...

この事例の詳しい内容

by user

on
Category: Documents
9

views

Report

Comments

Transcript

この事例の詳しい内容
株式会社曙
銀座発祥の有名菓子店が業務用端末に
iPad+FileMakerを選択。より低コストで
見やすく、使いやすい端末への移行を実現
導入の狙い
安定的な運用が可能な業務用端末を
より低コストで導入したい
大画面化により、業務用端末の操作
性向上を実現したい
導入システム
モバイルソリューション
『FileMaker』
iPad
仮想化サーバー Hyper-V
リモートサービス
『たよれーる どこでもコネクト』
MDMサービス
『たよれーる デバイスマネジメントサービス』
導入効果
高機能な業務用端末をより低コスト
で導入
大画面でタッチ操作可能な業務用端
末への移行を実現
同社の直営店である
「銀座あけぼの」
は、北海道から九州・鹿児島まで91店舗を展開
「銀座あけぼの」の名で知られる菓子店を全国展開する株式会社曙。
「お客様の心
を満たす」ことをテーマに掲げた商品開発と心のこもった接客は、多くのリピーター
の獲得につながっている。商業施設のテナントを中心に全国91店舗を展開する同
社は、業務用端末のリプレースにあたり、iPadとFileMakerによるソリューションを
— U S E R P R O F I L E ———————————————————
株式会社曙
選択。従来のPDA型ハンディターミナルに比べ、より見やすく、操作しやすい端末
をより低コストで導入することに成功した。
●業種:食品製造、
販売
●事業内容:和菓子製造販売
●従業員数:390名
(2015年10月現在)
業務用端末にiPadとFileMakerによるソリューショ
ンを採用した、株式会社曙
2016年1月取材
「心を満たす」をテーマに
従業員教育にも心を配る
なじみの味のはずだ。同社の直営店で
ある
「銀座あけぼの」は、北海道から九
州・鹿児島まで91店舗。そのファンは
株式会社曙(以下、曙)の名を初め
全国に広がっている。
て耳にする人でも、
「銀座あけぼの」の
同社のルーツは、現社長の細野 佳
名を知らない人はそう多くはないだろ
代氏の祖父が敗戦からまだ間もない
う。17種類のおかき詰め合わせ「味
1948年、銀座四丁目交差点近くに、
の民芸」、栗の形をした皮に大粒の栗
冬はおしるこ、夏はかき氷の店を開店
が丸ごと入った「栗もなか」など、同社
したことにさかのぼる。甘いものが貴
の人気商品の数々は多くの人にとって
重だった当時、その存在は、敗戦後の
1
株式会社曙
暮らしに疲れきった多くの人々の心を
和菓子業界は、顧客の高齢化という
和ませたという。ちなみに、
「あけぼ
課題に直面している。もち菓子やもな
の」という名前には、新しい日本の夜
か、おかきを中心にする同社もそれは
明けを願う気持ちが込められていると
同じで、若い世代に受け入れられる新
いう。
商品の開発は大きな課題の一つだ。
創業以来、日本人の味覚や嗜好の
また、成田空港第一、第二ターミナル
変化に応じ、新商品の開発をはじめ、
に店舗を出店することもあり、近年、
新しい取り組みを続けてきた同社が最
おみやげとして同社のお菓子を買って
も大切にするのは、
「お菓子が満たす
帰国する外国人観光客も増えている
のは、お腹ではなく、心である」
という
という。
一言。北海道の契約農家が手塩にか
「現時点ではまだ海外への出店は考
けて栽培した大豆をはじめとする素材
えていません。しかし、当社のお菓子
へのこだわりや、熟練の職人たちによ
が海外のお客様にも受け入れられて
る徹底した品質管理の背後には、そう
いることを考えると、将来的には、海
した思いが込められている。
外展開は避けて通ることができない
「お客様の心を満たす」という取り
道だと感じています」
組みにおいて、現在同社が最も重視し
ちなみに、今日、おかきの定番の一
ているキーワードが「おもてなし」だ。
つになった「チーズおかき」を初めて考
銀座あけぼので買い物をした際、店舗
案したのは、同社先代社長という。和
スタッフが対面ショーケースの前まで
菓子の伝統にとどまることなく、新た
進み出て商品を手渡しすることに驚か
