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2014 SEPTEMBER - 日本大学産官学連携知財センター NUBIC

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2014 SEPTEMBER - 日本大学産官学連携知財センター NUBIC
2014 SEPTEMBER
Nihon University Bussine
Bussiness, Research and Intellectual Property Center
CONTENTS
【巻頭言】
大学の研究成果による社会貢献を進めるために
01
【TOPICS】
平成26年・知的財産法改正と今後の課題
02
【企業紹介】
システム・インスツルメンツ株式会社
05
乃村工藝社グループ ノムラテクノ株式会社
06
【研究紹介〈対談〉】
日臺 智明准教授 × 益子 崇准教授
【Hot News Express】
07
09
松本 太郎教授 × 加野 浩一郎教授
文部科学省・大学発新産業創出拠点プロジェクト
【NUBIC インフォメーション】
NUBICの取り組み
NUBIC開催・出展イベント
コーディネーター紹介
日本大学産官学連携知財センター
10
巻 頭 言
大学の研究成果による
社会貢献を進めるために
松本太郎医学部教授らによる研究
「脱分化脂肪細胞
金澤 良弘〈かなざわ よしひろ〉
日本大学産官学連携知財センター 副センター長
日本大学大学院知的財産研究科 教授
されるケースも目立つ。
の臨床用細胞製造と細胞治療への応用」
が文
(DFAT)
部科学省の平成 26 年度大学発新産業創出拠点プロ
(プロジェクト支援型)
に採択さ
ジェクト
(START 事業)
。
れた
(本誌 9 ページをご参照いただきたい)
この事業は,
研究開発・事業育成のための政府資金
と民間の事業化ノウハウ等を組み合わせて起業前の
歯科用CT装置のケース
大学発技術の事業化において本学及び本学研究者
が貢献した事例の一つとして,
歯科用 CT 装置のケー
スをご紹介したい。
段階から大学発ベンチャーの事業戦略・知財戦略等の
歯学部新井嘉則特任教授
(当時助
歯科用 CT 装置は,
構築を支援し,
大学等のポテンシャルが高いシーズの
手)
が開発し,
株式会社モリタ製作所が製品化した医療
大学発ベンチャーによる事業化を目指すものである。
装置である。それまでにない,
全く新しい医療装置であっ
松本教授をはじめ研究に携わっておられる先生方に
たことから,
試作品の段階から商用機の開発,
それに引き
は,
本学発再生医療によるライフ・イノベーションの実
続く薬事項目の新設のため,
新井教授と企業による研究
現に向けて,
更なる研究の推進とともに,
知財の充実
が継続して行われ,
新井教授による試作機完成から約 10
等事業化に向けたご協力をお願いしたい。
年を経て,
2001 年に商用一号機が販売されるに至った。
また,
製品発売後も,
歯科用 CT 装置には高解像度,
研究成果の事業化と大学研究者の役割
発明者自身がその発明の技術内容を最も熟知した人
であることは論を待たない。このため,
大学発ベンチャー
低被ばく,
易操作性等たゆまぬ機能向上が求められる
ことから,
共同研究は継続して行われ,
開発された技
術は逐次製品に実装され,
同社製品の市場における
競争力の源泉となっている。
の場合には,
自らの技術を社会に活かすことに意欲的な
研究者が研究成果の事業化プロセスに積極的に参加す
るケースが多い。身体機能を改善・補助・拡張すること
研究成果による社会貢献を推進するために
ができる,
世界初のサイボーグ型ロボットスーツの開発・
研究成果による社会貢献は,
大学の研究成果を企
事業化を進め,
最近注目されているサイバーダイン株
業に技術移転することで完結するものではなく,
研究
式会社では,
発明者である山海嘉之筑波大学大学院教
成果が製品・サービスの形に結実し,
発売された製品・
授が同社の代表を兼務し,
自ら事業化を推進している。
サービスが国内外の市場に受け入れられ普及すること
一方,
大学から既存企業への技術移転の場合には,
により達成される。
実施許諾を行った時点から,
事業化のノウハウに長
産学連携による社会貢献の促進は,
本年 4 月に設立
け,
実際に事業を行う企業が専ら事業化プロセスを担
され,
来年 4 月から本格的に活動を開始する研究推進
うものと考えられている。
支援機構における重要な役割の一つである。大学発
しかしながら,
大学発のシーズは,
事業化の観点か
技術の事業化を促進するための支援内容は,
産学共
ら見ると基礎的な段階にあるものが多く,
製品化に向
同研究のアレンジ,
試作費の提供,
臨床試験への支援
けた追加研究が必要な場合が多い。また,
市場に出て
等技術分野により多様である。また,
支援に当り専門
からも,
競合企業・製品との競争に勝ち抜くため,
絶え
人材の充実は欠かせない。本学における研究成果に
