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はじめに - 日本神経学会

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はじめに - 日本神経学会
!.はじめに
◆ガイドラインを使用するにあたって:
rology, Royal College of Physicians in London, National
このガイドラインは,現時点で妥当・適切なてんかん治療
を選択する臨床的判断を下せるよう支援する目的で作成さ
Society for Epilepsy
3.クリニカル・エビデンス
(Clinical Evidence, Issue 4)
,て
れたものである.標準的なてんかん治療は,個々の患者にお
いて全ての臨床データに基づいて主治医の判断により決定
されるべきであり,科学的知識や技術の発達,患者ケアの発
んかん,日経 BP 社,東京,2001, pp786―799
1.ガイドラインの目的と規模
展に従い常に変遷するものである.このガイドラインだけが
このガイドラインの目的はてんかん患者治療にあたる臨
正しく,このガイドラインを使用したからといって,全ての
床医が成人患者のてんかんの診断,治療,マネージメントを
患者で治療がうまく行くとは限らないことを念頭において,
行なう際にその助けとなることを目的としている.実際には
てんかん治療の臨床の場において参考にしていただきたい.
次の 7 項目にわけて,そのガイドラインを示す.
1.いかにてんかんを診断するか
◆ガイドラインの薬品名について
2.診断および治療・マネージメントにおける脳波, CT,
MRI の役割
このガイドラインにみられる薬品名のカナ表記は『医療
薬―日本医薬品集』2002(第 25 版),日本医薬情報センター
3.治療を何時始めるか
編に準じた.
4.第 1 選択薬は何か
5.単剤で発作をうまくコントロールできない時はどうす
るか
◆文献検索について
本ガイドラインの文献検索は,てんかん発作,てんかん・
てんかん症候群の診断,治療,マネージメントなどに関して
科 学 的 根 拠 と な る も の を,MEDLINE, The Cochrane Library Systematic Reviews
(Cochrane reviews)
,医学中央雑
6.抗てんかん薬を何時中止するか
7.患者にどのような情報,忠告を与えるか
2.てんかんの背景
誌から系統的に行ない 241 編の関連文献を得た.また検索さ
てんかんは神経疾患の中でもっとも頻度が高いとされ,
れた文献については,エビデンスのレベルの分類に従い質の
1,000 人に 5∼10 人の割合でみられる疾患である.成人てん
高いものを選別し,それらについて abstract forms を作成
かん患者ではその死亡率が高いことも知られている.
し,そのエビデンスの質の最も高いものについてお勧めする
これらの成人てんかん患者を治療することにより,そのハ
ことにした.また既に発表され評価のある次の三つのガイド
ンディキャップをより少なくすることができるとされてい
ラインを参考にし,特に 1.
について引用した.
る.
1.Diagnosis and Management of Epilepsy in Adults . A
多くの抗てんかん薬は経験的な抗てんかん効果に基づき
National Clinical Guideline recommended for use in
使用されてきた.しかしながら最近になり,新しい抗てんか
Scotland by the Scottish Intercollegiate guideline Net-
ん薬の開発が進められ,その抗てんかん作用がチャネル機能
work, Pilot Edition, November 1997
を中心に説明されるようになってきたことより,抗てんかん
2.成人難治てんかんの治療,監修 清野 昌一,協和発酵
薬の効果の分析をきわめて科学的に行なう流れが,EBM の
工業株式会社,1999
導入と相まって行なわれるようになった.この時期にてんか
Original publication :
ん治療のためのガイドラインを明らかにすることはきわめ
Wallace H , Shorvon SD , Hopkins A , O'Donoghue .
て意義が深いと考えられる.
Adults with poorly controlled epilepsy. Institute of Neu-
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