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緑のカーテン(成長の記録)
2009.12.11 「花と緑の部会」平成21年度事業 緑のカーテン(成長の記録) 1 目的 豊かな住環境を目標に、温暖化対策にもなる「緑のカーテン」を育て、ふじみ野市 内に普及させる活動を行う。 2 設置場所 ふじみ野市本庁舎B棟南側 3 実施時期 平成21年5月~10月 4 緑のカーテンの内容 ① 植栽の内容 : 隼人ウリ、あさがお、ゴーヤ、風船かずら、へちま ② 植栽の方法 : 露地植え ③ ネット : 幅約 20m、高さ約 10m(ポリエチレン製きゅうりネット) 5 諸経費 苗、種 : 9.500 円 散水用ホース、ネット等資材 : 15.000 円 肥料、大工さん手間賃については提供を受けた。 6 担当者 ふじみ野市協働事業「花と緑豊かな快適な環境づくり部会」 部会長:市川孝治 担当:鈴木啓太郎、藤島光男 部員:小坂二三夫、栂野俊治、藤井暉司、山崎藤子 (文京学院大)神津賢太郎、大堀希、高橋孟子 環境課:桜井課長補佐、小林主任 7 経過 3/24:プランターにゴーヤ、あさがおの種まき(気温が 9~15℃と低く発芽せず) 4/8 :プランターにゴーヤ、あさがお、風船かずらの種まき(気温 20℃) 1 4月末発芽。ゴーヤ1本、あさがおと風船かずら 10 本以上。 5/16:隼人ウリの種(実)と、ゴーヤ、あさがお、風船かずらの苗植付け。 ゴーヤは市販の苗を購入した。 腐葉土、牛糞、トンネル支柱、寒冷紗の提供を受けた。 5/18:へちまの種をまく(直播き)。 5/26:へちま発芽。 5/31:B棟南側壁面にネットを敷設した。(きゅうり用ネット、補強用ロープ) 高所作業は大工職の佐藤さんに依頼した。 7/6 :埼玉県環境科学国際センターの三輪様、島田様の指導を受けた。 7/14:同上センターから提供を受けた百葉箱(温度センサー)を6か所設置した。 8/21:環境科学国際センターの三輪様に来ていただき、サーモグラフィーカメラに て「緑のカーテン」と壁面の撮影をしてもらった。 8 月:ゴーヤ収穫。 10/3:環境フェアに参加し、「緑のカーテン」の成長の様子を写真にて報告した。 同時に「緑のカーテン」コンテストを実施し、一般家庭から 14 件、企業か ら 1 件、学校、公共施設から3件の応募があった。 10/27:「緑のカーテン」の解体作業を行った。隼人ウリ約 50 個、へちま約 20 本の 収穫があった。回収した植物はネットとの分離が難しいので焼却処分とした。 11/26:環境科学国際センターへ百葉箱(温度センサー)を返却した。 ※育成の苦労 土作り、施肥について:素人集団で手探りの作業が続いた。苗床はもう少し時間 をかけて土作りをしたらよかった。 肥料は牛糞系、化成肥料、油粕、馬糞系を使ったが、使 用量、頻度は手探りでやや過剰感あり。 夏季の水やりは当番制でしっかりとできた。 育成の管理について :2mくらいまでは成長の方向を誘導できるが、それ以上 高くなると成り行き任せであり、上部では隣り合わせど うしが交錯してしまった。 心配した害虫の被害は発生しなかった。 ※広報活動について :環境フェアで育成状況を写真パネルでPRした。また、 市のホームページで、6月8日「緑のカーテンスタート」 、 8月7日「温度計設置」、9月15日「緑のコンテスト 写真募集」と状況報告を行った(環境課)。 8 「緑のカーテン」の効果 ✧気温の変化を測定した 「緑のカーテン」によってどの程度気温の変化(低下)が出るのかを検証した。 直接日差しの当たる場所(ブランク)と、「緑のカーテン」の日蔭との気温の差を 8月13日(晴)の実績で示すと最大で 1.6~2.6℃が確認された。 2 左図が当日の気温、右図が植物の日蔭になってでた気温の差である。 日の出と共に気温に差が出始め、13 時にピークとなっている様子がわかる。 植物による気温差のバラツキは、葉の形、大きさ、厚み、茂り具合等で変わって くるのでグラフの順序は必ずしもその優劣を表したものではない。 