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「世界の環境首都・奈良」構想の概要版

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「世界の環境首都・奈良」構想の概要版
奈良市第4次総合計画への提案
「世界の環境首都・奈良」構想
~市民によるエコロジカルな NARA ライフを創造する世界遺産都市~
<概要版>
2010年9月
奈良市のまちづくりビジョン検討会
政策研究ネットワーク「なら・未来」
目次
「世界の環境首都・奈良」構想について
3P
「世界の環境首都・奈良」構想の全体像
4P
自治体運営の基本的な考え方
5P
「世界の環境首都・奈良」を実現するための基本的な考え方
6P
「世界の環境首都・奈良」6つの目標~エコロジカルな NARA ライフの創造に向けて~
7P
「世界の環境首都・奈良」の実現に向けた7つのプロジェクト
<基盤形成プロジェクト>
Ⅰ「みどりの回廊」プロジェクト
8P
Ⅱ「廃棄物ゼロ」プロジェクト
10P
Ⅲ「市民自治強化」プロジェクト
11P
Ⅳエコロジカル NARA ライフ研究所
12P
<地域戦略プロジェクト>
Ⅴ「平城京外京(奈良町)ルネッサンス」プロジェク ト
13P
Ⅵ「大和高原創造の森」プロジェクト
14P
Ⅶ「小学校区からの持続可能な地域づくり」プロジェクト
15P
「世界の環境首都・奈良」の実現に向けたプロジェクトの推進体制
18P
「なら・未来」市民会議・「奈良市のまちづくりビジョン検討会」の開催状況
19P
2
「世界の環境首都・奈良」構想について
政策研究ネットワーク「なら・未来」では、これから 10 年先の奈良市のまちづくり、都市経営の方向を決定
する第4次総合計画のあり方とその内容を検討する「なら・未来」市民会議・「奈良市のまちづくりビジョン検
討会」を昨年の 12 月に発足させました。それ以来、本年の 6 月までに延べ 5 回のまちづくりビジョン検討会
を開催し、ここに第4次総合計画の重点戦略として「世界の環境首都・奈良」構想をまとめあげました。
本概要版は「世界の環境首都・奈良」構想のダイジェスト版として作成したもので、これを基に、奈良市の
これからの都市像、まちづくりのあり方などにかかわる大論争が沸き起こることを期待しています。
概要版の説明に入る前に、「世界の環境首都・奈良」構想の要点、あるいは特徴を整理しておきます。
■あいまいとした都市像の設定とタテ割り行政がもたらす政策・施策の拡大圧が避け難い、総花的で平板
な行政計画としての総合計画を、明確な都市像の設定による政策・施策の「選択と集中化」によって、戦略
性をもった市民協働型の総合計画に再編しました。
■都市像を「世界の環境首都」と設定し、その実現に向けて環境・経済・社会の相互依存性に配慮する、つ
まり「環境の保全」と「経済的ないとなみ」と「生活の質の向上」が相互補完・相互補強の関係になることを
重視する「持続可能性(サステイナビリティ)」概念を計画策定の基本的な考え方、視点に位置付け、それを
踏まえた 7 つのプロジェクトを提案しました。
■7 つのプロジェクトとは、「みどりの回廊」プロジェクト、「廃棄物ゼロ」プロジェクト、「市民自治力強化」プロ
ジェクト、「エコロジカル NARA ライフ研究所」、「平城京外京(奈良町)ルネッサンス」プロジェクト、「大和高
原創造の森」プロジェクト、「小学校区からの持続可能な地域づくり」プロジェクトです。
■プロジェクトの紹介だけではなく、公共活動を行政・議会だけに任せるのではなく市民が主権者として積
極的に自治体運営にかかわり、責任をもつという市民自治型の自治体運営のあり方を提示しました。
■「世界の環境首都・奈良」の実現に向けた 7 つのプロジェクトを効率的・効果的に推進する行政から独立
した機動部隊として、市民・コミュニティ組織・NPO・事業者などの民間と行政との協働組織(パートナーシッ
プ組織)である公益財団法人「世界の環境首都・奈良」推進機構(奈良市の出資法人)の提案をおこないま
した。
■議会に、「世界の環境首都・奈良」構想の監視と助言のための常任委員会の設置と、そのもとに、外部
の有識者、市民などが参加する「世界の環境首都・奈良」検証・評価委員会を提案しました。
■「世界の環境首都・奈良」構想を着実に実現するために、上記の内容とともに、市民、行政、議会、推進
機構、コミュニティ組織、NPO、事業者などの関係主体のかかわり方などを法的に担保する「世界の環境
首都・奈良」推進条例の制定を提案しました。
3
「世界の環境首都・奈良」構想の全体像
