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第5章 知的財産人材の育成

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第5章 知的財産人材の育成
1.知的財産マインドの向上
知的財産活動を活発化しイノベーションの促進を図っていくために、これを担う知的財産人材を育
成することは、非常に重要であり、知的財産専門人材の育成に加え、将来の知的財産制度を担う児童・
生徒・学生に対して知的財産教育を行うことが重要な課題となっている。
2006年1月30日に知的財産戦略本部知的創造サイクル専門調査会で決定された「知的財産人材
育成総合戦略」においても、多様な知的財産人材全体の育成を図ることが求められている。
企業・大学等への支援施策
知的財産人材の育成
第3部
第5章
第1章
第2章
第3章
第4章
第5章
(資料)
「知的財産人材育成総合戦略」2006年1月30日知的創造サイクル専門調査会
特許庁はこれまで、児童・生徒・学生、研究者、社会人、専門家の各々に対応した知的財産人材育
成の取組を行ってきた。
239
第5章 知的財産人材の育成
※の項目は情報・研修館(INPIT)にて事業実施
(1)一般社会人、研究者・起業家・専門家向けセミナー・説明会の開催
国民の知的財産制度の重要性に対する理解と認識を深めるため、受講者(初心者及び実務者)に応
じた制度説明会や法律改正等の最新事情に関する説明会を全国各地で開催している。また、大学や公
的研究機関の研究者等を対象として、研究成果の権利化の方法やその管理・活用等を紹介する「大学
等研究者対象セミナー」
、中小企業・ベンチャー企業の経営者や研究開発責任者等を対象として、知
的財産の戦略的活用方法や技術移転等のライセンス契約等について説明する「中小・ベンチャー企業
向けセミナー」
、経営・技術コンサルタントや知的財産権取扱事業者向けの「専門家養成セミナー」
を開催している。
① 一般社会人向け知的財産権制度説明会の開催
産業財産権について新規に学びたい人や新たに企業の知的財産部門等に配属された会社員等を
対象に、知的財産権制度の基礎的知識が修得できる「初心者向け説明会」(2007年度は全国47
都道府県で計51回、約6,500人が参加。)や、日常的に業務で知的財産権に携わっている実務
者を対象に、
特許審査の運用基準や国際出願の手続等の実務上必要な知識の修得を目的とした「実
務者向け説明会」
(2007年度は全国15都市、約13,600人が参加。)、「地域団体商標制度及び
小売等役務商標制度説明会」
(2007年度は47か所、約1,600人が参加。)、「改正意匠制度運用
説明会」(2007年度は47か所、約2,500人が参加。)をそれぞれ開催している。
240
第3部
【知的財産権制度説明会の概要】
企業・大学等への支援施策
② 対象者別セミナー
大学等の研究者、中小・ベンチャー企業の経営者、ベンチャーキャピタリスト、経営・技術コ
ンサルタント等に対し、対象者別にセミナーを、各経済産業局を通じて全国で開催している。
a.大学等研究者対象セミナー
うことについて解説する等のセミナーを開催している(2007年度実績:約180回開催、約
第2章
4,900人参加)
。
第1章
大学・公的研究機関の研究者等を対象に、研究成果から戦略的な特許出願・権利化・活用を行
b.中小・ベンチャー企業向けセミナー
権の戦略的な取得と権利活用の手法や技術移転等のライセンス契約等についてセミナーを開催し
ている(2007年度実績:約270回開催、約7,500人参加)。
知的財産権の評価方法、特許紛争への対処方法、ライセンシング・技術移転の実務等、中小・
キャピタリスト、経営・技術コンサルタント、中小企業診断士等)の養成・能力向上を目的とし
たセミナーを開催している(2007年度実績:56回開催、約1,000人参加)。
第5章
ベンチャー企業に対し知的財産権の戦略的活用法等の助言を行う知的財産専門家(ベンチャー
第4章
c.専門家養成セミナー
第3章
中小・ベンチャー企業の経営者、研究開発責任者等を対象に、地域のニーズにあった知的財産
