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邦銀の海外展開における リスクマネジメントの今 後について
邦銀の海外展開における リスクマネジメントの今 後について 立命館大学 経営学部 3 回生 播磨谷ゼミ 2014/11/03 近 年 、日 本 で は 地 方 銀 行 と メ ガ バ ン ク( 三 井 住 友 銀 行・三 菱 東 京 U F J 銀 行・みずほ銀行)の貸出は国内と海外に積極的に増やしている傾向にある 。 そ れ と 同 時 に グ ロ ー バ ル 化 が 進 み 多 く の 企 業 が 海 外 へ 進 出 し て い る 。そ の 影 響 に よ り 邦 銀 の 海 外 貸 出 が 大 幅 に 増 加 し た 。私 た ち は 地 方 銀 行 と メ ガ バ ン ク に 分 け 、今 後 海 外 展 開 か か る リ ス ク を 予 測 し 、ど の よ う に 回 避 す べ き か を 考 察しました。 内容 は じ め に ..................................................................................................... 2 第 1章 5 邦 銀 の 国 内 貸 出 の 現 状 .................................................................... 2 第 1節 地 方 銀 行 の 国 内 貸 出 の 現 状 と 動 き ............................................... 3 第 2節 メ ガ バ ン ク の 国 内 貸 出 の 現 状 と 動 き ............................................ 5 第 2章 地 方 銀 行 に お け る 国 際 業 務 と 海 外 展 開 の 現 状 .................................. 7 第 1節 地 方 銀 行 に お け る 国 際 業 務 ......................................................... 7 第 2節 地 方 銀 行 の 海 外 展 開 の 現 状 ....................................................... 10 1. 中 国 で の 地 方 銀 行 の 海 外 展 開 に つ い て ............................................ 10 2. 東 南 ア ジ ア で の 地 方 銀 行 の 海 外 展 開 に つ い て ................................... 11 第 3章 メ ガ バ ン ク に お け る 国 際 業 務 と 海 外 展 開 の 現 状 ............................ 13 第 1節 メ ガ バ ン ク に お け る 海 外 貸 出 の 現 状 .......................................... 13 第 2節 メ ガ バ ン ク に お け る ア ジ ア 展 開 ................................................. 15 1.三 菱 東 京 UFJ 銀 行 の 東 南 ア ジ ア で の 海 外 展 開 に つ い て ..................... 16 10 2.三 井 住 友 銀 行 の 東 南 ア ジ ア に お け る 海 外 展 開 に つ い て ...................... 17 3.み ず ほ 銀 行 の 東 南 ア ジ ア に お け る 海 外 展 開 に つ い て .......................... 19 第 4章 外 国 銀 行 の ア ジ ア 展 開 .................................................................. 21 第 1節 ア ジ ア 金 融 市 場 に つ い て ........................................................... 21 第 2節 外 国 銀 行 の ア ジ ア 展 開 に つ い て ................................................. 22 第 3節 ア ジ ア 金 融 市 場 に お け る 環 境 整 備 ............................................. 24 第 5章 今 後 起 こ り う る 経 済 問 題 と 抱 え る リ ス ク ....................................... 26 第 1節 邦 銀 の 海 外 支 店 展 開 の 問 題 点 .................................................... 26 第 2節 地 方 銀 行 に 予 測 さ れ る リ ス ク .................................................... 27 第 3節 メ ガ バ ン ク に 予 測 さ れ る リ ス ク ................................................. 28 第 6章 邦 銀 の リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト ........................................................... 29 第 1節 地 方 銀 行 の リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト ................................................. 29 第 2節 メ ガ バ ン ク の リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト ............................................. 31 1 お わ り に ................................................................................................... 32 参 考 文 献 ................................................................................................... 33 5 はじめに 近 年 、日 本 の 金 融 機 関 は 海 外 で の 活 動 を 活 発 に 行 っ て お り 、邦 銀 に 関 し て は 、 地方銀行・メガバンク共に国際業務を積極的に行っていくように国から推進さ れている。国際業務を積極的に行うようにと の政策が打ち出された理由として 10 は、邦銀における国内貸出の額と収益 が伸び悩んでおり、国内は飽和状態にあ ることが挙げられる。 実際に近年の邦銀における 全体の貸出額は増加傾向にあり、中でも海外貸出 においては、日本企業の海外進出が関係している といえる。