■「世界の環境首都・奈良」構想は、「エコロジカルな NARA ライフの創造」を目指して、6 つの目標、7 つの
プロジェクトで構成されています。
■7 つのプロジェクトは、4 つの基盤形成プロジェクトと 3 つの地域戦略プロジェクトで構成されています。
■2020 年が第 1 期の目標とし、30 年後の 2040 年が最終ゴールとしています。
世界の環境首都・奈良
~市民によるエコロジカルな NARA ライフを創造する世界遺産都市~
「世界の環境首都・奈良」6つの目標
脱廃棄物に
脱自動車に
地域住民の
市民が主役
い「エコロジ
的資産を生か
よる「クリー
よる「歩いて
支え合いによ
の「市民自
カルなくらし」
した「個性ある
ンなくらし」
楽しいくらし」
る「安心なくら
治のくらし」
の創造
くらし」の創造
の創造
の創造
し」の創造
の創造
自然に優し
歴史的・文化
「世界の環境首都・奈良」7つのプロジェクト
基盤形成プロジェクト
「みどりの回
「廃棄物ゼ
「市民自治
エコロジカル
廊」プロジェ
ロ」プロジェ
力強化」
NARA ライフ
クト
クト
プロジェクト
研究所
地域戦略プロジェクト
「大和高原
「平城京外京
「持続可能な
創造の森」
ルネッサン
地域づくり」
プロジェクト
ス」プロジェク
プロジェクト
推進体制
「世界の環境首都・奈良」推進機構
4
検
証
評
価
委
員
会
自治体運営の基本的な考え方
■奈良市は、少子・高齢化と人口減少への対応、温暖化防止、歴史的環境の保全、地域経済の活性化に
よる雇用の確保、子育て支援、地域福祉体制の確立など、実に多くの解決すべき政策課題に直面していま
す。また景気の低迷、就業人口の減少などによる歳入減、少子・高齢化にともなう社会保障関連費の増加
による歳出増、約 2900 億円(2010 年度末残高見込み)の借金というように、奈良市は三重苦の財政危機に
陥っています。
■財政危機も含め奈良市が直面している多くの課題を、市民が無責任に放置することはもはや許されなく
なってきました。今までのように行政・議会に公共活動のすべてを一任する態度では、結局のところ市民に
マイナスのツケが回ってくるだけではないでしょうか。
■自治体運営にあたり、関係する主体が配慮、あるいは努力すべきことを以下に簡潔に列挙します。
◇行政・議会情報の積極的な開示による市民・行政・議会相互の情報共有化は、市民の参加と協働による
自治体運営をおこなうための必須条件です。
◇「自分たちのことは自分たちで決定し、実行し、結果に対して責任をとる」、「地域の問題・課題の解決の
あり方は地域(住民)で決定し、実行し、結果に対しては責任をとる」という意味における市民自治(住民自
治、地域自治)力を強化する必要があります。
◇行政の政策過程(政策形成、決定、実施、評価の過程)の各プロセスにおける市民参加制度の内容を充
実させ、参加の質を高める必要があります。参加を通じた行政活動に対する主権者のチェックと統制が必
要です。
◇政策実施過程における市民と行政の協働事業の実施に当たっては、協働協定(パートナーシップ協定)
などを締結し、相互の対等性を担保する必要があります。
◇議会の議事過程における、市民との意見交換会、市民参加の審議会の開催、委員会における公聴会・
参考人制度の活用など、議会における市民参加制度の充実と強化を図る必要があります。参加を通じた
議会活動に対する主権者のチェックと統制が必要です。
◇縦割り行政のフラット化、実力主義人事など、簡素・効率的・効果的な行財政システムの改革が急務で
す。
◇市民、コミュニティ組織、NPO、大学、事業者などの民間と行政との連携・協働による政策形成や事業実
施を積極的におこなう必要があります。また市民と議会との連携による政策形成も強化する必要がありま
す。
5
「世界の環境首都・奈良」を実現するための基本的な考え方
■「世界の環境首都・奈良」構想の、あるいは構想を実現するためのプロジェクトを立案する際の基本的な
考え方、視点を「持続可能性(サステイナビリティ)」概念においています。
■「持続可能性」とは、通俗的には現在の状態が維持され続けるということです。しかしその概念の本意は、
これからの社会のいとなみ、あるいはまちづくり、都市経営などにおいては、環境・経済・社会の相互依存
性に配慮すべきだ、いいかえれば「環境の保全」と「経済的ないとなみ」と「生活の質の向上」が相互補完・
相互補強の関係であるように努力すべきだという警告の概念でもあります。
■「世界の環境首都・奈良」の実現に向けた自然生態系や歴史的環境の保全・再生を基軸とする持続可能
な都市政策の推進は、大量生産・大量消費・大量廃棄に象徴される物質主義的、市場主義的な社会経済