【対象者別セミナーの概要】
大学等研究者対象
中小・ベンチャー企業向け
専門家養成セミナー
セミナー
セミナー
対象:ベンチャーキャピタ
対象:大学・公的研究
対象:中小・ベンチャー
リスト、経営・技術
機関の研究者等
企業の経営者等
コンサルタント等
・研究成果から戦略的な特
・技術開発成果の戦略的な
許出願・権利化・活用
・研究開発における特許情
報の活用
権利化
・技術移転、ライセンシン
・技術ライセンス契約
・共同開発の実際
・特許係争、紛争への対処
グの基礎
241
第5章 知的財産人材の育成
③ 知的財産権制度の普及・啓発イベント
2008年4月18日「発明の日」記念行事として「知財功労賞表彰式」及び「記念シンポジウム」
をグランドプリンスホテル赤坂にて開催した。また、各経済産業局等においても小中学生やその
家族を対象とした「発明の日フェア」等を開催し、知的財産権制度の普及・啓発に努めている。
発明の日記念シンポジウム
発明の日フェア(中国経済産業局)
(2)教育機関に対する知的財産啓発・教育支援
① 知的財産教育用教材の整備・提供1
知的財産権に関する正しい知識と基礎実務の習得を目的として、高等学校(専門科)・高等専
門学校・大学を対象に、産業財産権標準テキストを作成し、希望する学校に無償で提供している。
また、知的財産を尊重する意識を学校教育段階から醸成するため、小学校、中学校、高等学校
のそれぞれにあわせて知的財産教育用副読本を作成し、希望する学校に無償で提供している。
上記事業は1998年度から実施し、2007年1月からは情報・研修館(INPIT)が事業を実施
している。
<2007年度の産業財産権標準テキスト配布実績>
対象:大学、高等専門学校
対象:工業・商業・農業高校
総合編 約660学部・学科 約57,000部
総合編 310校 約28,000部
特許編 約600学部・学科 約40,000部
特許編 204校 約15,000部
意匠編 約140学部・学科 約 9,700部
意匠編 24校 約 500部
商標編 約500学部・学科 約24,000部
商標編 170校 約 7,500部
流通編 約100学部・学科 約 6,600部
流通編 19校 約
1 教材についての詳細は情報・研修館(INPIT)のホームページを参照。
URL:http://www.inpit.go.jp/jinzai/teach/pdf/teaching_aid.pdf
242
240部
第3部
<2007年度の知的財産教育用副読本の配布実績>
企業・大学等への支援施策
対象:小・中・高校生
小学校 約1,000校 約 93,000部
中学校 約
700校 約100,000部
高 校 約
270校 約 49,000部
<産業財産権標準テキストの紹介>
総合編
特許編
意匠編
商標編
流通編
第1章
「産業財産権標準テキスト(特許編)」を
活用した産業財産権学習のすすめ
第2章
産業財産権指導カリキュラムと
指導マニュアル
−教師(指導者用)指導資料−
第3章
<知的財産教育用副読本の紹介>
あなたが名前をつける本
−「あなたが名前をつける本」
を使って−
※指導者用の手引書
アイデア活かそう未来へ
知的創造時代に向けて
対象:中学校高学年から高校生
第5章
対象:小学校高学年
教科毎 授業プラン集
第4章
すぐに役立つ
特許から見た産業発展史
教科書では語りきれない
もう一つの産業史
対象:高校生から大学生
243
第5章 知的財産人材の育成
<その他テキストの紹介>
特許ワークブック
書いてみよう特許明細書
出してみよう特許出願
−創造的研究成果を特許に−
② 知的財産教育セミナー
上記テキスト・副読本といった教材を使って、小学校から大学までの児童・生徒・学生や教職
員向けのセミナー等を、各経済産業局を通じて全国各地で開催し、知的財産マインドの醸成、啓
発、教育支援を図っている。
2007年度は合計で535回開催、約31,000人が参加した。
③ 知的財産権教育の支援と普及に関する調査研究(知的財産教育推進協力校事業)
工業・商業・農業高校及び高等専門学校を対象に、上記産業財産権標準テキストを利用し、学
校教育の中で知的財産教育の実践を行い、その取組を事例集として取りまとめ、次年度以降の参