ざる技術改良が求められる。このため,
技術移転の実
よる社会貢献の推進に向けて,
同機構による取り組み
際を見ると,
技術移転以降も大学研究者の貢献が期待
の充実が求められている。
01 NUBIC NEWS
TOPICS
平成26年・知的財産法改正と今後の課題
加藤 浩〈かとう ひろし〉
日本大学大学院知的財産研究科教授
1990年3月に東京大学大学院を修了後,
1990年4月∼2009年3月まで,
経済産
業省(特許庁)
において特許行政を担当(2008年3月に博士号取得)。2009年4月
より,
日本大学法学部教授,
2010年4月より日本大学大学院知的財産研究科教授。
本年 4 月 25 日に特許法等の一部を改正する法律が
つでも請求できる点,
公益的事由のほか権利帰属に
5 月 14 日に法律第 36 号として公布されました。
成立し,
関する事由を含めて無効を主張できる点
(同 123 条 1
改正の対象は,
特許法,
意匠法,
商標法などであり,
い
項)
,
原則として口頭審理によって審理が行われる点
ずれも重要な規定が改正されています。また,
著作権
法の一部を改正する法律も同日に公布されました。
今回の改正の背景には,
平成 25 年 6 月に閣議決定
などは,
これまでと同様です。
(同 145 条 1 項)
本改正事項は,
公布の日から起算して 1 年を超えな
い範囲内において政令で定める日に施行されます。
された
「日本再興戦略」において,
知的財産戦略を強化
することが示された点があげられます。安倍政権が推
特許掲載公報の発行
6か月以内
進するイノベーション政策の一つとして,
知的財産政
策は重要な位置にあるものと考えられます。
特許
本稿では,
平成 26 年・知的財産法改正のうち,
異議申立
誰でも請求可能【書面審理】
法,
意匠法,
商標法,
著作権法における主要な改正内
容について紹介し,
今後の課題について考察します。
無効審判
利害関係人のみ請求可能【原則として口頭審理】
1.特許法の改正
図1 特許異議申立制度と無効審判制度の概要
◆異議申立制度の創設
◆今後の課題
第三者の特許権に対して,
異議を申し立てることに
異議申立制度は,
書面審理を原則とし,
特許権者と
よって,
特許の取消しを求める制度として,
異議申立制
異議申立人の対立構造ではなく,
特許庁による特許付
度が創設されます。申立期間は,
特許掲載公報の発行
与の見直しを目的とするものであるのに対して,
無効
利害関係人に限らず誰でも異
日から 6 か月以内とされ,
審判は,
口頭審理を原則とし,
特許権者と無効審判請
。
議申立をすることができます
(特許法 118 条 1 項柱書)
求人の対立構造
(当事者対立構造)
になります。した
異議申立の理由は,
新規性や進歩性を満たしている
がって,
異議申立制度においては,
無効審判制度にお
か,
明細書や特許請求の範囲の記載要件を満たしてい
ける審判請求人に比べて,
異議申立人の負担が少な
るか,
補正の要件を満たしているか等,
公益的事由のみ
い利点があります。今後は,
異議申立制度が大いに利
に限定され,
権利帰属に関する事由
(冒認出願や共同
用されることが予想されます。
。
出願違反)
は申立理由から除かれています
(同 113 条)
したがって,
今回の特許法改正後は,
企業の知的財産
異議申立制度の創設に伴い,
無効審判制度
(第三者
業務の中に,
新たに異議申立に関する業務を設定し,
知
の特許権に対して,
無効を主張して特許の取消しを求
的財産戦略の体制の見直しを図ることが重要です。特
める制度)
についても改正され,
従来は,
誰でも無効審
に,
異議申立の期間は,
特許掲載公報の発行日から 6
判を請求することができましたが,
改正後は,
利害関
か月以内に限られていることから,
異議申立を行うべき
係人に限り無効審判を請求することが可能になります
か否かの判断を早期に行い,
異議申立に必要な証拠収
。ただし,
無効審判は,
特許後い
(特許法 123 条 2 項)
集や書類作成を迅速に行う体制を整備すべきでしょう。
Nihon University Bussiness, Research and Intellectual Property Center
02
匠権は,
デザインの保護だけでなく,
技術の保護として
2.意匠法の改正
の側面を備えていることから,
研究開発とデザイン開
◆国際条約への加入に伴う規定の整備
発を一体的に推進することが有効です。近年,
特許協
「意匠の国際登録に関するハーグ協定
(ジュネーブ
力条約に基づく国際特許出願が増加する中,
ジュネー
改正協定)
」
に加入するための国内規定が整備されま
ブ改正協定に基づく国際意匠登録出願も積極的に行
した。すなわち,
今回の改正によって,
意匠法におい
われていくものと考えられます。
(ジュネーブ改正協定に基づく特例)
て,
「第 6 章の 2」
ジュネーブ改正協定に基づく国際意匠登録出願は,
を新設し,
意匠に係る国際登録出願に関する手続を整
指定国において,
比較的早期に意匠権が設定されるこ