システムを相対化し、環境に負荷を与えない自然的・歴史的資産を生かしたエコロジカルな価値や精神を
尊重する脱物質主義的な社会・経済システム構築への挑戦です。
環境
経済
持続可能性
社会
持続可能性概念図
環境
相互依存性
相互補完性
経済
相乗効果
社会
6
「世界の環境首都・奈良」6つの目標
~市民によるエコロジカルな NARA ライフの創造に向けて~
■自然に優しい「エコロジカルなくらし」の創造
1300 年の歴史のあゆみの中で、自然の恩恵を受け、活用しながらいとなまれてきた人々のくらしに学ぶ
とともに、自然生態系の保全・再生、自然エネルギーの活用、地産池消、3R(リデュース・リユース・リサイク
ル)の実践など、自然との共生、地球環境に負荷を与えないくらしが求められます。
■歴史的・文化的資産を生かした「個性あるくらし」の創造
奈良固有、地域固有の歴史的・文化的資産を生かしたしたくらし方が魅力的ではないでしょうか。1300 年
の歴史がもたらす多様かつ潤沢な資産に内胞する歴史的、文化的な価値や、先人のくらしの中で培われ
た生活の知恵や工夫をこれからのまちづくりやくらしに生かす必要があります。
■脱廃棄物による「クリーンなくらし」の創造
ごみはすべての人にとって、日々のくらしの中で必然的に生まれるものであり、ごみ問題は最も身近な環
境問題といえます。持続可能な環境首都を実現させるうえで「最終的に再資源化できない廃棄物は発生さ
せない」という廃棄物ゼロ(ゼロ・ウェイスト)の理念のもとに全市民が団結することが必要です。
■脱自動車による「歩いて楽しいくらし」の創造
「世界の環境首都・奈良」の実現には、自動車に依存しない歩行者・自転車・公共交通を中心とする交通
体系の確立が不可欠です。排気ガスによる健康被害、地球の温暖化、文化財の劣化、春日原生林への影
響など、世界遺産都市・奈良には車が似合いません。
■地域住民の支え合いによる「安心なくらし」の創造
生を受けてから死に至る人間の各ライフ・ステージ(幼児期~青年期~老年期)に対応するセイフティー
ネット(安心・安全網)としての地域福祉の充実が喫緊の課題です。小学校区単位で子育て支援、高齢者介
護、障がい者介護、保健、医療等にかかわる福祉サービスの供給体制の確立が求められています。
■市民が主役の「市民自治のくらし」の創造
「自分たちのことは自分たちで決定し、実行し、結果に対して責任をとる」という地域住民やNPOなどの
市民自治が成熟するとともに、行政・議会への参加・協働を通じた政府(首長(行政)・議会)に対する主権
者としての市民の統制力が強化されれば、奈良市はまさにローカル・デモクラシー(地域民主主義)が輝く
「世界の環境首都」になるでしょう。
7
「みどりの回廊」プロジェクト
■「みどりの回廊」とは
「みどり」が点・線・面の状態で存在し相互に連続性があり、かつ生物の
多様性が担保された生態系としての質をも持続し有機的な関係性が成立し
ている(無機質なものに阻害されない)状況を「みどりの回廊」と呼びます。
■奈良市には春日山一帯や矢田丘陵地、平城山丘陵、大和高原などの山
林地、富雄川、秋篠川、佐保川等の河川や田畑、これに奈良公園、平城宮
跡、その他の公園や街路樹、さらには各地域に根付く社寺仏閣などの文化
資源などにより豊かな「みどりの回廊」を形成できる環境基盤があります。
■「みどりの回廊」プロジェクトは、奈良市全体の歴史的風土をよみがえらせるプロジェクトです。豊かな既
存のみどり基盤を尊重し、活用して連続性を持たせる整備やそれぞれの質を高めることにより環境とともに
発展する世界遺産都市=「みどりの回廊のある環境首都・奈良」を実現するためのプロジェクトです。
■さまざまな「みどりの回廊」
① 街路・公園・社寺林による「みどりの回廊」
街路はまちの骨格を形成し、公園緑地はその拠点となります。その基本
的なまちの構造において豊かなみどり空間を実現することはまちの風格を
高め、資産価値を高めることにもつながります。
街路空間における街路樹と沿道敷地の植栽など、また歩行・自転車空間
としての心地よさを含め、豊かさの実感できる体系づくりと「みどりの回廊」
構造の創出が必要です。
②川とため池による「みどりの回廊」
河川環境は、1997 年の河川法の改正に伴い、豊かな自然環境の保全や、
潤いのある水辺の創出、そして生物の多様性の担保に寄与するもの(環境
省推進政策)として、その基本構造の見直しが図られました。一方、「新しい
治水」は「まちの保水力を高める」ことと考え、河川整備とともに都市施設に
おける貯留・調整機能の導入が検討されつつあります。特にため池は「まち
