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携帯電話の買い替え行動に関する調査研究 - Info Shako

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携帯電話の買い替え行動に関する調査研究 - Info Shako
携帯電話の買い替え行動に関する調査研究
平成 15 年度卒業研究
指導教官
石井健一
社会工学類
社会経済専攻
学籍番号 199701161
女川
1
厚
目
第1章
次
研究目的
1.1 はじめに
1.2 携帯電話・PHS の現状
1.3 携帯端末機器の機能とその進化
1.4 携帯電話の買い替え・機種変更
1.5 参考文献のレビューと考察
1.6 先行研究と仮説
第2章
方法
2.1 調査の方法
2.2 調査に使用した質問紙の概要
2.3 社会心理尺度について
第3章
結果と考察
3.1 携帯電話の利用と利用者のプロフィール
3.2 社会心理傾向と携帯電話の利用
3.3 買い替え行動と利用者の傾向
3.4 携帯電話に対する意識と買い替え行動
第4章
結論
2
第1章
1.1
はじめに
現在では,携帯電話・PHS というものが一般的となり,その加入数も携帯電話,PHS 合
わせて約 8500 万件と,国民のおよそ 3 人に 2 人が所有している計算となるほどに普及して
いる.加入数とは,携帯電話・PHS を利用するために各携帯電話会社との契約数のことで
あり,
「総務省 平成 15 年度 情報通信白書」によると数年前まで年 1000 万件以上の増加を
見せていたが,最近ではその数も減少傾向にある.これは,携帯電話・PHS を欲しいと思
っていた人のほとんどがすでにそれを入手したことにより,潜在的利用者の絶対数が減少
し,飽和状態になり始めていることが原因と考えられる.そのため,携帯電話・PHS 会社
各社はこれまでのように携帯端末を安価で販売を行ったり,新規契約料を無料にしたりす
るなどの新規契約を促す戦略から,他の会社からの乗り換えを促す・現在契約しているユ
ーザーに対して買い替えを促す方向に戦略を変えてきているように見える.そこで私は,
携帯電話・PHS の買い替え行動に着目し,それらを利用者の意識や傾向を分析することに
よって,携帯電話・PHS に期待されていることを見出し,これからの携帯電話・PHS の発
展すべき方向性を示すことを目的とし,この研究を行うことを決定した.
1.2
携帯電話・PHS の現状
まず,現在の国内の携帯電話・PHS の普及に関する状況を見てみることにする.総務省
が毎年発表している「情報通信白書 平成 15 年度版」によると,移動電話の加入者数は,
図 1.2.1 に表したように,10 年前の 1993 年における調査ではわずか 213 万人ほどであった
が,その後を見ると 1995 年あたりから急激に増加し始めており,2003 年 10 月現在ではそ
の数は 8423 万件となっている.
これらの携帯電話・PHS の急激に普及した背景として,竹内ら(1998)は,(1)1 地域 3∼4
社体制という競争の激しい市場に対し,各社が販促その他に積極的であること,(2)端末の
切り売り制の導入,(3)デジタル化や端末の小型化・軽量化によって持ち運びが容易になっ
たこと,(4)普及によって利用料金の多様化や端末価格が低下したこと,の 4 つを要因とし
て挙げている.
3
90000000
80000000
70000000
加 60000000
入 50000000
者 40000000
数 30000000
20000000
10000000
0
3
2.5
2
前
1.5年
比
1
0.5
年 年
10
月
末
年
02
20
03
20
年
01
20
年
00
20
年
99
98
19
年
97
19
年
96
19
年
95
19
年
94
19
年
93
19
年
92
19
年
91
19
年
90
19
19
19
89
年
0
図1.2.1 移動電話の加入者数の推移(総務省「情報通信白書」
より)
加入者数を 1 契約につき一人として考えてみると,ここ 10 年ほどで国民のおよそ 3 人に
2 人が所有している計算となるほどの急激な普及が進んだ結果,現在では移動電話というも
のが一般的なものとして認識され,利用されていると言えるだろう.しかし,総務省「平
成 15 年度版
情報通信白書」を見ると,携帯電話が普及し始めた 1994 年頃には,前年か
ら 1000 万件以上もの驚異的な契約者数の増加を見せていたが,前年から 1067 万件増加と
いうピークを迎えた 1995 年以降,契約者の総数に関しては伸びているものの増加数に関し
ては毎年減少傾向となっている.
PHS に関しては,総務省「平成 15 年度版
情報通信白書」に PHS に関する項目が追加
された 1995 年から 1997 年の間では加入者数は増加傾向にあったが,それ以後は常に減少
傾向にある.この調査初期における増加傾向は,発売当初は携帯電話よりも使用料金が安
価であったため,
「携帯電話は所有できないが PHS なら」という意識から PHS に加入する
人が多かったためだと考えられる,しかし,その後の各携帯電話会社の新規契約獲得戦略
による携帯端末の低価格化や競争により携帯電話の通信費用の低料金化が進んだことによ
ってその価格や費用にほとんど差が見られなくなってきている.そのため最初から携帯電
話を選択する人が増えたことやそれまでの PHS の加入者が携帯電話の契約へと移行したこ
となどが要因となり PHS の加入者数の減少傾向が進んできたと思われる.詳細は 2 章で説
明するが,今回の調査で行った携帯電話・PHS の所有に関する質問でも,回答者はすべて
携帯電話を所有しているとの結果であり,PHS を現在所有している人は一人もいなかった.
また,PHS にはデータ通信速度など現在の携帯電話より優れている面もあるが,それらも
最近の携帯電話端末や通信環境の進化により差が無くなり始めているため,PHS の利用者
4
数を増加させるためには,携帯電話との差別化を積極的に図っていく必要があるだろう.
次に,現在の日本国内における携帯電話会社各社の状況を見てみると,NTT-DoCoMo,
Vodafone(J-Phone),au(KDDI),Tu-ka(KDDI グループ)の 4 社がある.電気通信事業
者協会が発表している事業者別の契約数のデータによると,加入者数の事業者別の割合は
NTT-DoCoMo が 56%のシェアを占めており,続いて au,Vodafone とそれぞれ約 20%で
続いている.また,Tu-ka は,au と同じ KDDI グループに属しているため,現在では事実
上 3 グループが国内の携帯電話市場で競争を行っている.上記で移動電話市場の急激な普
及を引き起こした要因について竹内ら(1998)の指摘を引用しているが, 市場が飽和状態に
なりつつある現在,その競争はより激しくなっていくと予想される.
1.3
携帯端末機器の機能とその進化
近年,携帯電話端末の傾向として機能を重視しているものが多く見受けられる.携帯電
話が普及し始めた頃は,通話機能と留守番電話機能のみというように一般的な固定電話と
あまり変わりがなく持ち運べる固定電話の域を越えていなかったように思えるが,その後,
各携帯会社によって次々に新しい機能やサービスが生み出され搭載されてきた結果,現在
の携帯電話端末は小型のパソコンとも言えるほど多機能なものが普通となっている.そこ
で,現在発売されている携帯電話端末の多くに搭載されている通話機能以外の機能のうち
代表的なものを挙げてみると,第一に,メール機能(ショートメール・e-メール)が挙げら
れるであろう.現在のメール機能は,各携帯電話会社の携帯電話同士でメールのやり取り
ができるショートメール機能がヒットしたことにより,次々にその機能が搭載されていく
ようになった.携帯電話を利用したメールは,通話するよりも気軽に連絡を取ることがで
きるため友人同志などでよくやりとりされており,現在では携帯電話の一般的な機能とし
てほぼすべての端末に標準搭載されている.また,ショートメールだけでなくインターネ
ットを使用した e-メールもメール機能の一つとして利用されている.携帯電話を利用した
メールでのコミュニケーション行動は日本で独自に発達し,新しいコミュニケーション方
法として注目され,近年,多くの研究者によって研究が行われている.
第二に挙げられるものとして,各携帯会社が現在最も力を入れており,CM などの販売戦
略にも積極的に利用されている機能のうちの一つであろうカメラ機能がある.J-Phone(現
在は Vodafone)から発売されたカメラ付き携帯電話のヒットによって他社も自社製品に搭
載し始めた機能であり,最近では自分で撮影した画像をメールに添付し友人らとやり取り
するなどのコミュニケーションの方法として利用されることが多く,カメラ搭載の携帯電
話というものも現在では一般的となっている.また,最近のカメラ機能は画像だけでなく
動画も撮影できるものが主流であり,その画質もデジタルカメラに匹敵するほどになって
いる.最近のカメラ機能付き携帯電話の普及は急激に進んでおり,総務省「平成 15 年度版
情報通信白書」によると,カメラ付き携帯電話の契約数は,2003 年 3 月の時点で 2221 万
5
件に達し,携帯電話利用者のうち 29.3%が所有しているという結果であった.また,その
普及に関して,2002 年 9 月から 2003 年 3 月の半年の間に保有率が2倍以上に上がってい
ることからも,カメラ付の携帯電話が急速に普及してきていると言えるだろう.
第三に,携帯電話端末のさらなる進化によって,携帯電話を利用するビジネスとして今
後さらに発展していくであろう携帯電話上でのアプリケーションを動かす技術である Java
である.Java とは,PC で利用されているプログラム言語 Java を携帯電話に対応させて動
かす機能であり.最近の特徴として主にゲームを動作させる事に利用されている.また,
ゲームの有料配信サービスが一般化してきたことにより,多くのゲーム会社がこの分野に
参入し始めている.
最後に,携帯電話の通信機器としての役割をより高めるであろうインターネット接続機
能について説明する.携帯電話を利用したビジネスとして,携帯電話・PHS からのインタ
ーネットの利用が注目されている.現在発売されている携帯端末には必ずインターネット
接続機能が搭載されており,携帯電話会社もそれぞれ独自にコンテンツビジネスを始めて
いる.総務省「平成 15 年度版 情報通信白書」によると,日本での携帯電話契約数に占め
るインターネット対応携帯電話の所有率は 79.1%であり,その普及率の高さが覗える.携
帯・PHS からのウェブサイトでよく利用されているものの種類としては,着メロや壁紙の
ダウンロード,ゲームのダウンロードなどが一般的であり,パソコンでのウェブアクセス
と比べると情報量の少なさや通信コストが高いなどの問題から他のコンテンツサービスは
あまり利用されていないとの橋元ら(2002)による調査結果もある.この辺りの問題に関して,
料金の定額化により価格が下がったことでパソコンでのインターネット利用の普及が進ん
だことから,携帯電話・PHS においても通信コストの低価格化が今後進むことによりそれ
ら移動電話でのインターネットアクセスも増加し,より携帯インターネットを利用した市
場も加速していくと予想される.また,NTT-DoCoMo の FOMA に代表される携帯電話の
第 3 世代と呼ばれる方式が登場したことにより,それらのこれからの普及によっては携帯
電話を利用したサービスやビジネスもより進化したものが生み出されていくだろう.
ここで,携帯電話の第 3 世代について説明すると, ITU(国際電気通信連合)によって
定められた世界共通規格に準拠したサービスであり,総務省「情報通信白書」内では,
「世
界共通に分配された主に 2GHz 帯の電波を用いて世界中のどこでも使用できるグローバル
サービスと最大 2Mbps の高速データ通信が可能な高速・高品質のマルチメディア移動通信
システム」に対応した携帯電話であると解説されている.現在の携帯電話の主流は第 2 世
代であるが,最近では,各携帯電話会社から第 3 世代サービスに対応した携帯電話が発売
され始めている.総務省「平成 15 年版 情報通信白書」によると,他社に先駆けてサービ
スを開始した NTT-DoCoMo の FOMA の加入者数が伸び悩んでいるものの,続いてサービ
スを開始した au は第三世代携帯電話の加入者数を順調に伸ばしており, 2003 年 3 月の時
点で第 3 世代携帯電話の加入者は 700 万人を超えている.また,Vodafone も販売を始めた
ためにその利用者は今後さらに増加すると思われる.
6
1.4 携帯電話の買い替え・機種変更
携帯電話の買い替えの方法について説明すると,携帯電話端末の購入する時に現在利用
できる方法としては,新規契約を行い購入する・機種変更サービスを利用する,という 2
通りの方法がある.新規契約による購入方法は,携帯電話を始めて購入する人や,現在契
約している携帯電話会社から他の携帯電話会社へと契約を変更するなどの場合に主に利用
されている.それに対し,機種変更とは,携帯電話の買い替え方法としてより一般的なも
ので,現在所有している機種から契約している携帯電話会社を変更することなしにその会
社の新しい機種に変更する購入方法である.それぞれの特徴を挙げてみると,新規契約の
場合には,携帯電話会社の新規契約数を増やす戦略によって,一般的に機種変更を行った
場合よりも端末価格が低く設定されており安価に購入することができ,価格面では機種変
更を利用するよりも有利である.そのため携帯電話会社を変更せずに新しくその会社と契
約し携帯電話の買い替えを行う方法も採ることが可能であるが,それまでに使用していた
携帯電話の番号が使用できなくなるなどの条件をデメリットと感じる人も多いとされる.
