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公表特許公報 特表2015

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公表特許公報 特表2015
〔実 28 頁〕
公表特許公報(A)
(19)日本国特許庁(JP)
(12)
(11)特許出願公表番号
特表2015-522600
(P2015−522600A)
(43)公表日 平成27年8月6日(2015.8.6)
(51)Int.Cl.
C07K
FI
1/22
テーマコード(参考)
(2006.01)
C07K
1/22
ZNA 4B024
C07K 14/745
(2006.01)
C07K
14/745
4H045
C07K 16/36
(2006.01)
C07K
16/36
C12N 15/09
(2006.01)
C12N
15/00
A
A01K 67/027
(2006.01)
A01K
67/027
審査請求
未請求
予備審査請求
未請求 (全40頁) 最終頁に続く
(21)出願番号
特願2015-522099(P2015-522099)
(71)出願人 506129544
(86)(22)出願日
平成25年7月18日(2013.7.18)
ラボラトワール・フランセ・デュ・フラク
(85)翻訳文提出日
平成27年2月24日(2015.2.24)
シオンマン・エ・デ・ビョテクノロジー
(86)国際出願番号
PCT/EP2013/065205
LABORATOIRE
(87)国際公開番号
WO2014/013024
S
(87)国際公開日
平成26年1月23日(2014.1.23)
(31)優先権主張番号
12305882.8
GIES
(32)優先日
平成24年7月19日(2012.7.19)
フランス国、91940レ・ユリ、アブニ
(33)優先権主張国
欧州特許庁(EP)
ュー・デ・トロピク、3、ゾーン・ダクテ
FRANCAI
DU FRACTIONNEMENT
ET
DES BIOTECHNOLO
ィビテ・ドゥ・クールタベ
(74)代理人 100108453
弁理士
村山 靖彦
(74)代理人 100110364
弁理士
実広 信哉
最終頁に続く
(54)【発明の名称】トランスジェニック第VII因子を精製するための方法
(57)【 要 約 】
本 発 明 は 、 ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク 供 給 源 か ら 組 換 え ヒ ト 活 性 化 第 VII因 子 を 精 製 す る の に
特 に 有 用 で あ る 抗 第 VII因 子 親 和 性 リ ガ ン ド に 関 す る 。 他 の 直 交 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー 工 程
と 組 み 合 わ せ た 親 和 性 リ ガ ン ド は 、 分 解 ま た は 酸 化 さ れ た FVII形 態 の 割 合 が 低 い 、 凝 集 物
を 含 ま な い 完 全 に 活 性 化 さ れ た 高 度 に 精 製 さ れ た FVII溶 液 の 調 製 を 可 能 に す る 。
( 2 )
JP
1
2015-522600
A
2015.8.6
2
【特許請求の範囲】
項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項1】
【請求項11】
供給源生物材料からトランスジェニック第VII因子(TgFV
TgFVIIおよび/またはTgFVIIaが偽親和性樹脂上に保持さ
II)および/またはトランスジェニック活性化第VII因子(
れる条件下で、偽親和性樹脂上で、好ましくはヒドロキ
TgFVIIa)を精製するための方法であって、
シアパタイト上で、溶出されたTgFVIIおよび/またはTgF
(a)TgFVIIおよび/またはTgFVIIaを含有する供給源生物
VIIaをクロマトグラフィー分離する工程d)をさらに含む
材料を、TgFVIIおよび/またはTgFVIIaに特異的であるリ
、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
ガンドと、TgFVIIおよび/またはTgFVIIaがリガンドに結
【請求項12】
合することを可能にする条件下で接触させる工程と、
(b)前記リガンドとの相互作用を非破壊的な形で分断す
サイズ排除支持体上で、溶出されたTgFVIIおよび/また
10
はTgFVIIaをクロマトグラフィー分離する工程e)をさら
ることによって、TgFVIIおよび/またはTgFVIIaを回収す
に含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
る工程と
【請求項13】
を含む、親和性クロマトグラフィーの工程を含む方法。
好ましくはナノ濾過および/または溶媒/界面活性剤処理
【請求項2】
により、ウイルスを除去および/または不活化する少な
前記リガンドが、少なくとも1つのTgFVIIもしくはTgFVI
くとも1つの工程をさらに含む、請求項1から12のいずれ
Iaエピトープに対する抗原結合タンパク質、またはその
か一項に記載の方法。
機能的断片もしくは誘導体である、請求項1に記載の方
【請求項14】
法。
精製されたTgFVIIおよび/またはTgFVIIaを製剤化、滅菌
【請求項3】
および凍結乾燥する最終工程をさらに含む、請求項1か
前記リガンドが、2つの完全な抗原結合部位を形成する2 20
ら13のいずれか一項に記載の方法。
つのポリペプチド重鎖を含み、ポリペプチド軽鎖を含ま
【請求項15】
ない、請求項1または2に記載の方法。
親和性クロマトグラフィーの工程が、
【請求項4】
(a)請求項1から4のいずれか一項に規定のリガンドが固
前記リガンドが、ラクダ科動物の免疫グロブリン重鎖か
定化されたクロマトグラフィー樹脂に、組換え生成され
ら誘導される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方
たTgFVIIおよび/またはTgFVIIaを含有するトランスジェ
法。
ニック雌ウサギ由来のミルクを、リガンドがTgFVIIおよ
【請求項5】
び/またはTgFVIIaに結合することを可能にする条件下で
工程(b)が、リガンドからTgFVIIまたはTgFVIIaを溶出さ
充填する工程と、
せる前に未結合の材料を除去するための少なくとも1つ
(b1)未結合の材料を洗浄する工程と、
の洗浄工程を含み、さらに場合により、弱く結合した材 30
(b2)弱く結合した材料を洗浄する工程と、
料を除去するための第2の洗浄工程を含む、請求項1から
(b3)樹脂からTgFVIIおよび/またはTgFVIIaを溶出させる
4のいずれか一項に記載の方法。
工程と
【請求項6】
を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
供給源生物材料が、TgFVIIおよび/またはTgFVIIaを生成
【請求項16】
するトランスジェニック動物から得られる、請求項1か
前記親和性クロマトグラフィー工程中に、弱く結合した
ら5のいずれか一項に記載の方法。
材料を除去するための前記第2の洗浄工程が、10%∼50%
【請求項7】
の疎水性薬剤を含み、そのイオン強度が200∼600mMの範
動物が哺乳動物の雌、好ましくはウサギの雌であり、供
囲であるバッファーを用いて実施される、請求項5から1
給源生物材料がミルクである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
5のいずれか一項に記載の方法。
40
【請求項17】
工程(a)の前に、ミルクを採取し、清澄化する予備工程
前記親和性クロマトグラフィー工程中に、樹脂からTgFV
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
IIおよび/またはTgFVIIaを溶出させるための前記溶出工
【請求項9】
程が、20%∼70%の疎水性薬剤を含み、そのイオン強度が
ミルク清澄化工程が、クエン酸塩の添加、その後の濾過
500∼2500mMの範囲であるバッファーを用いて実施され
により実施される、請求項8に記載の方法。
る、請求項5から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
【請求項18】
TgFVIIおよび/またはTgFVIIaがイオン交換体上に保持さ
得られる精製されたトランスジェニックFVIIが、分解、
れる条件下で、イオン交換体上で、好ましくは陰イオン
タンパク質分解または酸化された形態を低い割合しか含
交換体上で、溶出されたTgFVIIおよび/またはTgFVIIaを
まない、ほぼ完全に活性化された高純度FVIIである、請
クロマトグラフィー精製する工程c)をさらに含む、請求 50
求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
( 3 )
JP
3
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A
2015.8.6
4
【請求項19】
血漿分画化から得られる血漿タンパク質からのFVIIaの
親和性クロマトグラフィー工程および/またはイオン交
精製からなっていた。そのために、EP 0 346 241は、吸
換クロマトグラフィー工程および/またはサイズ排除ク
着、次いで、FVIIおよびFVIIaを含有する血漿タンパク
ロマトグラフィー工程が、3log1 0 より優れた、好ましく
質ならびに第IX因子(FIX)、第X因子(FX)および第II因子
は4log1 0 より優れた、より好ましくは5log1 0 より優れた
(FII)などの他のタンパク質の分画化の二次生成物、特
ウイルス減少率を得ることを可能にすることを特徴とす
に、PPSB(P=プロトロンビンまたはFII、P=プロコンバー
る、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
チンまたはFVII、S=Stuart因子またはFXおよびB=抗血友
【発明の詳細な説明】
病因子BまたはFIX)の事前溶出液の溶出の後に得られる
【技術分野】
【0001】
、FVIIaに富む画分の調製を記載する。このプロセスの
10
欠点は、得られるFVIIが依然としていくらか微量の他の
本発明は、トランスジェニック供給源から組換えヒト活
凝固因子を含有することである。
性化第VII因子を精製するのに特に有用である抗第VII因
【0006】
子親和性リガンドに関する。他の直交クロマトグラフィ
同様に、文献EP 0 547 932は、ビタミンK依存的因子お
ー工程と組み合わせた親和性リガンドは、分解または酸
よびFVIIIを実質的に含まない高純度のFVIIa濃縮液の製
化されたFVII形態の割合が低い、凝集物を含まない完全
造プロセスを記載する。このプロセスにより得られるFV
に活性化された高度に精製されたFVII溶液の調製を可能
IIは、その純度にも拘らず、残留血栓形成活性を示す。
にする。
【0007】
【背景技術】
一般的に言うと、これらのプロセスの主な欠点の1つは
【0002】
、それらによって少量の生成物しか得られないというこ
第VII因子(FVII)は、その活性化形態(FVIIa)においてカ 20
とである。さらに、血漿中に存在する他のタンパク質を
ルシウムおよび組織因子の存在下で第X因子および第IX
完全に含まない生成物を得ることは依然として困難であ
因子を活性化する凝固プロセスに参加する、ビタミンK
る。最後に、ウイルスおよび細菌に関する安全性を確保
依存的糖タンパク質である。FVIIは406残基の単一ペプ
するために血漿凝固因子の調製の段階毎にいくつかの予
チド鎖の形態で分泌され、その分子量は約50kDaである
防措置(血液ドナーの追跡、既知のウイルスおよび細菌
。FVIIは、4つの構造的に異なるドメイン:N末端ガンマ-
夾雑物の検出のための試験、厳密な精製ならびに血液感
カルボン酸ドメイン(Gla)、2つの「表皮増殖因子(EGF)
染性病原体の伝染の危険をできるだけ低下させるための
様」ドメイン、およびセリンプロテアーゼドメインを含
ウイルス不活化処理)が取られているが、それにも拘ら
有する。FVIIのFVIIaへの活性化は、Arg152-Ile153ドメ
ず、病原体の夾雑のあらゆる危険性が排除されるわけで
イン(アルギニン152-イソロイシン153)結合の切断を特
はない。
徴とする。したがって、FVIIaは、単一のジスルフィド
30
さらに、クロイツフェルト・ヤコブ病の新しい変異体の
架橋(Cys135-Cys262)で互いに連結された、約20kDaの分
出現により、血液製剤による従来にない病原体の伝染の
子量を有する152アミノ酸の軽鎖と、約30kDaの分子量を
恐怖が生じた。さらに、ドナーから採取される血漿の容
有する254アミノ酸の重鎖とを含む化合物である。
量は、依然として限られている。
【0003】
【0008】
血漿FVIIaは、いくつかの翻訳後改変を含有する:最初の
したがって、1980年代以降、ヒト第VII因子をコードす
10個のグルタミン酸は、[ガンマ]-カルボキシル化され
るDNAが単離され(Hagenら、Proc. Natl. Acad. Sci.、1
、Asp63は部分的にヒドロキシル化され、Ser52(セリン5
986、83(8): 2412∼6頁)、様々な発現系において発現さ
2)およびSer60(セリン60)はO-グリコシル化され、それ
れた。
ぞれ、グルコース(キシロース)0-2およびフコースパタ
【0009】
ーンを担持し、Asn145(アスパラギン145)およびAsn322( 40
組換え第VII因子の精製のための様々なプロセスがさら
アスパラギン322)は主に二分岐二シアル化複合体構造に
に記載されている(例えば、WO2009/141418を参照された
よってN-グリコシル化される。
い)。現在、組換え第VII因子ポリペプチドは、典型的に
【0004】
は、従来の樹脂上でのクロマトグラフィーのみを用いる
FVIIは、凝固因子の他の欠損、例えば、FVIIの先天的欠
か、またはタンパク質リガンドと共に親和性樹脂を用い
損を示す患者と同様、第VIII因子(A型血友病)または第I
る親和性クロマトグラフィーを用いる、1つまたは2つの
X因子(B型血友病)の欠損を示す血友病に罹患する患者の
異なる多工程プロセスにより精製される。
処置のために用いられる。したがって、注射可能なFVII
【0010】
aの濃縮液が利用可能になることが必要である。
組換え第VII因子を、発酵バッチから、またはトランス
【0005】
ジェニック哺乳動物から生成することができる。特に、
FVIIa濃縮液を取得するための最も古くからの方法は、
50
雌のウサギの乳腺中で生成されたFVIIの組成物が、例え
( 4 )
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5
6
ば、特許出願WO2007/138199に記載されている。次いで
活性化第VII因子(TgFVIIa)を精製するための方法であっ
、トランスジェニック哺乳動物によりミルク中で生成さ
て、
れたFVIIを、例えば、タンジェント濾過(tangential fi
(a)TgFVIIおよび/またはTgFVIIaを含有する供給源生物
ltration)およびクロマトグラフィーにより、またはカ
材料を、TgFVIIおよび/またはTgFVIIaに特異的なリガン
ルシウム沈降、次いで、いくつかのクロマトグラフィー
ドと、TgFVIIおよび/またはTgFVIIaがリガンドに結合す
工程により、ミルクから精製することができる。
ることを可能にする条件下で接触させる工程と、
【先行技術文献】
(b)前記リガンドとの相互作用を非破壊的な形で分断す
