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プレスリリース 車載用リチウムイオン電池世界市場に関する調査を実施

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プレスリリース 車載用リチウムイオン電池世界市場に関する調査を実施
2016 年 10 月 17 日
プレスリリース
車載用リチウムイオン電池世界市場に関する調査を実施(2016 年)
【調査要綱】
矢野経済研究所では、次の調査要綱にて車載用リチウムイオン電池世界市場の調査を実施した。
1.調査期間:2016 年 5 月~8 月
2.調査対象:自動車メーカー(日本、欧州、米国、韓国)、車載用リチウムイオン電池メーカー(日本、韓国、中
国)
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリング、ならびに文献調査併用
<車載用リチウムイオン電池とは>
本調査における車載用リチウムイオン電池とは、xEV(48V マイルド HEV、ストロング HEV、PHEV、EV)に搭載
されるリチウムイオン二次電池(Lithium-ion Battery 以下、LiB)を指す。また、乗用車に搭載される LiB を対象と
するが、中国の電気バス(PHEV 及び EV)に搭載される LiB を含む。
【調査結果サマリー】
‹ 2015 年の車載用 LiB 世界市場は 27,853MWh、2016 年は 39,349MWh の見込
2015 年の車載用リチウムイオン電池(LiB)世界市場(搭載された xEV 生産ベース)は、前年比 210.1%
の 27,853MWh と大きく伸長した。深刻な環境汚染問題の改善を図る各国政府の積極的な EV 普及政策
を受け、中国を中心に PHEV と EV の販売が急拡大したことが車載用 LiB 市場の成長に大きく貢献して
いる。2016 年においても同様の傾向は続いており、2016 年の車載用 LiB 世界市場(同ベース)は、前年
比 141.3%の 39,349MWh と見込む。
‹ 各国政府の普及政策を受け、PHEV 及び EV の販売が急拡大したことが市場を牽引
2015 年の車載用 LiB 世界市場(搭載された xEV 生産ベース)を xEV タイプ別でみると、EV 向けが
24,112MWh(構成比 86.6%)、PHEV 向けが 3,303MWh(同 11.9%)、HEV 向けが 438MWh(同 1.6%)と、
EV 及び PHEV 向けが車載用 LiB 世界市場全体の 98.5%を占めた。EV 向けは、各国政府の積極的な
EV 普及政策が追い風となり、また、特に中国においては、100~300kWh の大容量 LiB パックを用いる
電気バスの販売が拡大したことが市場を牽引している。PHEV 向けは中国における PHEV 販売が好調
だったことに加え、複数の欧州自動車メーカーを中心に新車の販売が相次ぎ、PHEV 市場の伸びに比
例して PHEV 用 LiB 市場も高い成長率で推移した。
‹ 2020 年の車載用 LiB 世界市場は 155,430MWh に拡大すると予測
各国の環境規制が厳しくなる中で、自動車メーカー各社は xEV 新車の市場投入を相次いで計画して
いる。また、xEV 市場拡大を牽引している各国政府の xEV 向け補助金や優遇政策が 2020 年まで継続
することや、米国のカリフォルニア州のように xEV の販売義務比率を徐々に高めている地域があることな
どから、xEV 市場は 2016 年以降も安定成長し、2020 年における車載用 LiB 世界市場(搭載された xEV
生産ベース)は、155,430MWh に拡大すると予測する。
◆ 資料体裁
資料名:「2016 年版 車載用リチウムイオン電池市場の現状と将来展望」
発刊日:2016 年 9 月 27 日
体 裁:A4 判 244 頁
定 価:180,000 円(税別)
‹ 株式会社 矢野経済研究所
所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝
設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/
本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/)
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。
Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd.
2016 年 10 月 17 日
プレスリリース
【 調査結果の概要 】
1. 市場概況
2015 年の車載用リチウムイオン電池(Lithium-ion Battery 以下、LiB)世界市場(搭載された xEV 生
産ベース)は、前年比 210.1%の 27,853MWh と大きく伸長した。深刻な環境汚染問題の改善を図る各国
政府の積極的な EV(Electric Vehicle 以下、EV)普及政策を受け、また、中国を中心に PHEV(Plug-in
Hybrid Electric Vehicle 以下、PHEV)と EV の販売が急拡大したことが車載用 LiB 市場の成長に大きく
貢献している。
2015 年の車載用 LiB 世界市場を xEV タイプ別でみると、EV 向けが 24,112MWh(構成比 86.6%)、
PHEV 向けが 3,303MWh(同 11.9%)、HEV(Hybrid Electric Vehicle 以下、HEV)向けが 438MWh(同
1.6%)と、EV 及び PHEV 向けが車載用 LiB 市場全体の 98.5%を占めた。EV 向けは、各国政府の積極
的な EV 普及政策が追い風となり、また、特に中国においては、100~300kWh の大容量 LiB パックを用
いる電気バスの販売が拡大したことが市場を牽引している。PHEV 向けは中国における PHEV 販売が好
調だったことに加え、複数の欧州自動車メーカーを中心に新車の販売が相次ぎ、PHEV 市場の伸びに
比例して PHEV 用 LiB 市場も高い成長率で推移した。
2016 年においても同様の傾向は続いており、2016 年の車載用 LiB 世界市場(同ベース)は、前年比