それに対し,機種変更サービスを利用した場合は,番号はそのまま利用でき,新しい携帯
端末へのデータの移し変えも容易に行うことができるが,新規契約と比べて同じ携帯端末
を購入した場合よりも基本的に割高である.しかし,携帯電話会社各社も携帯電話の使用
年数による長期利用割引やそれまでの利用料金等により加算されるポイントによる割引サ
ービスなどを導入し,機種変更を促している.また,携帯電話会社の契約の多くが 1 年ご
とに契約更新を行い,2 年以上利用することによりで長期利用による機種変更時の割引が最
大になるようになっている.このことから携帯電話会社は利用者に対しおよそ 2 年ほどの
周期での新しい機種への買い替えを推奨している予想できる.また,(株)日経リサーチが行
った調査(2002)によると,携帯電話の買い替えの際に携帯電話会社を変更する人は少なく,
ほとんどの人が同じ携帯電話会社の新しい機種へと買い替えを行っているとされている.
ここで,電子情報技術産業協会による携帯電話のここ 3 年間の国内出荷台数の調査によ
ると,2001 年から 2002 年にかけて出荷台数は減少傾向にあったものの最近の状況を見て
みると出荷数が伸びている.これは,カメラ機能付き携帯電話が流行し利用者の移行が進
んだためだとされている.このように携帯電話の買い替えの促進には一般的に革新的な新
しい機能によるところが大きいと思われる.しかし,その一方で,au(KDDI)が 2003 年 10
月に発表した「インフォバー」という斬新なデザインを採用した携帯電話端末の販売が好
調である(asahi.com 2004/01/05)という.つまり,携帯電話のデザインが注目され,また,
携帯電話会社がデザインに力を入れ始めていることが朝日新聞社によるこの記事から推測
できる.そこで,今回の調査において携帯電話端末の選択理由に関する質問などから,デ
ザインを含めそのような利用者の志向について調査を行い,そのような志向を持つ携帯電
話利用者の傾向について分析を行いたいと思う.
7
1.5
参考文献のレビューと考察
今回の研究に関係する先行研究として,携帯電話・PHS の利用状況と対人関係との関連
やそれら各機能の利用者の傾向に関して,大学生を対象に行った調査から分析を行ってい
る「移動電話利用におけるメディア特性と対人関係−大学生を対象とした調査事例より−」
(岡田朋之・松田美佐・羽渕一代,平成 11 年度
情報通信学会年報)を挙げる.この節では,
上記先行研究の内容について概要をまとめ検討を行う.
岡田らはこの研究の中で携帯電話・PHS をコミュニケーション機器として位置付け,利用
者がそれらの機能やサービスを利用することでどのようにコミュニケーション行動を進め,
対人関係を形成しているかという点からいくつかの仮説を立て分析を行っている.この中
で,岡田らは携帯電話の利用者と非利用者の違いについて,先行研究をいくつか挙げ予想
を行っている.まず,コミュニケーション機器の普及と収入との関連と若年層における男
女間での所有率の差の縮小に関する先行研究を示し,大学生の小遣いの額と性別による所
有との関連について予想を立て説明している.ここで,岡田らは男女間の差について若年
層に関してはほぼ同率であるとの予想を行っているが,携帯電話の普及がより進んだ現在
では,男性よりもむしろ女性の方が所有率,利用率についても高くなっているのではない
かと予想される.性別については,固定電話の利用状況から移動電話についても男性より
も女性の方がヘビーユーザーであり,女性は友人だけでなく家族に対しても移動電話を利
用する傾向にあるとの仮説を立てている.次に,岡田らは文字通信機能と留守番電話機能
について触れ,これらの機能を搭載した移動電話は「『非同期的』なコミュニケーションを
可能にすることで,メッセージの受けての負荷を軽減し,比較的緊急度の低い目的でも気
軽に利用できるようにな」り,また「着信した通話を受けての側で自由に選別できるコミ
ュニケーション形態」をもたらしているとの見解を示している.つまり,移動電話のメー
ル機能は従来の電話よりもより気軽にコミュニケーションできる機能として用いられてお
り,また,留守番電話機能は着信相手が表示されるため相手によって出るか出ないかを決
定する対人関係の峻別に利用されているという事である.それらの観点から岡田らは利用
状況を調査することによって検証を行っている.また,対人関係に関する移動電話の役割
について岡田らは次のような仮説を立てている.それは,移動電話の利用者が非利用者と
比べ社交的である傾向が見られることから,現代の若者に関してメディアを媒体としたコ
ミュニケーションよりも対面的なコミュニケーションを重視しているというものであり,
「他人との深い接触を好み,表層的な交際を好む」という従来の若者観とは異なるもので
ある.つまり移動電話が対人関係において,他のメディアの影響も考えられるが,対人関
係において距離を一定に遠ざけておくためではなく,より人と人との直接的なコミュニケ
ーションを促進する役割となっているというのが岡田らの考えである.
以上のような仮説を基に検証を行った結果,岡田らは次のような結論を導いている.順
に挙げると,(1)移動電話利用者の傾向として,社交性,イノベーター度が高く,小遣いが
多い,(2)性別による違いでは,男性よりも女性の方に利用者が多く,男性は移動電話を「個
8
人専用の利用手段」として,女性には「安心のためのメディア」として利用している傾向
が強い,(3)メールなどの文字機能は女性の方が利用する傾向が高く,状況に応じてメディ
アの使い分けを行っている,(4)ヘビーユーザーは,社交性が高く,移動電話を対面的なコ
ミュニケーションの機会の増加に利用しているが,相手を選択する傾向が見られる,(5)留
守番電話によって相手の選別を行う人は,社交性は高いが,対人関係一般に関して選択的
であり,
「電話を使いこなしている」という意識が強い,(6)発信者の番号通知機能で相手の
選別を行う人は,移動電話に依存し,機械親和性・イノベーター度が高い傾向にあり,対
人関係も選択的で,家族とも心理的な距離を感じている傾向が見られる,(7)移動電話の利
用者は,人間関係を保つために必要であるが,他人に煩わされたくないとの志向も高い,
の 7 つである.この結果について,現在の移動電話の状況を踏まえて考えてみると,移動
電話の利用者の傾向については,松田らの調査が行われた 1999 年と比較して,現在では若
者のほとんどが移動電話を所有しており,持っていることが当たり前であるような状況と
なっている.そのため所有者の傾向は現在では一概に当てはまらない可能性がある.加え
て携帯電話も普及重視の時代から進化の時代へと移り変わっている.そのような移動電話
の現在の状況と利用者の傾向について比較,検討するため,今回の携帯電話の買い替え行
動に関する研究において,上記の岡田らの論文を参考文献として取り上げた.
1.6 先行研究と仮説
近年,情報化社会という言葉が定着しつつあるように,情報化の波は企業のみならず,
我々の普段の生活にも大きな変化をもたらしている.特に,ここ数年における携帯電話・
PHS,インターネットなどの通信に関連する分野での発展は目覚しく,また,それらの普
及によって情報に関するメディアのパーソナル化が進んできていると言われている.その
中でも携帯電話・PHS などの移動体通信の普及は目を見張るものがあり,現在では幅広い
年代の人が利用している状況にまでなっている.
しかし,携帯電話・PHS の新規契約者数は年々減少しており,すでに利用者数も飽和状
態になっているように見られる.そこで各携帯電話会社は,新規契約者を増加させる戦略
を取っていくと同時に,現在以上に積極的に新しいサービスの開発とそれに対応した携帯
端末への利用者の移行を促す戦略を進めていくことが重要だろう.そのためには,まず携
帯電話の利用者の特性と利用状況について考える必要がある.
携帯電話・PHS などの移動電話は,橋元ら(2000)の調査によるとそのほとんどが私用に
使われており,また,年齢が若いほどその傾向が強く見られたとの結果から,橋元らは「携
帯電話・PHS を仕事のツールではなく,そのほとんどが私的コミュニケーションのための
ツールである」と位置付けている.また,同調査において,携帯電話・PHS に利用と人間
関係との関連性についての分析で,10 代・20 代の若年層は,携帯電話・PHS を利用した
事により,「友人と会う回数が増えた」「親しい人とだけつきあいがちになった」とその交
9
友スタンスの変化についても言及されている.これについて考えてみると,携帯電話・PHS
の利用が,特に若年層においては,人間関係に強く影響することがわかる.このことから,
若年層に限ってみると,携帯電話・PHS の所有状態によって交友関係が築かれ深められて
いる,つまり,交友関係を維持していくために携帯電話・PHS の利用が大きな役割を果た
していると考えられる.
そこで,私は携帯電話・PHS の買い替え・機種変更について,若者の方が買い替え頻度
が高いことから,若者の携帯電話の買い替え行動は一般的な携帯電話の製品としての魅力
や広告・CM による影響などの他にも要因がある,つまり,友人など交友関係の影響が要因
として強く関係しているのではないかとの予想を立ててみた.そこで,携帯電話の買い替
え行動は友人など特定の集団の中で広がっていくとの仮定を行ってみる.つまり,特定の
集団内の誰かが新しい機種の購入を行うことによって,その集団に属している他の人達は
自分だけ周りから取り残されないように次々に買い替えにいたるという買い替えの連鎖の
ような状況を作り出し,その結果として若者の携帯電話の買い替え・機種変更の頻度の高
さに繋がっているのではないか,との考えに基づき仮説を立て検証を行うことにする.ま
ず,集団内でより短い期間で新しい携帯電話に買い替える人とはどのような人であるのか,
上記の予測と携帯電話の利用者の傾向を踏まえて考えてみると,それほど友人などの集団
に影響されずに高い頻度で買い替えを行うということから,一般的な流行や情報に関心が
強くイノベーター的傾向を持つと共に,社交的ではあるが,集団内においても個性をより
重視するような人物像が思い浮かぶ.また,周りに追従するような行動を採る人に関して
は,孤立することを好まず,集団内での同調志向の強い傾向を持つ人が多いと考えられる.
逆に,携帯電話の買い替えにそれほど関心のない人は,集団よりも個人を重視し,流行に
もそれほど関心を示さないという傾向を持っていると予想される.以上のような携帯電話
の買い替え行動と利用者の傾向について,この仮説を踏まえ検証をおこなう.
また,携帯電話の所有者はより社交的であるとの観点から,利用者の交友の広さについ
てアルバイトやボランティア活動など学校以外での活動の有無や携帯電話での友人との連
絡の送受信頻度などについても簡単な質問を作成し,買い替え行動との関連性を検討する.
次に,携帯電話機器の今後の進化の方向について考察するために,上記の仮説と関連し
て,携帯電話の現在の利用状況と買い替え行動との関連について考えてみる.まず,携帯
電話がコミュニケーションの道具であるという前提から通話頻度,メール利用頻度などか
らコミュニケーションに関する意識の強さと買い替え行動との関連性について検証を行う.
橋元ら(2000)や岡田ら(2000)の行った調査では一般的に携帯電話の所有者は社交性が高い
という結果で一致しているが,現在の若者に関しては,そのほとんどが携帯電話を所有し
ているため,所有と社交性について少なくとも若者に関して言えばその関連性は弱くなっ
ていると予想される.そこで,社交性の高い人の方が携帯電話を積極的に導入していたこ
とから買い替え行動についても社交性の強さに関連があると仮説を立て,それを基に検討
を行い,また,通話頻度,メール利用頻度ともに女性の方がより頻繁に利用しているとの
10
調査結果(橋元ら,2000)から性別での違いについても検討する.
携帯電話の買い替え頻度が高い人はより個性化志向が高いとの仮説から,自分と他人と
の区別をするために,携帯電話のストラップ変更経験の有無,プリクラやシールでのカス
タマイズを行っているか調査し.買い替え行動との関連性についても検討を行う.また,
そのような人は,携帯電話もファッションとして考えている可能性も予想されるため,そ
の関連についても検証する.そこで,携帯電話に対して,ファッションの一部として位置
付けている人や個性を求める人は,ファッションを気にする人は他人に見られる事を意識
する人が多いと考えられることから,古い携帯を持っている事は恥ずかしい等の考えを持
っており,より買い替え頻度が高くなるのではないかとの推測を基に仮説を立てて検証を
行うことにする.また,携帯電話にも個性やファッション性を重視する人は,端末の購入
に際して,他の人の差を出したいと考えていると思われることからデザインや色など他の
人の目につきやすい点を重視するのではないか,との予測について仮説を立て検証する.