【特許文献】
ることによって、TgFVIIおよび/またはTgFVIIaを回収す
【0011】
【特許文献1】EP 0 346 241
る工程と
10
を含む、親和性クロマトグラフィーの工程を含む方法で
【特許文献2】EP 0 547 932
ある。
【特許文献3】WO2009/141418
【0015】
【特許文献4】WO2007/138199
本発明のある実施形態においては、リガンドは、少なく
【特許文献5】米国特許第4,784,950号
とも1つのTgFVIIおよび/もしくはTgFVIIaエピトープに
【特許文献6】EP 0 527 063
対する抗原結合タンパク質、またはその機能的断片もし
【特許文献7】WO2007/138198
くは誘導体である。好ましくは、リガンドは、2つの完
【特許文献8】WO2008/099077
全な抗原結合部位を形成する2つのポリペプチド重鎖を
【特許文献9】WO94/25591
含み、ポリペプチド軽鎖を含まず、ラクダ科動物の免疫
【特許文献10】WO94/04678
グロブリン重鎖に由来する。
【特許文献11】米国特許出願第2002/0087908号
20
【0016】
【非特許文献】
ある実施形態においては、本発明の方法は、工程(b)が
【0012】
、リガンドからTgFVIIまたはTgFVIIaを溶出させる前に
【非特許文献1】Hagenら、Proc. Natl. Acad. Sci.、1
未結合の材料を除去するための少なくとも1つの洗浄工
986、83(8): 2412∼6頁
程を含み、さらに場合により、樹脂上に結合し、TgFVII
【非特許文献2】Boschetti E.、Egly J.M.、Monsigny
またはTgFVIIaよりも弱い親和性を有する夾雑物を除去
M.、1983、Practical Guide for use in Affinity chro
するための第2の洗浄工程を含むようなものである。
matography and related techniques、第2版、IBF Vill
【0017】
eneuve-la-garenne、France、1∼157頁
本発明のある実施形態においては、TgFVIIまたはTgFVII
【非特許文献3】Federal Gazette N 84、1994年5月4日
aを精製するために用いられる供給源生物材料は、TgFVI
【非特許文献4】Schmidt, N.J. & Emmons, R.W.(1989) 30
Iおよび/またはTgFVIIaを生成するトランスジェニック
、Diagnostic Procedures for Viral, Rickettsial and
動物から得られる。好ましくは、動物は、哺乳動物の雌
Chlamydial Infection、第6版
であり、好ましくはウサギの雌であり、供給源生物材料
【非特許文献5】Schwartz D.、「Methodes statistiqu
はミルクである。
es a l'usage des medecins et des biologistes」、Fl
【0018】
ammarion Medecine-Sciences、第4版、1993
ある実施形態においては、本発明の方法は、工程(a)の
【非特許文献6】Kaplan M.およびKoprowski H.、「Lab
前に、ミルクを採取し、清澄化する予備工程をさらに含
oratory techniques in rabies、第3版、World Health
む。好ましくは、ミルク清澄化工程は、クエン酸塩の添
Organization(編)、Geneva、1973
加、その後の濾過により実施される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
40
ある実施形態においては、本発明の方法は、TgFVIIおよ
【0013】
び/またはTgFVIIaがイオン交換体上に保持される条件下
しかしながら、利用可能な精製方法は、欠点を回避でき
で、イオン交換体上で、好ましくは陰イオン交換体上で
ない。特に、トランスジェニック哺乳動物由来の天然タ
、溶出されたTgFVIIおよび/またはTgFVIIaをクロマトグ
ンパク質、特に、トランスジェニック哺乳動物由来の天
ラフィー精製する工程c)をさらに含む。この工程は、好
然の第VII因子が依然として存在し、ヒト患者への投与
ましくは、TgFVII活性化ならびにTgFVIIおよび/またはT
時に免疫原性を誘発し得る。
gFVIIa研磨にあてられる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
【0014】
ある実施形態においては、本発明の方法は、TgFVIIおよ
本発明の目的は、供給源生物材料からトランスジェニッ
び/またはTgFVIIaが偽親和性樹脂上に保持される条件下
ク第VII因子(TgFVII)および/またはトランスジェニック 50
で、偽親和性樹脂上で、好ましくはヒドロキシアパタイ
( 5 )
JP
7
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8
ト上で、溶出されたTgFVIIおよび/またはTgFVIIaをクロ
【図面の簡単な説明】
マトグラフィー分離する工程d)をさらに含む。この工程
【0028】
は、好ましくは、TgFVIIおよび/またはTgFVIIa研磨なら
【図1】ポリペプチド重鎖を有し、軽鎖を含まないラク
びにTgFVIIおよび/またはTgFVIIa分解の制御にあてられ
ダ科動物免疫グロブリンのIgG1、IgG2およびIgG3形態の
る。
略図である。
【0021】
【図2】本発明のプロセス中のRMPクリアランスの略図
ある実施形態においては、本発明の方法は、サイズ排除
である。RMPレベルは、プロセスの工程の関数としてppm
支持体上で、溶出されたTgFVIIおよび/またはTgFVIIaを
で示される。
クロマトグラフィー分離する工程e)をさらに含む。この
【図3】本発明のプロセス中のDNAクリアランスの略図
工程は、好ましくは、TgFVIIおよび/またはTgFVIIaの研 10
である。DNAレベルは、プロセスの工程の関数としてppm
磨および製剤化にあてられる。
で示される。
【0022】
【図4】精製プロセスによるTgFVIIの活性化を示す図で
ある実施形態においては、本発明の方法は、好ましくは
ある。レーン1∼9はそれぞれ、以下に対応する:レーン1
ナノ濾過および/または溶媒/界面活性剤処理により、ウ
および9:分子量、レーン2:清澄化されたミルク、レーン
イルスを除去および/または不活化する少なくとも1つの
3:FVIIで選択された溶出液(本発明のリガンド上での親
工程をさらに含む。
和性クロマトグラフィー後)、レーン4:中間生成物1(限
【0023】
外濾過および透析濾過後)、レーン5:ナノ濾過物、レー
ある実施形態においては、本発明の方法は、精製された
ン6:QSXL溶出液、レーン7:CHT-I溶出液、レーン8:SECプ
TgFVIIおよび/またはTgFVIIaを製剤化、滅菌、および凍
ール。
結乾燥する最終工程をさらに含む。
20
【図5】事前濾過の工程および溶媒/界面活性剤処理の
【0024】
工程後(初期ロードと命名される試料)ならびに親和性FV
ある実施形態においては、親和性クロマトグラフィーの
II選択クロマトグラフィー上での溶出後(溶出液Aと命名
工程中に、本発明の方法は、
される試料)の試料中のウイルス量のヒストグラムを示
(a)上記で定義されたリガンドが固定化されたクロマト
す図である。
グラフィー樹脂に、組換え生成されたTgFVIIおよび/ま
【発明を実施するための形態】
たはTgFVIIaを含有するトランスジェニック雌ウサギ由
【0029】
来のミルクを、リガンドがTgFVIIおよび/またはTgFVIIa
トランスジェニック第VII因子または第VIIa因子
に結合することを可能にする条件下で充填する工程と、
本発明の精製方法は、特に、トランスジェニック第VII
(b1)未結合の材料を洗浄する工程と、
因子(TgFVII)および/またはトランスジェニック活性化
(b2)TgFVIIおよび/またはTgFVIIaよりも弱いリガンドと 30
第VII因子(TgFVIIa)に対する特異的親和性を示すリガン
の親和性を有する夾雑物を洗浄する工程と、
ドの使用に依拠する。
(b3)樹脂からTgFVIIおよび/またはTgFVIIaを溶出させる
【0030】
工程と
本発明における使用のためのトランスジェニック第VII
をさらに含む。
因子および第VIIa因子のアミノ酸配列は公知である。ト
【0025】
ランスジェニック第VII因子のアミノ酸配列は、特に、
ある実施形態においては、本発明の方法の親和性クロマ
米国特許第4,784,950号に開示されたものなどのヒト第V
トグラフィー工程中に、弱く結合した材料を除去するた
II因子のアミノ酸配列と同一である。
めの前記第2の洗浄工程が、10%∼50%の疎水性薬剤を含
【0031】
み、そのイオン強度が200∼600mMの範囲であるバッファ
ーを用いて実施される。
供給源生物材料
40
本発明の方法は、本明細書では「供給源生物材料」と呼
【0026】
ばれる様々な生物学的起源から得られるトランスジェニ
ある実施形態においては、本発明の方法の親和性クロマ
ックFVIIおよび/またはFVIIaを精製するのに特に有用で
トグラフィー工程中に、樹脂からTgFVIIおよび/またはT
ある。
gFVIIaを溶出させるための前記溶出工程が、20%∼70%の
【0032】
疎水性薬剤を含み、そのイオン強度が500∼2500mMの範
本発明の一実施形態においては、供給源生物材料は、ト
囲であるバッファーを用いて実施される。
ランスジェニックFVIIおよび/またはFVIIaを含有し、ト
【0027】
ランスジェニックFVIIおよび/またはFVIIaを生成するよ
本発明のさらなる特徴および利点は、以下に列挙される
うに改変された(または改変された動物の子孫である)ト
添付の図面を参照して、非限定例として与えられる、本
ランスジェニック動物由来の体液の分画化から得られる
発明の実施形態の以下の説明から明らかとなる。
50
。トランスジェニック動物は、好ましくは、哺乳動物、
( 6 )
JP
9
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10
例えば、ウシ、ウサギ、ヤギ、ヒツジなどである。好ま
留血清タンパク質(例えば、アルブミン、ウサギFVII、
しくは、TgFVIIおよび/またはTgFVIIaを含有する供給源
免疫グロブリンおよびトランスフェリン)がミルク供給
生物材料は、哺乳動物のミルクの試料、すなわち、その
源材料中に導入され得る。
ミルク中にトランスジェニックFVIIおよび/またはFVIIa
【0036】
を生成するトランスジェニック哺乳動物ミルクの試料で
実際、ミルクは、可溶性乳清タンパク質、不溶性カゼイ
ある。
ンミセルおよび乳脂肪球の非滅菌コロイド懸濁液と一致
【0033】
する。乳腺上皮細胞により合成および分泌されるTgFVII
トランスジェニック動物のミルク中でトランスジェニッ
は、可溶性乳清画分中に見出される。潜在的な夾雑RMP
クFVIIタンパク質を生成するための方法は、下記工程:
としては、限定されるものではないが、カゼイン、ラク
遺伝子がミルク中に天然に分泌されるタンパク質のプロ 10
トアルブミン、ラクトグロブリンおよびラクトフェリン
モーターにより制御される、トランスジェニックFVII(
が挙げられる。5つのファミリーのタンパク質:トランス
ヒトFVIIのものと一致するアミノ酸配列)をコードする
フェリン、カゼイン、アルブミン、乳清酸タンパク質お
遺伝子を含有するDNA分子を、非ヒト哺乳動物の胚に移
よび免疫グロブリン(Ig)は、全ウサギミルクタンパク質
す工程を含んでもよい。次いで、胚を同じ種の雌の哺乳
の約90%を占めることが示された。
動物に導入した後、トランスジェニック動物を出産させ
【0037】
る。一度、対象が十分に発達したら、哺乳動物の泌乳を
さらに、本発明のある実施形態においては、本発明の精
誘導し、ミルクを採取する。次いで、ミルクは所望の組
製プロセスはまた、ミルク中で発現されたチモーゲンTg
換えタンパク質を含有する。人間以外の雌の哺乳動物の
FVIIを、TgFVIIaに活性化するように設計される。不幸
ミルク中でのトランスジェニックFVII(TgFVII)の調製の
なことに、一度活性化されたら、TgFVIIaは補足的切断
ためのプロセスの一例は、EP 0 527 063に提供されてい 20
に対して感受性になる。TgFVIIおよび/またはTgFVIIa切
る。そのような特定の実施形態においては、WAPプロモ
断は、Glaに富む領域を部分的もしくは全体的に失うTgF
ーターを含有するプラスミドを、WAP遺伝子のためのプ
VIIをもたらすか、または分子の効力を制限し得る軽鎖(
ロモーターを含有する配列の導入により構築し、このプ
LC)もしくは重鎖(HC)の切断をもたらす。したがって、T
ラスミドを、それがWAPプロモーターに依存するように
gFVIIaの非活性切断生成物への進行中の分解、または進
なった外来遺伝子を受容することができるような方法で
行中のTgFVII酸化の可能性があり、FVIIの治療好適性を
作出する。トランスジェニックFVIIをコードする遺伝子
保証するためには除去しなければならない。
を組込み、WAPプロモーターに依存するようにする。プ
【0038】
ロモーターと、トランスジェニックFVIIタンパク質をコ
清澄化
ードする遺伝子とを含有するプラスミドを用いて、ウサ
ミルクの初期の処理としてのミルク清澄化は、場合によ
ギ胚の雄性前核へのマイクロインジェクションにより、 30
り特許出願WO2007/138198またはWO2008/099077に記載の
ウサギなどのトランスジェニック動物を取得する。次い
ような手順によって実施されるが、本発明を適用する前
で、胚を、ホルモンで調製された雌の卵管に移す。
のミルク処理に制限はない。例えば、プロセスの第1工
【0034】
程が流動床親和性捕捉により実施される場合、場合によ
精製方法
り清澄化を迂回してもよい。場合により、乳業において
本発明は、トランスジェニックFVIIおよび/またはFVIIa
利用可能な任意の技術による脂肪デカンテーションまた
を精製するための方法を提供する。そのような方法は、
はスキム分離を、精製の前に実施してもよい。本発明の
特に、TgFVIIおよび/またはTgFVIIaを含有する供給源生
ある実施形態においては、ミルクをクエン酸バッファー
物材料を、TgFVIIおよびTgFVIIaと高度に特異的である
と混合して、ミルクの安定化された乳漿のような相を迅
リガンドと接触させることを含む。
【0035】
速に取得した後、遠心分離またはデカンテーション、次
40
いで、深層濾過などの液相分離により脂肪分離を得る。
トランスジェニックウサギのミルク中でのトランスジェ
本発明のある実施形態においては、好ましくは深層濾過
ニックFVIIまたはFVIIa(TgFVIIa)の生成は、除去しなけ
は、低剪断応力、非酸化技術、および急速なバイオバー
ればならないいくつかの不純物の存在をもたらす。本発
デン減少およびミルク採取に由来する関連不純物のサイ
明のプロセスは、付随する夾雑分子、いわゆる、ウサギ
ズ保持の組合せにより、TgFVIIおよび/またはTgFVIIaの
ミルクタンパク質(RMP)だけでなく、ウサギDNAおよびウ
完全な生物活性分子を調製するために有利に実施される
サギ血清タンパク質としてウサギミルクに夾雑し得る他
。そのような実施形態においては、深層フィルター相対
の分子も含む、宿主関連不純物(HRI)を除去しながら、
孔径は、30∼0.1μmの範囲であり、深層濾過は、好まし
トランスジェニックウサギのミルクからトランスジェニ
くは、連続的な25∼0.5μmの濾過、次いで、0.5μm∼0.
