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宅地造成の手引き

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宅地造成の手引き
宅地造成の手引き
平成20年4月
横浜市まちづくり調整局
第2編
宅地造成工事許可基準
- 45 -
第1章
1
総則
目的
この基準は、法の規定に基づく宅地造成に関する工事の許可に係るものについて
、その具体的な基準を定めることにより円滑に宅地造成が施行されることを目的と
する。
2
適用範囲
この基準は、法第8条の規定に基づく宅地造成に関する工事の許可、協議及び都
市計画法の開発行為の許可を要するものに適用する。
3
適用の原則
宅地造成に関する工事の許可の基準は、法第9条に規定する基準のほか、この基
準によるものとする。
第2章
第1節
1
盛土・切土の基準
盛土・切土の基準
共通事項
(1)
のり面保護
切土又は盛土のり面は、擁壁が設置される場合を除きのり面の保護を講ずること。
(2)
のり面の排水
のり尻には、U字溝等の表面排水施設を設置すること。 また、小段の排水勾配
は下段ののりと反対方向に流れるように勾配をつけること。
【解説】
(1)
のり面保護工
のり面保護工としては、のり面緑化工、構造物によるのり面保護工などがある。た
だし、これらののり面保護工は、本来土圧の働く箇所に設置するものではないため、
土圧が生じるような場合は、擁壁を設置しなければならない。
- 22 -
2
盛土
(1)
事前調査
原則として、盛土は、原地盤の土質調査試験を行ってから設計すること。
(2)
盛土のり面の勾配
盛土のり面の勾配は、30度以下とすること。
(3)
小段
高さが3メートルをこえる盛土斜面が生ずるときは、高さ3メートル程度ごとに
幅1.5メートル程度の小段を設け、排水施設を設置すること。(図1参照)
1.5m
1.5m
9.0m
水勾配
0.5m以 上
3.0m
3.0m
9.0m
土えん提
水勾配
30 °
3.0m
3.0m
水勾配
30°
段切り
3.0m
3.0m
30 °
図1
(4)
盛土の土工例
段切り
盛土に際して、草木はすべて伐採・除根すること。また、傾斜地盤上に盛土をす
るときは、原地盤を段切りし、暗渠(有孔管)方向に2∼4パーセントの勾配をとる
こと。
(5)
地下水排水工
盛土高さが5メートルをこえる場合は、盛土高さ3メートルごとに透水性の材料
(最下端の水抜き層は砂を使用すること。)を用いて水抜き層を設置すること。た
だし、盛土がすべて透水性材料からなる場合には、この限りでない。
また、湧水の恐れがある箇所には有孔管による暗渠も布設し、盛土区域外に排水
すること。
(6)
高盛土
盛土による斜面の垂直高さは、原則として9メートルまでとする。これをこえる
ときは、円弧すべりに対する安定計算を行い、詳細断面図(S=1/50∼l/100)
を添付すること。
- 23 -
【解説】
(1)
事前調査
盛土は原地盤の土質調査試験を行って設計することを原則とするが、周辺にお
いて行われた各種工事等から必要な土質調査結果が得られている場合で、申請地
が同様の地質等であることが明らかな場合などは、これを省略することも可能で
ある。
(2)
のり面勾配
盛土のり面は、雨水等の影響による安定性の低下等が考えられることから、崖
とはならない 30 度以下とする。
(4)
段切り
傾斜地盤上に盛土をする場合には、原地盤と盛土の間ですべりが生ずる可能性
があるので、原地盤の勾配が 15 度(約 1:4)程度以上の場合には図1のように原則
として段切りを行い、盛土を原地盤にくい込ませてすべりを防がなければならな
い。段切りの寸法は、原地盤の土質、勾配、段切りの施工方法等によって異なる
が、原地盤が岩である場合も含め、高さ 50 センチメートル、幅1メートル程度以
上とし、段切り面には排水のために勾配を設け地下水排除工を設ける。
旧谷部等の地下水位が高くなると予想される箇所では、地盤の傾斜が緩くても段
切りを必ず行い、十分な締固めを行う必要がある。
(5)
地下水排水工
地下水排水工は、原則として参図1のように設置するものとする。
3m
フトン蛇籠
30° 以下
フィルター層
20 ∼30 ㎝
3m
15 m
30° 以下 フ ィ ル タ ー 層
20 ∼30 ㎝
7m
U字溝
参図1
(6)
水抜き層の設置
高盛土
安定計算は、全応力法により行ってよいが、湧水のおそれのある場所では有効応
力法で計算すること。なお、このときの最小安全率が、1.5 未満の時にはのり面の
