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農村地域における太陽光発電の手引(PDF:2037KB)
目 次 1 農村地域における太陽光発電とは 1 2 農村地域に適した太陽電池 2 3 太陽光発電の効果 3 4 太陽光発電導入までの手順 6 5 収支計算の手順 14 資料編 固定価格買取制度の仕組み 農村地域における太陽光発電に関わる助成制度 検討の例(企画から発電計画まで) 用語解説 15 15 16 18 1 農村地域における太陽光発電とは 太陽光発電は日当たりのよい場所で行います。 農村地域でいえば、畜舎等の屋根(南側)、南側向きの水路法面、ため池などが該当します。 これらの適地は、比較的広い面積を有するので、まとまった規模の導入にも向いています。 発電した電気は、電力会社が買い取ってくれるため(p15参照)、その収入で営農経費や水 路維持管理費の節減などが期待されます。 結果として、農家経営の改善、農業施設の適正な維持管理や農地の保全に役立ちます。 設置場所の例とその留意点 設置場所の例 屋根 太陽電池→ 水路 留意点 集出荷施設、畜産施設、揚水 機場、排水機場、農業集落排 水施設などの屋根に設置 屋根の強度の確認 が必要 南向きの水路の法面に設置 法面の地盤強度、水 路の洪水位の確認 が必要 フロートを浮かべて設置 水位変化への対策、 台風など緊急時に係 留できる設備が必要 鉄骨ハウス屋根、又はハウ ス内に設置(軽量鉄骨タイプ) 軽量型の太陽電池 が必要 ←太陽電池 ため池 太陽電池→ 鉄骨 ハウス ←太陽電池 【地域特性】 栃木県は、快晴日数が多く、 冬季の日照時間は全国4位 出典:国土数値情報(国土交通省) 農業用施設等分布図 1 2 農村地域に適した太陽電池 太陽光を電気に変換する太陽電池は、結晶系と非結晶系の2種類に大きく分けられます。 導入事例が多い結晶系は、1m2あたり20kg程度の重量があるため、設置の際にかかる荷重 への対応が必要です。畜舎の屋根でいえば、昭和56年以降に建築された耐震基準に適合してい ることなどが導入の目安となります。さらに、20年間に亘って発電を行うとなると、建物の耐 用年数にも留意しておくことが重要です。 一方、鉄骨ハウスの屋根など、大きな荷重をかけることが困難な施設では、軽量な非結晶系 の太陽電池を用いることになります。 太陽電池セルの種類と特徴 種類 主な設置形態 変換効率※ パネル 価格 重量 屋根 地上 建物 一体 結 晶 系 単結晶シリコン ◎(~20%) 安い 重い ○ ○ ○ 多結晶シリコン ○(~15%) 安い 重い ○ ○ ○ 非 結 晶 系 薄膜シリコン △(~9%) 高い 軽い CIS系 ○(~14%) 高い 軽い ○ ○ ○ CdTe系 ○(~13%) 高い 軽い ○ ○ ○ 色素増感 △(~14%) 軽い 有機薄膜 △(~12%) 研究 段階 ○ 研究段階 軽い ※モジュール効率。色素増感型と有機薄膜型は、研究段階におけるセル変換効率。 資料:NEDO再生可能エネルギー技術白書 単結晶・多結晶シリコンの設置事例 薄膜シリコンの設置事例 ←太陽電池 農林水産省 http://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/ h23_h/trend/part1/chap4/c4_1_01.html ソーラーフロンティア株式会社 http://www.solar‐ frontier.com/jpn/news/2013/C025763.html ←太陽電池 鳥取県 http://www.pref.tottori.lg.jp/item/768809.htm 富士電機 http://www.kyushu.meti.go.jp/action_plan/sint hoku/kankyou/111201_2.pdf 2 3 太陽光発電の効果 耕種別の年間電力構成比 3-1 営農経費・維持管理費の節減 太陽電池で発電した電気は、一旦電力会社に 売電し、家屋や畜舎、集出荷場で使用する電力 をこれまでどおり購入することが一般的です。 