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第17回 - 日本イーラーニングコンソシアム
実行 トップへ 検索結果一覧 ├ 新着情報 ├ 専門学校とeラーニング 海外事情一覧 ├ イベントカレンダー 最新情報の一覧へ戻る ▲ ├ ニュースリリース 2007年3月6日 elcについて 第17回 「 ヨーロッパにおける「 e ラーニング2.0」の波 (2) 」 ├ 活動主旨と沿革 ├ 会員一覧 ├ 会員メリット ├ 入会方法 初めてのeラーニング ├ 導入ガイド ├ 導入事例 前回は「 e ラーニング2.0」とはどのようなものかについてまとめてみたが、今回は、「 e ラーニング2.0」の波がどのように波及 しているかについて、ヨーロッパ、特に、 IT 化が進んでいる北欧を中心にまとめることにした。 「eラーニング2.0」に関するEUの動き I. 「 e ラーニング2.0」とヨーロッパの経済成長 Economist Intelligence Unit 社による 2006 年の「 e-readiness 」(国全体の IT 化) ランキング ランキング (68か国中 ) 国 スコア(10点満点) ├ 海外事情 1 デンマーク 9.00 ├ 用語集 2 US 8.88 └ 書籍案内 3 スイス 8.81 4 スウェーデン 8.74 5 イギリス 8.64 6 オランダ 8.60 7 フィンランド 8.55 8 オーストラリア 8.50 9 カナダ 8.37 eLP資格制度 10 Hong Kong 8.36 ├ 資格について 11 Norway 8.35 12 Germany 8.34 13 Singapore 8.24 14 (tie) N. Zealand 8.19 14 (tie) Austria 8.19 ├ ニュースリリース 16 Ireland 8.09 ├ SCORMとは 17 Belgium 7.99 └ SCORM技術者資格制度 18 South Korea 7.90 └ SCORM技術者講習会テキスト 19 France 7.86 ├ SCORM技術者一覧 20 Bermuda * 7.81 └ SCORM適合LMS 21 Japan 7.77 データ・資料 ├ カンファレンス資料 ├ 映像アーカイブ集 ├ AEN └ ALIC報告書 ├ 資格認定コース └ 資格更新案内 SCORM ├ SCORM適合コンテンツ 上記の表は2006年の国全体の IT 化についての調査結果を示したもので EU が毎年行っている調査である。結果を見てわか るように、トップ10位はヨーロッパ諸国と北米が主で、日本は21位である。 ├ 各種ダウンロード └ SCORM技術者コミュニティ ├ アセッサ向け移行プログラム ├ AEN ※調査の詳細は下記のサイトで無料にダウンロードが可能: http://72.14.253.104/search? q=cache:egmGkoykol4J:www.eiu.com/2006eReadiness Rankings+economist+intelligence+e-readiness+2006&hl=en&ct=clnk&cd=1&gl=us 調査項目としては、次のようになっている。 1. 接続性とテクノロジーのインフラ 25% 2. ビジネス環境 20% メールマガジン リンク集 3. 消費者とビジネスの受け入れ 20% 4. 法的、政策的な環境 15% 5. 社会文化的環境 15% サイトマップ アクセスマップ 6. eサービスへのサポート 5% 今後、益々サービス業が主たるビジネスとなっていく国々にとって、知識労働人口をいかに育成するかは大事な課題であり、国 の IT 化は大事な役割を果たす。特にヨーロッパは経済成長に欠かせないものとして e ラーニングを重要視しており、 EU の大 お問い合わせ 事なプロジェクトの一つにし EU 全体の経済的な底上げを試みている。そのため、ヨーロッパでは EU 主導のさまざまな e ラー ニング・プロジェクトがあり、各国がそれらのプロジェクトに参加している。そのおかげで多くのプロジェクトで使われているテクノ ロジー、リソースのオープン化が EU 全体で進められてきている。 EU では、「オープン性」は経済成長施策に欠かすことのでき ないキーワードである。このような EU の施策に支えられ、ヨーロッパは「 e ラーニング2.0」の波が広まりやすい環境であると もいえる。 EU の将来を考えるリーダー達は 、 中小企業の数が多いというヨーロッパの実態を見て、今までの高価な学習ではなく、安価 で取り組めやすい「マイクロ・ラーニング」、「 e ラーニング2.0」に対し、知識労働者を支えるのに大きな役割を果たす「革新的 な学習」として大きな期待をよせている。 