加校等へ提供している。
上記事業は2000年度から実施(2007年度までは、実験協力校事業として実施)し、2007
年1月からは情報・研修館(INPIT)が事業を実施している。
2008年度参加校を含め、これまで349校が参加しており、工業・商業・農業高校及び高等
専門学校全体の約20%が本事業に参加したことになる1。
なお、2003年度に改正された学習指導要領において、「工業技術基礎」の科目において「工
業所有権を簡単に扱うこと」と記載されており、特に、工業高校における知的財産教育の取組は
進んでいる。
④パテントコンテスト
高校生、高等専門学校生及び大学生の知的財産マインドの醸成と知的財産権制度の理解及び活
用促進を図ることを目的に2002年度からコンテストを行っている。応募された発明の中から特
許出願支援対象が選考されると、特許出願支援対象者の生徒、学生は、弁理士の指導のもとに出
願書類を作成し、特許庁に出願及び審査請求を行い、権利化を目指すこととなる。2007年度は
214件の応募の中から出願支援対象として15件が選ばれた。
これまで、応募総数792件の中から66件が出願支援対象として選ばれており、そのうち27
件が特許として登録されている(2008年4月末現在)。
なお、2008年度は、パテントコンテスト事務局(情報・研修館(INPIT)内、
http://www.inpit.go.jp/jinzai/contest/index.html)から7月頃コンテストの募集を開始す
る予定2である。
1 2007年度、工業高校は613校、商業高校は761校、農業高校は343校、高等専門学校は64校。
(資料)平成19年度学校基本調査(文部科学省)
。
2 文部科学省、特許庁、日本弁理士会、情報・研修館(INPIT)の共催。
244
第3部
⑤ 中学生ものづくり知的財産報告書コンテスト
児童・生徒・学生又は社会人に対する知的財産の啓発を行うなか、特に中学校教育の中での知
に関する研修を行うとともに、当該研修の成果を中学校の学校教育に反映させ、ものづくりを通
して他人の知的財産を尊重することを中学生に理解してもらうことを目的として、2007年度か
らコンテストを実施している。
2007年度は、ロボットアイデアチャレンジ2007と題し、中学校の「技術・家庭」教科や
クラブ活動で製作したロボットに対し、その成果(独自に工夫した点)をまとめた報告書を審査
書類としてコンテストを行った。全国の中学校36校から229件の応募があり、優秀な報告書を
提出したチームには、賞が与えられた。
2.知的財産専門人材の育成
企業・大学等への支援施策
的財産の啓発を推進するため、知的財産教育セミナーの一環として、中学校教員向けに知的財産
(1)人材基盤の整備状況
知的財産を戦略的に創造・保護・活用することで富を生み出す知的財産立国となることが求められ
ている中、知的財産の事業化や取引活動、さらには紛争解決を支援する知的財産専門サービスの質的・
このような状況下で、その中核的な担い手として知的財産に関する専門技術的な知見を有する弁理
主な改正点は以下のとおりである。
【2000年改正】
・ユーザーニーズの多様化に応じた業務の拡大
【2002年改正】
の付与
【2007年改正】
・弁理士の裾野拡大のため、弁理士試験の免除の拡大
・弁理士の資質の維持及び向上に向けた研修制度の創設
第5章
・弁理士の有する専門的知見を活用できる分野について業務を拡大
第4章
・特定侵害訴訟1(弁護士が同一の依頼者から受任している事件に限る。)における訴訟代理権
第3章
・弁理士試験の簡素合理化
第2章
士のさらなる育成・活用を図るべく、弁理士法について所要の改正を行ってきたところである。
第1章
量的な拡充を図ることが必要である。
・名義貸し禁止規定の導入
1 特許、実用新案、意匠、商標若しくは回路配置に関する権利の侵害又は特定不正競争による営業上の利益の侵害
に係る訴訟
245
第5章 知的財産人材の育成
なお、弁理士の数は近年増加傾向にあり、2007年末時点で7,571人となっている。また、特定
侵害訴訟代理業務の付記を受けた弁理士の数も同様に増加しており、2007年末時点で1,772人で