日本の中堅・中小 企 業 の 多 く は 、 中 国 や ASEAN 地 域 へ の 進 出 の 割 合 が 多 く を 占 め て い る 。 特 に 15 近 年 の 傾 向 と し て は 、チ ャ イ ナ プ ラ ス ワ ン と い う 概 念 か ら 、中 国 よ り も ASEAN 地域への進出を試みる企業が増加している。この影響により、邦銀は海外ドル 建て融資を拡大し、国際化へ対応する銀行が増えている。特に、メガバンクに おいては国際業務に力を注 いでおり、国内よりも海外での活動が活発化してい る。また、地方銀行においても国際業務を行う銀行が増えてきているが、メガ 20 バンクとは違い抱えている不安は多い。 私 た ち は 、 企 業 が ASEAN 地 域 へ と ビ ジ ネ ス の 場 を 拡 大 し て い る 中 で 、 邦 銀 の海外進出がどのようなリスクを抱えるかについて検証することとした。そこ で、地方銀行・メガバンクのそれぞれに分け、海外支店展開にかかる リスクを 予測し、その回避する方法を考察していきたい。 25 第 1章 邦銀の国内貸出の現状 本章では、地方銀行・メガバンクにおける国内貸出の現状に焦点を当て、そ れぞれについてどのような動きがあるのか述べていく 。 30 2 第 1節 地方銀行の国内貸出の現状と動き 先ほど述べたように、日本の企業の海外進出先として中国への割合が増加傾 5 向 に あ っ た 一 方 で 、 近 年 徐 々 に ASEAN 地 域 へ の 進 出 の 増 加 し て い る こ と が 図 1 より読み取れる。 図 1 新規海外進出の地域別推移 10 (東洋オンラインより引用) この海外への進出の影響を受け、 地方銀行協会の決算状況から貸出金総額の 推移に着目すると、図 2 のような推移となっている。 地方銀行の貸出が伸びている要因としては、中堅・中小企業の積極的な海外 15 進出ニーズに幅広く対応することにより、一部の地方銀行において国際業務が 盛んになっていること、東日本大震災からの復興需要を受けた貸出が地元の地 方銀行を中心に増えていることが挙げられる。 3 図 2 地方銀行の貸出総額推移 (100万円) 180,000,000 160,000,000 140,000,000 120,000,000 100,000,000 80,000,000 60,000,000 40,000,000 20,000,000 0 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 (全国地方銀行協会の公表資料を参照し作成) 5 また、地方銀行は地域密着型金融の取組みを積極的に行っており、中心とな る 3 つ の 取組 みが 、中 小 企業 の成 長 と顧 客の 新た な挑 戦 への サポ ー ト、地域 全 体の成長や面的再生への取組み、地方銀行における地域貢献活動 への取組みと なっている。中でも国内における取組みについて具体的な例を 挙げると、農林 水産業や再生可能エネルギーなどの分野において、特色ある地域資源を活かし 10 たビジネスの育成に注力するため、農林水産業において、農林漁業成長産業化 フ ァ ン ド へ の 出 資 等 に よ る 顧 客 の 6 次 産 業 化 を 推 進 し て い る 1 。農 林 漁 業 成 長 産 業 化 フ ァ ン ド の 実 績 と し て は 、 平 成 26 年 8 月 ま で に 農 林 漁 業 成 長 産 業 化 支 援 機 構 の 支 援 決 定 を 受 け た 46 フ ァ ン ド の う ち 、 33 フ ァ ン ド に 対 し て 40 の 地 方 銀 行 が 合 計 約 170 億 円 を 出 資 し た 。そ の 他 で は 、観 光 振 興 、 空 き 家 問 題 な ど 地 15 域の課題の解決への協力、先に上げた東日本大震災で被害を受けた顧客の経営 再建、生活再建の支援などを行っている。 このような国内での活動により、地方銀行の国内貸出は図 3 のようになって 全 国 地 方 銀 行 協 会「 平 成 25 年 度 の 地 方 銀 行 に お け る「 地 域 密 着 型 金 融 」に 関 す る 取 組 み 状 況 」( 2014 年 9 月 17 日 公 表 ) よ り 引 用 。 1 4 いる。 図 3 地方銀行の国内貸出の推移 (100万円) 170,000,000 165,000,000 160,000,000 155,000,000 150,000,000 145,000,000 140,000,000 2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 5 (各地方銀行の有価証券報告書より参照し作成) 図 3 か ら も わ か る よ う に 、2008 年 の リ ー マ ン シ ョ ッ ク の 直 後 は 不 況 が 続 い て 伸 び 悩 ん で い た が 、2011 年 の 東 日 本 大 震 災 以 降 は 国 内 貸 出 の 需 要 が 多 く あ っ た ことが読み取れる。 10 第 2節 メガバンクの国内貸出の現状と動き 近年 のメ ガ バン クの 貸 出は 、図 4 か らも 読み 取れ るよ う に、 順調 に伸 び てい る 。三 菱 東 京 UFJ 銀 行 、み ず ほ 銀 行 、三 井 住 友 銀 行 の い ず れ と も 収 益 を あ げ て いる。しかしその一方で、国内貸出が低 迷しており、メガバンクの国内収益の 15 大 き な 増 加 を 見 込 む こ と は 難 し く 、 伸 び 悩 む 状 況 に あ る 。( 図 5 を 参 照 ) 5 図 4 メガバンクの貸出総額推移 (100万円) 250,000,000 200,000,000 150,000,000 海外合計 国内合計 100,000,000 50,000,000 0 2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 (メガバンクの各ディスクロージャー誌を参照し作成) 5 図 5 メガバンクの国内貸出推移 (100万円) 180,000,000 160,000,000 140,000,000 120,000,000 みずほ 100,000,000 三井住友 80,000,000 三菱東京UFJ 60,000,000 40,000,000 20,000,000 0 2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 (メガバンク各行のディスクロージャー誌を参照し作成) 国内の取組みについて、3 行それぞれを例に取り上げると、三井住友銀行 6 は 、平 成 26 年 度 か ら 平 成 28 年 度 ま で の 3 年 間 を 計 画 期 間 と す る 中 期 経 営 計 画 を 策 定 し て お り 、経 営 環 境 の 変 化 を 踏 ま え つ つ 、10 年 後 を 展 望 し た ア ジ ア を リ ードしていく銀行を目標として、 国内トップの収益基盤の実現を掲げている。 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 で は 、海 外 貸 出 に 熱 を 上 げ 、国 内 の 中 小 企 業 向 け 融 資 に 消 5 極的な姿勢を取っており、合理的ともいえる経営方針をとっている。 みずほ銀行では、地域活性化に向け、地域金 融機関のエリアパートナーとし て協働している一方で、グローバルベースでのコスト構造改革への取組み を行 っている。 