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平成21年職員の給与等に関する報告(本文)(PDF:206KB)
報 告 本委員会は、静岡県の一般職に属する職員(市町村立学校職員給与負担法に規定す る職員を含み、単純な労務に雇用される職員及び地方公営企業法の適用を受ける職員 を除く。以下「職員」という。)の給与並びに民間企業従業員の給与、生計費その他 職員の給与等を決定する諸条件について調査を行い、その結果を取りまとめたので、 次のとおり報告する。 Ⅰ 1 職員の給与 給与勧告の基本的考え方 (1) 給与勧告の意義と役割 給与勧告は、公務員の労働基本権制約の代償措置として、社会一般の情勢に 適応した適正な職員の給与を確保する機能を有している。 そのため、本委員会は、地方公務員法に基づく中立的かつ専門的な機関とし て、民間給与との精確な比較を基に給与勧告を行っている。 こうした給与勧告が実施され、職員の適正な処遇を確保することは、人材の 確保や労使関係の安定に資するものであり、本県行政の円滑な運営を図る上で の基盤となっている。 (2) 民間準拠の考え方 公務員の給与は、民間企業と異なり、市場原理による水準の決定が困難であ ることから、労使交渉等によってその時々の経済・雇用情勢等を反映して決定 される地域の民間の給与に準拠して定めることが最も合理的であり、職員や県 民の理解を得られる方法であると考えられる。 そのため、本委員会は、職員の給与水準を民間企業従業員の給与水準と均衡 させる民間準拠の考え方に立ち、公民比較を基本に勧告を行っている。 民間給与との比較方法については、単純な給与の平均値によるのではなく、 公務員と民間企業従業員の同種・同等の者同士を公務員の職員構成を基にして 比較している。 1 また、比較に当たっては、民間企業従業員の給与をできる限り広く把握し、 公務員の給与に反映させることとしており、比較対象企業規模については、平 成18年からそれまで100人以上であったものを50人以上としている。 2 職員の給与の状況 本委員会が実施した「平成21年職員給与等実態調査」の結果によると、本年4 月における職員数は36,290人、平均年齢は43.2歳となっており、昨年4月に比 べて、行政職は234人減少している。全体では、県立3病院の地方独立行政法人 化や富士見学園の指定管理者制度導入などにより1,617人の減少となっている。 また、行政職給料表適用者の平均年齢は42.8歳、平均扶養親族数は1.1人、男女 別構成は男性71.7%、女性28.3%、学歴別構成は大学卒64.7%、短大卒4.6%、 高校卒30.0%、中学卒0.7%となっている。 適用給料表ごとの職員数 公安職 6,001人 16.5% 研究職 354人 1.0% 行政職 6,764人 18.6% 公安職 6,001人 16.5% 医療職(1) 医療職(2) 24人 454人 0.1% 1.3% 行政職 6,764人 18.6% 医療職(3) 109人 0.3% その他 1,054人 2.9% 高等学校等 教育職 6,366人 17.5% 教育職 22,471人 61.9% 中学校小学校 教育職 16,105人 44.4% 任期付研究員 6人 0.0% 外円:給料表別 内円:職種別 2 福祉職 107人 0.3% 職員全体の本年4月における平均給与月額は、給料383,348円(給料の調整額 及び教職調整額を含む。)、扶養手当9,994円、地域手当16,090円、管理職手当 5,011円、住居手当6,434円の計420,877円となっており、このうち、行政職給料 表適用者の平均給与月額は、給料358,044円(給料の調整額を含む。)、扶養手 当 10,741円 、 地 域 手 当 15,516円 、 管 理 職 手 当7,786円、 住 居 手 当7,176円 の 計 399,263円となっている。 3 (説明資料 1県職員給与関係資料 参照) 民間給与等の状況 本委員会は、職員の給与と民間給与との精確な比較を行うため、人事院及び都 道府県、政令指定都市等の人事委員会と共同して、企業規模50人以上で、かつ、 事業所規模50人以上である県内の1,603民間事業所のうちから、層化無作為抽出 した425事業所について「平成21年職種別民間給与実態調査」を実施した。調査 では、行政職と類似すると認められる民間の事務・技術関係22職種の約1万7千 人及び研究員、医師等56職種の約2千人について、本年4月分として個々の従業 員に実際に支払われた給与月額等を実地に調査した。 また、各民間企業における給与改定の状況や雇用調整の実施状況等について も、調査を実施した。 なお、本調査の調査完了率は、調査の重要性に対する民間事業所の理解を得 て、89.4%と極めて高いものとなっている。 その主な調査結果は、次のとおりである。 (説明資料 3 2民間給与関係資料 参照) (1) 本年の給与改定の状況 (初任給の状況) 新規学卒者の採用を行った事業所は、大学卒で30.3%(昨年32.8%)、高校 卒で25.1%(同27.0%)であり、そのうち初任給を据え置いた事業所は、大学 卒で82.7%(同51.9%)、高校卒で83.5%(同61.4%)と、昨年に比べ大幅に 増加している。 (給与改定の状況) ベースアップを実施した事業所の割合は、第1表のとおり、一般の従業員 (係員)については14.7%(昨年34.4%)、管理職(課長級)については10.0% (同26.5%)であり、ともに昨年に比べ大幅に減少している。 また、定期昇給を実施した事業所の割合は、第2表のとおり、一般の従業員 (係員)については71.8%(同88.3%)、管理職(課長級)については55.6% (同71.6%)である一方、定期昇給を停止又は減額した事業所の割合は、一般 の従業員(係員)については34.8%(同12.6%)、管理職(課長級)については 29.2%(同10.5%)と、昨年に比べ大幅に増加している。 調査対象事業所の企業規模別・産業別内訳 (単位:事業所) 規模計 3,000 人 以上 1,000 人 以上 3,000 人 未満 500 人 以上 1,000 人 未満 100 人 以上 500 人 未満 50 人 以上 100 人 未満 産業計 380 64 42 51 137 86 漁業、鉱業、採石 業、砂利採取業、 建設業 17 2 1 1 3 10 225 29 35 35 79 47 電気・ガス・熱供 給・水道業、情報 通信業、運輸業、 郵便業 70 20 2 6 24 18 卸売業、小売業 31 2 2 3 13 11 金融業、保険業、 不動産業、物品賃 貸業 15 6 1 2 6 0 教育、学習支援 業、医療、福祉、 サービス業 22 5 1 4 12 0 企業規模 教育、学習支援 業、医療、福祉、 サービス業 金融業、保険業、 不動産業、物品賃 貸業 15 22 産 漁業、鉱業、採 石業、砂利採取 業、建設業 17 卸売業、小売業 31 電気・ガス・熱 供給・水道業、 情報通信業、運 輸業、郵便業 70 業 製造業 計 380 製造業 225 4 第1表 民間における給与改定の状況 項 目 役職段階 係 ベースアップ 実施 ベースアップ 中止 ベースダウン ベースアップ の慣行なし 14.7 30.3 0.8 54.2 (34.4) (11.8) (0.8) (53.0) 10.0 27.4 0.3 62.3 (26.5) (10.7) (0.5) (62.3) 14.3 24.8 1.5 59.4 (29.3) (12.3) (0.6) (57.8) 12.3 22.8 1.6 63.3 (23.5) (12.6) (0.6) (63.3) 員 静岡県 課長級 係 全 員 国 課長級 (注)( 第2表 (単位:%) )内は、平成20年調査の結果である。(以下同じ。) 民間における定期昇給の実施状況 項 目 (単位:%) 定期昇給制度あり 定期昇給実施 役職段階 増 係 額 減 額 変化なし 定期昇 給停止 定期昇給 制度なし 82.5 71.8 12.5 24.1 35.2 10.7 17.5 (89.3) (88.3) (38.7) (11.6) (38.0) (1.0) (10.7) 65.6 55.6 10.6 19.2 25.8 10.0 34.4 (72.8) (71.6) (30.5) (9.3) (31.8) (1.2) (27.2) 81.8 70.3 17.4 17.6 35.3 11.5 18.2 (79.9) (75.8) (29.6) (8.2) (38.0) (4.1) (20.1) 71.2 60.3 14.0 15.3 31.0 10.9 28.8 (68.3) (64.3) (24.2) (7.1) (33.0) (4.0) (31.7) 員 静岡県 課長級 係 全 員 国 課長級 (注)ベースアップと定期昇給を分離することができない事業所を除いて集計した。 5 (2) 雇用調整の実施状況 民間事業所における雇用調整の実施状況については、第3表のとおり、平成21 年1月以降に雇用調整を実施した事業所の割合は65.3%であり、昨年(20.1%) を大幅に上回っている。主な雇用調整の措置内容としては、残業の規制(42.1 %)、採用の停止・抑制(37.2%)、一時帰休・休業(34.7%)、非正規社員の契 約更新の中止・解雇(32.3%)、賃金カット(22.4%)、部門の整理閉鎖・部門間 の配転(13.7%)の順となっている。 また、一時帰休・休業、ワークシェアリング、賃金カットのいずれかの措置を 実施している事業所の割合は43.2%で全国の24.8%を大きく上回っている。 さらに、本年4月分の給与について賃金カットを実施した事業所は、第4表のと おり、一般の従業員(係員)については5.5%、管理職(課長級)については20.8 %であり、当該事業所における平均減額率は、一般の従業員(係員)については 6.6%、管理職(課長級)については6.4%となっている。 このように、民間企業においては、人員の削減、部門の縮小、残業の抑制等様 々な取組を行いつつ、給与についても、多くの事業所において、ベースアップの 中止、定期昇給の停止や抑制、賃金カットなどの措置が昨年を大きく上回る形で 行われており、全国に比べてもその傾向が際立っている。 