この仮説においても,女性の方が「端末機器を個別化したがる傾向がある」(橋元ら,2000)
ことから性別による差についても検討する.
最後に,今回の研究において私が立てた仮説は,
1.流行に関心が強くイノベーター的な傾向を持ち,社交的ではあるが,集団に属している
中でも個性を重視するような傾向を持つ人がより積極的に買い替え行動を行い,集団への
同調性が高い人がそれに追従する形で買い替えを行っていくという連鎖によって買い替え
行動が行われ,新しい携帯電話の普及が進んでいく.
2.1 の仮説とは逆に,個人志向が強い人は,上記のような連鎖には影響されず携帯電話の
買い替えに対しても意欲は低く,また買い替え行動もあまり行わない.
3.アルバイトやボランティア活動などで学校以外にも活動をしている人は,社交性が高く
交友範囲も広いと考えられる.そのため,それらの活動をしていない人に比べ多くのグル
ープによる影響があり,利用頻度や買い替え頻度も高くなる.
4.携帯電話を個別化に対する意識は携帯電話のファッション性と関連しており,他の人と
の違いを出すため携帯電話に対しても個性を求めていると考えられる.また,それらを重
視している人は古い携帯電話を持っていることは恥ずかしいとの考えから,より新しい携
帯電話を求める傾向が強く,そのため,買い替え意欲も強い.また,その意識は女性の方
が強い.
5.4 の仮説と関連して,携帯電話にも個性やファッションを重視する人は,携帯電話端末
の選択時に人目につきやすいデザインや色などの外観をより重視する.
である.今回の研究では,アンケート調査を実施し,それらの回答結果を基に,これら
の仮説の検証を行うと同時に,現在の若者による携帯電話の利用の現状や買い替え行動に
ついても分析を行っていくことにする.
11
2章 方法
2 .1
調査の方法
この調査は,高等学校の生徒を対象に行った.また,携帯電話・PHS の買い替え行動に
関する分析というテーマを設定したため,より買い替えの経験が高いと予想される高等学
校の3年生を主な対象として調査を行った.
調査は,筑波大学付属坂戸高等学校の現在高校3年生を対象に行い,有効回答数 138 を
得ることができた.性別による構成比は男子 54 名,女子 79 名,また残り未記入 5 名とな
っている.
2 .2
調査に使用した質問紙の概要
この調査の中で質問を行った主な項目としては,(1)パソコンやインターネット環境の利
用状況,(2)パソコンの知識に関する問題,(3)携帯電話・PHS の利用動機,利用頻度,(5)
現在利用している携帯電話・PHS の契約会社と決定した理由,(5)所有している携帯電話・
PHS 端末とその機種の購買動機,(6)携帯電話・PHS に搭載されている機能の利用状況,(7)
携帯電話・PHS の買い替え・機種変更の頻度,(8)携帯電話・PHS 端末を選択する際に重視
すること,(9)携帯電話・PHS に対する思考や利用環境,(10)個性化志向やイノベーター度,
流行関心度など社会心理尺度に関する質問,である.
なお,今回の調査では PHS を所有している人が一人もいなかったため,今回の研究では
携帯電話利用者に関しての分析結果となっている.また,パソコンとインターネットの主
な利用場所について尋ねた質問(付録 質問紙 3)に関して,単一回答であったところを誤って
複数回答をした人が多かったため,乱数表を用いて回答の選択を行った[付録 質問紙問
3(a):18 人,問 3(b):13 人}.
2.3 社会心理尺度について
また,今回の調査では,携帯電話・PHS の利用者と買い替え行動を行う人の傾向につい
て分析を行うために,いくつかの社会心理尺度に関する質問を行った.今回調査に使用し
た社会心理尺度は,(1)集団同調志向,(2)流行関心度,(3)個性化志向,(4)イノベーター度,
(5)情報探索志向,(6)個人志向,の 6 項目であり,各尺度について 2 つずつ質問を設定し,
「1.当てはまる」
「2.どちらかというと当てはまる」
「3.あまり当てはまらない」
「4.当てはま
らない」の 4 段階での回答から判定を行った(付録 調査票問 23 参照).各尺度の設問につい
て説明すると,
(1)集団同調志向: A.相手が自分の事をどう思っているか気になる
L.相手やその場の状況によって,自分の態度や行動を変えることがある
(2)流行関心度:
B.流行には敏感な方だ
12
F.世の中の出来事や流行に関する情報は人よりも早く知りたい.
(3)個性化志向:
C.グループの中で目立つ存在になりたい
D.他の人とは違う生き方をしたい
(4)イノベーター度: G.同じものを長く使っていると飽きてしまう
J.友達が何か変わっているものを持っていたら,自分も欲しくなって
しまう
(5)情報探索志向:
E.他の人が知っていて,自分が知らないことがあると恥ずかしい
H.欲しい情報は自分の納得がいくまで徹底的に調べる
(6)個人志向:
L.大勢でいるより一人の方が気が楽だ
K.休日は外出するよりも家で過ごすことが多い
の各尺度に対し各 2 問で構成している(各質問の A から K は付録 質問表問 23 に対応).
各尺度を構成する 2 つの質問の相関関係を表 2.2.1 に示した.今回の調査では集団同調志
向など若干相関が弱い尺度があったが,これらの質問についてこれまでも多くの研究で使
用されており尺度として実証されているため,今回はこれらの質問に対する回答を尺度と
してそのまま使用した.ただし,情報探索志向に関する設問では特に相関が弱く,また有
意水準も満たさないという結果が算出されたため今回の分析結果としては参考程度に扱う
ことにする.また,各社会心理尺度の傾向は,
「1.当てはまる」
「2.どちらかというと当ては
まる」「3.あまり当てはまらない」「4.当てはまらない」の回答に対し,「1.当てはまる」か
ら「4.当てはまらない」の順にそれぞれ 1 点から 4 点と得点を与えて加算尺度化し,各尺度
2 つの質問に対する回答の和の値を最大数 8 から引いた差を各尺度の強さとしてスケール構
成を行っている.
表 2.2.1
各尺度を構成する 2 つの質問の相関
相関係数
有意確率
集団同調志向(A,L)
0.434
**
流行関心度(B,F)
0.555
**
個性化志向(C,D)
0.443
**
情報探索志向(E,H)
0.092
イノベーター度(G,J)
0.386
**
個人志向(I,K)
0.247
**
注)表中の( )内は付録 質問紙問23の対応する質問の番号である (**:p<0.01)
13
3章
3 .1
結果と考察
携帯電話の利用と利用者のプロフィール
以下では今回の調査における基本的な項目についての概要を説明する.
最初に,今回の調査における利用者の基礎的なデータについて見ていくことにする.第
一に,携帯電話の所有率の性別による違いについて分析を行った結果を以下に示す.携帯
電話の所有状況について尋ねた質問(付録 質問紙問 6)に対し,
「所有している」と回答した
人は全体で 97.0%という結果であった.また,男女別の所有率を見てみると男子 96.3%,
女子 97.5%とほとんど差は見られず,その関連についてカイ 2 乗検定によって判定を行っ
たところ,その差に関して有意な値は示されなかった.よって,男女による所有率の差は
現在ではほとんど無くなっていると言うことができるであろう.また,橋元ら(2000)によっ
て 1999 年 2 月に行われた調査での同様の質問では,10 代で携帯電話を所有している人の
割合が 31.3%,PHS を所有している人の割合が 31.3%であり,携帯電話・PHS いずれかを
利用している割合は 61.3%であったことから,この 2∼3 年の間に若年層の間では携帯電話
が急速に普及していることがこの結果からもわかる.また,第 2 章でも述べたように,所
有していると回答した人はすべて携帯電話を所有していたことから,移動電話市場の動向
(第 1 章参照)と同様に,PHS の利用率が下がり,ほとんどの人が携帯電話の利用へと移行
していることが読み取れる.
また,利用者が現在契約をしている携帯電話会社についての質問も今回の調査の中で行
った.今回の調査では,au(KDDI)と契約している人が全体の 42.1%を占めており最も多い
という結果であった.また,2 番目に多く利用されていた NTT-DoCoMo と契約している人
の割合は全体の 40.0%で,その内 7.1%の人が第 3 世代携帯電話である FOMA を利用して
いた.他の結果を見ると,Vodafone(J-Phone)は 12.9%,また,Tu-ka の携帯電話を今回所
有している人はいなかった.今回の高校生を対象にした調査では,第 1 章で述べた電気通
信事業者協会が発表している市場の比率とは異なる結果が示された.これは,au が学割サ
ービスを積極的に行っているという理由が大きいと考えられる.
第二に,携帯電話の毎月の平均利用料金に関する質問(付録 質問紙問 9)を行った.その質
問に対する回答を集計し男女での分布を表したものを図 3.1.1 に示しておく.また,毎月の
平均利用料金の平均額は全体で 6898.2 円(N=116)との結果であり,図 3.1.1 に示されている
ように,金額が 1 万円を超える利用者の数はそれほど多くなく,ほとんど人が 1 万円以下
に分布していることがわかる.また,平均利用料金の分布に関しては,全体的に男女で同
じような傾向を示しているが,女子の方が利用料金の高い人が多く見られた.このことか
ら女子の方が男子よりもヘビーユーザーが多いと考えられるであろう.
14
男子
女子
30.0%
25.0%
20.0%
15.0%
10.0%
5.0%
1∼
0
18
00
(円)
16
00
1∼
18
00
0
00
0
16
00
00
1∼
14
14
12
00
1∼
00
10
1∼
12
00
00
10
∼
01
80
0
0
00
80
00
∼
60
01
60
40
01
∼
40
∼
01
20
0∼
20
00
00
0.0%
図3.1.1 男女別一ヶ月の平均利用料金の分布
上では,毎月の平均利用料金の男女別での分布について分析を行ったが,ここでは,そ
の関連について統計的に分析を行うために,毎月の平均利用料金について性別を独立変数
として t 検定を行い検証した.その結果,利用料金の平均は,男子の 6327.67 円(N=45)に
対して,女子が 7256.15 円(N=71)という結果であった.しかし,女子の方が男子よりも平
均利用料金が高いという予測に関しては,有意確率が.193 と有意な値は示されなかった.
このため,今回の調査では,男子よりも女子の方が毎月の平均利用料金が高くなっている
という予測に関しては結果が示されなかった.
第三に,携帯電話での通話の頻度について質問(付録 質問紙問 8)を行った(表 3.1.1).表
3.1.1 に示されているように,携帯電話での通話を「ほぼ毎日行っている」と回答した人が
全体の 39.5%,
「2∼3 日に一回くらい」が 27.1%となっており,約 85%の人が最低でも 1
週間に一度は利用しているとの結果であった.また,男女別による結果を見ると,
「ほぼ毎
日」が男子 25.0%,女子 49.4%となっており,女子の方が男子よりも通話頻度が高いとい
う傾向が見られた.また,この表での男女間の回答の差について詳しく見てみると,
「ほと
んど使わない」と回答した人が,女子は女子全体の 3.9%と少なかったのに対し,男子では
男子全体の 17.3%を占めていることが注目される.また,この男女間での通話利用頻度の
傾向について分析するために,頻度に関する回答を1ヶ月に利用している日数として量的
変数に変換し t 検定を用いて検定を行ったところ,その差について有意な結果が示された
[t(127)=-3.211,p<0.01).この結果,男女で携帯電話の利用頻度の差について,女子の方が
より携帯電話での通話を行っている傾向が強いということが示された.
15
表 3.1.1 携帯電話での通話利用頻度
ほぼ毎日
性別
男子
女子
合計
人数
%
人数
%
人数
%
13
25.0%
38
49.4%
51
39.5%
携帯電話での通話利用頻度
2∼3日に
1週間に1
1ヶ月に1
1回くらい
回くらい
回くらい
15
11
4
28.8%
21.2%
7.7%
20
12
4
26.0%
15.6%
5.2%
35
23
8
27.1%
17.8%
6.2%
ほとんど
使わない
9
17.3%
3
3.9%
12
9.3%
合計
52
100.0%
77
100.0%
129
100.0%
(カイ 2 乗検定,χ 検定値=11.604,p<0.05)
2
これらの結果から,携帯電話の利用状況について通話機能のみを比較した場合,これま
で数々の研究によって示されているように,固定電話が主だった時代からパーソナル・メ
ディアである携帯電話が普及した現在においても,男性よりも女性の方が電話をよく利用
する傾向にあるという男女別の電話利用の差に当てはまった.また,今回の調査の中では,
携帯電話の機能別の利用状況についても質問を行っており(付録 質問紙問15),詳細は後述
するが,その結果についてもやはり同様の傾向が見ることができた.
