Comments
Description
Transcript
第13章 財務 - 明治学院大学
第 13 章 財 務 第 13 章 財務 第 13 章 財務 到達目標 明治学院大学がめざす中・長期的な教育・研究計画を積極的に推進し支えていくため、学校法人明 治学院の財政が、中・長期的に健全に運営されていくことを目標とする。 (1)教育・研究の目標を具体的に実現するため、中・長期的な財政計画に基づき、帰属収入の確保 と基本金の組み入れおよび減価償却引当資産の充実による強固な財政基盤を確立する。 (2)収入の増加のために、文部科学省科学研究費、外部資金(寄付金、受託研究費、共同研究費な ど)の積極的な獲得に取り組み、また資産運用益等の健全な確保に努める。 (3)三様監査(監事監査、会計監査人監査、内部監査)の充実によりそれぞれの監査人における連 携を推進し、実効性のある制度的枠組みの整備と、PDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルの 機能を強化する。 13-1.中・長期的な財政計画 【必須】中・長期的な財務計画の策定およびその内容 【現状と特色】 ①次年度の財政計画は、予算大綱の策定と併せて、前年度に開催される予算委員会においてたてられ、 次年度を含めた中・長期的な財政計画の見直しと検討が加えられる。それらが定期理事会において審 議される。 ②予算大綱は、中・長期的な財政計画に基づき、次年度の予算に関する具体的な方針を示している。 そのため次年度を含めた中・長期的な財政計画については、教育・研究目標の推進に必要とされる財 政基盤の充実をめざし、10 年間の消費収支計画の試算を目安に策定している。 ③中・長期的に財政を健全に運営し、かつ対外的な信用を得ていくために日本私立学校振興・共済事 業団の経営判断指標をメルクマールとして、 (ⅰ)帰属収入消費支出差額(以下、帰属収支差額)比率を 10%以上、 (ⅱ)消費収支差額を帰属収入の1%以上を確保していくことが必要であるとの考えに立っ ている。 ④学校を取り巻くステークホルダーから、一定の良好な評価を得て行くためには、日本私立学校振興・ 共済事業団が判定している学校法人経営判断指標において、7段階の最高のランクである「A1」ラ ンク(黒字幅も運用資産も十分で、設備更新能力がある)を維持していくことが重要となる。そのた め、経営判断指標( (ⅰ)教育研究活動によるキャッシュフロー(ⅱ)運用資産と外部負債の関係(ⅲ) 帰属収支差額)の向上を常に意識した財務運営を行なっている。 ⑤大学としては、教育・研究に関し、中・長期的計画に対応することができるように、常に第2号お よび第3号基本金への計画的組入れ、ならびに減価償却引当を計画的に行なっている。 【点検・評価】 13-1 第 13 章 財務 ① 中・長期的財政計画のメルクマールとなる指標に対する点検と評価 「帰属収支差額比率(資産売却・処分差額は除く)」については、2004 年度および 2005 年度は 10% 以上を維持してきたが、2006 年度は人件費(退職者の増)の増加等により消費支出が増えたことが 影響して 9.7%となり 10%を下回った。しかし 2007 年度は学生生徒納付金(大学)および国庫補助 金(大学経常費補助金)の収入の増加等により、同比率は 15.1%となり、目標とする 10%以上を回 復することができた。 また「消費収支差額を帰属収入の1%以上」にする比率については、2004 年度~2006 年度までの間 は、予算を上回る基本金の組み入れが行われたこと等の影響もあり、消費収支差額の低迷が続いた が、2007 年度において目標とする 1.0%を達成することができた。 [表1 帰属収支差額比率・帰属収入消費収支差額比率] 2004 年度 2005 年度 2006 年度 2007 年度 帰属収支差額比率 11.2% 11.8% 9.7% 15.1% 帰属収入消費収支差額比率 -0.4% 0.2% -2.7% 1.0% ②日本私立学校振興・共済事業団による学校法人経営判断指標に対する点検と評価 ・ 教育研究活動によるキャッシュフローは良好 下記の表2は、1年間の経常的な教育研究活動の結果として、どのくらいプラスのキャッシュ フローが生み出せるのかを表している。3年間のプラスのキャッシュフロー額を平均すると年間 32 億円となっており、この原資が借入金の返済や教育施設・設備への投資に充てられている。 収入(A)-支出(B)=C(3 年間平均 32 億円) C/A(3 年間平均 18.5%) ・ 運用資産と外部負債の関係も良好 運用資産(D)-外部負債(E)=差額(F) 差額となる(F)の金額は、2005 年度 250 億円、2006 年度 272 億円、2007 年度 321 億円となって おり、この3年間では運用資産が外部負債を上回る額が毎年増加している。 ・ 帰属収支差額比率(資産売却・処分差額は除く) 2005 年度は 11.8%、2006 年度には 9.7%に低下したが 2007 年度は 15.1%に回復した。 [表2 経営判断指標判定表] 明治学院 131091 判定 A2(2006 年) A1(2007 年) 2005 年度 2006 年度 2007 年度 収入(A) 17,091,407 17,762,135 17,754,492 支出(B) 13,710,162 14,596,158 14,596,158 C=A-B 3,381,245 3,165,977 3,158,334 19.8% 17.8% 17.8% Ⅰ 教育研究活動によるキャッシュフロー C/A 判定 ○ ○ ○ 2005 年度 2006 年度 2007 年度 運用資産(D) 30,833,647 32,727,757 36,107,000 外部負債(E) 5,747,652 5,497,132 4,004,000 F=D-E 25,085,995 27,230,625 32,103,000 Ⅱ 運用資産と外部負債の関係 C<0 且つ F>0 の時 F÷C(単位:年) 13-2 (単位千円) 第 13 章 財務 C>0 且つ F<0 の時 F÷C(単位:年) Ⅲ 帰属収支差額(資産売却・処分差額除く) 2005 年度 2006 年度 帰属収入(G) 17,353,733 18,020,822 18,145,800 消費支出(H) 15,309,881 16,268,180 15,401,052 I=G-H 2,043,852 1,752,642 2,744,748 11.8% 9.7% 15.1% I/G 判定 ○ 2007 年度 ○ ○ (出典:日本私立学校振興・共済事業団「私立学校の経営革新と経営困難への対応(最終報告)」 (平成 19 年 8 月 1 日)) ③第2・3号基本金および減価償却引当特定資産(2007 年度末)の状況に対する点検と評価 中期的な教育・研究計画が具体化していく過程においては、第1段階での資金調達手段として、 第2号基本金(4,012 百万円)および減価償却引当特定資産(6,735 百万円)の取り崩しによる資金 調達がある。しかし今後、長期的な教育・研究計画(アカデミックプログラム)が策定された場合 には、改めて長期的な財政計画を試算し、そのうえで基本金の組入れによる資金面での裏づけを確 保していくことが必要になる。 [表3 第2・3号基本金および減価償却引当特定資産(2007 年度末)] (百万円) 法人全体 大学 2号基本金 5,118 4,012 3号基本金 7,243 4,213 減価償却引当特定資産 7,817 6,735 (点検・評価の結果により判明した長所と問題点(改善すべき点) ) (長所) ① 中・長期的な財政計画のメルクマール 「帰属収支差額(資産売却・処分差額は除く) 」は、2004 年度 2,154 百万円、2005 年度 2,043 百 万円、2006 年度 1,752 百万円、2007 年度 2,744 百万円となっており、4年間で約 90 億に近い正味 財産が増加している。帰属収支差額比率の4年間の平均は 12.0%となっており、学院が中・長期的 な財政計画の目標とする日本私立学校振興・共済事業団の経営指標をメルクマールとする水準を上 回っていることになる。 