第3表 民間における雇用調整の実施状況 措 置 内 容 措 置 有 り 採用の停止・抑制 転籍出向 希望退職者の募集 正社員の解雇 部門の整理閉鎖・部門間の配転 業務の外部委託・一部職種の非正規社員への転換 非正規社員の契約更新の中止・解雇 残業の規制 一時帰休・休業 ワークシェアリング 賃金カット (注)1 2 (単位:%) 措 置 状 況 静岡県 全 国 65.3(20.1) 50.2(14.9) 37.2( 4.1) 24.1( 4.5) 9.0( 6.5) 3.2( 2.6) 8.6( 1.8) 5.2( 1.4) 4.6( 0.8) 3.4( 1.0) 13.7(10.9) 7.9( 6.1) 2.7( 5.1) 2.1( 3.1) 32.3 19.0 42.1( 5.5) 24.8( 3.6) 34.7( 0.0) 16.8( 0.2) 4.4 2.7 22.4( 0.7) 12.9( 1.0) 平成21年1月以降の実施状況である。複数回答であるため、内訳の合計は一致しない。 「一時帰休・休業」、「ワークシェアリング」、「賃金カット」のいずれかの措置を 実施している企業の割合は、静岡県が43.2%、全国が24.8%である。 6 第4表 民間における賃金カットの実施状況 (単位:%) 項 目 賃金カットを実施した事業所 役職段階 静岡県 全 国 係 賃金カットを実施した事業所 における平均減額率 員 5.5 6.6 課長級 20.8 6.4 係 員 課長級 4.6 11.1 6.5 7.3 (注)平成21年4月分の給与について、賃金カットを実施した事業所の状況である。 4 公民給与の比較 本年の公民給与の比較を行った結果は、次のとおりである。 (1) 月例給 (公民較差) 本委員会は、公務においては行政職、民間においては行政職と類似すると認 められる事務・技術関係職種の者について、主な給与決定要素である役職段階、 年齢、学歴を同じくする者同士の本年4月分の諸手当を含む給与額を対比させ、 精密に比較(ラスパイレス方式)を行った。その結果、第5表のとおり、職員 給与が民間給与を4,535円上回っている。 第5表 公民給与の較差 行 政 職 給 料 表 関 係 較差(A)−(B) (A)−(B) 民 間 給 与 (A) 398,117 円 職 員 給 与 (B) 402,652 円 (B) ×100 △4,535 ( △1.13 円 %) (注)上記の較差を算出するに当たっては、本年度採用された新規学卒者は含まれていない。 7 (諸手当の状況) 民間における家族手当の支給状況は、第6表のとおりであり、民間における 家族手当の支給月額は、配偶者については職員の扶養手当の現行支給を上回っ ているが、配偶者と子ども2人については下回っている。 また、民間における住宅手当の支給状況は、第7表のとおりであり、借家・ 借間居住者に対する住宅手当月額の最高支給額の中位階層は、職員の住居手当 の最高支給限度額よりやや低位である。 第6表 民間における家族手当の支給状況 支 扶養家族の構成 静 配 偶 者 配偶者と子1人 配偶者と子2人 (注)1 岡 14,252 19,804 24,885 給 月 県 額 全 円 円 円 国 14,757 20,816 26,199 円 円 円 家族手当の支給について配偶者の収入に対する制限がある事業所を対象とした。 2 職員の扶養手当の現行支給月額は、配偶者については13,000円、配偶者以外について は1人につき6,500円である。 なお、満16歳の年度初めから満22歳の年度末までの子がいる場合は、当該子1人に つき5,000円が加算される。 第7表−1 民間における住宅手当の支給状況 支 給 の 有 事 無 支 静 支 手当月額の最高支給額の中位階層 (注)1 所 県 割 合 全 国 50.7 49.3 27,000円以上 28,000円未満 30,000円以上 31,000円未満 給 借家・借間居住者に対する住宅 岡 業 56.8 43.2 給 非 (単位:%) 職員の住居手当の最高支給限度額は、30,000円である。 第7表−2 住宅手当を支給する事業所における自宅への支給状況(静岡県) (単位:%) 支 給 状 況 構成比 76.7 23.3 100.0 支給する 自宅に 支給しない 計 8 (2) 特別給 昨年8月から本年7月までの1年間において、民間事業所で支払われた特別 給は、第8表のとおり、所定内給与月額の4.15月分に相当しており、職員の 特別給の年間平均支給月数(4.50月)を0.35月分下回っている。 また、その配分状況は、第9表のとおり、課長級で55.8%(昨年57.0%)、 一般の従業員(係員)で45.3%(同46.2%)が職員の勤勉手当に相当する考課 査定分となっている。 