メ ガ バ ン ク は 海 外 の 新 興 国 へ の 依 存 が 伺 え 、 特 に 東 南 ア ジ ア の ASEAN の 地 10 域を中心に海外展開を行い、海外に成長機会を見出している。 また、国内の貸 出業務の低迷を打開するのは容易ではないため、海外部門のほか、証券など貸 出業務以外のビジネスを強化できるかが実力を左右するとされている。 よって、メガバンクの収益構造は国際業務の方に偏りを見せていている。 15 第 2章 地方銀行における国際業務と海外展開の現状 本章では、邦銀の中でも地方銀行に焦点を当てる。地方銀行における貸出を 中心とした国際業務の内容や海外展開の現状を説 明する。 20 第 1節 地方銀行における国際業務 現 在 、日 本 に は 地 方 銀 行 が 64 行 ・ 第 二 地 方 銀 行 が 41 行 存 在 し 、ほ と ん ど の 銀行が何らかの国際業務を展開している。 国 内 銀 行( メ ガ バ ン ク も 含 む )で は 、2008 年 の リ ー マ ン シ ョ ッ ク 以 降 貸 出 が 25 停 滞 し て い た が 、近 年 は 緩 や か に 回 復 し て き て い る 。し か し 、2000 年 頃 の 貸 出 金 残 高 と 比 較 す る と か な り 減 少 し て い る と い え る ( 図 6 参 照 )。 こ の よ う な 現 象が起こっている原因としては、デフレと人口減少によって企業の国内向けの 投資が抑制されていることや、バブル経済の崩壊により大 きな損失を被った邦 銀が貸出に慎重になっていることなどが挙げられる。 30 図 6 国内銀行貸出金の推移(銀行勘定、信託勘定、海外店勘定の合計) 7 (億円) ( 日 本 銀 行 HP よ り 引 用 ) 5 その中で、日本企業は大企業ではもちろんのこと中小企業も積極的に海外進 出を行っているため、それらに伴う資金調達は活発である。冒頭にも述べたと おり、このような企業の海外進出に伴い、地方銀行では顧客企業の海外進出の サポートを行うため、多くの銀行が海外へ展開を行っている。 10 図 7 地方銀行の海外貸出の推移 1,600,000 (100万円) 1,400,000 1,200,000 1,000,000 800,000 600,000 400,000 200,000 0 2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 (各地方銀行の有価証券報告書を参照し作成) 8 図 7 の残高の推移からは、中堅・中小企業の海外進出のサポートをする業務 の拡大により、地方銀行の海外貸出も拡大していることが読み取れる。 一 方で 、図 8 の 貸出 金 利回 りの 比 較か らは 、海 外で は国 内 での 貸出 の よう に 収益をあげられていないことがわかる。 5 図 8 海外に支店を持つ地方銀行の貸出金利回り 2.00 1.80 1.60 1.40 1.20 % 1.00 国内平均 0.80 海外平均 0.60 0.40 0.20 0.00 2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 (各地方銀行の有価証券報告書を参照し作成) 10 銀行が業務を行うにあたって様々な規制が存在するが、国際業務を行うに当 た っ て 重 要 と な る も の に BIS 規 制 が 挙 げ ら れ る 。BIS 規 制 と は 、金 融 シ ス テ ム の安定化を図るために、各国が協調して導入した商業銀行向けの 財務の健全性 に関する規制のことである。規制の詳細は改訂され続けているが、基本的には 銀行に対してそれぞれの総資産額の一定割合以上の自己資本を積むことを要求 15 しており、この基準をクリアしないと国際的な銀行業務に携わることはできな い 。 現 在 の 国 際 基 準 は 自 己 資 本 比 率 8% 以 上 と さ れ て い る 。 現 在 で は 、大 半 の 地 方 銀 行 が BIS 規 制 の 国 際 基 準 を ク リ ア し て い る 。し か し 、 す べ て の 銀 行 が 海 外 展 開 を 行 っ て い る と い う わ け で は な い 。地 方 銀 行 の 中 に は 、 国 内 で の 貸 出 に 余 裕 が あ る た め 、リ ス ク の あ る 海 外 展 開 を 行 わ な い 優 良 銀 行 や 、 20 反対に海外に進出したいが余裕やノウハ ウがなくて困っている銀行や、進出し たところで採算が取れないと判断している銀行もある。地域により顧客や経済 9 状況が異なるため、メガバンクとは異なる地方銀行ならではの動向と いえる。 ここからは海外展開を行っている地方銀行の活動について述べる。はじめに 積極的に展開を行っている地方銀行は海外に支店を開き、顧客企業の海外進出 の支援を行っている。支店形態で進出した場合、基本的に預金・貸出・為替な 5 どのフルバンキングを行うことが前提となる。地方銀行の場合、メガバンクと 異 な り 人 材 が 豊 富 に い る わ け で は な い た め 、経 験 の 乏 し い 海 外 で 支 店 を 開 設 し 、 貸出を推進することにリスク管理などの点で不安を覚えるところが少なくない。 そこで、それらの地方銀行は、駐在員事務所という形で海外へ展開している。 そこでは、預金や貸出といった営業活動を行うことができないため、現地銀行 10 と提携して顧客企業向けに信用状を発行することで現地銀行からの貸出の簡略 化や、顧客企業の販路開拓やビジネスマッチングなどの情報提供という形でサ ポートを行っている。 第 2節 地方銀行の海外展開の現状 15 1. 中 国 で の 地 方 銀 行 の 海 外 展 開 に つ い て 地方銀行の多くがアジアへ支店や駐在員事務所を構えている。その理由とし ては、日本企業が行う生産拠点の海外移転の多くがアジアであり、それによっ て生じる金融取引へのサポートを行うためであると考えられる。多くの地方銀 20 行がアジアへの海外進出の足掛かりとして選択していたのは中国である。その 中 で も 香 港 へ 支 店・駐 在 員 事 務 所 を 構 え て い る 銀 行 が 多 く 見 ら れ る 。中 国 で は 、 預貸率規制をはじめ銀行に対して多くの規制が設けられている。それに対し香 港では、中国本土と比べて金融規制が緩やかであるため、地方銀行にとっては 海外進出の第一歩としやすいと思われる。 25 中国に関連した地方銀行の業務として、未進出の銀行では取引先の海外進出 時 の 支 援( 各 種 規 制 へ の 対 応 、市 場 動 向 の 調 査 な ど )、商 談 会 な ど で の 海 外 ビ ジ ネスの提案、販路開拓支援、資金調達などに関するアドバイスなど相談業務に とどまっている。一方で、現地に駐在員事務所を有している銀行では、相談業 務 に 加 え 、 本 社 へ の 融 資 、 親 子 ロ ー ン 、 ス タ ン ド バ イ LC を 活 用 し た 現 地 地 場 30 銀行を活用した融資などを行っている。親子ローンというのは、銀行が取引企 10 業の日本本社向けに貸し出しを行い、そこから海外の現地法人に融資を行うと い う 方 法 で あ る 。 ス タ ン ド バ イ LC は 、 日 本 の 企 業 が 海 外 で 現 地 の 金 融 機 関 か ら融資などの与信を受ける際に、自社の信用力を補完する目的で日本の金融機 関に発行を依頼する信用状 の こと であ る 。中 国で の活 動 の問 題点 は 2 つあ る。 