とともに,
国際登録に基づ
備する
(第 6 章の 2 第 1 節)
とから,
初期の模倣品対策に即効性があります。また,
き日本における保護を求める国際意匠登録出願に関
模倣品被害が国際的に深刻化する中,
ジュネーブ改正
。なお,
本
する手続を整備します
(第 6 章の 2 第 2 節)
協定に基づくグローバルな意匠権への期待は大きい
改正事項は,
「ジュネーブ改正協定」
が日本について効
ものと考えられます。
力を発生する日が施行期日となります。
今後は,
今回の意匠法改正により,
ジュネーブ改正
「意匠の国際登録に関するハーグ協定
(ジュネーブ
協定の利用を視野に入れて,
意匠権の保護と利用につ
改正協定)
」
は,
各国ごとに行われる出願手続きを一元
いて知的財産戦略の見直しを図ることが重要でしょう。
への一つの出願手続き
(国
化し,
国際事務局
(WIPO)
際出願)
により,
指定国それぞれに出願した場合と同
3.商標法の改正
等の効果を得ることができる制度であり,
「出願手続き
の簡素化」
が図られます。また,
国際出願は,
出願日か
◆商標の保護対象の拡充
無審査国ではそのま
ら 6 か月後に国際公開された後,
新しいタイプの商標
(色彩,
音など)
を保護対象に追
12 か月
ま権利が発生し,
実体審査国では国際公開後,
加することによって,
商標の保護対象を拡充し,
それに
以内に審査が行われ,
拒絶理由が発見されて拒絶の
伴って,
出願手続き等について所要の規定の整備が行
通報がなされた場合を除き,
そのまま権利が発生しま
われます。
す。このように,
ジュネーブ改正協定によって
「登録時
期の早期化」
が図られます。
保護対象の拡充のうち,
「色彩」
については,
従来は,
文字,
図形,
記号,
立体的形状との結合でなければ保
護されませんでしたが,
改正後は,
「色彩のみ」
であって
出願人
各国特許庁
A国、B国、C国に
出願した場合と
同等の効果
も保護対象とされ,
輪郭のない単一色又は色の組み合
わせからなる商標も保護対象になります。また,
「音」
についても,
商標の保護対象とされ,
音楽,
音声,
自然
=
国際事務局(WIPO)
O) =国際出願
音等からなる商標も保護対象になります。
また,
商標を出願するにあたって,
「商標の詳細な説
明」
を願書に記載し,
又は
「経済産業省令で定める物
A国
B国
C国
,
こ
件」
を願書に添付することとされ
(商標法 5 条 4 項)
れにより,
従来は出願手続に係る規定が整備されてい
図 2 ハーグ協定
(ジュネーブ改正協定)
に基づく出願手続き
なかった
「動きの商標」
「ホログラム商標」
,
「位置商
,
標」
についても,
商標の変化の仕方等を願書の
「商標
◆今後の課題
意匠は,
技術と密接な関係を有することが多く,
例え
の詳細な説明」
として記載すること等により登録が可
能となります。なお,
「動きの商標」
とは,
図形等が時間
ば,
自動車のタイヤの模様は,
意匠であると同時に,
タ
によって変化する商標であり,
「ホログラム商標」
とは,
イヤの性能を高める技術でもあります。したがって,
意
光の反射によって見える図形が異なる商標であり,
「位
03 NUBIC NEWS
置商標」
とは,
図形等の使用位置を特定した商標です。
本改正事項は,
公布の日から起算して 1 年を超えな
い範囲内において政令で定める日に施行されます。
今回の著作権法改正によって,
電子媒体による出版
(電子出版)
に対応した出版権として,
電子出版権が創
CD-ROM 等(記録媒体に記
設されます。具体的には,
録された著作物の複製物)
による出版を行う者,
及び,
◆今後の課題
インターネット送信による電子出版を行う者に対して,
今回の改正により,
商標の保護対象が拡充されたこ
。
出版権が認められることになります
(著作権法 79 条)
とから,
自己のブランド戦略を強化するために,
新しい
現行の著作権法では,
電子媒体による出版物は
「出
タイプの商標の活用を検討すべきでしょう。また,
新し
版権」
の対象とされていないことから,
電子書籍の海賊
いタイプの商標を使用しない場合であっても,
第三者
版に対して,
著作権者が自ら対処しなければならず,
著
の商標権の侵害を回避するため,
新しいタイプの商標
作権者個人だけでは負担が大き過ぎて対応が困難で
の調査を行うことが必要になります。このような業務に
す。今回の著作権法改正によって,
電子出版権が創設
ついては,
国内では実績が少ないことから,
新たに社
されたことにより,
電子書籍の海賊版に対して,
出版社
内の業務体制を構築したり,
新しいタイプの商標の調
が電子出版権に基づいて対抗できることになり,
海賊
査を行うためのツールや方法を検討したりすることも
版の抑止効果が増大することが期待されます。
本改正事項の施行期日は,
平成 27 年 1 月 1 日とされ
必要でしょう。
また,
新しいタイプの商標には,
今回の法改正で導
ています。
入されるもの以外にも,
