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飲料容器 - 環境省

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飲料容器 - 環境省
リユース可能な飲料容器およびマイカップ・マイボトルの使用に係る
環境負荷分析について
循環型社会の構築には3R(リデュース、リユース、リサイクル)に係る施策の総合的な推進が
不可欠です。これらの施策のうち、リサイクルについては各種リサイクル法の施行等に基づき着実
に推進してきましたが、
今後はより一層のリデュース、
リユースの推進をしていく必要があります。
近年、飲食店やイベント会場等で使い捨て飲料容器を使わない取組が着実に広がりをみせるとと
もに、さらに一歩進んで、個人がマイボトルやマイカップ(自分の水筒、タンブラー、コップ、ジ
ョッキ等)を持参した場合にも飲料等のサービスを提供する動きも出てきています。
環境省では、こうした取り組みを促進するため、このたび、リユース可能な飲料容器(リユース
びん)の使用とマイカップ・マイボトルの使用に係る環境負荷分析を実施しました。その結果、
・リユースびんの使用に係る環境負荷分析では、リターナブルシナリオの方がワンウェイシナリオ
より、域内循環の方が広域循環より CO2 排出量が小さいこと
・マイカップ(タンブラー)を 100 回使用した場合の1回使用あたりの CO2 排出量はプラカップ、
紙カップに比べて低いこと
・ステンレス水筒(真空構造)
、アルミ製水筒(1層構造)を 100 回使用した場合の1回使用あたり
の CO2 排出量は PET ボトルに比べて低いこと
等が明らかとなりました。
1
1.リユース可能な飲料容器(リユースびん)の使用に係る環境負荷分析
飲食店におけるガラスびんのリユース事例(首都圏内でのガラスびんの循環利用)に基づき、リ
ユース可能な飲料容器の使用に係る環境負荷分析(CO2 排出量)を実施した。比較対象としてワン
ウェイ飲料容器の環境負荷分析も併せて実施した。
表 1 調査対象
名称
ガラスびん
(アート 300)
容量
300ml
重量
備考
315g
首都圏内でのガラスびんの循環利用。居酒
屋チェーン店で日本酒(独自ブランド)の
提供に使用されているガラスびん。重量は
実測。
システム境界については、平成 14~16 年度に環境省が実施した調査「容器包装ライフ・サイク
ルアセスメントに係る調査事業報告書」
(以下、
「平成 14~16 年度環境省調査」という。
)を参考に、
飲料の製造工程・充填工程・消費工程を除く全工程を対象とし、図 1、図2の通り設定した。
2
回収率
ボトラーカレット率
再使用率
平均回転数
外部販売カレット
92.0%
1.9%
90.1%
10.1
6.6g
市中カレット
外部(購入)カレット
18.3g
回収びん
P箱
289.8g
128.6g
12.5g
ボトラーカレット
5.9g
充填済みびん
9.1g 4
1
新びん
31.1g
けい砂採掘
国内ソーダ灰製造比率 30%
2
0.8g
国内ソーダ灰
製造
5
新びん
製造
10
洗びん
びん
618.0 11
充填
消費(店舗)
3
海外ソーダ灰
製造
12
289.8g
びん回収
市中カレット
市中カレット
廃ラベル
8.0%
25.20g
1.8g
92.0%
315.00g
工場カレット
10.62g
13
25.20g
14
事業者
事業者
資源ごみ収集
選別・
異物除去
二次廃棄物
0.8g
6
ャッ
3.00g
2.4g
0.2g
5.3g
キ
キャップ製造
石灰石
長石
19.1g
15
カレット業者
19.9g 選別異物除去
16
最終処分
プ
・
中
栓
7
中栓製造
(キャップライナー)
3
0.00g
(凡例)対象
対象外
3.00g
100.0% 17
廃棄物収集
3.00g
8
ラベル製造
18
3.00g
0.00g
9
外装材製造
本体
外装材
びん
キャップ
P箱
重量(g)
材質
315.0 ガラス