5 1 つ目は、同じく中国に海外展開を行う日本のメガバンクとの競争である。 経営資源・人材などでメガバンクと比較して地方銀行は競争力が弱い。そのた め、日本国内では地域銀行の取引先が中国ではメガバンクから融資を受けてい るというケースも見られる。対策として、提 携を行っている地場銀行にトレー ニーを派遣し、人材の育成を行い、取引先との関係を絶やさないよう工夫して 10 いる。 2 つ目は、中国での規制の厳しさである。先ほども述べたが、中国では国内 で 活 動 を 行 う 銀 行 に 対 し 預 貸 率 規 制 と い う も の が 存 在 す る 。預 貸 率 を 75% 以 下 とするもので中国の銀行にも同様に課されているが、人民元の調達などの面で 地場銀行より不利な立場の邦銀にとって運用上の制約となっている。 15 そこで近年では、リスク分散という狙いから地方銀行の海外展開が中国から ASEAN を は じ め と す る 東 南 ア ジ ア へ シ フ ト し つ つ あ る 。 2. 東 南 ア ジ ア で の 地 方 銀 行 の 海 外 展 開 に つ い て 地方銀行が東南アジア諸国に注目し始めた理由はいくつかある。は じめに、 20 消 費 市 場 と し て の 魅 力 が 高 ま っ て い る こ と で あ る 。 ASEAN の 加 盟 国 は 、 2011 年 の 時 点 で 10 か 国 で あ り ( ブ ル ネ イ 、 カ ン ボ ジ ア 、 イ ン ド ネ シ ア 、 ラ オ ス 、 マ レ ー シ ア 、ミ ャ ン マ ー 、フ ィ リ ピ ン 、シ ン ガ ポ ー ル 、タ イ 、ベ ト ナ ム )、加 盟 国 全 体 の 人 口 は 約 6 億 人 に の ぼ る 。 今 後 も ASEAN の 人 口 は 増 加 す る と み ら れ て お り 、 2055 年 に は 約 7 億 5 千 万 人 に な る と い わ れ て い る ( 図 9 参 照 )。そ れ 25 に 加 え 、 ASEAN は 人 口 構 成 が 若 い た め 経 済 成 長 に 必 要 な 労 働 力 も 豊 富 で 今 後 に大きな期待ができるといえる。 11 図 9 東南アジア人口及び世界での割合 (大和総研 5 Economi c Report よ り 引 用 ) 次に、中小企業が積極的に進出していることである。近年では大企業の東南 アジア進出に伴い、それらの企業の下請けである中小企業の海外進出も増加し ている。企業に対する規制も中国と比較して緩やかであるということも理由の 1 つといえる。 地方銀行の中でも、海外展開に積極的な先は、チャイナプラスワンとしてリ 10 ス ク 分 散 の 観 点 か ら ASEAN を は じ め と し た 東 南 ア ジ ア へ 進 出 し て い る と こ ろ もある。中国に駐在員事務所という形態で進出している地 方銀行の多くは、そ れ以上の中国での業務の本格化には慎重であり、海外展開を行っていない銀行 も今後展開を行う場合、中国以外の国を検討しているところが多い。 東南アジアでの地方銀行の活動としては、取引先企業の本社への資本金の融 15 資や親子ローンなどが多い。問題点とし て、現地の規制やビジネス環境等につ いての情報不足が挙げられている 。地方銀行では地場銀行と提携や、提携銀行 へ職員を派遣するなどの対策を行っている。東南アジアのいくつかの国では、 外資銀行規制というものが存在する。一例として、タイでは政府が国内銀行の 強化と育成を目的に、外国銀行の参入や営業活動を制限している。外国銀行の 20 支店開設が規制されているため、地方銀行では東南アジアへの進出形態が駐在 員事務所や地場銀行との提携といった限られたものとなっている。それでも企 12 業に対する規制は中国と比較すれば厳しいものではないので、多くの日本企業 が近年東南アジアへの海外展開を行っている。中小企業も例外ではないため、 地方銀行も東南アジアでの業務拡大に積極的であるといえる。 5 第 3章 メガバンクにおける国際業務と海外展開の現状 本章では、邦銀の中でもメガバンクに焦点を当てる。メガバンク における貸 出を中心とした国際業務の内容・海外展開の現状を説明していく。 10 第 1節 メガバンクにおける海外貸出の現状 メ ガバ ン クの 3 行 は国 内貸 出 より も海 外 貸 出を 積極 的 に行 って い る。なぜ 日 本国内から目を離したのか。理由は日本銀行の金融緩和政策によって、貸出金 利回りから預金利回りを差し引いた預金利ざやが縮小したことに加え、債券市 15 場が荒れ始めたことで金利がさらに低下し、国内の貸出収益が低迷したことと 考えられる。金融緩和政策とは、市場にお金が回るようにして景気をサポート するために行われるものである。不況になると会社はお金を借りることが出来 なくなる。そうなると会社が資金調達出来なくなり、倒産する企業も増加し、 従業員の雇用が減少する。このような日本にとっての負の連鎖を改善するため 20 に実施されたのである。 この金融緩和政策の代表ともいえる政策金利の引き下げにより、銀行などの 貸出金利が下がり国民は資金を借りやすくなった。しかし、銀行にとっては預 貸利ざやの縮小に繋がるなど、国内収益が減少する大きな原因となった。さら に 、2008 年 以 降 に リ ー マ ン シ ョ ッ ク の 影 響 を 受 け 政 策 金 利 が 下 が っ た 。こ れ に 25 よりメガバンクは国内貸出よりも海外貸出に目を向けるようになった。 30 13 図 10 メガバンクの海外貸出推移 (100万円) 160,000,000 140,000,000 120,000,000 100,000,000 みずほ 80,000,000 三井住友 三菱東京UFJ 60,000,000 40,000,000 20,000,000 0 2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 (メガバンク各行のディスクロージャー誌より引用) 5 メ ガ バ ン ク の 海 外 貸 出 の 推 移 と し て は 図 10 の 様 に な っ て い る 。近 年 、3 行 共 に 海 外 貸 出 額 が 伸 び て い る 事 が 読 み 取 れ る 。2013 年 3 月 期 決 算 で は 、メ ガ バ ン ク 3 行 の 連 結 最 終 利 益 の 合 計 は 前 期 比 11.2% 増 し の 2 兆 2072 億 円 で あ り 、2006 年の 3 月期以来、7 年ぶりの 2 兆円台を記録した。貸出はや はり国内貸出より も海外貸出の方が好調であり、持続されている。 10 15 14 図 11 メ ガ バ ン ク に お け る 貸 出 金 利 回 り 3 2.5 2 国内平均 % 1.5 海外平均 1 0.5 0 2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 (メガバンク各行のディスクロージャー誌より引用) 5 さ ら に 、 国 内 貸 出 と 海 外 貸 出 金 利 回 り の 推 移 は 図 11 の よ う に な っ て お り 、 メガバンクは国内貸出よりも、海外貸出のほうが収益性 は高いということが読 み取れる。 第 2節 10 メガバンクにおけるアジア展開 ア ジ ア で は 銀 行 か ら 資 金 を 借 り る こ と が 比 較 的 多 い 。メ ガ バ ン ク 3 行 の ア ジ ア 向 け 融 資 額 は 2013 年 9 月 末 に 約 1000 億 ド ル 超 と 3 年 間 で 2 割 増 加 し た 。 