勾配を変更するなど、1.5 以上の安全率が確保できる計画とすること。
- 24 -
3
切土
(1)
切土のり面の勾配
切土のり面の勾配は、土質に応じ、令第6条の別表第1によること。
(2)
小段
高さが5メートルをこえる切土斜面が生ずるときは、高さ5メートル程度ごとに
幅1.2メートル程度の小段を設け、排水施設を設置すること。(図2参照)
(3)
長大のり面
切土による斜面の垂直高さが15メートルをこえる大斜面については、詳細断面図
(S=l/50∼1/100)を添付すること。
水勾配
1.2m
5.0m
水勾配
35 °
1.2m
5.0m
水勾配
35 °
5.0m
45 °
図2
切土の土工例(関東ローム層)
【解説】
(1)
切土のり面の勾配
参表1
土
質
(令第6条の別表第1)
擁壁を要しない勾配の上限
擁壁を要する勾配の下限
軟岩(風化の著しいものを除く。)
60度
80度
風化の著しい岩
40度
50度
35度
45度
砂利、真砂土、関東ローム、硬質粘
土その他これらに類するもの
第2節
1
軟弱地盤における基準
適用の対象
本基準は横浜市域内の浸食谷、低地等の軟弱地盤において行われる宅地造成工事に
適用する。
2
軟弱地盤の定義
本基準における軟弱地盤とは、腐植土、軟らかい有機質土、粘性土等、盛土及び構
造物等の荷重によって、斜面の安定や沈下等に対して影響の大きい地盤をいう。
- 25 -
【解説】
宅地防災マニュアルを参考とし、軟弱地盤の判定の目安は、地表面下 10 メートル
までの地盤に次のような土層の存在が認められる場合とする。
(a)
有機質土・高有機質土
(b)
粘性土で、標準貫入試験で得られるN値が2以下、スウェーデン式サウンディ
ング試験において1KN 以下の荷重で自沈するもの、又はオランダ式 2 重管コーン
貫入試験におけるコーン指数(qc)が 0.4N/mm2 以下のもの
なお、軟弱地盤の判定に当たって土質試験結果が得られている場合には、そのデー
タも参考にすること。
ただし、これらはあくまでも目安であるので、盛土及び構造物等の荷重の大きさな
どに応じて、検討の対象とする土層やその調査深度などは適切に判断する必要があ
る。
3
基本事項
軟弱地盤上の盛土は土質調査試験を行って設計すること。
4
安定計算における安全率
軟弱地盤上に盛土を行う場合は、安定計算を行い盛土高さに応じて最小安全率(F
s)が次の数値以上であることを確かめること。
(1) 盛土高さ15m未満の場合
施工直後:Fs=1.3
圧 密 後:Fs=1.5
(2) 盛土高さ15m以上の場合
施工直後:Fs=1.5
圧 密 後:Fs=2.0
【解説】
安定計算に当たっては、軟弱層基盤の傾斜、地盤強度の低下、テンションクラック、
すべり面(臨界円)の位置、及び盛土材の強度の評価について詳細な検討が必要であ
る。
また、盛土斜面の安定は、単一の円弧すべりを想定した全応力法による計算に基づ
いて検討することを標準とするが、安定計算の結果のみを重視するのではなく、近隣
または類似土質条件の施工実績を十分に参考にすること。
- 26 -
第3章
擁壁の基準
第1節
擁壁の基準
1
基本事項
(1)
擁壁の高さ
鉄筋コンクリート造、無筋コンクリート造擁壁の高さは、原則として5メート
ル以下とすること。
(2)
伸縮目地
伸縮目地はつぎの各箇所に設けること。なお、隅部に近接する箇所は、第1節
9(擁壁隅部の補強)を参照すること。ただし、土質調査を行った上構造計算を
行い、全体の変形、不同沈下等に対し安全が確かめられた場合はこの限りではな
い。
1.擁壁の構造・工法が異なるとき
2.地盤の条件が一様でないとき
3.壁長20メートルごと
4.擁壁の高さが著しく変化する箇所
(3)
水抜穴
ア
水抜穴は、内径75ミリメートル以上の塩ビ管その他これに類する耐水材料を
用い、壁面の面積3平方メートルごとに1箇所以上設けること。
イ
水抜穴は、擁壁の下部や湧水等のある個所に有効に設置すること。
ウ
配置のしかたは平行配置をさけ千鳥配置とすること。また止水コンクリート
(止水板)については図3のように配置すること。
エ
水抜穴は排水方向に適当な勾配をとること。
オ 地盤面下で地下水の流路にあたっている壁面がある場合は、その部分に水抜穴
を設けて地下水を排水すること。
カ
水抜穴の入口には水抜穴から流出しない程度の大きさの栗石等をおき、砂利
、背面土等が流出しないようにすること。
練積み擁壁
地盤線
透水層
止水
水受け
コンクリート
水受けコンクリート
止水コンクリート
図3
止水コンクリート
- 27 -
水抜穴
(4)
