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半導体電子工学II
半導体電子工学II 神戸大学工学部 電気電子工学科 小川 真人 10/05/'11 半導体電子工学 II 1 他講義との関連(積み重ねが大事←積み残すと後が大変) 2009 2010 2011 2012 10/05/'11 半導体電子工学 II 2 量子物理工学Ⅰ 3 10/05/'11 半導体電子工学 II ICの素子を小さくする利点 このくらいのだったらなぁ⇒素子の微細化が必要 (C) Shogakukan & G. Aoyama 「ツカモト博士,もっと小さ 「アガサ博士,もっと小さ く,高機能にしようよ。」 左目のレンズにレーダー画面が表示される。 発信器からの信号をキャッチすると、レーダー画面にその場所が表示さ れ、半径20km以内なら、追跡可能。 少年探偵団バッチと犯人追跡用ボタン型発信器の位置を、追跡するこ とが出来る。 メガネの先の、右が盗聴器で、左がイヤホン 10/05/'11 半導体電子工学 II 4 皆さんの研究 将来のナノテクノロジー この授業でお話 しできる範囲 10/05/'11 半導体電子工学 II 5 半導体電子工学IIでは… • 古典的シミュレーション:流体モデル • ドリフト・ディフュージョン • 対象:主にMOSFET 復習 – 「集積回路工学」(4年生)につながるように – 集積回路工学研究につながるように – デバイス・物性研究につながるように • 一日に少なくとも2時間勉強する習慣づけをして ください 10/05/'11 半導体電子工学 II 6 全体の内容 日付 内容(予定) 10/06/’10 備考 理解度チェック小テスト,半導体電子工学Iの基礎 1 10月 5日 (復習) 2 10月12日 半導体電子工学Iの基礎(復習) 3 10月19日 休講 4 10月26日 MOS構造(1) 5 11月 2日 MOS構造(2) 6 11月 9日 MOS構造(3) 7 11月16日 MOS構造(4) 8 11月30日 中間テスト? 9 12月 7日 MOSFET(1) 10 12月14日 MOSFET(2) 11 12月21日 MOSFET(3) 12 1月11日 MOSIC(1) 13 14 1月18日 1月25日 MOSIC(2) Bipolar Device (1) 期末試験直前対策ゼミ ? 15 2月1日/8日 10/05/'11 半導体電子工学 II 7 本日の内容 1. 基本方程式 キャリア密度の式 フェルミレベルの位置の計算 ポアソン方程式 電流密度の式 連続の式 2. pn接合 a. b. c. d. e. 接合の形成 pn接合中のキャリア密度分布 拡散電位 空乏層幅 電流-電圧特性 半導体電子工学 II 10/05/'11 8 Siの結晶構造 10/05/'11 ・大きさを覚えよう。 ・単位にも注意しよう 半導体電子工学 II 9 絶対零度でのSi結晶 (bond picture & band picture) 電子は いない 電子が詰まっ ている ・大きさを覚えよう。・単位にも注意しよう 半導体電子工学 II 10/05/'11 10 室温でのSi結晶 (bond picture & band picture) 電子は 熱励起されて 少しいる イメージを つかもう 電子が抜けて 正孔が生じる 10/05/'11 半導体電子工学 II 11 N型半導体,P型半導体 イメージを つかもう 10/05/'11 半導体電子工学 II 12 N型半導体 10/05/'11 半導体電子工学 II 13 ドナとアクセプタ (bond picture & band picture) 10/05/'11 半導体電子工学 II 14 Si の基本定数 (使えるようにしておこう) 右の単位に 良く用いられ 換算すると る単位 いくらになる か? 意味 記号 Si エネルギーギャップ Eg 1.12 eV J 真性キャリア密度 ni 1.5x1010 cm-3 m-3 比誘電率 KSi 11.7 ― 格子定数 a0 0.543 nm 10/05/'11 半導体電子工学 II MKS単位 m 15 基本方程式 習った (古典的デバイスシミュレーション) ■キャリア密度の式(1.38) 覚える ■ポアソン方程式(1.123) d 2φ (x ) q ρ (x ) ( p − n + ND − N A ) =− =− 2 dx Kε 0 Kε 0 ■電流密度の式(1.64a,65a) dn J n = qDn + qnμ n E dx dp J p = −qD p + qpμ p E dx 10/05/'11 ■連続の式(1.96)-(1.98) ∂n( x, t ) 1 ∂ = J n ( x, t ) + Gn ( x, t ) − Rn ( x, t ) ∂t q ∂x ∂p (x, t ) 1 ∂ =− J p ( x, t ) + G p ( x, t ) − R p ( x, t ) ∂t q ∂x 半導体電子工学 II 16 キャリア密度の式 10/05/'11 半導体電子工学 II 17 フェルミ準位とキャリア密度との関係 キャリア密度の式 喜多先生 土屋先生 ni=1.5×1016 [m-3] (Si の場合) FD分布関 数 ・大きさを覚えよう。