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スマート・ゲートドライバカプラTLP5214 アプリケーションノート -導入編-

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スマート・ゲートドライバカプラTLP5214 アプリケーションノート -導入編-
<貴社内限定でご活用下さい>
スマート・ゲートドライバカプラTLP5214
アプリケーションノート -導入編-
© 2014, Toshiba Corporation.
Rev.1.1 2014/09/09
はじめに
TLP5214は汎用のゲートドライバカプラにVCE(sat)検出機能・ミラークランプ機能・FAULT出力機能等を追加し、
インバータ回路等で発生する過電流からIGBTを保護する機能を搭載したドライバカプラです。多機能化に対応する
為16pinのSO16Lパッケージを採用しています。本資料ではこれらの新たに追加された機能について説明します。
汎用ゲートドライバカプラ
スマート・ゲートドライバカプラ
製品名
TLP352, TLP5701など
TLP5214
パッケージ /
内部回路図
DIP8, SO6Lなど
SO16L
ピン数
8pin, 6pin
16pin
IGBTゲート直接駆動
UVLO機能
VCE(sat)検出機能
-
ミラークランプ機能
-
FAULT出力機能
-
© 2014, Toshiba Corporation.
Rev.1.1 2014/09/09
2
過電流保護とは
過電流保護とは回路へ流れる異常電流を検出し、回路の破壊を防止することです。
特にインバータ回路で使用されるIGBTに過電流が流れるとコレクタ-エミッタ間電圧(VCE)が上昇し過大なパワーが印加
され破壊する恐れがあるため、できる限り短時間で過電流を遮断する必要があります。IGBTに過電流が流れてから破
壊するまでの時間を短絡耐量と呼び、短絡耐量以内に過電流を遮断する必要があります。
短絡耐量は製品により異なりますが少なくとも10μs以内で過電流を遮断するように設計を行う必要があります。
また多くの電気機器では人体の安全の為、安全規格で過電流保護機能の搭載が義務づけられています。
インバータの回路例
Coupler
コントローラ
Coupler
出力停止
指令
Coupler
M
過電流
Coupler
VCE
検出器
エラー信号
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Coupler
ロボット・モータなどの負荷
Rev.1.1 2014/09/09
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過電流の発生原因
過電流の発生原因には様々なものがありますがここでは代表的な例をいくつか挙げます。
過電流保護動作が働いた場合はインバータ動作を停止し、原因を取り除いたのちに再始動します。
出力短絡:
アーム短絡:
人為的接続ミスや負荷の破壊により
別アーム間で過大な電流が流れる。
また外部要因によりモータが機械的に拘束さ
れることでも過電流が流れる。
ノイズによる誤動作やスイッチング時の
ミラー電流によるIGBTの誤動作により
上下アームが短絡し過電流が流れる
ON
M
© 2014, Toshiba Corporation.
M
OFF
↓
誤ON
Rev.1.1 2014/09/09
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過電流保護の種類
過電流保護にはいくつかの方法があります。それぞれ特徴がありますが、③IGBTの飽和電圧VCE(sat)をモニタする方
法は電力損失が小さく、かつ保護動作をIGBT側で行うことができるので高速動作が可能というメリットがあります。
TLP5214はこのVCE(sat)をモニタして保護動作を行う回路を内蔵したIGBT駆動用フォトカプラです。
②電流センス抵抗
①カレントトランス
AC用、DC用、高周波用のカレントト
ランスを使用して電流をモニタする。
絶縁が不要だがサイズが大きい。
電流センス用の金属抵抗を使用し
てモニタする。絶縁が必要。比較
的小型だが負荷電流により電力
損失が発生する。
③VCE(sat)モニタ
高耐圧ダイオードを介してIGBTのコレク
タ-エミッタ間電圧をモニタする。
電力損失が小さく比較的安価、かつ高
速動作が可能。
M
保護回路
© 2014, Toshiba Corporation.
保護回路
保護回路
Rev.1.1 2014/09/09
5
TLP352を用いた保護回路例とTLP5214
左下図は汎用ドライバカプラTLP352を用いた③VCE(sat)モニタによる保護回路例です。
保護回路の中ではダイオードD1を通してVCE(sat)をモニタし過電流が発生するとIGBTのゲート信号を緩やかにOFFします。
また、制御側へFAULT信号を伝送する為1Mbpsクラスの高速カプラを使用しています。
外付け部品による保護回路は複雑で多くの基板面積を使用しますが、
TLP5214はこれらの機能を1パッケージ化したフォトカプラで、スマートなゲート駆動回路と保護回路を提供します。
インバータの保護回路例:
汎用ドライバカプラ
VCC
TLP352
モニタ用
ダイオード
D1
コントローラ
+
-
TLP2309
TLP5214
FAULT信号
フィードバック用
高速カプラ
過電流発生時に
保護をする回路
© 2014, Toshiba Corporation.
