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プログラム - 日本静脈経腸栄養学会 四国支部会
交通のご案内 N アルファあなぶきホール 高松港 サンポート高松 ● JRホテルクレメント 水城通り 高松 ● JR高松駅 ことでん 高松築港駅 玉藻公園 (香川県県民ホール) ● 香川県立ミュージアム さぬき浜街道 フェリー通り 中央通り 高松市役所 ● ことでん 片原町駅 国道11号 中央公園 ● ことでん 瓦町駅 香川県庁 ● 至高松空港 0 200 m 電車でお越しの方 ・JR高松駅より徒歩8分 ・ことでん高松築港駅より徒歩8分 飛行機でお越しの方 ・高松空港より車で約30分 お車でお越しの方 ・高松中央インターから車で15分 ・高松西インターから車で20分 -1- 400 会場案内図 小ホール棟 5F PC受付 第1会場 企業展示 玉藻 総合受付 クローク WC WC WC 小ホール棟 4F 学会本部 第2会場 大会議室 PC受付 WC -2- 参加者へのご案内 1.参加受付 ① 受付は 9:00 より、アルファあなぶきホール 5F ロビーに設置された総合受付にて行います。 ② 参加費と引き換えに参加証明証をお渡しします。 ③ 会期中、会場内では必ず参加証明証をご着用ください。 2.参加費 会員・一般:1,000 円 学生:無料(学生証の提示が必要です。) 3.参加証明証 ① 会員・一般へのネームカード(参加証明証兼領収書)は、参加費 1,000 円と引き換えに総合受付でお 渡しします。 ② 学生へのネームカード(参加証明証)は、学生証をご提示いただいてから、総合受付でお渡しいた します。 ③ 参加証明証を紛失した場合の再発行はいたしません。 ④ 日本静脈経腸栄養学会 栄養サポートチーム専門療法士(NST 専門療法士)認定単位が 5 単位取得で きます。(参加証明証の写しが証明となります) 4.発表データの受付 ① 口演発表は PC プレゼンテーションでのご発表になります。(スクリーンは 1 面です。) ② ご発表の 30 分前までに、必ず各会場前「PC 受付」にてデータの受付をお済ませください。 ③ 発表用のメディアは、USB フラッシュメモリ・CD-R です。 ④ 事務局で用意する PC は Windows、パワーポイントのバージョンは 2003 以上です。(Macintosh で 作成されたデータは、必ず Windows PC にて動作確認を行いお持ち込みください。) ⑤ 動画などの参照データがある場合は、作成作業の段階からパワーポイントデータと動画ファイル を同じフォルダに入れて、作業終了後そのまま保存してください。作成されたデータは、必ず作 成したもの以外の PC で動作確認を行ってください。(動画を使用される方は、念のためご自身の PC を持参してください。) ⑥ 音声は使用出来ません。 ⑦ USB メモリはウイルスに感染していないことを確認した上でご持参ください。 ⑧ 発表データは学会終了後、事務局で責任を持って消去いたします。 5.発表について ① 発表時間 一般演題:発表 7 分、質疑応答 3 分 症例報告:発表 6 分、質疑応答 4 分 ② 発表の 10 分前には「次演者席」にお着きください。 ③ 発表演台には液晶モニター・マウス・レーザーポインターを準備いたします。発表データの 1 枚 目をスライドショーの状態でスクリーンに映写しますので、ご自身で操作を行ってください。 ④ 進行は座長の指示に従って、発表を行ってください。 6.座長の先生方へ 開始予定時刻の 10 分前には次座長席にお着きください。 7.世話人会のご案内 日時:6 月 6 日(土) 12:20 〜 13:20 会場:アルファあなぶきホール 大ホール棟 6F ギャラリーカフェ シレーヌ -3- 日程表 10:00 10:10 第 1 会場 第 2 会場 5F 玉藻 4F 大会議室 開会式 教育講演 「腎疾患における栄養管理」 座長:松浦 文三 演者:濵田 康弘 11:10 11:20 11:20 一般演題 1 症例報告 1 「チームアプローチ」 座長:石井 博/利光久美子 01 〜 05 座長:藤島 則明/溝渕 俊二 01 〜 05 12:10 12:20 13:20 12:10 12:20 ランチョンセミナー 1 「安全な経腸栄養剤小腸半固形化の 導入方法とその効果」 座長:萩池 昌信 演者:大石 英人 共催:キユーピー株式会社 13:20 13:30 症例報告 2 「栄養評価・介入」 座長:岡林 雄大/宮澤 靖 06 〜 10 座長:児島 洋/栢下 淳子 06 〜 10 14:20 14:20 一般演題 3 症例報告 3 「胃瘻」 座長:水田 稔/吉野 すみ 11 〜 15 座長:松浦喜美夫/藤井 映子 11 〜 15 15:10 16:20 16:30 「エネルギー代謝からみた 栄養療法のピットフォール」 座長:正木 勉 演者:佐々木雅也 共催:テルモ株式会社 13:30 一般演題 2 15:20 ランチョンセミナー 2 15:10 イブニングセミナー 「半固形化栄養法とともに 歩んできた道・進むべき道」 座長:合田 文則 演者:村松 博士 共催:株式会社大塚製薬工場 表彰式・閉会式 -4- 教育講演 10:10〜11:10 第1会場(5F 玉藻) 座長:愛媛大学大学院医学系研究科 地域生活習慣病・内分泌学講座 教授 松浦 文三 「腎疾患における栄養管理」 徳島大学大学院医歯薬学研究部 疾患治療栄養学分野 教授 徳島大学病院 栄養部 部長 濵田 康弘 ランチョンセミナー 1 12:20〜13:20 第1会場(5F 玉藻) 座長:香川大学防災教育センター 特命教授 萩池 昌信 「安全な経腸栄養剤小腸半固形化の導入方法とその効果」 東京女子医科大学八千代医療センター 外科診療部 消化器外科 講師 大石 英人 共催:キユーピー株式会社 ランチョンセミナー 2 12:20〜13:20 第2会場(4F 大会議室) 座長:香川大学医学部 消化器・神経内科学 教授 正木 勉 「エネルギー代謝からみた栄養療法のピットフォール」 滋賀医科大学医学部附属病院 栄養治療部 部長・病院教授 佐々木雅也 共催:テルモ株式会社 イブニングセミナー 15:20〜16:20 第1会場(5F 玉藻) 座長:前香川大学医学部附属病院 腫瘍センター 医療法人社団和風会橋本病院 顧問 合田 文則 「半固形化栄養法とともに歩んできた道・進むべき道」 社会医療法人札幌清田病院 副院長 村松 博士 共催:株式会社大塚製薬工場 -5- 一般演題 第1会場(5F 玉藻) 一般演題 1 チームアプローチ 11:20〜12:10 座長:済生会西条病院 外科 石井 博 愛媛大学医学部附属病院 栄養部 利光久美子 01 患者・家族に寄り添うケア ~ NST からの発信・病棟ケアにつなげるチーム医療~ 医療法人芳越会ホウエツ病院 ○徳丸千里,塩田由香利,逢坂真弥子,篠原さゆり,吉野眞理子,林 秀樹 02 摂食・嚥下に影響を及ぼす薬剤の選択に関するチームアプローチ 高知大学医学部附属病院 NST ○平田 歩,野村政孝,西 浩平,高橋朝妃,中平真矢,窪山直岐,炭谷由佳, 伊與木美保,藤本新平,杉本健樹,溝渕俊二 03 当院の病態別食事提供の工夫 1 医療法人社団田村クリニック 栄養科, 医療法人社団田村クリニック 看護部, 2 3 医療法人社団田村クリニック リハビリテーション科, 4 医療法人社団田村クリニック 医師 1 1 2 3 3 4 ○吉井沙都美 ,友岡俊子 ,小池幸子 ,細川涼子 ,豊岡佑馬 ,田村美和 , 田村礼三 4 04 療養型病床群での NST 活動の現状と今後の課題 ~新卒専従管理栄養士の立場から~ 医療法人静可会三加茂田中病院 ○佐藤仁美,王 仲秋,真部晴美,田村章子,佐藤晴美,田岡真紀,大西望美, 原田 武,明 有里,根来真美,上山正佐子,田中 勉 05 かかりつけ医での在宅訪問栄養指導の実際 1 医療法人社団田村クリニック 栄養科, 医療法人社団田村クリニック 看護部, 2 3 医療法人社団田村クリニック 医師 1 1 2 2 3 ○友岡俊子 ,吉井沙都美 ,小池幸子 ,畑 由美 ,田村美和 ,田村礼三 -6- 3 一般演題 2 栄養評価・介入 13:30〜14:20 座長:高知医療センター 消化器外科 岡林 雄大 近森病院 臨床栄養部 宮澤 靖 06 消化器癌患者の術前栄養評価における SGA と ODA との相関 1 徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 疾患治療栄養学分野, 2 徳島大学病院 栄養部, 3 徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 消化器移植外科学 1,2 1,2 1,2 1,3 2 2 ○谷村真優 ,松浦明香 ,安井苑子 ,齋藤 裕 ,山田静恵 ,谷 佳子 , 2 3 松村晃子 ,島田光生 ,濱田康弘 1,2 07 DPC/ 保険請求データを用いた NST 回診の解析ー重症栄養不良例への早期重点介入 のために KKR 高松病院 看護部 ○氏部勢子 08 廃用症候群患者の栄養状態と認知機能について 1 医療法人社団田村クリニック リハビリテーション科, 2 医療法人社団田村クリニック 栄養科, 医療法人社団田村クリニック 医師 3 1 1 1 1,2 3 ○豊岡佑馬 ,大矢浩司 ,小池拓磨 ,友岡俊子 ,田村美和 ,田村礼三 3 09 神経筋疾患で経管栄養剤の患者における不溶性食物繊維の必要性 1 徳島病院 栄養管理室, 東徳島医療センター 栄養管理室, 徳島病院 小児科, 2 4 徳島病院 内科 1 2 3 4 3 1 1 3 3 ○水田里沙 ,堺千賀子 ,山北健二 ,佐々木千参 ,近藤梨恵子 ,東田栄子 , 宮崎達志 ,齋藤美穂 10 精製β- グルカンのナチュラルキラー細胞活性誘導能の検証 1 2 高知大学医学部 看護学科, 株式会社ミューズ 1 1 1 2 1 1 1 1 2 ○川村巧成 ,宮本美緒 ,松浦 梓 ,北添範子 ,関本岳朗 ,中島 洋 , 須藤悦夫 ,渡部嘉哉 ,溝渕俊二 -7- 一般演題 3 胃瘻 14:20〜15:10 座長:三豊総合病院 外科 水田 稔 屋島総合病院 内科 吉野 すみ 11 当院での PEG 同意得られなかった症例の検討 1 2 3 高松市民病院 消化器内科, 高松市民病院 内科, 徳島大学病院 消化器内科 1 1 1 2 ○田中育太 ,友兼 毅 ,多田早織 ,吉野すみ ,六車直樹 3 12 当院における胃瘻造設時嚥下機能評価の取り組み 三豊総合病院 NST ○後藤拓朗,木村年秀,篠永 浩,高橋朋美,福田 絹,守谷正美,山路瑞穂, 中上美絵,合田佳史,高原紗知子,遠藤 出,水田 稔 13 当院における胃瘻造設患者の経口摂取に関する検討 十全総合病院 ○太田和美,佐々木章公,大橋勝久,松尾嘉禮,水田史子 14 当院における腹腔鏡補助下 PEG 造設(LAPEG)の工夫 −腹腔鏡を用いた胃内腔確認 法− 1 2 香川県立中央病院 消化器・一般外科, 香川県立中央病院 肝臓内科 1 ○久保孝文 ,馬場伸介 2 15 当院における胃瘻抜去術の現状と今後の課題 一般財団法人積善会十全総合病院 ○水田史子,太田和美 -8- 症例報告 第2会場(4F 大会議室) 症例報告 1 11:20〜12:10 座長:高知赤十字病院 外科 藤島 則明 高知大学医学部 看護学科臨床看護学 溝渕 俊二 01 経腸栄養管理中に低リン血症をきたした血液透析患者の一例 高松赤十字病院 ○安田 泉,野村勇介,高坂知子,横井理恵,黒川有美子,野村容子,三谷 隆, 宮脇綾子,細川悦子,山中正人,三浦一真 02 神経性無食欲症患者に対するリフィーディング症候群予防への取り組み 1 徳島大学病院 栄養部, 2 徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 疾患治療栄養学分野 1 1 1 1 1 2 1 1 ○山田静恵 ,谷 佳子 ,西 麻希 ,安井苑子 ,菊井聡子 ,橋本脩平 , 1 1 足立知咲 ,秋山真敏 ,大町はる佳 ,松村晃子 ,濵田康弘 2 03 胸壁骨肉腫を併発した McCune Albright 症候群患者に対する栄養介入の経験 1 高知医療センター 栄養局, 高知医療センター 看護局, 2 3 高知医療センター 薬剤局, 高知医療センター 医療局 4 1 1 1 1 2 4 4 1 2 ○廣瀬樹里 ,佐賀啓子 ,楠瀬和佳奈 ,十萬敬子 ,細川悦三 ,松本きはる , 3 3 市川知加子 ,山本創一 ,岡本 卓 ,尾崎和秀 ,渡邊慶子 04 早期からの栄養マネジメントが回復に寄与した心停止後症候群の一例 1 KKR 高松病院 栄養科, KKR 高松病院 看護部, 2 3 KKR 高松病院 リハビリテーションセンター, KKR 高松病院 循環器内科, 5 KKR 高松病院 消化器外科 4 1 1 1 1 2 3 ○宮澤友輔 ,川瀧 忍 ,亀井かおり ,河野光仁 ,岩山さおり ,石川 淳 , 3 4 宮崎慎二郎 ,横山聖太 ,出石邦彦 5 05 長期間のステロイド投与に伴い皮下血腫を呈した 1 症例 1 香川大学医学部附属病院 臨床栄養部, 香川大学医学部附属病院 看護部, 2 3 香川大学医学部附属病院 脳神経外科, 4 香川大学医学部附属病院 形成外科・美容外科 1 1 1 1 1 3 4 2 ○北岡陸男 ,花房悦世 ,阿部寿子 ,赤松三枝子 ,藤井映子 ,大島由紀江 , 2 2 2 納田広美 ,多田ひとみ ,高澤千鶴 ,岡田真樹 ,木暮鉄邦 -9- 症例報告 2 13:30〜14:20 座長:愛媛大学大学院医学系研究科 消化管・腫瘍外科学 児島 洋 徳島赤十字病院 栄養課 栢下 淳子 06 TPN に含まれるビタミン K でワルファリンコントロールに難渋した一例 松山市民病院 ○内藤由宇奈,渡部智之,松久知由,井上智喜,夕部 彩,伊豫永舞,兵頭初恵, 武藤純子,河田直海 07 経腸栄養剤投与による下痢に対し、純ココア投与が有効であった一症例 1 2 さぬき市民病院 3 階西病棟, さぬき市民病院 NST プロジェクト 1 1 2 2 1 1 1 2 ○瀬部直美 ,白井恵子 ,杉本里奈 ,多田 陽 ,宮本明子 ,西山睦子 , 南木伸基 ,大山知代 08 高度栄養障害から誤嚥性肺炎を繰り返した統合失調症患者に NST が介入した 1 例 一般財団法人永頼会松山市民病院 ○松末千波,小島阿沙子,西岡一美,萩森康孝,兵頭初恵,伊豫永舞,河田直海 09 子宮破裂後人工肛門を増設、栄養管理に苦渋した 1 例 1 2 愛媛大学医学部附属病院 栄養部, 愛媛大学医学部附属病院 NST 1 1 1 1 1 1 1 1 ○永井祥子 ,隅田有公子 ,青木孝文 ,高瀬萌子 ,竹島美香 ,井上可奈子 , 1 2 2 2 清家祐子 ,山田佐奈江 ,利光久美子 ,赤瀬さつき ,熊上敬子 ,内舛 健 , 2 2 2 2 高田裕介 ,三宅映己 ,徳本良夫 ,児島 洋 ,松浦文三 2 10 栄養管理に苦慮した消化吸収障害を伴う食道癌の 1 症例 1 徳島大学病院 栄養部, 徳島大学大学院 疾患治療栄養学分野, 2 3 徳島大学病院 食道・乳腺甲状腺外科 1 1 1 1 1 1 2 1 ○橋本脩平 ,谷 佳子 ,山田静恵 ,西 麻希 ,安井苑子 ,菊井聡子 , 1 1 3 足立知咲 ,秋山真敏 ,大町はる佳 ,松村晃子 ,吉田卓弘 ,濵田康弘 - 10 - 2 症例報告 3 14:20〜15:10 座長:いの町立国民健康保険仁淀病院 松浦喜美夫 香川大学医学部附属病院 臨床栄養部 藤井 映子 11 認知症進行により自力摂取困難、食事意欲減退が見られた入居者に対する支援 1 グループホームなぎさ, 医療法人社団田村クリニック 栄養科, 2 3 医療法人社団田村クリニック 医師 1 1 1 1 1 1 ○古川麻由 ,廣田光昭 ,浪越友香里 ,池田英子 ,八朝順子 ,久保知里 , 1 1 2 3 金村亜莉沙 ,獅々堀めぐみ ,友岡俊子 ,田村美和 ,田村礼三 3 12 食事摂取量が不十分な仙骨部褥瘡患者に対しての褥瘡対策チーム介入の一例 1 2 香川大学医学部付属病院 臨床栄養部, 香川大学医学部付属病院 看護部 1 1 1 1 2 2 ○阿部寿子 ,赤松三枝子 ,北岡陸男 ,花房悦世 ,納田広美 ,大島由紀江 , 藤井映子 1 13 ハイネイーゲルを使用した症例報告 1 医療法人社団田村クリニック 看護部, 医療法人社団田村クリニック 栄養科, 2 3 医療法人社団田村クリニック 医師 1 1 1 1 1 2 ○小池幸子 ,大岡小夜子 ,山本美智代 ,秋山美紀 ,高木宏樹 ,吉井沙都美 , 2 3 友岡俊子 ,田村美和 ,田村礼三 3 14 低栄養を伴った左下肢切断患者への栄養管理 ~在宅栄養管理にむけての 1 症例~ 医療法人仁友会南松山病院 ○藤原恵里奈,堀田裕美,岡田佑吏,中居理恵,山﨑八重,藤山敏行,小林展章 15 サービス付き高齢者住宅入居者への訪問看護介入により経口摂取可能となった 1 症例 1 訪問看護ステーションシレーナ, 医療法人社団田村クリニック 栄養科, 2 3 医療法人社団田村クリニック 医師 1 1 1 2 1 1 1 1 ○多口千晶 ,長尾明美 ,星野亜沙未 ,藤本りか ,菊池里美 ,中村眞由美 , 3 轟 博美 ,友岡俊子 ,田村美和 ,田村礼三 - 11 - 3 抄 録 教育講演 教育講演 腎疾患における栄養管理 徳島大学大学院医歯薬学研究部 疾患治療栄養学/徳島大学病院 栄養部 濵田 康弘 腎疾患における栄養管理は、急性腎障害(Acute Kidney Injury:AKI)、慢性腎臓病(Chronic Kidney disease:CKD)の保存期および透析期の三つを別に考えるのがよい。なぜなら、こ れら三つはその栄養管理・栄養療法が少しずつ異なるからである。また、最近のトピックス として、腎疾患における低栄養状態がクローズアップされてきており、この低栄養状態が Protein-Energy Wasting(PEW)と定義されたことがあげられる。 AKI は入院患者、特に ICU 重症患者によく見られる病態であり、不良な予後に直結する。 AKI は腎機能が突然かつ急速に増悪することが特徴であり、その発生頻度は、ICU 患者の 10-30% とされている。ICU 患者の救命率の向上もあって、この 10 年間で AKI 患者数は約 4 倍に増えてきた。すなわち AKI のみが単独で発生することは非常に稀で、多くは多臓器不全 の一病態として発症する。さらに救命のために透析が必要となることも多く、このことが栄 養管理・栄養療法をより複雑化させる。AKI の患者は代謝異常に基づく栄養不良を来しやす いが、そもそも従来からの栄養評価パラメーターは、AKI そのものや、その基礎疾患により 修飾されることが多く、体重さえも体水分量増加で指標として用いることが困難となるため、 栄養評価自体が極めて困難である。さらに、前述のとおり AKI が発症しているときは、他の 重篤な疾患を合併していることが多いため、ランダム化比較試験を行うことが困難でエビデ ンスが得られないといった問題があり、ガイドライン等の記載も、ほとんど専門家の意見に 基づいているのが現状である。すなわち、必要な栄養素は AKI の病態そのものより、むしろ 基礎疾患の重症度、栄養状態、慢性期合併疾患の病態に依存すると考えるのがよい。 CKD、すなわち糸球体濾過量(GFR)が 60ml/ 分 /1.73m2 未満の人は日本の成人人口の約 13%、1,330 万人にのぼるといわれており、近年、糖尿病、高血圧などの生活習慣病が背景因 子となって発症するものが多くなっている。腎機能が低下した場合、さまざまな代謝異常が 出現し、それらに対応した栄養管理が求められる。さらに CKD 患者ではたとえ末期腎不全 状態にならなくとも脳卒中、狭心症、心筋梗塞、末梢動脈疾患といったさまざまな心血管疾 患の合併が多いことも知られているため、その進行を抑制することは非常に重要である。保 存期 CKD における栄養療法としては、蛋白制限、食塩制限、カリウム制限、リン制限が重 視される一方で、透析期腎不全においては透析による蛋白の喪失や透析療法そのもののスト レスを勘案して摂取蛋白質量を増やす必要がある。また、最近注目されている CKD 患者に おける低栄養にも注意を払う必要がある。PEW は、炎症、尿毒素、栄養状態低下が複合的 に連鎖した病態であり、蛋白質の摂取量低下とアミノ酸酸化の亢進に伴う蛋白質異化の亢進、 合成の低下に基づく病態ともいえる。PEW の存在は Quality of Life(QOL)、罹患率、死亡率 に悪影響を及ぼす。CKD の各 stage における PEW の発症率は Stage 1-4 では 28-48% であるが、 Stage 5 になると 75% まで上昇するといわれており、CKD 患者における栄養管理には PEW に対するケアも大きな位置を占めることになってくると考えられる。 - 15 - 抄 録 一般演題 一般演題 1 01 患者・家族に寄り添うケア ~ NST からの発信・病棟ケアにつなげる チーム医療~ 医療法人芳越会ホウエツ病院 ○徳丸千里,塩田由香利,逢坂真弥子,篠原さゆり,吉野眞理子,林 秀樹 【はじめに】当院は、徳島県の西部に位置し、高齢化率は 31% と高く、脳血管障害の後遺症だ けでなく、加齢による嚥下障害から誤嚥性肺炎を併発し入院される患者が年々増えている。 そういった患者の中には、口からの栄養のみでは、体力を維持するのは難しく、家族の介護力、 退院先の現状から、経管栄養を選択することも少なくない。しかし、当院では、患者・家族 の願いを第一目標に患者の栄養ケアを行っている。今回、入院当初は、胃ろうの適応と思わ れたが、「 家族の食べさせたい 」 という思いを尊重し、NST を通して栄養ケアを行い、経口 摂取に向け多職種協同して、3 食経口摂取可能となった症例を紹介する。 【症例提示】70 代 女性 A 氏 右内頸動脈瘤、重度クモ膜下出血 急性期病院にて急性期治療 を終え、発症 51 病日目に当院へリハビリ目的で入院。既往としては 2 度のくも膜下出血を発 症しており、今回は 3 度目のくも膜下出血であった。 【ケアのポイント】 ・家族の思い「食べさせたい」に寄り沿ったケア ・気管切開による嚥下障害に対して、段階的な食事形態の提供 ・看護師による摂食機能療法 ・経口摂取に対する拒否・度重なる経鼻栄養の自己抜去に対し、多職種協同した食事指導 【結果】嚥下障害重症度は、覚醒状態も不安定であり、重度の基礎的訓練のみの適応であった A 氏が、カフ付気管カニューレを挿入した状態での嚥下体操と摂食を継続することで、耐久 性の向上もみられ、ムース食が摂取可能となった。その後、朝食はドリンクの栄養補助食品 の提供、昼食は看護師による摂食機能療法、夕食は遅出リハビリスタッフによる食事指導に て、3 食経口摂取可能となった。 3 食経口摂取可能となったことで、QOL の向上にもつながった。 【まとめ】今回の症例を通して私たちは、それぞれの職種が持っている専門性を持ちより、 NST チームがつなげていくことで、患者へのアプローチがひとつひとつ増えていくことを実 感する事ができた。また更に、私たちが今回再認識することができたのは、家族が願う「口 から食べる楽しみは残してやりたい」という目標を家族と病院スタッフが共有することで、 ゴール設定が明確となり、チーム一丸となって取り組むことができたと思う。 今後、患者・家族の本当の願いを引き出し、それを叶えてあげたいということにこだわり、 それぞれの専門性を活かしたチームアプローチができるよう取り組んでいきたい。 - 19 - 一般演題 1 02 摂食・嚥下に影響を及ぼす薬剤の選択に関するチームアプローチ 高知大学医学部附属病院 NST ○平田 歩,野村政孝,西 浩平,高橋朝妃,中平真矢,窪山直岐,炭谷由佳, 伊與木美保,藤本新平,杉本健樹,溝渕俊二 【はじめに】摂食・嚥下機能の低下の原因は、加齢および疾患による器質的・機能的障害だけ ではなく、使用薬剤によるものもある。今回、摂食・嚥下に影響を及ぼす薬剤の選択に関し てチームアプローチを行った症例などについて報告する。 【症例】50 代男性、右耳下腺腫瘍(T2N0M1)で脊髄転移・左頭蓋底転移があり、化学療法を 施行目的で入院。食思低下による、栄養状態の悪化を改善する目的で NST 管理となった。 NST 介入時は、必要エネルギー量を満たしておらず、摂食量を向上させる必要があったが、 食事時や嚥下リハの直接訓練中に意識レベルの低下があり、傾眠傾向・発語不明瞭であった。 そこで、使用薬剤の中で摂食・嚥下に影響を及ぼす薬剤の選択について検討した。 【NST 介入時の身体・検査所見】身長 163cm、体重 61.6kg、BMI 23.1kg/m2、TP 5.2g/dL、 ALB 2.8g/dL、CHE 151U/L、HB 9.4g/dL、WBC 9700/µL、CRP 1.6mg/dL 【結果・考察】使用薬剤のうち、神経障害性疼痛治療薬であるプレガバリンの中止および抗不 安薬であるアルプラゾラムの減量を行うことで、意識レベルがクリアになり、食事および嚥 下リハへの意欲も高まった。