3.0 PS
1,600
P箱
4.77g
容器総重量
318.0
300.0
618.0
内容量
充填後重量
19
最終処分
中間処理
12 本/箱
図 1 リユース可能な飲料容器の使用に係る環境負荷分析のシステム境界
3.00g
外部販売カレット
52.7g
市中カレット
185.9g
外部(購入)カレット
185.9g
充填済みびん
92.6g
1
4
けい砂採掘
ソーダ灰国産比率 30%
2
7.8g
国内ソーダ灰
製造
618.0 11
10
5
新びん
315.0g
充填※
洗びん
びん
消費
(店舗)
0.0%
市中カレット
廃ラベル
100.0%
海外ソーダ灰
製造
事業者
事業者
資源ごみ
収集
工場カレット
107.7g
選別・
異物除去
238.6g
15
カレット業者
選別・
248.85g
異物除去
二次廃棄物
ャッ
キ
6
キャップ製造
3.00g
石灰石
長石
315.00g 14
13
315.00g
3
びん回収
市中カレット
新びん
製造
18.2g
1
0.00g
315.00g
24.5g
2.1g
7
10.2g
66.2g 16
最終処分
プ
・
中
栓
中栓製造
4
(キャップライナー)
0.00g
8
(凡例)対象
対象外
3.00g
18
100.0% 17
ラベル製造
3.00g
3.00g
0.00g
9
外装材製造
25.83g
本体
びん
キャップ
重量(g)
材質
315.0 ガラス
3.0 PS
外装材
段ボール
310
容器総重量
内容量
充填後重量
318.0 g
300.0 ml
618.0 g
12 本/箱
図 2 ワンウェイ飲料容器の使用に係る環境負荷分析のシステム境界
19
中間処理
廃棄物収集
最終処分
3.00g
(1)評価シナリオの設定
リユース容器として利用した場合とワンウェイ容器として利用した場合の環境負荷を比
較するため、表2に示す評価シナリオを設定した。
表 2 評価シナリオ(R びん)
シナリオ
内容
①
首都圏リターナブル
②
首都圏ワンウェイ
③
広域リターナブル
④
広域ワンウェイ
・
・
・
・
飲料の充填、飲食店内での消費、びん回収、洗びんが首都
圏内で実施されるとしたシナリオ
飲料の充填、飲食店内での消費が首都圏内で実施されると
したシナリオ
飲料の充填、洗びんは首都圏内の工場で実施され、飲食店
内での消費は広域的に実施されるとしたシナリオ
飲料の充填は首都圏内の工場で実施され、飲食店内での消
費は広域的に実施されるとしたシナリオ
関係事業間の輸送距離については、ガラスびんリユース事例における関係事業者の立地
状況を踏まえ、表 3
の通り設定した。
表 3 評価対象事例での関係事業間の設定距離
区間
距離(km)
A→B
びん製造~ボトラー
500
B→C
ボトラー~配送拠点
40
C⇔D
配送拠点~店舗
C→E
配送拠点~回収業者拠点
E→F
回収業者拠点~洗びん
F→B
洗びん~ボトラー
首都圏: 50
広域 :150
首都圏: 15
広域 : 75
首都圏: 10
広域 : 75
35
また回収率、再使用率、平均回転数については、リユース事例における関係事業者への
ヒアリング調査に基づき表 4 の通り設定した。
項目
回収率
再使用率
平均回転回数
平均耐用回数
表 4 ガラスびん回収率等の設定値
備考
92.0%
使用した容器が洗びん工程に向かう割合
90.1%
容器の使用重量から新びん投入量を除いた値
10.1回
耐用回数を上限として回収率から算出
20.0回
ヒアリングを基に設定した容器の使用回数の上限値
5
(2)LCI データの収集
評価シナリオに基づく環境負荷分析に必要な LCI データを収集した。
表 5 容器別・工程別のデータ入手先(ガラスびん)
工程
資源採取~原料製造
容器製造
輸送(資源採取~
ボトラーまで)
洗浄・再充填
分別収集
回収
リサイクル
処理・処分
データ入手先
平成 14~16 年度環境省調査のデータを活用
平成 14~16 年度環境省調査のデータを活用
平成 14~16 年度環境省調査のデータを活用、輸送距離について