の保水力」を高める重要な都市施設として位置づけ、今後の活用・再生整
備が望まれます。
③「みどりの回廊」の拠点は小学校
小学校はグランドや緑地のある、まちの貴重なオープンスペースであり
みどりの拠点であると同時に、お年寄りでも歩いてゆくことのできる立地に
あります。「みどりの回廊」は子ども達に伝える「まちの財産」として、常に地
域との接点を持ちながら「育てる」役割を担うことが必要です。
8
「みどりの回廊」のあるまち
=奈良の模式図
■「みどりの回廊」プロジェクトの推進に向けて
これまで述べてきた「みどりの回廊」はハードとソフトの融合により成立し発展する概念であり手法です。
すなわち、各整備事業が地域の市民および地域組織との対話により行われ、地域による維持管理や育て
る作業により成長を見るプロジェクトです。ここに、その推進に当たっては、以下の3つの課題があります。
①「みどりの回廊」プロジェクト予算について
◇市民型公共事業
「みどりの回廊」プロジェクトは、奈良固有の自然再生事業であり、市民、NPO、地域組織、学校、事業
者、行政との協働で実施する市民型公共事業といえるものです。また、雇用の創出も期待できます。
◇観光の活性化を目的とした公共投資
自然再生・市民型公共事業は世界遺産都市奈良にふさわしい歴史的風土をよみがえらせる、より多くの
観光客の誘致を図る観光の高付加価値化、活性化を目的とする戦略的な公共投資です。
②管理管轄主体の一元化
道路や河川、公園などの管理主体は国・都道府県・市町村に分かれています。そのためそれぞれの管
理手法の違いから統一感の無い都市
「みどりの回廊」プロジェクトの推進
環境(都市景観)となっています。「みど
りの回廊」プロジェクトではこの管理主
体の一元化を図ると共に、統一された
整備方針の構築やデザインコードの検
討を行います。
事業予算の確保
管理主体の一元
化
推進組織」、NPOなどが担います。
地
「域推進組
「みどりの回廊推進統括組織」と「地域
地
「域推進組
「みどりの回廊」プロジェクトの推進は、
地
「域推進組
③「みどりの回廊」プロジェクト推進組織
≪みどりの回廊推進統括組織≫
専門 NPO+推進機構による運営
農林従事
者の参画
企業の参
NPO の参
9
推進体制模式図
「廃棄物ゼロ(ゼロ・ウェイスト)」プロジェクト
■「ゼロ・ウェイスト」(waste は無駄、ごみの意)は、イギリスの産業経済学者ロビン・マレーが提唱した概念
で、脱焼却、拡大生産者責任、クリーンプロダクションを柱として、廃棄物の発生量を限りなくゼロに近づ
けようとする考え方です。
■1300年前に日本の都として開かれ,世界に誇る古都として受け継がれてきた奈良を、私たちは 1300 年
後の子どもたちにも引き継いでいく責務があります。この美しい景観をごみで埋もれさせないために、私
たちは今から1人ひとりができることを始めなければなりません。その指針として、内外に「ならゼロ・ウェ
イスト宣言」を発信します。
■「ならゼロ・ウェイスト宣言」の骨子
①ゼロ・ウェイスト達成までの工程表と段階的目標を明らかにすること
(例)第1段階=2020 年までに焼却量3割減(2008 年度比)+リサイクル率 50%を達成。
第2段階=2030 年までに焼却量5割減+リサイクル率 70%を達成。
第3段階=2050 年までに焼却量8割減+リサイクル率 90%を達成。
焼却施設に頼らない廃棄物処理・管理の仕組みを確立。
第4段階=2080 年までにゼロ・ウェイスト(焼却ごみゼロ+埋立ごみゼロ)を実現。
②市民・事業者・行政が連携・一致協力してゼロ・ウェイストを目指すための仕組みを確立すること
③「ゼロ・ウェイスト」政策の骨子(例)
市民が取り組
むこと
事業者が取り
組むこと
行政が取り組
むこと
短期的な取り組み
(1~3年で実現)
・資源集団回収の促進
・生ごみ・廃食油リサイ
クルのモデル事業
・市民主体の3R推進
運動
・レジ袋の有料化
・自販機の製品回収義
務化
・牛乳パック、ペットボト
ル、プラスチックトレ
イなどの店頭回収の
拡大
・オフィス古紙リサイク
ルシステムの構築
・資源集団回収への支
援
・木津川市とのごみ処
中期的な取り組み
(3~10 年で実現)
・ごみ・資源ステーショ
ンの自主管理
長期的な取り組み
(10~100 年で実現)
・地域コミュニティ内で
の資源循環システム
の確立
・統一リユースびんス
びんやリユースペッ
トボトルの導入促進
・民間主導による生ご
み・落ち葉・剪定枝
資源化施設の建設
・クリーンプロダクション
の確立
・家庭系ごみの有料化
・拡大生産者責任の明
確化
・脱焼却への転換
10
理広域連携