農業生産では、平均的に年間約130万円 の電気料金を支払っています(農業士のアン ケートの結果より)。売電で得た収入を営農 経費の節減に役立てたり、維持管理費に充当 することが可能です。 50 200万円以上 17 100‐200万円未満 17 14 11 畜産 園芸 米麦 17 50‐100万円未満 37 11 17 50万円未満 31 78 0 20 40 60 80 100 % 出典:H25栃木県農業士へのアンケート調査(県農村振興課) 【事業イメージ】 売電収入120万円 買電支出100万円 電力会社 買電 52,000kWh 農業施設・ 土地改良施設 太陽光発電所 出力 約34kW 売電38,000kWh 3-2 空調に係る電気代の削減 屋根に設置した太陽光パネルは、遮熱効果 があり施設内の温度を2~3℃低下させると 言われています。空調に係る電気代の削減に つながることが期待されます。 太陽光パネルが 直射日光を遮断 3-3 農産物の高付加価値化 2~3℃ 低下 再生可能エネルギーを用いて育成した農作 物を、消費者のニーズに応じた高付加価値の 商品として販売している事例があります。 例えば 生産に必要な電力を再生可能エネルギーで賄い、 酪農家105戸×10kW そこで抑制できたCO2量を農作物に付与したうえ ↓ で、市場に販売します。消費者は、この農作物を 1.05MW 購入することで、日常生活で排出するCO2を埋め 合わせることができることになります。 環境活動に熱心な消費者の購入が増えると、 出典:JA浜中町ホームページ 商品のブランド化にもつながります。 搾乳機器 の動力 エコ牛乳 として販売 具体的な設置場所ごとに想定される効果と留意点を次に示します。 3 ○屋根に設置する場合 乳牛40頭の畜舎に25kWを設置すると… ・初期費用は、約1,595万円かかります。 ・1年間の売電収入は、約91万円(20年で1,822万円)です(全量売電の場合)。 ・施設内温度が下がるため、暑熱対策としても効果が期待できます。 【収支モデル】 発電単価は調達価格を下回ります。 補助なし ⇒事業化可能 補助60% 55 発電単価(円/kWh) 45 (導入イメージ) 34.26円(税抜)10kW未満 ↓32円(税抜) 35 調達価格 ○ 25 15 ○ 5 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 発電規模(kW) 25kW 【留意点】 ・太陽光パネルは1m2あたり約20kgの荷重がかかりますので、その重さに耐えられる建物 を選ぶ必要があります。 ○水路の法面に設置する場合 水路延長400mに40kWを設置すると… ・初期費用は、約3,070万円かかります。 ・1年間の売電収入は、約146万円(20年で2,915万円)です(全量売電の場合)。 ・設置前に対策を行うことで、芝刈りの軽減効果も期待できます。 【収支モデル】 採算性を確保するためには、補助金の 補助なし 活用が必要です。 補助60% 60 50 発電単価(円/kWh) (水路法面活用) (導入イメージ) 面積 約400m2 40 × ↓32円(税抜) 30 調達価格 34.26円(税抜) 10kW未満 20 ○ 10 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 発電規模(kW) 40kW 【留意点】 ・法面の傾斜に併せて、架台を用意する必要があります。 ・水路の洪水位より高い位置に設置する必要があります。 ・電柱から離れるほど、送電時の損失が大きくなります。500m以内を目安にしましょう。 4 ○ため池に設置する場合 2,500m2のフロート上に350kWを設置すると… ・初期費用は、約45,195万円かかります。 ・1年間の売電収入は、約1,275万円です(全量売電の場合)。(20年で25,509万円) 【収支モデル】 100 採算性を確保するためには、補助金の活用 補助なし が必要です。 