摂食量の増加により、アルブミン値の改善も認められた。意識 レベルを低下させうる薬剤を調節することで、栄養状態を改善できたと考える。また、緩和 ケアチームと協働することで薬剤の中止・減量後も、疼痛および精神状態の悪化は認められ なかった。 摂食・嚥下に悪影響を及ぼしうる薬剤が、多くの患者で投与されていることが示唆された。 このため、嚥下リハの効果や食事レベルを上げるためには、使用薬剤についても注意が必要 である。NST 薬剤師として、他職種やチームと協働し、原疾患への主作用と副作用としての 摂食・嚥下への影響のバランスを考慮し、薬剤の選択について積極的に支援していく。 また、摂食・嚥下機能に対して良い影響を及ぼす薬剤や物質も存在する。薬剤部では、ショ ウガを利用した嚥下機能改善製剤の開発についても取り組んでおり、ショウガを含有した口 腔内崩壊錠を作製し、高齢者などに対して臨床試験などを行っている。今後、さらに摂食・ 嚥下に関して幅広くアプローチを行っていきたい。 - 20 - 一般演題 1 03 当院の病態別食事提供の工夫 1 医療法人社団田村クリニック 栄養科,2 医療法人社団田村クリニック 看護部, 3 医療法人社団田村クリニック リハビリテーション科, 4 医療法人社団田村クリニック 医師 ○吉井沙都美 1,友岡俊子 1,小池幸子 2,細川涼子 3,豊岡佑馬 3,田村美和 4, 田村礼三 4 【目的】当院は回復期から維持期の高齢者の患者が多い有床診療所です。食事は可能な限り 患者の病状、嚥下状態、嗜好に応じて対応し、栄養状態の改善や QOL の向上に努めている。 今回嚥下障害・食欲不振・褥瘡患者など状態別食事提供の取り組みについて報告する。 【方法】 1 嚥下障害の疑われる患者に対し医師の診察後、入院時初回の食事場面を病棟看護師、リハ ビリスタッフ(言語聴覚士)栄養士の 3 職種が食事摂取場面を見せていただき食事形態を考え ます。その後食事摂取状況を見ながら介護のスタッフからも情報をもらい、患者様のより良 い食事を探っていき、栄養状態の維持改善に努める。 2 食欲不振のある患者に対して主食をパン食やおにぎりに変更、病院食の味付けが薄いとい う患者様には医師に確認して味付けの調整を行い、主食が残る場合は佃煮、ふりかけ等を追 加して完食をめざす。主菜は一口大、刻み、ソフト食、ミキサー食を選択する。口内炎がみ られる場合はタンパク質含有、亜鉛の入った栄養補助食品を提供する。 3 食事提供は 2013 日本摂食・嚥下学会の分類と嚥下評価に基づき食事形態を整え提供する。 4 栄養摂取量が不足している患者には栄養補助食品を考える。 【結果】高齢者や嚥下障害者では咀嚼しにくい食品の形態を工夫して提供することにより全量 摂取可能となることがある、味付けを工夫することで摂取量が増加することがある。 【考察及び結論】食形態や嗜好を考慮し、患者が望む食事の提供ができることを考えていく過 程は多職種の協働が必要であり、栄養士は患者様のよりよい予後を考え患者の QOL の維持 向上を考え、適切な栄養管理を実施していきたい。 - 21 - 一般演題 1 04 療養型病床群での NST 活動の現状と今後の課題 ~新卒専従管理栄養 士の立場から~ 医療法人静可会三加茂田中病院 ○佐藤仁美,王 仲秋,真部晴美,田村章子,佐藤晴美,田岡真紀,大西望美, 原田 武,明 有里,根来真美,上山正佐子,田中 勉 当院では平成 18 年から NST 活動を行っていたが、平成 24 年 11 月より栄養サポートチーム 加算の算定を開始するため、新たにチームが構成された。新卒管理栄養士が NST 専従となり、 医師・看護師・薬剤師・管理栄養士・リハビリスタッフ・社会福祉士などがチームとなって、 週 1 回の回診とカンファレンスを行い、2 年間での介入患者数は 147 名であった。上司(管理 栄養士)にご指導いただきながら、また NST メンバーの意見を取り入れながら、NST 介入患 者の抽出方法、回診・カンファレンスの流れを検討・改善し、活動を進めてきた。算定を始 めて 1 年が経過した時点で、NST の活動内容を知ってもらうため、院内で 1 年間の NST 活動 のまとめと症例発表を行った。算定を始めて 2 年目の平成 26 年 6 月、NST 医師の提案で回診 時間が 14 時から 12 時に変更となり、実際に患者の摂取状況を多職種で確認しながら回診を 行うことで、食形態や姿勢・嚥下状態など、その場で活発な議論や検討が行われることが増 えた。同年 7 月、NST 活動を行っていた一般病棟が療養病棟となり、加算体制は変化したが、 NST 回診とカンファレンスは従来通り週 1 回のペースで行っている。同年 9 月に電子カルテ が導入されることとなり、栄養課では入院時の栄養アセスメントと栄養管理計画書の見直し を行い、システム化することで効率的に NST 活動につなげることができた。当院では入院 患者の多くが高齢で、嚥下障害をもつ患者が多いこと、また NST 介入時の栄養補給経路を 調査した結果でも、経口摂取を行っている患者が 1 年目 67%、2 年目 63% と半数以上を占め ていることから、言語聴覚士と協働して、当院での嚥下調整食分類を作成した。 NST 加算の算定を開始してから、病院全体の体制やシステムが大きく変わったが、その環 境に合わせて NST 活動を改善しつつ継続してきた。新卒 1 年目で NST 専従という大役を任 せていただき、不安でいっぱいだったが、上司や NST メンバーの支えもあり、多職種とコミュ ニケーションをとる中で日々新しい知識を吸収でき、患者と触れ合う機会が増えたことで、 常に仕事にやりがいを感じることができた。一方で、カンファレンスなどでは発言する職種 が限られてきており、NST 専従として今後メンバーの NST 活動に対するモチベーションを いかに保っていくかが課題である。 - 22 - 一般演題 1 05 かかりつけ医での在宅訪問栄養指導の実際 1 医療法人社団田村クリニック 栄養科,2 医療法人社団田村クリニック 看護部, 3 医療法人社団田村クリニック 医師 ○友岡俊子 1,吉井沙都美 1,小池幸子 2,畑 由美 2,田村美和 3,田村礼三 3 【はじめに】当院は 19 床の有床診療所で高齢者の患者が多く嚥下障害や低栄養等の障害を持 つ場合が多い。退院後、入院中の栄養治療を在宅で継続するために管理栄養士が訪問指導を 行っている。その取組と症例を報告する。 【方法】入院患者では、在宅に向けて退院前にカンファレンスを開き、主治医、各専門職、家 族、介護支援専門員、在宅関係者に必要な説明を行う。栄養士は栄養療法、栄養量、水分量、 嚥下状態に合わせた食形態、食事介助の方法など栄養療法継続の必要性を説明し情報の共有 をシームレスに行う。本人と家族の同意を得て、主治医の指示書に基づき、退院前カンファ レンスの内容をもとに在宅の生活環境に適応した栄養ケア計画を作成し、在宅にて指導を実 施する。 【実施と取り組み】2007 年より在宅栄養管理(訪問栄養食事指導・居宅療養管理指導)を開始 した。疾患は糖尿病、腎臓病、悪性疾患、COPD をともなう低栄養、重度の褥瘡等に対し指 導を行う。病態別指導を行い、経口摂取での工夫、水分管理、嚥下食の調整などの調理を含 めた指導を実施しています。しかし大きな壁もあります。指導は台所に入る必要があり家族 の合意が得られずに指導が実現できなかった現実も数例あります。一例として、転院時は褥 瘡があり PEG より経腸栄養をおこなっていた患者の症例を報告する。 【結果】入院中は栄養剤の使用で問題なく経過していた。退院時の栄養ケア計画では退院後も 同様に経腸栄養剤を使用することとした。しかし在宅に戻ると排便コントロールに難渋した。 このため在宅にてカンファレンスを開き、ミキサー食を加えることを提案した。朝昼は経腸 栄養剤を使用し夕食をミキサー食に変更したところ排便は順調になった。その後、食事バラ ンスに配慮した調理を家族に指導、数か月後にはヨーグルトは自家製で食事バランスガイド にそったミキサー食をつくることができ指導は終了した。訪問診療、訪問看護のスタッフか らの情報では、現在は褥瘡も完治し 3 食ミキサー食を摂取されています。 【結論】入院中の栄養療法を生活環境や患者・家族のニーズに合わせた継続的支援を多職種の 医療と介護のスタッフが連携して行い、利用者の在宅での生活を支え、QOL の向上に寄与で きるよう栄養士自身もスキルアップして取り組んでいきたい。 - 23 - 一般演題 2 06 消化器癌患者の術前栄養評価における SGA と ODA との相関 1 徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 疾患治療栄養学分野, 2 徳島大学病院 栄養部, 3 徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 消化器移植外科学 ○谷村真優 1,2,松浦明香 1,2,安井苑子 1,2,齋藤 裕 1,3,山田静恵 2,谷 佳子 2, 松村晃子 2,島田光生 3,濱田康弘 1,2 【目的】術前の栄養評価は予後、合併症の観点からも重要なものである。しかしながら栄養評 価をどのように行うべきかについては定まっていないのが現状である。栄養評価には大きく 分けて主観的包括的栄養評価(SGA)と客観的栄養評価(ODA)がある。SGA は簡便で迅速に 行うことができ、特別な機器も必要としない。本研究においては、SGA の栄養評価と ODA の各種パラメーターとの相関について検討した。 【方法】対象は 2014 年 7 月~ 12 月に当院消化器外科で手術をした消化器癌患者 107 例(胃切除 22 例、肝切除 29 例、膵切除 14 例、直腸結腸切除 42 例)で、過去 5 年以内に胸腹部の手術の既 往のあるものは除外した。術前に SGA を用い栄養評価を行い、身体計測、採血、体組成分析、 握力測定を実施し、SGA と ODA、栄養予後指標との相関を検討した。 【結果】対象患者 107 例のうち、SGA「A:栄養状態良好」68 例、「B:中等度栄養不良」34 例、 「C:重度栄養不良」5 例と判定された。SGA の 3 群間で、年齢は C 群で高値であったが、性 別、癌のステージ、その他合併症に有意差は認めなかった。体重、BMI は 3 群間で有意差を 認め、握力、上腕周囲長は AB、AC 間で有意差を認めた。皮下脂肪厚は差がなかった。栄養 指標といわれる血清 TP、Alb、ChE 値は AB 間で有意差を認めた。体組成分析が実施できた のは 107 例中 84 例であった(SGA「A」55 例、 「B」27 例、 「C」2 例)。体組成分析では、体脂肪率、 四肢筋肉量、skeletal muscle mass index(SMI)、Phase Angle(PA)、Extracellular Water/ Total Body Water(ECW/TBW)に 3 群間で有意差を認めた。SGA と栄養予後指標である prognostic nutritional index(PNI)、controlling nutritional status(CONUT)、nutritional risk index(NRI)に相関を認めた。 【考察】消化器癌患者の術前栄養評価において迅速で簡便に評価できる SGA は ODA の各種パ ラメーター、各種栄養評価指数(PNI、CONUT、NRI)と高い相関があることが分かった。 術前栄養評価として少なくとも SGA は行い、栄養管理を行っていく必要がある。 - 24 - 一般演題 2 07 DPC/ 保険請求データを用いた NST 回診の解析ー重症栄養不良例への 早期重点介入のために KKR 高松病院 看護部 ○氏部勢子 【目的】電子化された DPC/ 保険請求データには病院単位での様々な情報が含まれており、そ の分析により病院独自の情報が得られる。当院では NST 活動を積極的に行っており、病院 全体の年間加算件数は 3000 件以上である。本来、栄養介入なく退院することが理想ではある が、外科病棟では手術、癌の再発などにより入院直後から必要となることも多い。今回、大 規模データを用い、外科病棟での NST 介入の傾向と実態を調べた。 