日本企業はドルや円で資金を借りて、現地の銀行で現地通貨に両替して事業を 展開することが多いのである。しかし、国ごとには厳しい国際規制も存在し、 現地の規制に縛られて現地通貨を調達しにくい場合も見られる。 15 メガバンクはアジアの中でも東南アジアへ進出が目立ってきている。数年前 までは現地に進出する日系企業の支援のため に営業拠点を拡大してきたが、最 近は東南アジアのグローバル企業との取引も 拡大している。現在、東南アジア は経済成長が続いており、現地での活躍がみられるグローバル企業が増えてい るからだ。 15 1.三 菱 東 京 UFJ 銀 行 の 東 南 ア ジ ア で の 海 外 展 開 に つ い て 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 は 貸 出 金 の 中 で も 海 外 貸 出 に 力 を 入 れ て い る 。同 行 は 、昨 年 末 に タ イ に あ る ア ユ タ ヤ 銀 行 の 株 式 の う ち 72% を 5360 億 円 で 買 い 取 り 、 子 5 会社化をした。このアユタヤ銀行でのネットワークを使い、海外進出を支援し ている。同行の狙いはタイの地場企業の囲い込みである。タイのバンコク支店 は、タイの中で最大の総資産を持っている。邦銀でアジアの銀行の経営権を握 る の は 初 め て の 事 で あ り 、ま た 貸 出 金 が 年 率 10% と 伸 び て い る 事 か ら 今 後 も 金 融市場の拡大が期待できる。 同行は日本、米国を次ぐ収益の柱としてアジアを 10 強 化 し て い く 方 針 だ 。 ま た 、 図 12 の 折 れ 線 グ ラ フ で 示 し て あ る 海 外 リ ス ク 管 理債権比率の減少も見てわかる。海外リスク管理債権比率とは海外の総貸出額 に対する不良債権の割合を表したものです。この数字が低いほど安全であると い え る 。さ ら に 、三 菱 東 京 UFJ 銀 行 の 不 良 債 権 は 減 少 し て い る の で 、安 全 性 は 高まっている。 15 図 12 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 の 貸 出 金 の 内 訳 ( 2012 年 度 ) ( 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 20 ディスクロージャー誌より引用) 図 13 は 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 の 東 南 ア ジ ア 地 域 に お け る 支 店 数 、 出 張 所 、現 地 16 法人 の分 布 図で ある 。東 南 アジ ア の合 計支 店 数は 7 店 舗で ある 。内 訳 とし ては ベト ナム に 2 店舗 、マ レー シア 、シ ンガ ポー ル 、イ ンド ネ シア 、フィ リ ピン に 1 店 舗 ず つ で あ る 。こ れ は メ ガ バ ン ク 3 行 の 中 で も 東 南 ア ジ ア で 一 番 多 く の 国 々 に展開している。支店以外にも現地法人や出張所も多く展開していて、現地ス 5 タッフも派遣している。現地ではお客様の海外展開を内外で強力にバックアッ プ し て い る 。 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 は 海 外 拠 点 が 国 内 で 931 拠 点 、 海 外 で 105 拠 点を 展開 し てお り、メガ バ ンク 3 行の 中 でも 圧倒 的な 拠 点数 の多 さ であ り 海外 貸出に力を入れていることがわかる。また、掲げている目標に「世界に選ばれ る、信頼のグローバル金融グループ」とあることから、海外に力を入れている 10 ことがわかる。 図 13 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 の 東 南 ア ジ ア に お け る 分 布 図 ( 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 HP よ り 引 用 ) 15 2.三 井 住 友 銀 行 の 東 南 ア ジ ア に お け る 海 外 展 開 に つ い て 三井住友銀行はアジアにおいて個人のお客様から法人企業まで幅広い範囲で 17 商業銀行業務を現地で展開している。これはマルチフランチャイズ戦略と名付 けられている。ここで東南 ア ジア への 海 外貸 出に おけ る 事例 を 2 つ紹 介す る。 1 つ 目 に 平 成 25 年 5 月 、イ ン ド ネ シ ア の 年 金 貯 蓄 銀 行 で あ る バ ン ク・タ ブ ン ガ ン ・ ペ ン シ ウ ナ ン ・ ナ シ ョ ナ ル 、 通 称 「 BTPN」 の 株 式 を 最 大 40% 取 得 す る こ 5 と を 発 表 し 、 平 成 26 年 度 3 月 に 40% 取 得 し た 。 2 つ 目 に 2012 年 8 月 に カ ン ボ ジ ア で 最 大 手 で あ る ア ユ タ ヤ 銀 行 に 100 億 円 を 貸 し 出 し た 。さ ら に 発 行 株 式 数 の 12.25% を 得 て 、筆 頭 株 主 に も な っ て い る 。も と も と 同 行 は 2012 年 に 首 都 プノンペンに駐在員事務所を設け、アクレダ銀行と業務提携を行っていたので あ る 。 そ の こ と も あ り 、 ア ユ タ ヤ 銀 行 の 総 資 産 は 2400 億 円 に も 上 回 っ た 。 10 次 に 三 井 住 友 銀 行 の 東 南 ア ジ ア に お け る 支 店 数 を 見 て い く 。 図 14 よ り 東 南 アジアでの合計支店数は 5 店舗ある 。内 訳 と して はベ ト ナム に 2 店舗 、タ イ、 マ レ ー シ ア 、 シ ン ガ ポ ー ル に 1 店 舗 ず つ で あ る 。メ ガ バ ン ク 3 行 の 中 で は 少 な い数になっているが、メガバンクで唯一東南アジアに駐在員事務所を設けてい る。 15 20 25 30 18 図 14 三井住友銀行の東南アジアにおける海外出張所の分布図 (三井住友銀行 5 ディスクロージャー誌より引用) 3.み ず ほ 銀 行 の 東 南 ア ジ ア に お け る 海 外 展 開 に つ い て み ず ほ 銀 行 は 2011 年 9 月 30 日 に 元 国 営 銀 行 の べ ト コ ム バ ン ク (VCB)と 出 資・ 業 務 提 携 を 明 ら か に し た 。出 資 額 と し て は 約 430 億 円 で ベ ト コ ム バ ン ク の 新 規 発 行 株 式 の 15% 相 当 の 株 式 を 510 億 円 で 取 得 し た 。 ま た 、 日 本 か ら 取 締 役 1 名の派遣や有能な人材の派遣もあり、ベトコムバンクにとって大きな支えとな 10 っている。 15 19 図 15 みずほ銀行における東南アジアでの海外展開の分布図 ( み ず ほ 銀 行 HP よ り 引 用 ) 5 図 15 よ り み ず ほ 銀 行 は 世 界 で 79 拠 点 展 開 し て い る 。 こ れ は 海 外 支 店 、 海 外 出 張 所 な ど を 含 ん で い る が 、 欧 州 ・ 中 近 東 ・ ア フ リ カ が 18 拠 点 、 欧 米 、 中 南 米 19 拠 点 に 比 べ て ア ジ ア ・ オ セ ア ニ ア 地 域 に は 4 2 拠 点 も 展 開 さ れ て い る 。 