2.2006年のヨーロッパにおける「 e ラーニング2.0」の波 上記のことを証明するかのように、今年一年で e ラーニングに関するコンフェレンスがいくつも開催されたが、いずれも「 e ラー ニング2.0」や 「マイクロ・ラーニング」 ( e ラーニングの世界において、マイクロ・ラーニングはかなり小さい学習単位、短い学 習活動に対して使われる言葉で、 Weblog のポスティング、ソーシャル・ブックマークをするといった Web を使っている学習者の 学習活動等)がホットなテーマであった。2006年の7月にフィンランドのエスポーでも「 EU e ラーニング・コンフェレンス」が開か れ、「生涯学習」、「革新性」、「望ましい変化」という3つのトピックでテクノロジーの役割について討論され、「 e ラーニング2.0」 の波は EU の e ラーニングの主流に入っていると結論づけた。このことは、多くの発表内容に、「ブログ」、「 Wikis 」、「フォーク ソノミー」、「タッギング」、「インフォーマル・ラーニング」、「ソーシャル・ソフトウェア」などのバズ・ワードが使われていることでも 実証されたという。 実際、コンフェレンス開催中でも、コンフェレンスに参加しているブロガー達がブログを共有できるようにする「ブログ・アグリゲー タ」と呼ばれるソーシャル・ネットワーキングツールがかなり利用されていた。コンフェレンスのサイトには、 Wiki が入っており、プ レゼンテーションは参加者がダウンロード/アップロードできるようになっており、セッションもライブでも録音されたものでもウェ ブキャストで、ダウンロード/アップロードできるようになっていた。 E Cの研究機関である the Institute of Prospective Technological Studies の調査( http://www.org.id.tue.nl/DECC/WS06presentations/DECC2006-burgelman(ICTcongress).pdf )によると、世界中で8万のブログが毎日作られ、5ヶ月毎にその数は 倍増しているという。 MySpace はこの3年の間に6千5百万のユーザー数になり、 Web 上での利用量は1年で752%の増加 率で、その中でも特に Peer-to-peer は60%を占め、一番速いスピードで伸びている。この現象は「ラーニングの将来」に大きく 影響をするとし、次のようなラーニング・スペースの必要性を強調していた。 コネクトされている エモーショナル フレクシブル パーソナル 認められる、認定される 3. 「 e ラーニング2.0」を支える EU の「オープン化」に関する動き 「 e ラーニング2.0」の動きはすでに昨年から施策としてあった。例えば、2005年にヨーロッパ e ラーニング推進機関 EIfEL (European Institute for E-Learning) はソーシャル e ポートフォリオ環境を EU 主導の2つのプロジェクト( GEARS (Getting Engineering Ready and Active for Strategy) と KEYPAL (Key Skills Portfolio Assisted Learning) ) に提供するため Elgg (オー プンソースの無料のソーシャルネットワーキングサイト)と提携を結んだ。そのとき EIfEL の メンバーにはすでにペンシル場に亜 週にあるヌベンティブ社の iWebfolio (ウェブ上での e ポートフォリオ管理システム)を使った e ポートフォリオ・サービスは使え るようにしていたが、ここで ElfEl がねらっていたのは、 Elgg のもつ「ソーシャル性」及び「ネットワーキング作り」と「コミュニティ ー作り」の機能であった。 EIfEL の CEO である ラベット氏は「当時 ElfEl は e ポートフォリオの推進委員会においてインターオペラビリティーと革新性に ついて討議していたときで、各個人が e ポートフォリオのプラットフォーム、ツール、サービスを自分で選び、オープンソースでも 市販されているものでも使えるようにしたいと考えていたので、 Elgg との提携は大事な過程であった」と EU が「オープン化」を 推進することが EU のミッションであることを強調していた。 ヨーロッパにおける「 e ラーニング2.0」利用事例 1. ソーシャル・ソフトウェアを活用している BBC 社 [ 詳細は download presentation ] BBC 社では、現在、社員2万2千人のうち6千5百人は Wikis 、ブログ等を利用しているという。