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ネットワーク の仕組み ネットワーク の仕組み
イ チ か ら 学 ぶ ネットワークの仕組み スマートフォンが急速に普及した背景には、 携帯電話回線を利用した高速 データ通信サービスがある。 パソコンで利用している人も多いだろう。 今 回はこのデータ通信サービスの仕組みと現状、 今後の方向性を紹介する。 第5回 携帯電話のデータ通信サービスを理解する 竹内 亮介=テクニカルライター 今回のポイント 1 データ通信の高速化を急ぐキャリア各社 化したのが第 1世代の携帯電話だ。 2 料金体系を把握して通信コストを合理化 ナログからデジタルに変更した。こ 3 スマートフォンがモバイルルーターになる「テザリング」 れにより通話品質が向上するととも 第 2 世代は、信号の伝達方式をア に、暗号化により通信の傍受も難し 続々と新サービスが登場する携帯 現状を整理した。 くなり、安全性が増した。今と比べ 電話のデータ通信サービス。当初は 携帯電話の進化は「世代」で区分 ればかなり低速ながら、データ通信 メールの送受信や、携帯電話専用に される。日本での歴史を簡単に整理 も行えるようになり、携帯電話用ネ 作られた専用ネットワーク上にある したのが図 1 だ。移動しながら通話 ットワークの整備が進んだ。1 人 1 軽量版の Web サイトを見るのが精 するシステムの基にな っ たのは、 台という勢いで普及が加速したのも いっぱいだった。 1979 年に日本電信電話公社(当時) この頃だ。 時代が進むにつれてデータ通信は がサービスを開始した自動車電話。 高速化し、現在は数 Mbps から数十 利用する周波数帯や、複数の基地局 世代とともにスピードアップ Mbps で通信できるようになった。 と連動して接続を継続する「ハンド それに続く第 3 世代が現在、国内 スマートフォンなどを使えば、情報 オーバー」などの基本技術のいくつ で広く使われている。 通信規格を 量の多いパソコン向けの Webサイト かは、現在も継承されている。当時 「W-CDMA」など世界標準のものに をストレスなく閲覧できる。今回は は自動車の設備として販売するしか 切り替えたことが大きな特徴だ。デ この携帯電話によるネットワークア ないほどの大きさだった。これを気 ータ通信が高速化し、パソコン並み クセスの歴史と、高速データ通信の 軽に持ち歩ける程度にまで小型軽量 の処理能力や表示能力を持つスマー ●携帯電話は「世代」ごとに進化してきた 世代 サービス内容 データ通信の速度 アナログ/デジタル 主な周波数帯 日本における主なキャリア 主な利用端末 第 1 世代 第 2 世代 第 3 世代 第 4 世代 音声通信 音声通信、 低速データ通信 音声通信、 高速データ通信 音声通信、 高速データ通信 ─ 数十 kbps 数百 kbps ~数 Mbps 数十 Mbps ~数 Gbps アナログ デジタル デジタル デジタル 800MHz 帯 800MHz 帯、1.5GHz 帯 800MHz 帯、1.5GHz 帯、 1.7GHz 帯、2GHz 帯 2GHz 以上の周波数帯を利 用する予定 NTT( 日本電信電話 )、 日 本移動通信(現 KDDI)、第 二電電(現 KDDI) NTT ドコモ、 日本移動通 信(現 KDDI)、DDI セルラ ー(現 KDDI)、Vodafone (現ソフトバンクモバイル) NTT ドコモ、KDDI、ソフ トバンクモバイル、イー・ アクセス、UQ コミュニケ ーションズ NTT ドコモ、KDDI、ソフ トバンクモバイル、イー・ アクセス、UQ コミュニケ ーションズ 自動車電話、携帯電話 携帯電話 携帯電話、スマートフォン、 パソコン、タブレット端末、 その他カーナビなど 携帯電話、スマートフォン、 パソコン、タブレット端末、 その他カーナビなど 図 1 携帯電話を含む移動体通信の歴史を世代で分けて特徴を整理した。当初は音声通信が主な用途。高速データ通信環境で真価を発揮するスマートフォン が普及するにつれデータ通信の重要性が増し、高速化も進んだ 日経パソコン 2011.6.13 91