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インシーズンのトレーニングプログラムは、多少の 。これらのEMG に関連した情報は、ディ Komi 1985) 低下が生じるとしても、運動パフォーマンスを維持す トレーニング期間の最初の数週間に生じる初期の筋力 るために十分であると考えられる。大学生アメリカン 低下は神経系メカニズムによるものであり、ディトレ フットボール選手がインシーズンのウェイトトレーニ ーニング期間が長くなると、筋萎縮が筋力低下をさら ング・プログラムを週に2回、16 週間にわたり実施 に促進させる要因になることを示唆している した研究で(Schneider et al. 1998) 、ラインマンと非 (Häkkinen and Komi 1983) 。 ラインマンのどちらも、柔軟性や筋力と同様に、運動 トレーニングに対する筋線維の適応については、第 パフォーマンステストの標準的測定において有意な低 3章で詳しく検討している。しかし、細胞レベルの変 下、または有意でないわずかな低下を示した(表8.4 数に対するディトレーニングの影響を検討した研究は 参照) 。 わずかである(表 8.6 参照) 。ディトレーニング以前 のトレーニングによる好ましい適応の大部分は、ディ トレーニング期間中に、トレーニングをしない状態あ るいはトレーニング以前の状態に逆行する。男性によ 筋力低下の生理学的メカニズム る短期間(2∼8週間)のディトレーニング期間中、 タイプⅠ筋線維とタイプⅡ筋線維の横断面積はトレー 筋力がトレーニングによって増加するときと同様、 ニング中の状態と比較して減少する可能性がある ディトレーニング期間中の筋力やパワーの変化にもい (Häkkinen, Komi, and Alen 1985; Häkkinen, Komi, くつかのメカニズムが介在する。これらのメカニズム and Tesch 1981; Hather et al. 1992; Hortobagyi et al. に関する知識は、よりよいインシーズンプログラムを 1993) 。しかし、そうした変化が起こらないという報 デザインするために役立つだろう。 告も存在する(Hather et al. 1992; Hortobagyi et al. トレーニング後とディトレーニング後における筋活 1993) 。高齢者(65 ∼77 歳)のタイプⅠおよびタイ 動中の筋電図(EMG)変化は、運動単位の発火頻度 プⅡ筋線維の横断面積は、ヒト成長ホルモンの組み換 と同期化の変化を示している。EMG の変化を2∼12 え治療を行ったとしても、若年者よりも急速にトレー 週間のさまざまなディトレーニング期間において測定 ニング前の状態に戻るようである(Taafe and Marcus した。短期間のディトレーニングでは、筋力とパワー 1997) 。これは、若年者と高齢者のライフスタイルや が低下または維持されていたが、それらとEMG 活動 自発的な活動に違いがあることが原因の一部であるの の変化との間には密接な関係はなかった(Häkkinen かもしれない。面白いことに、ある研究で、トレーニ et al. 1990; Häkkinen and Komi 1985c; Hortobagyi et ングによって筋力が40 %増加し、その後のディトレ al. 1993) 。しかし、短期間のディトレーニングによっ ーニングによって筋線維の横断面積がトレーニング前 て E M G 活動が減少することも示唆されている のレベルに戻ったにもかかわらず、筋力は30 %しか ( Häkkinen and Komi 1986; Häkkinen, Komi, and 減少しなかったという。このことは、神経系メカニズ Alen 1985; Narici et al. 1989) 。EMG 活動の減少が筋 ムが筋力を維持するための1つの要因であることを示 力低下と有意な相関関係を示した報告もある 唆している(Taafe and Marcus 1997) 。トレーニング ( Häkkinen, Alen, and Komi 1985; Häkkinen and 再開後8週間で、筋サイズはわずかに増加しただけだ Komi 1985a; Häkkinen and Komi 1986) 。しかし、一 ったが、筋力は以前のトレーニング後の値に戻った。 部の筋群(外側広筋)ではEMG 活動の減少が示され タイプⅡのタイプⅠに対する筋線維横断面積の比率 たが、ほかの筋群(内側広筋、大腿直筋)では示され が、男性でディトレーニング期間中に減少したという なかったという報告もある(Häkkinen, Alen, and 報告(タイプⅡ筋線維の選択的な萎縮を示している) 14 レジスタンス・トレーニングのプログラムデザイン 第 8 章 ディトレーニング 15 16 10 3年 8 19 20 12 Häkkinen, Komi, and Tesch 1981 Houston et al. 1983 Staron, Hagerman, and Hikida 1981 Thorstensson 1977 Hather et al. 1991 Staron et al. 1991 Anderson and Aagaard 2000 12 30∼32 4 5カ月 7カ月 12 8 ディトレーニング 期間(週) 下半身の高負荷トレーニング スクワット、ニーエクステンション、 レッグプレス トレーニング中止 トレーニング中止 タイプⅠ*とタイプⅡ タイプⅡA*とタイプⅡB * * タイプⅡAから タイプⅡBへ − タイプⅡAから タイプⅡBへ なし タイプⅡ* ただしトレーニング 前よりは多い コンセントリック なし なし * タイプⅡ* ただしトレーニング 前よりは多い コンセントリック/コンセントリック タイプⅠ 変化なし FTのみ FGからFOGへ なし FT%* 筋線維タイプ の移行 6∼12レップ×4∼5セット、週2回 タイプⅡ* トレーニング中止 * − − * タイプⅠ/ タイプⅡの割合 コンセントリック/エクセントリック タイプⅡ* FOG*、FG*、SO* タイプⅡB* タイプⅠ*、 タイプⅡ* 筋(μ㎡)の萎縮 ウェイトトレーニングと ジャンプトレーニングを週2∼3回 トレーニング中止 トレーニング中止 ディトレーニングタイプ レッグプレス、ニーエクステンション 週5∼6回 パワーリフターのケーススタディ 8RM×3セット、週4回 ニーエクステンション、 レッグプレス スクワット、100∼120%1RMでの コンセントリック1∼6レップ トレーニングタイプ 1RM=1レペティションマキシマム RM=レペティションマキシマム *=p<0.05 有意に減少または増加 トレーニング 期間(週) 文献 表 8.6 ディトレーニングによる筋線維の変化