また,通話の利用頻度に関する質問と同様に携帯電話でのコミュニケーションを計るう
えで現在では重要な機能の一つとなっている携帯電話のメールの利用状況についても質問
を行った(付録 質問紙問 16).なお,この質問では,一日の平均メール送信数についてショ
ートメール,e-メールの両方を含んだ数を尋ねている.表 3.1.2 は,その質問に関する回答
を男女と全体で分けて集計した結果である.表 3.1.2 で示されているように,
「4∼10 通」
が最も多く,また,約 94%の人が毎日メールの送信を行っているという結果となった.ま
た,男女別の結果を見てみると,
「21 通以上」との回答では男子 15.4%,女子 23.4%と女子
の方が若干高くなっているが.全体的にはそれほど大きな違いは見られなかった.
表 3.1.2
携帯電話での1日のメール平均送信数
携帯電話での1日のメール平均送信数
1∼3通
4∼10通 11∼20通 21通以上
6
12
16
10
8
11.5%
23.1%
30.8%
19.2%
15.4%
2
14
29
14
18
2.6%
18.2%
37.7%
18.2%
23.4%
8
26
45
24
26
6.2%
20.2%
34.9%
18.6%
20.2%
0通
性別
男子
女子
合計
人数
%
人数
%
人数
%
合計
52
100.0%
77
100.0%
129
100.0%
(カイ 2 乗検定,χ 検定値=5.795,p=0.215)
2
16
また,ここでも性別の違いとメール送信頻度について統計的に分析を行うため,上記の
通話頻度に関する分析と同様に,t 検定によりその関連性について検定を行ったが,メール
送信数に関して男女間での有意な差は認められなかった{t(127)=-1.484,p=0.140}.
ここで,男女別での携帯電話でのコミュニケーションに対する意識の違いについて,
「携
帯電話・PHS はまわりとのコミュニケーションを円滑にするために必要である」(付録 質
問紙問 22(27))の結果についても触れておく.この質問の回答に対し,男女の差についてカ
イ 2 乗検定を用いて分析を行ったが,有意な結果は得られなかった(表 3.4.1 参照).よって
携帯電話がコミュニケーションのための道具であるとの考えは男女間での意識の差はほと
んどなく,また,全体の 87.6%とほとんどの人がそう思っているという結果を得ることが
できた.
第四として,携帯電話の通話頻度に関する分析中で携帯電話端末の機能に対する利用状
況について後述すると述べたが,ここで,それらの性別による利用状況の違いについて分
析を行った結果を解説する.まず,この分析を簡略化するために機能別利用頻度に関する
質問(付録 質問紙問 15)への回答を,
「1.よく利用している」を「その機能の利用頻度が高
い」人と,「2.ついているがほとんど使わない」,「3.使ったことがない」を「その機能の利
用頻度が低い」人とに利用頻度別で 2 つに分類し,男女での差についてクロス表を作成し
カイ 2 乗検定を用いて分析を行った(表 3.1.3).また,
「4.機能がついていない」
「5.わからな
い」との回答については今回の利用頻度との分析では特に関連しないため欠損値として扱
った.なお,利用者のいなかった,GPS 機能についてはこの表では除外してある.
表 3.1.3
携帯電話の各機能の利用頻度が高い人の男女別割合
利用頻度が高い人の割合(%)
男子
女子
χ2 検定値
有意確率
通話機能*
48.1
68.4
5.33
0.021
-0.401
携帯電話会社の独自メール
31.8
46.3
2.30
0.129
-0.297
e-メール*
82.4
95.9
6.43
0.011
-0.671
カメラ***
34.9
82.5
23.54
0.000
-0.795
ムービー再生
29.0
39.5
0.82
0.365
-0.229
音楽再生
70.0
78.5
0.95
0.329
-0.219
ウェブサイトの閲覧
50.0
60.6
1.33
0.249
-0.211
スケジュール管理機能
46.9
54.2
0.61
0.435
-0.144
Java(ゲームなど)
53.3
46.9
0.44
0.507
0.129
ガンマ値
(カイ 2 乗検定, ***:p<0.001,**:p<0.01,*:p<0.05)
17
この分析の結果,性別と利用頻度について有意水準を満たし関連が見られた機能として,
通話機能,e-メール,カメラ機能の 3 つが示された.これらの機能について,いずれも男子
よりも女子の方がよく利用している人の割合が高く,この分析結果においても前に述べた
ように,女子の方がより携帯電話の通話機能について利用頻度が高い傾向が見られた.な
お,有意差が見られた e-メール機能と関連してショートメールについて,今回の調査では
同様の傾向は見られたものの有意差は示されなかった.この原因として,ショートメール
は各携帯電話会社によって独自のメールサービスとして行われているが,今回はその個別
の名称を質問中に入れずに,e-メールとの違いを表すために「携帯電話会社の独自メール」
としてまとめて記述してしまったため,内容がよく伝わらなかった可能性も考えられる.
また,カメラ機能についても女子の方がより利用しているという結果が現れたが,この
結果を裏付けるであろう質問「携帯電話・PHS で画像や動画のやり取りをよくしている」(付
録 質問紙問 22(21))での男女別の回答結果について分析した結果にも触れておく(表 3.4.1
参照).この質問に関してカイ 2 乗検定を行ったところ男女の差について有意な値を得るこ
とができた(χ 検定値=7.572,p<0.01).つまり,女子の方が携帯電話で友人などと互いに
2
画像や動画などのやり取りを行っているとの結果であり,そのためカメラ機能を利用する
頻度も高いと推測できる.以上の結果から,男子よりも女子の方が携帯電話でのコミュニ
ケーション方法である通話機能や e-メールを利用する傾向が高く,また,カメラ機能も一
種のコミュニケーション方法の一つとして女子の方がより利用していることが検証された.
最後に,携帯電話の利用とアルバイトやボランティア活動など学校以外での活動との関
連についての分析結果を示す.最初に携帯電話の所有とアルバイトやボランティアなど学
外活動の有無(付録 質問紙問 26)の関連について分析を行った.また,アルバイトなどの学
外活動を現在行っている人は 98 人(N=127)であった.分析方法としてクロス表を作成し,
カイ 2 乗検定を用いて検証している.その結果,有意確率 0.218 と有意な値は得られなか
った(χ 検定値=1.519).次に,携帯電話の毎月の利用金額との関連について t 検定を使用
2
して分析を行ったが,平均値の差が 1462.0 円との結果が示されたものの,その差との関連
について有意確率 0.089 と有意水準を満たさなかった{t(114)=1.713}.しかし,今回の調査
では有意な値ではなかったが,学外での活動をしている人の方が携帯電話の平均利用料金
に関して高いという傾向が見られた.また,通話頻度,メール送信数との関連についても t
検定を用いて分析を行ったところ,通話頻度に関しては有意な差は現れなかったが,メー
ルの送信数については,アルバイトなど学外での活動の有無による有意な差が認められた
{t(127)=2.026,p<0.05}.よって,学外での活動を現在している人の方がメールのやり取り
を行っている頻度が高い傾向にあるということができる.最後に,携帯電話の買い替え回
数との関連について t 検定による分析を行ったが,p=0.207 と有意な差を得ることはできな
かった.よって,今回の調査結果では,携帯電話の利用や買い替え行動には,アルバイト
など学外での活動の有無とは特に関連が見られなかった.よって,今回の研究での「学外
でも活動を行っている人は交友範囲の広さから携帯電話の利用頻度が高く,買い替え頻度
18
も高い」との仮説に関して,平均利用料金やメール送信数など利用頻度についてはその傾
向が見られたが,棄却された.この理由として,学外での活動を行っている人が 98 人
(N=127)とかなり多かったため,大きな差が現れなかったことが挙げられる.
3 .2
社会心理傾向と携帯電話の利用
この節では,携帯電話の所有者の社会心理傾向について検証する.まず,携帯電話・PHS
の所有(付録 質問紙問 6)と社会心理傾向との関連を t 検定によって分析を行った(表 3.2.1).
この結果について表 3.2.1 に示したように,集団同調志向,流行関心度,個性化志向,イノ
ベーター度の 4 つについて所有率に関して有意な差が見られた.つまり,携帯電話を所有
している人は,集団同調性が強く,流行に関心があり,個性を重視し,イノベーター度が
強いという傾向が見られるという結果となった.これらは,橋元ら(2000)の調査における「携
帯電話・PHS の利用者ほど友人と腹をわったつきあいをし,外交的,自己開示的で自己表
出性が大きく,流行に敏感」という携帯電話・PHS の利用者の傾向に当てはまっている.
また,岡田ら(2000)による調査では「携帯電話の利用者はより社交性やイノベーター度が高
い」という利用者の傾向を示していたが,今回の調査結果でも,イノベーター度に関して,
携帯電話の所有と関連性があることが示された.また,携帯電話の所有と社交性の関連か
ら個人志向に関して負の関連が見られるのではないかと予想していたが,今回の調査では
確かに平均値の差はマイナスとなっておりその傾向は見られたものの有意差は示さなかっ
た.これは今回の調査で携帯電話を所有していない人の数が 4 人と少なかったため,所有
している人との差がはっきりと現れなかったことが考えられる.
表 3.2.1 携帯電話の所有と社会心理傾向との関連
集団同調志向***
流行関心度***
個性化志向*
情報探索欲求
イノベーター度**
個人志向
t値
4.373
9.184
2.447
-2.447
2.666
-0.768
注)流行関心度のみ等分散性を仮定していない
自由度
有意確率
平均値の差
131
0.000
2.90
5.13
0.000
2.63
132
0.016
1.90
132
0.801
-0.17
131
0.009
2.07
131
0.444
-0.58
(t検定,***:p<0.001,**:p<0.01,*:p<0.05)
次に,携帯電話の毎月の平均利用金額(付録 質問紙問 9)と各社会心理傾向との関連性につ
いて分析するため,それらの相関係数を求めた.その結果が表 3.2.2 である.表 3.2.2 に示
されているように,流行関心度と個人志向の 2 つの尺度に関して有意な値を得ることがで
19
きた.まず,流行関心度でのデータについて見ると相関係数が 0.234(p<0.05)という結果と
なった.つまり,毎月の平均利用金額と流行関心度との間には正の相関が示されたという
ことであり,一般的に考えると利用者の流行に対する関心が高いほど携帯電話をよく利用
している傾向が強いと考えることができるであろう.また,逆に個人志向と平均利用金額
の結果では相関係数が−0.286 と負の相関が示されている(p<0.01).この結果についても流
行関心度と同様に考えると,個人志向が強い人ほど携帯電話を利用しないという傾向にあ
ると考えられる.
表 3.2.2
携帯電話の毎月の平均利用料金と社会心理傾向との相関
相関係数
有意確率 意味
0.008
0.930
0.234
0.011
高いほど利用料金が多い
0.166
0.073
-0.132
0.158
0.103
0.273
-0.286
0.002
高いほど利用料金は少ない
(相関係数による分析,**:p<0.01,*:p<0.05)
集団同調志向
流行関心度*
個性化志向
情報探索志向
イノベーター度
個人志向**
また,平均利用金額と関連して,携帯電話での通話利用頻度(付録 質問紙問 8)と一日の平
均メール送信数(付録 質問紙問 16)に関しても各社会心理傾向との関連性についても分析を
行った.その結果をそれぞれ表 3.2.3,表 3.2.4 に示す.なお,これら 2 つの質問に関して,
質問紙では頻度について尋ねているが,今回の分析ではそれぞれ 1 ヶ月の利用日数,一日
のメール送信数に置き換え,量的変数として扱い相関係数を求めている.
表 3.2.3
集団同調志向
流行関心度***
個性化志向*
情報探索志向
イノベーター度
個人志向**
携帯電話の通話利用頻度と社会心理傾向の相関
相関係数
0.041
0.320
0.174
-0.100
0.115
-0.268
有意確率
意味
0.647
0.000
流行に関心が強い人ほどよく通話を行っている
0.048
個性を重視する人ほどよく通話を行っている
0.256
0.195
0.002
個人を重視する人ほど通話頻度は低い
(相関係数による分析,***:p<0.001,**:p<0.01,*:p<0.05)
20
まず,通話頻度と各社会心理傾向との関連を見てみると,流行関心度と個性化志向,個
人志向の 3 つの尺度に関して有意な差を得ることができた.その中で流行関心度との相関
係数が 0.320 と強い関連があり,個性化志向も相関係数 0.174 と正の相関関係にあること
が示されている.また,逆に個人志向については相関係数が−0.268 と負の相関を示すとい
う結果となっている.これらをまとめると,携帯電話で通話をより高い頻度で利用する人
には,流行に関心が強く個性化志向が高い人が多いという傾向が見られ,個人志向の強い
人はあまり通話を行わないという結果であった.
