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第6回 分散協調視覚認識に基づく親和的情報空間の構築 / チャネルド

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第6回 分散協調視覚認識に基づく親和的情報空間の構築 / チャネルド
平成 20 年度第 6 回 VIRI 研究会
z
日時:平成 21 年 3 月 6 日(金) 13:00-16:30
り,現在の状態(移動中,環境物体による遮蔽,
z
講演者:渡邊
立ち止まり静止,着席)を推定する方針である.
睦 先生(鹿児島大学工学部
先生(北海道
研究室内にカメラを複数台設置し,実際に人物
大学大学院工学研究科応用物理学専攻准教
追跡を行った.人物の移動,着席だけではなく,
授)
移動中での環境物体による遮蔽が起きても正し
講演題目:
く再追跡が行えた.さらに全方位カメラと組み
¾
分散協調視覚認識に基づく親和的情報
合わせることで,人の流れを計測することを試
空間の構築(渡邊先生)
,
みた.全方位カメラを使用しているため,端に
チャネルド偏光計測~偏光分布の瞬間
行くほど人物の大きさが小さくなる.よって追
を切り取る~(岡先生)
跡範囲を変化させることで対応した.また追跡
情報工学科教授)
,岡
z
¾
z
和彦
出席者(敬称略)
:ヒルド,越後,河合(秀),
人物が重なった場合の対処として色情報も併せ
光本,来海,土居,西(以上教員)
て使用した.学科棟の玄関ホールで実際に学生
の移動を追跡し,良好な追跡結果が得られた.
1. 分散協調視覚認識に基づく親和的情報空間
の構築
1.1 背景
1.3 移動物体認識関連研究
人物認証を行う際に,個人の身体的特徴を画
親和的情報空間とは人間(群)とコンピュー
像から複数取得し,確率的手法にて統合的に総
タ(群)が自然且つ自在にコミュニケーション
合判断を行う手法を開発した.ここでは人物の
できる環境を意味する.具体的には利用者にと
頭部領域を用いて各個人の特徴を数値化し,ベ
って身近で,手軽,そしてリアルタイム処理が
イズ判別や最大事後確率推定法などの確率的手
提供されなければならない.また環境変動に対
法にて人物認証を行い,良好な結果を得ること
しても安定している必要がある.状況に応じて
ができた.
学習し,進化発展した処理が行われることが目
標である.このような情報空間を構築する背景
としては,「産業中心型」から「人間中心型」
1.4 コミュニケーション関連研究
自律移動ロボットについて研究を行っている.
へとパラダイムシフトが起きつつあること,
スーパーでの買い物かごロボットや介護用の生
CV・PRのキラーターゲットの変遷,少子化・高
活用品運搬ロボット等を考えた場合,人物追跡
齢化社会の進行などが挙げられる.親和的情報
の機能は不可欠である.ここでは背景差分によ
空間を構築する方針としては,物理的空間各所
る処理領域内への人物の進入を検出し,その後
に埋め込まれた自律エージェント群を統合する
にカルマンフィルタによる一期先予測を行い,
ことで実現する.自律エージェント群は,移動
人物の場所を推定するシステムを検討した.ロ
追跡エージェント,移動物体認識エージェント,
ボットの移動は緩やかではあるが,人物の追跡
コミュニケーションエージェント,人物内面状
を行うことができた.口部パターン認識による
態推定エージェント等で構成される.
対話型コミュニケーションシステムについても
開発を行った.日常会話が困難な障害者や高齢
1.2 移動物体追跡関連研究
者とのコミュニケーションを,口部パターンか
テンプレートマッチング技術を利用して,人
ら個別辞書に照らし合わせて対話を行うシステ
物追跡を行った.さらに人物の状態推定を行い,
ムである.障害をもつ被験者に対し実験を行い,
在席自動管理システムを構築した.人物追跡中
非常に高い認識率を得ることが確認できた.