しかし、今回の実験で得た知見では、隼人ウリは日光の遮断力があり、ゴーヤは 木洩日を得られる等それぞれ特徴があり、どんなタイプの「緑のかーテン」にす るかによって植物の選定をする目安になる。 ✧地球温暖化につながるか 「緑のかーテン」は日差しを和らげ、周りの気温を下げる効果があるので、この 日陰になる部屋の室温と体感温度は下がり、エアコンの使用は抑制される。 そして、次のサーモグラフィーの項で述べる建物壁に熱を蓄積させない効果と併 せて〝省エネ効果とヒートアイランド緩和効果〞につながることが期待される。 残念ながら、今回の実験ではこれらを定量的に実証する環境が整わずきちんと検 証はできていない。 [参考]*省エネルギー・省資源対策推進会議資料より 28℃設定で冷房を1日1時間短縮した場合 : 年間で電気 18.78kwh の省エネ(原油換算 4.73L)、約 410 円の節約 冷房設定温度を 27℃から 28℃にした場合: 年間で電気 30.24kwh の省エネ(原油換算 7.62L)、約 670 円の節約 ✧定性的効果 遮光と冷却効果が得られる 森林セラピー効果(体感温度の低下)がある 心理的癒し効果がある(目に優しい、穏やかな気分になれると感じる) 植物を育てる楽しみが得られる 3 サーモグラフィーカメラによる温度分布測定 8月21日(金)14~15 時、天候:うす曇り、気温:30℃ 46.0 ℃ 43.2 40.3 37.5 34.7 31.8 29.0 26.2 23.3 サーモグラフィーカメラで撮影した温度分布図です。 写真左部の隼人うりの表面温度が青~緑(29~32℃)であるのに対し、建物表面温度は黄 緑~オレンジ(35~38℃)でその差がはっきりと出ている。測定時の気温が 30℃であるの に建物の温度が 35~38℃と高いのは熱が蓄積されている為で、これは次のデータでも確 認される。 9月10日(木)天候:晴 左図で気温は 15 時がピークで 27.9℃ですが、右図で建物壁の温度は 11 時がピークで 36℃まで上昇しているのがわかる。 この時期 12 時を過ぎるとB棟の壁は日陰になるので、気温は 15 時まで上昇を続けるが 建物壁の温度は 12 時から下降する様子がわかる。 一方、もともと植物の陰になっているところは、建物が日陰になってもほとんど変化し ていないことがわかる。 4 9 5種類のつる性植物の特性 ✽隼人ウリ 原産地は熱帯アメリカ。別名、千成ウリ。約90年前鹿児島に導入された。 種まきは晩霜のおそれがなくなった頃、西洋ナシ位の果実をそのまま土に埋め込む。 葉は厚みがあり大きく、茂ると遮光効果が大きい。やや涼しくなる9月中旬から白 い花が咲き結実も早く、一株で数十個の実がなる。粕漬け等食用になる。 ✽あさがお 沢山の種類があるが、ヘブンリーブルーなどの西洋あさがおがつるがよく伸びるの で、緑のカーテンには向いている。リュウキュウアサガオも有力品種である。 5月上旬に種まきをするとよい。植付けは本葉 3~4 枚の頃行う。追肥は窒素分の 少ない液肥を週一回程度やる。 ✽ニガウリ(ゴーヤ) 熱帯アジア原産の野菜で「ツルレイシ」ともいい、沖縄ではゴーヤとよばれる。 土作りは植付けの2週間前に石灰による中和をし、1週間前に堆肥、有機配合肥料 を施しておくとよい。 高温発芽性植物なので適温(25~30℃)を確保して種まきをする。植付けも地温が十 分に上がる5月上旬に行う。早ければ 50 日位で果実が収穫できる。窒素肥料が多 いとつるばかり伸びる「つるボケ」を起こす。緑のカーテンにはこの方がいいかも しれないが果実の収穫も捨てがたい。品種も多い。 ✽風船かずら 広く熱帯に産す、つる性の1年草。風船状の果実を観賞するため栽培される。 7月頃白い花を咲かせる。種は白いハート形模様がある。 ✽へちま 種まきは5月に直播きする。7~8 月に黄色の花が咲き、9~10 月に果実がとれる。 へちまの若い果実は食用になる。また、へちま水を取ったり、へちまたわしを作っ たりする。 葉は大きく育つが密集性はあまりない。つるの伸びは良く、かなりの高さまで成長 する。 