・落ち葉・剪定枝の分
別収集・リサイクル
・事業系ごみの徹底分
別義務化
「市民自治強化」プロジェクト
■「世界の環境首都・奈良」の実現に向けたプロジェクトに共通する原則は、市民がその推進の主役である
ということです。市民が主役を前提とした行政と民間との協働によるプロジェクトの推進にこそプロジェクト
の成否がかかっています。
■市民自治強化基金を基軸とする市民自治強化システムは、市民が納めた市民税(個人・法人)の一定割
合を、毎年、行政が市民自治強化基金に拠出します。運営委員会(審査委員会)の審査に合格したコミュニ
ティ組織、NPO、地域自治組織などに助成金が支給されます。助成金の支給と並行して情報提供、人材派
遣などのバックアップが、支援組織である市民自治支援ネットワークから実施されるという流れです。
■市民自治支援ネットワークは、助成の有無にかかわらず、コミュニティ組織、NPOなどの市民活動団体
や、地域づくり協議会などを支援するネットワーク型の支援組織です。メンバーは、中間支援組織、大学、
研究機関、専門家などで構成されますが、市外の関係機関、専門家などとのネットワーク化も図ります。
■「市民自治強化」プロジェクトの最大の眼目は、資金不足に悩むコミュニティ組織、NPOなどへの技術的
支援を伴った資金投資をおこないながら総合マネジメント力、いいかえれば住民自治力、市民自治力の強
化を通じて「世界の環境首都・奈良」を実現しようというものです。
毎年拠出
助成審査・評価委員会
助成後の
検証・評価
市民自治強化
基金
市民税の一定枠
審査
活動助成
寄付
コミュニティ組織
市民活動の
地域自治組織
マネジメント力
NPOなど
市民自治力の強化
支援
市民
企業
奈良ファン
市民自治
支援ネットワーク
11
市民自治強化基金を基軸とする市民自治強化システム
エコロジカル NARA ライフ研究所
■エコロジカル NARA ライフ研究所は、奈良の自然環境、歴史的・文化的環境などをフィールドに、「世界の
環境首都・奈良」の6つの目標でもある、自然に優しい「エコロジカルなくらし」、歴史的・文化的資産を生か
した「個性あるくらし」、脱廃棄物による「クリーンなくらし」、脱自動車による「歩いて楽しいくらし」、地域住民
の支え合いによる「安心なくらし」、市民が主役の「市民自治のくらし」など、エコロジカルな奈良ライフを創
造するためのシンクタンクです。
■寺社、研究所、博物館、大学、行政、事業者、エコライフ研究家、芸術家、デザイナー、建築家、クリエー
ター、NPO、市民、観光客などとの連携・協働によるオープンネットワーク型の研究活動を推進します。
■奈良での生活に豊かさを実感できるエコロジカルな NARA ライフ指標の研究とともに、それと連動する奈
良独自の持続可能性指標の開発をおこないます。
■世界遺産都市としての歴史的な風土・環境、あるいは宗教性・精神性という古都奈良という「場」のもつ
力や特性を生かす形で「世界の環境首都・奈良」フォーラムを開催します。
寺社
奈良
ファン
デザイナー
エコロジカル
市民
建築家
NARA ライフの研究
持続可能性
農家
指標の研究
エコロジカル
エコライフ
NARA ライフ
商品の
研究所
企画開発
研究所
奈良の風土と
くらしの研究
大学
林業家
博物館
NPO
12
エコロジカル NARA ライフ研究所のイメージ
「平城京外京ルネッサンス(別称:奈良町ルネッサンス)」プロジェクト
■奈良公園を取り囲む旧市街地の範囲にほぼ該当する平城京外京(奈良町)は、710 年に建都された平城
京の外京に位置する 1300 年の歴史を歩む、わが国最古の歴史的市街地で、日本文化の源流都市ともい
われています。奈良公園・奈良町を、環境・経済・社会の統合化により一体的に再生を図ります。
歩行者・自転車・公共交通優先の交通体
歩行者・自転車優先道路の整備
奈良女
きたま
界隈
ち界隈
界隈を結ぶ回遊散策ルートの整備
森の駅
自動車の
乗り入れ規制
近鉄奈良
JR奈良
公園内は
三条通り「緑の春日参道」
奈良公園
歴史的町並みを生かした住民主体の地域づく
元興寺
高畑
界隈
界隈
町並み保存による市街地全体の景観形成
春
日
原
生
林
平城京外京(奈良町)
■5 つの主要事業
◇「歩いて楽しい歩行者優先型の交通体系事業」は、奈良公園内の自動車交通を禁止して公園を神聖な
散策の森に戻します。奈良町の街路網を歩行者専用道・自転車専用道・バス専用道・自動車道に類型化し、
歩行者・自転車・バス利用を促進させ、奈良町を歩いて楽しい、賑わい空間によみがえらせます。
◇「JR奈良「森の駅」・三条通り「緑の春日参道」再生事業」は、奈良の表玄関口であるJR奈良駅東の空