141.3%の 39,349MWh と見込む。
2. 注目すべき動向
2-1.当面は各国政府の普及政策が xEV 市場拡大を支える
エネルギー制約への対策や地球温暖化といった環境問題、これに相応して一段と厳しさを増す各国
の環境規制に対し、エンジン効率の改善や車両重量の軽量化だけでは対応に限界があるため、自動車
メーカー各社は xEV の開発・普及という解決策を模索している。一方、xEV の普及拡大には、依然とし
て高い車両価格や充電インフラの未整備、これによる xEV に対する低い需要等が足かせとなっている。
各国政府では xEV の普及拡大に向けて補助金支給や減税など、多様な支援策を講じている。
2014~2015 年にかけては、中国を中心に上記のような政策が功を奏し、xEV の販売が急拡大した。
2016 年以降、xEV に対する政府支援策は徐々に縮小されていくと見られるが、当面の間、各国政府の
普及政策に依存する形で市場は拡大していくと予測する。
2-2.国内 xEV 販売の急拡大を受けた中国車載用LiB メーカーが急成長を遂げる
中国においては、大気汚染の深刻化等を背景に、政府が 2020 年までに xEV の累計 500 万台普及を
目標に掲げており、充電設備の拡充や PHEV・EV 購入時の補助金支給、ナンバープレート優遇策など
多様な支援策を設けている。
その結果、中国では xEV 販売が急拡大しており、国内市場の急拡大を受けた中国車載用 LiB メーカ
ーも堅調に成長を遂げている。また、中国政府が三元系正極材を使用した車載用 LiB を搭載した電気
バス向け補助金の支給を中止したことや、中国に生産拠点を設けた海外車載用 LiB メーカーが中国政
府の車載用電池模範規準認証を得られなかったことも、中国車載用 LiB メーカーへの需要拡大の背景
として挙げられる。今後も中国を中心に xEV 市場が拡大していく中で、2016 年は世界の車載用 LiB メ
ーカー上位 5 社のうち 4 社が中国車載用 LiB メーカーになる見通しである。
2-3.車載用 LiB では、セルの高容量化と低コスト化が依然として課題
EV の航続距離の延長を可能とする高容量化対応は、LiB の開発・改良テーマとして、車載用 LiB メ
ーカーにとって最重点課題の一つとなっている。自動車メーカー各社は 2020 年までに EV の航続距離
を現行の 2 倍以上に延ばすことを目標としており、目標実現に向けて LiB セルのエネルギー密度の更な
る向上が必要となる。車載用 LiB メーカー各社では、ニッケル比率を高めたハイニッケル NCM 正極材
や Si(シリコン)系負極材など、高エネルギー密度材料の採用を検討する動きが見られる。
一方、依然として車体価格において大きな比率を占めている LiB の低コスト化も、EV の普及拡大に
向けた重要なポイントとなる。現状、車載用 LiB のコストは主に kWh 当たり 100 ドル後半~200 ドル前後
となっている。自動車メーカー・車載用 LiB メーカー各社は、2020 年までに kWh 当たり 100 ドル前半ま
でのコストダウンを目指し、生産能力の拡大によるコストの削減や生産技術の向上など、様々な取り組み
を行っている。
Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd.
2016 年 10 月 17 日
プレスリリース
3. 将来予測
各国の環境規制が厳しくなる中で、自動車メーカー各社は xEV 新車の市場投入を相次いで計画し
ている。また、xEV 市場拡大を牽引している各国政府の xEV 向け補助金や優遇政策が 2020 年まで
継続することや、米国のカリフォルニア州のように xEV の販売義務比率を徐々に高めている地域があ
ることなどから、xEV 市場は 2016 年以降も安定成長し、2020 年における車載用 LiB 世界市場(搭載
された xEV 生産ベース)は、155,430MWh に拡大すると予測する。
図表 1.車載用 LiB 世界市場推移と予測
(単位:MWh)
160,000
HEV
PHEV
120,000
EV
80,000
40,000
0
2012年
2013年
2014年
2015年
2016年
(見込)
2017年
(予測)
2018年
(予測)
2019年
(予測)
2020年
(予測)
(単位:MWh、%)
xEVタイプ/年
HEV
前年比
PHEV
前年比
EV
前年比
合計
前年比
263
362
427
438
2016年
(見込)
537
‐
911
137.6%
1,297
118.0%
1,854
102.6%
3,303
122.6%
5,200
121.4%
8,033
125.0%
13,057
129.8%
18,587
169.0%
28,218
‐
2,385
142.4%
4,996
142.9%
10,974
178.2%
24,112
157.4%
33,612
154.5%
47,832
162.5%
63,024
142.4%
89,532
151.8%
125,424
2012年
2013年
2014年
2015年
2017年
(予測)
652
2018年
(予測)
815
2019年
(予測)
1,058
2020年
(予測)
1,788
‐
209.5%
219.7%
219.7%
139.4%
142.3%
131.8%
142.1%
140.1%
3,559
6,655
13,255
27,853
39,349
56,517
76,896
109,177
155,430
‐
187.0%
199.2%
210.1%
141.3%
143.6%
136.1%
142.0%
142.4%
矢野経済研究所推計
注 1:LiB が搭載された xEV(48V マイルド HEV、ストロング HEV、PHEV、EV)の生産ベース
注 2:2016 年は見込値、2017 年以降は予測値
注 3:市場規模は乗用車に搭載される LiB を対象とするが、中国の電気バス(PHEV 及び EV)に搭載される LiB も対象と
して算出した。
Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd.
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