今回の緑のカーテンの試みは、上記植物の特性を十分に把握しないまま走りだした感が あり、特に土作り無しでいきなりの苗植付けであった。肥料の知識も無い。 また、今回それぞれの植物の種の採取はしたが最近言われるところの「F1」、いわゆ る雑種一代の問題も考えておく必要があり、市販品でバックアップすることを常に考え ておく必要がある。 5 10 緑のカーテン成長の記録 (1) 苗の植付け(5月16日(土)) 6 (2) ネットの設置(5月31日(日)) 7 (3) 植付け20日経過(6月7日(日)) ニガウリ(ゴーヤ) 風船かずら へちま 50㎝(10 本) 隼人ウリ 10㎝(10 本) 朝顔 5㎝(10 本) 珍 30㎝(12 本) 10㎝(9 本) 客(セグロセキレイ?) 追肥として、油かす、馬ふん肥料を施す。これで成長が促進されるはず。 また、そろそろ雑草が目立つようになったので、草取りも大事な作業になりそう。 水やりは 5 月 16 日以降一週間交代で担当していますが、梅雨入りが近いせいか 半分くらいは雨模様でやや日照不足の感あり。 8 (4)植付け31日経過(6月16日(火)) ニガウリ(ゴーヤ)100㎝(10 本) 風船かずら へちま 隼人ウリ 15㎝(10 本) 朝顔 40㎝(12 本) 15㎝(9 本) 10㎝(10 本) (5)2回目の追肥(6月23日(火)) しばらく梅雨の雨が続いたが本日は久々の晴天となったので、2回目の追肥を 行った。 9 (6)植付け40日経過(6月25日(木)) ニガウリ(ゴーヤ) 風船かずら ヘチマ 180 ㎝(10 本) 50 ㎝(8 本) 13 ㎝(10 本) 風船かずら2本が枯れた。 (7)植付け60日経過(7月15日(水)) 10 隼人ウリ 80 ㎝(12 本) あさがお 80 ㎝(9 本) ニガウリ(ゴーヤ) 風船かずら ヘチマ 4.0m 1.7m 隼人ウリ 3.0m あさがお 2.7m 0.8m 7月13日に3回目の追肥(馬糞系)を行った。この肥料これで終了。 (8)植付け70日経過、百葉箱設置(7月25日(土)) 11 ニガウリ(ゴーヤ) 5m 風船かずら 3m へちま 隼人ウリ 3.5m あさがお 2.5m 4m 基準温度計 緑のカーテンによる気温の変化を植物の種類ごとに確認するために、それぞれの 植物の裏部分に温度計(おんどとり)を百葉箱に入れて設置した。 本日、化成肥料の追肥を行った。 ゴーヤの実が8本確認された。1本収穫。 (9)植付け80日経過(8月4日(火)) 12 ニガウリ(ゴーヤ) 風船かずら へちま 6m 隼人ウリ 3.5m あさがお 4m 4.5m 3.5m 8月に入ったのに梅雨模様の天候が続いている。全国的にも野菜類の生育不良が伝え られている。 (10)植付け90日経過(8月14日(金)) 13 ニガウリ(ゴーヤ) 風船かずら へちま 7m 隼人ウリ 4m あさがお 4.5m 5m 5m 全体図 ここ一週間やっと夏の日差しになって来た。ニガウリは下方部より葉が枯れ始めた。 (11)植付け100日経過(8月24日(月)) 14 ニガウリ(ゴーヤ) 風船かずら へちま 8m 隼人ウリ 4.5m 6.5m あさがお 7m 6m 全体図 ニガウリの下半分は葉が枯れてきたが、日照時間の回復とともに全体的に伸びが増加し ている。21 日に環境科学国際センター三輪研究員によりサーモグラフィ測定を行った。 (12)植付け110日経過(9月3日(木)) 15 ニガウリ(ゴーヤ) 風船かずら へちま 8.5m 隼人ウリ 5m あさがお 8m 6m 7.5m へちまは実が 50 ㎝と成長しているが、茎は蛇行して上部への伸びが遅れている。ニガ ウリは上部の緑は保たれており、茎の伸びも進んでいる。 (13)植付け120日経過(9月13日(日)) 16 ニガウリ(ゴーヤ) 隼人ウリ 風船かずら 8.5m(屋上まで到達) 8.5m(屋上まで到達) 5m 17 あさがお 6m へちま 8m ニガウリ(ゴーヤ)の葉が枯れてきてカーテン効果がなくなってきている。 (14)植付け130日経過(9月23日(水)) 18 ニガウリ(ゴーヤ) 隼人ウリ 風船かずら あさがお へちま 隼人ウリの雌花 ニガウリは新芽が出てきました。