【方法】当院での NST 介入(回診)は、アルブミン 3g/dl 以下、食事摂取量 50% 以下が 1 週 間以上、担癌状態、人工呼吸管理、経腸栄養・静脈栄養、絶食、HCU 入院、COPD かつ %IBW90% 以下などの患者を対象に、NST チームにより 1 週間に 1 回の回診を行っている。 本研究においては、2010 年 4 月から 2014 年 12 月までの外科入院患者の DPC/ 保険請求データ を解析した。 【結果】外科病棟における入院総数は 2657 例(平均在院日数は 12.4 日)であった。そのうち 1020 例が手術症例(体表手術を除く) 、1637 例が非手術症例であり、それぞれ 490 例(48%)、 377 例(23%)の計 867 例(平均年齢 72.2 歳、平均 BMI 21.9kg/m2)に対し、のべ 2403 回(平均 2.8 回)の NST 介入が行われていた。長期間にわたり栄養状態の改善が得られなかった重症 例として、NST 介入が 3 ヶ月以上(9 回以上)行われた症例は、全症例中 30 例(1.1%)であっ た。NST 介入 3 ヶ月未満と 3 ヶ月以上で比較すると、平均年齢は 72.0:77.1 歳、平均 BMI は 22.0:19.1kg/m2 と有意な差を認めた。この重症例の平均値を用い、全症例を 77 歳以上と BMI 19kg/m2 未満の両方を満たす、いずれか一方のみ満たす、両方とも満たさないの 3 群に 分け比較すると、重症例の発生率は 4.7%:1.3%:0.46% と約 10 倍の違いを認めた。中等度栄 養不良として NST 介入を 2 ヶ月以上(5 回以上)必要とした 117 例(4.4%)について調べた場合 の発症率でも、10.8%:6.2%:2.3% と同様の結果を得た。重症例の疾患別内訳は多岐に渡るが、 胃・大腸癌非根治術後、腹膜播種、重症感染などに多く認めた。 【考察】重症栄養不良症例の選択とその予測による早期からの NST 介入は、重症化を防ぐリ スクマネージメントの意味から大切であり、回診時間の短縮と効率化の点からも重要であ る。様々な因子が絡むために重症栄養不良症例の予測は非常に難しいが、手術の有無、年齢、 BMI、疾患などの単純なデータでも、ある程度の選択が可能であることが示唆された。具体 的な症例を提示し報告する。 - 25 - 一般演題 2 08 廃用症候群患者の栄養状態と認知機能について 1 医療法人社団田村クリニック リハビリテーション科, 2 医療法人社団田村クリニック 栄養科,3 医療法人社団田村クリニック 医師 ○豊岡佑馬 1,大矢浩司 1,小池拓磨 1,友岡俊子 1,2,田村美和 3,田村礼三 3 【はじめに】廃用症候群とは疾患などのために活動性や運動量の低下した安静状態が長く続 くことで生じる二次障害の総称である。廃用症候群では心身機能低下、摂食 ・ 嚥下障害、抑 うつ状態などを認める。今回、廃用症候群と診断され、ADL に介助を要する状態の入院患 者にリハビリテーションを行った。その中で、自宅退院または施設退院に至った 13 名を、 入退院時の改訂長谷川式簡易知能評価スケール(以下、HDS-R)と Body Mass Index(以下、 BMI)の値に注目し調査を行った。 【対象・方法】平成 25 年当院で廃用症候群と診断され、退院に至った者で、HDS-R が実施で きた 13 名を対象に、BMI を測定し栄養状態と認知機能に関係があるのか調査を行った。対 象者 13 名の内 BMI の値が改善した群と、そうでない群の HDS-R の点数を、χ2 乗検定を用 いて比較した。 【結果】BMI の値が改善した者は 9 名、内 8 名の HDS-R の点数が向上した。BMI の値が悪化し た者は 4 名、内 3 名が HDS-R の点数が低下した。両群にχ2 乗検定を用いた結果、p 値 0.02 で あり、有意差が認められた。 【考察】χ2 乗検定の結果、有意差が認められ BMI の値が改善すれば HDS-R の点数も向上する といえる。BMI の値が改善し栄養状態が良くなればリハビリテーションを積極的に行うこと が出来る。それにより HDS-R の点数が向上し認知機能が改善するといえる。先行論文の著者 らはエクササイズがアルツハイマー型認知症を予防し、さらには認知症の一部症状を逆転さ せる可能性があることを示唆している。HDS-R の点数が向上し認知機能が向上すると効率の よいリハビリテーションが行える。それにより歩行能力や日常生活動作能力が向上し、自宅 や施設へ退院し活動的な生活を送ることが可能になり生活の質の向上につながると考える。 - 26 - 一般演題 2 09 神経筋疾患で経管栄養剤の患者における不溶性食物繊維の必要性 1 徳島病院 栄養管理室,2 東徳島医療センター 栄養管理室,3 徳島病院 小児科, 4 徳島病院 内科 ○水田里沙 1,堺千賀子 2,山北健二 1,佐々木千参 1,近藤梨恵子 3,東田栄子 3, 宮崎達志 3,齋藤美穂 4 【目的】神経筋疾患は病気の進行とともに咀嚼力、嚥下力が低下し、十分な栄養を確保できな い為に経管栄養を開始する。経管栄養剤の合併症の多くは下痢だが、当疾患患者は腸蠕動低 下による弛緩性便秘が多い。下剤や浣腸といった方法で排便を促しているが、残便感や腹部 膨満感が残り、不快に思う患者が多い。多くの経管栄養剤に含有されている食物繊維(以下 DF)は水溶性食物繊維(以下 SDF)が多く、不溶性食物繊維(以下 IDF)は含有量が少ない、 もしくは入っておらず、日常の食事から摂取できる DF とかけ離れている。そこで食事に近 い割合で配合された DF を利用し、患者の排便コントロールを行った。 【対象】神経筋疾患で下剤もしくは大建中湯を使用している経管栄養患者 5 名 【方法】食物繊維加工食品(ラフィセル)1 包を投与し、患者の様子を見ながら量を増やし、前 後 3 カ月で患者の主観、下剤、大建中湯の使用量の変更で評価した。 【結果】ラフィセルを投与後、下剤、大建中湯の中止もしくは減量が 5 名中 2 名で行われた。 薬の変更がなかった 3 名中 2 名は便性、便臭、腹部膨満感が改善され、便が出やすくなった。 残り 1 名は投与前後であまり変化がなかったがラフィセルを続けたいという要望はあった。 また、投与後に腹部膨満感が悪化した患者はいなかった。 【考察】1, IDF は便の嵩になるので便量増加により腸を刺激し、腸内の通過速度が速くなった。 2, 通過速度が早くなった事で物理的に腸内を清掃する頻度が増え、腸内のガス発生を抑制し た。3, SDF やオリゴ糖が便に水分を含ませた。4, 経管栄養で不足していた IDF を補う事によ り生理的な消化管運動を誘発しやすくなった。 【結語】腸内環境を客観的に評価するのは困難だが、経管栄養で弛緩性便秘の患者において、 食事に近い内容の DF を利用する事は患者の排便コントロールに対して有用であると考えら れる。 - 27 - 一般演題 2 10 精製β- グルカンのナチュラルキラー細胞活性誘導能の検証 1 高知大学医学部 看護学科,2 株式会社ミューズ ○川村巧成 1,宮本美緒 1,松浦 梓 1,北添範子 1,関本岳朗 1,中島 洋 2, 須藤悦夫 2,渡部嘉哉 1,溝渕俊二 1 【目的】キノコ、大麦、黒酵母など、様々な素材に由来するβ- グルカンに免疫賦活効果があ ることが報告されている。β- グルカンという同一の範疇で論じられている物質であるが、 その由来、培養方法、抽出処理の方法によって、分子構造および分子量が大きく異なっており、 その機能性は一様ではない。また、流通しているβ- グルカンは粗精製品が殆どで、混在す る物質による健康被害を否定することはできない。我々は黒酵母培養液からエタノール沈殿 法を応用して、純度 95% 以上のβ- グルカンの精製及び可溶性粉末化に成功した。しかし精 製過程で生じるβ- グルカン分子の変成により、本来の機能性が喪失している可能性がある。 本研究では、得られた精製β- グルカン(purified β-glucan:以下 PBG)の免疫賦活効果の検 証を目的とした。 【方法】PBG による免疫賦活効果をナチュラルキラー(NK)細胞活性を指標として評価した。 1 群 5 匹の C57BL/6 マウス、♀、実験開始時 9 週齢を用いた。PBG は水で濃度 250µg/ml に 溶解し、2 週間、給水瓶から自由給水で投与した。対照群には同様の条件下で水を投与し た。評価はマウス脾臓由来単核球を機能性細胞、マウスリンパ腫細胞株 Yac-1 細胞を標的細 胞とした 51Cr 放出試験で行った。実験終了時にマウスに安楽死を施し、脾臓を採取し、機能 性細胞である脾臓単核球を調整した。脾臓単核球と予め 51Cr ラベルを施した Yac-1 細胞を E/ T=100/1 で 5%CO2、37℃条件下で 4 時間の共培養を行い、51Cr の放出量を測定した。 【結果】対照群である水投与群の NK 活性は 10.0 ± 1.35%(± S.D.)に対して、PBG 投与群で は 14.0 ± 2.68% で、統計的有意差をもって PBG による NK 細胞活性誘導効果が認められた (p=0.024)。 【まとめ】β- グルカンは水溶液下では 3 量体を形成し、受容体で認識されることが報告されて いる。また、受容体に結合するには分子量や側鎖の分岐度も重要なファクターとなる。エタ ノール沈澱法を施すと、β- グルカン分子に対するストレスが強く、低分子化や側鎖の変成、 不溶化など、機能性の喪失を危惧していた。今回の研究で NK 細胞活性が認められたことか ら、PBG が水溶液中で受容体に認識される構造であることが確認された。精製された PBG は無味無臭であり、様々な食品への応用が可能となった。 - 28 - 一般演題 3 11 当院での PEG 同意得られなかった症例の検討 1 高松市民病院 消化器内科,2 高松市民病院 内科,3 徳島大学病院 消化器内科 ○田中育太 1,友兼 毅 1,多田早織 1,吉野すみ 2,六車直樹 3 【目的】近年、高齢者や認知症症例などへの PEG の適応が議論され、実臨床でもしばしば対 応に難渋する。今回、当院で PEG を希望されなかった症例について検討を行った。 【方法】対象は 2012 年 4 月~ 2015 年 1 月までに、PEG 適応と判断するも同意の得られなかった 8 例。年齢は 78 ~ 91 歳(平均 86 歳)。性別は男性 2 例、女性 6 例。全例経口摂取による栄養水 分量不足に対し、IC にて選択肢の一つとして PEG を提示した。検討項目は、1)基礎疾患、2) 入院前の所在、3)意思疎通の状況、4)key person、5)人工栄養希望、6)経口摂取状況、7) 経過とした。 【結果】1)基礎疾患は認知症 6 例、抑うつ 1 例、食道癌に伴う反回神経麻痺 1 例で、3 例に誤嚥 性肺炎を認めた。2)入院前の所在は、4 例が老健施設またはグループホーム、3 例が在宅で 1 例が療養型病院であった。3)意思疎通は 6 例が一部制限あるが可能で、2 例が不可であった。4) Key person は配偶者 2 例、御子息 6 例、姪 1 例、無 1 例(重複含)であった。5)全例が PEG を 希望されなかった。6 例は人工栄養を希望されず、他静脈栄養と経鼻移管による経腸栄養希 望が 1 例ずつであった。6)摂食評価 / リハビリなどにより 4 例はとろみミキサー食など一定 量摂取可能となり、3 例はごく少量の摂取に限られた。1 例は摂取不可であった。7)とろみ ミキサー食など摂取可能となった 4 例は自宅または施設へ戻られたうち経過確認された 3 例 はそれぞれ 13,18(13 か月~経鼻胃管),22 か月時点で生存されており、1 例は 16 か月後永 眠された。ごく少量の摂取に限られた 3 例中、2 例はそれぞれ IC 後 28、29 日目に院内で亡く なられ、施設へ戻られた 1 例は、施設とご家族で再検討され 1 週後に PEG 依頼にて再入院と なった。経口摂取不可であった 1 例は再度の IC にて 2 週後 PEG 施行となった。 【考察および結論】日本老年医学会の「高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン」 が承認され、高齢者や認知症患者に対する PEG の是非が議論されており、今回検討を行った 8 例中、7 例は高齢で認知症や抑うつもみられ人工栄養を行なっても ADL の改善可能性は極 めて低く、PEG の適応は意見が別れる。