「におい,
味覚,
触覚,
トレード
ドレス
(店舗外観)
」
などがあり,
このような商標を保護
◆今後の課題
対象としている国があります。とくに,
米国,
欧州,
豪
今回の著作権法改正により,
電子出版権が創設され
州,
台湾などでは,
新しいタイプの商標が広く保護対
るため,
電子書籍の著作者は,
出版社に対して,
書面に
。今回の商標法改正で
象とされています
(表 1 参照)
より詳細な契約を交わすことが必要になります。特に,
は,
「におい,
味覚,
触覚,
トレードドレス
(店舗外観)
」
契約内容については,
例えば,
「紙媒体のみ」
又は
「電
については,
商標法の保護対象には含まれない予定と
子媒体のみ」
の出版権に限定するのかなど,
詳細な内
なっており,
今後の検討課題となっています。
容を検討する必要があります。
また,
企業が電子書籍の利用者にあたる場合には,
表1 諸外国における新しいタイプの商標の保護
動き ホログラム 色彩のみ 位置
音
におい 触感
社員
(研究者など)
の行為が第三者の電子出版権の侵
味
トレード
ドレス
害にならないように,
注意喚起や情報提供を行うこと
米国
○
○
○
○
○
○
○
○
○
が必要です。特に,
頒布の目的をもって紙の出版物を
欧州
○
○
○
○
○
△
△
△
○
電子化したり,
電子書籍をインターネット配信する行
豪州
○
○
○
○
○
○
○
○
○
為は,
電子出版権の侵害に該当する可能性があり,
注
台湾
○
○
○
○
○
○
○
○
○
意が必要です。
日本
×
×
×
×
×
×
×
×
×
○:保護あり ×:保護なし △:過去に登録例があったが、
最近では、
新たな登録例はない。
※欧州:欧州共同体商標意匠庁
(OHIM)
5.結語
今回の法改正は,
いずれも知的財産権の保護を強
4.著作権法の改正
化する方向にあり,
プロパテント政策という強い流れ
を感じます。今後とも,
プロパテントの潮流に後れをと
◆電子出版権の創設
現在の出版権
(著作物を出版することができる権
ることなく,
知的財産法の改正に対して,
迅速・的確に
対応していくことが大切です。
「平成 26 年 特許法等説明会資料」
2014 年
利)
は,
紙媒体による出版のみを対象としていますが, 〈参考文献〉特許庁
Nihon University Bussiness, Research and Intellectual Property Center
04
企業紹介
システム・インスツルメンツ株式会社
取締役社長
産学連携を基に
経営革新
濱田 和幸〈はまだ かずゆき〉
会社概要
所在地…東京都八王子市小宮町776-2 資本金…
5,000 万円 事業内容…1972 年創立
「医療・健康・環
境・バイオ」
をキーワードに医療臨床検査装置,
介護予防
自動筋力トレーニングシステム,
各種分析自動前処理装
置,
光検出応用機器,
先端バイオ関連装置等の研究開
発,
製造販売
私共の会社は 1972 年
「人の役に立つ技術・ビジネスに生
かされる技術」
という経営理念のもとに創立しました。
「医
療・健康・環境・バイオ」
をキーワードに,
創立以来,
創造的研
究開発型の形態を貫き,医療臨床検査装置をはじめ,介護
・得られた情報が遺伝子で生物種を識別するものであり,
その違いは特定の生物種に固有であること。
・異生物種間の比較が容易に行える上に,同種同属の生
物の識別が行えること。
予防自動筋力向上トレーニングシステム,各種分析自動前
以上の点から簡易遺伝子分析の自動化への基盤技術と
処理装置,光検出応用機器,先端バイオ関連装置等の研究
なり東京都で最も重要な問題の一つ「食の安全と安心」
に役
開発,
製造販売など多岐にわたり事業を展開しております。
立つ技術と判断いたしました。
中小企業が抱える問題を幅広い技術で克服したい
中小企業を経営する上で一番難しいのが「ヒト」
です。
2010 年東京都「平成 22 年度新製品・新技術助成」の採択
を得ることができ,共同研究開発を始めました。畠山先生の
基盤技術と私共の要素技
ノウハウや技術はもちろん,知財,図面,実験データまでが
術の合わせ技で簡易遺伝
「ヒト
(個人)
」
の頭の中にあります。こうした背景を抱え,
私共
子診断装置
「BIOFELLOW
のような会社が世の中の時流に合わせながら独自の技術を
HDGP」製品試作を作成し,
発展させるのは非常に難しいのが実情です。
2014 年 5 月「BIOtech2014」
これを解決するために 1994 年から人と技術を含めた技
術の継承を始めました。また併せて常に幅広く国公立及
び民間企業の研究機関,大学,
メーカー等との連携を積極
的に行ってきました。
に展示し多くの反響を得る
ことができました。
製品名「BIOFELLOW HDGP」
現在世の中の要請に伴い(TPP 間もなく開始)
・食の安全・安心に関する問題
産学公マッチング
・違法交配品種の製造販売
(財)
東京都中小企業振興公社主催
「農商工連携マッチン
・外来生物の侵入
で,
