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2012年ドイツ研修(速報)

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2012年ドイツ研修(速報)
ドイツ視察報告書
認定 NPO ファミリーハウス
1.参加ツアー
2012 年 9 月 15 日(土)~9 月 23 日(日)
『デーケン先生と行くドイツホスピス視察研修 2012 ミュンヘン/ケルン』
(受託販売:株式会社リバティ・インターナショナル)
・参加者 26 名
・同行解説/上智大学名誉教授、東京 生と死を考える会 名誉会長
アルフォンス・デーケン先生
2.目的
職域確立プロジェクトの目的であるコンピテンシー作成のため、日本と同様に国民皆保険
制度がとられるドイツの終末期ケア・緩和ケアを提供する病院、ホスピスなどを訪問し、現
状とそこで働くスタッフに必要な資質についてヒアリングを行う。
3.スケジュールと参加者
年月日
訪問先名
施設種類
①Christophorus Hospiz München
(クリストファロス・ホスピス)
ホスピス
緩和ケア病棟
岩部敦子
植田桃子
柳町玲
緩和ケア病棟
同上
子どもホスピス
同上
2012.9.17
2012.9.18
2012.9.19
2012.9.20
2012.9.21
②St.Johannes von Gott
(聖ヨハネ・ホスピス)
Klinikum der Universitat München
(ミュンヘン大学病院)
Kinderhospiz Balthasar
(バルタザル子どもホスピス)
①Ambulanter Kinderhospizdienst
Koln
(ケルン子どもホスピス協会)
患児と家族支援の
ための協会
②Universitatsklinikum Koln
(ケルン大学病院)
①PUTZ-ROTH Bestattungen und
Trauerbegleitung
(ピュート・ロス葬儀施設)
緩和ケア病棟
②CTB-Wohnhaus Margaretenhohe
(CTB-マルガレテンホーエ・ハウス)
高齢者施設
1
FH 参加者
同上
葬儀施設
同上
2012.9.17(月)
Venue:
Christophorus Hospiz München(クリストファロス・ホスピス)
 Address: EffnerstraBe 93 81925 München
 Phone: +49 (0)89-1307870
St.Johannes von Gott(聖ヨハネス・ホスピス)
 Address: RomanstraBe 93 80639 München
 Phone: +49 (0)89-17972030
一日のスケジュールと講習の内容
Time
Programme
9.15-10.00
Tour of Christophoros
Hospiz München
10.00-12.10
Presentation
12.30-13.30
Lunch
14:00-15:30
St.Johannes von Gott
Name
Sepp Raischl
Director
Theologian,SW
Sepp Raischl
Director
Theologian,SW
ウニー
看護部長
モニカ・リード
医師
Dr.ローラ
緩和ケア専門医
Presentation
16:00-17:00
実際の内容
ホスピス見学
概要説明
・施設について
・ホームケア
・スタッフの役割
等
市内レストラン
参加メンバーで昼
食
概要説明
・施設について
・スタッフの役
割、グリーフケ
ア、チーム医療、
ホームケアチー
ム、スタッフにつ
いて
Tour of St.Johannes
von Gott
Christophorus Hospiz München
2 階層に分かれて明るい家具つきの 16 室を保有し、静かな庭園や 2 つのテラスを備える
施設ホスピス。患者はかかりつけの医師による診療を続けることができるし、同院の緩和
ケア専門医や看護師、在宅介護をいつでも依頼できる。
St.Johannes von Gott
Brothers of St.John of God 病院(100 名以上の医師、年間およそ 14,000 人の患者)の
緩和ケア病棟。カトリック修道会が運営する病院のひとつ。32 床でドイツ最大規模、バイエ
