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4 痛みの鑑別評価
学術教養特集4 きんべこB.J.I 檜 山 潤 平成15年11月号~平成16年4月号掲載 学術教養特集4 学術部 檜山 潤 日ごろ、私たちの柔整業務で「診断」はとても重要です。 特集4では、6回シリーズで全身の代表的な検査法を掲載していき ますので、復習の意味でも参照して下さい。 アドソンテスト(Adson test) ライトテスト(Wright test) 頭部(頸椎)を後屈して回旋させると 、前斜角 筋は引き伸ばされて第 1 肋骨と前・中斜角筋 で作 る斜角筋三角が狭くなり、その中を通る鎖骨下動 脈や腕神経叢が圧迫される。この状態で深吸息を 行うと、胸郭は上昇して肋鎖間隙も狭くなるため に神経・血管はさらに圧迫される。 頸の過伸展、深吸気 時の橈骨動脈の拍動の 減弱または消失があれ ば陽性、また、同時に ら頸の患側、健側への 回旋伸展位でも同様に 検査する。 上肢を過外転していくと鎖骨は後方へ回転し、肩 甲帯は後方に引かれて第1肋骨と鎖骨の間隙及び 烏口突起下で小胸筋と胸壁の間が狭くなり、腕神経 叢 や 鎖 骨 下 動 脈 が 圧 迫 さ れ 易 く な る 。【 両 側 を 比 較 評価する】 両上肢を受動的に肘を直角に屈曲位、肩関節 90 度 外転、90 度外旋位にさせた場合、橈骨動脈の拍動が 消失するものを陽性 とする。 上肢帯の動的筋労 作では小胸筋等の筋 の策状緊張により 「過外転症候は陽性」 になる こと が 多 い。 モーリーテスト(Morly test) 胸鎖乳突筋鎖骨頭の外縁から1横指半または 2 横指分、外方にある前斜角筋を鎖骨上縁 部を圧迫 して、局所の疼痛と放散痛の有無を調べる。 健常者は不快感程度で あるが、胸郭出口症候群 の斜角筋群が緊張状態に ある場合は圧痛、放散痛 を訴える。頭部前傾姿勢 での静的筋労作では「頭・ 頸板状筋、僧帽筋」のほ かに「斜角筋の過緊張」が認められる。 アレンテスト(Allen test) スパーリングテスト(Spurling test) ジャクソンテスト(Jackson test) 頸を側 屈し 下方 に圧 力を 加 えると 、側 屈し た側 の椎間孔の閉鎖が起こる。局所痛は椎間孔の障害 を、放散痛は神経根に圧迫があることを示唆す る。 頸部を側屈させ頭頂 部から圧迫する。障害 がなければ疼痛は誘発 されないが、頸椎部に 神経根障害が存在すれば、 患側上肢に疼痛、シビ レ感が放散する。圧迫 する時は愛護的に行う ことが大切である。 スパーリングテスト と目的 は同じであるが、安静 時に疼痛を 訴えて いる場 合 。麻痺のあ る場合 は、検 査手技によ って症 状 増悪 す ることがあ るので 慎重に 行うことが重要である。 頸部を側屈、前屈ま たは後屈させて頭頂部 に圧迫を加える。神 経根障害が存在する時 は、上肢に放散痛が誘 発されたり、疼痛が増 強する。 肩関節 90 度外転・外旋、肘関節 90 度屈曲位で頸 を健側に回旋させると、橈骨動脈の拍動が消失また は減弱する場合を 陽性とする。 参考文献:菅原勇勝著:ストレイン・カルテマニュア ル 学術教養特集4 学術部 檜 山 潤 日ごろ、私たちの柔整業務で「診断」はとても重要です。 特集4では、6回シリーズで全身の代表的な検査法を掲載していきますの で、復習の意味でも参照して下さい。 神経伸長テスト 1(SLR:Straight Leg Raising test) このテストは主に、坐骨神経と L5,S1,S2 レベルの神経根を伸展させ、股関 節屈曲 70°~90°の間で神経は完全に伸展するので、以下の評価ができる。 テスト前に「膝 曲がり徴候 」の有無を診る 。足首を持 ち矢状面上にゆ っく りと下肢を挙上 し、膝を曲 げるか調べる。 坐骨神経根 症がある患者の 場合 は「膝曲がり徴候(牽引の 痛みで膝を曲げる)」を示 すので、次のテストは 愛護的に行うことが重要である。 