ックFVIIまたはFVIIa(TgFVIIa)を精製するために特に設
1μmの濾過により実行される。セルロースに基づく深層
計される。血流からミルク中への受動的漏出のため、残 50
フィルターは、顆粒状アジュバントまたは他のフィルタ
( 7 )
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ー補助化合物を用いて、または用いずに、この工程に良
を形成する重鎖は、原核および下等真核細胞による分泌
好に適合される。本発明のある実施形態においては、ク
にとって本質的により好適であると考えられる。
エン酸塩濃度およびプロセス温度は、0.15Mから飽和ま
【0044】
でのクエン酸塩および15℃∼30℃、好ましくは、0.2M∼
特定の実施形態においては、本発明の方法における親和
0.5Mのクエン酸塩および22℃∼27℃の範囲である。クエ
性リガンドとして用いられる抗原結合タンパク質は、そ
ン酸塩および温度のこれらの組合せは、ミクロンオーダ
のポリペプチド重鎖が可変領域(VH)および定常領域(CH)
ー未満にミルクタンパク質のサイズ集団を維持し、透明
を含有するが、CH1と呼ばれるその定常領域の第1のドメ
な乳漿様相溶液を得るために必要である。「透明な」と
インを含まないことを特徴とする。CH1ドメインを有さ
は、本発明のプロセスにおける清澄化されたミルクが、
ないこれらの抗原結合タンパク質は、したがって、その
500NTU(正規化濁度単位)未満の制御された濁度または10 10
鎖の可変領域が可変領域のC末端部分のヒンジ領域に直
00AU(相対吸収単位)未満のλ400ナノメートルで分光光
接連結されるようなものである。WO94/25591は、そのよ
度計上で読み取られた光密度を示すことを意味する。
うな重鎖抗体、またはその断片を大規模に調製するため
【0039】
の方法であって、カビまたは酵母を、前記抗体または断
これらの条件において、タンパク質の生物源中のバイオ
片をコードする発現可能なDNA配列で形質転換すること
バーデン量を減少させるために、0.2μmの孔径を有する
を含む方法を開示する。本発明のある実施形態において
膜での濾過を有利に実施することができる。
は、前記抗原結合タンパク質を、WO94/04678に記載のよ
【0040】
うに取得することもできる。
得られたバイオバーデンが減少し、安定化された溶液を
【0045】
、場合により数ヶ月間、-20℃未満の低温で保存するこ
本発明の方法において用いられる重鎖免疫グロブリンの
とができる。
20
可変ドメインは、重鎖免疫グロブリン中には存在しない
【0041】
VLまたはCH1ドメインとの正常な相互作用部位を有さな
特異的リガンド上での親和性クロマトグラフィー
い。そのような免疫グロブリンはまた、文献中では「VH
リガンド
H」と一般に命名される。
供給源生物材料からTgFVII/TgFVIIaを精製するための本
【0046】
発明の方法は、トランスジェニックFVII/FVIIaに特異的
ある実施形態においては、本発明の方法においてリガン
であるリガンド上での親和性クロマトグラフィーによる
ドとして用いられる抗原結合タンパク質は、それらの可
分離の少なくとも1つの工程を含む。
変領域は位置45に、ロイシン、プロリンまたはグルタミ
【0042】
ン残基とは異なるアミノ酸を含有することを特徴とする
本発明のある実施形態においては、前記親和性リガンド
。
は、完全な抗原結合部位またはいくつかの抗原結合部位 30
【0047】
を形成する2つのポリペプチド重鎖を含み、さらにポリ
特定の実施形態においては、本発明の方法における親和
ペプチド軽鎖を含まない単離された抗原結合タンパク質
性リガンドとして用いられる抗原結合タンパク質は、そ
である。本発明の方法において用いられる抗原結合タン
れらの可変領域がフレームワーク(FW)および相補性決定
パク質は、したがって、典型的には重鎖の二量体を含み
領域(CDR)、特に、4つのフレームワークおよび3つの相
、軽鎖を含まない。
補性領域を含むことを特徴とする。したがって、それら
2つのポリペプチド重鎖は、1つまたは複数の完全な抗原
は、特に、この可変領域自体が抗原結合部位またはいく
結合部位を形成するのに十分なものである。「完全な抗
つかの抗原結合部位を含有してもよく、軽鎖の可変領域
原結合部位」とは、本発明によれば、単独で抗原の認識
の寄与を必要としないという事実によって標準的な4鎖
および完全な結合を可能にし、結合親和性の試験に関す
免疫グロブリンとは異なる。
る任意の公知の方法によって検証することができる部位 40
【0048】
を意味する。
フレームワーク1およびフレームワーク4のアミノ酸配列
【0043】
は、特に、それぞれ、以下:
本発明の方法において用いられる抗原結合タンパク質の
フレームワーク1ドメインについて、
重鎖は、対応する軽鎖と相互作用するための特別な特徴
GGSVQTGGSLRLSCEISGLTFD (配列番号1)
を有さず(存在しない)、したがって、免疫グロブリンの
GGSVQTGGSLRLSCAVSGFSFS (配列番号2)
一般的な重鎖とは非常に異なる。その特定の構造にも拘
GGSEQGGGSLRLSCAISGYTYG (配列番号3)
らず、前記抗原結合タンパク質は、それにも拘らず標準
GGSVQPGGSLTLSCTVSGATYS (配列番号4)
的な4鎖モデル免疫グロブリンと比較した場合、少なく
GGSVQAGGSLRLSCTGSGFPYS (配列番号5)
とも等価であり、好ましくは改善された機能的特性を示
GGSVQAGGSLRLSCVAGFGTS (配列番号6)
すことができる。したがって、前記抗原結合タンパク質 50
GGSVQAGGSLRLSCVSFSPSS (配列番号7);
( 8 )
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フレームワーク4ドメインについて、
短いヒンジ領域はIgG3分子に対応し、長いヒンジ配列は
WGQGTQVTVSS (配列番号8)
IgG2分子に対応する。
WGQGTLVTVSS (配列番号9)
【0052】
WGQGAQVTVSS (配列番号10)
特定の実施形態においては、本発明の方法においてリガ
WGQGTQVTASS (配列番号11)
ンドとして用いられる抗原結合タンパク質を、動物、よ
RGQGTQVTVSL (配列番号12)および/または、
り特には、ラクダ科動物、好ましくは、ラクダ科動物の
CDR3ドメインについて、
血液から単離することができる。さらなる実施形態にお
ALQPGGYCGYGX----------CL (配列番号13)
いては、抗原結合タンパク質は、ラクダ科動物免疫グロ
VSLMDRISQH------------GC (配列番号14)
VPAHLGPGAILDLKKY------KY (配列番号15)
ブリンに、より特には、旧世界ラクダ(Camelus bactria
10
nusおよびCamelus dromedarius)または新世界ラクダ(La
FCYSTAGDGGSGE---------MY (配列番号16)
ma pacos、Lama glamaおよびLama vicugna)の免疫グロ
ELSGGSCELPLLF---------DY (配列番号17)
ブリンに由来する。それらが起源とする動物に応じて、
DWKYWTCGAQTGGYF-------GQ (配列番号18)
抗原結合タンパク質の分子量は、約43kDa∼約47kDa、特
RLTEMGACDARWATLATRTFAYNY (配列番号19)
に、45kDaであってもよい。
QKKDRTRWAEPREW--------NN (配列番号20)
【0053】
GSRFSSPVGSTSRLES-SDY---NY (配列番号21)
ある実施形態においては、これらの抗原結合タンパク質
ADPSIYYSILXIEY--------KY (配列番号22)
は、その定常領域の全部または一部の、ヒト抗体の定常
DSPCYMPTMPAPPIRDSFGW---DD (配列番号23)
領域の全部または一部による置き換えにより改変される
TSSFYWYCTTAPY---------NV (配列番号24)
、特に、ヒト化されていてもよい。例えば、前記抗原結
TEIEWYGCNLRTTF--------TR (配列番号25)
20
合タンパク質のCH2および/またはCH3ドメインを、IgGγ
NQLAGGWYLDPNYWLSVGAY---AI (配列番号26)
3ヒト免疫グロブリンのCH2および/またはCH3ドメインに
RLTEMGACDARWATLATRTFAYNY (配列番号27)
より置き換えることができる。そのようなヒト化抗原結
DGWTRKEGGIGLPWSVQCEDGYNY (配列番号28)
合タンパク質においては、可変配列の一部、および特に
DSYPCHLL--------------DV (配列番号29)
、結合部位に介在しない1つまたは複数のフレームワー
VEYPIADMCS------------RY (配列番号30)
ク残基は、ヒト抗体フレームワーク残基により置き換え
から選択することができるアミノ酸配列を含む。
られていてもよい。前記抗原結合タンパク質は、G型免
【0049】
疫グロブリン、特に、クラス2の免疫グロブリン(IgG2)
ある実施形態においては、抗原結合タンパク質の定常領
またはクラス3の免疫グロブリン(IgG3)と定義される免
域は、以下の群の配列:
疫グロブリンを含んでもよい。
CH2ドメインについて、
30
【0054】
APELLGGPTVFIFPPKPKDVLSITLTP (配列番号31)
上記抗原結合タンパク質の利点は、軽鎖可変ドメインの
APELPGGPSVFVFPTKPKDVLSISGRP (配列番号32)
欠如が、異なる組合せの可変ドメインと対形成する可能
APELPGGPSVFVFPPKPKDVLSISGRP (配列番号33)
性から生じる抗体レパートリー中の余剰次元の可変性が
APELLGGPSVFIFPPKPKDVLSISGRP (配列番号34)
存在せず、多数の無関係の抗原結合タンパク質の生成を
CH3ドメインについて、
回避する際に特異的抗原(ここでは、トランスジェニッ
GQTREPQVYTLA (配列番号35)
クFVII/FVIIa)に対する抗原結合タンパク質を調製する
GQTREPQVYTLAPXRLEL (配列番号36)
ことができることを意味するという事実に依拠するもの
GQPREPQVYTLPPSRDEL (配列番号37)
である。第2の利点は、VHHドメインが伝統的な抗体より
GQPREPQVYTLPPSREEM (配列番号38)
GQPREPQVYTLPPSQEEM (配列番号39)
も有意に安定であり、前記抗原結合タンパク質に基づく
40
クロマトグラフィー分離が有意により強固であると予想
から選択されるアミノ酸配列を含むCH2およびCH3ドメイ
されるということである。さらに、構造的および機能的
ンを含む。
完全性を維持するための軽鎖可変ドメインとの相互作用
【0050】
への依存性の欠如は、生成の容易性および溶液中での挙
好ましくは、抗原結合タンパク質は、そのヒンジ領域が
動に関して、これらのVHHドメインを、他の小さい抗体
、0∼50個のアミノ酸を含むことを特徴とする。これら
断片よりも実質的に有利にする。特に、VHH断片は、そ
のタンパク質のヒンジ領域の特定の領域は、以下の配列
の並外れた安定性および抗原の溶出中に頻繁に起こる、
:GTNEVCKCPKCP (配列番号40)または、
完全な変性後に効率的にリフォールディングするその能
EPKIPQPQPKPQPQPQPQPKPQPKPEPECTCPKCP (配列番号41)
力のため、免疫親和性精製にとって特に適した分子であ
である。
る。
【0051】
50
【0055】
( 9 )
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本発明の方法において用いられる親和性リガンドが上記
【0060】
で定義された抗原結合タンパク質である場合、それは、
上記抗原結合タンパク質の「機能的断片」は、ヒト第VI
エピトープがトランスジェニックFVII/FVIIaに特異的で
I因子または第VIIa因子に対する強い親和性を示す、好
あるという条件で、トランスジェニックFVII/FVIIaの任
ましくは、起源とする抗原結合タンパク質とヒトFVIIも
意のエピトープに対するものであってもよい。そのよう
しくはFVIIaに関して実質的に同じ親和性を示すか、ま
なエピトープは、アミノ酸、ポリペプチド、炭水化物、
たは起源とする抗原結合タンパク質により示される親和
またはその混合物を含む任意の構造を含む。
性の少なくとも約50%、さらに好ましくは少なくとも約6
【0056】
0、70、80、もしくは90%の親和性を示す断片である。
「FVII/FVIIaに特異的であるリガンド」という表現は、
【0061】
本発明の親和性クロマトグラフィー工程に用いられるリ 10
本発明の方法におけるリガンドとしての使用のために包
ガンドが、ウサギまたはヤギのFVIIまたはFVIIaなどの
含される断片は、軽鎖を含まない抗原結合タンパク質の
他の種由来のFVIIまたはFVIIaを含む、任意の他のタン
1つのポリペプチド重鎖、上記抗原結合タンパク質の酵
パク質に実質的に結合しないか、またはその結合を実質
素的消化により得られる断片、特に、Fc断片(定常断片)
的に制限することを意味する。本発明において用いられ
をもたらし、FVHh断片(重鎖の抗原結合部位を含有する)
るリガンドは、好ましくは、トランスジェニック第VII
もしくはその二量体F(VHh)2をもたらすパパインを用い
因子または第VIIa因子に対する1μMを超える親和性を有
る部分消化により得られるもの、またはFc断片のC末端
し、有利には、トランスジェニックFVIIまたはFVIIaに
部分に対応するpFc断片をもたらす、Fc断片のパパイン