「消費収支差額を帰属収入の1%以上」にする比率は、2004 年度~2006 年度まではその水準に到 達していなかったが、2007 年度において目標とする 1.0%を達成することができた。 ② 日本私立学校振興・共済事業団による学校法人経営判断指標 2007 年度の学校法人経営判断指標では、 「A1」ランクの水準となっている。 ③ 第2・3号基本金および減価償却引当特定資産(2007 年度末)の状況 大学の2号基本金は、「新設学部等設置資金」、「施設設備充実資金」として計画的に組み入れられ ている。 (問題点―改善すべき点) ① キャンパスの整備のための、資金調達の必要性 白金キャンパスには、高校の校舎とグラウンドが併設されている。今後、白金キャンパスをより 13-3 第 13 章 財務 有効活用するために、高校校舎の改築と併せて、大学施設の充実が必要となる。施設の拡充に向け、 その施設を活用するための将来を展望した教育・研究の中身についての議論を固めることを優先し、 他方、物理的にどのくらいの規模の建築が可能であるのか等について専門的に調査をした上で、そ れを可能とする資金調達額を試算することが必要である。 ② 教学改革に備えた資金の確保 校舎の建築には、第2号基本金(4,012 百万円)および減価償却引当特定資産(6,735 百万円)の 取り崩しによって、10,747 百万円まで調達が可能ではあるが、保有する減価償却引当金特定資産に 対し、2007 年度末の建物と建物付属設備の減価償却累計額 15,622 百万円に比べると、その 43%し か満たしていないことになる。 校地の購入については新たな借り入れを起こさないで調達できる資金には限界がある。また新た な借り入れを行うとしても、その限度は帰属収入の 20%(約 31 億円)以内にするよう努力をしな ければならない。 【将来の改善・改革に向けた方策】 ●長所の伸長を中心とした、その改善・改革に向けた方策について No. 具体的な改善策 計画・進行スケジュール 1. 帰属収入消費支出差額比率の 10% 2008 年度から 2018 年度において、当該比率の 10%以 以上の確保 上を目標に収支計画を策定する。 消費収支差額を帰属収入の1%以 2008 年度から 2018 年度において、当該比率の1%以 上の確保 上を目標に収支計画を策定する。 教育研究活動によるキャッシュフ キャッシュフローの水準を確保するため、収入に対す ロー比率の向上 るキャッシュフロー差額比率を 20%以上維持する。 運用資産と外部負債との差額の維 借入金の計画的返済の推進により 2007 年度末借入金残 持・拡大 高:4,002 百万円を 2018 年度末に 224 百万円にする。新 2. 3. 4. たな借り入れを行うとしても、その限度は帰属収入の 20%(約 31 億円)以内とするよう努める。 ●詳述 No.1 について 帰属収入消費支出差額が支出超過になると、年度内の消費支出を賄うために過去に蓄積した自己資 金を取り崩さざるを得なくなる。その結果、自己資金が減少し、中・長期的には財政的に危険な状況 に陥ることになる。これを回避するために、財政計画においても収入と支出のバランスを図りながら、 帰属収入消費支出差額比率の 10%以上の確保を継続していくことが肝要となる。 No.2について 学校法人明治学院は、予算編成方針において法人全体として収支均衡予算を目指してきた経緯にあ る。すなわち、各部門(大学、高校、中学・東村山高校)が法人維持費を計上したうえで、それぞれ の消費収支を均衡させることが前提となっていた。そのため、一部門で消費支出が超過すると法人全 体として補填が難しく、最終的には、消費収支差額が赤字にこそなれ、黒字になりにくい構造となっ ていた。 今後は、中・長期的に健全な財政計画を推進するとの観点から、各年度の消費収支差額を少しでも 収入超過として計上していく必要があり、そのメルクマールとするところは帰属収入の1%以上とい うことになる。それによって、2018 年度までに繰越消費収支差額が 1,891 百万円改善することが試算 13-4 第 13 章 財務 される。 No.3について キャッシュフローの良好な水準を確保するために、収入に対するキャッシュフロー差額比率を 20% 以上維持する必要がある。そのためには教育研究活動による収入の増加(学生生徒等納付金収入、手 数料収入、寄付金収入、補助金収入、資産運用収入、事業収入等)を図りながら、支出の厳格な管理 (人件費支出、教育研究費支出、管理経費支出、借入金利息支出等)を行わなければならない。 特に収入の中では、学生生徒等納付金収入を確実に確保するとともに、それ以外の収入である寄付 金収入、補助金収入、資産運用収入の増加に努める。 また支出の中では、借入金利息支出は確実に減少するため、これまでの年度と比較し返済資金と利 息支払資金の負担の軽減、キャッシュフローの一層の改善に寄与することになる。 No.4について 借入金の計画的返済が進捗することにより、2007 年度末借入金残高 4,002 百万円が 2018 年度末に 224 百万円にまで減少する(11 年間で 3,778 百万円返済する) 。また借入金利息は 2007 年度 153 百万 円が 2018 年度に6百万円に減少する。 2007 年度末における運用資産と外部負債の差額は 32,103 百万円であるが、今後は帰属収入消費支 出差額(正味財産)の増加と、借入金の減少という両面の効果がさらに現れる。 ●今後の課題を中心とした、その改善・改革に向けた方策について No. 具体的な改善策 計画・進行スケジュール 1. 大学白金キャンパスの整備に対す 大学白金施設拡充のためグランドデザインを検討する る資金の確保・調達 とともに、高校校舎の改築スケジュールと整合した収 支計画および資金計画を策定する。 (2008 年度以降) 2. 教学改革に備えた資金の確保 2008 年度以降の2号基本金の計画的な組み入れと、減 価償却引当金の増加に向けた検討を行う。 ●詳述 No.1について 大学施設拡充のためのグランドデザインを検討するとともに、高校校舎の改築スケジュールと整合 した収支計画および資金計画の作成が必要となる。その資金を調達できる限度については、校舎の建 築には2号基本金(4,012 百万円)および減価償却引当特定資産(6,735 百万円)の取り崩しによって 10,747 百万円まで調達が可能ではある。しかし、校地の購入については新たな借り入れを起こさない で調達できる資金には限界があり、また新たな借り入れを行うとしても中・長期的に健全な財政計画を 推進する観点から、その限度は帰属収入の 20%(約 31 億円)以内とすることが望ましい。 No.2について 教学改革に備えた資金の確保のためには、第2号基本金の計画的な組み入れと、減価償却引当特定 資産の増加が必要となる。大学の第2号基本金は、「新設学部等設置資金」、「施設設備充実資金」とし て計画的に組み入れられ、2010 年度末の組入れ予定額は 7,921 百万円(2007 年度末比 3,909 百万円増) となる予定である。一方で、大学部門の減価償却引当特定資産は建物と建物付属設備の減価償却累計 額 15,622 百万円に比べてその 43%を満たすに過ぎず、この差を埋めるためにも、今後は減価償却引 当特定資産の引当比率を高めるよう、計画的に積み増しを行っていく。 13-5 第 13 章 財務 13-2.教育研究と財政 【必須】教育研究目的・目標を具体的に実現する上で必要な財政基盤(もしくは配分予算)の確立 状況 【現状と特色】 ① 教育研究目的・目標を具体的に実現する上で必要な財政基盤の確立状況 明治学院大学は、 「キリスト教による人格教育」という創設者の建学の精神に立ち返り、 「他者への 貢献」 “Do for Others”を教育の理念として堅持しつつ、学生のための良好な教育環境を整えること、 また教員が社会に役立つ研究を進めることを目的とした財政基盤の確立を目指してきた。