な挑戦を果敢に続けてきた曙は、これ
れた方も少なくないはずだ。それも全
からも新たなチャレンジを続けていく。
経理部 情報システム課 課長 社を挙げて取り組むおもてなしの実践
の一例だ。経理部 情報システム課 課
「 お 客 様 の 目を 見 て お 話しする、
各社の業務専用端末と比較し
業務端末としてiPadを選択
ショーケース前に出て商品をお渡し
曙のI T導入は比較的早く、1990
長の八木 和也氏は言う。
する、お客様の姿が見えなくなるまで
年代のオフコンによる基幹業務システ
お辞儀をするなど、おもてなしの基本
ム導入にさかのぼる。COBOLベース
を毎日、朝礼の際に従業員同士で話
の同システムは、最新ハードウェアに
し合うなどしてその意識を高めてい
載せ替えながら、今日でも稼働中とい
ます。こうした取り組みを開始して5
う。また、各店舗の発注業務や売上報
年になりますが、社内全体におもてな
告、在庫数に関する報告は、早くから
しの意識が定着化し、お客様からも好
P D A型ハンディターミナルを使って
評です」
行ってきた。八木氏は言う。
なお同社は同様の取り組みを、普段
「当社に私が中途入社したのは12
お客様に接することがない本社スタッ
年ほど前 のことですが、当 時はハン
フの間でも行っている。おもてなしの
ディターミナルの故障も多く、毎月5、
意識定着化の背後に、こうした全社的
6台が故障するなど、その対応に追わ
な徹底化があるといえそうだ。
れる日々でした。7年ほど前に2世代
2
八木 和也氏
「食品原材料一覧を電子化し、店頭でのお
客様からの問い合わせに即座に対応できる
ようにするなど、本社と店舗をつなぐ業務用
端末としてだけではない、iPadの活用を進
めていきたいと考えています」
より見やすく、使いやすい画面設計によって、誤発注の防
止をはじめ、操作性の大幅向上につながっている
目にリプレースしてからは、
を知り、検討の末、これで行ってみよう
ようやく安定して運用でき
と決断しました」
るようになりました」
ちなみに大塚商会への提案依頼は、
長年にわたって使用して
新端末の選定作業中に偶然、大塚商
きたP D A型ハンディター
会の営業担当が飛び込みで訪れたこ
ミナルの 機 能に大きな不
とがきっかけだったという。
満はなかったという。その
「世間話をする中で、店舗側端末の
サポート終了に伴い、新機
リプレースを計画していると話したと
種 の 検 討を開 始したのは
ころ、翌日すぐに、分かりやすくてい
2014年のことだった。
ねいな提案をいただきました。その
「基幹系システムを継続
スピード感はとても好 感を持ちまし
利用することもあり、機能面の大きな
たね」
変更は考えませんでした。そこで、業
務専用端末を扱うベンダー6社にお声
ことにしました」
大きな問題なく
iPadへの移行を実現
しかし最終的に同社が選んだのは、
FileMakerとiPadによるソリュー
大塚商会が提案したiPadをハードに、
ション の 採 用 が 決 定 さ れ た の は
FileMakerで専用アプリを構築すると
2015年1月。同年9月には、旧端末
いう選択だった。その理由を八木氏は
からの全面的な移行を実現している。
こう説明する。
「当初は8月の移行を予定していま
「まず注目したのは、iPadという広
したが、6月に完成したパイロット版
く普及するコンシューマー製品を利用
への店舗サイドからの要望が予想以
することによって導入コストが削減で
上に多かったこともあり、移行を一カ
きる点でした。各社が高価な業務専用
月遅らせることにしました。それ以前
端末を基盤とした提案を行う中、iPad
に数店舗でテスト運用を開始していた
をベースにする大塚商会さんの提案
こともあり、大きな問題は特になく全
がけして、それぞれの提案をうかがう
はとても魅力的でした」
91店舗の端末の移行を終えることが
店 舗スタッフが利 用 するフロント
できました」
系システムの場合、業務に応じ、随時
端末配付は月一度の店長会議を利
変 更が加えられることが一 般 的だ。
用して行い、操作の説明は2グループ
一 般 的 な パッケ ー ジソフトと違 い 、
に分け2日がかりで行ったという。な
FileMakerであれば、随時短納期で