の複数テンプレートの挙動を解析することによ
1.5 人物内面状態推定関連研究
カメラで撮影した人物の表情と身体の仕草か
2. チャネルド偏光計測
~偏光分布の瞬間を切り取る~
ら人物の内部状態を推定することを目的とする. 2.1 背景
人物の内部状態が表れる部位として,顔の局所
偏光とは特定の方向へのみ振動する光のこと
的変形,表情変化,目線の動き,身体全体の動
で有り,我々の身の回りは偏光現象で満ちてい
き等が挙げられ,特に目や眉,口を対象領域と
る.それゆえ近年偏光を利用した計測法が多数
した.まず講義中の学生をカメラにて撮影し,
提案されている.偏光を利用している分野も多
顔の向きを検出することで,講義自動評価シス
岐に渡り,例えばリモートセンシングにおいて
テムを構築し,講義に集中しているか又は居眠
は,偏光カメラを利用することで,平坦度,材
りをしているかの状態認識を行った.実験結果
質,面の傾き,粒子密度などがわかる.これに
より,講義への集中度を概ね判断できた.次に
より気象観測や監視,防衛等へ応用できる.マ
表情や仕草を脳波と照らし合わせることで,提
シンビジョンにおいては偏光の見え方を使って
案手法の妥当性を検証した.各脳波に対応した
物体の特徴を知ることが可能である.例えば平
知見を得ることができた.
坦度,材質,面の傾き等である.光強度や色(ス
ペクトル)などで識別困難な場合に偏光による
1.6 まとめ
親和的情報空間を構築するための自律エージ
識別は有効である.また透明な物体への適用も
期待されている.その他にも天文や材料の評価,
ェント群,具体的には移動物体追跡エージェン
光弾性応力解析,光エレクトロニクス素子の評
ト,移動物体認識エージェント,コミュニケー
価,光通信PMD,ナノテク,生体計測などへも
ションエージェント等のプロトタイプを開発し
偏光現象を利用した計測が行われている.
た.また人物内面状態推定のための方法論を提
案した.今後は視覚認識・呈示エージェントの
高度化や人物内面状態推定エージェントの開発
が今後の目標である.
2.2 チャネルド偏光計測
現用の(撮像)偏光計測の問題点として,偏
光板を回転させて計測を行う点が挙げられる.
これは偏光がベクトル量であり,自由度が4つ
1.7 議論
あるため,条件を変えて計測を行わねばならな
z
人物追跡中に完全遮蔽状態から別人物が表
いためである.この計測法では,偏光板を回転
れても正しく追跡はできるのか.
させるために高精度な動作が要求され,高価な
各テンプレートは何らかの条件が設けられ
機材が必要となる.また時間を要するために計
ているのか.
測対象の特性が変動する可能性もある.さらに
複数のテンプレートのうちどの程度追跡に
スナップショットではないなど幾つかの重大な
成功しているのか.
問題点が存在する.そこでこれらを解決する1
人物追跡の技術を顔認証へ応用することは
つの手法として,チャネルド分光偏光計測法を
できるか.
提案した.周波数分割多重方式で計測を行う.
z
z
z
z
移動体の速度はどの程度まで認識できるか. 具体的には異なる縞模様に偏光情報を重ねて多
z
3次元情報は利用しないのか.
重化するものである.作成した計測機は,CCD
z
ロボットに与える環境マップの複雑さはど
の前に厚みの異なる特殊プリズムを数枚配置し,
の程度まで可能なのか.
プリズムを透過する光の干渉縞をフーリエ解析
授業自動評価システムでは私語やその他の
にて情報を取得する.実際に薄膜の計測を行っ
動作などの検出は可能か.
た.4枚のシリコンウェハーに異なる厚みの膜が
z
のっており,それらを20ミリ秒で測定する.そ
の後フィッティングを行い,リアルタイムで厚
波長毎の計測が必要と考えられる.
みを算出している.高精度での計測が実現でき
ていることが分かった. また最近では,この計
z
できるか.
測機を応用してコンピュータトモグラフィの原
対象の計測領域に依存すると思われる.
理でスナップショットの偏光分光画像計測を試
みている.
表面が粗い物体に関しても面の傾きを検出
z
偏光タイプのサングラスが目に及ぼす影響
はどの程度か.
正しい使用方法であれば目に対する負担
2.3 議論
z
偏光画像には幾つかの情報が混在している
は軽微である.なぜならば人間の網膜は偏
が,これらをそれぞれの成分毎に検出する
光に対する感度が非常に低いためである.
ことが可能か.
z
どのような分野への応用を考えているのか.
モデルを作成し,フィッティングを行う
内視鏡に使えると考えている.内視鏡の
しかない.平坦度や面の傾きは比較的容易
先端に取り付けるだけであり,大掛かりな
に取り出せるかもしれない.材質の違いは
装置は必要としない.
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