特に、2006 年度からは、教学改革の重点化政策として、全学科・専攻別に教育目標を明示し、教育・研究上の目 的の実現に向け、 「戦略的教学改革プログラム 2006」に基づく中・長期を展望した教学改革の推進を 図った。これらの教学改革プログラムの推進・実現のために、教育・研究の目標を支える学校法人明 治学院の財政基盤を一層充実していくことを重視している。 教育研究活動によるキャッシュフローは、現状では良好な水準にある。教育研究活動によるキャッ シュフローは、1年間の経常的な教育研究活動の結果として、どのくらいプラスのキャッシュフロー が生み出せるのかを表す。 学校法人全体として 2005 年度から 2007 年度の3年間の平均プラスのキャッ シュフロー額は 32 億円となっている(表2を参照) 。大学部門は学校法人全体の帰属収入の約 90%を 占めていることから、このプラスのキャッシュフロー額についても同様の割合であると考えられる。 また収入に占めるプラスのキャッシュフローの比率は、3年間平均で 20%であり、キャッシュフロー 収入の 20%を超える資金分は、借入金の返済や教育・研究活動のための施設・設備の充実に充ててい る。 良好な財政基盤を維持できている要因の一つとして、暫増方式による大学授業料収入によるが、2007 年度で当方式を終了しているため、今後は新たな運営資金の確保を検討していかなければならない。 (※2007 年度の学生生徒等納付金の比率は学校法人全体では 79.1%であるが、大学部門は 82.8%と 高くなっている。学生生徒等納付金は、学校法人の帰属収入の中でも最も比重が大きく、最も安定し た収入であり、この比率が高い水準を維持していることは、定員超過率の是正に伴う学生生徒数の減 少を、学生1人当たりの納付金の増加によって補っていることを意味している。2008 年度以降は、学 生生徒等納付金の増加が困難になることを勘案し、収入の維持を図るための方法を検討していかなけ ればならない。 ) 資金支出については、大学の借入金は、2002 年度末に 10,158 百万円であったが、2007 年度末には 4,002 百万円となり、6,156 百万円の返済ができた。それによって借入金利息は 2002 年度 454 百万円 が 2007 年度には 153 百万円に減少した。これらは資金面における余裕金となるとともに、消費収支差 額においてもプラスの影響をもたらしている。 ②大学における基本金の組み入れ状況(2007 年度末) 大学の第2号基本金は、「新設学部等設置資金」、「施設設備充実資金」として計画的に組み入れられ、 2007 年度末において 4,012 百万円となっている。また果実を奨学金等に活用する第3号基本金は、 「明 治学院大学教育研究充実基金」等を合わせて 4,213 百万円となっている。これらが教育・研究の目的・ 目標を具体的に実現する上で必要な財政基盤を構築するものとなっているといえる。 また教育・研究を行うための施設設備の充実のためには、それに対応できる財政基盤が必要となる。 2007 年度末における大学の減価償却引当特定資産は 6,735 百万円となっているが、同年度末の建物と 建物付属設備の減価償却累計額は 15,622 百万円に達しており、それに比べて 43%を満たすに過ぎな 13-6 第 13 章 財務 い。 [表4 2004 年度~2007 年度の決算推移表] 資金収支決算 (法人全体) (単位:百万円) 2004 年度 2005 年度 2006 年度 2007 年度 資金収入 29,806 29,434 33,736 28,853 資金支出 22,762 22,312 26,120 21,167 人件費支出 9,365 9,474 9,771 9,443 教育研究費支出 3,005 3,012 3,460 3,318 管理経費支出 704 1,029 1,186 932 借入金返済支出 2,631 1,030 430 830 施設関係支出 1,622 355 807 896 設備関係支出 361 367 372 434 その他支出等 5,071 7,043 10,092 5,311 7,043 7,121 7,615 7,686 収支差額 消費収支決算(法人全体) (単位:百万円) 2004 年度 消費収入 2005 年度 2006 年度 2007 年度 15,416 15,370 16,067 15,582 学生生徒等納付金 13,876 13,859 14,004 14,350 (同比率) (79.6%) (76.3%) (77.7%) (79.1%) 手数料 870 951 1,025 964 寄付金 151 213 197 272 補助金 1,601 1,677 1,825 1,741 17,443 18,175 18,025 18,145 2,027 2,806 1,958 2,563 15,493 15,335 16,546 15,401 消費収支差額 △78 34 △479 180 帰属収入消費支出差額 1,949 2,840 1,478 2,744 帰属収入 基本金組入額 消費支出 資金収支決算 (大学部門) (単位:百万円) 2004 年度 2005 年度 2006 年度 2007 年度 資金収入 18,057 17,898 22,783 17,426 資金支出 15,617 12,793 13,461 13,648 人件費支出 7,606 7,696 8,130 7,859 教育研究費支出 2,706 2,703 3,171 3,032 管理経費支出 533 521 596 580 借入金返済支出 2,629 1,029 429 829 施設関係支出 1,579 294 593 802 設備関係支出 348 356 363 391 その他支出等 215 193 178 154 13-7 第 13 章 財務 消費収支決算(大学部門) (単位:百万円) 2004 年度 消費収入 2005 年度 2006 年度 2007 年度 13,161 12,690 13,910 13,256 学生生徒等納付金 12,495 12,480 12,624 12,944 (同比率) (83.3%) (83.9%) (80.9%) (82.8%) 手数料 816 822 959 887 寄付金 77 119 113 99 補助金 945 1,006 1,146 1,034 15,008 14,879 15,604 15,629 1,847 2,189 1,695 2,373 12,919 12,458 13,607 12,971 242 233 303 285 2,089 2,421 1,998 2,658 帰属収入 基本金組入額 消費支出 消費収支差額 帰属収入消費支出差額 【点検・評価】 (長所) ①収支の充実 2005 年度から 2007 年度の3年間の大学部門資金収支は 5,104 百万円、9,322 百万円、3,778 百 万円と収入超過が続いている。また消費収支においても 233 百万円、303 百万円、285 百万円の収 入超過であり、基本金に組入れ前の帰属収入消費支出差額も収入超過となり、帰属収入消費差額 比率は 16.3%、12.8%、17.0%と高い水準を確保している。 ②教育研究活動によるキャッシュフローの充実 1年間の経常的な教育研究活動の結果として、どのくらいプラスのキャッシュフローが生み出 せるのかを表しているが、学校法人全体として 2005 年度から 2007 年度において3年間の平均プ ラスのキャッシュフロー額は 32 億円となっている。また収入に占めるプラスのキャッシュフロー の比率は3年間を平均すると 18.5%になっている。 ③「基本金の組み入れ」 大学の第2号基本金は、「新設学部等設置資金」、「施設設備充実資金」として計画的に組み入れ られ、2007 年度末において 4,012 百万円となっている。また果実を奨学金等に活用する第3号基 本金は、 「明治学院大学教育研究充実基金」等を合わせて 4,213 百万円となっている。大学部門に おいて、第2号と第3号基本金の合計 8,225 百万円があり、これらが教育・研究を支える財政基 盤となっている。 (問題点―改善すべき点) 本学の支出の構造を見ると、人件費比率と教育研究経費比率が日本私立大学連盟(以下、私大連) 加盟の同分野の平均に比べ、前者が平均より高く、後者が平均より低くなっており、支出バランスの 問題がある。 (※後述の「13-6.私立大学財政の財務比率」を参照)大学の教育・研究活動を支えるた めには、教員と職員の充実が必要となり、一般企業に比べて人件費比率が高くなるといわれるが、本 学の教育研究目的・目標を具現化するために適正な支出バランスを検討していく必要がある。 (※ただ し、全体の収支額は、2004 年度から 2007 年度で増加しており、大学部門の人件費支出の内訳をみる と、教員人件費が 149 百万円(3.1%) 、および職員人件費が 64 百万円(2.5%) (表5を参照) 、教育 13-8 第 13 章 財務 研究経費は 326 百万円(12.1%) (表4の資金収支決算 (大学部門)を参照)の支出増となっている。 ) [表5 大学人件費支出内訳(除く退職金)] (百万円) 2004 年度 2005 年度 2006 年度 2007 年度 教員人件費 4,743 4,804 4,924 4,892 職員人件費 2,605 2,647 2,677 2,669 7,348 7,451 7,601 7,561 合計 【将来の改善・改革に向けた方策】 ●長所の伸長を中心とした、その改善・改革に向けた方策について No. 具体的な改善策 計画・進行スケジュール 1. 学生生徒等納付金の確保と、その他 2008 年度以降、学生生徒等納付金確保については引き 収入の増加 続き注力するが、その他の収入(補助金、寄付金、事 業収入、資産運用収入)の増加を計画的に進める。 (※具体的には「外部資金」の項で詳しく述べる。 ) 2. 教育研究活動によるプラスの 人件費支出と教育研究経費支出とのバランスを取りな キャッシュフローの向上 がら、私大連加盟同規模校水準への到達をめざしてい く。その一環として、借入金利息支出の計画的減少に 取り組む。 3. 基本金および減価償却引当特定資 2010 年度の心理学部新学科(教育発達学科)の開設に 産の充実 備え、第2号基本金を「施設設備充実資金」として計画 的に組み入れていく(2010 年度末の組入れ予定額は 6,808 百万円を予定) 。また果実を奨学金等に活用する 第3号基本金としての「明治学院大学教育研究充実基 金」や「減価償却引当特定資産」等をさらに充実して いく。 ●詳述 No.2について 人件費支出と教育研究経費支出とのバランスを取りながら、私大連に加盟している同規模校水準へ の到達をめざしていく。特に教育研究活動によるキャッシュフローがプラスの状態を維持できるよう 収入と支出の状況を管理していく必要がある。また借入金利息支出を計画的に減少させることにより、 消費収支面と資金面でのプラスの成果を活用していく必要がある。 No.3について 2007 年度末における大学の減価償却引当特定資産は 6,735 百万円となっているが、同年度末の建物 と建物付属設備の減価償却累計額は 15,622 百万円に達しており、それに比べて 43%を満たすに過ぎな い。そのため今後とも計画的に減価償却引当特定資産を積み増していく。 ●今後の課題を中心とした、その改善・改革に向けた方策について No. 1. 具体的な改善策 教育研究経費の増加 計画・進行スケジュール 教育研究経費支出を増やし、人件費とのバランスを図 る。 13-9 第 13 章 財務 ●詳述 人件費支出と教育研究経費支出の内容を見直し、その比率のバランスをとる必要がある。 人件費の膨張を抑止するためには、改めて業務・人事の諸制度についての改革の推進を図る必要が ある。また人員の適正配置や各職種全般にわたる給与・手当の大幅な合理化、および明治学院の 100% 出資会社である(株)明治学院サービスを活用したアウトソーシングによる適切な補完を強化していく。 これらの施策を推進しつつ、今後は人件費支出と教育研究経費支出の内容について、ステークホルダー に対しても十分に説明責任を果たすことができるよう努めていきたい。 13-3.外部資金等 【必須】文部科学省科学研究費、外部資金(寄附金、受託研究費、共同研究費など) 、資産運用益等 の受け入れ状況 【現状と特色】 ①科学研究費補助金 2007 年度に本学に配分された金額は 65,990 千円、件数は 19 件(新規 10 件、継続 19 件)であった。 過去3年間の金額の推移は減少傾向にあるが、件数は横ばいである。 また、2007 年度の当該補助金全体の新規課題採択率が 22%であるのに対し、本学の採択率は 34.5% であった。 ②環境省地球環境研究総合推進費 2006 年度と 2007 年度の各年度に約 15,000 千円(各 1 件) 、合計 30,634 千円が配分されている。 ③経常費補助金特別補助 2007 年度の内示額は 402,738 千円であった。各項目の補助金配分方法のほとんどは、件数等に応じ た定額あるいは経費の 1/2 補助であるが、採択制の項目が数件あり、その結果は申請件数 14 件に対し て採択件数 11 件であった。 ④受託研究費 他 過去3年度間においては、 「ロンドン条約 96 年議定書におけるCO2海洋隔離実験の実現可能性の 考察」を研究テーマとして(財)地球環境産業技術研究機構より業務委託を受けている。本件におけ る過去3年間の金額の推移は減少傾向となっている。 2007 年度においては、独立行政法人日本学術振興会より、二国間交流事業としての業務委託を受け ている。 また、2006・2007 年度にカナダ政府より研究開発助成金を受けている。 ⑤寄付金 (ⅰ)大学の教育振興資金は、大学の教育環境・設備の充実を目的とし、学生の保証人を対象に1 口 10 万円(なるべく2口以上)として募集している。新入生については入学後の4月、6月、12 月 の3回、2年次以上については6月、12 月の2回募集している。 (ⅱ)チャペル・オルガン募金は、学院施設であるチャペルの耐震補強とパイプオルガンの更新を 目的として、1口1万円(なるべく複数口)として 2003 年 12 月から 2008 年3月まで募集した。 (ⅲ)遺贈寄付:2005 年度1件 20 百万円、2006 年度1件 10 百万円。 表にみるように、厳しい経済状況を反映してか、教育振興資金の実績はほぼ横ばいであり、1件あ 13-10 第 13 章 財務 たりの金額も減少傾向にある。2007 年度から毎年6月度の募金の依頼時には募金趣旨の文書とともに キャンパスガイドを同封し、保証人に大学の現状を理解していただくように努めている。チャペル・ オルガン募金は 2006 年度後半から卒業生、企業への働きかけを強化し、増加の努力をした。 [表6 寄付金状況] 教育振興資金応募状況 2003 年度 2004 年度 2005 年度 2006 年度 2007 年度 応募件数 266 209 400 400 400 応募金額 43,100,000 29,058,300 46,584,000 45,795,610 43,032,000 2004 年度 2005 年度 2006 年度 2007 年度 チャペル・オルガン募金応募状況 2003 年度 応募件数 456 212 265 307 1,396 応募金額 21,719,000 11,719,508 31,932,955 34,177,713 111,810,619 ⑥資産運用益 資産運用は「明治学院資産運用要領」に則して運用しており、大前提として「元本毀損の恐れのな いもの」を運用対象としている。 [表7 2007 年度外部資金:他大学比較表] 金額 比率 金額 975 6.2% 99 (単位:百万円) 任 教 員 採択件 教員数 Ⓑ/Ⓐ Ⓒ/Ⓑ 比率 数Ⓐ(件) 採択額Ⓒ Ⓑ (人) (人) (万円) 0.6% 10 24 278 27.8 8.6 2,245 8.7% 713 2.8% 101 207 512 5.1 40.4 1,978 8.2% 344 1.4% 102 319 455 4.5 70.1 2,375 12.7% 743 4.0% 122 312 501 4.1 62.3 1,241 7.6% 24 0.1% 16 41 335 20.9 12.2 3,793 8.4% 667 1.5% 168 358 685 4.1 52.3 2,904 10.5% 306 1.1% 115 239 544 4.7 43.9 13,106 13.9% 1,929 2.0% 217 647 2,122 9.8 30.5 8,843 14.3% 3,518 5.7% 778 2,554 2,300 3.0 111.0 6,142 9.5% 1,087 1.7% 246 766 1,030 4.2 74.4 補助金収入 寄付金収入 科学研究費 明治学院大学 帰属収入 15,629 青山学院大学 25,900 立教大学 24,115 上智大学 18,771 関東学院大学 16,224 同志社大学 44,932 関西学院大学 27,680 早稲田大学 94,498 慶應大学 61,917 立命館大学 64,514 *(出典: (社)日本私立大学連盟「University 専 Facts」 ) 【点検・評価】 (長所) 13-11 第 13 章 財務 ①科学研究費補助金 2007 年度の本学の新規課題採択率は、当該補助金全体の採択率に比べて高くなっている。 ②経常費補助金特別補助 採択制の項目に積極的に申請しており、2007 年度は継続分を含めて8割近い採択率となった。採択 制の項目によって配分された金額は、特別補助全体の8%を占めている。 ③受託研究費 他 (財)地球環境産業研究機構からの委託研究費、カナダ政府研究開発助成金については、金額の増減 はあるものの複数年度に亘る支給実績を重ねている。 ④ 寄付金 (ⅰ)教育振興資金は 2004 年度以降、文部科学省の指導の趣旨に沿って、入学後に募集するように 変更した。 (ⅱ)チャペル・オルガン募金は、従来していなかった企業への広報と募集拡大を実施した。 ⑤資産運用益 「元本毀損の恐れのないもの」のみを運用対象としているため、元本割れをすることなく安定した 運用をおこなっている。 (問題点-改善すべき点) ①比較的金額の大きな研究が終了したことにより、科学研究費の金額が減少傾向にある。他大学に比 べて、採択件数、交付金額共に、決して大きいとは言えない。研究に関する評価は必ずしも金額によっ て計られるものではないが、外部資金の受け入れを積極的にすすめるべきことは言うまでもない。 ②最近、日本私立学校振興・共済事業団によって、経常費特別補助の補助対象項目が追加される等の 変更の生じることが多い。特別補助は件数や人数等の実態に対する補助項目が多いので、項目の変更 が判明した時点で実態を適応させるのが困難なことが多いが、採択制の項目に見直しが行われた場合 等に適切な申請ができる体制の整備を検討する必要がある。 ③研究費への学内予算からの捻出については限界が生ずるものであり、現在の委託契約を継続して受 託するとともに、新たな外部資金の調達を模索する必要がある。 ④2013 年に学院創立 150 周年を迎えるので、周年事業の体制作り、中高、校友会との連携を強める必 要がある。教育振興資金については、教育環境の整備・向上のためという使途をさらに具体化し、子 女に還元という保証人の動機付けを高めることが重要である。また卒業生に対しても、母校の発展へ の寄与の意思を掘り起こして行く方策を検討していく。 ⑤資産運用については、元本確保の見返りに利回りは低いものとなっている。資産運用も大学の財政 基盤を安定させるための重要な資金であるため、利回り・商品等について見直しをはかっていく。 【将来の改善・改革に向けた方策】 ●今後の課題を中心とした、その改善・改革に向けた方策 No. 具体的な改善策 計画・進行スケジュール 1. 外部資金の獲得・管理強化のための 教育・研究に関する外部資金を獲得・管理する体制を 組織体制の見直し 見直し、既存の外部資金の増加および新規の外部資金 の獲得に向けて、効率的・効果的な方策を講じる組織 体制の強化を図る。 《具体的な改善策》 ①〔科学研究費〕配分対象となる研究件数の促進 他校での取り組み状況について調査し、本学の申請 13-12 第 13 章 財務 件数増加に向けた体制の強化をはかる。申請希望者対 象説明会の周知を徹底し、教員への情報提示を活性化 する。 (2009 年度より) ②〔特別補助〕補助対象項目変更等の早期の情報の収 集および即時対応 補助対象項目に追加等の変更についての情報を常に 気を配り、それらの情報の収集、学内への早期の周知を 行う。 ③新規外部資金の獲得の強化 学内の体制を見直し、新しい外部資金に関する情報 の収集および学内の各部局との連携強化により、外部 資金の獲得と繋がると思われる学内の教育・研究に関 する活動を積極的に支援していく。 2. 寄付金の増加 本学の寄付金増加に向け、以下の取り組みを検討する。 ①150 周年事業に向けた募金の展開による寄付金の増 加(2008 年度:周年事業の募金計画の策定。2009~2013 年度:募金の広報、実施。 ) ②卒業生への働きかけによる寄付金の増加(2008 年 度:広報の強化(法人ホームページの充実)。2009 年度 ~:指定寄付、遺贈寄付等の案内。 ) 3. 教育振興資金の使途の工夫 2008 年度:教育振興資金による奨学金制度等の検討。 4. 元本を確保した上で、より高利回り 仕組み債、仕組み預金の適正な構成比率を検討し、運 の商品の模索 用資産が生み出す果実が 2009 年度年間運用利回り 1.0%を超えることを目標とする。 ●詳述 No.1について 本学においては、科学研究費等を扱う部署(学長室教育研究支援課)と受託研究費を扱う部署(総 務部総務課)に分かれている。外部資金のさらなる獲得を目指すためには、業務分担を再考するなど、 将来にわたっての効率的・効果的な対応が可能となるようにする必要がある。 特に、科学研究費に関しては、多くの研究者に科学研究費の内容と手続き方法が理解されるよう、 申請希望者対象説明会の案内を個別に配布する等の方法で周知徹底を計る。 No.2について ①150 周年記念の事業の内容が検討されるのに合わせて、2008 年度中には募金推進委員会において募 金計画を策定する。理事会内に担当理事を設け、全学院としての募金体制を作る。そのための募金趣 意書を作成し、また法人のホームページを充実させて、募金活動の周知および学院の情報公開を図る。 ②2009 年度以降は担当理事を中心とした募金推進委員会および理事会での役割分担により周年募金活 動を具体的に実施する。広報活動には引き続き注力し、卒業生に認知・理解をしてもらえるような募 金システムを展開する。なお、教育振興資金の使途の1つとして、学生への還元が見えやすい形での 新たな奨学金制度を検討する必要がある。 No.4について 資産運用益については、仕組み債、仕組み預金の適正な構成比率を検討し、運用資産が生み出す果 13-13 第 13 章 財務 実がトータル 1.0%を超えることを目標とする。具体的には 2009 年度予算編成時にその試算をし、運 用収入の予算計上額をより具体的に積算する。 13-4.予算編成と執行 【必須】予算編成の適切性と執行ルールの明確性 【任意】予算執行に伴う効果を分析・検証する仕組みの導入状況 【現状と特色】 本学の予算編成は、 「学校法人明治学院」としての全体的な予算編成方針、および「明治学院大学」 としての予算編成方針が掲げられ、その基で具体的に積算、編成されていく形となっている。そのス ケジュールは次のとおりである。 まず6月に次年度の大学学納金単価を決定するための資料、 「中期予算」を策定する。その後に学部 長会、学部教授会、連合教授会(7月) 、大学評議会(連合教授会と同日)を経て次年度学納金が確定 する。この「中期予算」策定時における収支は当然のことながら収入超過予算が大前提である。 次のステップとして学部(教学)予算の予算枠について学部長会を複数回経ることによって確定さ せる。その後、10 月に各予算請求元から予算要求書の提出を受けたのち、大学評議会で決定された学 納金単価を用いて新入生数(予算定員) 、在籍者数から算出される学納金収入、受験生数推移から算出 される検定料収入、教育研究経費実績および学納金収入から予測される補助金収入など、適切な算出 方法によって収入の積算をし、その収入に見合う支出計画を調整していくことになる。