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農業農村整備事業における小水力発電について

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農業農村整備事業における小水力発電について
16 資料1−4
農業農村整備事業における小水力発電について
1.農業農村整備事業で行う小水力発電施設の整備状況
○農業水利施設への小水力発電の導入は、土地改良施設の維持管理費の節減や農業農村振興に資する公的施設への電力供
給による農業農村の活性化、二酸化炭素の排出削減等の効果。
○農業農村整備事業で整備した小水力発電施設(全国で26地区で整備済)は、全て最大出力が100kW以上の施設で、大半の
施設は1,000kW未満。
○既設発電施設の平均建設コストは、概ね100万円/kW。
土地改良区等の施設管理者のメリット
小水力発電を推進する必要性
¾
¾
¾
農業用水利施設の維持管理に係る
負担軽減による農業生産性の向上
農業施設への電力供給を通じた
農村振興の展開
地球温暖化問題への対応として
CO2排出削減が世界的要請
14
¾
農業用水路等の未利用の落差エネル
ギー等を小水力発電に活用、農業用ポ
ンプ等へ電力を供給
愛本新 地区
(530kW)
庄川右岸 地区
(640kW)
庄川 地区
(550kW)
胎内 地区
(960kW)
4
事業地区名
(最大出力)
馬淵川沿岸地区
(810kW)
加治川沿岸 地区
(2900kW)
整備完了
整備完了26
地区
会津北部 地区
(570kW)
南紀島ノ瀬 地区
(119kW)
農村総合整備
事業等
4地区
会津宮川 地区
(1100kW)
打尾川 地区
(910kW)
曽於南部 地区
(400kW)
川小田 地区
(720kW)
大井川用水 地区
(793kW)
肝属中部 地区
(292kW)
大野原 地区
(260kW)
備北 地区
(510kW)
大淀川左岸 地区
(640kW)
高田 地区
(282kW)
西諸 地区
(1040W)
吉井川下流 地区
(2400kW)
韮崎 地区
(20kW)
南アルプス 地区
(28kW)
300∼500
500∼1,000 1,000∼2,000 2,000kW以上
(百万円)
5,000
1百万円/kW
が目安
4,000
建設費︵
y︶
神流川沿岸 地区
(211kW)
金峰 地区
(170kW)
地域用水環境整備
事業
4地区
100∼300
既設発電施設の建設コスト(26地区)
かん排土地改良
事業
6地区
中信平二期 地区
(464kW)
那珂川沿岸 地区
(157kW)
100kW未満
10地区
那須野原 地区
(340kW)
上郷 地区
(640kW)
0
計画・建設中
新安積 地区
(2230kW)
中島 地区
(630kW)
2
かん排等土地改
良事業
22地区
迫川上流 地区
(1000kW)
山田新田 地区
(510kW)
十三塚原 地区
(190kW)
10
6
西目 地区
(740kW)
両筑平野 地区
(1110kW)
12
8
小水力発電施設の整備状況
五城 地区
(1100kW)
最大出力別箇所数
(箇所)
y = 2.51x0.88
R² = 0.67
3,000
2,000
1,000
0
0
1,000
2,000
3,000
最大出力(x)
4,000
5,000
(kW)
17 2.農業水利施設を利用した小水力発電の方法
18 ○農業水利施設は、用水を安全に通水するためにエネルギーを減じる落差工や減圧バルブ等の施設を有していることから、これ
を発電に利用することにより、土地改良施設への電力供給が可能となり、維持管理費の軽減に寄与。
小水力発電施設の事例
【国営かんがい排水事業 大井川用水地区(静岡県) ※事業実施中】
落差工の例
実施前の状況
設置後全景
○国営事業による用水路の改修にあたって、赤松幹線水路に設置されている
総落差7mの落差工を利用した小水力発電施設の整備を計画。
(最大出力 793kW)
○発電施設の整備を用水路改修と同時に実施出来るため、単独で発電施設を
整備する場合よりも、取壊し費用や仮設費用等が安価となり、施工性も有利。
水路縦断図
水路改修前(現況)
減圧バルブの例
落差工
総落差7m
減圧バルブ
減じている
エネルギーを
有効活用
エネルギーを
減じ、安全流下
ダムの落差エネルギーを利用した小水力発電
河川放流
設備
水路改修後(小水力発電施設設置)
ヘッドタンク
発電室
放水槽
小水力発電
施設
荒砥沢ダム(宮城県)
3.農業農村整備事業で行う発電電力の取扱
○農業農村整備事業で行う小水力発電は、発電した電力を一旦電力会社に売電し、土地改良施設の操作に必要な電力を買電
する振替供給方式が 般的
する振替供給方式が一般的。
○売電収入は、土地改良施設の操作に使用した電力料のほか、発電施設の維持管理費等に支出。
発電事業収支のモデル
農業農村整備事業で行う発電電力の取扱
発電
施設
発電
施設
電力供給