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保護動作の概要
TLP5214ではDESATピンでIGBTのコレクタ-エミッタ間電圧(VCE)をモニタしています。通常、IGBTがON状態ではVCE
は飽和電圧VCE(sat)(約2V以下)となりますが過電流が発生すると、非飽和状態となりVCE(sat)が上昇します。
TLP5214はVCE(sat)が6.5V(標準)以上になると、二つの動作を行います。
①VOUTをソフトシャットダウン(緩やかにOFF状態へ遷移)し、過電流によるIGBTの破壊を防止します。
②コントローラ側へFAULT信号を伝送します。
通常、コントローラ側へFAULT信号をフィードバックしLED信号/カプラ出力を停止するまでに数μsの時間がかかりますが、
TLP5214は700ns以下でVOUTのシャットダウンを開始する為、高速で安全性の高い保護回路を提供します。
Vcc2
TLP5214
+
-
Cathode
VOUT
DESAT
DESAT
DDESAT
Cblank
VEE
SHIELD
Vcc1
VCLAMP
FAULT
GND
Rf
0.1μF
DESATピンでコレクタ
電圧をモニタ
DRIVER
LED信号
0.1μF
UVLO
Anode
①VCE(SAT)>6.5Vで
VOUTをシャットダウン
VCLAMP
②VCE(SAT)>6.5VでLEDがONし
FAULT出力のTr.がONする。
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Rg
Rpulldown
P
VCE(SAT)
UVW
ON
OFF
N
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保護動作とリセット方法
TLP5214には保護回路が動作した場合に一定時間LED信号を受け付けない時間tDESAT(MUTE)が設けられています。
保護動作のリセットはtDESAT(MUTE)後の次のLED信号で行われます。以下に保護動作の開始とリセット動作の流れを示
します。
①過電流発生時にIGBTのVCEが上昇し、6.5V以上になると保護動作開始
②カプラ出力をソフトシャットダウン(配線インダクタンスによるIGBTの二次破壊を防ぐため)
③コントローラ側へ信号を帰還する為FAULT端子がLレベルへ下がる
④保護動作発生後の次のLED信号で保護動作がリセット
RESET done during
the next LED turn-on
TLP5214
IF
Vcc2
UVLO
Cathode
LED信号
VOUT
DRIVER
コントローラ
Anode
VCLAMP
FAULT
GND
DESAT
VEE
SHIELD
Rf
6.5V
DDESAT
DESAT
Vcc1
0.1μF
VCLAMP
tDESAT(Low)
Cblank
P
50%
VDESAT
tBLANK
VCE
Rg
VOUT
tDESAT(10%) ⇒ 6.75 μs(max)
90%
10%
0.5 μs ⇒ tDESAT(90%)
Rpulldown
50%
FAULT
0.1μF
tRESET(FAULT)
50%
0.5 μs ⇒ tDESAT(FAULT)
VLED
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N
tDESAT(MUTE) ⇒ 9 μs(min)
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通常動作
LED信号OFF: LED信号OFF時はVOUTはLowとなり、
DESATピンは非アクティブとなります。
DESATピンにVDESAT以上の電圧が印加されても
FAULT信号は出力されません。
LED信号ON: LED信号ON時はVOUTはHighとなり、
DESATピンはアクティブとなります。
過電流発生時には前述の保護動作を行います。
ON
ON
LED
DESAT 入力
FAULT 出力
VOUT
OFF
非アクティブ
High
Low
ON
アクティブ
Low ( < VDESATth)
High
High
ON
アクティブ
High ( > VDESATth)
Low ( FAULT)
Low
TLP5214
Vcc2
OFF
UVLO
Anode
LED信号
+
-
Cathode
VOUT
DESAT
VCLAMP
FAULT
GND
Rf
DESAT
VEE
SHIELD
Vcc1
0.1μF
100Ω DDESAT
DRIVER
OFF
VCLAMP
P
Cblank
Rg
UVW
Rpulldown
0.1μF
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VLED
N
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ミラー容量による誤動作
インバータにおけるスイッチングノイズによる誤動作としてIGBTのコレクタ-ゲート間に寄生するミラー容量CCGによる誤
動作が挙げられます。ここでは誤動作のメカニズムとTLP5214に搭載されたミラークランプ機能について説明をします。
インバータ回路において上アームのIGBTがONすると中点の電位が急峻に上昇します。
この時、下アームのIGBTのCCGを介して変位電流IS=CCG x (dVCG/dt)が発生しフォトカプラの出力方向へ流れま
す。回路のゲート抵抗RGを通過する際に電圧降下が発生しゲート電圧が上がることでIGBTの誤オンが発生、上下
アームの短絡が引き起こされます。
P
OFF → ON
dVCG/dt
CCG
OFF
RG
ON
OFF
N
ゲート電位が持ち上がり、
上下短絡の恐れがある。
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ミラー容量による誤動作の防止
ミラー容量による誤動作の防止策として①負電源の使用、②ゲート抵抗の調整などの方法があります。
負電源の使用では電源回路を用意する必要があるためコスト・サイズ面が課題となります。また、