この予算調整 の過程を経て次年度予算案が策定される。この予算案は財務委員会、常務理事会、定期理事会を経て 確定する。 予算の執行に関しては、3月の定期理事会で承認された予算書に基づいた内容を計画的に執行してい くこととなる。しかし、予算が付与されていたとしても、会合費、旅費などいくつかの支出科目にお いて、恣意的な執行を防ぐために、規程、取扱内規などを定め、それぞれの使用ルールを守らなけれ ば執行できないよう、執行管理を徹底している。 また、期中の業務計画にない経費の発生、業務間の費用の流用について、その執行が緊急性を要する 場合、稟儀に諮っている。 【点検・評価】 (長所) 収入予算の8割を占める学納金を確定させる過程においては、連合教授会にて全教員に諮り、了解を 得た上で、収入予算の厳格な策定により、支出できる枠が必然的に決まる。 さらに、予算枠の有無に関わらず、執行に関する使用ルールが明確に制定されているため、予算未 使用分の冗費的な執行については極力回避することができる。 (問題点) 予算に対しての執行が、各事業においてどのような効果を得ているのかを分析・検証する仕組みが 構築されていない。予算と執行に乖離が生じた場合、その原因を究明し、次年度の予算付与に際して、 減額や増額あるいは予算項目の削除といった予算調整が必要となる。現状では、次年度予算編成時に そういったチェックをする項目もあるが、すべての予算項目に対し、それ以前の時期(決算期あるい 13-14 第 13 章 財務 は決算から次年度予算編成の間の時期)に、全般的に「予算執行の総括」といったステップを踏むこ とが肝要であると思われる。 また、金額的には額が大きい費用でありながら、使用ルールが明確でない費用(例えば派遣スタッ フ費用、超過勤務手当、就業時間外の光熱水費など)に対し、それぞれの所管課に働きかけ、使用ルー ル(取扱要領等)を策定し、その圧縮を図る必要がある。 【将来の改善・改革に向けた方策について】 ●長所の伸長を中心とした、その改善・改革に向けた方策 No. 1. 具体的な改善策 収入予算積算のさらなる向上 計画・進行スケジュール 収入予算の積算に関しては、さらなる正確性を求める ことによって、決算との乖離を防ぐことができる。こ の点について 2009 年度予算編成時より試験的に順次改 善し、2010 年度予算編成より定着させたい。 ●詳述 具体的には、資産運用収入のより正確な積算方法の開発や、補助金収入の予測シミュレーションの 抜本的見直し等により、2009 年度予算編成時より試験的に順次改善し、2010 年度予算編成より定着さ せたい。 ●今後の課題を中心とした、その改善・改革に向けた方策 No. 具体的な改善策 計画・進行スケジュール 1. 予算編成と執行効果分析を機能さ 本学の予算編成における PDCA サイクルとは、 「予算編 せる PDCA サイクルの確立 成(plan) 」 「予算執行(do) 」に他ならないが、 「check」 「action」部分に関しては制度として確立されていな い。この部分を補完するために、現行の会計システム 「予算財務システム」の改修を現在推進している。具 体的な稼働目標は 2009 年度秋より予算編成部分のサブ システムを、2010 年度春よりすべてのシステムの本稼 働を目指している。 2. 高額費用科目に対する使用ルール 現在使用ルールを策定しているもの以外で、かつ高額 の策定 な費用に対しては、それぞれの所管課に働きかけ、使 用ルール(取扱要領等)を策定し、その経費圧縮を図 る必要がある。2009 年度中にその洗い出しを敢行し、 2011 年度までにルール策定・運用開始を目指す。 ●詳述 No.1について 具体的には、現状、予算事務局にて予算編成の前段階に前年度予算および前年度実績を対比し、見 直しをするといった作業まではしており、PDCA サイクルの「check」 「action」部分は、それをするこ とで完結してしまっている。しかしながら、それだけでは不十分であると考える。この部分を強化す るために、各請求元にて執行管理をし、その効果を分析・検証することによって、次年度予算要求時 に各請求元の段階で「check」した事柄を盛り込むことが望ましい。このことが実現できるよう、現行 13-15 第 13 章 財務 の会計システム「予算財務システム」の改修を現在推進している。具体的な稼働目標は 2009 年度秋よ り予算編成部分のサブシステムを稼働し、 2010 年度春よりすべてのシステムの本稼働を目指している。 No.2について 特に、年を追うごとに増加している派遣スタッフの費用は、人件費との兹ね合いを考慮し、適性人 員の把握とともに、計画的な派遣スタッフの配置を検討すべきと考える。2009 年度中にはルールの策 定が必要と思われる事項を洗い出し、2011 年度までにルール策定・運用開始を目指す。 13-5.財務監査 【必須】監事監査、会計監査、内部監査機能の確立と連携 【現状・特色】 監事は、本法人の理事、職員または評議員以外の者とし、理事会において選出した候補者のうちか ら、評議員会の同意を得て理事長が選任する(寄附行為第 21 条第2項) 。監事の職務は、寄附行為第 23 条により、私立学校法第 37 条第3項に則った職務を定めている。会計監査人(新日本有限責任監 査法人)は、理事長等が選任し、私立学校振興助成法第 14 条第3項により、独立した立場で会計監査を 行い、監査報告書を作成する。また内部監査人は、内部監査規程第2条により、業務・会計監査を行 い、監事と会計監査人監査に協力をする。内部監査人の設置は任意である。 学校法人明治学院においては、いわゆる三様監査(監事監査、会計監査人監査、内部監査)による、 それぞれの監査人の間において、連携を図っていく制度的な枠組みが整備されている。当然ながら、 三者の監査の目的・役割は同一ではないが、監査の有効かつ効果的な実施のためには三者が協力し、 情報を共有化することが必要となっている。そのために、三者の間において学校法人の監査に関して の協議、ないしは意見交換を定例的に実施することにより、相互の連携の強化を図っている。 なお、三様監査の主な監査項目については、以下のとおりである。 主な監査項目 監事監査 ・学校法人の業務ならびに学校法人の財産の状況を監査する。業務状況につ いては、理事会並びに理事懇談会に出席し、必要な説明を受けつつ業務執行 状況の適否を判断する。財産の状況については、 「重要な契約」に係る契約書 等を監査、また会計監査人の現物監査状況を確認している。 ・評議員会および理事会に対して「監事監査報告書」が提出される他に、口 頭による所見が述べられる。その内容には、監事監査に基づいた具体的な指 摘事項および将来に向けての意見が含まれている。 ・ 「監事監査報告書」においては、監査方法の概要と監査の結果が、評議員会 および理事会において監事から報告される。 (2007 年度理事会5回中5回出席、監査は3月、4月、5月に3回実施) 会計監査人 ・私立学校振興助成法第 14 条第3項に基づき、貸借対照表、収支計算書等の 監査 会計監査を行う。 ・計算書類が学校法人会計基準に準拠しているかを監査するが、会計監査人 はリスク評価手続きとして、理事長・学院長・財務理事とのディスカッショ ンを行っている。そこでは学校を取り巻く教育研究環境の変化・事業内容・ 13-16 第 13 章 財務 経営方針・事業計画等、また内部統制の整備・運用状況(不正リスクへの対 応を含む)、それらに関連するリスクを相互に理解することを目的としてい る。 (2007 年度の業務監査時間数 711 時間) 内部監査 ・明治学院内部監査規程第1条では、 『内部監査は,理事会の議にしたがい学 院長が執行する学校法人の経営管理業務について、その実態を正確に把握し、 これを検証、評定することにより、経営の合理化、業務の改善、能率の増進、 財務会計の適正化ならびに過誤、不整の防止に役立たせ、もって学校法人の 健全な発展に資することを目的とする』としている。 ・内部監査は、内部監査規程第2条により、業務・会計監査を行い、監事と 会計士監査に協力する。