対する少なくとも100nM、より好ましくは、1∼10nMの親
を用いるさらなる消化により得られる断片、他のタンパ
和性を有してもよい。特定の実施形態においては、本発
ク質分解酵素を用いて得られる相同な断片、抗原結合タ
明において用いられるリガンドは、ウサギFVIIまたはFV 20
ンパク質の可変領域の少なくとも10、好ましくは20アミ
IIaと比較した場合、1logを超える差異でトランスジェ
ノ酸の断片、または完全な可変領域、特に、単離された
ニックFVIIまたはFVIIaに結合する。「タンパク質の結
VHドメインもしくはヒンジに連結されたVH二量体に対応
合を実質的に制限する」という表現は、本発明において
する断片、ならびに定常領域の少なくとも10、好ましく
用いられるリガンドが、クロマトグラフィー支持体上に
は20アミノ酸、もしくは抗原結合タンパク質の完全な定
充填された初期溶液中に含まれる宿主関連不純物(HRI)
常領域に対応する断片を含む。
の少なくとも4logまたは99.99%の除去、およびトランス
【0062】
ジェニックFVIIを発現させるために用いられるトランス
「機能的誘導体」とは、誘導体がトランスジェニックFV
ジェニック哺乳動物により内因的に生成されるFVIIまた
IIまたはFVIIaに関して結合親和性および特異性を示す
はFVIIaの少なくとも3logまたは99.99%の除去を可能に
程度で、アミノ酸の1つまたは複数の置換、欠失、また
することを意味する。
30
は付加により、本発明の方法においてリガンドとして用
【0057】
いられる抗原結合タンパク質と異なるポリペプチドを意
ある実施形態においては、親和性支持体から溶出した画
味する。「機能的誘導体」は、好ましくは、上記抗原結
分中の内因性第VII因子または第VIIa因子の質量は、カ
合タンパク質と同じ親和性またはトランスジェニックFV
ラム上に充填された初期溶液内のこれらのタンパク質の
IIaに関して前記抗原結合タンパク質により示される少
質量に関して、100倍、好ましくは1000倍、または最も
なくとも約90%、さらに好ましくは少なくとも約50、60
好ましくは10000倍以上減少する。比較すると、FVII特
、70、もしくは80%の親和性を実質的に示す。前記機能
異的リガンド上に充填され、溶出画分中で回収されるト
的誘導体は、上記抗原結合タンパク質との高いパーセン
ランスジェニック第VII因子または第VIIa因子の相対質
テージの同一性を示す相同体を含み、それらは少なくと
量は、初期充填溶液内のこれらのタンパク質の質量の少
なくとも30%、好ましくは少なくとも50%以上である。
も80%、85%、90%、95%または99%同一であり、好ましく
40
【0058】
合タンパク質と異なる。
特定の実施形態においては、本発明の抗原結合タンパク
【0063】
8
質(リガンド)は、以下の動的結合定数:Ka=2.58x10 Mお
よびKd=9.88x10
は、1つまたはいくつかの保存的置換により上記抗原結
- 9
本発明のある実施形態においては、抗原結合タンパク質
Mを有する。
は、固相上に固定化される。固定化は、吸着または化学
【0059】
的架橋により達成することができる。
上記抗原結合タンパク質の任意の機能的断片または機能
【0064】
的誘導体を、本発明の方法においてトランスジェニック
一般に、クロマトグラフィー媒体などの固相表面へのタ
第VII因子および/または活性化第VII因子(FVIIa)に特異
ンパク質の付着は、タンパク質が非特異的結合機構によ
的に結合させるためのリガンドとして用いることもでき
って固相表面上に吸着されるように、固相表面をタンパ
る。
50
ク質の溶液に曝露することによってもたらされる。タン
( 10 )
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18
パク質をクロマトグラフィー媒体上に固定化するための
または平面、ヒダのある、もしくは中空の繊維もしくは
方法は、文献中でよく確立されており、例えば、Bosche
管であってもよいシート形態(例えば、膜もしくはフィ
tti E.、Egly J.M.、Monsigny M.、1983、Practical Gu
ルター、ガラスもしくはプラスチックスライド、マイク
ide for use in Affinity chromatography and related
ロタイターアッセイプレート、ディップスティック、キ
techniques、第2版、IBF Villeneuve-la-garenne、Fra
ャピラリー充填デバイスもしくは同様のもの)であって
nce、1∼157頁を参照されたい。例えば、固相表面がポ
もよい。以下のマトリックスは、例として与えられるも
リスチレンなどの疎水性材料により提供される場合、付
のであり、包括的ではなく、そのような例は、シリカ(
着は一般に、タンパク質の疎水性領域の疎水性表面への
多孔性非晶質シリカ)、例えば、Biotage(Dyax Corp.社
吸着によってもたらされる。
【0065】
の一部門)により供給される60Aの不規則シリカ(32∼63
10
μmもしくは35∼70μm)を含有するFLASHシリーズのカー
固定化されたタンパク質表面の調製におけるタンパク質
トリッジ、アガロースもしくはポリアクリルアミド支持
の吸着の方法に対する代替手段、またはそれに対する改
体、例えば、Amersham Pharmacia Biotech社により供給
善が利用可能である。
されるSepharoseレンジの製品、またはBio-Rad社により
【0066】
供給されるAffi-Gel支持体を含んでもよい。
1つの代替的な手法は、例えば、Boschetti E.、Egly J.
さらに、Bio-Rad社により供給される圧力安定性Affi-Pr
M.、Monsigny M.、1983、Practical Guide for use in
ep支持体などの、マクロ多孔性ポリマーも存在する。用
Affinity chromatography and related techniques、第
いることができる他の支持体としては、デキストラン、
2版、IBFVilleneuve-la-garenne、France、1∼157頁に
コラーゲン、ポリスチレン、メタクリレート、アルギン
記載の従来のカップリング化学を用いる、活性化された
酸カルシウム、制御孔ガラス、アルミニウム、チタニウ
固相表面への共有的付着のためのタンパク質中の残基の 20
ムおよび多孔性セラミックが挙げられる。好ましい実施
化学的架橋を使用することである。システインなどの、
形態においては、Sephadex(登録商標)、Sepharose(登録
スルフヒドリル基を含むアミノ酸残基を、例えば、スク
商標)、Fractogel(登録商標)、CIMGEL(登録商標)、Toyo
シンイミジル-マレイミドフェニルブチレート(SMPB)な
pearl(登録商標)、HEMA(登録商標)、ならびに架橋アガ
どの二特異的試薬を用いて共有的に付着させることがで
ロース、およびマクロ多孔性ポリスチレンまたはポリア
きる。
クリレートなどの市販の樹脂を含む樹脂が固相として用
【0067】
いられる。
あるいは、リガンド表面に位置するリシン基を、1,エチ
固相はまた、マクロ多孔性ガラスもしくは粘土鉱物など
ル-3-[3-ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド(EDC)
の主に無機性のもの、またはCeramic HyperD(登録商標)
およびN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を用いる従来
もしくはシリカゲルなどの、樹脂と無機物との組合せで
のカルボジイミドカップリングにより、固相表面の活性 30
あってもよい。
化カルボキシル基にカップリングさせることができる。
【0070】
非共有的吸着により固相に固定化された、ペプチド尾部
充填工程
の形態での伸長を用いるか、または従来の化学的架橋剤
トランスジェニックFVII/FVIIaを含有する供給源生物材
を用いることにより、リガンドを付着させることもでき
料を場合により前処理(例えば、清澄化または濾過工程)
る。
した後、上記リガンドを含む親和性支持体上に充填する
【0068】
。
本発明の一実施形態によれば、本発明の抗原結合タンパ
【0071】
ク質は、従来のカップリング化学を用いる共有的架橋に
供給源生物材料は、好ましくは、リガンドを含む親和性
よって固相に付着される。固相は、共有的付着にとって
支持体上に充填する前に調整される。本発明のある実施
好適な架橋可能な残基を自然に含むか、またはそれを被 40
形態においては、充填バッファーのpHは、約6.0∼8.0に
覆もしくは誘導体化して、当業界で周知の方法に従って
調整される。本発明のこのクロマトグラフィー工程のた
好適な架橋基を導入することができる。
めに、好適な充填バッファーは、典型的には、緩衝剤、
【0069】
典型的には、リン酸塩、クエン酸塩、またはトリスを含
固定化を行う固相は、様々な材料により提供することが
む水性溶液に対応する。それにも拘らず、中性に近いpK
でき、好適には、タンパク質の固定化において従来通り
を有する全てのカルボン酸バッファーまたは両性イオン
用いられる任意の固相担体材料であってよい。本発明の
バッファーを用いることもできる。カルシウム、マグネ
方法は、直接的に、または前処理後に、タンパク質また
シウム、亜鉛などの二価イオンを、0∼50mMの範囲(最終
はタンパク質断片を固定化しやすい任意の固相材料に関
濃度)で充填バッファーに添加することができる。
して適用可能である。担体材料は、粒子状(例えば、一
【0072】
般には抽出カラム中で用いられるビーズもしくは顆粒)
50
充填工程は、典型的には、1時間あたり10∼72倍カラム
( 11 )
JP
19
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20
容量(CV)の流速で、好ましくは、18∼54CV/時間で行わ
本発明のある実施形態においては、第2の洗浄バッファ
れる。いくつかの実施形態においては、充填流速は、30
ーは、TgFVIIまたはTgFVIIaよりも弱い親和性を有する
∼48CV/時間であり、好ましくは、36CV/時間である。こ
が、樹脂上に結合した夾雑物を除去するために、TgFVII
れらの特定の範囲は、非解離性複合体を形成する過剰な
/TgFVIIaの溶出の前に有利に適用される。ある実施形態
時間を含まずに、トランスジェニックFVII/FVIIaのリガ
においては、第2の洗浄バッファーは、エーテルジオー
ンドへの十分な接触時間を可能にするものである。
ル化合物および少なくとも1つの可溶性塩を含有する。
【0073】
【0080】
本発明のある実施形態においては、充填される材料は、
本発明のある実施形態においては、第2の洗浄バッファ
非特異的結合剤および夾雑物が溶出されるまで、カラム
上への充填後に洗浄される。
ーのイオン濃度を、塩化ナトリウムまたはマグネシウム
10
としてのカオトロピック塩を用いて増加させる。ある実
【0074】
施形態においては、イオン強度を、一価または多価陰イ
第1の洗浄工程-未結合の材料の除去
オンおよび/または陽イオン塩などのイオン成分を用い
本発明のある実施形態においては、第1の洗浄工程は、
て増加させる。ある実施形態においては、イオン強度ま
充填された溶液中に含まれる未結合の材料を溶出させる
たはイオン濃度は、200∼600mM、またはより好ましくは
ために行われる。前記第1の洗浄は、好ましくは、2∼9
、300∼500もしくは350∼450mMの範囲である。同時に、
の範囲のpHを有する洗浄バッファーを用いて実施される
バッファーの疎水性を、エチレングリコールまたはプロ
。いくつかの実施形態においては、第1の洗浄バッファ
ピレングリコールなどの疎水性薬剤を用いて増加させる
ーのpHは、親和性樹脂への適用時に、3∼10、3∼7、5∼
。ある実施形態においては、第2の洗浄バッファー中の
9、6.5∼8.5または6.5∼10.0の範囲である。いくつかの
疎水性薬剤のパーセンテージは、10%∼50%、20%∼40%、
興味深い実施形態においては、第1の洗浄バッファーのp 20
好ましくは25%∼35%の範囲である。
Hは、4.0∼7.0、7.0∼9.0、または4.5∼8.5の範囲であ
【0081】
る。
「弱く結合した材料」とは、第2の洗浄工程が、本発明
【0075】
の方法において用いられる親和性リガンドに対する少な
第1の洗浄工程中に、供給源材料中に存在する夾雑タン
くとも100μM、好ましくは少なくとも10μMの親和性(Kd
パク質と、固定化されたリガンドとの弱い相互作用を、
)を有する材料の除去を誘発することを意味する。
これらの特定の範囲のpHのそのようなバッファーにより
【0082】
減少させることができる。静電反発力相互作用が、弱く
ある実施形態においては、第2の洗浄バッファーのイオ
結合したタンパク質を溶出させるために実際に有利に用
ン強度および疎水性強度を、可能な限り、好ましくは、
いられる。
全ての、親和性樹脂上に結合した夾雑物を除去するため
【0076】
30
に同時に増加させる。
第1の洗浄工程は、典型的には、1時間あたり10∼72倍カ
【0083】
ラム容量(CV)の流速で、好ましくは、18∼54CV/時間で
第2の洗浄バッファーは、好ましくは、6.5∼8.5のpHの
行われる。いくつかの実施形態においては、洗浄流速は
トリスバッファー中に、0∼40%のグリコールエーテルお
、30∼48CV/時間の範囲、好ましくは、36CV/時間である
よび0∼0.5Mのナトリウム塩を含む。好ましい実施形態
。本発明のある実施形態においては、第1の洗浄バッフ
においては、第2の洗浄バッファーは、pH7.5のトリスバ
ァーは、緩衝剤、典型的には、リン酸塩、またはトリス
ッファー中に30%のプロピレングリコールおよび0.4MのN