はヒアリング調査を実施。
平成 14~16 年度環境省調査のデータを参考に関連事業者への
ヒアリング調査を実施。
平成 14~16 年度環境省調査のデータを参考に関連事業者への
ヒアリング調査を実施。
平成 14~16 年度環境省調査のデータを参考に関連事業者への
ヒアリング調査を実施。
平成 14~16 年度環境省調査のデータを活用。
平成 14~16 年度環境省調査のデータを活用。
※
平成 14~16 年度環境省調査:「容器包装ライフ・サイクルアセスメントに係る調査事業報告書」
(3)環境負荷分析の実施結果
(1)で設定した4つの評価シナリオについて環境負荷分析を実施した結果を以下に示
す。リサイクルによる代替効果については、平成 14~16 年度環境省調査を踏まえ、外部へ
のカレット販売によって新びん製造時のバージン原材料の採掘・製造を代替するものと仮
定した。
kg-CO2
NET数
0.35
洗びん
外装材
0.3
0.276
0.260
0.25
輸送合計
最終処分
0.2
不燃ごみ中間処理
カレット業者
0.15
中間処理
0.1
0.086
廃棄
0.051
0.05
付属品
0
-0.05
-0.1
リサイクル
広域リターナブル
首都圏リターナブル
(清酒Rびん
(清酒Rびん
広域ワンウェイ
首都圏ワンウェイ
300mL)
300mL)
(清酒ワンウェイびん
(清酒ワンウェイびん
300mL)
300mL)
びん原料採掘~
新びん製造
リサイクルによる代替効果
図 3 300ml ガラスびんの各工程 CO2 排出量(単位 kg)
6
広域リターナブルシナリオと広域ワンウェイシナリオでは、1本あたりの CO2 排出量は
それぞれ 86g、276g であった。また首都圏リターナブルシナリオと首都圏ワンウェイシナ
リオでは、1本あたりの CO2 排出量はそれぞれ 51g、260g であった。
リターナブルシナリオの方がワンウェイシナリオより、域内循環の方が広域循環より
CO2 排出量が小さいことが示唆される。
2.マイカップ・マイボトルの使用に係る環境負荷分析
近年、飲食店等では、消費者が持参した容器を用いて飲料を販売すること(マイカップ)
や使い捨て容器を再利用可能な容器に変更する(リユース容器)などの取組が行われてい
る。また水筒(マイボトル)についても、利用者が増加していることが各種アンケート調
査で示されており、その売上も 2006 年以降急激に伸びている。消費者の環境意識や節約意
識等からこうした取組が拡大していると考えられるが、マイカップ・マイボトルの使用に
係る環境負荷を定量的に分析した事例は少ない。
本調査では、こうした状況を踏まえ、マイカップ・マイボトルの利用拡大に資するため、
マイカップ・マイボトルの使用に係る環境負荷分析を実施した。
2.1 飲食店におけるマイカップ(タンブラー)の利用
飲食店等で使用されている代表的な容器の飲食店での使用に伴う環境負荷を比較するた
め、表6にタンブラー、紙カップ、プラカップを調査対象とした。
またシステム境界については、飲料の製造工程・充填工程・販売工程・消費工程を除く
全工程を対象とし、図4、図5、図6の通り設定した。
容器種類
容量
タンブラー
350ml
紙カップ
350ml
プラカップ
350ml
表 6 調査対象容器
重量
主な素材
備考
リターナ
本体:AS 樹脂、
本体重量は実測値の平均
234.7g
ブル
蓋:PP 樹脂
本体:紙、
ワンウェイ
本体重量は実測値の平均
15.3g
蓋:PP 樹脂
本体・蓋:
PS 樹脂
本体重量は実測値の平均
ワンウェイ
13.8g
ストロー:
PP 樹脂
7
回収率
再使用率
平均回転数
100.0%
99.0%
100.0
※
13
洗浄
(消費者)
232.4g
1
2
本体
原料製造
本体
原料調達
2.1g
3
2.1g
5
6
タンブラー
製造
タンブラー
小売
2.3g
新タンブラー
7
8
234.7g
充填
(店舗)
0.3g
10
1.0%
2.3g
4
フタ
原料調達
99.0%
232.4g
9