内部監査規程第6条に基づき学院長が 3 名以上の監 査担当者、および監査担当者のうち1名を監査責任者として任命する。監査 担当者は具体的な監査スケジュールを策定したうえで、内部監査を受ける部 署へ連絡を行う。監査の結果は「内部監査報告書」を作成して学院長に提出 し、さらに評議員会および理事会で報告する。 ・2006 年度および 2007 年度は、研究者による研究費の不正使用の問題に対 応して、科学研究費補助金の監査を行い、その結果を文部科学省に報告をし ている。 <内部監査対象項目> 会計監査 2004 年度 業務監査 旅費規程の遵守状況 光熱水費の管理状況 2005 年度 寄付金の収納事務 2006 年度 科学研究費補助金 職員服務基準の順守 預り金の管理状況 2007 年度 科学研究費補助金 備品等の発注・検収 【点検・評価】 ①監事監査 2004 年に施行された改正私立学校法は、監事の機能強化を目的として、監事の業務を「学校法人の 財産の状況、理事の業務執行の状況を監査する」から「学校法人の業務、財産の状況を監査する」に 改正を行った。これによって、業務監査の範囲が大幅に拡大することになった。 2007 年度については監事監査を3月、4月、5月に3回実施している。また理事会に監事は毎回出 席して必要な説明を受け、業務執行状況の適否を判断している。 監事は会計監査人との間で意見交換を行い、決算についての詳細な監査報告、またすべての計算書 の適正性について意見を行う。監事と理事長との意見交換を行うとともに、監事と内部監査との意見 交換も行っている。 ②会計監査人監査 会計監査人は監事との意見交換および内部監査人との意見交換を行う。また理事長および学院長と は、学校を取り巻く教育環境の変化・事業内容・経営方針・事業計画等、また内部統制の整備・運用 13-17 第 13 章 財務 状況(不正リスクへの対応を含む) 、それらに関連するリスクを相互に理解することを目的としてディ スカッションを行っている。 ③内部監査 内部監査は学校法人において任意で設ける制度であるが、組織の規模が一定以上になれば、内部統 制システムの中のモニタリング機能を行使するために必要となる。改正私立学校法により、理事長の 経営責任はますます重くなってきており、この改正を機に、学校法人明治学院においても、ガバナン スおよび内部統制の強化が一層意識された。このような経営環境の変化の中において、内部監査は理 事長のガバナンスおよび内部統制を支えるために、さらに強化・充実しなければならない。 現状では、学校法人明治学院には内部監査室といった組織は設置していないが、1997 年 11 月に発 足した「内部監査チーム」がその役割を担っており、既に 10 年以上の実績を積み重ねている。 チームの構成員は財務理事(責任者) 、大学長、法人事務局長、大学事務局長、総務部長、人事部長、 経理部長、管財部長、横浜校舎担当部長となっている。内部監査を実施する手順として、 「内部監査チー ム」が内部統制を強化する観点から必要な監査対象事項について協議する。チーム内での協議に当たっ ては、事前に会計監査人および監事との意見交換を行い、監査対象項目を確定する。 2006 年度からは、研究者による研究費の不正使用の問題を取り上げ、科学研究費補助金の制度上、 大学は採択件数の一定割合に対して内部監査(通常監査・特別監査)を行うことが義務付けられ、文 部科学省に報告をすることになっている。この内部監査についても「内部監査チーム」が監査を行っ ている。 (点検・評価の結果により判明した長所と問題点(改善すべき点) ) (長所) ① 三様監査(監事監査、会計監査人監査、内部監査)による、それぞれの監査人の間における連携 の制度的な枠組みが整備されている。監事監査、内部監査、会計監査人監査の三者の監査の目的・役 割は同一ではないが、お互いが協力し合い情報を共有化することによって、監査の有効かつ効果的な 実施が行われている。 ② 三様の監査人と、経営者である理事長・学院長および理事会との意見交換(ディスカッション)を 積極的に図るように努めている。特に監事は定例的な評議員会および理事会に出席するとともに、理 事が様々な課題について協議する理事懇談会にも出席し、その都度、監事としての適切な意見を述べ ている。 ③内部監査は、 「内部監査チーム」が内部統制を強化する観点からそれぞれの年度において重要と考え られる監査対象事項について協議して決めている。明治学院大学は理科系の学部を有しない総合文科 系大学であることから、内部統制を推進し易い組織環境にある。そのため、現状においては内部監査 室を設置し、常時一定の人数を内部監査担当者として配属しておく状況にはないと考えている。 (問題点および今後の課題) ① 監事監査 私立学校法の改正により、監事の業務監査の範囲が大幅に拡大し、権限・責任が重くなる中、学校 法人における監事の監査の範囲が明確ではないためその業務範囲を明確にすること、および監事の監 査を補佐する要員をだれが担うのかを検討しなければならない。また、監事を常勤とするか非常勤と するかという点については、現在のところ、多くの学校法人においては非常勤の監事しかいない状況 にあるものの、本学校法人の規模に応じて適正な対応を考えていく必要がある。 13-18 第 13 章 財務 ②内部監査 改正私立学校法により、ガバナンスおよび内部統制が強く意識され、特に理事長の経営責任が重く なってきている。内部監査は理事長のガバナンスおよび内部統制を支えるためにもさらに強化されな ければならない。一方で、科学研究費補助金の内部監査のように制度的に求められているものは別と して、内部監査を学院全体の PDCA の中のモニタリング機能として明確に位置付けて実行していくこと が求められる。Plan-Do の仕組みがあって内部監査の有効性が生まれてくることから、まずは学院全 体の PDCA サイクルの構築が検討されなければならない。 【将来の改善・改革に向けた方策】 ●長所の伸長を中心とした、その改善・改革に向けた方策 No. 具体的な改善策 計画・進行スケジュール 1. 三様監査(監事監査、内部監査、 三様監査が互いに協力し合い情報を共有化すること 会計監査人監査)による、監査人 により、監査の有効かつ効果的な実施を推進する。 間の連携の、制度的な枠組みの整 そのための制度的な枠組みを整備し、実質的に質の高 備・強化 い監査を実施する。 経営のリーダーである理事長・学 三様監査人が理事長・学院長とのディスカッションま 院長と三様監査人との意見交換の たは意見交換を通してより学院のガバナンスおよび 推進 内部統制を支えるための制度としていく必要がある。 「内部監査チーム」の質の向上お 内部監査にあたっては、チーム構成員の拡大および監 よびモニタリング機能の強化 査担当者の研修・訓練を行う。 2. 3. また内部監査の実施により、モニタリング機能を強化 するシステムを構築する。 ●今後の課題を中心とした、その改善・改革に向けた方策 No. 具体的な改善策 計画・進行スケジュール 1. 監事の常勤化について引き続き検 本学の規模・内部統制の運用状況等に応じてさらに検 討する。 討を行う。 内部監査により学院全体の PDCA の 内部監査を実施することにより、理事長のガバナンス 中のモニタリング機能の強化 の強化に役立ち、また内部統制システムを支えるもの 2. とするための一層の工夫・改善に取り組む。 ●詳述 No.1について 学校法人の規模・内容に応じて検討していくことになるが、現在のところ多くの学校法人において は非常勤の監事しか設置していない状況にある。監事の常勤化について引き続き検討するとともに、 また一方では、監事監査がより効果的に行われるための工夫・改善が必要となる。 監事監査に当たっては、監査の範囲および監事の監査を補佐する要員をだれが担うのかを制度的に 明確にし、具体的に補い助ける制度・体制を構築することが必要となる。 No.2について 監査制度の見直しにおいては、大学全体の PDCA サイクルの中において有効かつ効果的な Check の仕 組みを設けなければならない。 