ルン地方で一番古い。ミュンヘンに、病院の緩和ケア病棟(5)、施設ホスピス(2)、ボランテ
ィアグループ(20)、在宅ケアチーム(3)がある。
医師、看護師に加えて理学療法士、音楽療法士、ソーシャルワーカー、ボランティアが終末
期の人々が意義ある日々を送るための支援にあたる。
2
◆Christophorus Hospiz München(photo)
講義風景
明るいダイニング
クッキングボランティア
家具、バスルーム付の病床
3
◆St.Johannes von Gott(photo)
チャペル
メモリアルブック
明るいリビングルーム
外の日差しがふりそそぐ廊下
患者家族が宿泊できる部屋
ヨハネス修道会の神父、プロテスタントの
牧師がスピリチュアルケアを担っている
4
2012.9.18(火)
Venue: Klinikum der Universitat München(ミュンヘン大学病院)
(Interdisziplinäres Zentrum für Palliativmedizin)
 Address: Marchioninistrasse 15 81377 München
 Phone: +49 (0)89-70954930
一日のスケジュールと講習の内容
Time
Programme
10.00-11.30
Palliative Care Unit
Presentation
11.40-12.30
Specialized
Outpatient
Palliative Care
Presentation
12.30-13:30
Lunch
13.30-15:00
Centre for
Paediatric
Palliative Medicine
(CPPC)
概要
ドイツとミュンヘ
ンの緩和ケアの歴
史、緩和医学、教
育、ミュンヘン大
学病院の緩和ケア
ユニットについて
Berend Feddersen
MD, PhD
(ホームケアチー
ムの Direction、神
経内科医)
ホームケアチーム
の役割、データ
Dr.Monika Führer
Coordination
Centre for
Paediatric
Palliative Care
(CPPC)
LudwigMaximilians
University Munich
Presentation
15.00-16.30
Name
Dr.Claudia
Bausewein PhD
MSc
(緩和ケア病棟の
医師、元内科医)
Tour of Palliative
Care Unit
Dr.Claudia
Bausewein PhD
MSc
大学病院の職員用
食堂にて
小児緩和ケアセン
ター(PPC)につ
いての概要、新セ
ンターのコンセプ
ト
緩和ケア病棟の見
学
ミュンヘン大学病院は、約 9,000 人が従事する総合病院で、ドイツのみならずヨーロッパで
もトップクラスの医療を提供している。
緩和ケア病棟は、10 床(Hospital support team)と Home care team で構成されている。
がん患者 84%、がん以外が 16%。夜間体制は、看護師 2 人のみ。医師は基本的に電話
対応。緊急時は、腫瘍内科の当直 Dr.が対応する。
5
・緩和ケアユニットとホスピスの違い
緩和ケアユニット
・病院の一部(健保でまかなう)
・必ず Dr.がいてリードしている
・目的は症状コントロール、退院
・平均滞在日数は 10~12 日
・半数が亡くなり、半数が退院
ホスピス
・基本的に主導は NS
・Dr.は定期的に来るが、医療行為はほとん
どしない
・平均滞在日数は、20 日
・95%が亡くなる
・終末期に家庭にいられないが、病院で治
療できない患者が対象
・健保+介護保険、寄付
ホームケアチーム
やりながら覚える、トライする、同じスピリットの人との仕事がベストだが時間がかかること
を覚悟する、
小児緩和ケアセンターの特徴
・大人のホスピスとの大きな違いは、「レスパイトケアに重きを置いている」こと。
共通していることは「患者と家族の生命の質を高める」こと
・家族と一緒にセンターに入る
・疾患が大人と違う(非がん。神経難病の患児が多い)
・かかわる時間が長い
・家族全体の重荷を軽減する
・評価⇒家族へのアンケート(経済的負担が軽減したか?子どもの生活の質が高まった
か?コミュニケーションが入ってより良くなったか?)