社内での利用のきっかけとなっ たのは、 BBC のデジタル写真賞のイベントで、 Wiki を導入したことで、450人のスタッフと300人の写真家がバーチャルに会 議を行ったりしてイベントの企画に役立てたという。「個人の声を反映した教育」を可能にするものとして高く評価している。 2. ノキア社の動き フィンランドの会社はどちらかというとグローバル企業として活躍している企業が多い。それは、「革新力」が国力につながって おり、世界にイノベーションで勝負という国風が定着しているからである。上記の国全体の IT 化の世界ランクでも7位である。フ ィンランドには、国の大手企業としてノキア社、 KONE 社、 Stora-Enso 社、 UPM-Kynmene 社があるが、特にノキア社の R&D 力の役割は大きい。北欧の携帯普及数は人口より多いと言われているが、携帯電話会社のノキア社は企業責任として「イノベ ーション」を高く掲げており、企業内にイノベーション・マネージメントをコア・ビジネス・スキルとしている。ノキア社では社内の R&D で生まれてきた革新的なアイデアを Wiki を使ってオープン化して共有することにより( http://wiki.research.nokia.com 、 http://wiki.opensource.nokia.com )、次のレベルの革新性をコラボレーションで生み出すことを実施している。 ノキア社の LifeBlog ソフトウェアを使った e ポートフォリオ作成はモバイルラーニングの先端事例として、ローカルな学校教育 に留まらず、グローバル・プロジェクトでも利用されている。ノキア社は2006年の11月にモバイル・ナビゲーション・ソリューショ ンに強い Gate5 社を買収した。その理由は、今でこそ革新的な学習の要因としてソーシャル・ネットワーキングの重要性が認め られつつあるが、 Gate5 社は2000年からロケーション毎のソーシャル・ネットワーキング・ポータルを作っていたからである。リ ネックス、 Windows モバイルや PALM 等のプラットフォームをサポートしている Gate5 社のテクノロジーを追加することによっ て、携帯で Web 上でやるような パーソナル化されたソーシャルなインターアクションが可能になると期待している。 3. ヘルシンキ大学にて行われたアンコンフェレンス フィンランドで2006年の11月に開催された会議であるが、「 e ラーニング2.0」式な Web 上での新しい会議のやり方である。 今までのコンフェレンスが企画者主体型会議であったのに対し、参加者主体型の会議で、講演形式ではなく、インフォーマルな 寄り合いの場を強調しているところに特徴がある。会議のセッション内容は会議開催側でなく、参加者によって毎日変更され、 作られていく対話型動的な会議である。具体的には次のように会議が進められる。 1. 参加者がトピックを提案する 2. 会議の司会者は全員が見えるように参加者リストをポストする a. ここまですべて Wiki で整理されている 3. 特に前もって議題は設定されていない 4. 参加者が集まって、進め方を皆で決め、議題を決める a. 講演者と聴講者という関係はなく、全員が参加者 b. ステージにあがっている講演者より、会場に参加している人達の方がもっと知っているという前提 5. ヘルパーが会場にいる話をしたい参加者のところまでマイクを持って行く a. パワーポイントのプレゼンテーションは認めない 6. アイデアの流れを活気づけるために、全員、インスタント・メッセージやブログ、 e-mail を使うことを推奨されている 7. 参加者が作っているブログ、ポッドキャスト、ビデオ・ストリーミング、写真は Flickr にポストされる 8. 会議中、お互いを知り合ったり、意見交換をしたりする場が数多く設けられている 4. フィンランドの大学教育における「 e ラーニング2.0」の浸透 また、上記の2006年の11月にヘルシンキ大学にて行われた アンコンフェレンス の参加者の一人レイノーネン博士は、 e ラ ーニング2.0で有名なスチーブン・ダウン博士との対談の中で「フィンランドでは、1990年代より e ラーニング1.0よりむしろ e ラーニング2.0をやってきたという方が正しいように思う。もちろん LMS がなかったということではなく、ベスト・プラクティスとい う事例を見た場合、ホームページ、ニューズグループ、 IRC 、質のいい無料でオープンなオンライン・コンテンツの統合というの がほとんどであったし、現在の Web2.0 的なツールは使ってないまでも、すでに異なったインターネット・ツールを マッシュアップ するということがされていた。