このような観点から、内部監査においてもモニタリング機能の強化につながるような取り組みを行 13-19 第 13 章 財務 うことが求められている。 13-6.私立大学財政の財務比率 【必須】消費収支計算書関係比率および貸借対照表関係比率における、各項目毎の比率の適切性 【現状と特色】 2007 年度決算数値による財務比率は下記のとおりである。 (なお私大連平均は、2007 年度決算数値 がまだ公開されていないため、2006 年度数値にて比較することとする。 ) [表8 2007 年度消費収支計算書関係比率] 比率名称 ① 人件費比率 (人件費/帰属収入) ② 人件費依存率 (人件費/学生生徒納付金) ③ 教育研究経費比率 (教育研究経費/帰属収入) ④ 管理経費比率 (管理経費/帰属収入) ⑤ 借入金等利息比率 (借入金等利息/帰属収入) ⑥ 消費支出比率 (消費支出/帰属収入) ⑦ 消費収支比率 (消費支出/消費収入) ⑧ 学生生徒納付金比率 (学生生徒納付金/帰属収入) ⑨ 寄付金比率 (寄付金/帰属収入) ⑩ 補助金比率 (補助金/帰属収入) ⑪ 基本金組入率 (基本金組入額/帰属収入) ⑫ 教育研究経費比率(対消費支出) (教育研究経費/消費支出) 評価 2007 年度本法人決算 2006 年度私大連平均 ▼ 51.5% 【50.1%】 ▼ 65.1% 【81.5%】 △ 26.5% 【33.3%】 ▼ 5.9% 【5.8%】 ▼ 0.9% 【0.3%】 ▼ 84.9% 【90.3%】 ▼ 98.8% 【102.3%】 △ 79.1% 【61.5%】 △ 1.5% 【1.7%】 △ 9.6% 【9.3%】 △ 14.1% 【11.7%】 △ 31.2% 【36.8%】 ※ 【 】内は学生数 10,000 人以上 20,000 人未満の私立大学法人平均( 「私大連 財務状況調査結果 のまとめ」による) ※ 評価:一般的な評価「△:高い値が良い」 「▼:低い値が良い」 ・ 学生生徒納付金比率が私大連平均に比して高くなっている。 ・ 前述を裏付けるように、人件費比率が私大連平均より高いにもかかわらず、人件費依存率は他大 13-20 第 13 章 財務 学を大きく下回っている。このことからも本学は学生生徒納付金収入が他大学に比して帰属収入 の中で高い構成比率を占めていることがわかる。 ・ 人件費依存率、消費支出比率、消費収支比率などはすべてここ数年、私大連平均を下回っており、 冗費のないことの立証となっている。 ・ 逆に教育研究経費比率は他大学のレベルに達していない。このことは経常費補助金一般補助の算 定に大きな影響を与えているといえる。 ・ 借入金の返済が進み、貸借対照表比率である「負債比率」は私大連平均を下回っているにもかか わらず、 「借入金等利息比率」は他大学の倍以上の数値となっている。このことから本学は非常に 高い利率で借入を行っていることがわかる。 [表9 2007 年度貸借対照表関係比率] 比率名称 ① 固定資産構成比率 (固定資産/総資産) ② 流動資産構成比率 (流動資産/総資産) ③ 固定負債構成比率 (固定負債/総資金) ④ 流動負債構成比率 (流動負債/総資金) ⑤ 自己資金構成比率 (自己資金/総資金) ⑥ 消費収支差額構成比率 (消費収支差額/総資金) ⑦ 固定比率 (固定資産/自己資金) ⑧ 固定長期適合率(固定資産/自己資 金+固定負債) ⑨ 流動比率 (流動資産/流動負債) ⑩ 総負債比率 (総負債/総資産) ⑪ 負債比率 (総負債/自己資金) ⑫ 前受金保有率 (現金預金/前受金) ⑬ 退職給与引当預金率(退職引当特定 資産/退職給与引当金) ⑭ 基本金比率 (基本金/基本金要組入額) ⑮ 資産運用収益率 (資産運用収入/運用資産) 評価 2007 年度本学決算 2006 年度私大連平均 ▼ 85.9% 【86.6%】 △ 14.1% 【13.3%】 ▼ 7.8% 【8.2%】 ▼ 5.1% 【6.4%】 △ 87.2% 【85.3%】 △ -12.1% 【-3.9%】 ▼ 98.6% 【101.5%】 ▼ 90.5% 【92.6%】 △ 279.1% 【206.2%】 ▼ 12.8% 【14.7%】 ▼ 14.7% 【17.2%】 △ 253.8% 【268.5%】 △ 100.0% 【69.8%】 △ 95.9% 【96.6%】 △ 0.8% - 13-21 第 13 章 財務 ※ 【 】内は学生数 10,000 人以上 20,000 人未満の私立大学法人平均( 「私大連 財務状況調査結果 のまとめ」による) ※ 評価:一般的な評価「△:高い値が良い」 「▼:低い値が良い」 ・消費収支差額構成比率、前受金保有率および基本金比率は私大連平均に比して若干低い数値を示し ている。 ・しかしながら上記以外の比率に関しては、全て私大連平均より優位な数値となっている。 ・退職給与引当預金率は、本学の数値は 100%となっているが、これはあくまで貸借対照表上の退職 給与引当金と当該退職給与引当預金とが同一額となっているだけであって、貸借対照表上の引当金計 上額は退職金要支給額の 50%相当額となっているため、100%の引当を行っているわけではない。 【点検・評価】 (長所) 消費収支計算書関係比率の中で特筆すべきは、学生生徒納付金比率が私大連平均を大きく上回って いる点である。このことは私立大学としての本分である授業料等の収入で運営されているいわば財政 的に健全体質である証である。 また、借入金の返済について、精力的に返済してきた結果、総負債比率、負債比率などで大幅な改 善が見られ、私大連平均値を下回ることができた。 なお、貸借対照表比率においては、ほぼ全般的に私大連平均より優位な数値となっている。 (問題点) 学生生徒納付金比率が高い一方、それ以外の収入の比率が低い。学生生徒納付金以外の帰属収入を 模索する必要がある。 さらに、借入金が減ってきたにもかかわらず、借入金等利息比率は、私大連平均を大きく上回って いる。このことは、利率の高い借入金の残高が多いことに他ならない。 また、支出面では、人件費比率が 51.4%と私大連加盟の同規模校の平均より高く、一方で教育研究 経費比率が 26.5%と同平均を下回っており、 人件費比率と教育研究経費比率のバランスに問題がある。 特に、教育研究経費比率(帰属収入を分母にしたもの、ならびに消費支出を分母にしたもの)は、と もに私大連平均よりも低いため、教育研究を充実させるための政策の見直しを早急におこない、本学 の教育研究基盤の充実を図る取り組みが喫緊の課題と考える。 【将来の改善・改革に向けた方策】 ●長所の伸長を中心とした、その改善・改革に向けた方策 No. 具体的な改善策 計画・進行スケジュール 1. 貸借対照表比率の優位性のさらな 私大連平均と比較できる 14 項目のうち、11 項目は本学 る向上 がその優位性を保っているが、残り3項目についても 私大連平均を上回ることを目標とする。 2. 負債比率の益々の改善による基本 基本金比率が私大連平均を下回っている要因として、 金比率の向上 借入金による固定資産取得分が未組入れになっている 点が大きい。借入金の返済を推進し、基本金未組入れ 分の減少を目指す。 13-22 第 13 章 財務 ●今後の課題を中心とした、その改善・改革に向けた方策 No. 具体的な改善策 計画・進行スケジュール 1. 学生生徒納付金以外の帰属収入の 手数料収入、寄付金収入、補助金収入、資産運用収入、 見直し 事業収入における増収を模索し、消費収支計算書関係 比率の改善を図る。具体的には3年以内に私大連平 均を下回っている比率を最低3項目は上回ることを目 標とする。 2. 教育研究経費の増加 経常費補助金に影響のある教育研究経費については、 構成比率の向上を目指す。具体的には、第一段階とし て、5年以内に現在の 26.5%から 30%達成を目指し、 第二段階として、そこからさらに5年以内に私大連平 均(33.3%)を上回ることを目標とする。 3. 借入金等利息比率の改善 借入金元本は減少してきているものの、その利息につ いては、高い利率のものが今なお残っている。事業団 に働きかけ、繰上げ返済(任意償還)の可能性を模索 する。 13-23