間を、来訪者が奈良を訪れた喜びを体感できる緑と水辺の「森の駅」に再生します。そしてその緑の流れを、
歩行者専用の緑豊かな散策空間である「緑の春日参道」から奈良公園へと繋げます。
◇「歴史的町並みを生かした住民主体の地域づくり事業」は、地域住民・NPOなどが主導する町並み保
存・再生の地域づくりを奈良町全体(元興寺界隈・きたまち界隈・・・・)に広げ、ネットワーク化を図ります。
◇「町家を活用したセミナーハウスのネットワーク整備事業」は、奈良町の空き町家を活用した長期滞在型の研
修・研究型の宿泊施設の整備です。利用者に対する情報の提供などの支援サービスの提供が特徴です。
13
◇「持続可能な観光の推進事業」は、大和高原などをフィールドにしたグリーンツーリズムの開発、廃棄物
の削減とリサイクル、地産地費の食材利用など、環境マネジメント型宿泊施設の整備をします。
「大和高原創造の森」プロジェクト
■大和高原地域(田原、柳生、大柳生、東里、狭川、月ヶ瀬、都祁)は、環境・経済・社会という3つの要件
で構成される持続可能性の中の環境要件の保持において特に秀でています。森林はCO2 の吸収源であり、
自然エネルギー源であり、市民の命を守る水源などの環境資産としての価値を潤沢に保持しています。ま
た高原立地を生かした、梅、茶、シイタケなどの高原野菜などの特産品も豊富です。そのうえ月ヶ瀬、都祁
は名阪国道に隣接する交通の利便性を生かした広域ネットワーク力を強みとして持っています。
グリーン
環境学習・
ツーリズム
総合学習
の開発
月ヶ瀬・都祁
の地域自治
の強化
の場づくり
知的創造
地産・地消
費システム
「大和高原創造の森」
産業の
8 つのプロジェクト
開発
の構築
民家活用の
環境保全
自然エネ
セミナーハ
システムの
ルギーの
ウス整備
開発
開発
■8 つの取り組み
◇大和高原と市街地の市民の交流を推進しながら山林地の里山文化や歴史文化の発掘、農産物の販売
や観光などの地場産業の振興に結び付くグリーンツーリズムの開発をおこないます。
◇青少年を対象にしたグリーンツーリズムによる青少年の環境教育・総合学習の場づくりをおこないます。
◇高原野菜などの農産物の市民への直販、奈良町の旅館・ホテルの食材の供給など、大和高原と市街地
を結ぶ多様な地産地消の循環システムの構築をおこないます。
◇農村集落の景観保保存および伝統的な民家保存のために空き民家を民宿や長期滞在型のセミナーハ
ウスに活用をおこないます。
◇山林地や農地、水源涵養地、生産緑地などの保全を図り、豊かな環境資産を保全するための大和高原
環境保全マネジメントシステムの開発が求められます。
◇大和高原の環境資産を活用した風力、水力、バイオマスなどの自然エネルギーの開発をおこないます。
◇豊かな環境資産、歴史資産、文化芸術資産に関西学術文化都市の地的資産を融合させ、環境・経済・
社会が統合された持続可能な知的創造産業の開発を検討します。
14
◇月ヶ瀬・都祁地域の新市建設計画の見直しとともに、住民自治、地域自治力の強化に結び付く協議会
(月ヶ瀬地域振興協議会、都祁まちづくり協議会)の再構築が求められます。
「小学校区からの持続可能な地域づくり」プロジェクト
■持続可能な地域づくりとは、環境保全にかかわる活動、地域経済の活性化にかかわる活動、生活の質
を高める活動という環境・経済・社会の3つの分野の活動がバランスよくおこなわれている地域づくりという
ことです。49 の小学校区を舞台に、持続可能な地域づくりを展開します。
モビリティ
地球温暖
自然生態
化の防止
系の保全
環境
廃棄物ゼ
ロの実現
ーの向上
地域防犯・
小学校区の
防災の
地域づくり協議会を
推進
中心に展開される、
歴史的・
文化的資
産の保全
持続可能な地域づくり
地域教育
観光・伝
11 の活動
商店街の
コミュニテ
の推進
ィビジネス
社会
統・地場産
の推進
地域福祉
経済
業の振興
活性化
の展開
■持続可能な地域づくり 11 の活動内容
持続可能な地域づくりに必要な活動内容は、環境の保全・経済の活性化・生活の質の向上などにかか
わる少なくとも以下の 11 の活動が展開されることが望ましいです。以下の 11 の活動がすべて揃っていなく
ても、地域に不足している活動分野、あるいは現時点で力量不足の活動を時間をかけて育て上げていく、
あるいは活動を担う組織をつくり上げていくという考え方が大切です。
◇自然生態系の保全
里山保全、鎮守の森の保全、水系保全、多自然型川づくり、湿地緑地の再生、屋敷林の保全、絶滅の危
機にある動植物の保護活動、ビオトープ公園の整備や緑化などの活動。
◇地球温暖化の防止