勿論当時は、今のような RSS はなかったので人を介在したり、 Ajax ようなコラボレーション用ライ ティングツールも存在していなかったので、友人とファイルを共有するといった形だったので、確かにそれ用のスキルが必要で 操作が複雑でもっと時間のかかるものではあったが、 Web2.0 的な使い方はすでにやっていたことは事実だと思う。 特に大学教育においては、 LMS を使ってコースをパッケージ化し、 LMS の指示通りに提供したからと言って、このコースを取 る学生が増えるなんてことを本気にしていた人はまずいないと思う。教授側の LMS の使い方にしても、自分の教え方をサポー トしてくれそうな機能がなくて常に探しているという状態だったし、実際、大学で、一番多く使われているのは、 LMS ではなく Web ベースのコンピュータでサポートされているコラボレーティブな学習仕事環境だね。なぜならあくまでも学生は主体で、オブ ジェクトではないからね。 Web はソーシャル・メディアだよ。」と「 e ラーニング2.0」的な Web の利用法を大学の教授は好むこ とを強調していた。 5. フィンランドの教育用ソーシャル・ソフトウェアのベンダー フィンランドのヘルシンキにある Dicole Oy 社はソーシャル・ソフトウェアの会社として知られており、オープンソース、オープンス タンダードを基本にしたネットワーク環境で学習者間のコラボレーションができるようになっている。フィンランドのエスポー市、 M リアル社、 KONE 社、ジョエンスー大学は「インフォーマル・ラーニング」をサポートするソーシャル・ウェブとして、この会社の ソフトを利用している。この会社の CEO であるアリナ氏は「ソーシャル・ソフトウェアの良さは学習というものを個人のレベルから コラボレーティブな学習に変えることができることにあると思う。今はインターネットを介して、多くの人のネットワークの中へ自分 の知識を配信することが可能な時代である。」と問題解決の過程において、皆で一緒に解決していくというネットワークアプロー チの重要性を強調していた。 6. M ラーニングを推進するエリックソン社の動き 国全体の IT 化では世界4位のスウェーデンは「2006年北欧における IT 教育事情」の調査結果でも示されていたが、教育面 でも IT 化が早くから進められていた国である。上記のノキア社と同じように、携帯電話会社として知られているエリックソン社 は、早くから企業内研修にモバイルラーニング( M ラーニング)を利用してきているが、今、 M ラーニングの学校教育への利用 に力を入れている。 EU 主導の e ラーニング・プロジェクトのレオナルド・ダビンチプロジェクトの一つで携帯を使った「チュータリ ング」を大きな目的としている。 同期と非同期でコミュニケーションとインターアクションができ、1対1だけではなく、1対複数で使えるので、チュータが全員に 「あさっての宿題の提出を忘れないように」というメッセージを同時に出せる。また、携帯のスクリーンをホワイトボードとしても利 用できると同時に動画、静止画、音声等のマルチメディアにも対応している( IMS : IP Multimedia System を利用)。ビデオを共 有したりできるので、「 Just in Time トレーニング」にも応用できる。短いコース、コースのサマリー、テストの準備に利用する場 合は PDA (Personal Digital Assistants) 、スマートフォーン、携帯電話が適しており、フルのモジュール用に利用する場合は PDA とスマートフォーンが適しているという(詳細は presentation )。 7. VOWEL プロジェクト: 3Dバーチャル・リアルティーと Web を使って語学を学ぶ ノルウェーは僅か人口400万人が厳しい自然と共存している国であるが、国全体 IT 化世界で11位で、政府主導の「ノルウェ ー2009年プラン」の影響もあり、インターネット普及率は2005年ですでに80%以上であった。「ノルウェー2009年プラン」で は国全体の「カルチャー・ネット」が重要視され、デジタルメディアが速いスピードで発展した。特に「オープンで共有する」という Web 文化の特長は、「森は皆に使用権があり共有するもので、森に生殖しているイチゴ、マッシュルーム、湖の魚は皆のもの」 というような「コミュニティーを大切にする」ノルウェー人の昔からの考え方にも共通しているところがあり、 Web2.0 的なものは広 がりやすい歴史があった。 