ある程度摂取可能であった 4 例全例経口摂取のみで 1 年以上生存されており、少量 / もしくは不可であった 4 例は再検討で胃瘻造設、または院内 死亡の経過で、急性期病院としての治療は一定の効果がみられるが、症例によっては家族と のコミュニケーションや退院後のフォローなど検討を要する。 - 29 - 一般演題 3 12 当院における胃瘻造設時嚥下機能評価の取り組み 三豊総合病院 NST ○後藤拓朗,木村年秀,篠永 浩,高橋朋美,福田 絹,守谷正美,山路瑞穂, 中上美絵,合田佳史,高原紗知子,遠藤 出,水田 稔 【緒言】平成 26 年度の診療報酬改定により、胃瘻造設前に嚥下造影又は内視鏡下嚥下機能検 査(以下 VF、VE)による嚥下機能評価を実施し、その結果に基づき、当該保険医療機関に配 置されている医師が胃瘻造設の必要性、今後の摂食機能療法の必要性及び方法、胃瘻抜去又 は閉鎖の可能性等について患者又はその家族等に十分に説明及び相談を行った上で胃瘻造設 術を実施した場合に、新たに加算が新設された。三豊総合病院(以下当院)でも胃瘻造設前に VF、VE を行ってきたので、その結果を報告する。 【対象と方法】当院にて平成 26 年 4 月~平成 27 年 2 月までに胃瘻を造設した患者及び造設前に 嚥下機能評価を行った患者を電子カルテから抽出した。 【結果】当院にて平成 26 年 4 月~平成 27 年 2 月に胃瘻を造設した患者は 63 名であった。また、 そのうち胃瘻造設前に嚥下機能評価を行っていたのは 47 名で、その実施率は 76% であった。 【考察及び結論】胃瘻造設時嚥下機能評価加算で年間 50 件以上の施設での要件で全例の嚥下 機能検査の実施が求められているが、当院での現状は 76% であった。その要因としては、当 初は胃瘻造設時嚥下機能評価の認知度が低く未実施であることが多かったことが要因の一つ であった。その対応として当院で採用している PEG クリニカルパスへの嚥下機能評価の項目 を導入し、その実施率は大きく改善した。 また胃瘻造設後も、37.5℃以上の熱発や喀痰の増加などが多くの症例で認められた。その原 因として慢性的な唾液誤嚥などの原因が考えられた。今後は嚥下機能評価による胃瘻造設後 の予測や唾液誤嚥に対してスコポラミン軟膏の使用など検討していく予定である。 - 30 - 一般演題 3 13 当院における胃瘻造設患者の経口摂取に関する検討 十全総合病院 ○太田和美,佐々木章公,大橋勝久,松尾嘉禮,水田史子 【はじめに】当院では 15 年ほど前から胃瘻造設術を行ってきたが、ここ数年はその数が激減 している。その原因としては、老年医学会から発せられた終末期医療における胃瘻造設術に 対する声明が大きいと考えられる。事実、それまでは年間 70 - 80 例ほどの胃瘻造設術を行っ てきたが、この 3 年間では毎年 30 例未満の造設にとどまっている。加えて 2014 年の診療報酬 改定では胃瘻造設術施行時の嚥下機能評価も事実上必須とされ、胃瘻抜去術も新設されるな ど、胃瘻造設術を取り巻く環境はさらに大きく変化している。このような状況の下で、胃瘻 造設術後の経口摂取や、胃瘻抜去についてどう変化したのかを検討した。 【対象と方法】2012 年 1 月から 2014 年 12 月までの 3 年間に当院で胃瘻造設術を受けた患者につ いて、造設術後の経口摂取、造設術前後に行われた嚥下機能評価、胃瘻閉鎖について検討を 行った。 【結果】3 年間で胃瘻造設術を受けた患者は 82 名で造設時の平均年齢は 79.3 歳、男女比は 46: 54 であった。この 3 年間では毎年ほぼ同じ数の胃瘻造設術が行われていた。胃瘻造設術後、 経口摂取をしていた患者は 26 名であったが、2014 年には 12 例でそれまでより倍増していた。 胃瘻造設術前後に嚥下機能評価を受けた患者は 27 名であったが、2014 年には 19 名であり、 その年の全胃瘻造設患者の 70.3% であった。嚥下機能評価を受けた患者 27 名中 12 名が経口摂 取を行っていた。嚥下機能評価を受けずに経口摂取を行っていた患者は 14 名であった。この 間、胃瘻抜去(胃瘻閉鎖)を行った患者は 4 名であった。これらは経口摂取が可能となったた めに全例が家族の希望による抜去であった。抜去後は全員が経口摂取良好で療養施設へ移る ことができた。 【考察】当院での胃瘻造設術件数は減少しているが、一昨年までは積極的な摂食リハビリによ り経口摂取が可能となる患者が増えたというわけではなかった。むしろ、胃瘻造設は積極的 に行うもののその後、きちんと嚥下機能を評価してリハビリを行って「食べる」ことを取り戻 す患者はごく少数である。胃瘻抜去(閉鎖)件数が少ないのも、それが一因ではないかと考え られる。2014 年にそれらの数が増えたのは診療報酬改定による影響が大きいと考えられた。 【結論】今後は嚥下機能のきちんとした評価と嚥下訓練を積極的に行って経口摂取を回復させ るように努力したいと考える。 - 31 - 一般演題 3 14 当院における腹腔鏡補助下 PEG 造設(LAPEG)の工夫 −腹腔鏡を用い た胃内腔確認法− 1 香川県立中央病院 消化器・一般外科,2 香川県立中央病院 肝臓内科 ○久保孝文 1,馬場伸介 2 【緒言】GIF 困難症例における胃瘻造設法は開腹胃瘻造設(OSG)か,腹腔鏡補助下 PEG 造設 (LAPEG)のいずれかが施行されているのが一般的である。LAPEG は手技的には比較的簡便 で,QOL の高い胃瘻造設が可能であるが,造設中に胃内確認ができないことが欠点である。 今回腹腔鏡で胃内確認しつつ施行した LAPEG の 1 例を経験したため報告する。 【症例】68 歳,女性。 【現病歴】2014 年 3 月下顎歯肉癌に対し 3 域切除+舌部分切除 + 皮弁形成術を施行した。術後 経管栄養目的に PEG 造設を予定したが,手術の影響で上部消化管内視鏡挿入が困難であった ため,外科手術による胃瘻造設目的に当科紹介。術前より PS Grade 0 の患者様であったの で,術後の早期離床,退院をめざし,腹腔鏡補助下にて胃瘻を造設することとした。全身麻 酔下に CO2 6mmHg にて気腹し 3 ポート法で 5mm 軟性鏡,エンドビブセルジンガー PEG キッ トを用い手術を開始した。腹腔内に癒着がないことを確認後,体表皮膚側から腹腔内に挿入 した直針 3 本にて胃体部大彎側の胃壁を 3 点で腹壁に固定した。3 点固定部の中央部をメスで 2cm 皮膚切開し,セルジンガー法の穿刺針を体表から胃内腔と推定されるところまで挿入し, 同穿刺針からガイドワイヤーを挿入させた。同過程を腹腔鏡で腹腔内側から観察し,穿刺針 やガイドワイヤーが腹腔内に逸脱していないことを十分確認した。ガイドワイヤーに沿って ダイレートしたのち,ガイドワイヤーに沿って 5mm の EZ trocar を挿入し,腹腔鏡を挿入し, 胃内を観察した。ガイドワイヤーが胃内腔に挿入留置され,出血等がないことを確認し,胃 壁 + 腹壁の厚さを測定した。最後に腹腔鏡で腹腔内から観察しつつ,24Fr,3.5cm のボタン 式 PEG を挿入し,ガストログラフィン透視で問題ないこと確認して手術終了した。手術時間 は約 60 分,出血量は 10ml であった。術後経過良好で POD1 から体動も開始し,白湯の注入 を開始した。POD2 から経腸栄養剤の注入を開始するも問題ないため,数日で近医転院となっ た。以後 PEG トラブルは認められていない。 【結語】現在のところ PEG,OSG,LAPEG はいすれも保険点数は同じであるため,GIF 困難 例は造設が安全かつ簡便で,術後 QOL の高いものが選択されるべきである。GIF 挿入困難 症例に腹腔鏡で胃内腔を確認しつつ初回からボタン式の胃瘻を安全に施行でき,かつすぐに ADL を回復できた LAPEG 造設を経験したため,文献的考察を加え報告する。 - 32 - 一般演題 3 15 当院における胃瘻抜去術の現状と今後の課題 一般財団法人積善会十全総合病院 ○水田史子,太田和美 【はじめに】2014 年の診療報酬改定で、胃瘻抜去術が新設された。食べるための胃瘻を目標に、 摂食嚥下機能改善が改善したこと対して評価されたこととなった。そこで、胃瘻抜去を希望 する患者に対して、胃瘻抜去を実施する医療機関としての役割を明確にすることを目的に後 ろ向き調査を実施したので報告する。 【対象と方法】2012 年から 2014 年の 3 年間に当院で胃瘻抜去術を受けた患者を対象とし、術後 の現状から今後の課題を検討した。 【結果】2012 年から 2014 年の 2 年間で胃瘻抜去術を施行した件数は 4 例であった。患者背景は、 男:女= 3:1、平均年齢は 80.7 歳であった。胃瘻造設時の疾患は脳血管障害 2 件、認知症 1 件、 精神疾患 1 件であった。胃瘻造設後閉鎖までの期間の平均は 29.2 ヶ月、胃瘻抜去術前の生活 環境は介護老人福祉施設 3 件、地域密着型介護老人福祉施設 1 件、療養型医療施設 1 件であっ た。胃瘻抜去術による入院期間は平均 24 日であったが、うち 2 件は術後合併症を生じたこと で予定通りの退院となっていなかった。術後合併症を起さなかった 2 件は 6 日間で退院となっ ていた。胃瘻造設前の栄養評価の実施は 4 件すべてに実施されていた。経口摂取状況は胃瘻 抜去術前後で全てに変化がなかった。胃瘻抜去術後、継続して外来受診をしたのは 1 件で、 術後合併症を起した患者であった。胃瘻抜去後の体重の変化は 4 件全て不明であった。胃瘻 抜去術後の栄養状態の把握ができた患者は 3 件であったが、発熱など他疾患のため受診され たためであった。 【考察】胃瘻抜去術を施行した患者は、抜去後も経口摂取を継続でき口から食べるという当た り前の生活が送られている。今回の調査から、当院は胃瘻抜去前の栄養評価は実施している ものの、胃瘻抜去後も創部、栄養面からの継続した介入ができていないことが明らかとなっ た。抜きっぱなしの胃瘻管理にならないよう検討が必要と考える。 【結論】胃瘻抜去術を希望される患者の術前、術後の治療計画をマニュアル化し、継続した医 療提供が行えるようクリニカルパスの作成を検討していく必要がある。 - 33 - 抄 録 症例報告 症例報告 1 01 経腸栄養管理中に低リン血症をきたした血液透析患者の一例 高松赤十字病院 ○安田 泉,野村勇介,高坂知子,横井理恵,黒川有美子,野村容子,三谷 隆, 宮脇綾子,細川悦子,山中正人,三浦一真 【はじめに】腎不全患者では、リンの排泄低下による高リン血症が多くみられるが、今回我々 は経腸栄養管理中に、低リン血症をきたした症例を経験したので報告する。 【症例】患者は、82 歳女性。以前より血液透析を受けていたが、今回、肺炎および多発脳梗塞 で入院となった。腎疾患用経腸栄養剤による経腸栄養管理を開始していたが、低栄養改善目 的で、NST 紹介となった。NST により経腸栄養剤の投与内容の検討を行っていたが、血清 リン値の低下(1.4mg/dL)を認めた。そこで、3 回 / 週の頻度で、特殊食品(リン 630mg/ 本含有) を追加投与して、リンの補充を行った。投与開始 6 日後の血清リン値は 2.5mg/dL であった。 【考察】経腸栄養管理中に、低リン血症をきたし、特殊食品によるリン補充で血清リン値の改 善がみられた症例を経験した。腎不全患者では、リンの排泄低下による高リン血症が多くみ られるが、NST 紹介となった本症例では、低アルブミン血症を伴い、Refeeding 症候群のリ スクが高いと考えられた。そのため、経腸栄養剤の増量を緩徐に行い、Refeeding 症候群の 予防に努めた。また、ビタミン D 欠乏や高カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症、下痢、薬 剤の影響等のあらゆる可能性を考え、多職種により検討をおこなった。本症例では、透析に よるリンの損失と投与量不足と考え、特殊食品によるリンの補充を行い改善がみられた。今 後は、食品中のリンとして、無機リンと有機リンが存在し、体内での吸収率が大きく異なる と考えられていることをふまえ、リンの総量のみならず、吸収率をも考慮したコントロール が必要であると考えられる。また、多職種からなる NST により、十分な検討と定期的なモ ニタリングで血清リン値のコントロールが行えるよう、今後も検討を重ねていきたい。 - 37 - 症例報告 1 02 神経性無食欲症患者に対するリフィーディング症候群予防への取り組み 1 徳島大学病院 栄養部, 2 徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 疾患治療栄養学分野 ○山田静恵 1,谷 佳子 1,西 麻希 1,安井苑子 2,菊井聡子 1,橋本脩平 1, 足立知咲 1,秋山真敏 1,大町はる佳 1,松村晃子 1,濵田康弘 2 【背景】神経性無食欲症はリフィーディング症候群の高リスクである。病的なやせがあるのに、 体重を増やそうとしない、増やすことに恐怖心を抱いているという場合に診断される摂食障 害であるが、高度の低栄養状態に陥っているケースもあり、栄養補給時には慎重な投与が必 要である。当院での神経性無食欲症に対する入院時栄養管理で、リフィーディング症候群の 予防を念頭においた一症例を提示する。 【症例】32 歳 女性 身長 170cm 体重 38kg(BMI 13.1kg/m2)体外受精による妊娠で 18 週 3 日 目に意識消失発作。重度のるいそう、低血糖、重症肝機能障害、脱水、神経性無食欲症疑い で当院搬送。妊娠前の体重 47kg。つわりで 43kg まで減少。特にダイエット経験はないが、 3 年前から無月経。入院時、体温:33.6 度、WBC:3900/µl、AST:699U/l、ALT:331U/ l、T-BIL:2.9mg/dl、CK:852U/l、ALP:375U/l、γ-GT:67U/l、ALB:3.2g/dl、BUN: 41mg/dl、Cre:0.69mg/dl、K:4.3mEq/l。 入院翌日 NST 紹介となり、必要エネルギー量=現体重× 25kcal = 950kcal、必要蛋白質量= 現体重× 1.2g = 46g と設定。 リフィーディング症候群発症を予想し、栄養投与は必要エネルギー量の約 1/2 程度を目標と し、ソルデム 3A・ビーフリード各 1000ml、アリナミン F50 注 2A 投与を提案(592kcal、蛋 白質 30g 投与)。連日の血清電解質測定も依頼。経口摂取が開始になったときは 200kcal/ 食 程度の少量提供としたが、全量摂取し、翌日には P:2.3mg/dl に低下。リン酸 Na 補正液 0.5mmol/ml 3A で補正を行い、翌日には、P:2.9mg/dl に回復した。K:4.2mEq/l、Mg:2.0mg/ dl。入院 5 日目、ALB:3.1g/dl、BUN:37mg/dl、Cre:0.79mg/dl、K:4.5mEq/l、P:3.2mg/ dl、Mg:2.0mg/dl、で安定傾向のため入院 6 日目より経口摂取 600kcal/ 日、蛋白質 28g/ 日 から開始。輸液はソルデム 3A500ml、ビーフリード 1000ml、アリナミン F50 1A に変更。合 計投与量は、1100kcal/ 日、蛋白質 58g。食事は全量摂取でき、徐々に提供量を増やした。体 重は、入院約 1 週間後 35.8kg まで低下、その後は増加。約 1 ヶ月入院し、42.1kg で退院となった。 【考察】慢性的な栄養不良状態が継続している場合の栄養投与には、リフィーディング症候群 発症を予想し、未然に防止するためには、開始投与エネルギーの設定と連日の K、P、Mg の 測定、ミネラルの補給等の計画が重要であると考えられる。 - 38 - 症例報告 1 03 胸壁骨肉腫を併発した McCune Albright 症候群患者に対する栄養介入 の経験 1 高知医療センター 栄養局,2 高知医療センター 看護局, 3 高知医療センター 薬剤局,4 高知医療センター 医療局 ○廣瀬樹里 1,佐賀啓子 1,楠瀬和佳奈 1,十萬敬子 1,細川悦三 2,松本きはる 2, 市川知加子 3,山本創一 3,岡本 卓 4,尾崎和秀 4,渡邊慶子 1 患者は 20 代の女性。先天性骨形成不全がある患者で治療を受けていた。突然の右側腹部痛 および呼吸困難をきたしたため、前医を受診した。胸部 CT にて胸水を伴う右肋骨を中心に 多発溶骨性病変を指摘され、精査加療目的で当院紹介となった。生検の結果、軟骨肉腫ある いは骨肉腫と診断され、右第 6 ~ 8 肋骨切除を伴う胸壁腫瘍切除術が施行され、最終病理診 断にて胸壁骨肉腫を併発した McCune Albright 症候群と診断された。その後の化学療法を導 入し、その後入退院を繰り返した。我々は、初回入院時の術後の食欲低下をきっかけに NST 介入を行い、その後も治療経過に沿って経口摂取を中心とした栄養サポートを行った。 目標エネルギー量の設定に関しては、以前の摂取量の推定から 1600kcal/ 日とした。術後、 食事摂取量低迷の原因として、胸腔ドレーン管理および手術創による疼痛と咳嗽、疼痛コン トロール目的で使用されたオピオイドによる嘔気、眩暈などが考えられた。患者は精神的に 安定しており意思疎通が可能であり、消化器症状や嗜好に関する十分な調査ができた。また、 消化管は利用できる状態であったため、術直後の一時的な TPN 利用以外は、最大限経口に よる栄養補給を試みた。食事摂取量の低迷時にも液体の摂取が比較的可能であることから、 ハーフ食に多種の経腸栄養剤を付加し必要エネルギー量の確保に努めた結果、経口摂取量は 徐々に改善し、一時低下したアルブミン値、体重などの指標も改善した。 術後は化学療法の導入となったが、引き続き NST 介入を継続した。ハーフ食+経腸栄養 剤のスタイルを基本とし、化学療法に伴う嘔気や粘膜障害に対し経口補助食品の種類の変更 などの対応を行った。化学療法導入後半年経過したが、現在も化学療法目的での入退院を繰 り返している。フロアの管理栄養士により入院時および自宅療養時の経口補助食品利用を含 めた栄養アセスメントを継続することにより、安定した栄養状態が維持できた。 - 39 - 症例報告 1 04 早期からの栄養マネジメントが回復に寄与した心停止後症候群の一例 KKR 高松病院 栄養科,2KKR 高松病院 看護部, 1 KKR 高松病院 リハビリテーションセンター,4KKR 高松病院 循環器内科, 3 KKR 高松病院 消化器外科 5 ○宮澤友輔 1,川瀧 忍 1,亀井かおり 1,河野光仁 1,岩山さおり 2,石川 淳 3, 宮崎慎二郎 3,横山聖太 4,出石邦彦 5 【目的】心停止後症候群は自己心拍再開後に生じる重篤な病態の総称として知られ、心筋機能 不全や多臓器不全等を高率に発症し、心停止 1 か月後生存率は 10% 未満とも言われる。今回、 心停止後症候群患者に対し NST が積極的に介入し回復に寄与した症例を経験したので報告 する。 【症例と経過】60 代男性、身長 173cm、83.5kg。他院にて肥大型心筋症と診断され内服加療中 であったが、受診を自己中断されていた。数日前から感冒症状が続き呼吸困難も出現したた め当院へ救急搬送となった。搬入時すでに非代償性心不全におけるショック状態であったた めカテコラミン投与などを開始したが、反応は乏しく直後に心肺停止状態となった。蘇生を 図るも心拍再開は得られず、経皮的心肺補助装置(PCPS)による体外循環式心肺蘇生法を行 い、同時に低体温療法、大動脈内バルーンバンピング(IABP)および人工呼吸管理を開始した。 第 3 病日に PCPS 及び低体温療法を終了、第 5 病日に抜管、第 9 病日に IABP を抜去しリハビ リテーション(リハビリ)を開始した。栄養投与について、第 4 病日より高カロリー輸液を、 第 10 病日より経鼻経腸栄養を開始し、第 19 病日には経口摂取を併用し漸増した。第 11 病日 に NST が介入し、以降毎週回診を行い、日々の調整は病棟担当管理栄養士が行った。年齢 や体格を考慮すると最低でも 2000kcal/ 日、たんぱく質 80g/ 日以上の栄養量が必要と見込ま れたため、頻回に栄養摂取状況のモニタリングを行った。また、リハビリ後にはリカバリー と経口摂取の不足を補うことを目的に BCAA 強化飲料の摂取を促した。食事形態はゼリー食 及びミキサー食から開始し、第 46 病日に常食を食べられるまでに改善した。リハビリは、早 期から免荷式リフトによる起立トレーニングを並行して行い第 13 病日に端座位を獲得、最終 的に手すり使用にて移動可能となった。リハビリを継続することで更なる ADL の改善が望 めると判断し、第 62 病日に回復期リハビリ病院へ転院となった。 【結果及び考察】非常に重篤な状態から一命を取り留めた患者であったが、可及的早期からの 積極的な栄養療法介入で、栄養状態や ADL を改善させることができた。急性期における栄 養管理は、刻一刻と変化する治療やリハビリと足並みを揃える事が重要であり、患者と関わ る職種間での情報交換は頻回に行う必要があると考えられる。 - 40 - 症例報告 1 05 長期間のステロイド投与に伴い皮下血腫を呈した 1 症例 1 香川大学医学部附属病院 臨床栄養部,2 香川大学医学部附属病院 看護部, 3 香川大学医学部附属病院 脳神経外科, 4 香川大学医学部附属病院 形成外科・美容外科 ○北岡陸男 1,花房悦世 1,阿部寿子 1,赤松三枝子 1,藤井映子 1,大島由紀江 2, 納田広美 2,多田ひとみ 2,高澤千鶴 2,岡田真樹 3,木暮鉄邦 4 【はじめに】脳梗塞発症後、在宅療養に向けて準備を進めていたところ巨大な皮下血腫を発症 した患者に対し栄養管理を実施した。 【症例】症例は右視床の梗塞と右内頸動脈閉塞のため緊急入院となった 79 歳女性。 既往には脳出血(右方麻痺)、慢性心不全などがあり、長期の慢性関節リウマチ治療に伴い皮 膚は脆弱であった。 17 病日頃より左肘外側を中心に約 10 × 15cm の範囲に皮下出血による瘤状の腫脹を認め、複 数回に亘り壊死部位のデブリートマンと血腫除去が施行された。 30 病日より積極的な栄養管理を実施した。CONUT 法では中等度栄養不良、心不全に対する 水分コントロールを要し(主治医から 1100ml/ 日指示)、皮膚損傷の改善が課題であった。 誤嚥リスクが高いため経口摂取は嚥下訓練時のゼリー程度とし、経鼻胃管より 1.6kcal/ml 濃 度の濃厚流動食と低濃度糖加アミノ酸液 500ml を実施した(25kcal/kg、タンパク質 1.4g/kg) 。 17 病日に比し、血腫が除去され新たな皮膚壊死の発生も認めなかったが、上肢周囲に広がる 皮膚欠損部位に変化はなかった。同日より創傷治癒促進を期待し、コラーゲンペプチド 10g 配合ビタミン微量元素飲料とオルニチン粉末(オルニチン 2.5g/ 日、グルタミン 2g/ 日)を開 始した。 41 病日頃より左上下肢、体幹部に浮腫を呈し、さらに皮膚損傷しやすい状態へと悪化。下痢 発生に伴い体位変換する機会が増えたことも一因で左右の肩、鼠径部、下腹部にスキンテア が発生した。 64 病日、上下肢と両側腹部に浮腫は継続、皮膚損傷のリスクは高いが新たなスキンテアは認 めず、左上肢の創傷部位は上皮化された。 【考察】皮膚欠損部は感染、炎症を認めることなく、治療に要した期間は約 47 日間であった。 創傷治療時の栄養要求量は高く、タンパク合成に関連する亜鉛、ビタミン C などの十分な補 給が推奨されている。 本症例は、合併また併存する疾患の存在により十分な栄養投与の実施が困難であった(創部 発生から上皮化に至るまでの栄養量は平均 23.1kcal/kg タンパク質 1.2g/kg)。 限られた投与制限内でビタミン、微量元素を充足させ、創傷治癒促進が期待されるオルニチ ン、コラーゲンペプチド、など複数のサプリメントを併用したことも一助であったと考えら れた。 脳梗塞発症後の全身管理下、創傷処置に対する処置とケアに加えて積極的な栄養療法を実施 した結果、比較的短期間で上皮化に至った。 - 41 - 症例報告 2 06 TPN に含まれるビタミン K でワルファリンコントロールに難渋した一例 松山市民病院 ○内藤由宇奈,渡部智之,松久知由,井上智喜,夕部 彩,伊豫永舞,兵頭初恵, 武藤純子,河田直海 【はじめに】ワルファリン服用患者では、ビタミン K を含む製剤の投与には注意を要する。今 回、心房細動による急性上腸間膜動脈閉塞症の患者において、術後、短腸症候群となり、 TPN・PPN での栄養管理中にワルファリンの用量調整に難渋した症例を経験したので、報 告する。 【症例】身長 150cm、体重 65kg、79 歳女性、腹痛、嘔吐にて受診。急性上腸間膜動脈閉塞症 にて手術目的で入院。手術にて、2 度の小腸切除を行い、残存小腸 35cm。