膝曲がり徴候 背臥位で、検者 は一手で踵 部を、他手を膝 蓋骨上に置 き膝関節伸展位 を保 持し、矢状面にゆっくり挙上して、以下を評価する。 正常者は 70°~90°まで疼痛を伴わず挙上可能である。 腰椎椎間関節の痛み 椎間板病変 1)70°以上で痛みが誘発されれ ば「腰椎椎間関節の痛み」を疑う。 2)35°~70°で椎間板上で坐骨神経根が緊張するので、この角度から放散 痛が始まれば、椎間板病変による坐骨神経根の刺激を疑う。 3)股関節屈曲 0°~35°では硬膜の動きがないので、坐骨神経は伸展され ず弛緩してい るので、こ の 角度内で痛み が誘発され れ ば硬膜外の病 変が 疑われる。 例えば、梨状筋の痙縮あるいは仙腸関節の病変である。また大腿後面に 鈍痛があればハムストリングスの過緊張を示唆している。 4)椎間板病変(椎間板ヘルニア)の疑いがあれば、次の神経伸長テスト -2、 及び「ラセーグテスト」を実施し評価する。 硬膜外障害 神経伸長テスト 2(WLR:Well Leg raising test) ラセーグテスト(Lasegue’s test) 健側肢 患側肢 SLR テストが陽性の場合、その反対側の「健側下肢に SLR テスト」を行って、患側下肢に誘発痛が認められるときは、 腰椎椎間板ヘルニアの存在の可能性は極めて高い。 通常は「神経伸長テスト-1・2」の陽性所見で、医療機関へ の精査・ 診療 を依頼 すべき であるが 、次 の「ラ セーグ テス ト」を行う場合もある。 背臥位で、検者は 下腿を両手で把持 する。 1) 膝を屈曲させ、同時に股関節を屈曲させる。 2) 次に股関節を屈曲した位置で保持し、膝を伸 展させて、以下の誘発痛を評価する。 1)の操作で痛みが誘発されず、2)の操作で痛 みがあれば、坐骨神経根症の疑いがある。 参考文献:菅原勇勝著:ストレイン・カ ルテマニュアル 学術教養特集4 学術部 檜 山 潤 日ごろ、私たちの柔整業務で「診断」はとても重要です。 特 集 4で は 、6 回シ リー ズ で全 身 の代 表的 な検 査 法を 掲 載し てい きま す ので 復習の意味でも参照して下さい。 棘上筋腱炎テスト 坐位で、検者がかける抵抗に抗して上腕を外転させる。 抵抗 に抗 し て上 腕を 外 転さ せる と、 棘 上筋 腱に ス ト レ スが かか る ので 、棘 上 筋腱 の付 着部 上 の痛 みは 棘 上 筋 腱の変性性腱炎を示唆する。 ド ロ ッ プ ア ー ム テ ス ト (Drop Arm test「sign」) 坐位で、検者は患側手関節部を把持し、腕を 90°外転さ せその肢位から、手を離すと、その肢位を保持できず落 下する。どの腱板が損傷されているかは、肩関節のテス ト肢位で確認できる。 腱板は「棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋」で構成 さ れ、肩関節外転位では棘上筋をやや内旋位では棘下筋、 強い内旋位で小円筋の損傷を確認する事ができる。 ただし、肩峰下 滑液包炎や麻痺性の肩障害の際にも出現 する事を念頭に置いて評価しなければならない。 ア プ レ ー ・ ス ク ラ ッ チ テ ス ト (Apley Scratch test) 坐位で、a:患側の手指を 後頭部に回して、反対側の肩 甲骨上角を触れるように指示する。次にb:その手指を 背部に回して、反対側の肩甲骨下角を触れるよう指示す る。痛みが増強するようであれば、腱板(通例では棘上 筋腱)の変性性腱炎を示唆する。 ド ー バ ー ン テス ト ( Dawbarn test) 坐位で上肢を下垂させ、検者は一手で前腕下端部を把持、他手 で肩峰前部直下を指頭で圧迫し圧痛・放散痛の有無を調べる。 次に指頭で圧迫したままで、腕を 90°以上に 外転させる。 外転させると、肩峰直下の部分は三角筋で覆われるので痛みは減 少する。外転で痛みが減少するようなら、肩峰下滑液包炎が示唆 される。 ペ イ ン フ ル ア ー ク サ イ ン ( Painful Arc sign) 坐 位 で 検 者の 一 手 を 肩 峰 前 縁 部 に 当 て、 他 手 で 手 関 節 部 を 把 持 し、外転させていき、外転 60~120°の間で疼痛が出現し、それ 以外の領域で疼痛を全く感じない徴候を「有痛弧(painful arc)」 と い う 。 