を含む水性溶液である。それにも拘らず、中性に近いpK
aClを含む。
を有する全てのカルボン酸バッファーまたは両性イオン
【0084】
バッファーを用いることもできる。
【0077】
また、第2の洗浄工程および溶出工程は別個の工程であ
40
る必要はなく、特に、勾配溶出バッファーを溶出工程に
ある実施形態においては、第1の洗浄バッファーは、6.5
おいて用いる場合は組合せてもよいことに留意すべきで
∼8.5のpH、最も好ましくは、pH7.5の0∼100mM、好まし
ある。
くは、50mMのトリスバッファーを含む。
【0085】
【0078】
溶出工程
1つ、2つもしくはいくつかの異なる洗浄バッファーを用
洗浄工程の後、親和性カラムのリガンド上に結合したTg
いることにより、または勾配洗浄バッファーの適用によ
FVII/TgFVIIaを、溶出バッファーを用いて溶出させ、Tg
り、洗浄工程を延長することができることが理解される
FVIIおよび/またはTgFVIIaの精製された溶液を溶出液と
べきである。
して採取する。ヒトFVIIまたはFVIIaの脱離は、好まし
【0079】
くは、抗原結合リガンドが最早ヒトFVIIまたはFVIIaに
第2の洗浄工程-弱く結合した材料の除去
50
結合しないように物理化学的条件を変化させることによ
( 12 )
JP
21
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22
って達成される。溶出は、pH、塩、温度または任意の他
あり、イオン強度は1.2∼1.6Mの範囲である。
の好適な尺度に関する条件を変化させることによって達
【0092】
成することができる。
好ましい実施形態においては、活性で安定なTgFVIIおよ
【0086】
び/またはTgFVIIa分子の脱離を、pH7.5のトリスバッフ
「前記リガンドとの相互作用を非破壊的な形で分断する
ァー中に45%のプロピレングリコールおよび1.5Mの塩化
こと」という表現は、TgFVIIおよび/またはTgFVIIaの完
ナトリウムを含むバッファーを用いて実施する。
全性および機能が、前記トランスジェニックFVII形態を
【0093】
溶出させる時点で保存されることを意味する。
溶出工程は、典型的には、1時間あたり10∼72倍カラム
【0087】
ある実施形態においては、溶出は、3.0未満のpHを有す
容量(CV)の流速で、好ましくは、18∼54CV/時間で行わ
10
れる。いくつかの実施形態においては、溶出流速は、30
るバッファーを用いて実施されるが、溶出した分子の生
∼48CV/時間の範囲であり、好ましくは36CV/時間である
物活性を維持するためには、6.0を超えるpHへの急速な
。流速を増加させた場合、遊離固定化リガンドへの再会
中和が必要である。
合の可能性が低下し、溶出液画分中でのTgFVII回収が改
【0088】
善される。この効果は主に、TgFVIIまたはTgFVIIaに対
溶出バッファーは、典型的には、緩衝剤、典型的には、
するリガンドの強い親和性と関連する。
リン酸塩、またはトリスを含む水性溶液である。それに
【0094】
も拘らず、中性に近いpKを有する全てのカルボン酸バッ
本発明で提唱される親和性精製の後、90%を超える純粋
ファーまたは両性イオンバッファーを用いることもでき
なTgFVII/TgFVIIaが調製され、これは4を超える常用対
る。溶出工程は、好ましくは、2∼10のpHを有する溶出
数のウサギミルクタンパク質(RMP)の減少(4log1 0 または
バッファーを用いて行われる。いくつかの実施形態にお 20
99.99%の減少)を表す。それにも拘らず、RMPは典型的に
いては、pHは、3∼9、5∼8、最も好ましくは、7∼8の範
は500000ppm未満、好ましくは、100000ppm未満、最も好
囲である。静電反発力相互作用は、TgFVIIまたはTgFVII
ましくは50000ppm未満である。ウサギトランスフェリン
aとリガンドとの特異的親和性相互作用を分断するには
は、最も重要な付随する夾雑RMPの1つであることが示さ
十分ではない。溶出バッファーは、さらに有利には、例
れている。
えば、グリコシル化などの形質導入後の変換を失うこと
【0095】
なくTgFVII/TgFVIIaの生物活性を維持させるか、または
RMPを非常に低レベルまで、典型的には、5ppm未満に減
その凝集もしくは酸化を回避することができる任意のさ
少させるために、精製スキームは、様々な直交法を統合
らなる成分を含んでもよい。
する必要がある。「直交法」とは、互いに異なる分離機
【0089】
構を用いる多工程の精製手順を意味する。本発明におい
好ましくは、溶出バッファーのイオン強度を、塩化ナト 30
ては、精製は、その選択性、効率および大規模化の容易
リウムまたはマグネシウムとしてのカオトロピック塩を
性のため、クロマトグラフィー法に基づく。これらの方
用いて増加させる。ある実施形態においては、溶出バッ
法の組合せを、凝集物を含まず、非常に低レベルの分解
ファーのイオン強度は、500∼2500mM、1000∼1800mM、
および酸化された形態を含む、最終的な大量のTgFVIIお
または好ましくは、1200∼1600mMの範囲である。
よび/またはTgFVIIaを確保するように特に設計した。
【0090】
【0096】
好ましくは、溶出バッファーの疎水性を、エチレングリ
さらに、出願人は、親和性クロマトグラフィーの予期せ
コールまたはプロピレングリコールとしての疎水性薬剤
ぬ驚くべき特性、特に、マウス白血病ウイルス(MLV)な
を用いて増加させる。ある実施形態においては、溶出バ
どのエンベロープウイルスおよびブタパルボウイルス(P
ッファー中の疎水性薬剤のパーセンテージは、20%∼70%
PV)などの非エンベロープウイルスのウイルス力価の減
、30%∼50%、または好ましくは、40%∼50%の範囲である 40
少を改善するその能力を発見した。
。
【0097】
【0091】
特定の好ましい様式では、親和性クロマトグラフィーの
最も好ましくは、溶出バッファーのイオン強度および疎
工程は、3log1 0 より優れた、好ましくは、4log1 0 より優
水性を、7∼8のpHを有するバッファー中で同時に増加さ
れた、より好ましくは、5log1 0 より優れたウイルス減少
せる。ある実施形態においては、溶出バッファー中の疎
率(RF)を得るために実施される。
水性薬剤のパーセンテージは20%∼60%の範囲であり、そ
【0098】
のイオン強度は0.5∼2.0Mの範囲である。
「ウイルス減少率」とは、クロマトグラフィー工程の実
好ましくは、疎水性薬剤のパーセンテージは30%∼50%の
施前に測定されたウイルス量の値(力価×容量)(すなわ
範囲であり、イオン強度は1.0∼1.8Mの範囲であるか、
ち、初期量のウイルス力価の値)と、クロマトグラフィ
または疎水性薬剤のパーセンテージは40%∼50%の範囲で 50
ー工程の実施後に測定されたウイルス量の値(力価×容
( 13 )
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量)(すなわち、溶出液中で測定された力価の値)との比
させる。
の結果を意味する。ウイルス力価は、Federal Gazette
【0106】
N 84、1994年5月4日、およびSchmidt, N.J. & Emmons,
本発明のある実施形態においては、陰イオン電荷とのRM
R.W.(1989)、Diagnostic Procedures for Viral, Ricke
P相互作用を強化するために、充填の直後に塩交換が導
ttsial and Chlamydial Infection、第6版に記載のSpea
入される。ナトリウム塩、より特には、クエン酸三ナト
rman Karberの式を用いて算出される。
リウム塩を、より低い伝導性を有するイミダゾールバッ
【0099】
ファーに切替える。この特異的バッファーにおいて、イ
限外濾過/透析濾過
ミダゾールは1∼50mM、好ましくは5∼30mMの範囲であり
本発明によれば、親和性精製された材料を透析濾過また
、より好ましくは、20mMである。また、バッファーのpH
は希釈してイオン強度を低下させた後、さらに精製する 10
は、6.5∼8.5、好ましくは、7∼8の範囲に維持される。
ことができる。本発明のある実施形態においては、5∼5
そのような条件において、トランスフェリンおよび他の
0kDa、好ましくは10∼30kDaの範囲のカットオフを有す
タンパク質と複合体化した非活性TgFVIIまたはTgFVIIは
る限外濾過膜が用いられる。バッファー交換により、イ
、陰イオン交換樹脂に対して強化された相互作用を示す
オン強度は、1∼50mM、好ましくは5∼15mMの範囲の、ナ
。
トリウム塩を含有する、本発明のある実施形態において
【0107】
は、クエン酸三ナトリウムを含有するバッファーに減少
第1の洗浄
する。
本発明のある実施形態においては、第1の洗浄は、塩濃
【0100】
度、特に、塩化ナトリウム塩濃度を、50∼175mM、より
本発明のある実施形態においては、長期保存を、この工
好ましくは、130∼160mMの範囲に増加させることにより
程で、好ましくは-20℃未満の低温で有利に行うことが
20
適用される。この洗浄を、勾配または工程により適用す
できる。
ることができる。本発明のある実施形態においては、こ
【0101】
の洗浄は、ミルク内因性トランスフェリンの特異的溶出
本発明のある実施形態においては、減塩、長期保存およ
を示すが、同時に、イミダゾールバッファーの存在下で
び微生物除去により安定化された親和性精製された材料
、TgFVII/TgFVIIaはイオンゲル上に留まり、他のタンパ
を、さらに精製することができる。
ク質と複合体化した微量のトランスジェニックFVIIもま
【0102】
た吸着されたままである。
イオン交換クロマトグラフィー
【0108】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明のプロセス
TgFVII/TgFVIIaの溶出
は、TgFVIIおよびTgFVIIaをさらに精製するための少な
本発明の実施形態において、TgFVII/TgFVIIaは、塩濃度
くとも1つのイオン交換クロマトグラフィー工程をさら
30
、特に、塩化ナトリウム塩濃度を、0∼75mM、より好ま
に含む。
しくは、40∼60mMの範囲に減少させ、同時に、2∼9mM、
【0103】
より好ましくは、5∼8mMの範囲の非常に低濃度のカルシ
好ましくは、少なくとも1つのクロマトグラフィー工程
ウム塩を導入することにより、陰イオン交換体から溶出
は、陰イオン交換樹脂上で実施される。前記陰イオン交
される。カルシウムと、FVII分子などのglaドメイン含
換クロマトグラフィーを、強塩基または弱塩基型クロマ
有タンパク質との特異的相互作用が長い間にわたって研
トグラフィー支持体を用いて実行することができる。い
究されてきた。FVII分子におけるコンフォメーション変
くつかの実施形態においては、GE Healthcare社からのQ
化は、低い伝導性での溶出を可能にする全体的な電荷の
-Sepharose、最も好ましくは、Q-Sepharose XL型のよう
変化をもたらす。本発明のある実施形態においては、イ
な様々な市販の樹脂の第4級アンモニウム官能基が使用
ミダゾールの存在下では、他のタンパク質と複合体化し
可能である。この一覧は限定的なものではなく、Bio-Ra 40
た微量のTgFVIIは吸着されたままである。トリス-ヒド
d社、Pall Biosepra社、Merck社、Millipore社または他
ロキシメチルアミノメタンまたはクエン酸三ナトリウム
の供給業者からの強力な陰イオン交換体を用いることが
のような他の塩は、遊離TgFVIIおよび/または他のタン
できる。
パク質と複合体化したTgFVIIとの同時溶出を示す。
【0104】
【0109】
有利には、TgFVIIaへのTgFVIIの活性化は、陰イオン交
陰イオン交換体から溶出したTgFVIIは、50%∼100%、よ
換体上で行われる分離工程の間に増加する。
り好ましくは、80∼100%の活性化形態のTgFVIIaを含む
【0105】
。
充填工程
【0110】
事前精製された材料を、最初に同じ伝導範囲で平衡化し
さらに、出願人は、イオン交換クロマトグラフィーの予
、使用時に同じ塩で平衡化された陰イオン支持体に吸着 50
期せぬ驚くべき特性、特に、マウス白血病ウイルス(MLV
( 14 )
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25
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26
)などのエンベロープウイルスおよびブタパルボウイル
、サイズ排除クロマトグラフィーによって実施すること
ス(PPV)などの非エンベロープウイルスのウイルス力価
ができる。サイズ排除カラム高、樹脂多孔性およびクロ
の減少を改善するその能力を発見した。
マトグラフィーバッファーは、最良の選択性を達成する
【0111】
ために選択しなければならない。SuperdexS75調製等級
特定の好ましい様式では、イオン交換クロマトグラフィ
またはより好ましくはSuperdex S200調製等級と同等の
ーの工程は、3log1 0 より優れた、好ましくは、4log1 0 よ
高性能樹脂が研磨工程に必要である。60cmより高く120c
り優れた、より好ましくは、5log1 0 より優れたウイルス
mより低い、より好ましくは、80cmより高く110cmより低
減少率(RF)を得るために実施される。
いゲルベッド高により、十分に溶解して2のさらなるlog
【0112】
の微量のRMPを除去することができる。
好ましくはヒドロキシアパタイト上での偽親和性クロマ 10
【0119】
トグラフィー