日本大学 NUBIC の技術シーズとして紹介さ
グ 2009 秋」
・新型感染症
れた生 物 資 源 科 学 部 の 畠 山 先 生 の 研 究 発 表を拝 聴し
に対応すべく来年度上市を目標に最終検証作業を進め
HDGP 法の下記の点に興味を抱きました。
ております。
・遺伝子の増幅断片を限定しないランダム PCR 法により,
本製品の市場として,大学・民間企業研究機関,食品分析
ゲノム構成の違いを測定することが可能であるため,
得ら
機関,輸入農水産物取扱商社,大手スーパー,検疫所,動植
れた情報はそのまま生物種を特定することができること。
物工場など多分野への展開が期待できます。
発明者からのコメント
生物資源科学部 植物資源科学科 准教授 畠山
吉則〈はたけやま よしのり〉
感染症の診断技術は日々変化していきます。総合的病原微生物検出手法
(HDGP)
は特殊な DNA 解析手法を改変し
たすべての病原微生物の検出を可能とする技術です。例えて言えばこの手法はレントゲンの概念を DNA の挙動で示す
ものであり,
影の有無で病原微生物の存在を確認するというものです。HDGP 法は理論的には正しくても安定した結果
NUBIC の仲介により,
システム・インスツルメンツ株式
を得るためには高度な技術の習熟が必要な技術でした。しかし、
HDGP 法を実装した装置を実現することが出来ました。検出概念そのものは応用性の高
会社と産学共同開発を行い,
いものですので,
社会ニーズに十分応えられる機器になるものと信じています。
●担当コーディネーター 小野 洋一
05 NUBIC NEWS
企業紹介
乃村工藝社グループ ノムラテクノ株式会社
漢方医学用
「腹診シミュレータ」の開発
代表取締役
髙橋 元彦〈たかはし もとひこ〉
会社概要
所在地…東京都江東区新木場 2 丁目 2 番 1 号 資本
金 … 2,500 万 円 事 業 内 容 … 展 示 装 置・映 像・グラ
フィック・情報システムなどの設計・制作・保守・運営サ
ポート・ご提案
弊社は,1995 年の創業以来,ハイテク&ローテクの技
特筆すべき点としては,人の皮膚がずれる感覚を表皮の
術者集団として,科学館,博物館や企業ショールームなど
内側のある工夫により,再現出来たことです。これを発明と
の展示装置の制作から保守,
メンテナンスを中心に事業
して,
日本大学と共同で
「腹診シミュレータ」
に関する 2 件の
展開してきました。現在は映像・グラフィックやモニュメ
特許出願を行いました。この他にも様々な工夫を重ね,現
ント・模型・ジオラマなどの造形演出の設計制作部門を
「腹力モデル」
と
在,製品としては,腹力の 5 段階を想定した
有し,130 館を超す施設において年間 1 , 300 件以上のプ
7 種の所見を想定した「所見モデル」の計 12 種のモデルを
ロジェクトを推進しています。私たちの強みは施設運営
展開しており,2014 年春から,主に教育用途目的で販売を
現場の活動を通して,お客様や来館者の生の声を日々直
開始いたしました。
接聞いていることです。2015 年には創業 20 周年を迎え
さらには,
「腹診シミュレータ」に触覚センサーを組み込
ますが,
「日本一のテクニカルオペレーション会社」を目
んだ「センサーモデル」
を製作いたしました。機能としては,
指し,今後ともお客様の事業繁栄に貢献したいと考えて
手で押す力を視覚的に表示できるようにし,主観的にも客
おります。
観的にも腹診を理解できるようにしたモデルです。
漢方医学用
「腹部模型」
製作への挑戦
この度,医学部の矢久保先生からの依頼をきっかけに,
今後もこうした発展型モデルの開発と従来モデルの普及
によって,医学教育並びに,腹診技術の標準化に貢献して
参ります。
漢方医学用「腹診シミュレータ」
の製作がスタートしました。
開発当初は,漢方医学における
「腹診」
という,我々にとっ
て,未知なる領域に触れることから始まりました。 造形物
の製作とは異なり,腹部所見を表現する内部構造の構成に
あたり,手のひらの感覚にどう伝わるのかを想定し製作して
いかねばなりませんでした。矢久保先生ご監修のもと,
これ
までのノウハウを活用しつつ,各部品の素材の選定から,構
造の検討を重ね,新たな手法を見つけ出し,昔ながらの人
の手による技術を駆使し,
それぞれのモデルを完成させて
いきました。
製品名「漢方医学用腹部模型」
発明者からのコメント
医学部 医学科 准教授
(研究所)
矢久保
修嗣〈やくぼ しゅうじ〉
漢方医学は古代中国で生まれ,
我が国には奈良時代以前に伝わり,
日本独自の伝統医学として発展してきました。
我が国では腹部を触診する
「腹診」
という独特の診察法が存在しています。漢方医学では疾患による生体の変化は腹部
に投影されると考えられており,
腹診はたいへん重要なものです。従来の腹部診察教育用シミュレータは,
触診時の皮膚
のずれる感覚もなく不適切なものばかりでした。我々は腹診教育用のシミュレータを発案し,
教室員で手作りしました。
NUBIC の助成により試作品を製作しましたが,腹部表面の質感や形態に関しては不充分であるという課題が残