ある。
【弁理士数の推移】
(資料)統計・資料編第6章(3)①
【特定侵害訴訟代理業務の付記を受けた弁理士数の推移】
(備考)訴訟代理人となるのに必要な学識及び実務能力を担保するための研修を修了し、当該学識及び実務能力を有
しているか判定するための試験(特定侵害訴訟代理業務試験)に合格した弁理士が、日本弁理士会において、
本試験に合格した旨の付記を受けることにより、弁護士が同一の依頼者から受任している事件に限り、訴訟代
理人となることができる。
(資料)日本弁理士会調べ(2008年3月末)
246
第3部
【日米の弁理士等知的財産専門人材の数】
日 本
弁理士登録している弁護士
7,355人
377人
Patent Agent
Patent Attorney
8,621人
27,273人
(備考)Patent Agent:米国特許商標庁が行う試験に合格した有資格者。(米国特許商標庁に対する特許手続の代理を行うこ
とができる。
)
Patent Attorney:Patent Agent資格に加えて各州の弁護士(Attorney at law)資格も取得した者。(米国特許商標庁に
対する特許と商標双方の手続の代理及び訴訟代理を行うことができる。なお、Attorney at lawの資
格のみでは米国特許商標庁に対しては商標の手続代理しか行えない。
(資料)日本:特許庁調べ(2008年3月末)
米国:米国特許商標庁ホームページ https://oedci.uspto.gov/OEDCI/(2008年3月末)
企業・大学等への支援施策
弁理士(除く弁護士)
米 国
(2)情報・研修館(INPIT)を通じた人材育成事業
情報・研修館(INPIT)を通じて、知的財産業務を支える人材の育成を図り、特許庁における審査・
審判の迅速化や企業等における知的財産戦略の構築、適切な権利保護及びその活用等に貢献するため
a.審査・審判系職員研修、事務系職員研修(2007年度受講者数:1,017名)
特許庁が定めた研修の基本方針及び計画等に基づき、審査・審判系職員に対する研修として審
された任期付職員に対して、任期付職員(特許審査官補)初任研修を実施している。事務系職員
に対する研修としては、審判書記官研修、産業財産権専門官研修等を実施している。
特許庁職員として必要な知識・能力の向上に資するため、国際化、情報化、行政ニーズの変化
② 特許庁職員以外の者に対する人材育成事業
第5章
等への対応能力及び法的専門能力の向上を目的とした各種研修を実施している。
第4章
b.専門能力向上のための研修(2007年度受講者数:4,554名)
第3章
査官コース研修、審判官コース研修等を実施している。また、特許審査迅速化に資するため採用
第2章
① 特許庁職員に対する研修事業
第1章
の研修等を提供している。
a.調査業務実施者育成研修(2007年度受講者数:314名)
登録調査機関において先行技術調査を行う調査業務実施者(サーチャー)になるための法定研
修(工業所有権に関する手続等の特例に関する法律第37条)を実施している。
精度の高い先行技術調査を行う調査業務実施者の着実な育成は、特許審査迅速化を実現するた
めに極めて重要である。本研修は調査業務実施者として必要な基礎的能力の修得支援を目的とし、
座学を通じて基本的知識を体系的に学習し、この知識を実習や討論を通じて実践することで、調
査業務に必要な知識を網羅的に修得できる内容となっている。なお2007年度新たに工業所有権
に関する手続等の特例に関する法律第37条に定める条件を満たした2機関が登録された。
247
第5章 知的財産人材の育成
2008年4月末現在、8機関が登録されている1。
b.検索エキスパートの育成
(2007年度受講者数:上級コース227名、中級コース54名、意匠コース 21名)
特許及び意匠の検索手法について特許庁審査官が有する知識及びノウハウを提供する研修を、
中級、上級及び意匠の三つのコースで実施している。
中級コースは、研究者や大学等の知的財産本部、技術移転機関の関係者を主な対象とし、特許
情報を活用して、研究のテーマ・方向性を決定するための調査や、特許出願・審査請求の要否の
判断をするための調査を的確に行うことができる人材の育成を目的としている。