透水層
ア
擁壁裏面の浸透水、湧水等の排水を容易にするために、透水層を設けること
。なお、透水層は擁壁の裏面全面に設けること。
イ
(5)
透水層の厚さは300ミリメートル以上とすること。
コンクリート
ア
コンクリートの設計基準強度は、原則として18N/㎜2以上とすること。
イ
鉄筋に対するコンクリートの被りは、土に接する部分は6センチメートル以
上(基礎にあっては捨てコンクリートの部分を除いて6センチメートル以上)
とし、その他の部分は4センチメートル以上にすること。
(6)
鉄筋
鉄筋は原則として、許容引張応力度が200N/㎜2以上のものを使用すること。
【解説】
(1)
擁壁の高さ
設計・施工および管理の容易さなどから、擁壁の高さは、原則として5メートル
以下としているが、構造上の安全が確かめられ、造成計画上、土地利用上、やむを
得ない場合は、この限りではない。
(2) 伸縮目地
伸縮目地は有効に設け、基礎部分まで切断すること。
(3)
水抜穴
水抜穴の裏側には粗めの割栗石の代わりに透水マットやフィルターパットを用
いることができる。
止水コンクリートは、その効力を有効に発揮できるように、幅は 300 ミリメー
トル以上、厚さは 50 ミリメートル以上とすること。
(4)
透水層
宅造法施行令第 10 条に規定されている擁壁の裏面の透水層については、
一般に、
砂利、砂、砕石等が用いられているが、石油系素材を用いた「透水マット」につ
いても、その特性に応じた適切な使用方法による場合には、使用できるとの国土
交通省の見解が、平成 13 年5月 24 日付国総民発第7号により通知されている。
なお、その適正な使用方法については、「擁壁用透水マット技術マニュアル」
及び透水マット協会の仕様を参照すること。
(5)
コンクリート
鉄筋に対するコンクリートの被りは建築基準法施行令第 79 条第1項を準用する
が、縦壁の引張鉄筋に対する被りについては、背面土の乾燥と湿潤の繰り返しや
凍結融解等の影響を考慮して6センチメートル以上とすること。
(6)
鉄筋
同一構造内では原則として異種鉄筋を併用しないこと。
- 28 -
2
盛土上の擁壁
盛土上に設置する擁壁の高さは、練積み造擁壁の場合は3メートル以下、鉄筋コン
クリート造及び無筋コンクリート造擁壁の場合は1メートル以下とし、盛土上の擁壁
の基礎地盤を図4のように改良若しくは置換すること。(この場合の擁壁の高さとは
、土羽部分を含む高さをいう。)
ただし、土質試験を行い、擁壁及び擁壁上部の地盤に有害な沈下を生じないことが
確認できた場合は、この限りではない。
H
表1
擁壁の高さ(H)
置換の高さ(h)
1.0∼1.5m
1.2b
1.5∼2.0m
1.5b
2.0∼2.5m
1.8b
2.5∼3.0m
2.2b
b
砂・砂利・砕石等
30°
60°
図4
h
盛土置換表
30°
60°
盛土地盤置換図
【解説】
図の破線は施工範囲を示す。なお、申請区域界に盛土上の擁壁を設置する場合は、
施工範囲が隣接地に越境しないように擁壁位置を後退させるか、施工範囲を区域に含
まなければならない。
- 29 -
3
斜面上の擁壁
斜面に近接してその上部に擁壁を設置する場合は、次のすべてを満足させること。
(1)
斜面上に設置する擁壁の高さは、原則として3メートル以下であること。
(2)
斜面上に設ける擁壁は、図5のように斜面下端より土質に応じた勾配線(表2参
照)から1.5メートル以上かつ、擁壁の高さの0.4倍以上後退していること。
(3)
勾配線より後退した部分は、コンクリート等により風化浸食のおそれのない状態
にしていること。
0.4H 以 上
か つ1.5m以 上
H
コンクリート打ち
厚 さ 5cm∼10cm
θ
15/100H 以 上 か つ35cm以 上
斜面下端斜 面 下 端
θ
θ
図5
表2
軟岩
背面土質
斜面上の擁壁
土質に応じた勾配
風化の著しい岩
(風化の著しい
硬質粘土その他これに類す 腐食土
ものを除く)
勾配(θ)
60°
砂利、真砂土、関東ローム 盛土又は
るもの
40°
35°
25°
【解説】
斜面上の擁壁では、主に地形的な要因から同一地盤でも平坦地の場合より支持力が
小さくなる。
これは、参図2に示すように斜面に近接した基礎では、支持力が主に斜面側へのす
べり出し破壊によって決まるためである。
斜面上基礎の破壊パターンは参図2に示すように大きく3パターンに分けられる
が、一般的な基礎破壊の他に基礎を含む斜面全体が破壊する法尻崩壊、底部破壊等が
あるため、擁壁背面盛土を含む安定を検討せず、擁壁を高くすると危険になる恐れが
ある。