この後,
りました。今般,
ノムラテクノ株式会社の優れた技術を導入することによりこれらが改良され,
我々の企画は結実すること
ができました。このシミュレータは本学ばかりでなく,
他大学にも導入され漢方医学教育に寄与しており,
医療の向上や,
漢方医学の国際化に貢献することが期待されます。
●担当コーディネーター 小野 洋一
Nihon University Bussiness, Research and Intellectual Property Center
06
研究
紹介
〈対談〉
医学部・日臺智明准教授 × 薬学部・益子崇准教授
〈ひだい ちあき〉
〈ますこ たかし〉
日大発創薬シーズの
ステップアップを目指して
NUBIC は特許出願だけでなく,公的研究資金の獲得,各種展示会への参加により情報発信・企業ニーズ収集を積極
的に行っております。
医学部の日臺先生,
薬学部の益子先生に特許出願,
学内研
今回は日ごろ NUBIC と連携している先生のなかから,
NUBIC への期待・要望等を伺いました。成功に至る確
究交流,
特許出願をベースにした事業化を目指す助成金の申請,
率が極めて低い創薬シーズですが,
両先生は特許出願を利用した公的資金獲得をされながら,
そのステップアップを
目指しておられます。
期コラムなどで手軽に触れることが出来るようにしてはどう
特許出願に関して
でしょうか。同じ学部の教員が例になっていれば,
自分の研
― 日臺先生は 2002 年,
益子先生は 2003 年に本学
究ももしかして…,
といった発想につながると思います。
で創薬関連の発明をされて以来,
10 数年が経ちました
― ありがとうございます。効果的な宣伝を検討していき
が,
初めて出願したきっかけは何ですか。
たいと思います。
益子 共同発明者が以前から NUBIC と連携していたこ
とがきっかけです。実際に発明届を提出すると,
弁理士
が書いた明細書の詳細な書きぶりに感心するくらいで,
イノベーション・ジャパンから学部間連携へ
発明者にとって大変なことはありません。
― 先生方にはフェア等での出展にもご協力いただいてお
日臺 研究室の同僚の所に,
たまたま来ていた NUBIC
りますが,
フェア出展のご感想をお聞かせください。
の斎藤さん
(当時の担当コーディネーター)
を通じて存在
益子 正直,
忙しい合間を縫ってなのでタイトですね。で
を知り,
私もお願いしようかなというのがきっかけです。
も普段大学で基礎研究をやっていて,
意見をいただくこと
― 本学の発明届出数がピーク時の半分ほどになってお
はありますが,
来場企業からご意見をいただき改めて考
り,
NUBIC の活動を改めてお知らせする必要を感じて
え直さなければいけないところが出てくるなど,
プラスに
います。周りの先生方をご覧になって,
NUBIC の認知
なっている気がします。
度については,
どのように感じますか。
日臺 私も同感です。思わぬ意見が研究の方向性を変
益子 私の個人的な感想ですが,
薬学部では NUBIC を
えてみようかと考えるきっかけになったり,
発表のために
知らない教員はいないと思います。それは,
学部の規模
プレゼンテーションをまとめるたびに,
自分自身新たな
が小さいからで,
何人かの教員が関わっていれば,
その
着想があったりします。
話が広がります。ただ,
どのような研究結果が出たら連絡
― NUBIC が 出 展 し た
「イ ノ ベ ー シ ョン・ジ ャ パ ン
すればいいのかが分からず,
二の足を踏む教員も多いの
ではブースを隣同士に構えたことがきっかけ
2013※」
ではないでしょうか。一回相談を経験すれば,
敷居がだ
で交流が始まったそうですね。
いぶ下がるかと。もともと高いわけでないと思いますが。
※
(独)
科学技術振興機構
(JST)
が主催する全国の大学が
一堂に集まり,
企業へ研究シーズを発信する展示会
日 臺 NUBIC の名前は知っ
ていても自分と関係のある存
日臺 私のペプチドの話をしたところ,
益子先生が,
脳梗
在と感じない,
自分の持ってい
塞に対する治癒効果があるか見てくださるということにな
る研究結果が特許になるかど
り,
後日ペプチドをお渡しして共同研究が始まりました。
うかが分からないのではと思
益子 ポスターブースでペプチドが脳浮腫に効果がある
います。私の場合は研究室の
かもしれないというお話を伺い,
先生のペプチドに興味
同僚に出願経験がありました。
を持ちました。私は普段実験していて,
梗塞部位の浮腫
そういう例が身近にない場合
を何とかできないかと思っていました。でもアイデアは持
は NUBIC や特許出願につい
ち合わせていなかった。先生のペプチドで,
私たちの化
日臺 智明 准教授
てイメージが湧きにくいと思い
合物とは違うアプローチの治療ができる可能性を感じま
ます。例えば各学部で特許出願された実例を学内新聞の定
した。
07 NUBIC NEWS
― 素晴らしい出会いですね。もっと早くから脳梗塞系の
一緒にやってきて,