消費
すすぎ
自治体
廃棄物収集
※※
11
焼却処理
2.3g
フタ
原料製造
12
0.3g
最終処分
0.0g
8
(凡例) 評価対象
本体
蓋
重量(g)
材質
205.2 AS樹脂
29.5 PP樹脂
容器総重量
内容量
充填後重量
234.7 g
350.0 ml
584.7 g
評価対象外
※ 消費者が洗浄後、店舗に持参して利用することを想定
※※ 使用済みとなった容器は消費者が自治体収集に排出することを想定
図 4 タンブラーの利用に係る環境負荷分析のシステム境界
回収率
再使用率
平均回転数
100.0%
0.0%
0.0回
15.3g
1
2
5
森林管理
チップ製造
原紙製造
紙カップ
製造
31.10
13.36
11.80
11
12
消費
カップ 100.0%
事業系
15.3g
廃棄物収集
充填
(店舗)
2.33
3
LDPE樹脂
製造
1.01
4
6
インキ製造
古紙パルプ
製造
0.24
2.25
7
可燃ごみ
焼却処理
0.41
8
焼却灰
最終処分
0.00
9
10
9
樹脂原料採掘~
PP樹脂製造
フタ製造
(射出成型)
3.50
3.50
(凡例) 評価対象
本体
本体
蓋
重量(g)
材質
11.8 紙
3.5 PP樹脂
評価対象外
容器総重量
内容量
充填後重量
13
15.3 g
350.0 ml
365.3 g
図 5 紙カップの利用に係る環境負荷分析のシステム境界
15
14
焼却処理
15.3g
最終処分
0.8g
回収率
再使用率
平均回転数
100.0%
0.0%
0.0回
店頭
1
2
カップ原料
資源採取
カップ原料
製造
11.3g
5
フタ原料
資源採取
12
11.3g
100.0%
14.4g
事業系
廃棄物収集
充填
(店舗)
6
フタ製造
2.5g
2.5g
7
8
10
ストロー原料
資源採取
9
ストロー原料
製造
0.6g
ストロー製造
0.6g
0.6g
(凡例) 評価対象
付属品
カップ製造
フタ原料
製造
2.5g
11
消費
11.3g
4
本体
10
3
本体
蓋
ストロー
評価対象外
重量(g)
材質
11.3 PS樹脂
2.5 PS樹脂
容器総重量
内容量
充填後重量
13.8 g
350.0 ml
363.8 g
0.6 PP樹脂
図 6 プラカップの利用に係る環境負荷分析のシステム境界
14
15
焼却処理
14.4g
最終処分
0.0g
(1)評価シナリオの設定
評価シナリオの概略を下表に示す。
表 7 評価シナリオの内容
シナリオ
内容
・
①
タンブラー
②
紙カップ
③
プラカップ
・
・
飲食店からの持ち帰り消費を前提として、タンブラーの1回使用
あたりの環境負荷を評価(タンブラーを 100 回使用した場合の1
回あたりの環境負荷を想定)。
飲食店内での消費を前提として、ホット飲料に利用する容器とし
て紙カップ1回使用あたりの環境負荷を評価。
飲食店内での消費を前提として、アイス飲料に利用する容器とし
てプラカップ1回使用あたりの環境負荷を評価。
※飲料の製造は評価対象としない。
評価シナリオの設定項目と設定の考え方は、下表のとおり。
表 8 評価シナリオの設定項目と設定の考え方
設定項目
設定の考え方
回収率(使用回数)
店舗内での洗浄
廃棄物の処理ルート
ヒアリング調査及び京都大学環境保全センター他「京都大学マ
イボトル・モニター実験報告書」(2009)をもとに設定。
ヒアリング調査及び京都大学環境保全センター他「京都大学マ
イボトル・モニター実験報告書」(2009)をもとに設定。
ヒアリング調査をもとに設定。
(2)LCI データの収集
評価シナリオに基づく環境負荷分析に必要な LCI データを下表のとおり収集した。
表 9 容器別・工程別のデータ入手先(タンブラー)
工程
データ入手先
(社)プラスチック処理促進協会「石油化学製品のLCIデータ調
査報告書」
(1999)
(JLCA-LCAデータベース 2004 年度 2 版
資源採取~原料製造
上)における素材別の業界データに基づき設定。なお、AS 樹脂に
