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手戻りなし ! 業務フロー図 作成の秘訣
特集 ! し な り 戻 手 特 集 業務フロー図 作成の秘訣 手戻りなし! 業務フロー図 作成の秘訣 要件定義や基本設計で作成する詳細レ ベルの業務フロー図は、複雑になりや すく分岐条件が漏れるなどして手戻りに つながりやすい。分かりやすく正確に描 く現場の秘訣を紹介する。 (島津 忠承) 54 NIKKEI SYSTEMS 2013.7 <イラスト:ミオササノッチ> 四つめは「注釈だらけで重要な箇所 テムの開発プロジェクト。順調に開発 詳細レベルの業務フロー図が分かり が分かりにくい」である。必要な情報 が進んだが、ユーザーテストで問題が にくいときの典型例として、次の四つ をすべて盛り込もうとして個々のプロ 起きた。 「商品種別によって在庫の引 が挙げられる(図2) 。 セスの意味やシステムの要件などを注 き当て方を変える必要があるのに、そ 一つめは、 「人の活動かシステムの 釈として書くと、ごちゃごちゃして分 の選択肢がシステムの画面に出てこな 処理なのかはっきりしない」である。 かりにくくなってしまう。 い」という指摘が入ったのだ。 業務の流れに、システムの処理が区別 では、分かりやすく正確な詳細レベ 原因は、要件定義フェーズで作成し なく混在している図がそうだ。 ルの業務フロー図を作るにはどうすれ た業務フロー図にあった。それは、経 二つめは「 (業務フローを構成する) ばいいのか。業務フロー図の作成につ 営層や利用部門に対する提案などに活 プロセスの粒度がバラバラになる」 。 いて周囲から評価の高いITエンジニア 用する「概要レベル」の業務フロー図 業務フロー図の中で、プロセスによっ に取材したところ、その秘訣が浮かび とは別に作ったもの。利用部門による て詳しく記述されていたり、大雑把に 上がった。以下では、 「人の活動かシ 新業務のチェックと合意形成や、アプ 記述されていたりすることを指す。 ステムの処理なのかはっきりしない」 リケーション設計の材料にすることを 「分岐で図が複雑化する」 。これが三 「プロセスの粒度がバラバラになる」 目的とした「詳細レベル」の業務フロー つめの典型例だ。業務フローにはさま 「分岐で図が複雑化する」 「注釈だらけ 図である(図1) 。 ざまな分岐条件があるもの。詳細レベ で重要な箇所が分かりにくい」という このプロジェクトでは、商品種別に ルの業務フロー図では、分岐パターン 四つのダメな典型例に分けて、そうな よって在庫の引き当て方を変えること が多くなる。それらをすべて業務フ らないようにするための秘訣を順に紹 になっていた。しかし詳細レベルの業 ロー図に描くと極めて複雑になる。 介する。 手戻りなし! 業務フロー図 作成の秘訣 事例のような手戻りを引き起こす。 特 集 物流業務の改革に伴う在庫管理シス 務フロー図からこの記載が漏れた。し かもこの業務フロー図の表現が複雑で 本特集で対象とする業務フロー図 分かりにくかったために、記載の漏れ ム要件に盛り込まれなかった。 主な用途 に誰も気付かず、必要な機能がシステ 分かりにくい典型例は四つある 要件定義や基本設計を担当するIT エンジニアであれば、誰しも業務フ ロー図を描いたことがあるだろう。し 概要レベルの業務フロー図 ・経営層や利用部門への提案 ・現状業務の問題点のヒアリング 詳細レベルの業務フロー図 ・利用部門による新業務のチェッ クと合意形成 基本設計へ ・基本設計(アプリケーション設 計) の材料 1 2レベルの業務フロー図とその用途 図 業務フロー図には大きく二つのレベルがある。提案やヒアリングに活用する「概要レベル」と、新業務のチェッ クと合意形成、基本設計の材料とする「詳細レベル」である。ここでは後者を対象に、その描き方を解説する かし、詳細レベルの業務フロー図を分 かりやすくかつ正確に描くのは容易で 典型例(1) ない。 「業務の流れを厳密に描こうと 人の活動かシステムの 処理なのかはっきりしない するあまり複雑にしてしまう人が多 典型例(3) 分岐で図が 複雑化する い」とオージス総研の中澤祥浩さん (ソリューション開発本部 コンサル ティング・サービス部 業務改善推進 典型例(2) グループリーダー)は指摘する。 プロセスの粒度が バラバラになる そうして詳細レベルの業務フロー図 が複雑になると、関係者がその内容を 十分にチェックできなくなり、冒頭の 典型例(4) 注釈だらけで重要な 箇所が分かりにくい 2 詳細レベルの業務フロー図が分かりにくいときの典型例 図 NIKKEI SYSTEMS 2013.7 55