補助60% 90 発電単価(円/kWh) 80 (導入イメージ) 50kW以上の場合、電気事業法に基づき 電気主任技術者の選任が必要となり、 採算性の確保に留意が必要です。 70 60 × 50 34.26円(税抜)10kW未満 40 ↓32円(税抜) 調達価格 30 ○ 20 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500 発電規模(kW) 350kW 【留意点】 ・太陽光パネルを乗せるフロートを用意する必要があります。 ・フロートから陸地まで、送電するためのケーブルが必要です。 ・水位変化に対応できるようにしておく必要があります。 ・台風などで波がたつ場合は、岸まで避難させて係留する必要があります。 ○鉄骨ハウスに設置する場合 屋根に約20kWを設置すると ・初期費用は、約1,520万円かかります。 ・1年間の売電収入は、約73万円です(全量売電の場合)。(20年で1,458万円) 【収支モデル】 (ビニールハウス アモルファス活用) 採用する太陽電池の単価が下がらない限り、 採算性を確保することが困難です。 80 (導入イメージ) 補助なし 発電単価(円/kWh) ×70 60 50 34.26円(税抜)10kW未満 40 ↓32円(税抜) 調達価格 30 アモルファス 20 0 10 20 20kW 30 40 50 60 70 80 90 100 発電規模(kW) 【留意点】 ・非結晶系の太陽光パネル(アモルファス)であれば、軽量なので 園芸用ハウスに設置できます。 5 4 太陽光発電導入までの手順 4-1 企画 候補地を選定し、作った電気の使い道や、発電 事業者、管理事業者を決めます。 東京電力への接続が可能かどうか確認します。 4-2 発電計画 候補地の面積から、想定発電電力量を算定しま す。収支計算(p14参照)を行い発電事業と して成り立つのかを検討します。 4-3 設計 専門的な調査が必要となり、調査費用が発生し ます。発電所設備の構造等について検討します。 概略の検討を行う基本設計と、詳細な検討を行 う実施設計に分かれます。 4-4 許認可申請 ・電気を扱うための手続き(電気事業法) ・土地利用に係る手続き(農地法)等 が必要です。(p8~13参照) 日常点検・定期点検を実施します。 4-5 運転管理 6 4-1 企画 送電線の整備状況 土地の形状(地質、地盤等の調査含む)、造成の必 要性、周辺環境(山、木々、川の有無など)を確認し ます。 当該用地近隣に送電線が存在するか、接続が可能な のか、道路が隣接するかなどを調査し、発電所の設置 候補地を選定します。 発電の導入目的、事業主体・管理主体を明確化します。 出典:国土数値情報(国土交通省) 4-2 発電計画 太陽電池の設置方法と設置位置について検討します。 導入箇所の広さ、建物の形状、強度、設備容量、 デザイン等を踏まえ、設置方法(架台への設置、建築 物への設置(屋根材一体型、屋根材型など)と設置位 置(屋根、平置き、法面など)、採算性を検討します。 4-3 設計 基本設計と実施設計を行います。 現地調査を実施し、設置業者等と相談しつつ、発電 設備や周辺機器等の詳細な設計とあわせて総費用を算 出します。 出典:太陽光発電協会 7 4-4 電気を扱うための手続き【電気事業法】 電気を扱うために必要な手続き(電気事業法)を進めます。 設計 基本設計 工事 運転 実施設計 電気事業法手続き 【 経済産業省】 工事計画の事前届出 ※ 受理後30日を超えてから 工事開始可能 ※ 2000kW未満は不要 事前協議 保安規定の届出 ※ 50kW未満は不要 受 理 電気主任技術者の選任 設計 基本設計 電力協議 【 電気事業者】 系統連系・買取協議 【事前相談】 (東京電力) 工事 運転 ※ 50~1000kWは外部委託可能 ※ 50kW未満は不要 実施設計 事前検討 ※ 3ヶ月 10 年報の提出 ※ 1ヶ月 電 力 受 給 契 約 締 結 ※ ㎾未満は不要 設備認定 【 関東経済産業局】 固定価格買取制度 設備認定 系統連系 電力販売 申し込み 8 (1)許可手続き 50kW以上の電気工作物を設置する場合には、次の3つの手続きが必要です。 ・保安規定の届出 ・主任技術者の選任 ・工事計画の事前提出(2000kW未満は不要) ア 協議内容(電気事業法) ①保安規定の届出 電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するために定めた保安規定につい て、経済産業大臣に届出を行うための協議。 保安規定の内容と必要な添付書類 項目 内容 保安規定で定めるべき内容 (電気事業法施行規則第50条第1項) ・工事、維持又は運用に関する業務を管理 する者の職務及び組織 ・工事、維持又は運用に関する業務を管理 する者に対する保安教育 ・工事、維持又は運用に関する保安のため の巡視、点検及び検査 ・運転又は操作に関すること ・発電所の運転を相当期間停止する場合に おける保全措置 ・災害その他非常の場合にとるべき措置 ・工事、維持又は運用に関する保全につい ての記録 ・必要な事項 添 通常(自家用電気工作物)の場合 付 に必要とされるもの 書 発電設備を系統連系する場合に 類 追加で必要となるもの 設備の概要、単線結線図、命令・連絡体制 系統連系技術要件の適合状況表(写しで 可)、電力会社の承諾を得た旨の承諾書な ど(写しで可) 9 ②主任技術者の選任 電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するための主任技術者の選任につ いての協議。 ・電気主任技術者の役割 ⇒電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督 電気主任技術者の選任要否 選任の必 要性 出力区分 主任技術者の要件 1000kW未満 電気保安協会等への外部委託が可能 必要 50kW~ 1000kW 不要 50kW未満 500kW未満 事業所勤務の第1種電気工事士又は高校電気科卒以 上の者でも可(許可手続き必要) 電気主任技術者の選任不要 ③工事計画の事前提出 電気工作物の設置または変更の工事を行う場合において、その工事計画に関する協議。 工事計画に必要な書類 項目 内容 送電系統図 地形図 発電所の敷地境界を明示した図面 発電所の主要機器配置図 単線結線図 発電方式に関する説明書 短絡容量計算書 制御方式に関する説明書 電気設備技術基準に対する説明書 系統連系に対する説明書 10 イ 窓口 所轄の産業保安監督部 ウ スケジュール 工事着工前に、工事計画届出書(30日前まで)、主任技術者の選任届を提出します。 工事中には、保安規定を提出します。 設備容量に応じて、手続きが不要になる場合があります。 設計 基本設計 工事 運転 実施設計 電気事業法手続き 【 経済産業省】 工事計画の事前届出 ※ 受理後30日を超えてから 工事開始可能 事前協議 保安規定の届出 受 理 電気主任技術者の選任 申請のフロー 設備容量ごとの手続き内容 項目 一般用 電気工作物 設備容量 ~50kW未満 工事計画 不要 自家用電気工作物 50~ 1000kW未満 要 不要 要 保安規定 不要 電気主任技術者 2000kW 以上 1000~ 2000kW未満 要 (外部委託可能) 要 11 (2)系統連系協議(電気を売る場合に東京電力の電力線へ接続するため) 系統連系と売電の契約のための手続きです。 売電をする場合は、電気事業者との協議と、設備認定を受けるための関東経済産業局との 協議が必要です。 ア 協議内容 ①系統連系協議 連系する発電設備が、電力品質、系統の保護・保安・電力負荷率等の状況の面で電力系統に悪 影響を及ぼさないようにするための技術的な協議。 発電施設を電力系統に連系しない場合は、不要です。 ②固定価格買取制度に係る協議 固定価格買取制度を申請するためには、事前に国の「設備の認定」を必ず受ける必要があります。 