第8表 民間における特別給の支給状況 区 項 分 目 平均所定内 岡 県 全 事務・技術 技能・労務 事務・技術 技能・労務 等 従 業 員 等 従 業 員 等 従 業 員 等 従 業 員 円 円 円 351,477 292,430 376,501 280,578 352,818 284,159 371,848 277,289 円 支 給 円 778,681 618,898 832,966 570,204 680,856 495,945 729,596 454,547 月分 下半期(B1/A1) 2 年 (注)1 間 2 上半期(B /A ) 支 給 割 合 の 平 円 2 上半期(B ) 特 別 給 の 円 1 下半期(B ) 額 円 2 上半期(A ) 特 別 給 の 国 1 下半期(A ) 給 与 月 額 静 均 月分 月分 月分 2.22 2.12 2.21 2.03 1.93 1.75 1.96 1.64 4.15 月分 4.17 月分 下半期とは平成20年8月から平成21年1月まで、上半期とは同年2月から7月までの 期間をいう。 2 年間の平均は、特別給の支給割合を職員の人員構成に合わせて求めたものである。 9 第9表 民間における冬季賞与の考課査定分の配分状況 項 5 員 考課査定分 一定率(額)分 考課査定分 44.2 55.8 54.7 45.3 500人以上 36.1 63.9 54.9 45.1 100人以上500人未満 50.4 49.6 56.9 43.1 50人以上100人未満 48.8 51.2 51.1 48.9 55.2 44.8 59.6 40.4 500人以上 49.4 50.6 60.7 39.3 100人以上500人未満 56.4 43.6 60.6 39.4 50人以上100人未満 56.0 44.0 57.6 42.4 計 全 国 係 一定率(額)分 計 静 岡 県 課長級 目 企業規模 (単位:%) 賃金、物価及び生計費 本県における本年4月の所定内給与 (注) は、「毎月勤労統計調査」(厚生労働 省)によると、パートタイム労働者を除く一般労働者では、昨年4月に比べ0.7 %の減少となっている。 総務省及び本県企画部政策推進局生活統計室の調査による本年4月の消費者物 価指数は、昨年4月に比べ、本県では0.3%の下落、全国では0.1%の下落となっ ている。 また、「家計調査」(総務省)における本年4月の勤労者世帯の消費支出は、静 岡市では304,062円であり、本委員会がこの家計調査を基礎に算定した本年4月 における静岡市の2人世帯、3人世帯及び4人世帯の標準生計費は、それぞれ 155,722円、184,166円及び212,610円となっている。さらに、「全国消費実態調 査」(総務省)を基礎に算定した同月における1人世帯の標準生計費は、 121,437円となっている。 (注)所定内給与とは、きまって支給する給与のうち、所定外給与(時間外手当、早朝 出勤手当、休日出勤手当、深夜手当等の所定の労働時間を超える労働や休日労働、 深夜労働に対して支給される給与)以外のものをいう。 (説明資料 10 3生計費関係資料 参照) Ⅱ 高齢期の雇用問題 雇用と年金の連携をめぐる動き 公的年金の支給開始年齢が60歳から65歳へと段階的に引き上げられることに伴 い、平成25年度以降、勤労者は60歳で定年退職しても年金が支給されず、年金支 給開始までの間に無収入となる期間が発生し、平成37年度には65歳まで年金の支 給は一切行われないこととなる。 人事院は、来るべき本格的な高齢社会において、公務能率を確保しながら65歳 まで職員の能力を十分活用していくためには、年金支給開始年齢の引上げに合わ せて現在60歳と定められている定年年齢を平成25年度から段階的に65歳まで延長 することが適当としている。 この条件を整えるため、総給与費の増大を抑制するための給与制度見直しや、 組織活力及び公務能率を高めるための人材活用方策などの諸課題について検討を 進めていくこととしている。 こうした国における定年延長に向けた検討を踏まえ、本県においても、組織 の活力を維持しつつ、雇用と年金の連携を図り、職員が高齢期の生活に不安を 覚えることなく、高い使命感・倫理観を保持し職務に専念できる環境整備に向 けて、人事管理や給与制度の見直しに早急に取り組む必要がある。 また、現在、年金制度の改正に併せ、公務内で働く意欲と能力のある定年退職 者の一部を再任用しているが、職員が定年退職後もその能力や経験を公務の内外 で発揮できるよう、再任用を含む就労の確保等に努める必要がある。 11 Ⅲ 人事院の給与等に関する報告及び勧告の概要 人事院は、本年8月11日、国会及び内閣に対して一般職の国家公務員の給与等 について報告・勧告を行った。それらの概要は「説明資料 5人事院勧告の概 要」のとおりであり、そのうち本年の給与等に関する報告及び勧告の概要は、次 のとおりである。 1 給与の改定 (1) 本年の給与の改定 ア 月例給の引下げ 俸給表については較差(△0.22%)の大きさ等を考慮し引下げ、初任給を 中心とした若年層及び医療職(一)を除き、すべての俸給月額について引下 げ、自宅に係る住居手当(新築・購入後5年に限り支給、月額2,500円)を廃 止する。 イ 期末・勤勉手当(ボーナス)の引下げ 民間の支給割合に見合うよう4.5月分を4.15月分に引き下げる。 (一般の職員の場合の支給月数) 6月期 12月期 21年度 期末手当 1.25月(支給済み) 1.5 月(現行1.6 月) 勤勉手当 0.7 月(支給済み) 0.7 月(現行0.75月) 22年度 期末手当 1.25月 1.5 月 以降 勤勉手当 0.7 月 0.7 月 ※ 本年5月の勧告に基づき、21年6月期における期末手当・勤勉手当の特 例措置により凍結した支給月数分(0.2月分)は引下げ分の一部に充当 ウ 期末手当の特例措置 本年4月からこの改定の実施の日の前日までの期間に係る較差相当分を年 間給与でみて解消するため、4月の給与に調整率△0.24%(注)を乗じて得 た額に4月から実施の日の属する月の前月までの月数を乗じて得た額と、6 月に支給された特別給の額に調整率△0.24%を乗じて得た額の合計額に相当 する額を、12月期の期末手当の額で減額調整する。(俸給月額の引下げ改定 のあった者に限る) (注)行政職(一)の職員全体の較差の合計額を引下げ改定が行われる俸給月 額を受ける職員の給与月額の合計額で除して得た率 12 エ その他の課題 (ア) 住居手当の見直し 借家・借間について、高額家賃を負担している職員の実情を踏まえた手 当の在り方について、引き続き検討を進める。 (イ) 単身赴任手当 単身赴任に伴う経済的負担の実情及び民間における同種手当の支給状況 を考慮して、その改善について検討する。 オ 超過勤務手当の支給割合の引上げ及び代替休の新設 月 60 時 間 を 超 え る 超 過 勤 務 ( 日 曜 日 又 は こ れ に 相 当 す る 日 の 勤 務 を 除 く。)に係る超過勤務手当の支給割合を100分の125から100分の150に引き上 げるとともに、当該支給割合と本来の支給割合との差額分の支給に代えて正 規の勤務時間においても勤務することを要しない日又は時間(代替休)を指 定することができる制度を新設する。 (2) 給与構造改革 2 ア 給与構造改革の進捗状況 平成18年度から5年間で、平均4.8%の俸給表の水準引下げを段階的に実施 する一方、これまで暫定的であった地域手当の支給割合及び本府省業務調整 手当の支給額が本来の支給割合及び支給額となることにより、当初予定して いた制度の見直しや新設がすべて実施されることとなる。 イ 地域別の民間給与と較差の状況 地域別の民間給与との較差と全国の較差との差は最大2.6ポイントで、改革 前(最大4.8ポイント)より減少した。 ウ 平成23年度以降の取組 給与構造改革として当初予定していた配分見直しや諸制度の導入・実施が 終了する平成22年度以降、勤務実績の給与への反映の推進、地域間給与配分 の見直し等について検証を行うとともに、高齢期の雇用問題に関連した給与 制度等の見直しを含めた様々な課題について、順次検討する。 高齢期の雇用問題 年金支給開始年齢の引上げに合わせて、公務能率を確保しながら65歳まで職員 の能力を活用し、平成25年度から、定年年齢を段階的に65歳まで延長する。平成 22年中を目途に立法措置のための意見の申出を行えるよう、給与制度の見直しや 組織活力を維持するための施策等の具体的な検討課題について検討する。 13 Ⅳ 国家公務員の育児休業等に関する法律の改正についての意見の申出 の概要等 人事院は、本年8月11日、国会及び内閣に対して国家公務員の育児休業等に関す る法律の改正についての意見の申出を行ったが、この要点は次のとおりである。 (「説明資料 6国家公務員の育児休業等に関する法律の改正についての意見の申 出の骨子」参照) 1 国家公務員の育児休業等に関する法律の改正についての意見の申出 (1) 育児休業等をすることができない職員の範囲の見直し 配偶者が育児休業法により育児休業をしている職員について、育児休業等を することができるようにすること。なお、配偶者が専業主婦(夫)で常態とし て子を養育できる職員についても同様とすること。 (2) 子の出生の日から一定期間内に最初の育児休業をした場合の特例 子の出生の日から人事院規則で定める期間内に、職員が当該子について最初 の育児休業をした場合は、当該子について再度の育児休業をすることができる ようにすること。 2 関連する人事院規則の改正 (1) 超過勤務の免除の制度の新設 3歳未満の子を養育する職員から請求があった場合には、超過勤務を免除す る。 (2) 介護のための短期の休暇制度の新設 日常生活を営むのに支障がある家族が1人の場合は年5日、2人以上の場合 は年10日休暇を取得できるようにする。 (3) 子の看護休暇の期間の拡充 現行年5日を、子1人の場合は年5日、2人以上の場合は年10日に拡充す る。 14 む Ⅰ 1 す び 給与について 本年の給与改定 (1) 改定の基本方針 本年4月時点で職員と民間企業従業員の給与を比較した結果、前記の報告で 示したとおり、職員給与が民間給与を4,535円(1.13%)上回っていることが 判明した。 これは、金融危機に端を発した世界経済の後退を背景に、県内企業の経営環 境が非常に厳しい状況にあり、従業員の給与についてもベースアップの中止、 昇給の停止や抑制、賃金カットなどの措置がとられたことが影響したものと考 えられる。 人事委員会の給与勧告は、職員の労働基本権が制約されていることの代償措 置として行うもので民間準拠を基本としており、公民給与の精確な比較により、 職員給与を社会一般の情勢に適応させ、適正な給与水準を維持・確保すること がその重要な機能となっている。こうした機能は、民間の給与水準が上がる場 合だけでなく、下がる場合も同様に働くべきものである。 