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TIPLO News (17) /Janpanese 2000

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TIPLO News (17) /Janpanese 2000
台湾知財ニュース
・課税回避目的の特許権の海外移転、国税局は摘発を強化の方針(2月21日)
・ 内外出版社からなる「国際図書業交流協会」が発足、検察機関と共に外国教科書の違法
コピーに厳しく責任を追及
(2月21日)
・ ウエハー工場の中国へのプラント輸出解禁で、賛否の意見が対立するなか、ジレンマ
に陥る政府当局の対処に米も関心を示す
・ バイアグラに係る防護商標があるバイオテク会社の名称と同一で無効にされたことで、
Pfizerは知的財産局を相手に行政訴訟を提起
(3月2日)
・半導体大手TSMC、12インチウエハー工場に関わる営業秘密を中国のライバル業者に漏
らした疑いがあるとして元社員を告訴
◆
課税回避目的の特許権の海外移転、国税局は摘発を強化の方針
営利事業が外国企業に支払うロイヤリティーは免税の対象にされているので、ハイテク産業
における一部の業者が税金を課されるのを避けるため、研究開発した技術に係る特許権や商標
権等各特許の権利を海外にある子会社に移転し、技術供与契約を結んだ後、莫大な金額のロイ
ヤリティーを子会社に支払うことによって、営業所得税の申告にあたってかかるライセンス料
を経費として勘定し、免税の優遇措置を受けて税金の納付を免れようとするケースが少なくな
い、ということが国税局の最近の調査でわかった。
これに対し、国税局は、実質課税原則に基づいてこのような手法を利用して税金が課される
のを避けようとする業者によってなされたロイヤリティーに関する免税申請を否決し、さらに
今後はハイテク産業を重点対象にして審査を強化する方針を示した。
(中央社 2002.02.21 ほか)
(解説)
現行所得税法第 4 条第 21 号は、営利事業が新しい生産技術或いは製品を導入し、又は製品
の品質を改良し、生産コストの削減を図るため、主務官庁の特別許可を受けて外国営利事業が
所有する特許権、商標権及び各種特許権利を利用するときは、当該外国営利事業に支払われる
ロイヤリティーについて、所得税免除の優遇措置を受けることができる、と定めている。この
規定を適用するのは、ほとんどが半導体、情報通信、精密機械及び自動化装置に関連するハイ
テク産業である。
確かにハイテク産業界では、外国大手企業から求められる多額のロイヤリティーが企業経営
に大きな負担となっている。とはいえ、国内の技術水準を向上させるために設けられたこの税
金免除優遇措置を悪用するのは如何かと思う。いったん、海外の子会社を通しての所得税の申
告漏れが発覚した場合、税務機関は五年間の課税期間内に遡って追徴課税ができるほか、企業
側にとって前科が残るのも好ましくないだろう。
◆
内外出版社からなる「国際図書業交流協会」が発足、検察機関と共に外国教科書の違
法コピーに厳しく責任を追及
外国の出版品が台湾で不法にコピーされている問題が深刻化しつつあり、1 年当り出版業者
に 5000 万ドル以上の損失を与えている。特に大学、専門学校及び予備校などに通う学生が学
校近くの本屋やコピー、装丁を専ら承っている店に教科書のコピーを丸ごと委託するのがよく
あることである。
こうした無断複製の問題に対応するための業者団体、「台湾国際図書業交流協会」は 20 日
に設立された。国内外の出版社 26 社と本屋を結成したこの団体は、知的財産権に関する知識
を広め、出版品の海賊版及び違法コピー問題への取り組みをモットーにしている。
(工商時報 2002.02.21 より)
(解説)
今年が「知的財産権保護推進運動年度」であることもあって、台湾中部の検察・調査機関は
英米出版社六社の共同告発を受けて、12 日の晩、中部にある幾つかの大学周辺のコピー請負
店について立ち入り検査を行った。法務部部長の陳定南氏は、中部から始まり、捜査活動を次
第に全国各地の大学や専門学校に広げていくと言っている。
著作権法第 51 条の定めるところにより、個人的に使用し或いは家庭内での非営利的使用を
目的とするときは、合理的な範囲内において図書館及び公衆の使用に供しない機器を利用して、