術前から心房細動 あり、抗凝固療法適応。内服開始となるまでは、ヘパリンを投与。内服開始となってからは、 短腸症候群のため、薬の吸収過程が不明な点、効果判定の指標があるという点から、NOAC ではなくワルファリンを開始。同時に、栄養管理では、ワルファリン開始時は、TPN にて栄 養管理を行っていた。 【経過】7 / 19 から、ワルファリン 1mg 内服を開始。TPN で栄養管理し、脂肪乳剤の投与も 行う。7 / 25 時点で、ワルファリン 3mg に増量。発熱があったため、CVC 抜去し、輸液を PPN へ変更した。7 / 29 に再度、CV ポート留置。その後も、INR モニタリングするも INR 上昇認められず、ワルファリンを増量。8 / 11、脂肪乳剤中止。8 / 13、輸液をエルネオパ からツインパルに変更し、ワルファリンを 8mg まで増量。8 / 16、INR:2.99 まで上昇し たため、ケイツー N の投与を行い、INR:1.50 となる。8 / 17、ワルファリン 6mg 内服及び ヘパリン 5 千単位投与。8 / 18、ワルファリン 5mg 内服で経過を見る。8 / 21、INR:2.74 と なり、INR が下がるまでワルファリン中止。8 / 26 には、INR:1.32 となり、ワルファリン 3mg で再開。以降、INR は適正に保たれ、ワルファリン 3mg で継続服用となり、退院となった。 【考察】TPN キット製剤、総合ビタミン剤及び脂肪乳剤にはビタミン K が含まれている。臨 床では、ワルファリン服用患者では、ビタミン K 250µg /日以上の投与は避ける必要がある との報告もある。現在、ビタミン K を含有しない TPN キットや総合ビタミン剤は販売され ておらず、ワルファリンと TPN の併用については総合ビタミン剤中にビタミン K が含まれ ていることに留意し、モニタリングが必要となる。 - 42 - 症例報告 2 07 経腸栄養剤投与による下痢に対し、純ココア投与が有効であった一症例 1 さぬき市民病院 3 階西病棟,2 さぬき市民病院 NST プロジェクト ○瀬部直美 1,白井恵子 1,杉本里奈 1,多田 陽 1,宮本明子 1,西山睦子 2, 南木伸基 2,大山知代 2 【症例】85 歳女性。 【既往歴】卵巣嚢腫手術。 【家族歴】特記事項なし。 【現病歴】高血圧、糖尿病で近医通院中であった。某日午前 9 時頃に外出先で意識障害出現し、 当院に救急搬送された。搬送時 JCS 3 点、四肢麻痺は認めなかった。頭部 MRI+MRA にて右 前頭葉に急性期脳梗塞所見を認め、入院治療開始となった。 【臨床経過】入院後は急性期脳梗塞治療を開始した。入院時嚥下評価にて、経口摂取は可能と 判断し、嚥下食を開始した、しかし、入院第 3 病日に嚥下状態悪化し欠食となった。第 8 病 日に経鼻胃管を挿入し、経腸栄養剤(CZ-Hi)を開始した。注入食開始後に水様~泥状便を 1 日 5 回認める様になったため、主治医より整腸剤の処方が開始された。その後も水様~泥状 便が継続し、NST 介入依頼となった。NST より純ココアの投与を提案し、第 21 病日より、 純ココアを 1 回 3g、1 日 3 回注入開始した。注入後は下痢の回数が 2 ~ 3 回に減少し、形態も 泥状便となった。第 40 病日より、在宅退院に向けて、経腸栄養剤をラコールに変更した。外 来では純ココアを中止するため、第 44 病日より一旦終了していた整腸剤を併用開始した。経 過良好にて、第 54 病日に退院となった。退院とともに純ココア投与は中止した。退院後まも なく、水様便を頻回に認める様になり、ご家族が純ココアの投与再開を希望された。このた め、外来で投与方法を指導し、自宅でも純ココアを 1 日 9g で使用したところ、下痢は改善し、 良好な排便コントロールを得る事が出来た。 【結語】近年、下痢に対する純ココア投与の有効性が多数報告されている。当院にても、経腸 栄養剤投与による下痢に対し、純ココア投与が有効であった一症例を経験したため、文献学 的考察も含め報告する。 - 43 - 症例報告 2 08 高度栄養障害から誤嚥性肺炎を繰り返した統合失調症患者に NST が介 入した 1 例 一般財団法人永頼会松山市民病院 ○松末千波,小島阿沙子,西岡一美,萩森康孝,兵頭初恵,伊豫永舞,河田直海 【目的】当院では年間約 50 件の NST 依頼があり、多職種が関与し、介入を行っている。その なかで重症肺炎、嚥下機能障害により経口摂取困難であった患者に対し、2 か月間 NST 介入 し、ADL 向上がみとめられた症例を経験したので報告する。 【方法及び結果】50 歳代男性、統合失調症、多発性脳梗塞から肺炎の再燃を繰り返し、長期絶 飲食で高度栄養障害となり当院転院。以前はミキサー食を摂取していたが、既往に伴う嚥下 機能障害と呼吸状態悪化により入院前から経口摂取困難となっていた。入院後、CVC 挿入し、 TPN と抗生剤投与を開始した。入院 9 日目に喉頭周囲と気管支に唾液の多量貯留があり、呼 吸状態が憎悪し、気管切開術を施行した。入院 12 日目に経鼻栄養を開始したが、自己抜去繰 り返すため、入院 19 日目 PEG 造設となった。免疫機能増強と呼吸不全改善目的でオキシー パとプルモケアを開始、TPN と併用していたが、呼吸状態憎悪ないため、栄養剤を徐々に増 量し TPN 中止、経管栄養のみの管理となった。入院時寝たきり状態であったが PT の介入に より、退院時には平行棒での立位保持も可能となった。入院時から ST 介入により嚥下訓練 を開始した。高度の嚥下機能障害により経口摂取には至らなかったが、スピーチカニューレ での発声練習により意思疎通も可能となった。 【考察】脳梗塞後遺症と統合失調症に伴う嚥下障害から肺炎の憎悪を繰り返した高度栄養障害 の患者に対し、低カロリーの TPN から開始、経腸栄養での病態別栄養剤を用いての栄養療 法や PT・ST 介入しながら気管切開での気管内吸引を行ったことで、栄養・呼吸状態が改善し、 多方面からの全身管理が ADL 向上につながったと考えられる。 【結論】嚥下障害を伴う高度栄養障害患者では、栄養管理のみならず、多職種による連携で身 体機能の改善をはかることも ADL や QOL 向上に必要と考えられた。 - 44 - 症例報告 2 09 子宮破裂後人工肛門を増設、栄養管理に苦渋した 1 例 1 愛媛大学医学部附属病院 栄養部,2 愛媛大学医学部附属病院 NST ○永井祥子 1,隅田有公子 1,青木孝文 1,高瀬萌子 1,竹島美香 1,井上可奈子 1, 清家祐子 1,山田佐奈江 1,利光久美子 1,赤瀬さつき 2,熊上敬子 2,内舛 健 2, 高田裕介 2,三宅映己 2,徳本良夫 2,児島 洋 2,松浦文三 2 【はじめに】在宅管理が困難な患者に対し栄養管理方法に苦渋した症例を経験したので報告す る。 【症例】34 歳女性。2013 年 4 月 30 日に出産予定日超過、近医で誘導分娩施行時に心音低下を 認め、吸引分娩 / クリステレル児娩出術施行。輸液負荷 ・ 昇圧剤使用するも血圧 60/40mmHg と低下を認め、同日緊急救急搬送。入院時、右側子宮破裂 ・ 小腸壊死のため、子宮全摘出 術 ・ 両側卵管切除術 ・ 小腸切除術 ・ 人工肛門造設を施行。術後、尿量がほぼ見られないため CHDF を開始。5 月 9 日 GFO、10 日経管栄養開始となったが、呼吸状態が悪化し中止、栄養 管理目的で NST 依頼となった。入院時身長 155cm、63kg、IBW 52.8kg、24 日に経管栄養を 開始。自発開眼はあるが意疎通困難、CHDF は離脱したが、短腸症候群のため、経腸栄養と 静脈栄養(2200kcal、蛋白質 40g)での管理となった。状態が落着いたため、療養病床のある 一般病院へ転院となった。転院時 TP 5.8g/dl、Alb 2.5g/dl、CRP 4mg/dl、Hb 6.9g/dl と維 持できた。 【まとめ】短腸症候群のため経腸栄養では不十分で、静脈栄養の併用が必須であったが、児と の関わりを重視したため転院先や治療法の選択が困難であった。 - 45 - 症例報告 2 10 栄養管理に苦慮した消化吸収障害を伴う食道癌の 1 症例 1 徳島大学病院 栄養部,2 徳島大学大学院 疾患治療栄養学分野, 3 徳島大学病院 食道・乳腺甲状腺外科 ○橋本脩平 1,谷 佳子 1,山田静恵 1,西 麻希 1,安井苑子 2,菊井聡子 1, 足立知咲 1,秋山真敏 1,大町はる佳 1,松村晃子 1,吉田卓弘 3,濵田康弘 2 【症例】58 歳、女性。2003 年直腸癌に対し化学放射線療法後に直腸切断術、子宮全摘、人工 肛門造設術施行。2007 年胃癌に対し胃全摘術施行。2013 年春頃より食べ物のつかえ感を自覚。 胸部中部食道癌を認め、2014 年 7 月より術前化学療法を実施。入院時、つかえ感による食事 摂取量低下に加え、胃全摘術施行後よりストーマから未消化の食物残渣を認める水様下痢便 が継続しており、低アルブミン血症(血清アルブミン値 1.4g/dl)に伴い著明な浮腫が見られた。 【経過】つかえ感に対して食事形態の調整を行い、消化吸収障害に対してアミノ酸輸液の投与、 補食として濃厚流動食を提供した。また、止痢剤による排便コントールを継続した結果、血 清アルブミン値は 2.5g/dl に増加し、浮腫の改善が見られ、化学療法を完遂できた。2014 年 10 月に食道亜全摘術、胸骨前経路空腸再建術、腸瘻造設術を実施。術後 2 日目、腸瘻より半 消化態栄養剤の持続投与を開始し、漸増していったが下痢、腹痛の悪化を認めたため、投与 速度を 20ml/h とし、腸瘻より 480kcal、高カロリー輸液より 560kcal を投与した。術後 9 日目 より経口摂取を開始。食事摂取と併用して腸瘻より成分栄養剤や消化態栄養剤の投与も試み たが、いずれも下痢が悪化し、食事量の低下や日中の活動制限への影響を考慮して投与は断 念した。排便コントロールを継続し、食事形態を調整することで経口から 1100kcal の摂取が 可能となったが、消化吸収障害による損失を考慮し、輸液にて 400kcal の補給を行い、退院 まで合計 1500kcal の補給を継続した結果、血清アルブミン値は 2.1g/dl を維持できた。退院 前に術後食の栄養指導や、摂取しても下痢が少なかった濃厚流動食の購入案内を実施し、近 医に輸液による栄養補給のフォローを依頼し、術後 47 日目に自宅退院となった。 【考察】消化管手術により食事摂取量低下に加え、消化吸収不良に陥っている場合、入院中は 輸液による栄養補給、形態を調整した食事の提供、状態に合わせた服薬調節が可能だが、自 宅退院後も同じ内容での栄養管理は難しい。在宅中心静脈栄養法(HPN:Home Parenteral Nutrition)による栄養管理を検討中だが、地域によっては十分なサポートを受けられない場 合も多い。今回のように経腸栄養が十分に行えない症例を経験し、患者の自宅生活での QOL 向上のためには、HPN が実施できるサポート体制が広がり、栄養補給方法の選択肢が広がる ことが重要であると感じた。 - 46 - 症例報告 3 11 認知症進行により自力摂取困難、食事意欲減退が見られた入居者に対 する支援 1 グループホームなぎさ,2 医療法人社団田村クリニック 栄養科, 3 医療法人社団田村クリニック 医師 ○古川麻由 1,廣田光昭 1,浪越友香里 1,池田英子 1,八朝順子 1,久保知里 1, 金村亜莉沙 1,獅々堀めぐみ 1,友岡俊子 2,田村美和 3,田村礼三 3 【目的】認知症による失認、失行により自力摂取困難となった入居者へ食支援を行い、経口摂 取を維持できている症例について報告する。 【対象】81 歳女性。既往歴 1 アルツハイマー型認知症 2 高血圧症 3 パーキンソンニズム 4 便秘症。 グループホーム入居し約 1 年経過した頃、認知症状の進行が著明となる。主症状とし、幻覚、 被害妄想、暴言、暴力等の BPSD が見られた。以前から見られていた帰宅願望や、思いが伝 わらないことで不穏状態が続き不安定な日々を送っていた。徐々に、日常生活動作の意欲減 退が見られ生活不活発となる。食事に関しても徐々に一人では実施できなくなり、声かけ・ 一部介助を要する状態となったが、易怒的・介助拒否が見られた為全量摂取は困難であった。 【方法】カンファレンスにて、医師・管理栄養士・看護師・介護職員・家人を交え原因を検討 する。1、帰宅願望が続き、精神的原因が考えられる。