・家での平和な死のために
⇒家族の心配は、間違った介護をしてしまうことへの不安
(間もなく敷地内に新設される子どもの緩和ケアセンターのコンセプト)
・24 時間面会(友人も)
・ペットも OK
・家族滞在用の施設(親は一緒の部屋、または別に寝ることもできる。)
・全室バルコニー、中庭付き
・きょうだい支援(きょうだい専用にかかわるスタッフ。心理療法士、写真家等)
6
◆Klinikum der Universitat München(photo)
大学病院講堂で説明を受ける風景
緩和ケア病棟(10 床はバルコニー付)
病院スタッフの写真
共有室(リビングルームのような雰囲気)
訪問先すべてで、温かいおもてなし
7
病院内チャペル
2012.9.19(水)
Venue: Kinderhospiz Balthasar(バルタザル子どもホスピス)
 Address: Maria-Theresia-Str. 30a 57462 Olpe
 Phone: +49 (0)2761-926540
一日のスケジュールと講習の内容
Time
Programme
Name
9.40-11.00
SW/Ms.Riese Marion
11.00-12.00
Welcome and Tour
of Kinderhospiz
Balthasar
Presentation
Tour of
Kinderhospiz
Balthasar
概要
概要説明
・子どもホスピス
PR,Fundraising
について
Manager/Ms.Gerhard
質疑応答
Britta
子どもホスピス施
設内見学
ドイツで初めての子どもを対象としたホスピス。ケルンから約 60KM のオルペの町にある。
フランシスコ修道会からの資金援助を得て、ドイツ子どもホスピス協会が中心となって
1998 年開設(8 床)。対象年齢は 0 歳から 18 歳まで。
運営費の約 7 割は寄付で賄われている。2009 年に青年対象のホスピス開設(4 床)。16
歳になるといずれかを本人の意思で選ぶことができる。19 歳に達すると青年用ホスピスを
利用。アパート形式の家族室(18 室)がある。患児は年間 28 日分の利用保証。
◆Kinderhospiz Balthasar(photo)
ミストラルルーム
ホスピス内の廊下、遊べる工夫
アート&クラフト ルーム
ゲームルーム(きょうだいが主に遊ぶ、
ミュージックセラピーなど)
8
日本からのお土産を渡す
ポスター(トレーニング風景)
受付
ケルンから約 60 キロ。自然豊かな環境
デーケン先生
広報担当(左)とソーシャルワーカー(右)
9
2012.9.20(木)
Venue: Ambulanter Kinderhospizdienst Köln (ケルン子供ホスピス協会)
 Address: Deutscher Kinderhospizverein e.V.
Bruchstraße 10
57462 Olpe
 Phone: 0 27 61 / 94 12 90
一日のスケジュールと講習の内容
Time
Programme
Name
概要
9.00-12:00
Presentation
Mr.ストルツ
14 年前に息子を病気
で亡くした親。創設
メンバーのひとり
で、現在は協会の職
員。
概要説明
・子どもホスピス
ケアについての実
情や支援ネットワ
ークについて
12.00-12.20
Question
質疑応答
ドイツ子供ホスピス協会(Deutsche Kindehospitzverein)は不治の病に冒された子供を抱
える 6 家族の手により 1990 年に始まり、現在ではドイツ全土で活動している。ドイツでは
命が危険と診断される子供が毎年おおよそ 4,000 人いるとされるが、子供自身だけでなく、
家族への影響が大きいことを重視し、家族への支援、自助、同じ境遇にある家族のネット
ワーク作りを目指している。オルペの子供ホスピスの他、ドイツには現在9つの子供用施設
が存在するが、収容できる患者は限られる上に、そうした施設で過ごせるのは一般的に年
間4週間に限定される。このような状況のもと、自宅で暮らす患者と家族を支援する目的で
2004 年には Ambulanter (外来 outpatient)サービスが開始された。ケルンでは現在 50 家
族あまりへのサポートを提供しており、80 余名のボランティアが支援にあたっている。
子供ホスピス協会の事務所の入っている建物
ストルツ氏のプレゼンテーション
10
日本人の通訳の方を介して、質疑応答
時間いっぱい質問があがりました
亡くなった子を思って皆で作ったろうそく。
ろうそく 1 本 1 本が、一人ひとりの子をあらわしている。
(アルファベットはその子の名前)
11
2012.9.20(木)
Venue: Universitätsklinikum Köln (ケルン大学病院)
(Zentrum für Palliativmedizin Universität zu Köln)
Address: Albertus-Magnus-Platz
50923 Köln
Phone: 0221 / 470-0
一日のスケジュールと講習の内容
Time
Programme
12.30-13.30
Lunch
13.30-
Presentation
Name
ケルン大学病院内
のカフェテリアに
て昼食
概要説明
①Dr.(神経科)
②Dr.ゲルトナー(麻
酔科医)/病院コン
サルサービス担当
-17:00
12.00-12.20
概要
・ドイツの緩和ケ
アについて
・緩和ケアチーム
によるコンサルタ
ントについて
Tour of palliative
care unit
神経科の Dr.と麻酔
科の Dr.ゲルトナー
の2グループに分か
れて見学。
緩和ケア病棟の見
学
Presentation
③Ns.ベロニカ/ホー
ムケアチームの Ns.