その 際 、 肩 峰 前 縁 部 で 音 が 聴取 ( 触 指 伝 音 ) す る 事 が できる(crepitus)。 肩峰下滑液包炎か肩腱板損傷かの鑑別に有効である。 ヤ ー ガ ソ ン テ ス ト (Yergason test) 坐位で、肘関節を 90°屈曲させて、検者は一手で肘を保定する。 次に他手で 手を把持 し前腕 を回内させ てから、 抵抗に 抗して前 腕を回外させる。 肘関節を 90°屈曲位で前腕の回外運動に対する抵抗によって、 上腕二頭筋 に強い収 縮が起 こる。この 収縮によ って腱 炎や 腱鞘 炎、または腱の不安定性があれば疼痛が誘発及び増強する。 学術教養特集4 学術部 檜 山 潤 日ごろ、私たちの柔整業務で「診断」はとても重要です。 特 集 4で は 、6 回シ リー ズ で全 身 の代 表的 な検 査 法を 掲 載し てい きま す ので 復習の意味でも参照して下さい。 【肘の内・外側上顆の疼痛いわゆる「テニス肘・ゴルフ肘」といわれるものは、 ストレイン 1 度の発生機序を誘因とする。】 コーゼンテスト ゴルフエルボーテスト (Cozen’s test) (Golfer Elbow test) 坐位 で 、検 者 は一 手 で 肘 を保 定 す る 。患者 に 指 坐位で、肘を屈曲させて前腕を回外させる。 を握 ら せ 拳を つ く らせ 背 屈さ せ る。次 に検 者 は 背 検者は一手で上腕下端部を固定して、他手で手 屈した拳に他手の掌部を当て掌屈させるように 背部を保定し、患者に抵抗に抗して肘を伸展す 力を 加 え、そ の抵 抗 に 抗し て患 者 は さら に 背 屈す るように指示する。内側上顆の痛みは内側上顆 る。 炎( ゴ ル フ肘 ) を 示唆 す る。 手部 を 背 屈さ せ る 総伸 筋 群( 総指 伸 筋・小 指伸 肘靭 帯 不 安定 性 テ スト 筋、尺側 手 根 伸筋 )に 炎 症 があ る と、背 屈し た 手 1.内 転 ス トレ ス テ スト:外 側に 不 安 定性・痛 みが 関節 を 屈 曲さ せ る 事に よ って 、外側 上 顆と 付 着 し あれ ば 外 側側 副 靭 帯の 損 傷・ 障 害 を示 唆 。 てい る 腱 群が 刺 激 され 痛 みが 発 生 する 。痛 み が 誘 2.外 転 ス トレ ス テ スト:内 側に 不 安 定性・痛 みが 発さ れ れ ば外 側 上 顆炎 ( テニ ス 肘 )が 疑 わ れる 。 ファレンテスト あれ ば 内 側側 副 靭 帯の 損 傷・ 障 害 を示 唆 フィンケルスタインテスト(Finkelstein test) (Phalen test) 両手 関 節 を最 大 屈 曲(掌 屈 )さ せ て 、両手 背 部 を合 わ せ 押し 付 け て 、1 分 間維 持 さ せて 、シ ビ レ が誘 発 さ れる か 増 悪す る かを 評 価 する 。 検者は、患者の母指を手掌側に内転させて手 指を把持し、手関節を尺屈させて橈骨茎状突起 両手 首 を 掌屈 す る と、手 根 横靭 帯 が 正中 神 経 を 部に疼痛が発現するかをみる。また、患者に母 圧迫 す る ので 、小 指 を除 く 指の 正 中 神経 枝 の どこ 指を中に入れて握らせ拳を作らせて、尺屈する かにシビレ様の痛みが出現したら手根管症候群 よう 指 示 する 。 が示 唆 さ れる 。 正常 で あ れ ば 1 分 間 以 内 にシ ビ レ 感は 発 症 し ない 。 参考文献:菅原勇勝著:ストレイン・カルテマニュアル 橈骨茎状突起より遠位の痛みは、長母指外転 筋腱と短母指伸筋腱の損傷を示唆する(狭窄性 腱鞘 炎 )。 学術教養特集4 学術部 檜 山 潤 日ごろ、私たちの柔整業務で「診断」はとても重要です。特集4では、6回シリーズで全身の代表 的な検査法を掲載していきますので復習の意味でも参照して下さい。今回は 膝・下腿・足部の検 査です。 