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ユーザーの生産性向上を目指して、Microsoft Windows 7 Enterprise へ
阪神高速道路株式会社 ユーザーの生産性向上を目指して、Microsoft Windows 7 Enterprise へ移行。今後は、BitLocker to Go によるリムー バブル メディアのセキュアな利用や、DirectAccess を活用し た在宅勤務と防災対応バックアップ システムを積極的に展開 2005 年 10 月、阪神高速道路公団の民営化による発足以来、京阪神地域におけ る都市高速道路の建設と管理を担ってきた阪神高速道路株式会社 (以下、阪神高 速道路)。安全・安心・快適な交通ネットワークを通じた利用客の満足と、関西圏 の生活および経済の発展への貢献を目標に道路網の整備を進め、2011 年 3 月の ソリューション概要 ○プロファイル 阪神高速道路公団の民営化により、2005 年 10 月 1 日 に阪神高速道路株式会社として発足。関西都市圏におい て、1 日 86 万台が利用する総延長 245.7km の自動車 専用道路ネットワークを提供しています。また、これら高 速道路の新設、改築、維持、修繕その他の管理を効率的 に行うことによって道路交通の円滑化を図り、関西圏の国 民経済の健全な発展と国民生活の向上に寄与することを 目的としています。 阪神高速 8 号京都線 (鴨川東~上鳥羽) 開通によって総延長距離は 245.7km に達 しています。同社では 2010 年 12 月に、約 1,000 台の PC の OS を Windows 7 Enterprise にアップグレード。さらに業務アプリケーションや Microsoft Office 2010 なども含めたソフトウェアを最新バージョンへ移行しました。この結果、生 産 性の 向 上や 最 新 OS ならではの 長 期 にわたるサポートはもちろん、 今 後は BitLocker to Go によるリムーバブル メディアのセキュアな利用者環境の構築や、 DirectAccess を活用した在宅勤務および災害時にも即応できるバックアップ シス テムによる体制強化を視野に入れています。 ○シナリオ ・業 務効率と生産性の向上を目標に、OS のアップグレー ドを計画。Microsoft ® Windows ® 7 Enterprise の最新 機能がもたらすメリットを最大化するために、アプリケー ションまでを含む全 PC リソースの刷新を決定。 ・起 動時間の大幅な短縮などにより、労働時間の有効活 用と業務効率が向上。併せて、DirectAccess によるリ モート アクセスを活用したグループウェアなど一部機能 の防災に対応したバックアップ システムを実現。 ・今 後 は、Microsoft ® SharePoint ® Server 2010 に よ る Web サイトの活性化や Microsoft ® System Center Configuration Manager に よ る 管 理 の 効 率 化、 BitLocker to Go ® を使ったリムーバブル メディアのセ キュアな利用および DirectAccess による在宅勤務と防 災に対応したバックアップ システムの体制強化を目指す。 ■ 導入背景とねらい 業務効率と生産性アップを目指し、 OS から Microsoft Office までを一括アップグレード 阪神高速道路が今回実施した Windows 7 Enterprise へのアップグレー ドは、前回 2007 年 8 月の Microsoft Windows Vista への移行から 3 年ぶりのことでした。そのねらいや背景を、情報システム部 情報企 画課 課長代理の平野和利氏は次のように語ります。 ○ソフトウェアとサービス ・Microsoft ® Windows ® 7 Enterprise ・Microsoft ® Windows Server ® 2008 R2 Hyper-V® 「Windows Vista 移行の際、OS から Microsoft Office、そして PC 本体までを一新していたため、当初は、まだ使えるものは使った方が良 ○パートナー 日本電子計算株式会社 ○メリット Windows 7 が提供する優れた操作性やパフォーマンス、 そして柔軟性と強固なセキュリティ性能が安全で効率のよ い作業環境を提供。大幅な業務効率アップと工数削減に よるコストダウンを実現します。 さらに Windows 7 Enterprise の BitLocker to Go や Direct Access といった新機能が、リムーバブル メディアのセキュ リティ確保や、場所を選ばない自由かつセキュアなリモート アクセス環境を実現。モバイルまでを含む、より広汎かつ 安全で柔軟性に富んだビジネス環境を提供します。 ○ユーザー コメント 「エンド ユーザーからは、以前より起動が速くなり使い勝 手が良くなったという声が多く聞かれます。また移行時に は、Microsoft ® Office 2010 を含めた機能強化と変更点 に絞って希望者のみトレーニングを実施しました。しかし、 多くの人は Microsoft ® Windows Vista ® からの移行とい うこともあってスムーズに新しい環境に適応でき、特別の トレーニングが不要と感じていたようです」 阪神高速道路株式会社 情報システム部 情報企画課 課長代理 平野 和利 氏 阪神高速道路株式会社 情報システム部 情報企画課 課長代理 平野 和利 氏 いのではといった議論もありました。