へちまは 10 本くらいの実が 40~50 センチに成長して います。隼人ウリは気温が下がってきたのでようやく花が咲き始めました。 (15)植付け159日経過(10月22日(木)) 19 ニガウリ(ゴーヤ) 隼人ウリ 隼人ウリ あさがお 風船かずら へちま (16)植付け164日経過(10月27日(火)) 20 5ヶ月半にわたる「緑のカーテン」の実験が終わった。8月にゴーヤを 20 本以上収穫 したが、今日隼人ウリ 50 個、へちま 22 本を収穫した。 21 緑のカーテン成長の記録(m) ゴーヤ 隼人ウリ 風船かずら あさがお へちま 0日 0.1 0 0.1 0.1 0 22日 0.5 0.3 0.1 0.1 0.05 31日 1 0.4 0.2 0.2 0.1 40日 1.8 0.8 0.5 0.8 0.2 60日 4 3 1.7 2.7 0.8 70日 5 3.5 3 4 2.5 80日 6 4 3.5 4.5 3.5 90日 7 5 4 5 5 100日 8 6.5 4.5 6 7 110日 9 8 5 6 7.5 120日 9 9 5 6 8 130日 9 9 5 6 8 22 百葉箱「おんどとり」で測定した1時間ごとの気温の変化 23 24 温度データ 2009.8.13(晴)1時間毎の温度変化 ブランク(気温、湿度) 隼人ウリ ニガウリ あさがお 風船かずら へちま 0 26.2 82 26.3 26.4 26.6 26.4 26.4 1 26.1 83 26.3 26.4 26.5 26.4 26.4 2 25 80 25.5 25.4 25.7 25.3 25.1 3 24.1 81 24.6 24.4 24.8 24.4 24.2 4 23.8 81 24.1 24.2 24.4 24.1 23.9 5 23.3 86 23.9 23.8 24 23.7 23.4 6 23.7 85 23.8 23.7 24 23.7 23.6 7 24.1 83 24 24 24.3 24 24 8 25.8 79 25.1 25.4 25.6 25.1 25.2 9 27.6 72 26.3 26.9 27.4 26.8 27 10 29.4 68 28 28.7 29.4 28.5 28.6 11 32.6 57 30.5 31.7 31.7 31.3 31.6 12 33.5 54 31.2 32 32.5 32 32.2 13 34.6 51 32 32.3 32.9 32.5 33 14 33 56 31.2 31.3 32 31.8 32 15 33.3 56 31.5 31.5 32 31.9 32.4 16 33.2 56 31.7 31.6 32.1 32.1 32.6 17 32.7 61 31.7 31.5 32 32.1 32.6 18 32.2 63 31.4 31.3 31.6 31.7 32.1 19 31 72 30.7 30.6 30.7 30.8 31.1 20 30.3 74 30.1 30.1 30.1 30.1 30.3 21 29.4 78 29.4 29.4 29.5 29.5 29.6 22 29.2 77 29.1 29.1 29.1 29.1 29.2 25 23 28.9 79 28.8 28.8 28.9 28.8 28.9 2009.9.10(晴)市庁舎B棟壁の温度変化 建物壁温度 ブランク 隼人ウリ ブランクとの温度差 へちま 隼人ウリ へちま 8時 24.5 22.5 22.8 8時 2 1.7 9時 33 25 28 9時 8 5 10時 35.8 25.9 28.9 10時 9.9 6.9 11時 36 27 29 11時 9 7 12時 35 27.3 29 12時 7.7 6 13時 33 27.3 28.9 13時 5.7 4.1 14時 32.5 27.3 28.8 14時 5.2 3.7 「緑のカーテン」の感想 A氏: B氏: C氏: D氏: E氏: F氏: G氏: H氏: 26 I氏: J氏: K氏: L氏: 27