方が 良い。 • 生産者(製品)の見極め が困難だ。 3 2015/4/23 中間業者による取引数削減効果 流通業者の存在価値‐1 • 商取引数などを削減 – (例)生産=100社、消費者=1万名のケース – 直接取引:最大100万回(=100 x 10000)(遠距離) – 小売業者10社の場合:最大11000回(中距離) • 生産→小売・・・1千回(=100 x 10) • 消費者→小売・・・1万回(=10000) – 卸3社、小売30社の場合:最大10390回(近距離) • 生産→卸・・・300回 • 卸→小売・・・90回(=3X 30) • 消費者→小売・・・1万回(=10000) • 取引コストを削減 – 交通費、運搬費、請求・支払コストなどが含まれる。 4 2015/4/23 流通業者の存在価値‐2 • 販売支援機能 – 小売店がどのような商品を仕入れるべきか、他 の地域や他店舗の動向なども踏まえ、アドバイス できる。 • 金融機能 – 小売店の支払いを一定期間猶予する(請求書払 い)ことによって、小売店の運転資金借入れを減 らせる。 • つまり、商流、物流、金流、情報流など Video1 • がっちりマンデー「ホームセンター島 忠」2014/4/19 13分 • 関西には5店舗(大阪4、兵庫1) – http://www.shimachu.co.jp/shop/osaka.html 5 2015/4/23 島忠の方針(特徴) • ‘日本一のサービス’を目指す • 品揃えの豊富さ(家具+ホームセン ター) • 地域密着型品揃え • 社員ひとりひとりが’プロのアドバイ ザー’ • ブランド名(シマホ)の覚えやすさ 売上高・純利益(億円)推移 順調に拡大 売上高 利益 1800 120 1600 100 1400 1200 80 1000 60 800 600 40 400 20 200 0 0 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26予 6 2015/4/23 しかし、メーカーと流通業者の利害は 必ずしも一致しない • メーカーは、自社の製品を重点的に売って欲 しい。・・・理想は、専売 • 流通業者は、お客様の希望に合わせて売り たい。・・・・理想は、全社・全製品 • メーカーは、売れる数だけ作りたい。・・・理想 は、注文生産または返品なし • 流通業者は、買ってもらってから支払いた い・・・理想は、品揃えを豊富に返品もあり メーカーの流通活用戦略 • A.開放的チャネル戦略(消費者目線) – できる限り多くの店舗で販売 • 併売店、総合店舗 →日用品 • B.排他的チャネル戦略(生産者目線) – 自社の製品を独占的に販売する店舗に限定 • 専売店、特約店 →自動車、ブランド品、新聞など • C.選択的チャネル戦略(中間) – 販売力、経営方針などにより店舗を選択 • 量販店+専売店 →携帯電話、家電 7 2015/4/23 流通業界の動向 • 小売業者の合併 – スーパー:イオンがダイエーを吸収 – コンビニ:サークルKとサンクスの合併 • 製販同盟(PB:Private Brandなど) – PBのメリット: • メーカー品より安い(広告宣伝費不要) • 販売量が安定する • ネット通販の台頭 – Amazon、楽天、アスクル、オイシックス 流通経路は徐々に効率化 10億円 <卸・小売比率:4.3→2.36に低下> 1000000 4.50 900000 4.00 800000 3.50 700000 3.00 600000 小売 2.50 500000 2.00 400000 卸売 1.50 300000 1.00 100000 0.50 0 0.00 比率 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 200000 経済産業省「商業動態統計2012」 8 2015/4/23 大規模小売のパワーアップ • (かつて)メーカーが卸・小売を系列化し、 マーケティングを主導 • (現在)大規模小売のシェアが高まり、メー カーの思い通りにマーケティングできない。 店舗規模と売上シェアの推移 10人未満(売上):73.9%→32.04%(大幅減) 10人未満(店舗):98.23%→84.23%(まだ多い) 1958 1‐9 10‐30 1982 30‐99 100‐ 1‐9 10‐29 30‐99 2007 100‐ 1‐9 100% 100% 100% 90% 90% 90% 80% 80% 80% 70% 70% 70% 60% 60% 60% 50% 50% 50% 40% 40% 40% 30% 30% 30% 20% 20% 20% 10% 10% 10% 0% 0% 店舗シェア 売上シェア 10‐29 30‐99 100‐ 0% 店舗シェア 売上シェア 店舗シェア 売上シェア 9 2015/4/23 ①メーカー主導型 • 自動車業界 – 各メーカーの系列ディー ラーが販売 • ブランド品業界 – 専売店(または専売コー ナー)が販売 • 保険業界(生保、自動車 損保) – 系列の販売店が生保販売 員やディーラー経由で販売 • <特徴> – 限定品を販売 • メーカーのメリット – 他社の製品を販売で きないことから、運命 共同体となれる。 • 消費者のデメリット – 異なるメーカーの製 品を比較検討しづら い。 • 多数の販売店を訪 問しても客観的な判 断は困難。 ②小売業が製造もカバー 【SPA(製造小売業)】 • Speciality Store Retailer of Private Label Apparel(1986 年にGAPが自らを定義した) – 商品企画、生産、物流、販売全てを行う。ハイリスク・ハイリ ターン。 – ユニクロ、しまむらなど • 強み: – 中間マージンを圧縮して、高い利益率を確保 – 独自商品で個性的な店作り – 価格設定が自由に可能。在庫が多いと早めに安売り。 • 弱み: – 発注したものを全て買い取るリスクあり。 – 商品企画の失敗リスクあり。 10 2015/4/23 ③メーカーと消費者の仲介 【多品種品揃え型】 • (百貨店) • <特徴> – 限定ブランド – 価格とブランド名などにより消 費者が自主的に購買を判断 • スーパー・マーケット – 多品種、中パッケー ジ • メーカーのメリット・デメリット – 棚の確保が可能 – 購買への誘導が困難 • ディスカウント・ストア – 限定品種、大パッ ケージ • 消費者のメリット・デメリット • コンビニエンス・ストア – 限定品種、小パッ ケージ – 選択肢が多い – 迷った時の相談相手なし ④消費者主導型 【購買代理】 • 生協 – 組合員の目線で安全 な商品を提供 • 野菜通販 – 旬の野菜をパッケージとし て提案 • Oisix(おいしっくす)など • オフィス用品通販 – 文具から飲料までオフィス で必要なものは何でも宅配 • アスクルなど • <特徴> – 消費者の立場に立っ て、メーカーの選定、低 価格化、ワンストップ ショッピング化などを図 る • メーカーのメリット – 生産者の名前や気持ち が伝わる • 消費者のメリット – 安全性や品質に関する 専門家の評価が品揃え に反映されている 11 2015/4/23 Video 2 • カンブリア宮殿「進化するアスクル」 2012/7/19、17m. 企業研究 • アスクル(Askul) –オフィス通販最大手 • ライバルは、カウネット(コクヨ)、たの めーる(大塚商会) –Yahooとの提携によりパワーアップし、 消費者市場でAmazon,楽天と対決 モードへ 12 2015/4/23 Askulとは?・・・(明日来る) 文房具の「プラス社」の通販事業部として発足。 • お客様の要望に対応(他社製品も)するため、独立。 • 売り手の発想だけでなく、買い手の発想で考える。 地道に市場やビジネスモデルを開拓。 • ①中小事業所に大手企業並みのサービスを • ②大手企業にも一括購買(アリーナ) • ③オフィスやお店で必要なものをワンストップで。 • ④個人向けの販売を本格化(ぽちっと) アスクルの経営理念 「お客様のために進化するアスクル - Innovate for Customer -」 アスクルが提供する2つの価値 • ①オフィスのためのワンストップショッピング • メーカーにこだわらず、OA機器から生活用品まで、オフィ スで必要なものが購入できるサービスです。 • ②時間を約束した配送サービスの提供 • 「明日必ず届けます」と約束できることで、お客様の信頼を 得る。 13 2015/4/23 2011年に初めて赤字。 その後V字回復し、最高益(’13)へ。 単位:百万円 売上高 純利益 300,000 7,000 6,000 250,000 5,000 200,000 4,000 3,000 150,000 2,000 100,000 1,000 0 50,000 ‐1,000 0 ‐2,000 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 アスクル 対 コクヨ 東証1部上場 時価総額 アスクル 2004年 1,551億円 売上高 2,534億円 利益 21億円 社員数 1,187名 収入内訳 オフィス関連 100 比率 (+33年) ≒ < < 1:6 コクヨ 1971年 1540億円 2,930億円 51億円 6,673名 ステーショナ リー関連26、 ファニチャー関 連40、通販・小 売関連34 14 2015/4/23 アスクルの事業領域拡大 • B to B(ビジネス向け商品) – 品揃えを約38万アイテムへと継続的に拡充。 – オフィスで利用される消耗品や生活用品等の商材 – 工場・建設現場・研究所などの現場で利用される間 接材(MRO商材) • B to C(一般消費者向け商品) – 「LOHACO(ロハコ)」を平成24年11月20日にオープ ン(Lots of Happiness Community) – 生活必需品を最短で当日お届けするサービスを開 始。 • ヤフー株式会社との提携(42%出資) まとめ • 流通業者の選択肢はいろいろ – メーカーの立場、流通効率、消費者目線 • 大きく言えば3つのタイプ – ①メーカー主導型:やや押し売り型だが相談機能 あり – ②中立型:多数のメーカーと八方美人的におつき あい – ③消費者代理型:消費者の立場に立って、安心・ 安全・廉価なものを迅速に配送 15 2015/4/23 今週のレポートテーマ • 流通について以下からテーマを 選び論じて下さい。 ① ② ③ ④ 流通業者の重要性 メーカーと流通との利害対立 島忠 アスクル 16