このような理由から、斜面の安定性を検討しない場合の擁壁高さの上限を3mとし
た。ただし、詳細な地盤調査を実施し、支持力、安定に対する検討を行って安全性が
確認された場合にはこの限りではない。
- 30 -
θ
H
Df
B
q
基 礎破壊
法尻破
壊
底 部破壊
参図2
4
水路沿いの擁壁
水路・河川に接して擁壁を設ける場合は、河床からの根入れ深さを35センチメー
トル以上、かつ、高さの15/100H以上とすること。
なお、未改修の水路・河川に接して設ける場合は、河床からの根入れ深さを80セ
ンチメートル以上、かつ、高さの1/4H以上とすること。
【解説】
未改修の河川とは、護岸や河床が洗掘等に対する安全対策が施されていないものを
いう。
5 斜面方向の擁壁
斜面に沿って擁壁を設置する場合は、基礎部分を段切りにより水平にすること。
【解説】
基礎部分を段切りした場合、基礎地盤高さが変化する部分には伸縮目地を設置して
構造上の縁を切るが、擁壁の自立性を確保するために、伸縮目地の間隔は殊更に小区
間とならないように留意すること。
伸縮目地
1m 以上
伸縮目地
伸縮目地
H
15/100H以上かつ 35cm 以上
参図3
斜面方向の擁壁
- 31 -
6
多段擁壁
上下に近接する各擁壁の位置関係は、上部・下部擁壁を同時に新設または、下部
擁壁のみを新設する場合は図6に、上部擁壁を新設し下部擁壁の構造が法の基準に
適合していることが確認できない場合は図7によること。また、各図における角度
θは、表2(P30)によること。
ただし、土質試験を行い、多段擁壁全体の斜面の安定計算をした結果、その最小
安全率が1.5以上で、かつ、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
(1)
上部の擁壁の高さを加算して構造計算を行う場合。
(2)
上段の擁壁の基礎底面に作用する応力が、下段の擁壁に作用しないことが確か
められた場合。
【解説】
多段擁壁全体を含む斜面の安定計算は、全応力法によってよい。なお、(2)により
上段の擁壁の基礎底面に作用する応力が、下段の擁壁に作用しないことが確かめられ
た場合であっても、各々の擁壁は別途構造計算により、政令第7条各項の基準を満足
していることが確かめられなければならない。
上部擁壁を新設する場合で、下部擁壁の構造が法の基準に適合していることを確認
できないときは、斜面上の擁壁と同様と考え、図7が適用される。
また、図7のL型擁壁等では、切土として設置されても、実際には切土線の位置が
不明な場合がほとんどであるため安全側にθ=25°(盛土の勾配)としている。 し
かし、斜面上の擁壁と同様な考え方をすれば、切土線及び背面の地質が確認できる場
合には、参図4の考え方を用いてさしつかえない。
0.4H 以 上か つ
1.5m以 上
盛土
θ
25°
地山
(ローム, 岩 等)
切土線
宅造法の適合が
確認できな擁壁
参図4
- 32 -
H
θ:土質に応じた角度
0.4H 以 上か つ
1.5m以上
0.4H 以上 か つ
1.5m以上
H
H
θ
θ
0.4H 以上 か つ
1.5m以上
0.4H 以 上か つ
1.5m以 上
H
H
θ
θ
図6
上部・下部擁壁を同時に新設または下部擁壁のみを新設する場合の位置関係
0.4H 以上 かつ
1.5m以上
0.4H 以 上か つ
1.5m以 上
H
θ
H
θ
0.4H 以 上か つ
1.5m以上
0.4H 以上 かつ
1.5m以 上
H
25
25
図7
上部擁壁を新設する場合の位置関係
- 33 -
H
7
上部に斜面がある場合の間知石練り積み造擁壁の構造
間知石練り積み造擁壁で、擁壁上部に斜面がある場合は、土質に応じた勾配線(表
2.P30参照)が斜面と交差した点までの垂直高さを擁壁の高さと仮定し、擁壁はそ
の高さに応じた構造とすること。
【解説】
本基準は、本市鉄筋コンクリート造擁壁標準構造図を使用する場合も準用する。
(練り積み造擁壁の場合)
H
θ
(鉄筋コンクリート造擁壁の場合)
H
θθ
参図5
上部に斜面がある場合の擁壁構造
- 34 -
8
擁壁隅部の補強
擁壁が折れ曲がる場合(60°≦届曲角≦120°)は、図8のように隅部を補強する
こと。
?
ℓ
a
a
○擁壁の高さが3m未満のとき
a=50cm
○擁壁の高さが3m以上のとき
伸縮目地
a=60cm
a
a
○伸縮目地の位置
ℓ は2m以上で擁壁の高さだけ
離れた位置とする。
− 立 体 図−
鉄筋コ ンクリート造 擁壁の隅部は該 当する
高さの 擁壁の横筋に 準じて配筋する こと。
伸縮目地
?
ℓ
a
ℓ?