本年については、職員給与が民間給与を大きく上回ることとなったが、本委 員会としては、人事院勧告の内容や本県の状況等も総合的に検討した結果、月 例給の引下げ改定を行うことが適切であると判断した。 月例給については、基本的な給与である給料表の給料月額について、国の改 定を考慮して改定することとし、地域の民間賃金の状況に応じて支給される地 域手当について、県内の支給割合を国の制度との均衡等を考慮し引き下げるこ ととした。また、給料表の給料月額に100分の100.9を乗じている給料の特例措 置について公民較差を考慮して見直すこととした。 なお、人事院が廃止を勧告した自宅に係る住居手当については、本県職員の 居住の実態等を考慮し据え置くこととした。 特別給についても、公務の年間支給月数(4.50月分)が民間の年間支給割合 (4.15月分)を上回っており、民間の特別給の支給割合に見合うよう0.35月分 15 引き下げる必要があると判断した。本年度については、6月期の特別給を凍結 していた分(0.2月分)を支給しないこととし、これを差し引いた残りの支給 月数分(0.15月分)を12月期の特別給から差し引くこととした。 以上のように、本年は月例給及び特別給について引下げ改定を行うこととし た結果、職員の平均年間給与は22万2千円(3.3%)の引下げとなる。 このほか、時間外勤務手当の支給割合等について、労働基準法の改正が平成 22年4月から施行されることを踏まえ、所要の改正を行うこととした。 (2) 改定すべき事項 ア 給料表 公民較差、国家公務員の俸給表の改定を考慮して改定を行うこととする。 (医療職給料表(1)、 任期付研究員給料表(若手育成型)を除く。) また、給料月額について、この改定が行われることを踏まえ、職員の給 与に関する条例の一部を改正する条例(平成18年3月24日静岡県条例第13 号)附則第7項から第9項まで、静岡県教職員の給与に関する条例の一部 を改正する条例(平成18年3月24日静岡県条例第14号)附則第7項から第 9項まで又は静岡県地方警察職員の給与に関する条例の一部を改正する条 例(平成18年3月24日静岡県条例第15号)附則第6項から第8項までの規 定による給料(経過措置額)の算定基礎となる額についても引き下げるこ ととし、その引下げ後の額は、当該算定基礎となる額に行政職給料表の引 下げ効果を生じさせるために必要な引下げ率(△0.18%)を考慮して定め た100分の99.82を乗じて得た額とする。 なお、再任用職員の給料月額についても、再任用職員以外の職員の給料 月額の改定に準じた改定を行う。 さらに、給料月額に一定の率を乗じる給料の特例措置について、乗じる 率を100分の100.9から100分の100.85に引き下げることとする。(医療職給 料表(1)を除く。) 16 イ 地域手当 国の制度を適用する場合との均衡及び職員の勤務状況、生活実態等を踏 まえ、県内に所在する公署に在勤する職員の支給割合を当分の間、一律3 %とする。県外に所在する公署に在勤する職員(医師等に係る地域手当の 特例措置を含む。)の支給割合は国の改定を踏まえて改定を行う。 ウ 期末手当及び勤勉手当 期末手当及び勤勉手当については、民間の特別給の支給割合との均衡を図 るため、支給月数を0.35月分引き下げ、4.15月分とする。本年度については 、 6月期における期末手当及び勤勉手当の特例措置により凍結した支給月数分 (0.2月分)を支給しないこととするとともに、引下げ月数から当該凍結分 に相当する月数(0.2月分)を減じた月数(0.15月分)を12月期の期末手当 及び勤勉手当から差し引くこととする。平成22年度以降については、本年の 公務の6月期の支給状況及び民間の特別給の支給状況等を参考に、国に準じ て6月期及び12月期における支給月数を定めることとする。 エ 時間外勤務手当の支給割合等 長時間労働を抑制し、労働者の健康を確保するとともに仕事と生活の調和 がとれた社会を実現することを目的として労働基準法が改正され、平成22年 4月から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率の引上げや引上げ分の支 給に代えて代替休を指定できる制度が導入されることから、労働基準法の一 部改正等を踏まえて必要な措置を講ずることとする。 (3) 改定の実施時期等 本年の給与改定は、職員の給与水準を引き下げる内容の改定であるため、こ の改定を実施するための条例の規定は、公民給与を均衡させるための所要の調 整措置を講じた上で、遡及することなく、条例公布の日の属する月の翌月の初 日(公布の日が月の初日であるときは、その日)から施行することとする。た だし、時間外勤務手当の支給割合等の改定については、平成22年4月1日から 17 施行するものとする。 なお、公民給与は4月時点で比較し均衡を図ることとしており、遡及改定を 行わない場合であっても、4月からこの改定の実施の日の前日までの期間に係 る公民較差相当分を解消させる観点から所要の調整を行うことが情勢適応の原 則にかなうものである。 