お同社は配付に先立ち、操作マニュア
変更に対応することが可能になる点も
ルの作成も行っている。
メリットの一つだ。
「操作の説明はスライド資料を用意
「私がCOBOLエンジニアというこ
して行いましたが、iPadのようなタブ
ともあり、提案当初はFileMakerとい
レットをこれまで操作したことがない
うソフトの存在を知りませんでした。
という人も多かっただけに、操作の説
説明を聞き、既に日本国内でも企業
明は、やはり一番苦労した部分です。
ニーズに対応した開発実績が多いこと
それもあり、配付後まずは端末を自由
3
株式会社曙
に使ってもらった上で、1週間の時間
端末は現在、発注業務や売上報告
を空けて運用を開始しました」
に加え、店舗間の商品移動の報告な
なお、移行にあたっては、FileMaker
ど多角的に活用されている。
サーバー、各店舗の端末と本社をセ
「ある商品が売れすぎた場合、本社
キュアに結ぶ『たよれーる どこでもコ
への追加発注による対応はタイムラ
ネクト』、MDMサービス『たよれーる
グが生じます。こうした場合、当社は
デバイスマネジメントサービス』を新
近隣店舗からの店舗間移動で対応す
たに導入している。
ることが少なくありません。その報告
「当社の場合、テナント出店が大部
も端末で行っています」
分を占めることもあり、店舗端末の移
iPadから本社に送信されたデータ
行の際には常に通信回線の確保が課
はSQLサーバーに転送されて経営分
題になります。以前はP H S回線を利
析に活用されると共に、経理や棚卸し
用していたのですが、それと比べ『た
などの業務などにも活用されている。
よれーる どこでもコネクト』は通信レ
また、現在同社は、店舗だけでなく、
スポンスが早くなったと好評です」
本社にもiPadを導入し、店舗・本社間
また『たよれーるデバイスマネジメ
とのコミュニケーションをはじめとす
ントサ ービス 』は、アプリケーション
る業務に活用している。
のインストー ル管理に活用している
「店舗とのメールのやり取りはこれ
という。
まで携帯メールで行ってきましたが、
現在はiPad同士で行っています。同
画面の大型化が
店舗スタッフにも好評
じ端末を使うことで、よりスムーズに
やり取りが可能になったほか、アルバ
イト募集にS N Sを活用するなど、こ
FileMakerとiPadによる店舗端末
れまでにない取り組みにもつながっ
ソリューションは、店舗スタッフにも
ています。そのほか、食品原材料一
好評だ。特に、従来のPDA型ハンディ
覧の電子化など、iPadの活用は今後
ターミナルに比べ画面サイズが拡大
さらに進めていくつもりです。一方、
したことは、誤発注の防止をはじめ、
FileMakerの可能性は、私自身まだつ
操作性の大幅向上につながっている。
かみきれていないのが実情ですが、今
「当社の店舗には、高年齢のスタッ
後、勤怠管理や顧客管理への活用を
フも多数勤務しています。それもあ
視野に入れて検討を進めたいと考え
り、新システムでも基本的な画面デザ
ています」
インは踏襲した上で、より見やすく、使
FileMakerとiPadによるソリュー
いやすくすることを心掛けています。
ションによって、より見やすく、使いや
実際、以前はぎりぎり詰め込んで数行
すい業務用端末を得た曙は、そのさら
しか表示できませんでしたが、現在は
なる活用を今後も積極的に進めてい
十数行を見やすい形で表示できるよう
く考えだ。
になっています。またスクロールで情
報を追えるようになったことも大きな
株式会社曙のホームページ
http://www.ginza-akebono.co.jp/
ポイントですね」
・会社名、製品名などは、各社または各団体の商標もしくは登録商標です。
・事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は取材当時のものであり、配付される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
・この記事は2016年1月に作成されました。
Copyright©2016 OTSUKA CORPORATION All Rights Reserved.
4
Fly UP