伸縮 目地
a
a
a
練 り積み造擁壁の 場合
鉄筋 コンクリート造 擁壁の場合
−平面図−
図8
擁 壁隅 部の 補強
- 35 -
第2節
1
擁壁構造基準
適用範囲
(1)
本基準は、法に基づく無筋コンクリート、鉄筋コンクリート造擁壁(以下「擁
壁」という。)に適用する。
(2)
特別な調査・研究又は実験に基づき、十分に安全性が確かめられた場合には、
本基準を適用しないことができる。
【解説】
(2)
本基準を適用しない擁壁には、プレキャストコンクリート造擁壁等、特殊な工
法・構造材料等によるもので法施行令第 15 条に基づく国土交通大臣の認定を取得
したものがある。
2
荷重
(1)
設計に用いる荷重は、自重・表面載荷重及び背面土圧の組み合わせとし、必要
に応じ地震その他の荷重を考慮すること。
(2)
表面載荷重は実情により適切に設定すること。
【解説】
(1)
擁壁に作用する荷重として他の荷重の影響がある場合又はそのおそれのある場
合は、別途考慮すること。
特に、上下に擁壁を近接して設置する場合には、上部擁壁の地盤反力や水平力
等による外力を適切に設計条件に反映させる必要がある。ただし、図6(第3章
第1節6「多段擁壁」参照)の場合においては、上部擁壁による影響はないもの
として取り扱っても支障ない。
(2)
表面載荷重は実情によるが、一般的には木造二階建て程度の表面載荷重として
10kN/㎡を見込むよう努めること。
3
土圧
土圧算定に用いる土質諸定数は、土質試験に基づき、かつ、長期降雨などの影響
を考慮し決定すること。
【解説】
片持ちばり式擁壁の背面に作用する土圧力の算定は、クーロンの土圧式または試行
くさび法によること。
土質諸定数は、裏込め土と背面自然土の両方の土質試験をもとに決定すること。ま
た、粘着力については、背面の土が乱されていることや、含水比により大きく変化す
ることなどから、無視すること。なお、本市の地盤分布状況及び過去のデータなどか
ら、背面自然土が関東ロームであることが確かめられ、かつ、裏込め土を関東ローム
とする場合は、土質試験を行わなくとも、次の諸定数を用いてよい。
- 36 -
φ=20°
C=0 kN/㎡
γ=16 kN/m3
4
擁壁の安定
(1)
擁壁の高さが高い場合等は、地震時における安全性について検討を行うこと。
(2)
荷重の合力の作用位置は、常時には底面の中心より底版幅の6分の1以内、地
震時には底版幅の3分の1以内とすること。
また、地震時の検討を行う場合は、擁壁に対する安定モーメントが、転倒モー
メントの 1.2 倍以上であることを確認すること。
(3)
地震時における水平方向のすべりに対する抵抗力が擁壁に作用する土圧の水平
成分の 1.2 倍以上であること。なお、滑動検討に用いる土質諸定数は、原則とし
て、基礎スラブ直下の土質試験に基づき決定すること。
また、擁壁の滑動に対しては、突起を設けなくとも安全であるよう設計するよ
う努めること。やむを得ず突起を設ける場合は、つぎのア、イ、ウによること。
ア
突起の高さ(h)は、底版幅(B)に対して 0.1B∼0.15Bの範囲内とす
ること。
イ
底版幅は、突起なしの状態でも滑動に対する安全率 1.0 を確保できる幅と
すること。
ウ
(4)
突起を設ける地盤は、硬質地盤(堅固な地盤や岩盤)であること。
擁壁の基礎は直接基礎とすること。ただし、必要地耐力が期待できず、良好な
支持層まで地盤の安定処理、または置換を行う場合はこの限りではない。
なお、鉄筋コンクリート造擁壁または、無筋コンクリート造擁壁で、直接基礎
若しくは、良好な支持層までの地盤の安定処理を行うことが困難な場合には、基
礎ぐいを用いることもできる。
(5)
許容地耐力の決定は、土質調査などによること。
【解説】
(1)
擁壁の高さが高い場合とは、擁壁の高さが概ね5メートルを超えるものをいう。
(2)
転倒モーメントおよび安定モーメントの支点は、基礎スラブ底面の前端とする。
なお、安定モーメントの算定にあたっては、土圧の鉛直成分は算入しない。
(3)
滑動検討に用いる土質諸定数は、基礎スラブ直下の土質試験に基づき決定する
ことが原則であるが、本市の地盤分布状況及び過去のデータなどから、支持地盤
が関東ロームの地山であることが確かめられた場合は、土質試験を行わなくとも、
次の諸定数を用いてよい。
φ=20°
C=20kN/㎡
- 37 -
[擁壁の滑動に対する抵抗力]
RH=CA +Vtanφ
RH:滑動に対する抵抗力(kN/m)
C :直下の土の粘着力(kN/㎡)
A':底版の有効載荷面積(㎡/m)
A'=B−2e
B:底版幅(m)
e:偏心距離(m)
V :自重(kN)
φ :直下の土の内部摩擦角
突起は硬質地盤(堅固な地盤や岩盤)に対して適用する。その理由は、軟質地盤
では突起があっても、下図のように通常の基礎下部の施工条件の場合には、せん断
面が突起なしの場合と大きく変わらないためである。突起は、堅固な地盤や岩盤に
対して、これらの地盤を乱さないように、また周辺地盤との密着性を確保するよう
に施工されてはじめてその効果が期待できるものである。
(軟らかい地盤)
(硬質地盤)
※せん断面は浅い位置に生じる
※突起部にせん断が生じる
参図6
(4)
擁壁接地地盤のせん断形状
擁壁の接地圧は、擁壁を支持する地盤の許容地耐力以下であること。また、有