しかし業務効率と生産性の向上と いう最大の目的を考えると、OS は、すべての面で高機能でハイ パフォー マンスな最新の Windows 7 が有効であると判断しました。そこでさら に精査を重ねた結果、バージョンが新しいほど残りのサポート期間も長 くなるため、将来に向けた投資効果という視点からも運用コストの優位性が分かりました。さ らに社内のサーバー環境という点でも、2010 年に Microsoft Windows Server 2008 R2 Hyper-V による仮想化を実施していたため、サーバーとの親和性という観点からも Windows 7 が最適な選択という結論になったのです」。 こうしたプラス要因を積み重ねながら検討し ていった結果、今回は OS を最新にするだ けでなく、アプリケーションも最新 OS の機 能を十分に活かせるよう Microsoft® Office 2007 から Microsoft Office 2010 へアップ グレード。さらにサード パーティ製の各種ア プリケーションのバージョンアップや PC の ハードディスク ドライブ (以下、HDD) の入 れ替えといった、ハードとソフト両面にわた 阪神高速道路株式会社 阪神高速道路株式会社 などを利用すれば、Windows 7 Enterprise をより効果的に活用できる る更新となりました。 「今回のアップグレードでは、PC 本体はそのままで、内蔵の HDD だ のではないかという期待もありました」(平野氏) と言います。 けを入れ替えるという手法を採用しました。というのも、当社では約 今回は、新 OS の展開に関する移行作業を自社内ですべて行ったのも 1,000 台ある PC をリースではなく自社購入しています。これらは 3 新しい経験でした。 年前の Windows Vista 移行時に購入したもので、ハードウェア自体は 「アプリケーションの改修はそれほど多くはなかったものの、従来は移行 まだまだ十分利用可能と判断したのです。そこで HDD だけを容量アッ 作業をベンダーに委ねていたため社内にノウハウがほとんどありませんで プして、そこに Windows 7 をインストールして入れ替えることで、最新 した。そこでマイクロソフトの Web サイトなどから情報を収集し、試行 OS への移行と PC 投資の保護の一石二鳥となりました。また HDD 錯誤しながら進めていきました。しかし、マイクロソフトが提供している展 交換と OS のアップグレードを同時に行えば、システム管理者の作業 開用ツール類は非常に使いやすく、作業そのものは難しく感じませんでし 負担を大幅に軽減できるという読みもありました。実際に、PC 1 台あ た」(興梠氏) 。 たりの移行にかかる作業時間は、HDD を交換せずアップグレードを利 Windows 7 の新機能の中で、興梠氏が興味深く感じたのが「問題ス 用した展開手法での想定時間より約半分以下の展開時間で済んでいま テップ記録ツール」です。 「これは本来、問題発生の際に、ユーザー自身がスクリーン ショットな す」(平野氏)。 今回は、Windows Vista から次期バージョンの Windows 7 へと順当 どをレポート化するために使うものですが、画面キャプチャが非常に簡 なアップグレードであったため、業務アプリケーションの移行もほとん 単にできるので、マニュアル作成に使えるのではと思い、応用しました。 ど改修の必要がなく完了できたと平野氏は評価します。 おかげで当初導入予定だったマニュアル作成専用のアプリケーションが 「実は前回の Windows Vista 移 行では、Microsoft Windows XP ® ® を経ずに直接 Microsoft® Windows® 2000 から Windows Vista へ 不要になり、その分のコストも節約できました。これは使い方によって は、もっと活用できるツールではないかと感じています」。 アップグレードしたため、OS に対応していない業務アプリケーショ ンの改修にはかなりの労力を要しました。しかし Windows 7 では、 Windows Vista とカーネルが大きく変わることはないという情報を早く ■ システムの概要 から得ていたため、アップグレード時にはプログラムの改修や検証に、 業務効率アップに加え、災害時にも即応できる リモート アクセス環境を実現 そう大変な手間がかからずに済むと予想していたのです。実際に移行し てみた結果、前回に比べて想定した時間より短期間でスムーズに移行 が完了できました」。 Windows 7 移行後、最も顕著なメリットは、OS 自体のスピードアッ プに伴う業務効率の向上だったと興梠氏は振り返ります。 「以前に比べて、PC の起動時間がかなり短縮されました。1 台ごとの ■ 導入の経緯 短縮幅は数十秒~数分でも、約 1,000 台のユーザーの労働時間に換 BitLocker to Go や DirectAccess への期待で Windows 7 Enterprise を選択 算すれば、結果的にかなりの人的コストの削減が可能になったと言える と思います。一般に OS はアプリケーションに比べて投資効果が見え にくいと言われますが、目に見える形で確認することができたと考えて 具体的な検討が始まったのは 2010 年 4 月ころ います」。 