表 3.2.4
集団同調志向
流行関心度
個性化志向
情報探索志向
イノベーター度*
個人志向*
携帯電話での一日のメール送信数と社会心理傾向の相関
相関係数
0.172
0.157
0.078
-0.067
0.214
-0.216
有意確率 意味
0.052
0.074
0.380
0.446
0.015
イノベーター度が高いほどメール送信数が多い
0.014
個人志向が強いほどメール送信数は少ない
(相関係数による分析,*:p<0.05)
表 3.2.4 に示されているように,一日のメール送信数との関連を見ると,イノベーター度
と個人志向の 2 つの社会心理尺度に関して有意な値が得られたが,それ以外の尺度につい
ては有意な値を示さなかった.まず,イノベーター度とメール送信数の関連については相
関係数 0.214 と正の弱い相関関係を,また,個人志向との関連では負の相関関係(相関係数
−0.216,p<0.05)を示していることがわかる.その他,今回の調査結果では有意な値として
は得ることができなかったが,集団同調志向,流行関心度の 2 項目においても正の方向に
関連しているという傾向が見られた.上記の結果から,メールの送信数,つまりメールの
利用頻度については,イノベーター度が高い人がより高く,個人志向が強い人はそれほど
利用しない傾向があることが示された.また,集団同調志向や流行関心度が高い人につい
て送信数が多いという傾向が見られた.
ここで,このメール利用回数と通話利用頻度とを比較して考えてみると,通話頻度では
流行に関心の強い人がより利用する傾向が高く,また,その相関も強かったという結果で
あったのに対し,メールの送信数についての質問では,イノベーター度が関連していたも
のの,それほど強い相関関係を持つ社会心理尺度は見られなかった.その結果について,
現在ではメール機能の利用がより一般的となっており,ほとんどの人が友人などとのコミ
ュニケーションのために通話機能よりも気軽に連絡を取ることができるメール機能を利用
しており,そのためにメールの送信数に関して一部の利用数が高い人を除いては,それほ
ど差が見られなくなっているためであると推測される.また,個人志向については,通話
頻度,メール送信数いずれの場合にも負の相関関係を示していた.これは,携帯電話の所
21
有が社交性と関係していることからも推測できる.
最後に,この節での結果をまとめてみることにする.まず,携帯電話を所有している人
は,所有していない人に比べ集団同調性,流行関心度やイノベーター度が強く,その中で
も流行関心度が高い人は毎月の利用料金,通話頻度との関連からより高い頻度で携帯電話
を利用しているヘビーユーザーが多いと言える.また,通話機能利用頻度は,流行への関
心と強く影響しており,メール送信数については,社会心理傾向との関連での差はあまり
見られず,気軽なコミュニケーション方法としてほとんどの人がよく利用していることが
予想される.それに対し個人志向の強い人は携帯電話そのものをそれほど利用していない,
との結果を得ることができた.
3 .3
買い替え行動と利用者の傾向
この節では,携帯電話の買い替え行動とその傾向に関して分析と考察を行う.前節で携
帯電話の所有者の傾向として集団同調性が高く流行に関心の強い人が多いとの結果を示し
たが,それに関連して,この節では特に携帯電話の買い替え回数や頻度と社会心理傾向と
の関連に着目し,買い替え行動に関して検証を行う.
まず,これまでの携帯電話を今までに買い替えた回数(付録 質問紙問 19)について男女で
の差を見るために t 検定を用いて分析を行った.その結果,平均買い替え回数は,男子 2.80
回(n=51),女子 2.93(n=76)であり,全体で 2.88 回という結果であった.また,男女間で特
に差は見られず,その差についても有意な値は得られなかった{t(127)=−0.647,p=0.519).
つまり,今回の調査では男女での携帯電話の買い替え経験の差はないという結果であった.
次に,上記の質問と回答者の各社会心理傾向との関連について相関係数により分析を行
った.その結果を表 3.3.1 に示す.
表 3.3 1
集団同調志向
流行関心度**
個性化志向
情報探索欲求
イノベーター度**
個人志向
携帯電話の買い替え回数と社会心理傾向
相関係数 有意確率 意味
-0.144
0.105
0.240
0.006
流行に関心があるほど買い替えた経験が多い
0.069
0.441
0.063
0.482
0.276
0.002
イノベーター度が強いほど買い替えた経験が多い
-0.143
0.112
(相関係数による分析,**:p<0.01)
22
この結果について検証してみると,表 3.3.1 に示されているように,流行関心度とイノベ
ーター度の 2 つの尺度に関して,携帯電話の買い替え回数との間に有意な相関関係が見ら
れた.よって,携帯電話の買い替えは,流行に関心が強い人やイノベーター度が高い人が
より多く行っていると言える.また,今回の調査では有意な値としては認められなかった
が,集団同調志向と個人志向に関して買い替え回数に対して負の相関,つまりそれらの尺
度が強いほど買い替え回数は少ないという傾向が見られた.
次に,上の結果に関連して携帯電話端末一台あたりの平均利用期間と各社会心理傾向と
の関連性についても分析を行った(表 3.3.2.1).この分析を行うために,現在の携帯電話を購
入した年月(付録
質問表問 17)と最初に携帯電話を購入した年月(付録
質問表問 18)との
差を,これまでの買い替え回数から現在の物の分を引いて作成したその期間内で利用して
いた携帯電話の台数で割った値を平均利用期間とした.そのため今までに携帯電話を買い
替えた経験のない人(8 名)や月まではっきりと覚えていない人(7 名)についてはこの方法で
は分析に加えることができない.そのため,データを補正した結果も参考として表 3.3.2.2
に示しておく.データの補正内容は,1.買い替え経験がない人については購入時から 2003
年 12 月現在までの期間を利用期間とした.2.購入した月を覚えていない人は年月の中間を
取って 6 月に買い替えたと仮定した,の 2 つである.
表 3.3 2.1
集団同調志向
流行関心度*
個性化志向
情報探索志向
イノベーター度**
個人志向
表 3.3 2.2
集団同調志向
流行関心度*
個性化志向*
情報探索志向*
イノベーター度
個人志向
携帯電話端末の平均利用期間と社会心理傾向との相関
相関係数 有意確率
意味
0.015
0.878
-0.206
0.030
流行に関心が強いほど短い期間で買い替える
-0.174
0.068
-0.164
0.085
-0.250
0.008
情報探索欲求が強いほど短い期間で買い替える
-0.066
0.497
(相関係数による分析,**:p<0.01,*:p<0.05)
携帯電話端末の平均利用期間(データ加工後)と社会心理傾向との相関
相関係数 有意確率
意味
-0.032
0.719
-0.196
0.026
流行に関心が強いほど短い期間で買い替える
-0.198
0.025
個性を重視する傾向が強いほど短い期間で買い替え
-0.180
0.042
情報探索志向が高いほど短い期間で買い替える
-0.158
0.075
0.094
0.293
(相関係数による分析,*:p<0.05)
23
まず,表 3.3.2.1 を見てみると,流行関心度とイノベーター度の 2 つの尺度で有意であり,
相関があるとの結果が得られた.これは,流行に関心があり,イノベーター度が強い人は
次の携帯電話への買い替えをより短い期間で行う傾向があるということを示している.こ
れは,携帯電話の買い替え回数との関連と同様の傾向を示していることからも納得できる.
また,表 3.3.2.1 で用いた分析方法では,有意な結果は得ることができなかったが,個性化
志向と情報探索志向についてもそのような傾向を持つことが読み取れる.これは,データ
を加工して分析を行った表 3.3.2.2 の結果では,流行関心度の他に,個性化志向とイノベー
ター度の 2 つの尺度でも有意であるとの結果が得られたことからその関連性についても認
められるだろう.しかし.逆にイノベーター度に関しては表 3.3.2.2 に示してあるように加
工した平均利用期間での結果では有意水準を満たさなかった.
また,この平均利用期間に関しても男女差を見るため t 検定による分析も行ったが,デー
タの加工の有無にかかわらずその差については有意な値は認められなかった.よって,男
女間で携帯電話端末の利用期間の違いはほとんどないということが認められた.
上記の結果から,携帯電話の買い替え行動には,特に男女間で違いはなく,流行関心度
とイノベーター度の強い人がより高い頻度でそれを行う傾向にあることが示された.また,
平均利用期間に関する分析での個性を重視する傾向でもそれほど強くはないが買い替え頻
度に関連が認められるという結果もあわせ,携帯電話の買い替え行動を積極的に採る人の
傾向について結論づけることができる.よって,
「流行に関心が強くイノベーター的な性格
を持ち,社交的ではあるが集団内でも個性を重視する人が積極的に買い替え行動を行う」
という今回の仮説にほぼ当てはまる結果を得ることができたといえる.また,
「個人志向が
強い人は携帯電話の買い替えをあまり行わない」という仮説に関してもほぼ立証できたと
言えるであろう.
次に,携帯電話の買い替え行動は流行への関心の強い人やイノベーター的傾向を持つ人
が積極的に行い,集団同調性が高い人がそれに追従する形を採るという買い替えの連鎖に
よって買い替えが進んでいくとの仮説を検証するため,表 3.3.2.1 で扱った携帯電話端末一
台の平均利用期間のデータを,1 年ごとに集計し,買い替え期間が 1 年以内の買い替え頻度
が高いと考えられる人と,その他の期間に属する人についてカテゴリー化し,集団同調志
向の強さの差を分散分析によって比較することで検証を行った.つまり,携帯電話の買い
替え期間について,ちょうど平均値あたりに集団同調志向の強い人が集中しており,1 年以
内に買い替える人についてはそれほど強い傾向は現れないであろうとの考えから分析を行
ったが,それについて有意な値は得られず,また,それぞれの買い替え期間に属する人の
間にもほとんど差が見られなかった(表 3.3.3).
24
表 3.3.3
年ごとの買い替え期間による利用者のカテゴリーと集団同調志向の平均
a,b
Duncan
携帯端末の平
均利用期間
2年∼3年
1年以内
1年∼2年
3年以上
有意確率
α= .05 のサブグルー
プ
1
度数
15
37
52
6
4.40
4.41
4.44
4.67
.609
等質なサブグループのグループ平均値が表示されています。
a. 調和平均サンプルサイズ = 14.307 を使用
b. グループ サイズが等しくありません。グループ サイズの調和平
均が使用されます。タイプ I 誤差水準は保証されません。
表 3.3.3 に示されているように,年毎のカテゴリーでは,度数が偏っているため,この他
にカテゴリーの度数調整をした分析も行ったが,平均に近い買い替え期間に属している人
が,買い替え期間の短い人よりも集団同調志向が強いという有意な関連は示されなかった.
よって,今回の「集団同調性の強い人は,積極的に買い替えを行う人に追従して買い替え
行動を採る」という仮説は棄却された.また,他の社会心理傾向に関する分析結果につい
て触れておくと,有意水準は満たさなかったものの,流行関心度,イノベーター度,個性
化志向,情報探索志向では利用期間のカテゴリーに関して期間が短いカテゴリーに属する
人ほど強くなる傾向を示し,逆に個人志向に関しては利用期間が長いカテゴリーに属する
人ほど高いという傾向が見られた.これらに関しては,携帯電話の買い替え回数との関連
と同様の傾向を示している.
ここで,以上のような結果となった原因を考えてみると,まず調査対象が高校生である
ということから,それほど頻繁に買い替えを行う人が少なかったことがまず考えられる.
また,分析において,購入時期を正確に覚えていない人や携帯電話の買い替えを 1 度も行
っていない人が多かったことにより,正確な利用期間の算出が困難であったことや現在使
用している携帯電話の利用期間を分析に加えることができなかったことが挙げられる.今
回の調査ではこの買い替えの連鎖に集団同調志向が関連するという仮説は棄却されたが,
この点を踏まえ今後,より正確なデータを基に分析を行う必要があるだろう.
25
3.4
携帯電話に対する意識と買い替え行動
この節では,携帯電話の買い替えを行う際に利用者がどのような意識を持って新しい携
帯端末の選択を行うかについて検証する.そこで,まず携帯電話の機種を選択する際に重
視することについて尋ねた質問(付録 質問紙問 21)の結果を図 3.4.1 に示した.なお,この
質問では複数回答を許可して回答をしてもらった.図 3.4.1 を見てもわかるように,本体の
デザインを重視している人が最も多く,続いて本体価格,本体の色という結果であった.
また,端末の機能別に見ると液晶画面やカメラなど,新しい機能を重視するという回答が
多かった.