害な沈下(不同沈下)・傾斜をおこさないようにすること。
なお、想定される支持地盤が盛土などの軟弱地盤であった場合、良好な支持層
まで地盤の安定処理、または置換を行うことを原則とするが、擁壁の高さが1メ
ートル以下の場合においては、基礎地盤を第3章第1節3(図4)のように改良
することも可能である。
また、基礎ぐいの設計は、建築基準法によるほか、次のことに配慮する。
・くい頭の許容水平変位は、常時1センチメートル、地震時 1.5 センチメート
ル以下とすること
・くいの配列は、擁壁の底版断面に対して2列以上とすること
・木ぐい、H鋼ぐいを用いないこと
(5)
許容地耐力は、本市の地盤分布状況及び過去のデータなどから、支持地盤が関
東ロームの地山であることが確かめられた場合は、土質試験を行わなくとも、長
期許容地耐力として、100kN/㎡を用いてもよい。
- 38 -
5
構造体の設計
構造体の設計に当たっては、次によること。
ア
片持ばりの元端厚さは、部材長さの 10 分の1以上、かつ、15 センチメートル
以上とすること。
イ
片持ばりであっても、配力筋を配筋すること。
ウ
控え壁形式などの縦壁の厚さは、20 センチメートル以上とすること。
エ
主筋および配力筋の径は、13 ミリメートル以上とし、間隔は 30 センチメート
ル以下とすること。
オ
縦壁および基礎スラブの元端は、複配筋とすること。(ただし、擁壁高さ1メ
ートル以下のものは除く。)
カ
縦壁と基礎スラブの交差部分には、原則として縦壁の元端の厚さ程度のハンチ
をつけること。
- 39 -
第4章
1
その他の基準
従前の崖についての措置
申請区域内の土地が、高さ3メートル以上の従前の崖の下端から水平距離にしてそ
の崖の高さの2倍以内の位置にある場合は、その崖もしくは、その崖部分またはその
申請区域内の土地の部分について、擁壁の設置等安全上支障がないように必要な措置
を講じなければならない。ただし、次のいずれかに該当する場合で、市長が災害の防
止上支障がないと認めたときは、この限りでない。
(1)
申請区域内の土地が、崖の下端から水平距離にして 20 メートル以上の位置にあ
る場合。
(2)
その崖又は崖の部分が、次に掲げるもののいずれかに該当する場合。
ア 土質が表3の(あ)欄に掲げるものに該当し、かつ、土質に応じた勾配が同表
(い)欄の角度以下のもの。
表3
(あ)
土
質
(い)勾配
(う)勾配
軟岩(風化の著しいものを除く。)
70°
80°
風化の著しい岩
50°
60°
砂利、真砂土、硬質関東ローム、硬質粘土
45°
55°
軟質関東ローム、その他これらに類するもの
35°
45°
イ 土質がアの表の(あ)欄に掲げるものに該当し、かつ、土質に応じた勾配が同
表(い)欄の角度をこえ同表(う)欄の角度以下のもので、その垂直距離の合計
が5メートル以内のもの。
(3)
土質試験等に基づき地盤の安定計算をした結果、崖の安全が確かめられた場合。
【解説】
安全上支障のない措置としては、危険な崖そのものを改善する方法、防土堤等によ
る待受け擁壁を崖下端に設置する方法等がある。
- 40 -
2
排水施設の位置
令第 13 条の規定に基づき設置すべき排水施設の位置は、原則として、次の各号に
掲げるところによる。
(1)
切土または盛土をした土地の部分に生ずることとなる崖(擁壁でおおわれた崖を
含む。)の下端の部分
(2)
道路となるべき土地の側辺の部分
(3)
切土をした土地の部分で、湧水または湧水のおそれのある場所
(4)
盛土をすることとなる土地で、雨水その他の地表水の集中する部分及び湧水のあ
る部分
(5)
前号各号のほか、雨水その他の地表水をすみやかに排除する必要がある土地の部
分
【解説】
(1) 切土又は盛土をした崖の下端の水はけが悪いと、崖のすべり、沈下等を生じる。
また、地盤面の地表水等は下段の崖と反対方向に流れるように勾配をとることとさ
れている(令第5条第1項第1号)ことから、それらの雨水等を集水する排水施設
は、下端の崖からなるべく離れた上段の崖の下端に設置されることが好ましい。な
お、崖の下端に雨水等を集水する排水施設を要さないと市長が認める場合は、この
限りではなく、崖の上端に排水施設を設置することもできる。
3
排水施設の構造
排水施設の構造は、前項各号に掲げる排水施設の位置に応じ、その排除すべき雨水
その他の地表水を支障なく流下させることができるものとし、令第 13 条各号に定め
るもののほか、次の技術上の基準によらなければならない。
(1)
排水施設の断面積は、表4に掲げる数値及び算式により計画雨水流出量を定めて
決定すること。
(2)
排水施設の接合部は、セメントまたはモルタル等により堅固に接合すること。
(3)
道路となるべき部分に設置することとなる排水施設は、日本工業規格該当品また
はそれと同等以上の強度を有する材料を使用し、砂利及びコンクリート等により基
礎をほどこすこと。
(4)
暗きょを道路となるべき部分に埋設する場合においては、その頂部と地盤面との
距離は、1.2 メートル以上とすること。ただし、市長が特に認めた場合においては、
この限りでない。
(5)
前項ただし書の場合においては、暗きょに損害を与えることを防止するため必要
な措置をとること。
(6)
流水の方向または勾配が著しく変化する箇所には円形または角形のますを設置