・外来患者への緩
和ケアについて
④Ms.マレンガルシ
ュコ(社会学専門)
/リサーチコーディ
ネーター
・緩和ケアに関す
る調査について
質疑応答
Question
ケルン大学は神聖ローマ帝国の 4 番目の大学として 1388 年に創立されたヨーロッパ
最古の大学のひとつ、ドイツ最大規模(学生数は約 42,000)の優れた学府である。
1983 年にケルン大学病院の外科部門と German Cancer Aid が合同で設立した施設は
ドイツ国内で最初の緩和ケア施設である。当初は在宅での緩和医療を行い、患者数
は 5 人であったが、1992 年には入院病棟が病院施設内に建てられ、現在では 15 床
を持つに至っている。2004 年に緩和ケア部が設置されるとともに「緩和医療センタ
ー」が Raymond Voltz 博士が率いる独立したクリニックとして開設された。いろい
ろな医学分野にまたがるチームが緩和ケアの実践、研究、教育を担っている。
12
13
緩和ケア病棟
14
2012.9.21(金)
Venue: PÜTZ-ROTH Bestattungen und Trauerbegleitung (ピュート・ロス葬儀施設)
Address: Kürtener Str. 10
51465 Bergisch Gladbach
Phone: (+49) 22 02-93 58 0
一日のスケジュールと講習の内容
Time
Programme
9.00-10:00
Presentation
10.00-10.15
Question
10:15-12:00
Tour of
Bestattungen und
Trauerbegleitung
Name
概要
David Roth
(デーケン先生知人
の息子)
父とともに、当葬
儀施設を経営。
概要説明
ドイツの葬儀・死
生学について
質疑応答
葬儀場内の見学
墓地の見学
ケルンの北東約 10 キロに位置するベルギッシュ・グラートバッハにある PützRoth は葬儀のための施設である。今回の訪問で話を聞かせてもらう Fritz Roth 氏
がその経営者であるが、 氏の働きは職業である葬儀の執行にとどまらない。故人
の尊厳を重んじるとともに、残された者が愛する人との別れに向き合い、受け入
れる、そして新たな人生のスタートを切る大切さを説くスピリチュアル・カウン
セラーである。死を人生のひとつのステップとして捉え、葬儀は新たなスタート
とするための手段でもある、とする。
死別に苦しむ人へのサポートを積極的に行ない、関連のセミナーも実施している。
明るく小さな高級ホテルのような施設にも同氏の信念が如実に表れている。また
氏はドイツで初めての私設墓地を開設したことでも国中に広く知られている。
15
葬儀施設の入り口
葬儀施設は、山を登った上にあります
葬儀場の入り口にはお花が
葬儀場内に展示してある赤い棺
(依頼者の希望に出来る限り沿った葬儀を行う、
という理念をあらわしている)
16
死後の世界を現しているという岩の部屋
敷地内にある池
家族が自ら棺にペイントすることもあるそうです
17
2012.9.21(金)
Venue: CBT-Wohnhaus Margaretenhöhe(CBT-マルガレテンホーエ・ハウス)
Address: Margaretenhöhe 24
51465 Bergisch Gladbach
Phone: 0 22 02 / 1 07-0
一日のスケジュールと講習の内容
Time
Programme
14:00-15:30
Presentation
15:30-16:30
Tour of Wohnhaus
Margaretenhöhe
16:30-17:00
Question
Name
概要
概要説明
高齢者ケアの実情
について
ナーシングホーム
見学
質疑応答
「それぞれの状況に応じて、個別のケアや生活様式を提供する」ことを目標に掲げ
る高齢者のための施設である。自宅での暮らしこそ高齢者にとって最善であるとの
考えに基づき、自然豊かな広い敷地に共同生活をする人たち、介護を必要とする人
たち 140 余名が各グループホームに分かれて生活している。各ホームではそれぞれ
のトレーニングを受けた専任のスタッフが対応し、入居者がアットホームな生活を
営むことができるように配慮されており、優れた運営で知られている。痴呆症の老
人を受け入れる施設は部屋のデザインも入居者が安全に生活できるように工夫され
ている。ホスピス・ケアも提供される一方、元気な人たちは近くのバス停から街へ
出かけるのも自由、ペットを飼うこともできる。
18
嚥下障害がある方のムース食
ボランティア
ボランティア写真
食堂
以上
19
Fly UP