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母体血を用いた出生前遺伝学的検査

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母体血を用いた出生前遺伝学的検査
母体血を用いた出生前遺伝学的検査
確認すべき基本理念はなにか
見切り発車を始める前に
北里大学医学部附属医学教育研究開発センター
医学原論研究部門 齋藤有紀子
2012.11.13 日本産科婦人科学会公開シンポジウム(品川)
「安易」という言葉
安易に検査をうける
¨  安易な中絶が行われる
¨  問い合わせが殺到している・・・・・
¨ 
妊婦や女性一般に対する信頼の低さ
誤解含め情報補正する専門家の仕事の軽視
「対象を限定する」ことの問題
検査精度(MPS法の限界)の説明としては誠実かも
しれないが、
¨  特異度(陰性的中率)が高い検査の特色は十分に
生かされず、
さらに、
¨  「NIPTを行ってよい疾患/受けてよい妊婦」を名指し
することになる(優生条項への一歩)
¨ 
「対象を限定」すればよいわけではない
限定が具体的であればあるほど優生的になる
検査の「倫理」指針では
¨ 
¨ 
¨ 
社会としての理念、向かうべき方向を示すべき、
どのような人、どのような疾患に行うのかを列挙
する必要はないのではないか、
むしろ、列挙してはいけないのではないか
1999年母体血清マーカー検査の「見解」を振り返る
母体血清マーカー検査、登場当時の懸念
妊婦が検査の内容や結果について十分な認
識を持たずに検査が行われる傾向がある
2.  確率で示された検査結果に対し妊婦が誤解し
たり不安を感じる
3.  胎児の疾患の発見を目的としたマススクリー
ニング検査として行われる懸念がある
このような検査に対して、
対象の限定でなく、情報提供の仕方と企業への
提言でマススクリーニング化を回避した
1. 
母体血清マーカー検査、当時の、より実務的な関心
医師は妊婦への説明義務があるのかどうか
妊婦には知る権利があるのだろうか
ある → 実質的マススクリーニング開始
あるとはいえない
→ 個別スクリーニングに留まる可能性
厚生科学審議会先端医療技術評価部会出生前診断に関する専門委員会
母体血清マーカー検査に関する見解 1999年
医師が妊婦に対して、本検査の情報を積極的に
知らせる必要はない。
¨  また、医師は本検査を勧めるべきではなく、企業
等が本検査を勧める文書などを作成・配布する
ことは望ましくない。 ¨  しかしながら、妊婦から本検査の説明の要請が
あり、本検査を説明する場合には別紙のような
内容について十分に配慮すべきである。
¨ 
母体血清マーカー検査(見解 1999年厚生省局長通知)
医師が妊婦に検査の情報を積極的に知らせるかどうか
積極的に知らせるべきである(制度的義務)
¨  積極的に知らせる必要がある(義務がある)
¨  積極的に知らせることが望ましい(推奨)
¨  言及しない(裁量)
¨  積極的に知らせることは望ましくない(推奨しない)
¨  積極的に知らせる必要はない(義務ではない)
¨  積極的に知らせるべきではない(禁止)
¨ 
母体血清マーカー検査(見解 1999年厚生省局長通知)
医師が妊婦に検査を勧めるかどうか
勧めるべきである(制度的義務)
¨  勧める必要がある(義務がある)
¨  勧めることが望ましい(推奨)
¨  言及しない(裁量)
¨  勧めることは望ましくない(推奨しない)
¨  勧める必要はない(義務ではない)
¨  勧めるべきではない(禁止)
¨ 
母体血清マーカー検査(見解 1999年厚生省局長通知)
企業が妊婦に検査を勧める文書を作成・配布するかどうか
作成・配布すべきである(制度的義務)
¨  作成・配布する必要がある(義務がある)
¨  作成・配布することが望ましい(推奨)
¨  言及しない(裁量)
¨  作成・配布することは望ましくない(推奨しない)
¨  作成・配布する必要はない(義務ではない)
¨  作成・配布すべきではない(禁止)
¨ 
母体血清マーカー検査(見解 1999年厚生省局長通知)
「見解」の着地点
検査に対して抑制的、否定的とも受けとられたが、
¨  検査が禁止されたわけではなく、
¨  妊婦に求められれば説明することが前提であった。
¨ 
¨ 
¨ 
妊婦の知る権利/医師の裁量/マススクリーニング
の抑制、いずれも認める余地
1996年優生保護法改正後、行政として初の指針
母体血清マーカー検査(見解 1999年厚生省局長通知)
「見解」までの経緯
¨ 
1994年 慈恵医大のグループが臨床応用開始
【パンフレットより】
スクリーニング・テスト/安心をあなたの手に/
知っておきたい私と赤ちゃんのからだ/
お母さんと赤ちゃんに優しい安全な出生前検査
1997年7月 厚生科学審議会先端医療技術評価部会
¨  1998年1月 日本人類遺伝学会見解
¨  1998年10月 出生前診断に関する専門委員会設置
¨  1999年6月 厚生省専門委員会見解
¨  1999年7月 厚生省児童家庭局長通知
¨ 
NIPT、母体血による遺伝学的出生前検査
¨ 
妊婦と胎児の ふるいわけ 検査
NIPT(MPS法)
羊水検査まで確定診断ができない妊婦が絞り込まれていく検査
¨ 
海外でマススクリーニングに活用されている検査
日本にどのように導入するか、という構図は
母体血清マーカー検査のときと状況は似ている
NIPTコンソーシアム臨床研究への疑問
医学の素人の視点から
¨ 
¨ 
¨ 
¨ 
¨ 
¨ 
¨ 
¨ 
¨ 
検査費用21万円(検査は研究でなく実地医療か)
遺伝カウンセリングの費用負担は?(施設によるのか)
遺伝カウンセリング研究でなぜ羊水検査が無料に?
羊水検査無料を前提にした遺伝カウンセリングが日本の基礎資
料になり得るのか
研究参加施設の認定基準に、過去の受検者数、検査結果、妊娠
転帰データが必要ではないか
妊婦全体の検査の流れがわかりにくい(チャートがほしい)
中絶を選択する女性はどこまでサポートされるのか
コンソーシアムが臨床研究をすると抑止力となるのか
旧国立機関、公立機関が ふるい分け 検査の口火を切ることの
重み(研究費用含め、国や自治体が直接・間接に関与)
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