女子
男子
全体
本体のデザイン
本体の価格
本体の色
液晶画面の大きさ・画質
カメラ機能・性能
大きさ・重量
データ保存容量
音楽機能・音質
メール機能・性能
その機種特有の(に初めて搭載された)機能
データ通信速度
連続待受け・通話時間
通話品質
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90% 100%
図3.4.1 携帯電話端末の選択時に重視すること(質問表問21)
図 3.4.1 の結果について,男女別の回答を比較してみると,女子の方が男子に比べ,
「本
体のデザイン」,
「本体の色」と携帯電話端末の外観を重視する人が多く,
「本体のデザイン」
と回答した人は女子全体の 90%を超えるという結果であった.また,男子の方が高かった
項目として,それほど差はなかったが「大きさ・重量」,「データ通信速度」など実用性に
関連する項目を重視する人が多いという傾向が見られた.ここで,女子の方が特に携帯電
話の外観を重視するという結果について考察を行ってみる.今回の研究で,携帯電話とフ
ァッションの関連について,
「携帯電話に個性やファッション性を意識する人は,女性の方
がその傾向が強く,携帯電話端末の選択にデザインや色など人の目につきやすい外観を重
26
視する」との仮説に関して,この結果から女子の方がよりデザインや色などを重視してい
る傾向は示された.次に,女性の方が携帯電話に対し個性やファッション性を意識する傾
向が強いということを検証するため,携帯電話に対する考えや利用状況についての質問(付
録 質問紙問 22)に関しての,男女での差についてカイ 2 乗検定によって分析を行った.そ
の結果を表 3.4.1 に示した(次ページ参照).
表 3.4.1 に示したように,男女の差について有意な値が得られた質問は,
「ストラップを
自分の気にいったものに変えている」,「プリクラやシールを貼っている」,「画像や動画の
やり取りをよくしている」,「まわりには同じ携帯電話会社の携帯電話を持っている人が多
い」,
「携帯電話の機能は今出ているもので十分だと思う」であり,いずれも女子の方が「は
い」と答える割合が多いという傾向を示した.この結果について,まず,ストラップを気
に入ったものに変えたり,プリクラやシールを貼ったりすることについては,第 1 章で橋
元ら(2000)の「女性の方が携帯端末を個別化したがる傾向が見られる」とその理由について
指摘していることについて触れたが,今回の調査においても当てはまることが示された.
しかし,今回の調査では,
「携帯電話にも個性を出したいと思う」(付録 問 22(9)),
「携帯電
話もファッションの一部である」(付録 問 22(10))の質問に関して女子の方が「はい」と答
える割合が多かったものの,男女での差について有意水準を満たさなかった.よって,仮
説中での「女性の方が,携帯電話に個性やファッション性を意識する傾向がある」は,そ
の傾向は見られたものの棄却された.
また,その他の質問に関しても考察してみると,まず,携帯電話に関して,多機能な方
がよいと回答した人が 90%近くとほとんどの人がそう考えていることがわかる.しかし,
その反面,
「携帯電話の機能は今出ているもので十分だと思う(71.3%)」,
「必要な機能以外は
いらない(49.6%)」と考えている人も多い.このことから,現在発売されている携帯電話で
ほぼ機能は十分であり,今後,より多機能化が進んでもそれほど関心を得られない可能性
が考えられる.また,
「新しい機能は使ってみたい」という質問に関して「はい」と回答し
た人が 87.6%と多かったが,これは,平均利用期間が約 18 ヶ月と,新しい機種を所有して
いる人がそれほどいなかったことも関連しているだろう.これについて,
「現在のものが壊
れるまで使うつもりだ」と回答した人が 60%を超えていることから,最新機種の機能に魅
力はあるが,特に必要性は感じておらず,現在のもので十分だと考えている人が多いと推
測できる.
27
表 3.4.1 付録 質問紙問 22 に対する回答の男女別比較
「はい」と回答した人の割合(%)
男子(n=52)
女子(n=77) 全体(n=129)
χ2 値
有意水準
多機能な方が良い
90.4
89.6
89.9
0.021
0.886
デザインは派手な物の方が好みだ
19.2
15.8
17.2
0.257
0.612
本体の色は明るい方が良い
50.0
57.1
54.3
0.638
0.424
着信音を定期的に変えている
53.8
64.9
60.5
1.597
0.206
待受け画面を変えている
69.2
81.8
76.7
2.755
0.097
ストラップを気に入ったものに変えている**
46.2
72.7
62.0
9.304
0.002
プリクラやシールを貼っている***
21.2
54.5
41.1
14.298
0.000
新しい機能は使ってみたい
84.6
89.6
87.6
0.713
0.399
携帯電話もファッションの一部であると思う
38.5
51.9
46.5
2.269
0.132
携帯電話にも自分なりの個性を出したい
48.1
63.6
57.4
3.072
0.080
古い携帯電話を持っているのは恥ずかしい
26.9
35.1
31.8
0.949
0.330
新しい携帯電話は周りに自慢できる
42.3
46.8
45.0
0.248
0.619
32.7
35.1
34.1
0.078
0.780
古くなったと感じたら機種を買い替えると思う
44.2
49.4
47.3
0.326
0.568
現在の機能に物足りなくなったら買い替えると思う
51.9
55.8
54.3
0.192
0.661
今の物に飽きたら買い替えると思う
53.8
46.2
57.4
0.441
0.507
新機種の価格が下がったら買い替えると思う
59.6
58.4
58.9
0.018
0.894
現在の物が壊れるまで使うつもりだ
65.4
57.1
60.5
0.882
0.348
友達との連絡は自分の方からすることが多い
42.3
33.8
37.2
0.969
0.325
携帯電話に登録してあるアドレス件数は多いほうだ
23.5
35.1
30.4
1.922
0.166
携帯電話で画像や動画のやり取りをよくしている**
26.9
51.3
41.4
7.572
0.006
最新機種の情報はよくチェックしている
30.8
32.5
31.8
0.041
0.839
51.9
69.7
62.5
4.18
0.041
今所有している携帯電話は新しい方だ
25.0
40.8
34.4
3.412
0.065
携帯電話の機能は今出ているもので十分だと思う*
61.5
77.9
71.3
4.073
0.044
必要な機能以外はいらない
44.2
53.2
49.6
1.009
0.315
84.6
89.6
87.6
0.713
0.399
使いたい機能が搭載された機種が出たら買い替える
と思う
まわりには同じ携帯電話会社の携帯電話を持ってい
る人が多い*
携帯電話はまわりとのコミュニケーションを円滑に
するために必要である
(カイ2乗検定,***:p<0.001,**:p<0.01,*:p<0.05)
28
ここで,携帯電話にも自分の個性を出したいと考えている人とそうでない人との違いに
ついて分析するため,他の問 22 の質問との関連をカイ 2 乗検定により関連を調べた.また,
その結果に関して表 3.4.2 に示した(次ページ参照).
表 3.4.2 に示しているように,携帯電話にも自分の個性を出したいとして考えていること
は,「携帯電話もファッションの一部である」という質問と強い関連があることがわかる.
この結果で注目されるのは,
「古い携帯電話を持っているのは恥ずかしい」,
「新しい携帯電
話はまわりに自慢できる」などの質問に対し「はい」と答えている人の中で,携帯電話に
個性を出したいとの考えを持っている人の割合が高いことから,携帯電話に対して個性を
求める人は新しい携帯電話に対してある種のステータスのような感じを持っていると予想
される.つまり,携帯電話にも個性と出したいと考えている人にとって,古い携帯電話を
持っているのはカッコ悪く,新しい携帯電話を持っている方が周りから一歩先を進んでい
る,まわりとは違うというような考えを持っていると推測される.
また,
「使いたい機能が搭載された機種が出たら買い替える」,
「現在の機能に物足りなく
なったら買い替えると思う」という買い替えに関する質問でも有意差が示されており,携
帯電話に個性を出したいと考えている人の方が「はい」と回答している割合が高かった.
また,今回の調査では有意水準を満たさなかったものの,
「最近機種の情報はよくチェック
している」など,その他の携帯電話の買い替えに関する質問においても,その考えをもっ
ている人の方が「はい」と回答する割合が高く,買い替えに積極的であるという傾向が見
られた.これに関して,携帯電話に個性を出したい人とそうでない人に関して買い替え回
数,携帯電話端末 1 台あたりの平均利用期間について t 検定を用いてその差について分析を
行ったが,有意な差は示されなかった.この結果は,今回の調査対象が高校生ということ
もあり,買い替えに対する意欲の強さが,金銭的な問題などにより,数字としては現れな
かったと推測される.これは,
「今所有している携帯電話はまわりと比べて新しい方だ」の
回答について差が見られなかったことからも,買い替え意欲は高いが,今は特に新しい携
帯電話は持っていないとの推測ができる.
よって,以上の分析の結果から,今回の仮説の一つである「携帯電話にも個性やファッ
ション性を意識する人は,新しい携帯電話を求める意欲が強く,また,その意識は女性の
方が強い」に関してほぼ示されたと言えるであろう.しかし,主に女性がその傾向が強い
との仮説については,今回の調査ではその傾向は見られたものの男女で有意な差は示され
なかったため棄却された.なお,ここでの分析結果は「携帯電話にも個性を出したい」で
の回答と携帯電話に対する質問(付録 質問紙の問 22)の回答との結果のみ示しているが,
「携
帯電話もファッションの一部だと思う」の回答との関連についてもほぼ同様の結果が示さ
れた.
29
表 3.4.2 携帯電話に個性を出したいと考えている人とその志向
携帯電話に個性を出したいと
考えている人の割合(%)
はい
いいえ
有意確率
ガンマ値
多機能な方がよい
56.8
69.2
0.388
-0.263
デザインは派手な物の方が好みだ
69.6
55.6
0.216
0.293
本体の色は明るい方がよい
57.7
59.0
0.512
-0.026
着信音は定期的に変更している*
65.8
47.2
0.033
0.386
待受け画面を変えている
61.4
48.4
0.199
0.207
ストラップを自分の気に入ったものに変えている
63.9
49.0
0.094
0.296
プリクラやシールを貼っている
63.0
55.1
0.369
0.161
新しい機能は使ってみたい
60.0
47.1
0.312
0.256
携帯電話もファッションの一部だと思う***
75.0
44.4
0.000
0.579
古い携帯電話を持っているのは恥ずかしい*
70.7
52.7
0.050
0.368
新しい携帯電話はまわりに自慢できる**
71.7
47.2
0.005
0.477
使いたい機能が搭載された機種が出たら買い替える**
76.1
48.8
0.002
0.538
古くなったと感じたら機種を買い替えると思う
64.5
52.9
0.175
0.237
現在の機能に物足りなくなったら買い替えると思う**
69.0
45.9
0.007
0.448
今の物に飽きたら買い替えると思う
63.5
51.7
0.173
0.238
新機種の価格が下がったら買い替えると思う**
68.4
43.4
0.004
0.142
53.8
65.4
0.185
-0.238
友達との連絡は自分の方からすることが多い
56.9
59.3
0.786
-0.049
携帯電話に登録しているアドレス件数は多い方だ
59.0
56.2
0.769
0.057
携帯電話で画像や動画のやり取りをよくしている
67.9
51.3
0.058
0.336
最新機種の情報はよくチェックしている
69.0
53.3
0.088
0.332
56.3
60.8
0.608
-0.093
今所有している携帯電話はまわりと比べて新しい方だ
60.9
57.6
0.721
0.067
携帯電話・PHS の機能は今出ているもので十分だと思う
54.3
67.6
0.165
-0.274
必要な機能以外いらない**
49.2
66.7
0.043
-0.347
59.1
50.0
0.488
0.183
バッテリーの寿命など現在のものが壊れるまで使う
つもりだ
まわりには同じ携帯電話会社の携帯電話を持っている
人が多い
携帯電話は周りとのコミュニケーションを円滑にする
ために必要である
(カイ 2 乗検定,***:p<0.001,**:p<0.01,*:p<0.05)
30
また,携帯電話に個性を出したいと考えている人と考えていない人との社会心理傾向の
差についても分析を行った.なお,分析は携帯電話の個別化に対する意識の有無(付録 問
22(9))に関する質問の回答と社会心理傾向との関連について t 検定を用いて有意差を検定し
た(表 3.4.3).