設置場所エリアを管轄する関東経済産業局へ申請し、国から発行される認定通知書等を添えて、 売電を希望する電力会社に申し込みます。 イ 窓口 ①系統連系 東京電力株式会社の最寄の営業窓口 ②固定価格買取制度 経済産業省資源エネルギー庁 ウ スケジュール 設計 基本設計 電力協議 【 電気事業者】 系統連系・買取協議 【事前相談】 (東京電力) 工事 運転 実施設計 事前検討 ※ 3ヶ月 系統連系 電力販売 申し込み 設備認定 【 関東経済産業局】 固定価格買取制度 設備認定 電 力 受 給 契 約 締 結 ※ 1ヶ月 申請のフロー 12 ※ 耕作放棄地等において設置を検討する場合 今後、再生利用困難な耕作放棄地等で太陽光発電を行う場合は、適正な土地利 用調整が必要です。 適正な土地利用調整を行い、優良農地を確保しながら地域において太陽光発電 等の再生可能エネルギー発電を促進することができれば、その利益によって、農 山漁村の活性化が期待されます。 太陽光発電設備を農地に設置する場合は、農地法の規定による転用許可が必要 となります。検討にあたっては、当該農地の所在する市町村の農業委員会に事前 相談をしてみましょう。 ○太陽光発電設備設置のための農地転用の取扱いについては、県のホームページ (http://www.pref.tochigi.lg.jp/g01/nouchityousei/taiyoukouhatuden.html) をご参照ください。 13 5 収支計算の手順 固定価格買取制度を活用する場合、太陽光発電事業の採算性を把握するため、発電開始から20 年間分の収支計算を行います。 初期支出の想定 経常収入・支出 の想定 (想定例) ・結晶系(単結晶、多結晶) :42万円/kW ・非結晶系(アモルファスなど):60万円/kW 50kWシステムでの計算例 (下表参照) 総収入>総支出の場合 事業性があります。 20年間分積上 経常収入・経常支出の想定例 科目 内容 経常収入 売電料金 発電電力量 × 調達価格(p15) ※全量売電での場合 経常支出 (年経費) 借入金利息の返済 銀行からの借入返済 (参考)地方公共団体金融機構 http://www.jfm.go.jp/financing/rate_list.html 起債償還に対する利息 直接費 人件費 発電所維持・管理のための委託人件費(建 設費 ×0.17%) 修繕費 発電所維持・管理のための修繕費 建設費×1% 諸経費 固定資産税、消耗品等 建設費×1.4% 一般管理費 発電所の運転に関する経費 直接費×14% 間接費 収支 収入-支出 備考)各係数は、コスト等検証委員会資料より引用 14 ■ 固定価格買取制度の仕組み 表 調達価格 「再生可能エネルギーの固定価格買取制 度」は、小水力や太陽光等の再生可能エネ 調達区分 調達価格 調達期間 ルギーで発電された電気をその地域の電力 会社が一定価格で買い取ることを国が約束 10kW以上 32円(税抜き) 20年 する制度です。その調達期間(買取期間) は、太陽光発電の場合、10kW以上で20 10kW未満 34.26円(税抜き) 10年 年間、10kW未満は10年間です。 買取単価は、純粋な太陽光発電のみの場 備考)1 2014年4月時点の見込額(税抜き) 合、10kW以上で1kWhあたり32円(税 2 価格は、変動することが想定されます。 抜)です。 詳細は、関東経済産業局ホームページをご参照ください。 (http://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/enetai/energykaitori/kaitori_setsubinintei.html) ■ 農村地域における太陽光発電に関わる助成制度 項目 対象 施設 事業 主体 補助率 助成の内容・条件 備考 ハード事業 農山漁村活性化プロ ジェクト支援交付金の 太陽光 うち 自然・資源活用 発電施 施設(一部地域自主 設 戦略交付金) 都道府県、 市町村、農協、 1/2ほか 土地改良区等 農林水産業に係る共同利用 施設に電力を供給する発電 施設を整備活性化計画への 位置付けが必要 農山漁村地域整備交 太陽光 付金のうち集落基盤 発電施 整備事業 設 都道府県、 市町村、農協、 1/2ほか 土地改良区等 農林水産業に係る助成又は 融資の対象となっている施設 に電力を供給する発電施設 を整備 農村振興整備事業計画が作 成されていること (交付要件)全体総事業が 200万円以上であること 農山漁村地域整備交 太陽光 付金のうち農業集落 発電施 排水事業 設 都道府県、 市町村、土地 改良区等 発電施 農業集落排水施設へ電力を 設の単 直接供給するものに限る 独設置 可能。 