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月の潮汐力
月の潮汐力 9月 27 日は中秋の名月、翌 28 日はスーパームーンの満月と、9 月は美しい月が見ら れる機会続き でした。地球に 一番近い天体・ 月は、地球の自 然現象に様々 な力を及ぼし ています。よく 耳にするとこ ろでは潮汐力があります。これは、月の公転によって満ち潮と引き潮が起こることです。 上の図のように、月の方を向いている地点は海面が月の引力に引っ張られて満ち潮となり、 正反対の側も遠心力で満ち潮になります。地球は一日一回転するので、満潮・干潮が 2 回 起きます。また月と同じ方向に太陽があるとき(新月の日)は太陽の引力も合わさって潮 の干満の差が大きい「大潮」になり、月の反対側に太陽があるとき(満月の日)は太陽の 引力が逆方向にはたらくため「小潮」になります。台風の接近と満潮が重なると高潮の被 害が大きくなり、大潮の日ですとさらに心配です。また、月の引力の作用は地殻変動にも 影響を及ぼし、火山の噴火や地震との関連もあるといわれています。 このように、月と地球は互いの引力で引っ張り合っているため、月が地球の自転を遅ら せ、地球が月の公転を遅らせる働きをしています。月は 1 年に3㎝程度地球から遠ざかっ ています。大昔、月は地球にもっと近かったため、地球の一日は短く、5億年ぐらい前は 1年が約 400 日(1日が約 22 時間)であったと推測されています。これから先、一日が 長くなり、一年の日数が減っていくのでしょうか。暦は宇宙の摂理に左右されるわけです。 いっぽうでは、月の潮汐力が地球の回転軸(自転軸)の傾きを安定させ、地球の気候が 激しく変化するのを防いでいるため、多くの生物が生きていける環境を整えているという ことも分かっています。月なくしては考えられない私たちの生活なのです。 私たちは大きな宇宙の摂理の中で生かされてきたとうとい命をもった存在です。自然の 恵みがあってこそ命を育んだり、あるいは不幸にも自然の力にのみこまれてしまったりと いうことを、歴史の中で繰り返してきました。子供たちが自然の事象について関心をもち、 熱心にかかわり、学んでいくことが、将来において災害を防ぐことや命を守ることにつな がっていくことと考えます。 校長 天王寺康裕