エネルギー使用量の抑制、太陽光、バイオマスなどの自然エネルギーの利用向上など、CO2 の削減を
図る活動、公共交通機関の利用促進、快適な自転車道の整備や歩行空間の確保。
◇廃棄物ゼロの実現
ゴミの減量、生ゴミ・廃食油のリサイクルの取組み、地域内資源循環システムの構築などの活動。
◇モビリティーの向上
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公共交通機関の利用促進、快適な自転車道の整備や歩行空間の確保など、移動の円滑化・快適化を
図り、すべての人にとってのアクセスビリティ(目的地に容易に到達できること)を保障する活動。
◇歴史的・文化的資産の保全
歴史的町並みやくらしに根ざした地域文化財の保存・再生、伝統行事、伝統工芸の保存・継承などの歴
史的・文化的資産の保存およびその担い手の育成や技能の継承をおこなう活動。
◇コミュニティビジネスの展開
子育て支援サービス、高齢者への介護サービスの提供などをおこなうコミュニティビジネスの開発。
◇商店街の活性化
商店街の空き店舗を活用した市民ギャラリー、コミュニティビジネスなどのお店の開設、商店街の通りや
広場を使った近隣野菜の定期市、イベントの展開など、地域住民のくらしやコミュニケーションを支える商店
街の活性化活動。
◇観光・伝統・地場産業の振興
観光の活性化、伝統工芸、地場産業などの振興にかかわる活動。
◇地域福祉の推進
子育て支援、高齢者介護、障がい者介護、保健、医療等にかかわる福祉サービスの供給活動と、それら
に総合的に対応する地域福祉の仕組みづくりにかかわる活動。
◇地域教育の推進
子供や青少年、成人を対象に、地域をフィールドに環境教育や地域総合学習などをおこない、持続可能
な地域づくりの担い手を養成する活動。
◇地域防犯・防災の推進
自主防犯・防災などによる、地域の安全・安心を高める活動。
■地域づくり協議会
地域づくり協議会は、小学校区を活動単位に持続可能な地域づくりを推進する地域自治組織で、地域を
代表する住民自治組織です。行政の下請け組織ではなく、行政から自立した住民自治組織です。
協議会の最大の機能は地域総意の形成と決定です。そのためにも、協議会の運営には地域住民の参
加が保障されなければなりません。また組織の透明性の確保はいうまでもありませんが、地域住民に対す
る説明責任も求められます。
■小学校が拠点
持続可能な地域づくりの拠点は小学校です。余裕教室を地域づくり協議会の事務局として活用するとと
もに、地域で活動する諸団体の事務局もそこ併設して、小学校を地域住民の交流の拠点、住民自治の拠
点、地域づくりの戦略本部と位置付ける必要があります。また「みどりの回廊」プロジェクトの拠点として、地
域の自然生態系の保全・再生のセンター、生ごみ・枯葉のコンポストヤードなど機能を果たします。
■市民自治支援ネットワークによる支援
地域住民による持続可能な地域づくりの推進および地域自治力の強化のためには、地域づくり協議会や
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地域の諸活動を支援する体制整備が必要です。大学、研究機関、NPOセンター、専門家などでネットワー
クされる市民自治支援ネットワークが持続可能な地域づくりの支援を担います。
「世界の環境首都・奈良」の実現に向けたプロジェクトの推進体制
■「世界の環境首都・奈良」の実現を目指して、市民との協働による 7 つのプロジェクトを推進するためには、
7 つのプロジェクトの包括的な把握とともに、個々のプロジェクトが効率的・効果的に遂行される必要があり
ます。
市民、コミュニティ組織、NPO、事業者、学識者
参加
「世界の環境首都・奈良」推進条例
「世界の環境首都・奈良」推進会議
奈良市議会
奈良市行政
「世界の環境
首都・奈良」
推進本部
「世界の環境首都・奈良」推進機構
み
廃
市
平
大
持
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ど
棄
民
城
和
続
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り
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京
高
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協働
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ゼ
治
外
原
能