ついては、カーボンフットプリント制度試行事業 CO2 換算データ
ベース(暫定版)ver.2.0 の AS 樹脂を使用。
JLCA-LCAデータベース 2004 年度 2 版上の業界データおよ
容器製造
び事業者へのヒアリング調査に基づき設定。
輸送(資源採取~小売) 平成 14~16 年度環境省調査※のデータに基づき設定。
京都大学環境保全センター他「京都大学マイボトル・モニター実験
洗浄
報告書」(2009)のデータを引用。
収集
平成 14~16 年度環境省調査のデータに基づき設定。
処理・処分
平成 14~16 年度環境省調査のデータに基づき設定。
※
平成 14~16 年度環境省調査:「容器包装ライフ・サイクルアセスメントに係る調査事業報告書」
11
表 10 容器別・工程別のデータ入手先(紙カップ)
工程
データ入手先
印刷工業会「紙カップ LCA」2006 年度報告書を引用。
印刷工業会「紙カップ LCA」2006 年度報告書を引用。なお、蓋の
成形加工の方法としては、シート成形(押出成形)と真空成形が一
般的であるが、データが得られなかったため、射出成形のデータで
代替。
印刷工業会「紙カップ LCA」2006 年度報告書および
輸送(資源採取~小売)
平成 14~16 年度環境省調査のデータに基づき設定。
収集
平成 14~16 年度環境省調査のデータに基づき設定。
処理・処分
平成 14~16 年度環境省調査のデータに基づき設定。
資源採取~原料製造
容器製造
表 11 容器別・工程別のデータ入手先(プラカップ)
工程
データ入手先
資源採取~原料製造
(社)プラスチック処理促進協会「石油化学製品のLCIデータ調
査報告書」
(1999)
(JLCA-LCAデータベース 2004 年度 2 版
上)における素材別の業界データに基づき設定。
容器製造
JLCA-LCAデータベース 2004 年度 2 版上の業界データおよ
び事業者へのヒアリング調査に基づき設定。なお、蓋の成形加工の
方法としては、シート成形(押出成形)と真空成形が一般的である
が、データが得られなかっため、射出成形のデータで代替。
輸送(資源採取~小売) 平成 14~16 年度環境省調査のデータに基づき設定。
分別収集
平成 14~16 年度環境省調査のデータに基づき設定。
処理・処分
平成 14~16 年度環境省調査のデータに基づき設定。
(3)環境負荷分析の結果
タンブラーを 100 回使用した場合の 1 回使用あたりの CO2 排出量について、プラカップ、
紙カップと比較した結果を図7に示す。使用後の廃棄工程については、いずれも単純焼却
を行っていると想定した。
kg-CO2
0.09
0.0181 kg-CO2 0.0785kg-CO2 0.0374 kg-CO2
洗浄
0.002
0.08
0.07
輸送
0.06
0.045
0.05
廃棄
0.002
0.04
0.03
0.02
0.01
0.00
0.015
0.006
0.001
0.008
0.0004
0.006
0.024
0.014
0.008
タンブラー(350ml)100回使用
付属品製造
プラカップ(350ml)
原料採掘~
容器製造
紙カップ(350ml)
図 7 タンブラー、プラカップ、紙カップの CO2 排出量の比較
12
タンブラー、プラカップ、紙カップの CO2 排出量はそれぞれ 18.1g、78.5g、37.4g であ
り、タンブラーの CO2 排出量が最も低い結果となった。
2.2 水筒(マイボトル)の利用
水筒(マイボトル)の製造事業者へのヒアリング調査に基づき、代表的な商品であるス
テンレス製水筒(真空構造)、アルミ製水筒(一層構造)を対象として環境負荷分析(機能
単位:500ml の飲料提供)を実施した。また比較対象として同容量のペットボトルを調査
対象とした。
表 12 調査対象容器
容器種類
容量
ステンレス製水筒(真空構造)
500ml
アルミ製水筒(1層構造)
600ml
ペットボトル
500ml
※アルミ製水筒は、容器容量 600ml の製品データであることから、環境