VOWEL は、ノルウェーが参加している EU のプロジェクトの一つ。3 D のバーチャル・リアルティー・テクノロジーを使って、バー チャルな環境で、オフィス、工場等、実際の職場とそこに関係してくる人物(カスタマー、ベンダー、同僚等)との会話をシミュレー ションを通して学んでいく。このようにすることで、文化的背景を考慮された特殊な状況に応じたコミュニケーションに必要とされ る実践的な言葉を学ぶことが可能になる。同期でも非同期でもとれ、エンターテインメント性と、インタラクティブ性を生かしたプ ログラム。各学習者は、バーチャルなオフィス、工場、会議室等に行くことができ、他の学習者と一緒にそこでのロールプレーが できたり、チューターとコミュニケーションもできる。非同期でやる場合、バーチャルなロボットのような「アバター」といわれるキャ ラクターと対話ができる。学習者の進捗はアクション・シート、文法シート、練習、シナリオ等の学習活動を通してわかるようにな っている。 「継続的なオンライン利用ができ、学習者の日常業務に合わせた具体的なシナリオ作りができ、学習者が問題があったときに 助けてくれるチューターがいたり、グループ活動ができる」といったような学習環境があるバーチャルリアルティーは、ある特定 の学習者層、仕事環境にいる人達にとって魅力的であると関係者はいう。 VOWEL プロジェクトでは、外国語のスキル向上には 欠かせないとして、会社内に生身の人間のリソースを強化することに努めている。会社内で外国語を学ぶための教育コラボレ ーティブ・ツールの一例となることを目標としている。 e ラーニング 3.0 ? 1. 3 D バーチャルリアルティーの Web 上での利用に関する企業内研修 VOWEL のようなモデルはすでに何社かの大企業では開発され導入されている。例えば、 IBM では、新入社員研修にグローバ ルに展開するという発表を2006年11月に出している。このプログラムは IBM@Play と呼ばれ、会社のオフィスから離れた所に いる新入社員を対象にしており VOWEL プロジェクトで使われているように電子人間「アバター」と対話しながら学習できるよう になっており、ソーシャル・ネットワークの機能も入れてある。カスタマーと会う前に営業マンとして必要なスキル等、実践的な仕 事のスキルをこれでみにつけてもらうことを期待している。ソーシャルに動機付けされるようなテクノロジーのアプローチを使うこ とによって、ビデオ・ゲーム、シミュレーションでするロールプレーゲーム以上のことができる。職場環境すべてを入れ込んだ電 子的な現実職場で、学習したり、コラボレーションしたり、楽しい時間をすごしたりできる。ゲームのような楽しさがあるので、社 員は仕事をしているというより遊びの感覚でやり、間違いをすることを恐れたりしないようになる。このようなバーチャル・ワール ドを利用した研修は IBM では8月より行ってきている。3 D のバーチャル・ワールドのようなテクノロジーのイノベーションは社 員のつながり、ソーシャル・ネットワーク作り、ビジネスの問題を解決していくためのコラボレーションをすることに大きく役立って いくという。 2006年6月にシェルの石油会社でも同様の研修方法をするという発表があった。ルウェーでのガス製造地の工場運営に関す るプロセスを進めるためのプログラムで、ノルウェーのオクタガ社が開発した3 D のビューイングツールを使っている。 IBM 社やシェル社で使われているような3Dゲームシミュレーションを入れたシステムは大変なお金をかけて自社用に開発した もので、オープンで安価な「 e ラーニング2.0」のイメージには程遠いようであるが、 EU の VOWEL のプロジェクトはオープン 化を目的にして開発している。この意味でも、 EU の施策は「 e ラーニング2.0」の今後の進展に大きく貢献すると思われる。 日本における「 e ラーニング2.0」の波は? 1. 「人間関係重視」の人材開発:人から学ぶ 昨年9月に日本の企業にインタビューをする仕事があり、日本における「 e ラーニング」の捕らえ方について多くの方々とお話を する機会があった。その際印象に残ったのが、 WBT 的な e ラーニングに対しては否定的な方も「参加型でコミュニティー」を強 調した「人間重視」の2.0的な利用方法には肯定的であったということである。成果主義の導入で数値重視のラーニングに対 する反動という見方もあると思うが、多くの方々が「昔からやってきたように先輩や仲間から学ぶ」というような学び方を見直そう としていると話してくださった。