(専用送電施設利用) 土地改良
施設
売電
買電
電力
会社
約1,700万円
土地改良
施設
年間発生電力量
電力会社と受給
契約を結び、発電
した電力を一旦
した電力を
旦
売電して、必要電
力を買電
売電収入
電力供給対象
土地改良施設
・A揚水機場
・B揚水機場
・頭首工
計
約3,000Mwh
・発電施設と電力消費施
設が離れた位置
・発電時期・時間と電力
発電時期 時間と電力
需要時期・時間が不一致
土地改良施設の
操作に使用した電力料
売電単価
約10円/kwh
約150万KWh
約30万KWh
約20万KWh
約200万KWh
約3,000万円
発電施設の維持管理費等
発電施設概要
最大使用水量
最大出力
建設費
約2.0m3/sec
約1,000kw
約900百万円
・発電施設の維持管理費(注1)
及び資本費等(注2)
約1,000万円
※注1:電力料・人件費・
費
修繕費
※注2:減価償却費等
実施後
実施前
【負担率】
国:50%、県:25%、受益者等:25%
土地改良施設の
電力料金等
維持管理費
維持管理
負担軽減
発電施設との共通施設(注3)
の維持管理費(注4)
※注3:ダム
※注4:人件費・修繕費等
約300万円
19 4.小水力発電の課題と今後の展開
20 ○農業水利施設には、未利用の落差など小水力発電施設の設置が可能な地点が多数存在し、包蔵水力エネルギー年間5億
8,500万kWh。特に、農業用ダムで多くの未開発の包蔵エネルギーが存在。
○しかしながら、農業用水の特性上、季節による取水量の変動が大きいこと、電力の自由化により、 売電単価が低く設定されて
いること等が課題。
○全量固定価格買取制度の導入によって、今後の小水力発電の普及が期待。
農業水利施設を活用した小水力発電
−発電ポテンシャル−
小水力発電導入の課題
○農業水利施設の未開発の包蔵水力エネルギーは11.9万kW
年間5億8,500万kWh(約140,000世帯の年間消費電力量に相当)
その他
4.3万kW(年間 2億kWh)
(23%)
開発済
6.5万kW
農業農村整備事業に(35 %)
出典1
よるもの2.2万kW
( 年間1億300万kWh)
(12%)
【内訳】
○農業用ダム
392地点 約11.1万kW
○農業用水路
151地点 約0.8万kW
50
100
水資源課調べ
150
200
(地点)
250
2,000kw以上
1,000∼2,000
500∼1,000
300∼500
100∼300
100kW未満
●農業用水路 0
○電力の自由化により、売電単価が低く設定
単価(円/kWh)
売電単価の推移
14 太陽光、風力、中小水力(3万kW未満)、地熱、
バイオマスを用いて発電された電気。
既設発電施設26地区の売電単価
制度開始時点において、以下の買取価格と買
取期間を定めることを想定。
①太陽光発電:当初は高い買取価格を設定。
太 陽光発電システムの価格低下に応じて、
徐々に低減。
②風力、中小水力、地熱、バイオマス発電:
再生可能エネルギーの種類のみならず、設
置の形態及び規模ごとに決定。
12 買取費用負担方法
10 (地点)
20
40
60
80
100
120
140
160
8 6 2,000kw以上
1,000∼2,000
500∼1,000
300∼500
100∼300
100kW未満
買取対象
買取期間・価格
農業用水
出典2:平成20年度未利用
落差発電包蔵水力調査
(資源エネルギー庁)
出力別発電ポテンシャル(地点数)
(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に
関する特別措置法)
※バイオマスについては、紙パルプ等他の既存産
業に影響がないものに限る。
未開発の
包蔵エネルギー
11.9万kW( 年間5億
8,500万kWh)
出典1:農林水産省
(65%)
農村振興局整備部
※包蔵水力=発電用水資源として利用可能な水量
0
季節による発電量の変動
発電施設規模
出典2
●農業用ダム
○農業用水の特性上、季節による取水量の変
動が大きい
全量固定価格買取制度の概要
【凡 例】
4 2 未開発 開発済
出典:平成20年度未利用落差発電包蔵水力調査 (資源エネルギー庁)
0 10%の
低下
H10年度からH17年度まで
平均 9.4 円/kWh
電力自由化の中で、発電事
S61年度から10ヵ年平均
10.5 円/kWh
業者と電気事業者との直接
交渉により、売電単価は決め
られる。
S61 S63 H2 H4 H6 H8 H10 H12 H14 H16 H18 H20
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 年度
○各電気事業者が、それぞれの需要家に対し
て使用電力量に比例した賦課金(サーチャ
ージ)の支払を請求。
○地域間でサーチャージの負担に不均衡が
生じ ないよう調整。
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