このため本年4月からこの改定の実施の日の前日までの間の公民較差相当分 について、本年12月期の期末手当の額において、所要の調整措置を講ずること とする。(医療職給料表(1)適用者を除く。) (4) その他の課題 ア 住居手当 自宅に係る住居手当については、人事院勧告では廃止することとされた が、住宅手当を支給している県内民間事業所の7割以上で自宅居住者に支 給されていること、職員の異動実態や公舎等の整備状況、居住実態等が国 と県では異なることなどを考慮して本年度は据え置くこととし、来年度以 降、他の地方公共団体や民間企業の支給状況、職員の居住実態等を踏まえ て、支給のあり方について検討していくこととする。 イ 通勤手当 本委員会は、平成17年の勧告で「公共交通機関の利用促進や職員の実費負 担軽減の観点から、いわゆるパーク・アンド・ライド方式により通勤し、駅 周辺の有料駐車場等の料金を負担している職員に対する通勤手当の支給のあ り方等について、研究していく必要がある。」旨言及した。 その後、任命権者において調査研究したところ、職員が自動車等を使用す るか否かの判断にあたっては、個人的な事情や価値観の差異などの事情も影 響していることなどが明らかとなったが、任命権者の報告によれば、交通事 情等からやむを得ず自動車等での通勤を強いられている職員が存在するのも 事実である。 任命権者においては、勤務公署が通勤不便な地域にあるためやむを得ず 交通機関と自動車等を併用し、勤務公署の最寄り駅から自動車等へ乗り継 18 ぐために駐車場等を利用せざるを得ない職員に対する通勤手当の支給のあ り方について検討していく必要がある。 ウ 教員の給与 教員の給与については、国においてメリハリのある給与体系の実現に向 けて見直しが進められているところであり、本県においてもこうした状況 を踏まえ、引き続き見直しを図っていく必要がある。 また、平成21年3月にへき地教育振興法施行規則が改正され、へき地学 校等指定基準が見直されたことを踏まえ、へき地等学校の級地指定の見直 しを行うことが適当である。 2 給与構造改革の着実な推進 (給与構造改革の進捗状況) 本県では、地域の民間給与のより適切な職員の給与への反映、年功的な給与上 昇の抑制と職務・職責に応じた給与構造への転換、勤務成績の給与への反映の推 進などをねらいとして、平成18年度から給料表、諸手当制度全般にわたる抜本的 な給与構造改革を進めてきている。 この改革は、平成18年度から平成22年度までの5年間で段階的に実施すること としており、平成18年度に国家公務員に準じた給料表の見直し、地域手当の新設 及び勤務成績に基づく昇給制度の導入、平成19年度に管理職手当の定額化が実施 され、その後も勤務成績評価制度の試行等が各任命権者において進められるなど、 改革の着実な推進が図られているところである。 しかしながら、段階的に6%に引き上げることとしていた県内在勤者の地域手 当について、公民較差の状況等から4%に据え置く一方、民間給与の状況をより 適切に職員の給与に反映させるため、平成19年度から給料表の給料月額に100分 の100.9を乗じる給料の特例措置を講じてきた。 このような状況を踏まえ、本委員会は昨年度、本県民間企業の給与水準を的確 に職員の給与に反映させるため、給与水準の調整は給料で行うことを基本とする こととし、地域手当については、支給地域及び支給割合について国の制度を基本 19 に見直しを進めることや、県内一律支給を継続する場合であっても、支給割合に ついては国の制度を適用する場合との均衡を考慮することが適当である旨報告し たところである。 (地域手当の支給割合の改定) 平成22年度の給与構造改革の完成へ向け、地域手当のあり方を検討した結果、 県内一律支給とした本県の事情に特段大きな変化のないことから、当分の間、県 内に所在する公署に勤務する職員については一律支給を継続することとし、支 給割合については、国家公務員の取扱いに準じて職員に地域手当を支給した場 合との均衡を踏まえ、4%から3%に引き下げることとする。 なお、平成22年度以降の地域手当の支給割合は以下のとおりとする。 平成22年度以降の地域手当の級地別支給割合 級地 支給地域 支給割合 − 県内 3% 1級地 東京都特別区 18% 2級地 大阪市 15% (医師等に係る地域手当の特例措置を含む。) (給料の特例措置) 本県民間企業の給与水準を的確に職員の給与に反映させるため、給与水準の 調整は給料で行うことを基本に独自給料表の策定も視野に入れ、引き続き給料 の特例措置を講ずることとし、給料表の給料月額に乗じる率は、本年の公民較 差を考慮し、100分の100.85とする。(医療職給料表(1)については、100分の 100.9) (勤務成績の評価の給与への反映と適切な運用) 国家公務員については、平成19年6月に国家公務員法が改正され、能力、実績 に基づく新たな人事評価制度が導入された。 本県においても評価制度の試行などに取り組んでいるところであるが、公平・ 20 公正な評価制度の確立は職員を適切に処遇、登用していく上で極めて重要であり、 評価者の評価技能向上に向けた取組などを通じて的確な勤務実績の把握と評価を 確保する必要がある。 