ある実施形態においては、SEC中に適用されるバッファ
本発明のある実施形態においては、陰イオン交換クロマ
ー交換は、20∼500ppm、または好ましくは、50∼200ppm
トグラフィーから採取され、TgFVIIおよび/またはTgFVI
の濃度の非イオン性界面活性剤と共に、限定されるもの
Iaを含有する溶出液を、有利には、ヒドロキシアパタイ
ではないが、アルギニンもしくはグリシンなどのアミノ
トゲル[Ca1 0 (PO4 )6 (OH)2 ]上での偽親和性クロマトグラ
酸または糖を含有する。バッファー中のイオン性界面活
フィーによりさらに精製する。
性剤の存在は、有利には、SEC中のTgFVII/TgFVIIaの単
【0113】
量体状態を維持するのに役立ち、FVIIと夾雑分子との最
このさらなる偽親和性クロマトグラフィーは、好ましく
適な分離をもたらす。本発明のある実施形態においては
は、以下の条件下で実施される:カラムを、7.5∼8.5のp
、製剤バッファーは、米国特許出願第2012/0087908号に
Hの、10∼30mMのリン酸カリウムもしくはナトリウムま
20
記載のような、様々なアミノ酸と、モノラウリン酸ソル
たはその混合物を含む水性バッファーAを用いて平衡化
ビタンまたは/およびモノオレイン酸ソルビタンとの混
させる。
合物を含有する。SECカラム容量の1%∼10%、より好まし
【0114】
くはSECカラム容量の2∼5%の範囲の充填容量と組み合わ
カルシウムを用いて製剤化されたTgFVII/TgFVIIa分子は
せた、10∼40cm/h、より好ましくは、20∼25cm/hの直線
支持体上に保持されるが、Des-gla-FVIIおよび他の切断
状流速を適用して、RMPの5ppmより下、または99.9995%
は流出液中で除去される(「Des-gla-FVII」とは、おそ
より高い純度のTgFVIIおよび/またはTgFVIIaの単量体ピ
らくタンパク質分解により除去されたFVIIのGLAドメイ
ークを得る。
ンを意味する)。
【0120】
【0115】
さらに、出願人は、サイズ排除クロマトグラフィーの予
バッファーAの浸出は、充填工程の直後に、プロセスの
30
期せぬ驚くべき特性、特に、マウス白血病ウイルス(MLV
間に部分的に切断されたTgFVIIおよび/またはTgFVIIaの
)などのエンベロープウイルスおよびブタパルボウイル
一部を溶出し、これにより、活性が低いか、または不活
ス(PPV)などの非エンベロープウイルスのウイルス力価
性のTgFVIIaなどの望ましくないFVII形態の良好な除去
の減少を改善するその能力を発見した。
が可能になる。
【0121】
【0116】
特定の好ましい様式では、サイズ排除クロマトグラフィ
TgFVIIaの溶出は、所定の濃度の、リン酸ナトリウムも
ーの工程は、3log1 0 より優れた、好ましくは、4log1 0 よ
しくはカリウムなどのリン酸塩、またはその混合物を含
り優れた、より好ましくは、5log1 0 より優れたウイルス
むバッファー、好ましくは、7.5∼8.5のpHの、0.1M∼0.
減少率(RF)を得るために実施される。
5M、好ましくは、0.1M∼0.2Mのリン酸ナトリウムを含む
バッファーBを用いて実施される。得られる溶出液は、
【0122】
40
したがって、親和性クロマトグラフィー工程および/ま
切断形態の割合が低い、完全に活性なTgFVIIaを含有す
たはイオン交換クロマトグラフィー工程および/または
る。
サイズ排除クロマトグラフィー工程は、3log1 0 より優れ
【0117】
た、好ましくは、4log1 0 より優れた、より好ましくは、
サイズ排除クロマトグラフィー
5log1 0 より優れたウイルス減少率(RF)を得ること可能に
最終的な微量のRMPは、質量分析または特異的ELISAによ
する。
ってのみ同定することができる。最終的な研磨工程の前
【0123】
に、RMPは50∼500ppmの範囲であり、最も好ましくは、3
ウイルスの除去/不活化
00ppm以下である。
本発明の方法はまた、少なくとも1つのウイルス不活化/
【0118】
除去専用工程を含んでもよいが、最も好ましくは、少な
本発明のある実施形態においては、さらなる精製工程を 50
くとも2つの直交ウイルス不活化/除去専用工程を含む必
( 15 )
JP
27
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28
要がある。清澄化されたミルクを、溶媒を用いる化学的
、凍結/乾燥することができる。
処理および/もしくは界面活性剤処理または他の型の効
【0129】
率的処理によりウイルス不活化することができる。本発
好ましくは、供給者により記載されたタンパク質の低い
明のある実施形態においては、溶媒/界面活性剤は、特
結合および非イオン性界面活性剤の低い吸着のため、改
に、Tween(登録商標)80(1%∼1.5%w/v)とTnBP(トリ-n-ブ
変されたPVDF膜が本発明において有利に用いられる。Mi
チルホスフェート0.3%∼0.5%v/v)との混合物の存在下で
llipore社からのDurapore(登録商標)膜フィルターは、
、エンベロープウイルスを不活化するために用いられる
この工程によく適合し、他の市販のフィルターにも限定
。限定されるものではないが、Octoxynol100またはTrit
されない。
on X114またはコール酸ナトリウムまたはTween(登録商
標)20のような他の非イオン性界面活性剤は、Tween(登
【0130】
10
以下の実施例は、本発明の範囲を限定することなく、本
録商標)80と置き換えるか、またはそれを補完すること
発明を例示するものである。
ができる。
【実施例】
【0124】
【0131】
さらに、上記のクロマトグラフィー工程のいずれかから
(実施例1)
得られる溶出液を、ナノ濾過の工程にかけて、ウイルス
特異的抗FVII/FVIIaリガンドの調製
、特に、パルボウイルスB19などの非エンベロープウイ
ラマを、高純度ヒトFVIIa抗原で免疫した。2回目の追加
ルスを効率的に除去することができる。特に、15nmより
免疫の後、100倍を超える力価の増加が観察され、ヒトF
大きいサイズのウイルスを保持するASAHI PLANOVA(商標
VIIa/FVII抗原に対する特異的富化を示していた。ラマ
)15フィルターを用いることができる。
からRNAを採取し、VHH発現ライブラリーを作成した。ヒ
【0125】
20
トFVIIaに結合する能力を有するラマVHHの発現について
本発明のある実施形態においては、ナノ濾過は、第1の
、クローンをELISAで試験した。23個のVHHクローンを選
クロマトグラフィー工程の後に行われ、TgFVII純度が90
択し、それらが血漿由来ヒトFVIIおよびFVIIaおよび組
%より高く、カゼインミセルのようなタンパク質の高い
換えウサギFVIIに結合する能力についてさらに試験した
分子サイズの主要部分が十分に除去されてそのような孔
。全てのクローンが、ヒトFVIIおよびFVIIaに結合する
径のナノフィルター中での濾過を可能にする。出発FVII
ことができることが見出され、組換えウサギFVIIに対す
濃度は、好ましくは、1.0∼2.5g/L、より好ましくは、1
る架橋は観察されなかった。クローンを、FVII/FVIIaに
.3∼2.2g/Lであり、典型的な流速は、5∼15LMH、好まし
関するその結合および溶出能力について、ならびに酸性
くは、8∼12LMHである(「LMH」とは、リットル/平方メ
pHでのその結合特性の安定性についてさらに試験した。
2
ートル/時間、またはL/m /hを意味する)。
【0126】
選択された候補をBAC酵母発現系中に再クローニングし
30
、対応するリガンドを発現させた後、マトリックス1ml
ウイルス除去に加えて、ナノ濾過はまた、ナノフィルタ
あたり2.5mgのリガンド密度でNHS-Sepharose上にカップ
ーの幅を通過する篩い機構によって内因性DNAの有利な
リングさせた。
減少も示す。
【0132】
【0127】
(実施例2)
本発明のある実施形態においては、Planova 15ナノメー
ミルクからのTgFVIIaの精製
トル平均孔径と等価なナノ濾過フィルターを用いること
本実施例は、150リットルのウサギミルクからの高度に
ができる。20ナノメートル孔径のフィルターは、15ナノ
精製された活性化TgFVII溶液の調製を記載する。
メートルフィルターと置き換えてもよく、15ナノメート
【0133】
ルフィルターはより高い多孔性を有するフィルターと対
2.1
にしてもよい。本発明のある実施形態においては、連続 40
ミルクの複合出発プールは、1Lのボトルに一緒に充填さ
的な0.2μm/0.1μm、次いで、Planova 20ナノフィルタ
れ、生物学的安全性対照(バイオバーデン、内毒素およ
ー、次いで、Planova 15ナノフィルターは、TgFVII/TgF
び内因性ウイルス)のために試料化され、次いで、長時
VIIaの生物活性を失うことなく、同時に任意の危険性(
間保存(<-20℃で数ヶ月間)のために非常に低い温度(<-6
バイオバーデン、マイコプラズマ、ウイルス、外来薬剤
0℃)で保存、凍結された、6つの毎日採取されたミルク
、TSE)を有利に低下させることができる。
のミニプールの完全な泌乳サイクルにあった。ミルクを
【0128】
、ミルキングの自然のサイクルに対応する4日目から24
製剤化、滅菌、凍結乾燥
日目まで採取した。
一度、精製されたTgFVIIおよびTgFVIIaを含有する最後
【0134】
の溶出液が回収されたら、前記溶出液を、0.22μmのフ
2.2
ィルター上での濾過工程に提出し、容器中に充填した後 50
ミルクを含有する凍結したボトルを、32∼37℃に維持さ
ミルク採取
清澄化
( 16 )
JP
29
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30
れた大きい解凍タンクに入れた。各ボトル中に最後の氷
イオン強度を1500mMの塩化ナトリウムに増加させ、45%v
片を得るために、解凍時間は約1時間であった。147.4kg
/vのプロピレングリコールを含む相対的疎水性に増加さ
の解凍された供給源材料(SM)を、500Lの混合系バッグに
せることにより、RMP脱離を最小化し、FVII溶出を最大
移し、プールした。0.315Mのクエン酸三ナトリウムバッ
化するための最適化された洗浄工程を実施した。
ファーを添加して、20∼40g/Lの範囲のタンパク質濃度
【0140】
を得た。混合物の温度を24∼26℃に調整した。混合系を
50.6リットルが親和性溶出液画分中に採取された。親和
停止させて、希釈し、クエン酸化されたSMの上層中の脂
性溶出液のアミド溶解性FVII/抗原性FVIIの比は1に近く
肪のデカンテーションを可能にした。
、抗原分子1ユニットにつき、1ユニットの凝固因子に対
【0135】
応する。親和性工程により、4logクリアランスでのRMP
STAXデバイス(Pall Corporation社)と共に取り扱った15 10
の主要部分の除去が可能になった。
∼0.5μm(PDH4)および0.3∼0.1μm(PEKS)の孔径範囲を
【0141】
有する深層フィルターを、バッファー中で予備平衡化さ
この方法により、凝固性TgFVII/TgFVIIaは上手く免疫精
せた。クエン酸バッファーで処置されたミルクを濾過し
製された。
、444kgの濾液を1回使用バッグに充填した後、0.45/0.2
【0142】
μmのSartobran(登録商標)フィルター(Sartorius Corpo
2.5
ration社)を用いて0.2μm濾過を実施した。異なるフィ
代替手段として、保存することができる中間生成物を、
ルターの濾過性を、漸増する平均孔径に応じる平方メー
限外濾過技術を用いて製造した。親和性S/D処理された
トルで約2∼15kgのタンパク質から目詰まりなしの濾過
溶出液を、Novasep社からの1回使用のTangenX Sius-LS(
のために適合化させた。
登録商標)の30kDaのポリエーテルスルホン膜上で濃縮お
【0136】
2.3
20
S/D処理
限外濾過
よび安定化した。再循環ポンプ速度の調整により、濃縮
段階中に膜貫通圧力を20psigに維持した。2g/Lのタンパ
ポリソルベート80およびトリ-n-ブチルホスフェートの
ク質濃度が得られた場合、クエン酸バッファー中で透析
溶液の添加を、材料の清澄化された供給源(CSM)に対し
濾過を行って、親水性化合物、塩および化学的溶媒を除
て行って、0.8∼1.5%w/vの界面活性剤および0.2∼0.5%v
去した。
/vの溶媒を含有する509.8kgの溶液を得た。温度を25±2
【0143】
℃に調整し、そのような条件で少なくとも2時間の接触
2.6
時間を維持して、生物源中の任意の潜在的な非エンベロ
2638ユニットの比活性を有する10.4Lの濃縮された中間
ープウイルスを不活化した。また、ミルクに由来する微
体を、1mgずつ、1Lの容器中、層流フード下でSartobran
量の残留脂質またはトリグリセリドを、界面活性剤およ
(登録商標)0.45/0.2μmカプセルを用いて無菌濾過した
び溶媒の添加により化学的に溶解させ、溶液をさらなる 30
。
クロマトグラフィー工程にとってより好適なものにした
【0144】
。
ボトルを<-60℃で保存して、下流のプロセスのための中
滅菌濾過および凍結-中間生成物1
【0137】
間生成物を構成させた。
2.4
【0145】
トランスジェニックFVII/FVIIa特異的リガンド上
での親和性クロマトグラフィー
2.7
カラムを50mMトリスバッファー、pH7.5で平衡化した後
vaフィルター上でのナノ濾過
、タンパク質を含有する溶液を220L/hで充填した。6リ
TgFVII/TgFVIIa生成物の臨床および医薬としてのヒトで
ットルの親和性ゲルは、処理されたミルクプールから全
の使用のためには、さらなる精製が必要であった。最初