でした。検証機を用意して社内でのシステム テ こうした業務 効率のアップ以上に現在大きな期待を担っているのが、 ストや改修作業を進め、11 月上旬にはユーザー Windows 7 Enterprise で 新 た に 提 供 され た BitLocker to Go と への説明会を実施。11 月下旬から 8 ブロック 阪神高速道路株式会社 情報システム部 情報企画課 興梠 直樹 氏 DirectAccess です。 に分けて拠点ごとに展開を進め、12 月下旬には 「BitLocker to Go には、ポータブル HDD やフラッシュ メモリといっ 約 1,000 台の PC の移行を完了しました。また た持ち出しデバイスのセキュアな暗号化というねらいがありました。当 Windows 7 のエディションは迷わず Enterprise 社ではデータの持ち出し用として、暗号化ツールで暗号化した外付けの を選択したと、情報システム部 情報企画課 興 ポータブル HDD を配布しているのですが、その記憶デバイスのデータ 梠直樹氏は語ります。 を読み取るためには利用する PC へ別に復号化ツールをインストールす 「リムーバブル メディア向けの暗号 化機能であ る必要がありました。それが Windows 7 Enterprise では、OS に暗 る BitLocker to Go や DirectAccess が 利 用できる点を考えると、 号化機能が含まれており、復号についても Windows XP や Windows Enterprise を導入するメリットは大きいと考えました。また Windows Vista で読み取りできるので、より暗号化したデバイスが手軽に使える 7 そのものについては、Windows Vista よりも操作性やパフォーマンス ようになることから、今後は現在の暗号化ツールからの切り替えを予定 が向上しています。UAC (ユーザー アカウント制御) のセキュリティ レ しています。セキュリティの向上と安全性の確保につながると期待して ベルが選択できるようになった結果、不要な警告が減ったといった点も います」(興梠氏)。 評価の対象になりました」。 そしてもう 1 つ注目した機能が DirectAccess です。同社では現在、外 また、同社では以前から、ソフトウェアの包括ライセンス契約である 部への出向者や出張先からの社内アクセスを、USB トークンを使った Enterprise Agreement (EA) を購入しており、 「EA の技術者研修特典 インターネット VPN 経由で行っています。しかし、これはリモート ア インターネット回線 災害時 通信カード DirectAccess サーバー (Windows Server 2008 R2) 証明書サーバー (Windows Server 2008 R2) Windows7 Enterprise (DirectAccess) クライアント社内 NATPT 装置 (IPv6-v4 変換) レプリケーション グループウェア グループウェア 社内サイト データ センター DirectAccess 概要図 阪神高速道路株式会社 情報システム部 情報企画課 藪上 大輔 氏 クセス時の手順が煩雑なうえに、証明書の入れ 阪神高速道路様と協力しながら、在宅、防災両 替え作業や更新費用が毎年発生するなど運用コ 面に活用できるしくみを考えていきたいと思って ストの課 題 がありました。そこで、Windows 7 います」と語ります。 と Windows Server 2008 R2 を組み合わせた また、同社の営業統括本部 大阪支店 産業営業 DirectAccess を活用すれば、アクセス方法を簡 部の大室浩氏も、 「そうした阪神高速道路様から 素化して運用コストも削減できるのではと考えた ご提示いただいたテーマを実現していくのはもちろ のです。 さらに、情報システム部 情報企画課の藪上大輔 氏は、それ以上に重要なテーマとして防災システ ムの強化があると指摘します。 「当社は高速道路という重要なインフラを担って おり、大地震などの災害時には、自宅や社外か 日本電子計算株式会社 営業統括本部 大阪支店 産業営業部 大室 浩 氏 ん、今回の DirectAccess 構築の経験を基に、 弊社の側からも積極的なご提案をできるレベルま で努力していきたいと考えています」と抱負を語り ます。 平野氏は、さらにこの DirectAccess による防災対応のしくみを、早 急に本格的なものに作り込んでいきたいと言います。 らすぐに必要な資料やリソースにアクセスできな 「当社では阪神淡路大震災の教訓をもとに、防災センターという施設 くてはなりません。そこで、日本電子計算株 式 を有しています。このセンターは大地震にも耐える非常に堅固な作りで 会社 (以下、日本電子計算) の協力で、当社の すが、ここに DirectAccess を使って災害対策に対しより強化を図り、 契約するデータ センター内に必要最小限の災害 万が一のためのバックアップとして連携させ、たとえ何が起きても確実 時アクセスが行えるシステムを DirectAccess で に機能する "総合防災システム" を築きたいと考えています」。 構築したところです」。 防災センター内には総合 防災システムに加え、グループウェアを中 日本電子計算 サービス統括本部 産業システム 心とした同 社の 総合 情 報システムなども置かれています。