負荷分析にあたっては、500ml の飲料提供という機能単位とするため、
比例換算を行った。
ステンレス製水筒(真空構造)、アルミ製水筒(一層構造)とペットボトルの素材構成は
以下の通り。
表 13 ステンレス製水筒(真空構造)の素材構成
重量(g)
材質
183.0 ステンレス
本体
74.0
キャップ
ポリプロピレン(PP)
データ出所:実測値
表 14 アルミ製水筒(1 層構造)の素材構成
重量(g)
93.5
本体
12.6
キャップ
材質
アルミニウム
ポリプロピレン(PP)
データ出所:実測値
表 15 ペットボトルの素材構成
重量(g)
本体
材質
ポリエチレンテレフタレ
33.86
ート(PET)
データ出所:PET ボトル協議会「PET ボトルの LCI 分析調査報告書」(2006)
マイボトルの利用に係る環境負荷分析のシステム境界を以下に示す。飲料の製造工程・充
填工程・販売工程・消費工程を除く全工程を対象とした。水筒は 100 回利用することとし、
使用済みとなった後の廃棄工程については、5政令指定都市及び1一部事務組合への電話
ヒアリング調査に基づき、金属部分を直接埋立、プラスチック部分を焼却処理すると想定
した。
13
回収率
再使用率
平均回転数
100.0%
99.0%
100.0回
10
洗浄
(消費者)
254.4g
99.0%
254.4g
1
2.6g
2
本体
原料製造
1.8g
3
4
5
小売
水筒製造
6
家
庭
か
ら
排
出
1.8g
0.7g
1.0%
不燃ごみ収集
2.6g
フタ製造
0.7g
評価対象外
14
重量(g) 材質
183.0 ステンレス
74.0 PP
257
8
不燃ごみ
中間処理
焼却
2.6g
0.7g
9
最終処分
1.8g
(凡例) 評価対象
本体
フタ
合計
7
自治体
消費
4
フタ
原料製造
繰
返
し
利
用
容器総重量
内容量
充填後重量
257.0 g
500.0 ml
757.0 g
図 8 ステンレス製水筒(真空構造)のシステム境界
回収率
再使用率
平均回転数
100.0%
99.0%
100.0回
12
洗浄
(消費者)
87.53g
99.0%
87.53g
1
2
3
本体
原料製造
新地金製造
0.78g
水筒製造
0.78g
7
小売
8
消費
家
庭
か
ら
排
出
0.78g
5
4
フタ
原料製造
0.11g
15
600ml実データ
重量(g)
本体
フタ
合計
6
自治体
1.0% 不燃ごみ収集
0.88g
フタ製造
9
10
不燃ごみ
中間処理
焼却処理
0.88g
0.11g
11
最終処分
0.78g
0.11g
(凡例) 評価対象
材質
93.5 アルミ
12.6 PP
106.1
500ml換算値
重量(g)
材質
本体
77.9 アルミ
フタ
10.5 PP
合計
88.4
繰
返
し
利
用
容器総重量
内容量
充填後重量
評価対象外
88.4 g
500.0 ml
588.4 g
図 9 アルミ製水筒(1 層構造)のシステム境界
(1)LCI データの収集
環境負荷分析に必要なデータを下表の通り収集した。
表 16 容器別・工程別のデータ入手先(ステンレス製水筒(真空構造))
工程
資源採取~原料製造
容器製造
輸送(資源採取~小売)
洗浄
収集
処理・処分
※
※※
データ入手先
JLCA-LCAデータベース 2004 年度 2 版上のステンレス
鋼データ及び平成 14~16 年度環境省調査におけるスチール
缶製造データに基づき設定。
容器メーカーへのヒアリング調査※および京都府立大学山川
研究室の研究成果※※に基づきデータを設定。
平成 14~16 年度環境省調査のデータに基づき設定。
京都大学環境保全センター他「京都大学マイボトル・モニタ
ー実験報告書」(2009)のデータを引用。
平成 14~16 年度環境省調査におけるデータに基づき設定。
平成 14~16 年度環境省調査におけるデータに基づき設定。
大手3社から提供された数値のうち、極端に数値の異なる1社を除く2社の平均値を採用した。