ゲート抵抗の調整ではスイッチングノイズの影響があり低抵抗化には限度があります。
①負電源の使用
フォトカプラの電源に負電源を使用することで、
IGBTオフ時にゲートが負電位になり誤動作を防ぎます。
負電源回路が必要でコスト・サイズ面が課題です。
②ゲート抵抗の調整
より小さなゲート抵抗を用いることでゲート部
分の電圧上昇を抑制することができます。コ
ストはかかりませんがスイッチングノイズが大き
くなります。
P
P
CCG
OFF
CCG
OFF
RG
RG
ON
ON
N
引き抜き方向の抵抗値
を小さくする例
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アクティブミラークランプ機能
ミラー容量による誤動作を防ぐ方法としてもう一つ、IGBTのゲート-エミッタ間を短絡する方法があります。外付け部品で
安全にゲートをクランプする回路を構成すると複雑となり多くの基板面積を必要とします(P5参照)。TLP5214はアクティ
ブミラークランプ機能と言うIGBTのゲート-エミッタ間を接続する機能を内蔵しているため、外付け部品によるクランプ回路
が必要ありません。
ミラークランプピンVCLAMPはIGBTのゲート部分に接続します。
フォトカプラの出力がHighからLowへスイッチし、ゲート電圧が約3V以下になるとVCLAMP-VEE間のMOSFETがONし
ゲートをエミッタ(VEE)へクランプします。これによりミラー電流をVCLAMPピンからエミッタへバイパスすることでゲート電圧の上
昇を抑制し上下アームの短絡を防止します。
TLP5214
Vcc2
UVLO
Anode
-
Cathode
VGE
DRIVER
+
VOUT
ゲート電圧
0.1μF
dVCG/dt
DESAT
DESAT
CCG
SHIELD
Vcc1
VCLAMP
FAULT
GND
Rf
MOS
VCLAMP
VEE
VCLAMP
Rg
GND
約3V
MOS VCLAMP
ON
OFF
0.1μF
VLED
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Rev.1.1 2014/09/09
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アプリケーション
TLP5214はインバータ回路を必要とする汎用インバータ・太陽光発電パワーコンディショナなどの産業機器を
中心に、UPSや家庭用蓄電池などの住宅設備機器まで幅広くご使用いただけます。
産業機器
インバータ / サーボアンプ / ロボット /
工作機械 / 大容量電源
グリーンエナジー
太陽光発電インバータ /産業用蓄電池
TLP5214
住宅設備
家庭用蓄電池 / エアコン
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オフィス機器
UPS / サーバー用電源
Rev.1.1 2014/09/09
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製品取り扱い上のお願い
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仕様書、データシート、アプリケーションノート、半導体信頼性ハンドブックなど)および本製品が使用される機器の取扱説明書、操作説明書などをご確認の上、これに従ってください。また、上記資料などに記載の
製品データ、図、表などに示す技術的な内容、プログラム、アルゴリズムその他応用回路例などの情報を使用する場合は、お客様の製品単独およびシステム全体で十分に評価し、お客様の責任において適用可
否を判断してください。
 本製品は、特別に高い品質・信頼性が要求され、またはその故障や誤作動が生命・身体に危害を及ぼす恐れ、膨大な財産損害を引き起こす恐れ、もしくは社会に深刻な影響を及ぼす恐れのある機器(以下
“特定用途”という)に使用されることは意図されていませんし、保証もされていません。特定用途には原子力関連機器、航空・宇宙機器、医療機器、車載・輸送機器、列車・船舶機器、交通信号機器、燃
焼・爆発制御機器、各種安全関連機器、昇降機器、電力機器、金融関連機器などが含まれますが、本資料に個別に記載する用途は除きます。特定用途に使用された場合には、当社は一切の責任を負い
ません。なお、詳細は当社営業窓口までお問い合わせください。
 本製品を分解、解析、リバースエンジニアリング、改造、改変、翻案、複製等しないでください。
 本製品を、国内外の法令、規則及び命令により、製造、使用、販売を禁止されている製品に使用することはできません。
 本資料に掲載してある技術情報は、製品の代表的動作・応用を説明するためのもので、その使用に際して当社及び第三者の知的財産権その他の権利に対する保証または実施権の許諾を行うものではありま
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致の保証、情報の正確性の保証、第三者の権利の非侵害保証を含むがこれに限らない。)をしておりません。
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 本製品のRoHS適合性など、詳細につきましては製品個別に必ず当社営業窓口までお問い合わせください。本製品のご使用に際しては、特定の物質の含有・使用を規制するRoHS指令等、適用ある環境関
連法令を十分調査の上、かかる法令に適合するようご使用ください。お客様がかかる法令を遵守しないことにより生じた損害に関して、当社は一切の責任を負いかねます。
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Rev.1.1 2014/09/09
14
変更履歴
バージョン情報
日付
対応頁数
変更内容
Rev.1.0
2014/08/12
-
初版
Rev.1.1
2014/09/09
P2, 9
誤字訂正
© 2014, Toshiba Corporation.
Rev.1.1 2014/09/09
15
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