日本の職場では、昔のような上司と部下、社員同士の「ソーシャルな付き合い」が少なくなって人 間関係が薄れていると言われている日本の職場環境において、コミュニティーでのコラボレーションを強調する「 e ラーニング 2.0」はタイムリーな学習方法であるように思う。 2. 「学習者のモーチべーション」 : 自ら学ぶ 従来の日本における e ラーニングが「企業のために押し付け的にやらされるラーニング」というイメージが強かったのに対して、 ブログは自分から発信、自分から参加という「人のモーチべーション」からスタートしている。若い一般社会人は、ブログで自分 が作成したビデオ、写真集、日記を Web 上で家族、仲間に公開している。まさに、オリジナル・コンテンツが毎日すごい量でパ ブリッシュされている。このようなブログ、 SNS の爆発的な利用状況を見ると、「自分発信」、「参加者主体」という特徴をもつソ ーシャル・ネットワーキングのツールは今までの e ラーニングに欠けていた「モーチベーション」に大きく貢献すると言える。 3. 低い投資:中小企業の利用チャンス 無料に近いサービス利用が可能な Web 2.0のテクノロジーを利用している「 e ラーニング2.0」は、今まで、投資効果のところ で足踏みをしていた中小企業にとって、人材開発だけでなくカスタマーに新しいサービスを提供できるチャンスである。 4. 皆で作るコンテンツ作り:ベンダーの新しいサービスビジネスチャンス 「 We Are Smarter Than Me Set 」は何百万人もの人達が著者、編集者として参加し2007年に出版されることになっている が、「コラボレーティブ・ブック 皆で作る本」という新しい出版モデルの初めて試みとして話題になっている。本当にこんなことが やれるのかと思っていたことが今実現しつつある。まさにコンテンツ革命である。このコンテンツ革命がeラーニングの世界に入 ってくると次のような課題がある。 Wiki をどのように使って社内の集合知をどのように整理し、学習用コンテンツにし、学習者が 利用できるようにするか。また学習者がコンテンツ作りに参加しやすく、コンテンツをさがしやくするには、どのような学習環境が いるのか等。 Web2.0 のテクノロジーを生かしたソリューション提供はベンダーにとって新しいサービス提供のチャンスである。 5. 企業文化へのチャレンジ 「 e ラーニング2.0」は「オープン性」を特徴としているので、個人のプライバシー、企業秘密情報についての取り扱いをどうす るかは、利用する前に検討すべき大事な点であるが、テクニカルには、利用側がやり方を工夫すれば解決できる問題である。 しかし、即解決できないのが学習者の学習文化である。多くの部長レベル以上の社員はブログや Wiki に参加する時間的な余 裕がないこと。また Wiki のようなWeb2.0のツールを使うことに慣れていない年齢層が社内には多くいること。 Wiki 、ブログや フォーラムに参加することを推奨し、価値と考えるような文化がなければ、 Wiki で研修用の参考付属資料サイトを作ったとして も陽の目をみないままで捨て置かれてしまうことになることも、忘れてはならないと思う。 「 e ラーニング2.0」の言葉そのものは日本では、まだ広まっていないが、「 e ラーニング2.0」は想像している以上に草の根 的にいろんな企業で利用されており、日本の今の人材開発の流れの中で、「 e ラーニング2.0」が受け入れられる土壌は従来 の e ラーニング以上にあるように感じる。 著者紹介 きよみ・山崎・ハッチングスさん シリコンバレー在住、1992年に自らCrossTech社を設立。 日米ビジネ スに関連したコンサルテ―ションの他、ハイテク業界でグローバル・カン パニーとして成功するためのノウハウ、情報、コミュニケーション・スキ ル等を入れた企業向け研修プログラム、ビジネスセミナー等を日米で 開催している。 小松会長を団長とした「海外e-ラーニング調査団」の通 訳としても活躍し、アメリカでの先端的なe-Learning活用状況について 調査・研究を続けている。 eLCメールマガジン購読者募集中 eLCメールニュース 日本eラーニングコンソーシアムでは、eラーニングに関するイベント、 セミナー、技術情報などをメールマガジン(無料)で配信しております。 メールアドレスを記入して『登録』ボタンを押してください。 メールアドレス 必要事項を入力して、登録ボタンを押して下さい。 →バックナンバーを読む All Rights Reserved. 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