てのTgFVIIを吸着させるのに十分に大きいものであった
。充填後、第1の洗浄をトリスバッファーを用いて行っ
0.2/0.1μmでの濾過ならびに20Nおよび15NのPlano
に、潜在的なウイルス量を減少させるために、中間体を
40
濾過トレインを通して濾過した:
た。安定な基準への回復を保証するためには、90リット
・Sartorius社からの0.2/0.1μmのSartopore 2(登録商
ルが必要であった。非特異的相互作用により結合したタ
標)使い捨てカプセル
ンパク質は、この大きい洗浄の間に除去された。
・ASAHI KASEI社からの1sq.mのPlanova(登録商標)20、
【0138】
次いで、1sq.mのPlanova(登録商標)15
初期トリスバッファーに対して、イオン強度を500mMの
【0146】
塩化ナトリウムに増加させ、30%v/vのプロピレングリコ
9.45Lの中間体を12LMHの初期流速で濾過トレインを通し
ールを含む相対的疎水性に増加させることにより、RMP
て直接ポンプ注入し、膜貫通圧力を全工程中にモニタリ
溶出を最大化し、FVII脱離を最小化するための最適化さ
ングして、それぞれのナノフィルター上で最大12psigを
れた洗浄工程を実施した。
維持した。プロセスのこの工程で、純度は約95%と算出
【0139】
50
され、内因性トランスフェリンが主要な夾雑物の1つと
( 17 )
JP
31
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32
して同定された。
させたCHTセラミックヒドロキシアパタイトI型カラム(B
【0147】
ioRad社)上で濃縮した。
プロセスのこの段階で、TgFVII活性化は還元条件下での
【0154】
SDS-PAGE分析の定量により20∼50%と評価される。部分
アイソクラチック洗浄工程を、pH8.0の25mMリン酸カリ
的活性化は、精製プロセスの清澄化段階中に放出された
ウムを用いて実施した。この洗浄工程は、タンパク質分
ミルクカルシウムに起因するものである。
解された形態、特に、その重鎖上に1つまたは複数の切
【0148】
断を含有するTgFVII/TgFVIIaを特異的に溶出し、アイソ
2.8
クラチック様式の完全な活性型の最小限の損失に限定す
Q Sepharose XL上でのイオン交換クロマトグラフ
ィー
るようにモニタリングされた。
TgFVIIの純度および活性化は、イオン交換クロマトグラ 10
【0155】
フィーおよびカルシウム依存的溶出によって増強された
次いで、TgFVII/TgFVIIaを、pH8.0の150mMリン酸カリウ
。ナノ濾過された溶液を、pH7.0の10mMクエン酸ナトリ
ムを用いてTgFVIIaの濃縮液として溶出させた。
ウムで予め平衡化させたQ-Sepharose XL陰イオン交換体
【0156】
(GE Healthcare社)上に充填した。
2.10
【0149】
ー(SEC)
第1の洗浄工程を、pH7.5の20mMイミダゾールおよび25℃
単量体TgFVII/TgFVIIaの安定化を、プロセスの最後の研
で5mS/cm未満の伝導度を用いて実施した。第2の洗浄工
磨工程によって行った。SECにより、リン酸カリウムの
程を、20mMイミダゾールに加えて150mMの塩化ナトリウ
除去ならびに少なくともポリソルベート80およびアルギ
ムを導入して、25℃で18mS/cmの伝導度を達成すること
ニンへの製剤化が可能になった。
により実施した。洗浄のピークは、主に遊離トランスフ 20
【0157】
ェリンを含むと同定された。次いで、塩化ナトリウム塩
ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーカラムから溶
を50mMに低下させ、同時に、イミダゾールを20mMに維持
出し、TgFVII/TgFVIIaを含有する画分を、5mMクエン酸
しながら、塩化カルシウムを最大7mMで添加することに
ナトリウム、114mMアルギニンHCl、46mMイソロイシン、
より、TgFVII/TgFVIIaを溶出させた。溶出画分は、還元
16mMグリシン、6.5mMリシン、0.07%(v/v)Tween 80、pH6
条件でのSDS-PAGEにより評価された場合、90%を超える
.0で予め平衡化させたSuperdex 200カラム(GE Healthca
活性化形態のTgFVIIaを含有していた。RMPレベルをELIS
re社)上に充填した。
Aにより測定し、TgFVIIと比較したところ、残留RMPは50
【0158】
0ppm未満と算出された(Table 3(表3)を参照されたい)。
トランスフェリン(70kDa)または他のタンパク質と複合
【0150】
体化したFVIIのような、より高い力学的半径またはより
QSXLクロマトグラフィーは、HRIレベルの減少に寄与し
30
Superdex 200上でのサイズ排除クロマトグラフィ
高い分子サイズを有するタンパク質は、サイズ排除によ
、その平均スコアは2log1 0 であり、そのうち1.6log1 0 は
り単量体TgFVIIa(45kDa)の直前に溶出された。
トランスフェリンであった。
【0159】
【0151】
カゼインまたはペプチドのようなより低い力学的半径ま
この工程の間に、FVIIaへの活性化は、溶出バッファー
たはより低い分子サイズを有するタンパク質は、単量体
中のイオン化カルシウムの存在によって増強された。次
TgFVIIa(45kDa)の直後に溶出された。
いで、Q-Sepharose XL溶出液を+2/+8℃で一晩保存した
【0160】
。
TgFVII/TgFVIIaを含有する画分を、カラムを平衡化させ
【0152】
るために用いたものと同じバッファーを用いて溶出させ
2.9
ヒドロキシアパタイト上での偽親和性クロマトグ
ラフィー
た。
40
【0161】
保存の間に、いくらかのFVII切断、特に、重鎖上での切
2.11
断が起こる可能性があるが、軽鎖はカルシウムイオンに
最終的なTgFVII/TgFVIIa溶液を、5mMクエン酸ナトリウ
よって保護される。ヒドロキシアパタイトおよびリン酸
ム、114mMアルギニンHCl、46mMイソロイシン、16mMグリ
カルシウム吸着剤は、FVII/FVIIaなどの凝固因子、より
シン、6.5mMリシン、0.07%(v/v)Tween 80、pH6.0を含む
広くは、Gla-ドメインを含有するタンパク質を吸着する
製剤化バッファー1Lあたり1gのTgFVIIaの濃度で製剤化
ことが周知である。この偽親和性を、プロセスの研磨工
した。
程のために用いた。
【0162】
【0153】
93.5%の活性化形態のTgFVIIaを、還元条件でのSDS-PAGE
トランスジェニックFVII/FVIIaを含有するQ Sepharose
により評価した。
XL溶出液を、pH8.0の25mMリン酸カリウムで予め平衡化
50
安定化および製剤化
【0163】
( 18 )
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33
2.12
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34
滅菌
【表3】
次いで、5243mLの製剤化され、安定化されたTgFVII/TgF
VIIa溶液を、0.2μmのMillipak100膜上で無菌濾過した
。
【0164】
(実施例3)
【0172】
進行中の分析結果
プロセスから得られる全体的なRMPクリアランスは、8∼
実施例2に記載の精製プロセス中に生成された試料を分
9log1 0 であった。
析した。
【0165】
3.1
【0173】
10
生成プロセスの再現性
3.3
ウサギDNAクリアランス
また、ウサギDNAクリアランスを、Q-PCR技術により異な
8つのバッチに関する各工程のFVIIの収率、次いで、FVI
るプロセス中間体中のその含量をアッセイすることによ
Iアミド分解アッセイまたは吸光度を、Table 1(表1)お
って評価した。対応する結果を、図3に示す(DNAクリア
よびTable 2(表2)にまとめる。
ランス)。
【0166】
結果を、ミルク中でのELISAによって、および他の中間
【表1】
体についてはOD280によってアッセイされたTgFVII/TgFV
IIa濃度に関してppbで表す。
【0174】
【表4】
【0175】
【0167】
最も寄与した工程は、ナノ濾過であった。Q Sepharose
【表2】
XLクロマトグラフィーの後、全てのバッチは定量レベル
(LOQ)未満であった。
【0176】
プロセスから得られる全体的なDNAクリアランスは、5∼
30
6log1 0 であった。
【0177】
3.4
FVII活性化の動力学
上記に開示されたように、TgFVIIはプロセス中にTgFVII
aに活性化し、活性化は主としてQ Sepharose XLクロマ
【0168】
トグラフィーを用いた場合に増強する。以下のTable 5(
FVIIの収率は、各工程の平均値に関して10%未満の変動
表5)に詳述されるように、プロセスの終わりに、抗原単
を有する一貫した結果を示した。
位による凝固単位の比によって定義される活性化比は、
【0169】
17∼25であった。
3.2
RMPクリアランス
試験したバッチに関する平均RMPクリアランスを決定し
【0178】
40
【表5】
、図2に示す(RMPクリアランス)。
【0170】
精製プロセス中のRMPクリアランスは完全に再現性であ
った。RMPクリアランスに最も寄与した工程は、
-
FVII/FVIIaに特異的であるリガンド上での親和性ク
ロマトグラフィー
【0179】
-
Q Sepharose XLクロマトグラフィー、および
TgFVIIは、SDS-PAGEによって大まかかつ容易に追跡する
-
Superdex 200クロマトグラフィー
ことができる(クマシーブルー着色、図4)。
であった。
【0171】
【0180】
50
また、FVIIアイソフォームを、タンパク質マッピング分
( 19 )
JP
35
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36
析[RP(C4)-HPLC-MS]によって、より高い精度で定量する
排除)と組み合わせた、ラマ抗体から誘導されるFVII-高
ことができる。活性化部位(重鎖および軽鎖)から切断さ
特異性リガンドの使用により、ミルクからのTgFVII/TgF
れて生物学的に活性なTgFVIIaを生成した形態を決定し
VIIaの精製を最適化する、より特には、RMPを可能な限
た。未切断の鎖は、非常に低い生物活性を有する非活性
り除去することが可能になった。
化TgFVIIに対応し、軽鎖および重鎖から切断されたアイ
【0188】
ソフォームは生物活性の分子分解および不活化に対応し
RMPレベルは、Table 8(表8)に記載のようにパイロット
ていた(%LC:軽鎖切断または%Des-Gla、%HC:重鎖切断)。
バッチ(15Lのミルク)については約10ppmであり、大規模
【0181】
に生成されたバッチ(150Lのミルク)については定量の下
この分析方法は、酸化された形態を特異的に定量するこ
限レベル(LLOQ)未満または6ng/ml未満であった。
とはできなかった。これらの形態は、非活性化形態の定 10
【0189】
量に含まれていた。
トランスフェリンを、精製された生成物中でELISAによ
【0182】
りアッセイしたところ、その含量はパイロットバッチに
非活性化、非分解型TgFVIIはプロセス中に漸減したが、
ついて3ppmに近いことがわかった。
これはTgFVIIのTgFVIIaへの活性化の兆候である。3つの
【0190】
試験したバッチについて、活性化は進行的であり、プロ
【表8】
セスの終わりに、平均3.6%の非活性化形態が残存してい
た。この形態は分解されず、プロセス(製剤化操作)にお
いて後に、および静脈内投与中に活性化されるその能力
を保持していた。それは、ヒト血漿中での活性化のその
能力を保持していた。
20
【0191】
【0183】
4.2
3.5
したがって、記載のプロセスは、4ppb未満の標的残留DN
進行中のTgFVIIaの分解
精製溶液中の残留ウサギDNAの定量
本実施例のために、ヒドロキシアパタイト(CHT)溶出液
Aを達成する。
画分を3.9g/LのTgFVIIaに濃縮し、RP-HPLCの結果を、Ta
【0192】
ble 7(表7)に示されるSECの結果と比較してTable 6(表6
4.3
)にまとめた。
ウサギはその循環中に内因性第VII因子を有し、血流か
【0184】
らミルク中への血清タンパク質のいくらかの受動的漏出
【表6】
が存在するため、精製プロセスがウサギFVIIについてヒ
ウサギ第VII凝固因子
トを分離する能力を評価した。精製された生成物中のそ
30
のような潜在的な付随タンパク質の存在の調査のために
、特異的ELISAを社内で開発した。結果は、LLOQ未満(分
析した全調製物について45pg/ml未満)であった。
【0185】
【0193】
【表7】
(実施例5)
TgFVIIa特異的リガンド上で親和性クロマトグラフィー
の工程を実施した後のエンベロープウイルス(MLV、マウ
ス白血病ウイルス)に関するウイルスクリアランス試験
マウス白血病ウイルス(MLV)の特徴を、以下のTable(表9
【0186】
切断も酸化もされなかったTgFVII形態の合計は、CHT溶
)に記載する。
40
出液と最終精製生成物(SEC溶出液)の両方について全TgF
【0194】
【表9】
VIIの90%を超えていた。これは、TgFVII活性化にも拘ら
ずTgFVII分解を制御するCHT工程の能力を明確に示して
いる。
【0187】
(実施例4)
高度に精製されたTgFVIIa調製物の品質
【0195】
4.1
5.1
精製溶液中の残留RMPの定量
感染価滴定アッセイ
したがって、より古典的なクロマトグラフィー技術(イ
5.1.1.