アジア・オセアニア地域の分布は全体的に見て海外支店が集中している。他地 域 に は バ ラ つ き が 見 ら れ る 。そ の 中 で ミ ャ ン マ ー で の 海 外 展 開 を 強 化 し て い る 。 10 し か し ミ ャ ン マ ー は 2011 年 に 軍 事 政 権 に 変 わ っ て 民 主 化 に な っ た ば か り で あ り イ ン フ ラ の 整 備 も ま ま な ら ず 、日 本 か ら 支 店 は 展 開 で き て な い 。し か し 、2012 年 に ヤ ン ゴ ン に 駐 在 事 務 所 が 、2013 年 に は 出 張 所 も 展 開 さ れ て い る 。国 際 規 制 が整備されてないなど進出しやすい環境にあるため、これから支店数は増えて 20 くるだろうと予測される。 以 上の よ うに 、メ ガバ ンク 3 行 の 各ア ジア 展開 に共 通 して いる 事 は、東南 ア ジアに集中的に支店を展開していることである。これは支店だけでなく現地法 人や出張所も同じことがいえる。メガバンクは東南アジアに海外拠点をシフト 5 しており、東南アジアに目を向けていることがいえる。 第 4章 10 外国銀行のアジア展開 本章では、地方銀行とメガバンクの アジア展開に焦点を当て、アジア金融市 場の現状、外国銀行のアジア展開 、アジア金融市場における環境整備の順で述 べていく。 第 1節 15 アジア金融市場について 表 1 は BIS 報 告 銀 行 に よ る ASEAN の 主 要 4 か 国 、ASEAN4( イ ン ド ネ シ ア 、 マレーシア、フィリピン、タイ)への欧州銀行・邦銀・米銀の与信残高の増加 額 で あ る 。 3 地 域 の 銀 行 と も 、 リ ー マ ン シ ョ ッ ク 後 に ASEAN 地 域 へ の 与 信 を 増加させたことがわかる。この期間、リーマンショックや欧州債務危機の影響 で 、欧 州 の 銀 行 は 全 世 界 向 け 与 信 残 高 を 2.7 兆 ド ル 減 少( 与 信 残 高 全 体 の 14% 20 減 少 )さ せ て い た が 、ASEAN4 に は 与 信 を 増 加 さ せ た 格 好 で あ る 。こ の よ う に 、 近 年 、 ア ジ ア の 中 で も ASEAN を は じ め と す る 東 南 ア ジ ア の 市 場 へ の 注 目 度 が 高まっているといえる。 21 表 1 BIS 報 告 銀 行 に よ る ASEAN4 へ の 国 際 与 信 額 ( 残 高 増 加 額 ) リーマン・ショック前 リーマン・ショック後 (億ドル) (2004年末から2007 (2009年末から2012 年末) 年末) 欧州銀行 367.0 346.4 邦銀 146.5 389.4 米銀 105.9 261.4 全体合計 873.8 1720.8 (大和総研 5 調査季報より引用) ま た 、2015 年 を 目 途 に ASEAN 経 済 共 同 体 の 創 設 が 進 め ら れ て お り 、域 内 で の経済の活発化が予想される。域内の経済交流が活発になった場合、それらに 付随する国際的な銀行業務も増加すると考えられる。海外送金や国際融資だけ でなく、海外進出サポートやビジネスマッチングなど多様なニーズが発生する と見込まれている。 10 第 2節 外国銀行のアジア展開について 第 2 節 で は、外 国銀 行の ア ジア 展開 に つい て 述べ る 。具 体的 に は、外 国銀 行 のアジア地域での取り組みに焦点を当てていく。 イ ギ リ ス の ス タ ン ダ ー ド チ ャ ー タ ー ド 銀 行 は 、 ア ジ ア 地 域 に 約 20 か 国 の 支 15 店 を 出 し て い る 。( 図 16 参 照 ) 現 在 、 ス タ ン ダ ー ド チ ャ ー タ ー ド 銀 行 は 、 ア ジ ア、アフリカ、中東地域に広範な事業ネットワークを有する大手インターナシ ョナルバンクとして、取引先に向けてグローバルレベルで金融サービスを提供 している。特に、急成長を遂げる新興国市場においては、各地域において長年 にわたり蓄積した知識、経験を十分に活かし、同市場へ投資を行う法人に対し 20 てトップクラスのサービスを提供している。 22 図 16 スタンダードチャータード銀行のアジア展開 ( ス タ ン ダ ー ド チ ャ ー タ ー ド 銀 行 HP よ り 引 用 ) 5 さ ら に 、 米 国 の シ テ ィ バ ン ク は ASEAN 各 国 を 含 む ア ジ ア 太 平 洋 地 域 に お い て 、18 の 国 と 地 域 に 展 開 し て い る 。シ テ ィ バ ン ク は 、世 界 160 以 上 の 国 と 地 域 に 約 2 億 の 顧 客 口 座 を 有 す る 世 界 有 数 の グ ロ ー バ ル な 銀 行 で あ る 。個 人 、法 人 、 政府及び団体を対象として、個人向け銀行業務やカードビジネス、法人・投資 銀 行 業 務 、証 券 業 務 、ト ラ ン ザ ク シ ョ ン・サ ー ビ ス 、資 産 管 理 の 分 野 に お い て 、 10 幅広い金融商品やサービスの提供を行っている。 23 図 17 シティバンクの海外展開 ( シ テ ィ バ ン ク HP よ り 引 用 ) 5 最後に、オーストラリア・ニュージーランド銀行の事例を取りあげる。 オー ストラリア・ニュージーランド銀行は、オーストラリア、ニュージーランド、 ア ジ ア 太 平 洋 地 域 な ど 32 の 国 と 地 域 に 展 開 し て い る 。 中 核 市 場 で あ る オ ー ス トラリアとニュージーランドにおいて成長していくことに加え、アジア太平洋 地 域 に お け る 認 知 度 を 向 上 さ せ 、ア ジ ア 、欧 州 、ア メ リ カ 地 域 で の 収 益 を 2017 10 年 ま で に 25~ 30% に 引 き 上 げ る と い う 目 標 を 掲 げ て い る 。最 近 で は 、タ イ で 現 地法人の設立許可を得て、産業が集積するタイにおいて法人向け金融サービス を提供している。 第 3節 15 アジア金融市場における環境整備 最後に、アジア金融市場の環境整備について述べる。中でも、東南アジアに おける外国銀行規制緩和に注目する。東南アジア各国では、各国独自の外国銀 24 行 に 対 す る 規 制 や 金 融 規 制 が 存 在 す る 。そ の 例 と し て 、タ イ で は 2004 年 以 降 、 政府が国内銀行部門の成長を促すために、外国銀行の参入や営業活動を制限し て い る 。例 え ば 、支 店 開 設 、商 品 認 可 、支 店 以 外 の 場 所 で の 広 報 活 動 に つ い て 、 外国銀行はタイ銀行(タイの中央銀行)の許可が求められている。タイ の地場 5 銀行はこれらを自由に行うことができ るため、これらの点について外国銀行に 制限的であるといえる。外国銀行の参入を制限する背景には、金融危機が起こ り、地場銀行が破たんに追い込まれたときに外国資本の支援を受け入れざるを 得なくなるという事態を回避するため、地場銀行中心の金融セクターの育成、 強化をする必要があるという考えがあるからであると思われる。 10 し か し 、 近 年 、 ASEAN 統 合 に よ る 金 融 自 由 化 に 備 え 、 東 南 ア ジ ア 各 国 は 金 融改革を進めている。 