公表された著作物を複製することができる。したがって、これらのコピー請負店が営利を目的
として、学生の依頼を受けて外国出版社出版の教科書をコピーするのは明らかに著作権法に触
れている。ただ、問題になるのは、コピーを委託した学生側に法律上の責任があるどうかとい
うことである。この点については、コピーの内容、数量及び使用の目的によって認定する。
また、同法第 88 条には、過失によって他人の著作財産権或いは出版権を不法に侵害した者
に対し、被害者は民法の規定により賠償を請求することができるとある。以上の民事損害賠償
責任のほか、第 91 条にも侵害者の刑事責任を問う規定が置かれている。刑事責任を追及する
には、営利を目的としたものなのか、私的使用なのか、故意があったか、を総合して判断する。
◆
ウエハー工場の中国へのプラント輸出解禁で、賛否の意見が対立するなか、ジレン
マに陥る政府当局の対処に米も関心を示す
8 インチウエハー工場の中国へのプラント輸出をめぐって、大手半導体メーカーが競争力向
上の一環として中国への工場建設は欠かせないと主張して、開放を迫っている一方、台湾の半
導体産業界が 20 年、30 年をかけてようやく手に入れた世界市場での地位が中国に奪い取られ
てしまうのを懸念する反対の意見も強い。
行政院は、一応開放の方針を示したが、各界の意見が激しく対立するなか、時間表の発表を
3 月末頃にずらした。開放の前提とされた管理体制づくりも関係諸機関で検討しているとのこ
とだが、政治問題に発展しそうなこの難しい局面の打開に政府の決断力が試されている。
(http://ctnews.yam.com.tw/ より)
(解説)
中国へのプラント輸出に関心を寄せているのは失業人口の増加や競争力の低下を心配する
台湾国民だけでなく、台湾が果たして業者の動きを効果的に管理することができるのかを疑問
視する、アメリカからの打診も相次いでいる。台湾のハイテク産業がここまで発展を遂げてき
た背景には、技術の面でのアメリカの助けが大きな要因とされている。産業界に対する設備の
提供や人材の養成、台湾の政治的自主権の確保や国家の安全保障までアメリカに頼っていると
ころが多い。中国へ行かなければ生き残れないなど半導体産業の運命を中国にかけているとい
うような偏った考え方は危険すぎる。
中国だけに注目するのを止めて、WTO を通じて経済的にも貿易的にも他の民主国家との連携
を強化することで、資金をバランスよく運用し台湾の経済を他の先進国並みのレベルにアップ
させるべきという米側のアドバイスだった。中国へのコア技術の流出に不安の声を漏らしてい
るアメリカにも配慮しなければならない。プラント輸出にあたっての資金調達はどうなるか、
莫大な資金が中国へ流れ、台湾の金融市場にどのような影響を与えるか、またプラント輸出に
関連して、川下産業の中国への移転に拍車がかかり、台湾の経済はどう変化するか、政策決定
が重大だ。軍事的脅威を感じながらも、経済的には中国への依存度が高まる一方、政府当局は
国家安全、経済発展、世界情勢を見極めた上で、慎重にしかるべき方針を打ち出すべきであろ
う。
◆
バイアグラに係る防護商標があるバイオテク会社の名称と同一で無効にされたこと
で、Pfizer は知的財産局を相手に行政訴訟を提起
「威而鋼」(バイアグラ)に係る防護商標が無効にされたのを受けて、製薬会社「Pfizer」
は知的財産局を相手取って高等行政裁判所に裁判を起こした。バイアグラが発売されて以来、
話題を引き起こし、世界中最も名の知れたピルであると言われている。しかし、この有名な
バイアグラに関し、1998 年に台湾で商標登録を受けたが、出願当時の指定商品は薬品になっ
ていることから、商標権の効力は薬品にのみ及ぶ。したがって、薬品以外の商品にバイアグ
ラの名前が付けられ、消費者に出所の混同を生じさせるのを防ぐため、Pfizer 社は翌年の
1999 年、さらにこの三つの文字「威而鋼」をもって食品、飲み物、化粧品などさまざまな商
品について防護商標出願をした。ところが、1998 年には既に「威而鋼生物科技(バイオテク
会社)」という名称の株式会社が会社法により設立登記をしており、しかも同社が会社設立
登記の際に記入した営業項目には、食品、飲み物などが含まれているので、Pfizer の防護商