貴重なアドバイスももらいました。で
モデルを扱っている先生の存在を知っていたら,
コンタ
も,
ペプチドを最適化,
もっと明確な薬効…,
リクエストの
クトを取られていましたか。
全てに応えるのは,
一研究室では限界がある。自分の専
日臺 はい。共同研究の相手は,
まずは学内の方を探し
門分野でポっと出してきたデータから薬を育てるのは,
ているので,
知っていればコンタクトしました。科研費の
今のシステムの中からは不可能だと思いますね。
申請タイトルで研究分野,
興味のあるエリアがある程度
― 顕在化タイプまでは良いとしても,
その先のステップ
NUBIC の
把 握できるのです が,
今 回もそうでしたが,
までの溝が深くて遠い。面白い案件だねと声をかけても
コーディネーターのような人がワンクッション入ること
らうことがあって,
いざ紹介してみると求められるものが
は,
とても大事だと思います。
とても高い。創薬シーズをもう一つ上のステップに押し
今回,
益子先生と連携した一番の大きな理由は,
直接お
上げる方法を探るべく,
これから先,
外部の専門家との
話して
「いい人だな」
と感じたことです。その後,
渡辺さん
連携が必要だと感じています。
に,
どんな先生かお尋ねして,
お墨付きをいただいたこと
も大きな後押しとなりました。
― 学部間連携の推進については,
研究推進部主催のポ
今後の課題
スターセッションの開催,
シンポジウム助成金を出すな
― 最後になりますが,
NUBIC,
大学にこんな仕組みが
ど取組んでいます。そこで出会った後のフォロー,
きっか
あったら等,
ご要望をお聞かせください。
けを育てる,
関係を途切れさせない仕組みを作ることが
益子 先ほどの学部連携で思ったのですが,
興味を持っ
課題であると実感しました。
た相手が見つかっても,
そこで終ってしまいます。
きっかけになる資金,
個人的には額の大小よりも,
ステッ
A-STEP への申請 探索タイプから顕在化タイプへ
― JST の A-STEP の探索タイプから顕在化タイプへと
プアップのシステムがあって,
あるテーマを進め,
結果が
出て,
それがポジティブな結果であったら,
更に次に進め
ていけるようなシステムがあると誘われた自分も乗りや
申請されていますが,
前向きに進めてみようと思われた
すいし,
自分も相手を誘いやすいと思います。
経緯についてお話いただけますか。
日臺 若手研究者のことを考えると,
年限,
他学部の研
益子 探索タイプは,
特許出
究者との連携など条件は必要になると思いますが,
学内
願をしていると有利と聞き,
での資金を分散する,
そして大型の外部資金の獲得につ
チャレンジしました。今回,
企
なげる。実績のある研究者の外部資金が切れた時,
大学
業と更に研究費の大きい顕
がフォローアップしてくれるなどの体制があると助かるの
在 化タイプに採 択 いただ い
ではないでしょうか。
て,
研究が進んだという意味
― 本日はお忙しいところ有意義なお話をありがとうござ
では,
凄くメリットになります。
いました。今後の活動に前向きに取り入れていけたらと
日 臺 私 が A-STEP に申請し
思います。
た理由は,
やはり研究費が欲し
益子 崇 准教授
A-STEP に
い からで す。ただ,
採択されて,
特に企業と共同で申請書を仕上げることで勉
強になった,
視野が広がったという効果を実感しています。
聞き手:担当コーディネーター
渡辺 麻裕〈わたなべ まゆ〉
― 顕在化タイプによる研究期間がもうすぐ終了します。
中 間 報 告 会では先 生 方 の 順 調 な 実 験 の 進 捗に対し,
JST の方も感心されておられました。今回の共同研究
先やフェアで接触した企業からのご意見でお感じになっ
た点はありますか。
益子 専門の範疇の出来る限りの in vivo 実験まではあ
る程度すんなり行くことできるのですが,
物性は?安全性
は?薬物動態は?など,
こちらの専門分野外のデータが
次々求められる。いざ論文にまとめようとしたときには,
自分の専門範囲と関係ないデータが労力をかけて蓄積
され,
リソースに限界がある中でどこまで出来るのだろう
というのが今の悩みです。
日臺 そう,
全く同じです。企業の方にはお世話になって
研究内容
〈日臺先生〉
●発明の名称:上皮および内皮における微小損傷の治癒を促進するペプチド
●出願番号:PCT/JP2013/062989(JST 外国特許出願支援採択)
●発明者:日臺 智明,北野 尚孝,真宮 淳
●概要:本ペプチドは血管に生じた小さな穴を塞ぐことにより組織への水分貯留を
抑制する。特に肺への水分貯留によって生じる呼吸不全に有効である。
●実績:平成23年度,事業名;A-STEP 探索タイプ
平成25年度,
事業名;A-STEP 顕在化タイプ
〈益子先生〉
●発明の名称:ビグアニド誘導体化合物
●出願番号:特願 2012-546927,
米国,
EP( 独・仏・英 ),
中国(JST 外国特許出願支援採択)
●発明者:三宅 宗晴,草間 貞,益子 崇