膝・下腿・足部の検査 【膝関節損傷時、伸 展また は屈曲不可能の場 合、無理 に検査肢位を 強要 させず愛 護的検査法から行 う事であ る。】 ボンスホームテスト( Bounce Home test)【膝関節の屈曲が疼痛のため困難な場合】 背臥位で、可能な限り膝を屈 曲させ、検者は患者の踵を把持し、緩 徐に膝を伸展させる。膝を完全に伸展できなかった場合、また、ほ ぼ完全に伸展できそうな時に、弾力性の抵抗感が触知されたら、膝 半月の損傷が疑われる。 数日の加療で疼痛も緩解し始めるので、他の検査等による評価を必 ず実施する事である。検査・評価をせずに「受傷後 3 日以上の加療」 は、患者の利益にはならない。 マックマレーテスト( Mc Murray test)【膝関節の屈曲・伸展が疼痛軽微で可能な場合】 背臥位で、可能な限り膝を屈曲させる。検者は一手の母指と 4 指を 膝関節内・外側の関節裂隙に当て、他手で足部を把持し、下腿を内・ 外旋を加えて膝関節を伸展していき、クリックや疼痛の有無をみる。 膝半月の後方断裂の診断に有用といわれる。最大屈曲より 90°の間 でクリックや疼痛が出現した場合は「外・内側半月後部損傷」、90° ~0°間で「外・内側半月中節部損傷」が疑われる。 アプレーテスト( Apley test)【膝半月と側副靭帯損傷合併の有無の鑑別】 腹臥位で、検者は膝を 90°屈曲させ、大腿後部を膝で固定する。①: 検者は患者の足 部を把持し下方へ押圧し、足部を内旋・外旋させて 疼痛の出現をみる。 * 内旋の際の痛みは内側半月、外旋の際の痛みは外側半月の損傷を 示唆する。 ②:上記と同様の肢位で、検者は上方に牽引して内・外旋を行い疼 痛の有無を調べる。 * 内側に疼痛があれば内側側副靭帯、外側にあれば外側側副靭帯の 損傷(断裂・不安定性)が示唆される。 半月板消去テスト(Retreating Meniscus test) 【上述のテストで、半月損傷が疑われた場合、本テストで再確認する】 背臥位で、股関節と膝関節を 90°屈曲させる。検者は内・外側側副 靭帯の前方の関節間隙に母指と示指を当て半月の消去を触診する 様、指尖に神経を集中させる。他手で足部を把持し下腿を内旋・外 旋しながら半月板が残存しているか、または消失するかをみる。 回旋させた時に、半月板が消失しない場合は半月の断裂が疑われる。 これは断裂した半 月が脛骨 の回旋に伴って動 いていな いためである。 参考文献:菅原勇勝著:ストレイン・カルテマニュアル 学術教養特集4 学術部 檜 山 潤 今回 は 先 月に 引 き 続き 、膝・下腿・足部の検査です。なお、このシリーズは今回で終了となります。 膝・下腿・足部の検査 【膝関節損傷時、伸 展また は屈曲不可能の場 合、無理 に検査肢位を強要 させず愛 護的検査法から行 う事であ る。】 ラックマンテスト( Lachman test)【 膝関 節 屈 曲 困難 な 場合 、 前十字靭帯損傷の有無の 鑑別】 前十字靭帯の断裂 正常 靭帯の断裂 後十字靭帯の断裂 正常 靭帯の断裂 引き出し徴候(Drawer sign) 背臥位で、検者は一手で患側の大腿遠位端部を保持 し、他 手で 下 腿 近位 端 部 を把 持 す る。膝 関節 を 軽 度屈 曲 ( 10~ 30°)位さ せ て か ら、下 腿 を後 方 より 前 方 へ引 き 出す よ う に引 く 。 下腿 を 前 方に 引 い た時 、 エン ド ポ イン ト ( endpoint: グッ と 止 まる 感 じ)の 抵 抗感 が な けれ ば 、前 十 字 靭帯 の 損傷 が 示 唆さ れ る 。 【膝関節が 90°屈曲可能な場合、前・後十字靭帯損傷の鑑別に用いる。】 背 臥 位 で 膝 関 節 を 90°屈 曲 さ せ 足 底 を ベ ッ ド に つけ さ せ て 、検者 は その 前足 部 を 膝か 、臀 部 で固 定す る 。検 者 は両 手 で下 腿近 位 端 部を 把 持 し 、前 後方 向 に「引 い た り・押 した り 」して 動 揺 性を み る。 * 下腿 を 引 いた 時 、前 方 に 異常 可 動 性( エン ド ポ イント無)のある場合は、前方引き出し陽性 とい い 、 前十 字 靭 帯断 裂 を示 唆 す る。 * 下腿 を 押 した 時 、後 方 に 異常 可 動 性( エン ド ポ イント無)のある場合は、後方引き出し陽性 とい い 、 後十 字 靭 帯断 裂 を示 唆 す る。 外転 ストレステスト( Abduction Stress test)【鵞足筋の疲 憊性弱化(ストレイン)の有無を調べるのに有用。】 ① ② 背臥 位 に させ る 。 ① 検者 は 、膝 伸 転位 さ せ 一手 で大 腿 外 側を 保 定 し、下腿 を外 側に 引 っ 張る よ う に牽 引 する 。 この際、脛骨が大腿骨からずれ動いたり、膝関節内側に痛み が出 現 し た場 合 、第 1 に「 内側 側 副 靭帯 の 損傷 」、次に「 半 膜 様 筋 腱 複 合 体 ( 鵞 足 筋 腱 )」、 そ の 他 前 ・ 後 十 字 靭 帯 の 変 性 弱 化に よ る 不安 定 性 が示 唆 され る 。 ② 膝関 節 を 20~ 30°屈曲 さ せて 、 ① と同 様 の 操作 を 行い 陽 性反 応 が 生じ た 場 合に は「 内側 側 副 靭帯 の 変 性弱 化 によ る 不安 定 性」と「鵞 足 筋 腱の 疲憊 性 弱 化に よ る 不安 定 性」を 証明 す る 。 膝蓋 骨 テ スト ( Patella test) 背臥 位 で 、手 掌 や 母指 頭 で膝 蓋 骨 を下 方 へ 圧迫 ま たは 内 ・ 外側 へ 動 かし て 、痛み や 膝蓋 骨 の 跳動 を み る。膝 関節 に 痛 み があ れ ば 膝蓋 軟 骨 軟化 症 ある い は 膝蓋 大 腿 関節 の 関節 炎 、膝 蓋骨 の 跳 動が み ら れれ ば 、関 節液( 浸 出 液 )の貯 留な ど が 示 唆さ れ る 。 浸出 液 が 多量 の 場 合 、ス トロ ー ク テス ト( Stroke test)に より 、 膝 蓋骨 の 下 内側 縁 に集 ま り 、こ の 部 が膨 れ あが る 。 トン プ ソ ンテ ス ト (Thompson test) 腹臥 位 に させ ベ ッ ドよ り 足部 を 出 す。検 者は 腓 腹 筋 の中 央 部を 下 腿 骨に 向 か って 把 持す る と 、腓 腹筋 と ヒ ラメ 筋は 機 械 的に 収 縮 する 。正常 で あ れば 足 関 節の 屈 曲( 底 屈 )が 生 じる が、 ア キ レス 腱 の 完全 断 裂が あ る と足 関 節 は屈 曲 しな い 。 足関節の靭帯 1. 外側 不 安 定性 テ ス ト 背 臥 位 で 、 検 者は 一 手 で 足 関 節 を 内 側後 方 よ り 保 持し 、 他 手で 中 足 部を 外 側か ら 把 持し 、「内 返 し」 後脛腓靭帯 をさ せ る 。 後踵腓靭帯 健 側 に 比 較 し て緩 み が あ れ ば 、 前 距 腓靭 帯 も し く は踵 腓 靭 帯の 弱 化 また は 断裂 を 疑 う。 前脛腓靭帯 前距腓靭帯 踵腓靭帯 外側距踵靭帯 3. 引き 出 し 徴候 背臥 位 に させ る 。 前 腓靭帯 ① 一手 で 後 方よ り 踵 部を 保 持し 、他 手 は 下腿 下 部前 面を 把 持 して 上 か ら押 し 下げ る 。 押し 下 げ た際 、 後踵腓靭帯 緩みがあれば前距腓靭帯の弱化または断裂が示 唆さ れ る 。 ② 一手 で 足 関節 前 面 部を 保 持し 、他 手 で 下腿 下 部 後面を把持して下から引き上げる。引き上げる 際 、緩み が あ れば 後 距腓 靭 帯の 弱 化 また は 断 裂が 示唆 さ れ る。 上から 後脛腓靭帯 三角靭帯 2. 内側 不 安 定テ ス ト 背臥位で、検者は一手で足関節を内側後方から保 持し 、他 手 で 中足 部 を 前外 方よ り 把 持し 、 「 外返 し 」 をさ せ る 。 健側に比較して緩みがあれば、三角靭帯の弱化ま たは 断 裂 を疑 う 。 脛踵靭帯 前脛腓靭帯 脛舟靭帯 底側踵舟靭帯 参考文献:菅原勇勝著:ストレイン・カルテマニュアル