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な
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廊
P
化
P
地
イ
域
フ
P
研
出捐
プロジェクト
チーム
P
P
「世界の環境首都・奈良」一括交付金
市民自治強化基金
「世界の環境
首都・奈良」
常任委員会
議案
「世界の環境首都・
監査
奈良」検証・評価
協働
委員会
参加
市民、NPO、ミュニティ組織、事業者、学識者
■「世界の環境首都・奈良」推進機構(理事長:副市長)は、7つのプロジェクトを統括して実行する、行政と
市民・NPO・コミュニティ組織などとの協働(パートナーシップ)組織(行政から独立した市の出資法人である
公益財団法人)として設立します。実務の総括マネージャー、スタッフなどは外部の人材を公募。プロジェク
ト予算については、「世界の環境首都・奈良」予算枠として優先的に確保します。また市民自治強化基金へ
は市民税の一定枠を拠出します。
■行政内に、関連する各部署を横断的にネットワークした「世界の環境首都・奈良」推進本部(本部長:市
長、副本部長:担当副市長)と、市民、コミュニティ組織、NPO、事業者、学識者、行政、推進機構関係者等
で構成される「世界の環境首都・奈良」推進会議を設置します。
■議会に、推進機構のプロジェクトの進捗状況など、「世界の環境首都・奈良」の実現にかかわる事業内容
を総合的に監視するとともに、助言などもおこなう「世界の環境首都・奈良」常任委員会、そのもとに外部の
有識者、市民などが参画する「世界の環境首都・奈良」検証・評価委員会を設置します。
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■プロジェクトを着実に遂行するため、「世界の環境首都・奈良」推進条例を制定します。
「なら・未来」市民会議・「奈良市のまちづくりビジョン検討会」の開催状況
■第 1 回奈良市のまちづくりビジョン検討会(2009 年 12 月 23 日)
◇「総合計画を市民の自治・まちづくり計画にするために」をテーマに開催。
◇中川幾郎帝塚山大学法政策学部教授から、「これからの総合計画のあり方について」の問題提起、続いて奈
良市の森本恭平企画部長から「第 4 次総合計画の策定にかかわる説明」を受け、意見交換。
■第2回奈良市のまちづくりビジョン検討会(2010 年 2 月 20 日)
◇「総合計画を市民の自治・まちづくり計画にするために」をテーマに開催。
◇第1回検討会議の議論整理、木原勝彬政策研究ネットワーク「なら・未来」代表による計画策定への提案と、
それを踏まえてのワークショップ。
■第3回奈良市のまちづくりビジョン検討会(2010 年 5 月 16 日)
◇「持続可能な都市について語り合おう」をテーマに開催。
◇松永洋介氏(元「奈良市まちづくり市民会議」第5分科会代表、ならまち通信社主宰)による第5分科会の提案
内容の説明とワークショップ。
■第4回奈良市のまちづくりビジョン検討会(2010 年 6 月 5 日)
◇「奈良を「環境首都」にするためには」をテーマに開催。
◇杦本育生氏 (特定非営利活動法人環境市民代表理事、奈良市総合計画審議会委員)の「環境首都」を目指
す取り組みの事例紹介とワークショップ。
■第5回奈良市のまちづくりビジョン検討会(2010 年 6 月 27 日)
◇「「世界の環境首都・奈良」(仮称)をめざして」をテーマに開催。
◇「世界の環境首都・奈良」構想案の提案とワークショップ
提案者
木原 勝彬(政策研究ネットワーク「なら・未来」代表幹事、ローカル・ガバナンス研究所所長)
北井 弘 (
〃
副代表幹事、ジャーナリスト)
室賀 泰二 (
〃
事務局長、環境デザイナー)
■「世界の環境首都・奈良」構想のまとめ作業。(2010 年 7 月~9 月 21 日)
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第1回検討会の議論風景
第4回検討会でのワークショップ
政策研究ネットワーク 「なら・未来」
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〒631-0015 奈良市学園朝日元町2丁目 529-3-B209
ムロガ環境デザインズ内 TEL・FAX0742-46-1413
E-mail :[email protected]
http://www.geocities.jp/nara_mirai/
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