シ ン ガ ポ ー ル で は 1999 年 頃 よ り 、マ レ ー シ ア で は 2010 年 頃 よ り 外 国 銀 行 へ の市場開放により自国金融市場の高度化を図っている。これは、地場銀行の統 廃合が進み、地場銀行が自国市場において日欧米 などの外国銀行と競合できる 15 だけの競争力を得たという判断からだと考えられる。 先ほど例に挙げたタイでは外国銀行の支店設置に伴う規制を緩和する動きが ある。ミャンマーでは外国銀行の参入規制を緩和し、日本のメガバンクなどの 参入や業容拡大を狙っている。現地に進出する日本企業の資金調達が円滑にな るとの期待から、日本政府も各国の改革を支援している。 20 フィリピンでも、外国銀行の出店規制を緩和しており、最近では現地法人の 設 立 な ど に よ る 100% 出 資 の 外 国 銀 行 の 営 業 を 認 め る 法 律 が 成 立 し た 。 近 く 中 央銀行がガイドラインを制定し、運用が始まる見込みである。従来、フィリピ ン で は 国 内 銀 行 保 護 な ど の た め 、外 国 銀 行 の 支 店 開 設 を 規 制 し 、 60% ま で の 出 資 し か 認 め て い な か っ た 。2015 年 の ASEAN 経 済 共 同 体 の 発 足 で 域 内 の 金 融 自 25 由化が進むことを先取りし、国内で競争を促すという狙いもある。 他にも、ベトナムでは不良債権問題に対処するため、日本がルールづくりを 支援し、ミャンマーでも今年の夏に外国銀行に営業免許が出る見込みである。 このように、東南アジア地域において、外国銀行が参入しやすい環境が整え ら れ て き て い る 。消 費 市 場 と し て の 魅 力 が 高 ま っ て き て い る こ と も あ り 、今 後 、 30 ASEAN を は じ め と し た 東 南 ア ジ ア に 新 た に 参 入 し て く る 銀 行 や 業 務 を 拡 大 す 25 る銀行が増える可能性がある。邦銀は外国銀行との競争がより激しくなると予 想されるため、これらの銀行の行動を意識した対策が求められるといえる。 5 第 5章 今後起こりうる経済問題と抱えるリスク 本章では、これまでの章を通して、地方銀行やメガバンクの貸出において今 後抱えると考えられる経済的リスクを予測していく。 10 第 1節 邦銀の海外支店展開の問題点 地 方 銀 行( 64 行 )の 中 で も 、BIS 規 制 の 国 際 統 一 基 準 を 満 た し 、海 外 支 店 を 有し てい る 銀行 は 9 行あ る。地方 銀行 の 多く が海 外支 店 を出 して い ない 理 由と しては、国内で貸出に余裕がある一部の優良銀行は、海外支店を出してリスク を多く抱えてまで顧客を増やす必要がないことが挙げられる。また、自己資本 15 比 率 の 水 準 が BIS 規 制 の 国 際 基 準 行 を 上 回 る 地 方 銀 行 で も 、海 外 に 進 出 し た い 一方で、メガバンクと異なり人材が多くいないということもあり、経験の乏し い海外の新しい土地で支店を開設し、貸出を推進することにリスク管理などの 点で不安を覚えることが挙げられる。また、業務の点では海外支店を出した場 合、基本的に預金、貸出、為替などのフルバンキングを行うことが前提となる 20 が、現地での預金を集めることに大きな課題が残る。 そんな中、名古屋銀行(第二地銀)が中国の南通という他行が進出していな いところに駐在員事務所から格上げする形で支店を開設したが、このような事 例はきわめて稀である。 他 方 、メ ガ バ ン ク に つ い て は BIS 規 制 の 国 際 統 一 基 準 を 満 た し て い る こ と は 25 もちろん、フルバンキングを現地でも行うことや幅広い国際業務を可能とし 、 グローバルに活躍できる人材を多く抱えている。先で述べたように海外進出に よって収益を得られていることから、海外支店展開の問題点は地方銀行に比べ ると少ないと考えられる。 26 第 2節 地方銀行に予測されるリスク 地方銀行の多くが海外での業務に注目している中、地方銀行が将来的に抱え るリスクとして、近年にアジアの銀行が日本国内で存在感を高めていることが 挙げられる。 5 図 18 日本における全外国銀行の地域別割合 ヨーロッパ アジア オセアニア アメリカ 13% 30% 6% 51% ( 金 融 庁 HP を 参 照 し 作 成 ) 10 日 本 に 進 出 す る ア ジ ア の 銀 行 数 は 今 年 6 月 末 時 点 で 27 行 と な り 、 欧 州 と 北 米 を 合 わ せ た 25 行 を 上 回 っ た 。ア ジ ア 勢 の 総 資 産 は 8 兆 円 を 超 す 勢 い が あ り 、 5 年間で倍に増えた。市場拡大を見込みにくい日本から欧米勢が相次ぎ撤退す る一方、資金需要が旺盛なアジアの銀行が日本で低利資金の調達を増やしてい る。規模 拡大 が 特に 目立 つ のが 中 国の 銀行 で 、日 本に 進出 する 5 行 の 預金 残高 15 は 約 1 兆 1000 億 円 で 外 銀 全 体 の 1 割 程 度 を 占 め る 。 最 近 で は 日 本 の 個 人 に も 人民元建ての預金を提供している。これは、海外進出に限界があり、また国内 貸出に伸び悩んでいる地方銀行に大きな影響を与える可能性があると考えられ る。 このような環境を反映して、アジアの銀行との提携を模索する地方銀行も現 20 れ始めた。規制で縛られている銀行市場は、完全競争とはほど遠い環境である ように思われていたが、日本の銀行市場では一体どのような競争が繰り広げら 27 れているのか。 中 国 信 託 商 業 銀 行 の 日 本 で の 展 開 を 例 に す る と 、 2014 年 6 月 5 日 に 台 湾 大 手の中国信託商業銀行が東京スター銀行を買収した。外国銀行が邦銀を買収す るのは今回が初で、日本での事業拡大としてアジアに展開する日本の中堅・中 5 小企業向けに現地通貨建て融資を提供するほか、富裕層向けの取引といったサ ービス強化を目指している。 このように、日本の市場に注目している外国銀行の勢いは地方銀行や日本の 中堅・中小企業に大きな脅威となる可能性がある。 10 第 3節 メガバンクに予測されるリスク メガバンクに予測されるリスクとしては、欧州や米国の外国銀行などがメガ バ ン ク の 海 外 展 開 の 競 争 相 手 と な る 問 題 が 挙 げ ら れ る 。2012 年 に は 中 央 銀 行 の 流動性供給策のおかげで欧州銀の経営難が一服して資産売却の必要性自体が薄 れているのに加え、収益低迷に陥っていた米銀が急回復し、 欧州銀の資産買い 15 入れを進めるメガバンクの ライバルとして浮上している。欧州ソブリン危機後 の国際金融市場で、相対的な 財務の健全性をテコにグローバル銀行への足掛か りを築こうとするメガバンク の戦略が一時的に停滞する可能性もある。また、 2012 年 に は シ ン ガ ポ ー ル と マ レ ー シ ア の 有 力 銀 行 が 東 南 ア ジ ア 域 内 で 融 資 を 急 速 に 増 や し 、 M&A に も 積 極 的 に 乗 り 出 し て い る 。 こ れ は 欧 州 の 銀 行 が 金 融 20 危機から営業を縮小し、域内の銀 行が空白を埋めているといった状況で、東南 アジアに活路を求めるメガバンク の手ごわいライバルとして浮上している 出来 事であるといえよう。また、表 2 からもわかるように、東南アジアに展開する 主要外国銀行は、イギリスやアメリカ、マレーシアが多くを占めている。 