表 3.4.3
携帯電話に個性を出したいと考えている人とそうでない人の社会心理傾向の差
t値
自由度
有意確率
平均値の差
集団同調志向*
2.534
86.03
0.013
0.61
流行関心度**
3.154
127
0.002
0.86
個性化志向**
2.880
128
0.002
0.76
情報探索志向***
3.829
128
0.000
0.86
イノベーター度
1.609
127
0.110
0.44
個人志向
-0.528
127
0.599
-0.14
注)集団同調志向のみ等分散を仮定していない (t検定,***:p<0.001,**:p<0.01,*:p<0.05)
この結果,集団同調志向,流行関心度,個性化志向,情報探索志向の 4 つの尺度に関し
て有意差が見られ,携帯電話に個性を出したいと考えている人の方が高いという傾向が示
された.これらについては,前述の社会心理傾向と携帯電話の買い替え期間との関連を分
析した結果での買い替えまでの期間が短い人との傾向と似た結果となっている.よって,
この結果から携帯電話に個性を出したいと考えている人が新しい携帯電話を求める傾向が
強く,携帯電話の買い替え意欲が強いことを裏付けることができるだろう.また,イノベ
ーター度に関しても,有意水準は満たさなかったものの個性を出したいと考えている人の
方が高い傾向が示されている.
さらに,携帯電話にも個性を出したいと考えている人とそうでない人との間で,携帯電
話端末の選択時に重視する項目(付録 質問紙問 21)での回答に差が見られるかについてカイ
2 乗検定により分析を行った.その結果,携帯電話にも個性を出したいと考えている人とそ
うでない人の間で項目の選択に有意差が見られたのは,
「本体のデザイン」(χ 検定値=6.334,
2
p<0.01),「本体の色」(χ 検定値=4.504,p<0.05)の 2 つで,共に個性を出したいと考えて
2
いる人の方が選択する割合が高かった.このことから,携帯電話に個性やファッションを
意識している人は,他の人よりも携帯電話端末を選択する際に,人の目につきやすいデザ
インや色など外観を重視するという仮説は検証されたと言えるだろう.また,逆に,有意
水準は満たさなかったものの,そのような傾向を持っている人は「多機能な方がよい」と
の質問に関して「はい」と回答した割合がその他の人よりも低い傾向が見られた.この結
果から,携帯電話にも個性,ファッション性を重視する人は,携帯電話の買い替え時に機
31
能よりも外観をより重視する傾向が強いと推測できる.
最後に,上記の分析と関連して,携帯電話端末を購入する際に重視する項目に関して社
会心理傾向との関連について分析した結果について触れておく.なお,この分析において
は付録 質問紙問 21 での回答結果と社会心理傾向との関連について t 検定を使用して判定
を行っている.この分析の結果,有意な差が見られたものについてここで説明を行う.ま
ず,集団同調志向に関して項目を選択した人の方が高い傾向が見られた項目を挙げると「カ
メラ機能・性能」{t(112.96)=3.016,p<0.01},
「データ保存容量」{t(122.15)=2.208,p<0.05}
の 2 つという結果であった.次に,項目を選択した人の方がより流行関心度が高い傾向が
示されたのは「本体のデザイン」{t(127)=2.026,p<0.05}という結果であった.同様に,個
性化志向と「データ保存容量」{t(127)=2.132,p<0.05}との間に関連が示されている.また,
情報探索志向に関しては「その機種にしか搭載されていない機能(初めて搭載された機能)」
{t(128)=2.115,p<0.05}の項目を選択した人の方が高い傾向を示したものの,「メールの性
能」{t(127)=-2.270,p<0.05}では,選択した人の方が低いという結果であった.
32
第4章
結論
最後に,今回の研究によって得られた分析結果から,携帯電話の利用者の買い替え行動
と志向について,結論としてここで述べることにする.まず,今回の研究によって得られ
た結果について今回立てた仮説に対する結果を含め,以下のようにまとめられる.
1.携帯電話の買い替え行動に関して,流行に関心が強い人はこれまでの買い替え経験が
多く,新しい携帯電話に買い替えるまでの期間も短いという傾向が見られる.また,イノ
ベーター度や個性化志向の高い人に関しても次の買い替えまでの期間が短い傾向がある.
3.個人志向が強い人は,携帯電話の買い替え行動をあまり行わず,また,携帯電話そのも
のの利用頻度も他の人に比べ低い傾向が見られる.
3.携帯電話の通話機能に関して流行に関心が高い人がより利用している傾向という強い関
連が見られるが,メール機能に関しては,男女間や社会心理傾向による差はそれほど大き
くはない.
4.携帯電話端末を選ぶ際にデザインや色,価格を重視する人が多く,また,女性の方が男
性と比べてよりデザインや色などの外観を重視する傾向がある.
5.携帯電話に対しファッション性を感じ,個性を出したいという考えを持っている人はそ
うは思わないという人に比べ新しい携帯電話への買い替え意欲が強い.
6. 携帯電話に個性,ファッション性を意識している人は,携帯電話端末の選択にデザイン
や色など人の外観を重視する傾向が強い.また,このような考えを持っている人は流行関
心度,個性化志向が高く,またイノベーター度に関しても他の人に比べて高い傾向がある.
7.ほとんどの人は携帯電話に対し多機能な方が良いと考えているが,その反面,今出てい
る機能以上のものに関しては特に必要がないと感じている.
これらの結果から,現在の携帯電話に対する利用者の傾向について,多機能な携帯電話
を欲しいとは思うものの,現在では,一部の流行に関心が強く,携帯電話にファッション
性や個性を意識している人以外には,最新の携帯電話や機能にそれほど必要性を感じてい
ないのではないかと推測できる.それは,携帯電話端末の選択の際に重視する項目に関し
て,デザインや色,価格が上位になったことからも理解できる.逆に,携帯電話にファッ
ション性や個性を求めている人は買い替え意欲が他の人に比べて強く,それは古い携帯電
話を持つのは恥ずかしい・新しい電話は自慢できるとの考えがその他の人に比べて高いこ
とか新しい携帯電話をある種のステータスとして感じているとためであると推測できる.
また,そのような人は,他の人に比べて多機能な事よりもデザインや色など外観の良さを
気にする傾向が強いという結果が今回の調査により得られた.よって,携帯電話の買い替
えを促す戦略を効果的に進めていくためには,このような「携帯電話の買い替え意欲が高
くイノベーター的な性格を持ち,携帯電話に個性やファッション性を求める」人に魅力を
感じさせ,買い替え意欲をより高めるような製品の開発が重要となるだろう.つまり,多
33
機能・高機能な道具としての方向ではなく,洗練されたデザインや色の多彩化など外観で
個性やファッション性が出せるような方向性により力を入れていくべきであろう.
しかし,携帯電話利用者が飽和状態となっている現在,これからの戦略として利用者の
新しい携帯電話の買い替えを進めていくためには,一部の買い替え意欲の高い人だけに買
い替えを促していくだけではなく,それ以外の人の買い替え意欲を喚起させることが必要
であるだろう.そのためには,買い替え意欲のそれほど高くない人が買い替え行動を行う
要因について分析を行う必要があると考えられる.そこで,今回私は,特に若者に関して
は,友人などの影響がその要因の一つであると考え,友人などグループ内での携帯電話の
買い替え行動が連鎖的に広がっていくことで携帯電話の買い替えが進んでいるとの予想を
立てた.そして,その予測から買い替え意欲がそれほど高くない人の買い替え行動につい
て集団同調志向が関連しているとの仮説を立てたが,今回の分析ではこの仮説は棄却され
た.この結果については今後より詳細な調査により検証を行う必要があるが,ほとんどの
人が携帯電話はまわりとのコミュニケーションに必要であると考えていることなどから携
帯電話の買い替え行動にはやはり友人などまわりの影響が強いと考えられる.つまり,携
帯電話の利用者の間では,現在ではメール機能やカメラ機能が主に友人などとのコミュニ
ケーションに利用されていることからもわかるように,携帯電話の機能は主にコミュニケ
ーションのために利用されていると考えられるだろう.また,メール機能に関しては,今
回の調査結果では,利用者の社会心理傾向や男女間でもそれほど差が見られず,一般的な
機能として利用されるようになっていると推測される.よって,新しい携帯電話やその機
能にそれほど関心が強くない人でも,コミュニケーションに関わる機能は友人関係に必要
であり利用する傾向が強いと考えられる.つまり,携帯電話の買い替えをより広く進めて
いくために,コミュニケーションのための道具としての携帯電話,その役割としての機能
やサービスをより進化させ,提供していくことがこれからの携帯電話市場の発展に最も必
要なことではないだろうか.
34
[参考文献]
・飽戸弘,
『社会調査ハンドブック』,日本経済新聞社,1987 年
・岡田朋之・松田美佐・羽渕一代,
「移動電話利用におけるメディア特性と対人関係−大学
生を対象とした調査事例より−」,
『平成 11 年度
情報通信学会年報』,2000 年
・竹内郁郎・児島和人・橋元良明,
『メディア・コミュニケーション論』,北樹出版,
1998 年
・橋元良明・石井健一・中村功他,
「携帯電話を中心とする通信メディア利用に関する調査
研究」『東京大学社会情報研究所調査研究起要』No14,2000 年
・橋元良明・石井健一・中村功他,
『「インターネット・パラドクス」の検証』『東京大学
社会情報研究所調査研究紀要』No18,2002 年
・松田美佐,
「若者の友人関係と携帯電話利用 −関係希薄論から選択的関係論へ−」,
『社
会情報学研究』,2000 年
・総務省,
「平成 15 年度
情報通信白書」,http://www.soumu.go.jp,2003 年
・社団法人電子情報技術産業協会,
「移動電話国内出荷統計」,
http://www.jeita.or.jp/japanese/index.htm,2003 年
・(株)日経リサーチ,
「携帯電話に関する調査」,http://www.nikkei-r.co.jp/data/data09.html,
2002 年
・社団法人電気通信事業者協会,
『「携帯電話/IP 接続サービス(携帯)/PHS/無線呼び出し
契約数」事業者別契約数』,http://www.tca.or.jp/japan/database/daisu/index.html,
2003 年
・アサヒ・コム,
「2004 年 1 月 5 日記事.携帯電話、機能より見た目で勝負 「イチマツ」
など好調」,http://www.asahi.com/business/update/0105/021.html,2004 年
35
【付録
質問紙】
情報機器の利用に関する実態調査
○この調査表に記入された内容については,統計としてまとめる目的以外には使用せず,皆様個
人の情報などはいっさい明らかにされることはありません.
○回答のご記入に関して,お答えは当てはまる番号・英数字を○で囲んでいただくか,数字をご
記入ください.また,質問によっては複数の回答を選んでいただく場合もございますので,質問
文の説明に従ってご回答ください.
○なお、本調査に関するお問い合わせは、筑波大学社会工学系石井健一 (tel:029-853-5181)ま
でお願いします.
問1,次にあげた情報機器に関して,あなたの現在の所有状況に当てはまるところにそれぞれ○
をつけてください.
・パソコン(ノート型含む)
【 1 自分専用の物を所有している
2 家族と共同で使用している
3 所有していない 】
2 家族と共同で使用している
3 所有していない 】
・デジタルカメラ
【 1 自分専用の物を所有している
問2,あなたは普段どれくらいの頻度で以下のものを利用されていますか?それぞれ当てはまる
ところに○をつけてください.
(a) パソコン(ノート型含む)
1. ほぼ毎日
2. 2∼3日に一回くらい
3. 1週間に一回くらい
4. 1ヶ月に一回くらい
5. ほとんど使わない
6. 使ったことがない
(b) パソコンからのウェブサイトへのアクセス
1. ほぼ毎日
2. 2∼3日に一回くらい
3. 1週間に一回くらい
4. 1ヶ月に一回くらい
5. ほとんど使わない
6. 使ったことがない
問3,あなたが普段パソコン,インターネットを利用している場所に○をつけてください.当て
はまる場所が複数ある場合は,一番よく利用されている場所をお答えください.
(a)パソコン(ノート型含む)
1 自分の部屋
2 自宅(自室以外)
3 学校
4 インターネットカフェなど
5 それら以外
6 ほとんど使っていない
(b)パソコンからのインターネット接続
1 自分の部屋
2 自宅(自室以外
3 学校
4 インターネットカフェなど
5 それら以外
6 ほとんど使っていない
36
問4,あなたがパソコンからインターネットに接続して,週に一度は必ず見ているウェブサイト
の数はどれくらいですか?
(1)なし
(2)1
(3)2
(4)3
(5)4から10
(6)11∼20
(7)21∼30
(8)31∼
問5,パソコンに関する問題です.以下の質問について正しいと思うものに○をつけてください.
(1) 次の拡張子の中で画像ファイルではないものを1つ選んでください.
【 (a)gif
(b)doc
(c)png
(d)bmp
(e)jpg 】
(2) 従来の電話回線を利用し,モデムを経由して高速なデータの伝送を行うことができるデジタ
ル技術として現在広く使われているものは次のうちどれですか?