任命権者においては、より効率的で質の高い行政サービスの実現に向けて、職 員が意欲と誇りを持って働くことができるよう、公平・公正で客観性・納得性の 高い評価制度を構築し、評価結果の給与等への適切な反映を推進していくともに、 職員の能力を高めるための研修の充実など人材育成への活用を進めていく必要が ある。 21 職員の勤務条件等に関する諸課題 Ⅱ 1 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進 職員が、家庭生活や地域活動など自らの生活と職業生活を両立させ、使命感、 充実感を持って仕事に臨むことのできる環境を整備するワーク・ライフ・バラ ンスの推進は、少子高齢化に対応しつつ、優秀な人材を確保し、質の高い行政 を安定的・継続的に展開していく上で重要な課題である。 任命権者にあっては、今後とも職員のキャリア形成や能力開発の支援、休暇 休業制度や短時間勤務制度等の充実やその利用促進、男女が共に働きやすい職 場環境づくりなど仕事と生活の調和に向けた取組をより一層推進されるようお 願いする。 (1)育児休業、看護又は介護のための休暇制度の充実 先般、人事院は、民間労働者の育児休業法の改正を受けて、仕事と生活の 調和の推進の観点から育児休業制度の充実を図るよう国家公務員の育児休業 等に関する法律の改正についての意見の申出を行った。 本県においても、職員の育児休業制度改正に向けた準備を進めるとともに、 制度を活用しやすい環境の整備や職員の意識改革を進めていく必要がある。 あわせて、育児を行う職員の時間外勤務免除制度の新設や、看護や介護の ための休暇制度のさらなる充実について、国や他の都道府県の動向も参考に しながら検討していく必要がある。 (2)時間外勤務の縮減 恒常的な時間外勤務は、職員の心身の健康保持、職員の労働意欲や活力の 維持等に影響を及ぼすものであり、当委員会は従前からその削減の必要性を 強く指摘してきたが、依然として減少する傾向がみられない。 また、この10月から職員の勤務時間が短縮されているが、行政コストの増 加を招かないよう、より一層の時間外勤務の縮減が求められている。 任命権者においては、時間外勤務の縮減は、組織全体として喫緊に取り組 まなければならない課題として強く認識し、必要に応じて事業や組織の見直 22 し、適切な人員配置などに努めるとともに、管理職員が率先して業務執行の あり方を見直し、効率的な業務の執行を図るなど、職員一人ひとりが仕事の 進め方を点検し、業務改善に取り組む必要がある。 (3)心の健康管理(メンタルヘルス対策) 本県ではこれまで、職員に対するメンタルヘルス研修、定期的なメンタル ヘルス相談やストレス・カウンセリングの実施、早期発見、早期対応による 未然防止対策など、種々の取組を進めているが、依然としてメンタル疾患に よる長期療養者は増加傾向にある。 この問題が職員個人にとどまらず、組織全体に大きな影響を及ぼすもので あるとの認識の下、任命権者においては、引き続き調査、分析に努めるとと もに、メンタル疾患の要因ともなるパワーハラスメント、セクシュアルハラ スメント対策も含め、適切な対応に努める必要がある。 2 職員の士気高揚と公務員倫理の徹底 県民本位で生産性の高い行政を展開していくためには、意欲と能力のある多 様な人材の確保、育成、登用に努めるとともに、職員が高い使命感、倫理観を持 って、その能力を十分発揮し、互いに協力し、組織として最大限の成果を達成で きる環境を整備していく必要がある。 (1)活気あふれる職場環境づくり 本県は、組織の統廃合、事務の集中化などを通じて職員数を削減してきた が、その一方、新規採用が抑制され、職位構成が上位の職に偏ってきており、 県民ニーズの複雑、多様化とあいまって、職員の負担感が増しているとの声 もある。 任命権者においては、こうした現状を踏まえ、職務、職責に応じた適切な 処遇を図るための制度の見直しを行うなど、職員が意欲を持って生き生きと 働くことができる職場環境づくりに取り組み、職員の士気高揚とさらなる行 政の生産性の向上を図っていく必要がある。 23 (2)コンプライアンス(法令遵守)の徹底 コンプライアンスについては、その仕組みを整えるだけでなく、職員の意 識改革と継続的な取組を徹底することが重要である。 全国各地で公務員の不祥事が発生しており、公務員に対する不信や批判が 高まっている中で、今後とも職員一人ひとりが全体の奉仕者として高い使命 感、倫理観を持って行動するよう倫理意識を高めていく必要がある。 3 臨時及び非常勤の職員の処遇 臨時及び非常勤の職員の勤務条件については、任命権者において、職務、職責 や勤務形態等に応じ、職員や民間企業従業員との均衡等を考慮して定められてい る。 短時間勤務制度や任期付職員制度の導入など職員の勤務形態が多様化している 中にあって、職務内容や責任の度合い、勤務形態等に応じて適切に処遇するとい う観点から、様々な形態で任用されている臨時及び非常勤の職員の勤務条件や任 用のあり方について研究を進める必要がある。 特に臨時的任用教育職員については、教員とほぼ同様の業務に従事している ことから、業務に伴う責任の程度、勤務形態等を踏まえ、その処遇や職設置の あり方について検討していく必要がある。 24