上級コースは、先行技術調査の業務に従事すること等により、特許法についての十分な知識を
有する者を対象とし、先行技術調査能力を一層向上することにより、出願及び審査請求の適正化
に資する人材の育成を目的としている。
また、意匠コースは意匠法についての十分な知識を有する者を対象とし、製品デザインの意匠
権による有効な保護、権利化後の権利範囲を適切に捉えることができる人材の育成を目的として
いる。
c.知的財産専門人材に対する研修(2007年度受講者数:78名)
弁護士、弁理士及び企業の知的財産部員などの知的財産専門人材を対象とした討論型研修を実
施している。特許・実用新案審査基準の考え方について、異なる立場から知的財産に携わる人材
同士が討論をすることによって相互学習を行うとともに、当該審査基準に関して審査官が有する
知識を積極的に提供することにより、知的財産専門人材の一層の実務能力向上を目的としている。
1 第2部第2章2.参照
248
第3部
d.中小・ベンチャー企業に対する研修(2007年度受講者数:119名)
中小・ベンチャー企業における経営者等の特許侵害警告に対する対応力強化と、知的財産マイ
る。
e.行政機関等の知的財産専門人材に対する研修(2007年度受講者数:173名)
行政機関等において、知的財産に関する業務を担当する職員を対象とし、その業務遂行に必要
な知識を習得することにより、知的財産制度の円滑な運用と、知的財産権の活用に資することを
目的とした研修を実施している。
f.情報通信技術を活用した人材育成(IP・eラーニング)
特許庁の有する知識、経験及びノウハウにもとづき作成したeラーニング学習教材を提供する
企業・大学等への支援施策
ンドの向上を目的とし、特許侵害警告書の受領を疑似体験するという実践的な研修を実施してい
ことにより、特許庁による活用のみならず、広く日本の知的財産関連人材にも利用されることを
目指している。
また、これまではパソコンでのみ学習が可能であったが、2007年度新たに携帯型端末を利用
した視聴が可能なように環境を整備した。
第1章
(http://www.inpit.go.jp/jinzai/ipe_learning/index.html)
第2章
第3章
第4章
第5章
249
第5章 知的財産人材の育成
【提供中のコンテンツ】
1.*産業財産権を巡る我が国の
8.商標審査の進め方
現状と今後
15.登録の手続
2.不正競争防止法の概要及び営
9.特許出願の手続
業秘密の適切な管理について
16.審判請求等の手続
3.*特許審査実務の概要
10.*特許協力条約(PCT)に 17.*先行技術調査の進め方∼
より精度の高い調査に向けて
基づく国際出願制度の概要と
手続
∼
4.平成19年度改訂審査基準の
11.*EP特許制度と審査実務
概要
18.*IPC, FI, Fタームの概要
5.*特許審査の流れ
12.*US特許制度と審査実務
19.ECLAの概要
6.*特許審査の進め方
13.*パリ条約概論
20.esp@cenetの活用
7.意匠制度の概要
14.商標の国際登録出願(マド
21.epolineの活用
プロ出願)の概要について
22.IPDLの 活 用( 平 成19年 度
改訂版)
2008年4月現在、全22コンテンツを提供している。
*のコンテンツについては携帯型端末でも視聴可能である。
g.研修教材の提供
情報・研修館(INPIT)の各種研修で使用したテキストは、知的財産に携わる多くの者に活用
されるよう、公開可能なものをホームページ
(http://www.inpit.go.jp/jinzai/kyozai/index.html)に掲載している。
h.知的財産教育用副読本、産業財産権標準テキスト等の提供事業
知的財産を尊重する意識を学校教育段階から醸成するため、小学校、中学校、高等学校のそれ
ぞれに合わせた知的財産教育用副読本を学校教育機関へ無償で提供している。
また、知的財産権に関する正しい知識と基礎実務の習得を目的として、高等学校(専門科)・
高等専門学校・大学生を対象に、産業財産権標準テキストを希望する学校に無償で提供している。
また、上述1したように、工業・商業・農業高校及び高等専門学校を対象に、上記産業財産権