するものとし、当該ますの内のり幅は、45 センチメートル以上とすること。
- 41 -
表4(排水施設の構造)
排
水
面
積
計画雨水流出量算定式
地表平均勾配S(‰)
QR=R・C・A
1ha 未満
=0.1667・C・A
QR=R・C・A・(S/A)1/6
=0.1667・C・A51/6
1ha∼3ha 未満
S=1‰
QR=R・C・A・(S/A)1/6
=0.29385・C・A5/6
3ha∼20ha 未満
S=30‰
QR=C・I・A/360
20ha 以上
(備考)1
=0.002778・C・I・A
この表において、QR、R、A、S及びIは、それぞれ次の数値を表すものとする。
QR
計画最大雨水流出量(・・/sec)
R
実験式の降雨強度(0.1667・・/sec/ha)
A
排水面積(ha)
S
地表平均勾配(‰)
I
降雨強度(㎜/hr)
a,b,N
降水強度公式の定数
tc
流達時間(min)
2
=a/(tcN+b)
この表において、Cは、流出係数を表すものとし、用途地域等ごとに次表のとおりとする。
なお、
用途地域等が混在する場合は、地域別の面積の加重平均を用いて求めた係数を総合流出係数として採用
する。
4
用
途
地
域
等
流 出 係 数
住
宅
系
地
域
0.70
商
業
系
地
域
0.80
工
業
系
地
域
0.60
市 街 化 調 整 区 域
0.50
道路の中心後退
申請区域に接する道路が建築基準法第 42 条第1項以外の建築基準法の道路である
場合は、その境界線を、道路の中心線より 2.0 メートル以上後退(申請区域の反対側
に崖又は水路等があって拡幅困難な場合は、原則として、幅員 4.0 メートル以上に一
方後退。)するよう努めること。なお、後退した部分は整備してください。
- 42 -
5
周辺擁壁の高さ
申請区域内の外周に設ける擁壁(45 度を超えるのり面を含む。以下この項において
「擁壁等」という。)の高さは3メートル以下とし、申請区域の北側の部分に盛土が
ある場合は、盛土の高さを1メートル以下とするよう努めること。ただし、周囲の状
況等によりやむを得ないと認められた場合、又は、隣地所有者の擁壁等築造同意が得
られた場合は、この限りでない。
【解説】
同意が必要となるケースは次の通り。
(1) 申請区域周辺に高さが3メートルをこえる擁壁等を設置する場合
≪申請地側が高い場合≫
申請地
FL
境界
H>3m
・申請地の地盤面(FL)が隣地地盤面
(GL)より3メートルをこえて高く
盛土
隣地
GL
なる場合
参図5
≪申請地側が低い場合≫
隣地
GL
境界
・申請地の地盤面(FL)が隣地地盤面
H >3m
切土
(GL)より3メートルをこえて低く
申請地
FL
なる場合
参図6
隣地
GL
境界
・擁壁を設置せず、勾配が 45 度をこ
切土
H >3 m
えるのり面とする場合
申請 地
FL
θ >45
参図7
(2)
申請区域の北側部分(隣地の南側)に高さがlメートルをこえる盛土を伴
う擁壁等を築造する場合
≪申請地の現況地盤が隣地と同じ高さ又は低い場合≫
N
・申請地北側部分の地盤面(FL)が
境界
H>1m 隣地
GL
申請地
FL
盛土
隣地地盤面(GL)よりlメートル
をこえて高くなる盛土をする場合
現況地盤
FL−GL>1m
参図8
≪申請地の現況地盤が隣地より高い場合≫
境界
申請地
FL
N
・申請地北側部分に高さがlメートル
盛土
H>1m
隣地
GL
現況地盤
をこえる盛土をする場合
参図9
- 43 -
6
工事施行同意
造成主と申請区域内の土地の所有者が異なる場合は、宅地造成工事を行うことにつ
いて当該地所有者の同意を得るよう努めること。
7
排水施設・設備の流末処理
申請区域内の雨水、その他の地表水の流末処理は、土砂を含まないものとし、原則
として区域内の排水施設から水路、河川、または公共下水道に直接放流すること。
なお、申請区域内の排水施設が民有地等を経由して下水道・排水路に接続する場合
は、土地所有者の同意を得るように努めること。
8
工事に伴う土砂の搬出入先の確認
宅地造成工事に伴う切盛土の土量計算書を作成し、搬出又は搬入土量が 100 立方メ
ートル以上ある場合は、搬出又は搬入先の承諾を得るよう努めること。
なお、承諾を得ていることを証する関係書類は次のとおりとする。
・土砂の搬出・搬入先の承諾書
・土砂を搬出・搬入できる旨の証明書(許可通知書等)
・土砂の運搬経路図
9
敷地の規模
予定建築物の敷地の1画地の規模は、100 平方メートルとするよう努めること。
なお、次の場合は、各々の敷地規模又は敷地面積を適用すること。
(1)
都市計画法による開発許可又は建築許可の場合は、当該許可基準において定めら
れている敷地規模
(2)
建築基準法による建築確認申請の場合は、都市計画法に定められている敷地面
積、また、道路位置指定申請の場合は、「横浜市道路位置指定申請のしおり」の指
定基準に定められている敷地面積
- 44 -
第3編
宅地造成工事施工指針
- 45 -
第1節
1
盛土・切土の施工指針
共通事項
工事施工中においては、雨水がのり面方向に流れないよう勾配をとること。
【解説】
一般的な対策としては、主に宅盤の表面水がのり面へ流下する事によるのり面浸食
を防止する目的で、造成により平坦となった宅盤ののり肩部に小さなえん提(防災小
提)を造成工事期間中に限り設置する方法がある。