・単位にも注意しよう 10/05/'11 半導体電子工学 II 18 中性半導体のフェルミ準位の計算法 • 中性半導体 – 電荷中性条件 (負電荷と正電荷が同じ量) − n − N A + p + ND = 0 (電子密度 [m-3]) (正孔密度 [m-3]) (アクセプタ密度 [m-3]) (ドナ密度 [m-3]) 9 N,ND≫p,NAのとき (n型半導体) 9 p,NA≫ N,NDのとき (p型半導体) 9それ以外 10/05/'11 半導体電子工学 II 19 前頁の式から考えてみよう • n型半導体のフェルミ準位 • p型半導体のフェルミ準位 – 上で使った近似が使えないとき – Boltzman近似が使えないとき 10/05/'11 半導体電子工学 II 20 pn積一定の法則 (質量作用の法則) • 熱平衡状態(バイアス なし,光照射なし) • 非平衡状態(バイアス 印加時など) p, nそれ ぞれのフェルミレベル が異なるので 10/05/'11 ⎛ Ei − EF pn = ni exp⎜⎜ ⎝ k BT = ni2 = const ⎛ EF − Ei ⎞ ⎞ ⎟⎟ ⎟⎟ × ni exp⎜⎜ ⎝ k BT ⎠ ⎠ ⎛ Ei − E Fp ⎞ ⎛ E Fn − Ei ⎞ ⎜ ⎟ ⎟⎟ × ni exp⎜⎜ pn = ni exp⎜ ⎟ ⎝ k BT ⎠ ⎝ k BT ⎠ ⎛ E Fn − E Fp ⎞ 2 ⎟⎟ ≠ ni2 = ni exp⎜⎜ ⎝ k BT ⎠ 半導体電子工学 II 21 自己チェック 9 フェルミ準位とキャリア密度との関係は? 9 電荷中性条件とは? 9 外因性半導体の中性領域(中性半導体)での フェルミレベルは計算できる? 9 キャリア密度の式(Boltzmann近似)の導出は? 9 Boltzmann近似ってなんだっけ? 9pn積一定の法則 10/05/'11 半導体電子工学 II 22 出てきた用語 • • • • • • • • • • 半導体 伝導帯 価電子帯 バンドギャップ 真性半導体 外因性半導体 中性半導体 電荷中性条件 キャリア密度の式 フェルミレベル(フェルミ準位) 10/05/'11 • pn積 半導体電子工学 II 23 値を覚えて量の感覚を身につけよう! 記号 kB q ε0 意味 値 単位 Boltzmann定数 1.38×10-23 J/K 電子の電荷(絶対値) 1.60×10-19 C 真空の誘電率 8.85×10-12 F/m 0.026 (T=300K) V k BT / q 他にも必要なものがあったら自分のノートに表を作ってみよう*) (期末試験対策や他の科目の受講の時に役に立つ) ・ Planck定数は? ・ 光速は? ・ SiやGeやGaAsの物性定数は? *)表を書くのが面倒だって? それなら適当な文献からコピーして貼り付けておいたら? 10/05/'11 半導体電子工学 II 24 ポアソン方程式 10/05/'11 半導体電子工学 II 25 ポアソン方程式 ポアソン方程式 ガウスの法則 (忘れたら復習しよう) 電磁気I (喜多) 量子物理I(小川) 10/05/'11 d 2φ (x ) q ρ (x ) (p − n + ND − NA ) = − = − 2 dx Kε 0 Kε 0 半導体電子工学 II 26 電流密度の式 10/05/'11 半導体電子工学 II 27 電流密度の式 喜多先生 dn J = qDn dx J n = −qnvd = qnμ n E dn J n = qDn + qnμ n E dx マイナスに注意 電流密度の式 dn J n = qDn + qnμ n E dx 10/05/'11 dp J p = −qD p + qpμ p E dx 半導体電子工学 II 28 拡散電流 10/05/'11 半導体電子工学 II 29 ドリフト電流,拡散係数と移動度との関係 散乱(イオン化不純物散乱, フォノン散乱)を受ける 10/05/'11 半導体電子工学 II 30 自己チェック 9 ドリフトとは? 9 拡散とは? 9何故電界で無限に加速されないの? 9アインシュタインの関係式とは? • Siの電子の移動度はどの程度の値? • Siの正孔の移動度は? 10/05/'11 半導体電子工学 II 31 連続の式 10/05/'11 半導体電子工学 II 32 連続の式(粒子数保存) 連続の式 (忘れたら復習しよう) 電磁気I (喜多) 量子物理I(小川) 10/05/'11 半導体電子工学 II 33 キャリアの発生と再結合 電磁気学の連続の式と違う所だ 光による発生 α線による 発生 直接再結合 トラップを 介した再結合 (SRH再結合) 発生 10/05/'11 再結合 半導体電子工学 II 34 トラップを介した再結合 ( ) A0 N t pn − ni2 U= ⎛ Et − Ei ⎞ ⎟⎟ n + p + 2ni cosh⎜⎜ ⎝ k BT ⎠ 10/05/'11 半導体電子工学 II 35 その他の発生・再結合メカニズム ■バンド間再結合(band to band recombination) ( U = B np − ni2 ) 発光再結合など(バンド内のキャリア密度の積に比例) ■表面再結合(surface recombination) pn − ni2 US = ⎛ Ei − Et p + n + 2ni cosh⎜⎜ ⎝ k BT ⎞ ⎟⎟ ⎠ N st vthσ s N st :surface trap density ■Auger再結合(Auger recombination) [m-2] …3つのキャリアが関係する再結合 :2個の電子が衝突して1個は正孔と再結合して消滅し、エネルギーを他の1個に与える。 ( ) ( U A = Cn n np − ni2 + C p p np − ni2 10/05/'11 ) 半導体電子工学 II 36 光によるキャリア発生 ■入射光強度 Iph [Wm-2],吸収係数 α [m-1], フォトンエネルギー Eph [J](>EG)によるキャリア発生率。 Ge = Gh = α I ph E ph EC E ph = hω (> E g ) 10/05/'11 Ge = Gh EV 半導体電子工学 II 37 連続の式 EC J e (x) Re x J e ( x + dx) Ge EV x + dx 電流連続の式より ∂n( x, t ) 1 ∂ = J n (x, t ) + Gn ( x, t ) − Rn ( x, t ) ∂t q ∂x ∂p( x, t ) 1 ∂ =− J p ( x, t ) + G p ( x, t ) − R p ( x, t ) ∂t q ∂x 10/05/'11 半導体電子工学 II マイナスに注意 38 基本方程式 ポアソン 方程式 d 2ψ ( x ) ρ (x ) = − ε dx 2 ∇(ε∇ψ ) = − ρ 電子 正孔 ⎛ E − EF p = ni exp⎜⎜ i ⎝ k BT キャリア密 度の式 ⎛ E F − Ei n = ni exp⎜⎜ ⎝ k BT 電流密度 の式 J n = qnμ n E + qD n ∇n 連続の式 ⎞ ⎟⎟ ⎠ ∂n( x, t ) 1 ∂ = J n (x, t ) + Gn (x, t ) − Rn (x, t ) ∂t q ∂x 10/05/'11 ⎞ ⎟⎟ ⎠ J p = qpμ p E − qD p ∇p ∂p( x, t ) 1 ∂ =− J p ( x, t ) + G p ( x, t ) − R p ( x, t ) ∂t q ∂x 半導体電子工学 II 39 pn接合 10/05/'11 半導体電子工学 II 40 n型半導体とp型半導体接合直後 10/05/'11 半導体電子工学 II 41 np接合形成終了 10/05/'11 半導体電子工学 II 42 pn接合内のキャリア密度 ⎛ EF − Ei (x ) ⎞ ⎛ EF − Ein ⎞ ⎟⎟ ⎟⎟ n = ni exp⎜⎜ nn = ni exp⎜⎜ ⎝ k BT ⎠ ⎝ k BT ⎠ ⎛ Ein − EF pn = ni exp⎜⎜ ⎝ k BT ⎛ E (x ) − EF ⎞ ⎟⎟ p = ni exp⎜⎜ i ⎝ k BT ⎠ ⎞ ⎟⎟ ⎠ ⎛ EF − Eip ⎞ ⎟⎟ n = ni exp⎜⎜ ⎝ k BT ⎠ ⎛ Eip − EF p = ni exp⎜⎜ ⎝ k BT ⎞ ⎟⎟ ⎠ Ei (x ) EF Eip Ein 10/05/'11 半導体電子工学 II 43 Pn接合内のキャリア分布(2) 10/05/'11 半導体電子工学 II 44 拡散電位 φbi Ei − E Fp E Fn − Ei 拡散電位 k BT ⎛ N D N A ⎞ ⎟⎟ φbi = ln⎜⎜ 2 q ⎝ ni ⎠ 10/05/'11 半導体電子工学 II 45 空乏層幅 d 2ψ ( x ) qN D =− 2 dx K Siε qN D (x + 2wn )x ψ (x ) = − 2 K Siε 0 qN A (x − 2wp )x ψ (x ) = 2 K Siε 0 Vbi = ψ (− wn ) −ψ (w p ) N D wn = N A w p 2 K siε 0Vbi (N D + N A ) w = wn + w p = qN D N A 10/05/'11 半導体電子工学 II 46 (付)Gaussの法則 ∫ A ⋅ ndS = ∫ ∇ ⋅ Adr Surface Volume どうやって導くのだったでしょうか? 10/05/'11 半導体電子工学 II 47 (付) キャリア密度の厳密な計算 +∞ n = ∫ g C (E ) f FD (E )dE Ec =∫ +∞ Ec 1 ⎛ 2m ⎜ 2 2 ⎜ 2π ⎝ h * n = N C F1/ 2 (η ) ⎞ ⎟⎟ ⎠ 3/ 2 1 E − EC ⎛ E − EF 1 + exp⎜⎜ ⎝ k BT 状態密度= 座席の数 ⎞ ⎟⎟ ⎠ dE ~3kBT Boltzmann近似が 成立しない領域 Boltzmann近似が 成立する領域 分布関数=席 の占有割合 T=300K 10/05/'11 半導体電子工学 II II 48