こ の よ う に 、メ ガ バ ン ク が 東 南 ア ジ ア で の 国 際 業 務 を 拡 大 し て い く た め に は 、 25 これらの外国銀行に対抗していかなければ、厳しい状況におかれる危険性があ る。 28 表 2 対象 4 ヶ国の銀行セクターおよび主要銀行の各種指標 (日本総合研究所より引用) 5 第 6章 邦銀のリスクマネジメント こ の章 で は、第 5 章 で 挙げ た地 方 銀行・メ ガバ ンク が それ ぞれ 抱 える リ スク を回避する方法について述べていく。 10 第 1節 地方銀行のリスクマネジメント 地方銀行は、国内で外国銀行との競争が激しくなることによって生じる ミク ロ的なリスクを抱えている。このリスクにどのように対応してい けばよいのだ ろうか。 15 外国銀行が日本国内に台頭してくる前までは、メガバンク の存在が地方銀行 にとって大きく、国内業務 において競争が絶えず続いていた。しかし、メガバ ンク の海 外 進出 の裏 側 で進 行 して いる 事 態 の 1 つ と して、大 手行 の国 内 貸出 の 縮小が挙げられる。 図 19 は 大 手 行 ( 統 計 上 は 都 市 銀 行 ) と 地 方 銀 行 の 国 内 貸 出 残 高 を 貸 出 先 別 20 に 示 し た も の だ が 、2012 年 6 月 末 の 都 市 銀 行 全 体 の 国 内 貸 出 残 高 167 兆 円 は 、 同 じ 基 準 で 比 較 可 能 な 1999 年 以 降 で 最 低 の 水 準 に と ど ま る 。過 去 13 年 間 の 減 少 額 44 兆 円 の 主 た る 要 因 は 、 47 兆 円 も 減 少 し た 法 人 向 け 貸 出 で あ る 。 逆 に 地 方 銀 行 の 貸 出 は 着 実 に 増 え 、直 近 の 残 高 は 過 去 最 高 水 準 の 160 兆 円 と な っ て お り 、こ の 間 の 増 加 額 は 26 兆 円 に 達 す る 。特 に 個 人 向 け 貸 出 が 19 兆 円 も 増 え た 29 の が 目 立 つ が 、 法 人 向 け も 13 年 前 と ほ ぼ 変 わ ら ぬ 残 高 を 維 持 し て お り 、 国 内 貸出では、法人向け、個人向けのいずれにおいても、大手行から主役の座を奪 い取ろうとしていることが読み取れる。 5 図 19 銀行貸出残高(国内銀行勘定、末残)の推移 (日本リスク・データ・バンク株式会社より引用) 国内貸出は慢性的な資金需要不足が言われて久しく、とりわけ競争が激しく 10 利ザヤも小さいとされる法人向け貸出が、地方銀行にとって伸びていることか ら 、地 方 銀 行 の 国 内 貸 出 は 大 手 銀 行 を 抜 く 勢 い が あ る 可 能 性 を 現 在 秘 め て い る 。 外国銀行の国内進出が顕著になり、新たな競争相手 となる可能性が小さくな いが、国内貸出にさらなる力を入れていくためにも、地方銀行は、景気回復に 伴う資金需要への適切な対応に加え、国・地域の産業活力向上への貢献が期待 15 されている成長事業への投融資、事業再生や産業の新陳代謝等への積極的な取 組みが必要である。 このように、地方銀行は地元密着型の業務のさらなる展開と、国内の中堅・ 中小企業のサポートが必要であると考える。地方銀行が日本の中堅・中小企業 のサポートを徹底していくことで 、たとえ将来的に外国銀行の進出が加速する 20 としても、それらとの競争を 回避することが可能となると考える。海外支店の 展開に伴う未知のリスクを負うよりも、国内に特化した取り組みを行っていく 30 べきだと考える。 第 2節 メガバンクのリスクマネジメント メガバンクは、海外進出先として大きな割合を占めている東南アジア におい 5 て、外国銀行との競争が激しくなることによって生じるミクロ的なリスクを抱 えている。このリスクにどのように対応していけばよいのだろうか。 ま ず 、全 世 界 に あ る 銀 行 の 総 資 産 /ROA の 分 布 図 を 見 る と 、図 20 の よ う に な って いる 。この こ とか ら 、日 本 のメ ガバ ンク 3 行 は総 資産 が 高い 一 方で 、収益 性が低いことがわかる。この背景には、バブル崩壊後の平成不況下で消極的な 10 経営体制が続き、リスクを回避しようとするあまり、高い収益を追及できなか った事実があると考えられる。 とはいうものの、メガバンクは収益を求めて東南アジアへの進出を拡大して いくだろう。さらに、経済のグローバル化の進展により、金融機関のドル建て や現地通貨建ての海外業務は今後も拡大していくと見込まれる。進出先での現 15 地の個人や法人からの預金収集は難しいことから、外貨資金は市場調達の比重 が 高 い 。こ の こ と も 踏 ま え 、業 務 拡 大 に 対 応 し た 安 定 的 な 資 金 調 達 基 盤 の 確 保 、 広報活動などを通じた認知度の上昇、 進出国の市場調査や情報の収集、管理な どが必要となるであろう。 当然ながら、海外貸出が今後増えていけば、さらな る与信管理等の充実が必要であると考える。また、国際的に活動するメガバン 20 クは、金融システム全体の安定性と機能度に大きな影響力を有することから、 BIS 規 制 を 始 め と す る 国 際 規 制 改 革 等 へ の 適 切 な 対 応 を 含 め 、 よ り 高 い 基 準 で の健全性と経営管理が求められるだろう。 25 31 図 20 総 資 産 /ROA 分 布 図 ( 世 界 ) (日本総合研究所公表資料より引用) 5 おわりに 本論文では、邦銀が海外での業務が活発する状況の中、地方銀行とメガバン クの海外展開にかかるリスクとその回避方法について模索してきた。 10 地方銀行においては、国内・海外ともに貸出が増加しているが、海外での利 回りが低いことや、海外へ支店を展開しても現地でのフルバンキングが難しく リスクが高いことから、海外支店展開をすること は難しいと考えた。一方で、 国内では外国銀行の存在感が増してきており、将来的に外国銀行との競争が激 しくなることによって生じるリスクを抱えている。しかし ながら、メガバンク 32 よりも国内貸出の増加が見込まれる。よって、地方銀行は海外支店展開を行い 高いリスクを背負うよりも、国内に特化した業務をさらに発展させていくべき だと考えた。 メガバンクにおいては、国内貸出が伸び悩む傾向にある中で、海外貸出が増 5 加しており、海外のほうが利回りは高い。そして、メガバンクは東南アジアへ の進出を起点に、今後も国際業務をさらに拡大していくことが予測される。し かし、他の外国銀行も海外へと乗り出しており、外国銀行との競争が激しくな ることによって生じるリスクをメガバンクは抱えている。 また、外国銀行と比 較して収益性が低いという問題も抱えている。メガバンクが外国銀行に対抗し 10 ていくためには、グローバル化に適した海外業務の改革や国際規制への適切な 対応していくことが求められると考えた。 最後に、本論文で残されている課題について触れておきたい。私たちの分析 から、外国銀行が海外への進出をどうリスクマネジメントしているかどうかを 調べることで、今後のメガバンクの海外進出を成功させる策が見つかるのでは 15 ないかという当初考えていなかった新しい問題が浮かび上がった。 今後はその 問題について改めて研究を深めていきたいと考えている 。 参考文献 20 <書籍> 一 般 財 団 法 人 ア ジ 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