標準テキストを利用し、学校教育の中で知的財産教育の実践を行っている(推進協力校事業)。
この調査研究成果は学校ごとの事例集として取りまとめ、次年度以降の推進協力校参加校等へ提
供している。
1 第3部第5章1.(2)③を参照。
250
第3部
そのほか、上述1したように高校生、高等専門学校生及び大学等の学生を対象にパテントコン
テストを開催している。
2006年2月24日に開催された知的財産戦略本部会合(第13回)で報告された「知的財産
人材育成総合戦略」において、知的財産人材育成推進のための協議会の創設が提言されたことを
受け、設立された「知的財産人材育成推進協議会」に参画し情報交換、イベント事業等(シンポ
ジウム)を実施するとともに事務局として参加7機関間の総合調整を行っている。
2007年7月開催 知的財産人材育成シンポジウム ∼知財人財イノベーションが始まる∼
【基 調 講 演】
企業・大学等への支援施策
③ 民間の知的財産人材育成機関との連携
第1章
第2章
第3章
第4章
【パネルディスカッション】
第5章
1 第3部第5章1.(2)④を参照。
251
第5章 知的財産人材の育成
3.知財功労賞表彰
特許庁では、1987年から毎年4月18日の「発明の日」に、産業財産権制度の普及促進及び発展
に貢献のあった個人、並びに産業財産権制度を有効に活用し円滑な運営・発展に貢献のあった企業に
対して、
「産業財産権制度関係功労者表彰」及び「産業財産権制度活用優良企業等表彰」
(総称して『知
財功労賞』という)として、経済産業大臣表彰及び特許庁長官表彰を行っている。
2008年度の「産業財産権制度関係功労者表彰」は、経済産業大臣表彰3名、特許庁長官表彰5名
に、
「産業財産権制度活用優良企業等表彰」は、経済産業大臣表彰7社、特許庁長官表彰10社に授与
され、表彰式は「発明の日フェスタ」として、「発明の日記念シンポジウム」や「意匠制度120周年
記念イベント」とともに、2008年4月18日に東京・グランドプリンスホテル赤坂で行われた。
<平成20年度 産業財産権制度関係功労者表彰> 【経済産業大臣表彰】
◇熊倉 禎男
弁護士・弁理士(中村合同特許法律事務所パートナー)
◇妹尾 堅一郎
NPO法人 産学連携推進機構理事長
◇田中 章雄
株式会社ブランド総合研究所 代表取締役社長
【特許庁長官表彰】
○川島 秀雄
大臣祝辞・荻原大臣政務官
カワボウ株式会社 代表取締役会長
○木村 友久
国立大学法人 山口大学大学院技術経営研究科教授
○大門 悟 ブラザー工業株式会社 参与
○照井 正三郎
元サニーヘルスホールディングス株式会社 顧問
○松尾 憲一郎
弁理士(松尾特許事務所 所長)
経済産業大臣表彰授与
<平成20年度 産業財産権制度活用優良企業等表彰> 【経済産業大臣表彰】
◇セイコーエプソン株式会社 (特許活用優良企業) [長野県]
◇株式会社タニタ (特許活用優良企業) [東京都]
◇三鷹光器株式会社 (特許活用優良企業) [東京都]
◇株式会社岡村製作所 (意匠活用優良企業)[神奈川県]
◇山本光学株式会社 (意匠活用優良企業) [大阪府]
◇任天堂株式会社 (商標活用優良企業) [京都府]
◇東京エレクトロン株式会社 (特許戦略優良企業) [東京都]
252
第3部
【特許庁長官表彰】
○井関農機株式会社 (特許活用優良企業) [愛媛県]
○株式会社飾一 (特許活用優良企業)[神奈川県]
○倉敷化工株式会社 (特許活用優良企業) [岡山県]
○株式会社石野製作所 (意匠活用優良企業) [石川県]
○前田金属工業株式会社 (意匠活用優良企業) [大阪府]
○朝日酒造株式会社 (商標活用優良企業) [新潟県]
○大分県漁業協同組合 (商標活用優良企業) [大分県]
○有限会社金沢大学ティ・エル・オー (普及貢献企業等) [石川県]
○ニチハ株式会社 (特許戦略優良企業) [愛知県]
企業・大学等への支援施策
○オリヱント化学工業株式会社 (特許活用優良企業) [大阪府]
第1章
経済産業大臣表彰受賞者
第2章
特許庁長官表彰授与
第3章
第4章
第5章
特許庁長官表彰受賞者
253
第5章 知的財産人材の育成
コラム