これらに 本部 情報サービス第3部インフラ課 神田直樹氏 DirectAccess によるアクセス環境を組み合わせることで、いかなる場 は、 「DirectAccess は新しい機能とあって参考にできる事例が当時ま 合においても在宅勤務体制を含め、防災センターの機能が利用できる だ少なかったのですが、いろいろ検証しながらマイクロソフトの事例を 体制を築こうというのが同社の構想です。 日本電子計算株式会社 サービス統括本部 産業システム本部 情報サービス第3部インフラ課 神田 直樹 氏 参考に最初の構成を作り上げることができました。ここを起点に今後も 阪神高速道路株式会社 ■ 今後の展望 また、System Center Configuration Manager には、ソフトウェア資 マイクロソフト製品の活用で、 さらなる情報活用の地平を目指す 産や更新プログラムの管理、リモート接続によるヘルプ デスク作業の 効率化による管理負荷の軽減と、システム ガバナンスの強化などを期 待しています。 今後同社では Windows 7 に引き続き、Web コンテンツ管理ができる 最後に平野氏は DirectAccess を、今後のディザスタ リカバリの強化 Microsoft SharePoint Server や、システム管理ソリューションである やより利便性が高いシステムを考えるうえで、非常に重要なツールと捉 Microsoft System Center Configuration Manager を利用した運用強 化を考えていると、平野氏は展望を語ります。 えていると改めて語ります。 「現在、防災システムを刷新する計画があり、このバックアップ シス 「現在、社内の部署単位で情報発信のための Web サイトを運用してい テムをどこにどのような形で構築するのかといった具体的なプランな ますが、あまり使い慣れていない市販のホームページ作成ソフトや FTP ども、DirectAccess があれば、いっそう現実的な議論が 可能です。 クライアントを扱うため、社内 Web サイトを更新する担当者に負担が DirectAccess を使うことによって、システム利用における地理的、地 かかることから、定期的に担当者向けの操作講習を実施する必要があ 域的な制約が事実上なくなります。どこからでも本社の総合情報システ りました。そこで、SharePoint Server を導入してそこに Web サイトを ムにアクセスする環境が実現すれば、災害時対応はもとより、在宅勤 移行できれば、Microsoft® Excel® や Microsoft® Word、Microsoft® 務といった社員のニーズや利便性に即した柔軟なシステム利用が可能 PowerPoint になると期待しています」。 ® といった社員の使いなれたソフトウェアと簡単に連携で き、コンテンツの更新による情報共有がシームレスに実現すると考えて 京阪神圏の高速道路インフラを守る強固な防災システムと、さらに自由 います。SharePoint Server ならば誰でも簡単に Web ページの作成や で柔軟なビジネスのためのアクセシビリティ。この 2 つのゴールに向け 更新ができるので、各部署のユーザーが自分で気軽に情報発信できる て阪神高速道路は、情報化のアクセルをさらに力強く踏み込んでいき だけでなく、私たち運用側の負荷軽減にも役立つものと考えています」。 ます。 パートナー 会社名 本社所在地 日本電子計算株式会社 [英文名]Japan Information Processing ServiceCo.,Ltd. 略称:JIP 東京都江東区福住二丁目5番4号 代表番号 代表者 資本金 従業員数 設立年月日 URL 03-3630-7147 代表取締役会長 内池 正名 代表取締役社長 佐々木 敏一 24億6千万円 1,316 名 (平成 23 年 4 月 1 日現在) 昭和 37 年 12 月 3 日 http://www.jip.co.jp/ 導入についてのお問い合わせ 本ケーススタディは、インターネット上でも参照できます。http://www.microsoft.com/japan/showcase/ 本ケーススタディに記載された情報は製作当時(2011 年 6 月)のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。 本ケーススタディは、情報提供のみを目的としています。Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。 製品に関するお問い合わせは次のインフォメーションをご利用ください。 ■インターネット ホームページ http://www.microsoft.com/japan/ ■マイクロソフト カスタマー インフォメーション センター 0120-41-6755 (9:30 〜 12:00、13:00 〜 19:00 ※土日祝日、弊社指定休業日を除きます) ※電話番号のおかけ間違いにご注意ください。 Microsoft、Excel、BitLocker To Go、Hyper-V、PowerPoint、SharePoint、Windows、Windows Server、Windows Vista は、米国 Microsoft Corporation および/またはその関連会社の商標です。 その他、記載されている会社名および製品名は、各社の商標または登録商標です。 〒 108-0075 東京都港区港南 2-16-3 品川グランドセントラルタワー 5105-SE1