京都府立大学山川研究室の研究成果では、魔法瓶製造に係る電力消費量および生産本数に基づき魔法
瓶製造に係る原単位を算出している。
表 17 容器別・工程別のデータ入手先(アルミ製水筒(一層構造))
工程
資源採取~原料製造
容器製造
輸送(資源採取~小売)
洗浄
収集
処理・処分
データ入手先
平成 14~16 年度環境省調査におけるアルミ缶製造データに
基づき設定。
平成 14~16 年度環境省調査におけるアルミ缶製造データに
基づき設定。
平成 14~16 年度環境省調査のデータに基づき設定。
京都大学環境保全センター他「京都大学マイボトル・モニタ
ー実験報告書」(2009)のデータを引用。
平成 14~16 年度環境省調査におけるアルミ缶製造データに
基づき設定。
平成 14~16 年度環境省調査におけるアルミ缶製造データに
基づき設定。
表 18 容器別・工程別のデータ入手先(PET ボトル)
工程
資源採取~原料製造
容器製造
輸送(資源採取~小売)
分別収集
処理・処分
データ入手先
PET ボトル協議会「PET ボトルの LCI
(2006)のデータを引用。
PET ボトル協議会「PET ボトルの LCI
(2006)のデータを引用。
PET ボトル協議会「PET ボトルの LCI
(2006)のデータを引用。
PET ボトル協議会「PET ボトルの LCI
(2006)のデータを引用。
PET ボトル協議会「PET ボトルの LCI
(2006)のデータを引用。
16
分析調査報告書」
分析調査報告書」
分析調査報告書」
分析調査報告書」
分析調査報告書」
(2)マイボトル(水筒)の利用に関する環境負荷分析結果
ステンレス製水筒(真空構造)、アルミ製水筒(1層構造)を 100 回使用した場合の 1 回
使用あたりの CO2 排出量はそれぞれ 13.90g、10.68g であった。
比較対象であるペットボトルの CO2 排出量は、PET ボトル協議会が実施した「PET ボト
ルの LCI 分析調査報告書」の「耐熱用 500ml 業界平均値(回収率 62.3%)」の評価結果に
よると、119g であった。
kg-CO2
0.160
NET数
0.140
119g
0.031
0.120
洗浄
輸送
0.100
廃棄
0.080
0.060
0.119
0.110
付属品製造
0.040
0.020
13.90g
10.68g
原料採掘~
容器製造
0.000
リサイクルによる代替効果
(0.022)
(0.020)ステンレス製水筒 アルミ製水筒
(0.040)
廃棄・リサイクル
(真空構造)
(1層構造)
ペットボトル
(参考)
kg-CO2
0.016
洗浄
13.90g
0.014
0.012
0.001
0.000
0.002
輸送
10.68g
0.001
0.0002
0.0004
0.010
0.008
0.006
廃棄・リサイクル
0.011
0.010
0.004
0.002
0.000
廃棄
付属品製造
原料採掘~
容器製造
水筒
ステンレス製水筒
(ステンレス真空)
(真空構造)
水筒(アルミ1層)
アルミ製水筒
(1層構造)
図 10 マイボトルの利用に係る環境負荷分析の結果
17
水筒の使用回数を変化させた場合の環境負荷量の変化を下図に示す。500ml の飲料提供
に係る CO2 排出量についてワンウェイボトルであるペットボトルと比較した場合、水筒(ス
テンレス真空構造)で 12 回程度の使用、水筒(アルミ一層構造)で 10 回程度の使用で水
筒の方が小さくなった。
1.500
水筒(ステンレス真空構造)
PET(500ml)
温室効果ガス排出量[㎏-CO]
1.250
水筒(アルミニウム)
1.000
0.750
0.500
0.250
0.000
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
使用回数[回]
図 11 水筒の使用回数と環境負荷との関係
以上
18
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