→精神面でのケアに関して家人に協 力依頼実施。面会の頻度を増やす事や外出による気分転換を実施して頂く。2、認知症進行 により言語の理解力障害や失行(観念失行)が出現。→介助の対応として、動作をゆっくり分 かりやすく説明する事を実施。右手に箸を把持して頂き食事摂取を促す。職員介助時は本人 の右側から、より自然な形で支援した。また、声かけ時、苗字の「S さん」から名前の「T 子 さん」に変更。本人に伝わりやすい工夫を行った。3、咀嚼機能低下の疑い。→訪問歯科の介 入を開始し義歯調整・口腔ケア、また介護職員は勉強会を開催し口腔ケアの重要性を学んだ。 4、認知症進行→医療面では専門医へ相談し内服薬の変更を数回に渡り実施した。 【結果】暴言・暴力の減少、介護拒否などの BPSD の減少が見られた。介入できることにより、 食事の全量摂取が可能となり低栄養のリスクが軽減した。 【考察】多職種が連携し、認知症進行予防を実施することが出来た。「食事の自力摂取が困難 となった」一つの問題には複数の要因が関係し合っており、多角的に取り組みことで症状の 進行予防・改善に繋がると考えられる。 【結論】認知症の診断を受け 8 年以上経過した現在、S 様は同 GH にて毎日を穏やかに過ごされ ている。日常生活はほぼ全介助となり自発的発語は極端に減少している。しかし、今でも箸 を把持し、口に運び込むことはできないが運ぼうとうする姿は見られる。職員の介助のもと 経口摂取を継続することができている。 - 47 - 症例報告 3 12 食事摂取量が不十分な仙骨部褥瘡患者に対しての褥瘡対策チーム介入 の一例 1 香川大学医学部付属病院 臨床栄養部,2 香川大学医学部付属病院 看護部 ○阿部寿子 1,赤松三枝子 1,北岡陸男 1,花房悦世 1,納田広美 2,大島由紀江 2, 藤井映子 1 【目的】高侵襲手術後で臥床状態となり、食欲不振、下痢が持続したとき、難治性の仙骨部 褥瘡が発生するケースは少なくない。今回我々褥瘡対策チームの介入により栄養面と局所ケ アの両面から専門的アドバイスを加えたが患者の同意が得られず苦渋した一例として報告す る。 【症例・経過】82 歳女性。消化管出血及び緑膿菌感染のため入院。入院時体重 52kg BMI 22.4 CRP 1.83 Alb 2.0 BUN 11.7 右総腸骨動脈小腸瘻血管移植術を施行され、可動性低下 があり体位変換は解除で試行する。持続的な下痢があり肛門周囲の表皮剥離を認めたため褥 瘡チーム介入となった。術後 1 ケ月輸液での管理が行われ、その後食事開始となったが摂取 不良が続き、輸液管理からの離脱困難であった。褥瘡チーム介入時、体重 50.5kg BMI 22.4 CRP 0.26 Alb 2.7 BUN 50.7 【方法】褥瘡部には洗浄後、亜鉛華単軟膏を塗布しスキンケアを実施。介入前食事摂取不良の ため、輸液管理を継続しながら補助食を提供していたが、介入時 BUN の上昇を認めたため 適正タンパク量に変更を行った。下痢の改善を目的にヨーグルト、ヤクルト、サンファイバー を提供した。また嗜好に合わせて食事内容を変更することで摂取量増を期待したが、食事へ の関心を見せず、摂取状況に顕著な変化は見られなかったが、仙骨部の褥瘡については、輸 液での十分な栄養を継続投与したことと、排便コントロール、適正なスキンケアができたこ とで改善した。 【考察】今後も持続して介入を行う中で、輸液から経口摂取への移行を進め患者が無理なく食 べられるような提案を引き続き行っていきたいと思う。 - 48 - 症例報告 3 13 ハイネイーゲルを使用した症例報告 1 医療法人社団田村クリニック 看護部,2 医療法人社団田村クリニック 栄養科, 3 医療法人社団田村クリニック 医師 ○小池幸子 1,大岡小夜子 1,山本美智代 1,秋山美紀 1,高木宏樹 1,吉井沙都美 2, 友岡俊子 2,田村美和 3,田村礼三 3 【目的】当院は回復期から維持期の患者が多い有床診療所です。急性期病院から転院された方 に、しっかりした栄養管理を行い、病態を安定し在宅につなげる必要がある。経腸栄養によ る下痢や胃食道逆流が、経腸栄養患者の栄養管理においてしばしば障害となる。経鼻栄養で はいくつかの半固形化の方法があるが、注入後胃での流動性の変化が起こるハイネイーゲル の特性に注目した。1 粘度が約 10mPa・s の液体であり、細い経鼻カテーテルでも使用でき るチューブ通過性。2 ペクチンを含有し、胃酸の影響で PH が低下するとゲル状に変化する。 3 吸収効率に配慮された大豆ペプチド、コラーゲンペプチドを使用した消化態栄養剤である。 4100Kcal あたり 110ml と水分含有が多い。当院では 2014 年 9 月より使用しているので使用経 験を報告する。 【方法】症例は 2014 月 9 月~ 2015 年 2 月の 3 症例(胃瘻 1 人、経鼻 2 人)。 【結果】症例 1 92 歳、女性、脳梗塞後遺症、食道裂肛ヘルニア急性期病院ではラコールを増 粘剤リフラノンで半固形化し経鼻より注入していた。当院転院後ハイネイーゲルに変更、注 入速度の調整をしながら逆流の予防に努め現在に至る。2 82 歳女性、ALS、胃瘻より半消 化態の経腸栄養剤をイリゲーター使用し注入していたが、食道へ逆流する。ハイネイーゲル に変更し逆流が改善され自宅に退院。在宅でも継続してハイネイーゲルを使用している。3 97 歳、女性、気管支肺炎、経鼻より注入していた。転院後逆流するためハイネイーゲルに変 更し逆流なく経過。在宅に向けて費用を削減するため栄養剤をエネーボに変更したが逆流す ることなく退院した。 【考察及び結論】ハイネイーゲルは胃内でゲル化することにより胃逆流を防止し誤嚥性肺炎の 発生を予防することができ、投与時間も短縮できるので、有用な栄養剤と考えられる。 - 49 - 症例報告 3 14 低栄養を伴った左下肢切断患者への栄養管理 ~在宅栄養管理にむけて の 1 症例~ 医療法人仁友会南松山病院 ○藤原恵里奈,堀田裕美,岡田佑吏,中居理恵,山﨑八重,藤山敏行,小林展章 【はじめに】この度、糖尿病、下肢動脈閉塞症に下肢壊疽性筋膜炎を合併し著名な低栄養状態 となった患者に対し、下肢切断術を施行後、胃瘻造設を行うことで、全身状態が改善した 1 症例を経験したので報告する。 【症例】75 歳、男性。身長 160.0cm、体重 48.4kg、BMI 18.9kg/m2。H27 年 1 月に某病院より 蜂窩織炎疑いにより当院へ紹介入院。皮膚の欠損、黒色、壊疽みられ下肢壊疽性筋膜炎と診 断され入院となった。 【現症】入院時検査所見(TP 5.6g/dl、ALB 1.9g/dl、BUN 33.6mg/dl、CRE 1.43mg/dl、CRP 9.54mg/dl、Hb 9.3g/dl)入院時より左下肢壊疽が悪化し、全身状態不良であったが入院 15 病 日目に左下肢切断を施行。入院時は、経口摂取可能であったが徐々に全身状態が不良となり 術後に呼吸状態悪化し、人工呼吸器管理施行。入院 24 病日目、人工呼吸器管理から離脱でき たが、嚥下障害が出現し、経口摂取困難な為栄養量の確保の検討を行った結果、家人より在 宅療養への意向が強く、入院 44 病日目胃瘻造設となった。在宅目的として半固形栄養剤 F2 ショット(900kcal、Pro 36g)を選択し、注入は安定した。家人による注入手技の訓練も行い つつ、ST による経口訓練を継続し、おたのしみ程度の経口摂取を目標にリハビリを行って いる。 【まとめ】低栄養で全身状態が不良な患者を手術する場合、術前の全身状態の改善を図る事が 重要である。多職種連携により栄養ルート、栄養組成の管理や嚥下訓練などを行う事で術後 の栄養状態は改善し在宅医療の希望につなげることができた。 - 50 - 症例報告 3 15 サービス付き高齢者住宅入居者への訪問看護介入により経口摂取可能 となった 1 症例 1 訪問看護ステーションシレーナ,2 医療法人社団田村クリニック 栄養科, 3 医療法人社団田村クリニック 医師 ○多口千晶 1,長尾明美 1,星野亜沙未 1,藤本りか 1,菊池里美 1,中村眞由美 1, 轟 博美 1,友岡俊子 2,田村美和 3,田村礼三 3 【目的】脱水や転倒を機に寝たきり状態となり、廃用症候群となる高齢者は少なくない。今回、 独居の方で自宅で脱水となり入院。その後経口摂取困難となり PEG 造設し施設入居。入居後 より訪問看護が介入し経口摂取が可能となった 1 例を報告する。 【症例】90 歳、女性。在宅独居で長年過ごしてきたが、平成 22 年 7 月脱水にて近医受診し入 院。入院中にトイレで転倒しそれ以降はベッド上から動かなくなり筋力低下。同年 9 月、急 性期病院に転院し精査するも骨折認められず。廃用症候群、認知症と診断され ED チューブ より経管栄養開始。昼食のみペースト食を少量ずつ摂取していたが進まず。ED チューブか ら 1280kcal の注入がメインであった。同年 10 月、当院転院し PEG 造設。メイバランス 1.5Z 900kcal 注入。理学療法にて積極的離床、認知機能向上訓練 口腔ケア 関節嚥下訓練を継続 して行った。経口摂取までには至らなかったが、車椅子数メートル自走可能となっていた。 その後サービス付き高齢者住宅に入居となり、入居時より訪問看護ステーションより看護師、 リハスタッフが介入となった。 【経過】入居直後より嚥下体操、口唇・頬部・口腔マッサージ、頸肩部リラクゼーション 口 腔ケアを開始する。随時口腔マッサージ時アイス棒使用し空嚥下を促していた。発声量も増 え、看護師とコミュニケーションがとれるようになった。日中の覚醒時間も長くなり離床時 間も延長され、流涎もなく発熱もみられないことより、直接訓練の検討を行った。誤嚥の疑 いがあれば直ちに中止との指示付きで氷片嚥下開始。その後プリン・ゼリー・豆腐・ペース ト食などお楽しみ程度であるが摂取可能となり、いまだ肺炎の発症は見られていない。 【考察】本症例より入院から在宅へ引き続く長期にわたる間接的嚥下訓練とリハビリテーショ ン、口腔ケアが重要であることがわかった。本例は、訪問看護師の介入により利用者が食べ る喜びに満足するとともに、家人が施設入所中にもかかわらず頻回に来訪し、親子団らんの 時間を持つことの喜びも見出すきっかけとなった。 - 51 - 共催セミナー ランチョンセミナー イブニングセミナー - 55 - - 56 - - 57 - 協賛企業一覧 【四国新薬会 36 社】 大日本住友製薬株式会社 旭化成ファーマ株式会社 大鵬薬品工業株式会社 アステラス製薬株式会社 武田薬品工業株式会社 アストラゼネカ株式会社 田辺三菱製薬株式会社 エーザイ株式会社 中外製薬株式会社 MSD 株式会社 株式会社ツムラ 大塚製薬株式会社 帝人ファーマ株式会社 小野薬品工業株式会社 鳥居薬品株式会社 科研製薬株式会社 日本イーライリリー株式会社 キッセイ薬品工業株式会社 日本化薬株式会社 杏林製薬株式会社 日本新薬株式会社 協和発酵キリン株式会社 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 グラクソ・スミスクライン株式会社 ノバルティス ファーマ株式会社 興和創薬株式会社 バイエル薬品株式会社 サノフィ株式会社 ファイザー株式会社 塩野義製薬株式会社 扶桑薬品工業株式会社 ゼリア新薬工業株式会社 Meiji Seika ファルマ株式会社 第一三共株式会社 持田製薬株式会社 大正富山医薬品株式会社 (五十音順) 医歯薬出版株式会社 株式会社トップ 株式会社インボディ・ジャパン ニプロ株式会社 株式会社大塚製薬工場 株式会社全日本病院出版会 キユーピー株式会社 ニュートリー株式会社 株式会社クリニコ 株式会社ジェイ・エム・エス ネスレ日本株式会社 ネスレ ヘルスサイエンス カンパニー 株式会社四国中検 ミヤリサン製薬株式会社 株式会社大一器械 株式会社明治 (五十音順) テルモ株式会社 平成 27 年 4 月 16 日現在 - 58 - MEMO 第 7 回日本静脈経腸栄養学会四国支部会学術集会 プログラム・抄録集 発 行 平成 27 年 5 月 編 集 第 7 回日本静脈経腸栄養学会四国支部会学術集会 医療法人社団和風会橋本病院 〒768-0103 香川県三豊市山本町財田西 902-1 TEL:0875-63-3311 FAX:0875-63-2651 印 刷 株式会社メッド 〒 701-0114 岡山県倉敷市松島 1075-3 TEL:086-463-5344 FAX:086-463-5345