なお、防災小提背後が湛水すると、浸透水等の影響でのり面が崩壊することがある
ので、造成面からの地表水は、のり面方向とは逆に水勾配をとると共に、別途排水施
設により適切に排水しなければならない。
また、のり高及び土質の選定に当たっては十分注意を払う必要がある。
0.5m以上
0.5m以上
水勾配
θ
参図10
2
盛土
30?以下
θ=
θ=30°以下
切土
45?以下
θ=
θ=45°以下
土えん堤
盛土
(1) 盛土に際して、草木はすべて伐採・除根すること。また、盛土は有機質土を除い
た良質土をもって施工すること。
(2)
盛土をする場合においては、盛土をした後の地盤に雨水その他の地表水又は地下
水の浸透による緩み、沈下、崩壊又は滑りが生じないように、おおむね三十センチ
メートル以下の厚さの層に分けて土を盛り、かつ、その層の土を盛るごとに、これ
をローラーその他これに類する建設機械を用いて締め固めること。
3
切土
切土の施工にあたっては、事前の調査のみでは地山の状況を十分に把握できないこ
とが多いので、施工中における土質及び地下水の状況の変化には特に注意を払い、必
要に応じてのり面の勾配を変更するなど適切な対応を図ること。
- 46 -
第2節
1
軟弱地盤における施工指針
基本事項
軟弱地盤における施工に際しては、かく乱等により地盤の性状を著しく変化させ、
設計時の条件と異なった状態とならないように十分留意すること。
2
施工管理
軟弱地盤における施工に際しては、常に地盤の挙動を監視し、異常が発見された場
合には、早急にその原因を究明して適切な対応を図るとともに、施工の進捗に応じて
施工管理計画、工法及び設計の修正または変更を行うこと。
3
一般事項
軟弱地盤、水田、湿地帯等に高さ3メートル以上の盛土をする場合は、10∼15メー
トル間隔に暗渠(有孔管)及びサンドマットを敷設すること。
第3節
1
擁壁の施工指針
共通事項
(1)
地耐力
擁壁の基礎を設置する箇所は平板載荷試験、物理試験等によって、設計書に記載
の地耐力以上の地盤であることを確認すること。掘削の結果、所定の地耐力が得ら
れない場合は、計画の変更をすること。
(2)
コンクリート
ア
コンクリートは、設計書に記載されている強度以上で、打上りが均質で密実と
なるようにその調合を定めること。
イ
コンクリート打込み中および打込み後5日間はコンクリートの温度が摂氏2
度を下らないようにし、かつ乾燥・震動等によってコンクリートの凝結及び硬化
が妨げられないように養生すること。
- 47 -
2
間知石及び間知ブロック練積み造擁壁
(1)
組積材
間知石及び間知ブロックの組積材は、擁壁が一体性を有する構造となるよう水洗
い等を行い充分清浄なものとすること。
(2)
組積方法
ア
表丁張り、裏丁張りを設置すること。
イ
芋目地ができないようにすること。
(3)
コンクリートの打設
ア
コンクリート打設に際しては、型枠を組み土砂等が混入しないようにするこ
と。
イ
胴込めおよび裏込めコンクリートの打込みは、コンクリートが組積材と一体に
なるよう充分突き固めること。
【解説】
(1)
組積材
石材は、安山岩、花こう岩等硬質のもの、あるいはこれらと同等以上の比重、
強度、耐久性を持つものとする。したがって、コンクリートブロック材は、4週
圧縮強度18N/㎜2以上で、コンクリートブロックの比重は、2.3以上、かつ擁壁に
用いるコンクリートブロックの重量は壁面1㎡につき3.4KN以上(ただしコンクリ
ートブロックのみを積み上げた状態)であること(宅地防災マニュアルによる。)。
また、石材の形状は、間知石を原則とする。
(2)
組積方法
練積み造擁壁の組積方法については、政令第9条に規定(建築基準法施行令第52
条(第3項は除く)を準用すること)されており、芋目地ができないよう組積する事
とされている。
- 48 -
3
鉄筋コンクリート造擁壁
(1)
コンクリートの打設
ア
コンクリートの打継目は、できるだけせん断力の小さい場所に設け、打継面を
部材の圧縮力の作用する方向と直角にすることを原則とする。また、打継目の計
画に当たっては、温度変化、乾燥収縮等によるひび割れの発生についても考慮す
ること。
イ
コンクリートを打ち継ぐ場合には、旧コンクリートの表面のレイタンスなどを
完全に除き、十分に吸水させること。また、型枠は確実に締め直すこと。
(2)
鉄筋組立
ア
鉄筋は、原則として、JIS G 3112に適合したもので、設計計算書に記載されて
いる強度以上のものを使用すること。
イ
主筋の継手は構造部材における引張力の最も小さい部分に設け、継手の重ね長
さは溶接する場合を除き主筋の径の40倍以上にしなければならない。
ウ
引張り鉄筋の定着される部分の長さは、主筋に溶接する場合を除き、その径の
40倍以上としなければならない。(図9参照。)
エ
スペーサーは、設計書に記載されているかぶりが確保できるよう、適切な間隔
に配置すること。
オ
鉄筋は、組み立てる前に清掃し、浮きさび、その他鉄筋とコンクリートとの付
着を害するおそれのあるものを取り除くこと。
?
ℓ
?:
ℓ 定着 長 さ
ℓ
?
?
ℓ
ℓ
?
?ℓ
図9
引張り鉄筋の定着長さ
- 49 -
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