【 (a)ADSL
(b)ISDN
(c)CATV Internet
(d)NAT
(e)FTTH 】
(3)現在,一般的に使われているフロッピーディスクの容量を次の中から選んでください.
【 (a)64KB
(b)1.44MB
(c)3.5MB
(d)64MB
(e)250MB 】
(4)企業や学校など限られた範囲の中のコンピューターをつなぐ方法として,現在広く使われて
いる方法は次のうちどれですか?
【 (a)WAN
(b)LAN
(c)FAT
(d)USB
(e)DNS 】
(5)電子メールをメールサーバーから受信するときに使われるプロトコルを次の中から選んで
ください.
【 (a)HTTP
(b)ICMP
(c)FTP
(d)POP3
(e)HTML 】
(6)Windows 上で,C ドライブにある Documents フォルダ内の test.txt というファイルの場所を
正しく示しているものは,次のうちどれですか?
【 (a) C:¥¥Documents¥¥test.txt
(b) C/Documents/test.txt/
(c) C:///Documents/test.txt
(e) C:¥Documents¥test.txt
(d) C:¥¥Documents¥test¥txt
】
問6,あなたは現在,携帯電話,または PHS を所有されていますか?
【 1 自分専用のものを所有している
2 所有していない 】
◆「1 自分専用のものを所有している」に○をつけられた方は次の質問に進んでいただき,
「2 所
有していない」に○をつけられた方は,問23からの質問にお答えください.
問7∼問22では,携帯電話・PHS に関してお伺いします.なお,携帯電話・PHS を複数所有
されている方は,主に使用している方についてお答えください.
37
問7,あなたが携帯電話・PHS を利用し始めた理由は何ですか?下にあげた中から当てはまるも
のすべてに○をつけてください.
1 家族と連絡を取るため
2 友達と連絡を取るため
3 安く売っていたから
4 自分専用の電話が欲しかったから
5 友達が持っていたから
6 TV や雑誌を見て欲しくなったから
7 なんとなく
8 持っていないと恥ずかしいと思ったから
9 家族から持つように言われたから
10 友達から持つように勧められたから
11 タダでもらったから
問8,あなたは普段どれくらいの頻度で携帯電話・PHS での通話を行っていますか?
1. ほぼ毎日
2. 2∼3日に一回くらい
3. 1週間に一回くらい
4. 1ヶ月に一回くらい
5. ほとんど使わない
6. 使ったことがない
問9,あなたは携帯電話・PHS を1ヶ月にどれくらい使用されていますか?月の平均料金でお答
えください.また,パケット料金(通話料以外のデータ通信にかかる料金)の割合はそのうち何割
くらいですか? (自分では把握していない等の理由でよくわからない場合は【 】の中に×を記
入してください)
・月におよそ【
】円
うちパケット料金【
】割くらい
問10,携帯電話・PHS からインターネットに接続して,週に一度は必ず見ているウェブサイト
の数はどれくらいですか?
(1)なし
(2)1
(3)2
(4)3
(5)4から10
(6)11∼20
(7)21∼30
(8)31∼
問11,あなたが現在,使用されている携帯電話・PHS はどこの会社のものですか?携帯電話,
PHS についてあなたが所有されている方のみにお答えください.
・携帯電話をお持ちの方
1 NTT-DoCoMo (Foma)
4 Vodafone(J-Phone)
2 NTT-DoCoMo (それ以外)
5 Tu-ka
3 au
6 その他
・PHS をお持ちの方
1.NTT-DoCoMo PHS
2.DDI POCKET
38
3.ASTEL
4.その他
問12,あなたがその携帯電話・PHS の会社に決められた理由は何ですか?以下の項目のうち,
当てはまるものすべてに○をつけてください.
1 欲しい機能があったから
2 家族が使っていたから
3 友達が使っていたから
4 欲しい機種がその会社のものだったから
5 TV・広告などを見て
6 インターネットなどで評判が良かったから
7 まわりの評判が良かったから
8 みんなが使っているから(人気があるから)
9 信頼できる会社だと思ったから
10 通信料金が安かったから(学割などで)
11 親が決めたから
12 その会社のサービスに魅力を感じたから
問13,現在あなたが使用されている携帯電話・PHS の機種の製造会社はどこですか?
1 NEC
2 シャープ
3 Fujitsu
4 Panasonic
5 Sony
6 Mitsubishi
7 Sanyo
8 東芝
9 京セラ
10 CASIO
11 HITACHI
12 NOKIA
13 その他
14 わからない
問14,あなたはなぜその機種をお選びになったのですか?以下の項目のうちで当てはまるもの
すべてに○をつけてください.
1 デザインが気に入ったから
2 価格が安かったから
3 新機能に魅力を感じたから
4 性能が良かったから
5 購入を検討した時の最新機種だったから
6 広告や CM を見て
7 欲しい機能が搭載されていたから
8 まわりの評判が良かったから
9 お店の店員に勧められて
10 タダで手に入ったから
11 人気があったから(売れていたから)
12 親に勧められたから
13 友人が持っていたのを見てほしくなったから
14 利用したいサービスに対応していたから
15 雑誌やインターネット上での評判が良かったから
39
問15,あなたは現在所有されている携帯電話に搭載されている機能・サービスをどれくらい利
用されていますか?それぞれの機能について当てはまるところに○をつけてください.
1 よく利用
している
a)通話機能 ・・・・・・・・・・・・
2 ついているが
3 使ったこと
ほとんど使わない
がない
4 機能がつい
5 わから
ていない
ない
1
2
3
4
5
1
2
3
4
5
b)携帯電話会社の
独自メール ・・・・・・・・・・
c)e-mail
・・・・・・・・・・・・・
1
2
3
4
5
d)カメラ
・・・・・・・・・・・・・
1
2
3
4
5
・・・・・・・
1
2
3
4
5
・・・・・・・・・・・
1
2
3
4
5
g)ウェブサイトの閲覧 ・・
1
2
3
4
5
h)スケジュール管理機能
1
2
3
4
5
i)Java(ゲーム,i-アプリ等)
1
2
3
4
5
j)GPS(位置情報)
1
2
3
4
5
e)ムービー再生
f)音楽再生
・・・・・・
問16,あなたは携帯電話・PHS から 1 日平均何通くらいメールの送信を行っていますか?ここ
でのメールには,携帯電話会社の独自メール・e-mail 両方を含めた数でお答えください.
・平均【 (1)0通
(2)1∼3通
(3)4∼10通
(4)11∼20通
(5)21通以上 】
問17,あなたが現在ご使用になられている携帯電話・PHS を購入されたのはいつですか?正確
な時期を覚えていらっしゃらない場合は,おおよその時期でお答えください.
【
】年
【
】月
問18,それでは最初に携帯電話・PHS を購入されたのはいつですか?この質問でも,覚えてい
らっしゃらない場合は,おおよその時期でお答えください.
【
】年
【
】月
問19,現在の携帯電話・PHS は,最初に購入されたものから数えて何台目のものですか?
【
】台目
問20,現在の携帯電話・PHS を購入されたときに,家族や友達の中ですでにその機種を所有し
ている人はいましたか?
【 1 いた
2 いなかった
3 わからない 】
40
問21,あなたが携帯電話・PHS の機種(携帯端末)を選ぶ際に重視されることを以下の中で当て
はまるものすべてに○をつけてください.
a 本体のデザイン
b 大きさ・重量
c 本体の色
d 本体の価格
e 液晶画面の大きさ・画質(画素数)
f カメラ機能・性能
g 連続待受け・通話時間
h データ保存容量
i メールの性能(最大文字数など)
j 通話品質
k 音楽機能・音質
l データ通信速度
m その機種にしか搭載されていない機能(その機種に初めて搭載された機能)
問22,あなたの携帯電話・PHS に対する考え方・使い方についてお伺いします.以下の設問
について,当てはまると思うものには「はい」に,当てはまらないと思うものには「いいえ」に
○をつけてください.
(1)多機能な方がよい
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【 1 はい
2 いいえ 】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【 1 はい
2 いいえ 】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【 1 はい
2 いいえ 】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【 1 はい
2 いいえ 】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【 1 はい
2 いいえ 】
(6)ストラップを自分の気にいったものに変えている ・・・・・・・
【 1 はい
2 いいえ 】
(7)プリクラやシールを貼っている ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【 1 はい
2 いいえ 】
(8)新しい機能は使ってみたい
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【 1 はい
2 いいえ 】
(9)携帯電話・PHS もファッションの一部だと思う ・・・・・・・・・・
【 1 はい
2 いいえ 】
(10)携帯電話・PHS にも自分なりの個性を出したい
・・・・・・・
【 1 はい
2 いいえ 】
(11)古い携帯電話・PHS を持っているのは恥ずかしい ・・・・・・・
【 1 はい
2 いいえ 】
(12)新しい携帯電話はまわりに自慢できる ・・・・・・・・・・・・・・・・
【 1 はい
2 いいえ 】
(13)使いたい機能が搭載された機種が出たら買い替えると思う
【 1 はい
2 いいえ 】
(14)古くなったと感じたら機種を買い替えると思う
【 1 はい
2 いいえ 】
(15)現在の機能に物足りなくなったら買い替えると思う
【 1 はい
2 いいえ 】
(16)今の物に飽きたら買い替えると思う ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【 1 はい
2 いいえ 】
(17)新機種の価格が下がったら買い替えると思う ・・・・・・・・・・
【 1 はい
2 いいえ 】
(18)バッテリーの寿命など,現在の物が壊れるまで使うつもりだ
【 1 はい
2 いいえ 】
(19)友達との連絡は自分の方からすることが多い ・・・・・・・・・・
【 1 はい
2 いいえ 】
件数は多い方だ
【 1 はい
2 いいえ 】
(21)携帯電話・PHS で画像や動画のやり取りをよくしている
【 1 はい
2 いいえ 】
(2)デザインは派手な物の方が好みだ
(3)本体の色は明るい方がよい
(4)着信音は定期的に変更している
(5)待受け画面を変えている
・・・・・・
(20)携帯電話・PHS に登録しているメモリー(アドレス)の
41
(22)最新機種の情報はよくチェックしている
・・・・・・・・・・・・
【 1 はい
2 いいえ 】
【 1 はい
2 いいえ 】
新しい方だ
【 1 はい
2 いいえ 】
(25)携帯電話・PHS の機能は今出ているもので十分だと思う
【 1 はい
2 いいえ 】
(26)必要な機能以外はいらない
【 1 はい
2 いいえ 】
【 1 はい
2 いいえ 】
(23)まわりには同じ携帯電話会社の携帯電話を持っている人
が多い
(24)今所有している携帯電話・PHS は,まわりと比べて
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(27)携帯電話・PHS はまわりとのコミュニケーションを円滑に
するために必要である
問23,あなたご自身についてお伺いします.以下の A から L の質問について,あなたご自身
がどの程度当てはまるかを,(1)当てはまる,(2)どちらかというと当てはまる,(3)あまり当て
はまらない,(4)当てはまらない,の 4 段階でお答えください.
4 当てはまらない
らない
3 あまり当てはま
と当てはまる
2 どちらかという
1 当てはまる
A. 相手が自分の事をどう思っているか気になる ・・・
1
2
3
4
B. 流行には敏感な方だ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
2
3
4
C. グループの中で目立つ存在になりたい ・・・・・・・・・
1
2
3
4
D. 他の人とは違う生き方をしたい ・・・・・・・・・・・・・・・
1
2
3
4
1
2
3
4
1
2
3
4
1
2
3
4
H. 欲しい情報は自分の納得がいくまで徹底的に調べる
1
2
3
4
I. 大勢でいるより一人の方が気が楽だ
1
2
3
4
1
2
3
4
1
2
3
4
1
2
3
4
E. 他の人が知っていて,自分が知らないことが
あると恥ずかしい
F. 世の中の出来事や流行に関する情報は人より
も早く知りたい
G. 同じものを長く使っていると飽きてしまう
・・・
・・・・・・・・・・
J. 友達が何か変わっているものを持っていたら,
自分も欲しくなってしまう
K. 休日は外出するより家で過ごすことが多い ・・・・・
L. 相手やその場の状況によって,自分の態度や
行動を変えることがある
42
この調査を統計的に分析するために,あなたご自身のことについてお伺いいたします.
問24,あなたの性別をお答えください.
【 1 男性
2 女性 】
問25,あなたの現在の学年をお答えください.
【 1. 1年
2. 2年
3. 3年】
問26,アルバイトやボランティア活動等,学校以外で活動されていることがありますか?
【 1. ある
2. ない 】
◆以上で質問は終了です.調査にご協力いただき,大変ありがとうございました.
43
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