感染価滴定の原理
オン交換、ヒドロキシアパタイト偽親和性およびサイズ 50
滴定方法は、ウイルス力価測定が、特定の細胞変性効果
( 20 )
JP
37
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A
2015.8.6
38
の観察による、感染細胞中でのウイルス生成の検出に基
に保持および検証される。
づくものである、定量アッセイである。
【0203】
【0196】
5.1.4
滴定アッセイは、以下に記載のように2つの異なる96穴
ウイルス力価を、Schwartz D.、1993 (Schwartz D.、「
プレート上で行われる:
Methodes statistiques a l'usage des medecins et de
・試験試料を、96穴プレートにわたって連続3倍希釈(そ
s biologistes」、Flammarion Medecine-Sciences、第4
れぞれの希釈率について8回の反復を行う)により培養培
版、1993); Kaplan M.およびKoprowski H.、「Laborato
地で希釈する(「試料希釈プレート」)。
ry techniques in rabies、第3版、World Health Organ
・次いで、「試料希釈プレート」からの各ウェルを、新
しい96穴プレートの対応するウェル上に接種する(「試
ウイルス力価の決定
ization(編)、Geneva、1973に従って決定する。
10
【0204】
料滴定プレート」)。
TCID5 0 (50%組織培養感染用量)を、Spearman Karberの式
【0197】
を用いて算出する。TCID5 0 を、量子アッセイにより評価
細胞懸濁液を「試料滴定プレート」の各ウェルに添加し
し、接種された培養物の50%に感染することができるウ
た後、CO2 雰囲気を用いて、または用いずに(ウイルスに
イルス用量と定義する。
依存する)、適切な温度でプレートをインキュベートす
【0205】
る。
5.2
【0198】
プロセスにおいて実行される工程は以下の通りである:
ウイルス複製および隣接細胞の感染を可能にするインキ
- 清澄化された供給源材料の解凍;
ュベーション期間の後、ウイルスに応じて、
-
・倒立光学顕微鏡下での観察により、感染後に病巣を有 20
化された供給源材料の感染;
するウェルを計数する。
-
0.2μmのフィルターを用いる事前濾過;
・または染色オーバーレイ(クリスタルバイオレット1p-
-
FVII選択カラムへの充填;
ガラクトシダーゼ)を添加し、ウェルを細胞変性効果に
- カラムの洗浄;
ついて検査する。感染ウェルは透明な領域として見える
- 溶出。
が、非感染ウェルは染色される(もしくはウイルスに応
【0206】
じてその逆)。
Table 9(表10)は、親和性FVII選択クロマトグラフィー
【0199】
の工程中に実施されるプロセス条件を提供する。
1ミリリットルあたりの50%組織培養感染用量として表さ
【0207】
れる感染価(TCID5 0 /mL)を、適切な式を用いて算出する
【表10】
。
実験プロトコール
1%のエンベロープウイルスMLVを用いる解凍され清澄
30
【0200】
5.1.2
*
滴定の対照
陰性対照
各滴定アッセイの間に、細胞を細胞参照対照として調製
する。これらの細胞を、それらがスパイクされていない
培養培地に接種されることを除いて、予備アッセイ中に
作成された試料の滴定に用いられたものと同じ条件で調
製する(それぞれの96穴プレート中4∼8ウェル)。
【0201】
*
陽性滴定対照(ウイルス参照対照)
3
40
5
【0208】
各滴定アッセイの間に、約10 ∼10 TCID5 0 /mLのウイル
5.3
ス参照対照を、予備アッセイ中に作成された試料の滴定
ウイルスクリアランスを、事前濾過の工程の後(ロード2
に用いられたものと同じ条件で滴定する。
と命名された試料)および親和性FVII選択クロマトグラ
【0202】
フィー上での溶出の後(溶出液と命名された試料)の解凍
5.1.3
および清澄化された供給源材料の試料中で測定した。結
滴定アッセイの許容基準
結果
滴定アッセイは、
果を、Table 10(表11)に示す。
・各滴定プレートのための細胞参照対照が予想された結
【0209】
果と一致する場合
【表11】
・得られたウイルス参照対照の感染価が予想された範囲
内にある場合
50
( 21 )
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39
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2015.8.6
40
ウイルスクリアランスを、事前濾過および溶媒/界面活
性剤処理の工程後(初期ロードと命名された試料)ならび
に親和性FVII選択クロマトグラフィー上での溶出の後(
溶出液Aと命名された試料)の解凍および清澄化された供
給源材料の試料中で測定した。結果を、図5にヒストグ
【0210】
ラム形態の下で示す。
Table 10(表11)の結果は、親和性FVII選択クロマトグラ
【0216】
フィー工程が、4.37log1 0 より優れてウイルス減少率(RF
図5のヒストグラムは、親和性FVII選択クロマトグラフ
)を減少させることを示している。
【0211】
ィー工程が、3.8log1 0 より優れてウイルス減少率(RF)を
10
減少させることを示す。
(実施例6)
【0217】
TgFVIIa特異的リガンド上で親和性クロマトグラフィー
(実施例7)
の工程を実施した後の非エンベロープウイルス(PPV、ブ
サイズ排除クロマトグラフィーSuperdex S200調製等級
タパルボウイルス)のウイルスクリアランス試験
の工程を実施した後のエンベロープウイルス(MLV)およ
ブタパルボウイルス(PPV)の特徴を、以下のTable(表12)
び非エンベロープウイルス(PPV)に関するウイルスクリ
に記載する。
アランス試験
【0212】
7.1
【表12】
プロセスにおいて実施される工程は、以下の通りである
実験プロトコール
:- 臨床バッチからサンプリングされた出発材料[セラ
20
ミックヒドロキシアパタイト-1(CHT-1)溶出液]の解凍;
-
1%のスパイク (1%のMLVまたは1%のPPV)を用いる出発
材料の感染;
-
0.2μm(MLV)フィルターまたは0.1μm(PPV)フィルタ
ーを用いる事前濾過;
【0213】
-
S200カラム上への2.3%カラム容量(CV)の充填;
6.1
-
S200溶出液(FVIIに対応する画分)の採取。
実験プロトコール
プロセスにおいて実施される工程は、以下の通りである
【0218】
:-
【表14】
清澄化された供給源材料の解凍;
-
1%の非エンベロープウイルスPPVを用いる解凍され、
清澄化された供給源材料の感染;
-
30
0.65/0.45μmおよび0.45/0.2μmのフィルターを用い
る事前濾過;
-
溶媒/界面活性剤処理(1時間);
-
FVII選択カラムへの充填;
-
洗浄;
-
溶出。
【0214】
【表13】
40
【0219】
7.2
結果
ウイルスクリアランスを、0.2μmフィルター(MLVウイル
スのため)または0.1μmフィルター(PPVウイルスのため)
上での事前濾過工程の後(ロード2と命名された試料)、
およびサイズ排除クロマトグラフィーSuperdex S200上
での溶出後(溶出液と命名された試料)のCHT-1溶出液の
試料中で測定した。結果を、Table 13(表15)に示す。
【0220】
【0215】
6.2
結果
【表15】
50
( 22 )
JP
41
2015-522600
A
2015.8.6
42
。それぞれの精製単位操作について得られたLog1 0 減少
率を、それぞれのウイルスについて加え、全体的な減少
率をウイルスごとに見積もった。
【0224】
8.2
結果
結果を、Table 14(表16)に与える。
【0225】
【0221】
【表16】
Table 10(表11)の結果は、サイズ排除クロマトグラフィ
ーSuperdex S200クロマトグラフィーが、エンベロープ
10
ウイルス(MLV)については3.01log1 0 に等しいウイルス減
少率に減少させ、非エンベロープウイルス(PPV)につい
ては3.00log1 0 に等しいウイルス減少率に減少させるこ
とを示している。
【0222】
まとめると、
-
ウイルスクリアランスの高い減少率は、親和性FVII
選択クロマトグラフィーを用いた場合に得られ、それは
エンベロープウイルス(MLV)については4.37log1 0 より優
れており、非エンベロープウイルス(PPV)については3.8 20
log1 0 に等しい;
-
ウイルスクリアランスの減少率中央値は、サイズ排
除クロマトグラフィーSuperdex S200を用いた場合に得
られ、それはエンベロープウイルス(MLV)および非エン
ベロープウイルス(PPV)については3.0log1 0 に等しい;親
【0226】
和性FVII選択クロマトグラフィーは、エンベロープおよ
Table 14(表16)は、
び非エンベロープウイルスのウイルス力価を減少させる
- プロセスにおけるFVII選択クロマトグラフィー工程
ことについて、サイズ排除クロマトグラフィーSuperdex
およびナノ濾過およびQ Sepharose XLイオン交換クロマ
S200よりも効率的である。
【0223】
トグラフィー工程の実施は、9.3log1 0 までのウイルス減
30
少の増加をもたらし、PPVウイルスモデルについて18.5l
(実施例8)
og1 0 よりも高いか、またはそれと等しい非エンベロープ
いくつかの技術を実施した後のエンベロープウイルスお
ウイルスに関する全体的減少率をもたらす、
よび非エンベロープウイルスのためのウイルスクリアラ
- プロセスにおけるFVII選択クロマトグラフィー工程
ンス試験
およびナノ濾過およびQ Sepharose XLイオン交換クロマ
8.1
トグラフィー工程の実施は、10.5log1 0 までのウイルス
実験プロトコール
FVII選択親和性クロマトグラフィー、ナノ濾過およびQ
減少の増加をもたらし、MLVウイルスモデルについて16.
Sepharose XLウイルス検証試験を、それぞれの精製単位
5log1 0 と等しいエンベロープウイルスに関する全体的減
操作および対象の画分中のスパイクされたウイルスの滴
少率をもたらす
定のために出発材料中の1%スパイクの様々なウイルスを
ことを示している。
用いて別々に実施した(FVIIであったものは回収される) 40
( 23 )
【図1】
JP
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
2015-522600
A
2015.8.6
( 24 )
【配列表】
2015522600000001.app
JP
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A
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( 25 )
【国際調査報告】
JP
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( 26 )
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( 27 )
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( 28 )
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(51)Int.Cl.
C07K
FI
14/47
(81)指定国
(2006.01)
テーマコード(参考)
C07K
14/47
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,T
M),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,R
S,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,
BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,H
R,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI
,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,
US,UZ,VC
(74)代理人
100133400
弁理士
(72)発明者
阿部
達彦
ダミアン・バタイユ
フランス・F−91540・オルモワ・アレ・デ・シャルドヌレ・24
(72)発明者
ミシェル・ノーグル
フランス・F−92170・ヴァンヴ・リュ・ジョルジュ・クレマンソー・22
Fターム(参考) 4B024 AA01
CA01
CA04
CA09
CA11
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DA02
GA11
HA01
HA03
4H045 AA11
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CA40
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FA71
FA74
GA21
GA22
GA23
GA26
HA03
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