独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)
情報・研修館(INPIT)では、産業財産権制度を支える「情報」及び「人材」という基盤と
これらが活用される「環境」の整備・強化を目的として、特許庁と連携しつつ、公報等閲覧、
特許流通促進、情報普及、相談、情報システム整備、人材育成といった各般の業務を迅速・的
確に実施している。
1.組織図
2.事業概要
(1)産業財産権関係公報等閲覧事業
パリ条約で設置を義務付けられている「中央資料館」
として、産業財産権関係の内外国公報を一般利用者の
閲覧に供するため、東京及び全国8か所(札幌、仙台、
名古屋、大阪、広島、高松、福岡、那覇)の地方閲覧
室 に お い て、 特 許 電 子 図 書 館(IPDL) 専 用 端 末、
CD・DVD閲覧端末及び特許審査官端末(東京のみ)
等を設置し、公報等の閲覧及びこれらの閲覧に対する
支援を行っている。
【2007年度利用者数:約4.4万人】
254
第3部
特許協力条約(PCT)に規定されている国際調査の対象となる「最小限資料(ミニマム・
ドキュメント)
」の整備を行うとともに、これを含めた審査・審判に必要な図書等の技術文献(出
願書類を含む)の収集、整理、保管及び一般利用者への閲覧業務を行っている。
【図書等の保有冊数:約5万冊(2008年3月末)】
(3)特許流通促進事業
新規事業の創出や中小企業等の技術力向上を図るべく、開放特許等の技術情報の収集及び提
供を行うとともに、特許流通アドバイザーによる特許ライセンス契約等の仲介支援等を行って
企業・大学等への支援施策
(2)審査・審判関係図書等整備事業
いる。
【特許流通アドバイザーによる成約件数:10,672件(2008年3月末までの累計)】
(4)産業財産権情報普及事業
IPDLサービスを管理・運営するとともに、特許庁の保有する
た、米国及び欧州の特許明細書の和文抄録を作成し特許庁の審
査資料として提供するとともに、我が国の公開特許公報の英文
の合意に基づいて産業財産権情報データの交換を行っている。
【2007年度IPDL年間検索回数:約7,790万回】
特許等の出願手続等に関する指導をはじめ、審査・審判・登録・
【2007年度相談件数:約60,396件】
第5章
基準・運用等、産業財産権に関する一般的な相談に応じている。 第4章
(5)産業財産権相談等事業
第3章
抄録を作成し各国特許庁に提供している。更に、日米欧間等と
第2章
データを整理標準化し、マージナルコストで提供している。ま
第1章
産業財産権情報をインターネット上から無料で検索できる
(6)情報システム関連事業
電子出願ソフトや公報システム等の整備・管理、その他特許庁の審査・審判業務に必要な資料
等の電子データの整備を行う等、情報提供事業等の基盤となる情報システムの整備を行っている。
また、第一公報閲覧室及び地方閲覧室(全国8か所)では、2007年10月より住民基本台帳カー
ドを利用したインターネット出願ができる共同利用パソコンを設置している。 【2007年度電子出願ソフト利用出願率:約94%】
(7)人材育成事業
審査官等の資格を取得するために必要な法定研修及びナノ・テクノロジーなどの先端技術研修
をはじめ特許庁職員として必要な知識・能力の向上を目的とした各種研修を実施している。また、
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第5章 知的財産人材の育成
「工業所有権に関する手続等の特例に関する法律」
に基づく登録調査機関の調査業務実施者(サー
チャー)を育成する研修、並びに弁理士、企業の
知的財産部員等の産業財産権関連業務に従事する
者に対して、特許庁の有する知識、経験及びノウ
ハウを提供する研修を実施するとともに、eラー
ニング等の学習教材の提供を行っている。その他、
知的財産教育用教材の作成や大学が組織的に特許
出願や知的財産管理ができる体制の整備支援等の業務も行っている。
【2007年度受講者数:特許庁5,571人、外部986人】 256
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