標登録が係争会社の無効審判請求によって否決された。
(工商時報 2002.03.02 より)
(解説)
Pfizer 社は、同社の防護商標登録を無効にした知的財産局の決定を不服として経済部に提出
した訴願が却下され、もし行政裁判所での争いが敗訴になった場合、名前を変更せざるを得な
いかもしれない。一方、係争会社も、商標「威而鋼」をめぐる紛争で同社製品が国内市場での
販売ができず、損失が六億元にものぼる、と被害を訴えている。この事件に示されているよう
に、商標権ないし防護商標の早期権利化はどれほどの経済価値をもつかが分かる。
商標法第 37 条第 11 号により、会社登記の名称と同一の標章を用いての登録商標について、
利害関係者は、知的財産局に商標登録の無効審判を請求することができる。係争会社は経済部
商業司に会社登記をしたのに対し、Pfizer は知的財産局に出願し商標登録を受けていて、両方
の業務所管機関は異なるが、両社が取扱商品として指定しているのは同一或いは類似商品に該
当するため、前掲規定を適用する対象となる。さらに、Pfizer が防護商標登録を出願する前に
係争会社の承諾を得ていないことから、係争会社はこの規定に基づいて、Pfizer の「威而鋼」
に係る防護商標出願に対し無効審判を請求した結果、Pfizer の出願が否決されることになった。
Pfizer はあくまで「威而鋼」が著名商標であることを主張する方針のようだが、今の状況から
して、指定商品の範囲を超えての「威而鋼」を独占排他的に使用できる専用権を取得するのが
不可能に近い。
◆
半導体大手 TSMC、12 インチウエハー工場に関わる営業秘密を中国のライバル業者に
漏らした疑いがあるとして元社員を告訴
半導体大手 TSMC は先日、元専門プロジェクトの責任者だった女性社員を同社 12 インチウエ
ハー工場に関する重要な情報をライバル業者の上海「中芯集成電路公司」に漏らしたとして告
訴した。TSMC によると、当該責任者が業務上の便宜を計らって、他の社員から会社所有の 12
インチウエハー工場に関する設計図やウエハーの製造工程と方法などの機密情報を盗んで、ウ
ェブサイトで開設した無料メールアカウントを利用して、「中芯集成電路公司」の重役にその
情報を送った。かかる行為は立派な犯罪行為で、刑法の窃盗、横領及び背任罪に問われるべき
であるという。しかし、TSMC がなぜその行為に気づいてから、1 年も経ってはじめて告訴に踏
み切ったかについて、ライバル業者間の引き抜き合戦が繰り広げられるなか、営業秘密がこれ
以上漏らされるのを未然に防ぐためだ、と内部事情に詳しい者は考えている。
現在、同元社員は「中芯公司」の株主になり、かつ幹部を務めていることから、検察側では、
事件の背後には、不当な利益供与があったのではないか、計画的な産業スパイの犯罪行為とみ
て、裏付け捜査を進めることにしている。
(http://news.chinatimes.com より)
(解説)
この事件で話題となった知的財産権保護問題がハイテク産業界に波紋を投じている。あるメ
ーカーは「知識産業時代の知的財産権」の座談会で、次のように話している。「実際、営業秘
密漏えいの問題は外部が考えているよりも深刻化し、新竹サイエンスパークのメーカーは毎日
このような危機にさらされている。その気になれば、コピーや電子メールなど営業秘密を漏ら
す方法はいくらでもある。」
既に公表した技術であるなら、メーカーは権利侵害で損害賠償を求めることが考えられる。
一方、公表していない技術の場合、民事の営業秘密法及び刑事の背任罪で責任を追及すること
ができる。実際、多くのメーカーでは、社員と営業秘密保持契約を結んだり、又は競業禁止条
項を設けたりしている。しかし、ハイテク産業界にとって、これだけの処罰で業者が蒙った損
失の補填には遠く及ばない。
行政院副院長は国会で立法委員からの質問に対して、今回の営業秘密漏えい事件があったか
らといって、8 インチウエハー工場の中国へのプラント輸出の時間表を遅らせる可能性がまず
ないだろうと答えると同時に、経済建設委員会からアメリカの「産業スパイ及び営業秘密保護
法」を参考にして、産業スパイに関連する法律を制定する案が提出され、その方向で検討して
いく考えを表明している。
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