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ポリカーボネート 樹 じ 脂
けんじゅう は っ ぽ う 拳 銃発 砲事件や立てこもり事件など ているため、その後ろにいる人間に与 が起こったとき、警察官が身を守るた える殺傷力を弱める働きをします。 たて め盾 を持って現場を取り囲んでいる姿 ポリカーボネート樹脂製の盾は銃弾 を、テレビや映画で見た方は多いこと をめり込ませるのではなく、ポリカー でしょう。最近、この盾の材質が変わっ ボネート樹脂の持つ弾 力性を利用して てきたことにお気づきになりません 銃弾を跳 ね返すことにより、その後ろ か? にいる人間を守ります。 以前の盾は、アルミニウム合金の一 ポリカーボネート樹脂は警察の盾だ 種であるジュラルミン製のものがほと けではなく、操縦席や運転席を除く飛 んどでした。ところが、最近ではポリ 行機や新幹線の窓、ヘルメットのシー は ちょっとためになる化学の話 カーボネートという合成樹 脂(プラス ルドなどにも使用されています(操縦席 チック)で作られた、透明な盾が多く や運転席は特別な強度が求められるため、 なってきています。樹脂製と聞くと、す 強化ガラスと樹脂を何枚か張り合わせた ぐに割れてしまい、人間の身を本当に 積層ガラスが使われています) 。ポリカー 守れるのだろうかと思われる方も多い ボネート樹脂は同じ大きさならガラス と思いますが、実はジュラルミン製の と比べ重量は半分、耐 衝 撃性は 200 倍 盾より高性能なのです。 近くあり、特に飛行機では燃料消費の し じ ゅ し だんりょくせい じ ゅ 警察官の盾がプラスチック製に変わってきました ポリカーボネート樹脂 01 ポリカーボネート樹脂製の盾はジュ 低減と窓ガラスの破損が原因となる事 ラルミン製の盾と比べ、軽い、周りが 故の低減に大きく寄与しています。 見やすい、防弾性が高いなどの利点が また、飛行機は飛んでいるうちに空 あります。 気中を漂っているチリやゴミ、砂などの た い しょうげき せ い ただよ かた ジュラルミン製の盾は、硬 いジュラ じゅうだん 影響で窓に細かい傷が付き、外が見え ルミンの板に銃 弾がめり込むときに、 にくくなりますが、ポリカーボネート 銃弾が持っているエネルギーの大半を 樹脂製の窓は、厚さが安全基準値の範 かんつう はん い けん ま 使わせることにより銃弾を貫 通させな 囲 内であれば、表面を研 磨 して新品同 い、あるいは貫通しても速度が弱まっ 様の状態にすることができるので、部 ひん ど 品交換の頻度を減らすこともできます。 ちなみに、ほとんどの航空会社では、 ファーストクラスの窓は少しの傷でも すぐに研磨しますが、エコノミークラ スは外が見えにくくなるまで研磨しま まどみが せん。窓 磨きの料金も航空運賃に含ま れているのでしょうか。 (平成 20 年 4 月) 2