1/2 発電施 設の単 独整備 は不可 ソフト事業 太陽光 小水力等再生可能エネ 発電施 ルギー導入推進事業 設 都道府県、 市町村、農協、 定額 土地改良区等 農業水利施設を活用した小水 基本設 力発電の導入の円滑化を図る 計の補 ため、調査・設計等を支援 助率は 1/2 詳細は、関東農政局ホームページをご参照ください。 (http://www.maff.go.jp/j/aid/hozyo/2014/nouson/nouson.html) 15 ■ 検討の例(企画から発電計画まで) 【ケース1】 検討対象箇所と事業主体 ・検討対象箇所 :水路法面 ・発電事業の主体:土地改良区 (1) 企画段階 出典:農村における景観配慮の技術マニュアル(農林水産省) 現地踏査によって、検討対象箇所の状況を把握する。 ・道路条件:幅員3.5mの道路が隣接 ・地形条件:法面勾配12.5度、延長400m、幅2m ・架線条件:電柱(東京電力)が隣接 ・日影条件:周囲に高い建物、樹木等は無い ・周辺環境:周辺に住宅はない。周辺に事業主体が管理する電力需要施設はない。 (2) 発電計画 ①概略設計 主要設備(太陽電池、パワーコンディショナー)の設置位置、設置方法を検討した。 ・設置位置:太陽電池は、法面勾配に沿って配置する。 パワーコンディショナーは35m置きに設置する。 ・設置方法:概略設計を行い、法面に設置したアンカーの上に架台を組むこととした。 ②採算性検討 ・年間発電電力量 設備容量×システム効率×年間時間で求める。 ここで、 設備容量 49kW(概略設計) システム効率 13% 年間時間 8760時間 =49(kW)×0.13×8760(h)≒56,000kWh ・収入条件 近隣に電力の需要施設が無いことから、 固定価格買取制度による全量売電を想定した。 ⇒調達価格を32円/kWh(税抜き)とすると売電収入は、約180万円/年 ・支出条件 概略設計によって、初期費用 7千3百万円、維持管理費用4万円/年と試算した。 【土木工事:不要、変電設備:必要、送電設備:不要、架台:必要】 ・資金調達方法 国庫補助(国50%、県10%)の活用を想定した。 ※農山漁村活性化プロジェクト支援交付金のうち自然・資源活用施設 ・収支計算結果 発電単価 :26.9円/kWh 発電単価が調達価格を下回り、 投資回収年:16.8年 事業化の可能性があります。 ③想定される許認可 最大出力が50kW未満の場合 電気事業法に基づく手続きは不要。 ※土地改良区が補助事業を活用して、太陽光 発電を整備する場合、土地改良区の管理下 にある土地改良施設の運転、操作等に必要 な出力の総和、又は年間需要電力量の総和 の範囲内という制限があります。 電気事業法 土地改良法 その他協議 保安規定届出 不要 電気主任技術者選任 不要 工事計画届出 施設所有者の承認 系統連系(低圧) 不要 16 ■ 検討の例(企画から発電計画まで) 【ケース2】 検討対象箇所と事業主体 ・検討対象箇所 :ため池のフロート上 ・発電事業の主体:土地改良区 (1) 企画段階 現地踏査によって、検討対象箇所の状況を把握する。 ・道路条件:幅員3.5mの道路が隣接 ・地形条件:貯水面 ・架線条件:電柱(東京電力)が隣接 ・日影条件:周囲に高い建物、樹木等は無い ・周辺環境:周辺に住宅はない。周辺に事業主体が管理する電力需要施設はない。 (2) 発電計画 ①概略設計 主要設備(太陽電池、パワーコンディショナー)の設置位置、設置方法を検討した。 ・設置位置:太陽電池は、ため池の水面上に配置する。 パワーコンディショナーは岸に設置する。 ・設置方法:概略設計を行い、フロート上に架台を組み配置する。 発電単価が調達価格を下回り、 事業化の可能性があります。 ②採算性検討 ・年間発電電力量 設備容量×システム効率×年間時間で求める。 ここで、 設備容量 340kW(概略設計) システム効率 13% 年間時間 8760時間 =340(kW)×0.13×8760(h) ≒383,000kWh ・収入条件 近隣に電力の需要施設が無いことから、 固定価格買取制度による全量売電を想定した。 ⇒調達価格を32円/kWh(税抜き)とすると 売電収入は、約1,200万円/年 ・支出条件 概略設計によって、初期費用 5.7億円、 維持管理費用15万円/年と試算した。 【土木工事:不要、変電設備:必要】 【送電設備:必要、架台 :必要】 ・資金調達方法 国庫補助(国50%、県10%)の活用を想定した。 ※農山漁村活性化プロジェクト支援交付金 のうち自然・資源活用施設 ・収支計算結果 発電単価 :26.2円/kWh 投資回収年:16.4年 ③想定される許認可 最大出力が50kWを上回るため、 電気事業法 電気事業法に基づく手続きが必要。 土地改良法 その他協議 保安規定届出 必要 電気主任技術者選任 必要 工事計画届出 施設所有者の承認 系統連系(高圧) 不要 17 ■ 用語解説 単位 ・kW (きろわっと) 電気エネルギーを使って単位時間あたりに仕事をする能力の大きさを電力といい、電力の 単位はワット(W)で表されます。1kWは1000Wのことです。 ・kWh(きろわっとあわー、きろわっとじ) 一定の電力がある時間働いて使った電気の量を電力量といい、1W(ワット)の電力が1時 間働いた場合、その電力量を1Wh(わっとあわー、わっとじ)といいます。1kWhは 1000Whのことです。 ・MJ (めがじゅーる) 熱量を表す国際的な単位のことで、キロカロリーに代わるもの。1 メガジュールは約 238.9 キロカロリーです。 用語 ・架台(かだい) 太陽電池をのせる台や枠のことをいいます。 ・系統連系(けいとうれんけい) 太陽光発電など自家発電システムを、電力会社の配電線網に接続することをいいます。 ・洪水位(こうずいい) 予想される最大の洪水が発生したときに、想定される水位のことをいいます。 ・再生可能エネルギー(さいせいかのうえねるぎー) 有限で枯渇の危険性を有する石油・石炭などの化石燃料や原子力と対比して、自然環境の 中で繰り返し起こる現象から取り出すエネルギーの総称です。 ・セル変換効率(せるへんかんこうりつ) セルとは、太陽電池の基本単位です。このセルで太陽光を電気に変化したときの効率をい います。 ・システム効率(しすてむこうりつ) 太陽光エネルギーを電気に変換する際の効率をいいます。 ・太陽電池セル(たいようでんちせる) セルとは、太陽電池の基本単位です。 ・調達価格(ちょうたつかかく) 再生可能エネルギーの固定価格買取制度に基づき、地域の電力事業者に再生可能エネル ギーにより発電した電気を売るときに適用される単価です。 ・投資回収年(とうしかいしゅうねん) 再生可能エネルギー発電設備を設置する際に必要な費用(初期費用、維持管理費用)を年 間の収入で割ることで求めます。 ・発電単価(はつでんたんか) 1kWh発電するのに必要となる費用のことをいいます。 ・パワーコンディショナー 太陽電池からの直流電力を家庭で使える交流電力に変換する装置のことをいいます。 ・モジュール効率(もじゅーるこうりつ) 太陽電池セルを必要枚配列し、屋外で利用できるように強化ガラスで覆い、パッケージ化 したものをモジュールといいます。このモジュールで太陽光を電気に変化したときの効率を 18 いいます。 平成26年3月 編集発行 栃 木 県 〒320-8501 栃木県宇都宮市塙田1-1-20 農政部 農村振興課 TEL 028-623-2338 FAX 028-623-2337