●概要:NMDAR 及び ASIC1aを同時阻害する新規ビグアニド誘導体。
細胞内カルシウム濃度の上昇を抑制し,
神経細胞保護効果を発揮する。
●実績:平成23年度,事業名;A-STEP 探索タイプ
平成25年度,事業名;A-STEP 顕在化タイプ
Nihon University Bussiness, Research and Intellectual Property Center
08
H o t N ews Exp ress
文部科学省
「大学発新産業創出拠点プロジェクト」
(START)
に本学の研究が採択
平成 26 年度「大学発新産業創出拠点プロジェクト
(プロジェクト支援
型)
」
に医学部・松本太郎教授と生物資源科学部・加野浩一郎教授を中
(Dedifferentiated
心とした研究グループが共同で研究を進める DFAT
医学部 医学科 教授
松本 太郎〈まつもと たろう〉
1987 年本学医学部卒業。医学部第二内科
学教室で臨床・研究に従事。1996 年博士
学位
(医 学)
取 得。1999 年 から3年 間,
ス
ウェーデン・ウプサラ大学に留学し,
血管新生
の分子機構に関して研究。2002 帰国後よ
り再生医学研究に取り組んでいる。本学医
学部助手,
准教授を経て2009 年より現職。
fat cell,脱分化脂肪細胞)
の研究プロジェクトが採択されました。
本事業は,
事業化ノウハウを持った人材
(事業プロモーター)
ユニッ
トを活用し,
大学等発ベンチャーの起業前段階から,
研究開発・事業育
成のための政府資金と民間の事業化ノウハウ等を組み合わせることに
より,
リスクは高いがポテンシャルの高い技術シーズに関して,
事業戦
略・知財戦略を構築しつつ,
市場や出口を見据え事業化を目指すもの
で,
大学等の研究成果の社会還元を実現しつつ,
持続的な仕組みとし
ての日本型イノベーションモデルの構築を推進するものです。
研 究の 概 要
生物資源資源科学部 応用生物科学科 教授
加野 浩一郎〈かの こういちろう〉
博士(農学),神戸大学農学部助手(1994
∼2000),日本大学生物資源科学部専任
講 師(2000∼2002),助 教 授(2002∼
2007),准 教 授(2007∼2013)
を経て
2013 年より教授,動物細胞の分化,脱分
化および多能性獲得機構の解明を目指し
て日々努力を重ねている。
研 後の
今
究の 展
概開
要
本研究は,加野教授の発明を基礎として,松本教授が
本研究においては,
今後の事業化に向け,
特にDFATを利
DFATを用いた細胞治療を目指し,今年の9月から2 年半に
用した再生医療への適用に向けた安全性の評価方法の確
わたり,
細胞製剤の商業化に向けた基盤技術を開発するた
立,
評価,
及び3年後設立予定のベンチャー企業へのライセ
め,
臨床試験に向けた橋渡し研究を行うことを目的とするも
ンスアウトのための特許出願戦略の立案等を進めなければ
のです。
本研究は,
術後不要となった脂肪などから容易に調
まさに,
STARTであると
なりません。
採択はGOALではなく,
整でき,
高純度で増殖能も高く,
生産コスト面でも優れ,
商業
いう認識を持って,研究者,事業プロモーターユニット,
臨床視点で
化視点からみても魅力的であるDFATを用いて,
NUBICが一体となって,事業化に取り組んでいきたいと思
優れた治療方法を提供することはもちろんのこと,
これまで
います。
又,
その事業化には,
産業界の支援も必要となってく
治療困難であった疾患の治療にも有用な細胞製剤の供給を
るので,
将来的には,
産学官連携でイノベーション・エコシス
目的とした,新たなベンチャー企業の設立を目指していま
テムを構築して,
早期の事業化を図りたいと考えています。
NUBICは,DFAT関連の知的財
す。
本研究の実施に当たり,
産の戦略的創出に向けた実施体制のメンバーとして,積極
的に支援していきます。
本プロジェクト申請までの
研 究の 概 要
NUBIC の取組み
本プロジェクトは,
バイオ医薬ベンチャー企業であるアン
ジェスMG ㈱の創業者である,現大阪大学医学部大学院の
森下竜一教授,
(独)科学技術振興機構の吉川弘之研究開
発戦略センター長
(当時)
が中心となり制度設計を行ったも
天井培養による成熟脂肪細胞の形態変化
ので,
例えばバイオ・医薬開発に見られるように,
既存企業で
はリスクを負うことが困難であるが,
アーリーステージにある
優れた研究シーズの事業化に挑戦するものです。
NUBICで
は,本プロジェクトに申請するため,本研究に関連するバイ
担当コーディネーター
オ・医薬関連の保有特許から,
実用化の可能性が高い2件の
松岡 義人〈まつおか よしひと〉
シーズを選び,
申請の準備を昨年夏から進めてきました。
し
かし,
共同で申請する事業プロモーターの協力を得ることが
容易ではなかったため,
研究者と相談し,
昨年度の最終募集
本研究を実施する上で重要となる2件の特許について
昨年度の
時に不採択を覚悟の上,
第1次申請を行いました。
は,
一度は特許庁より拒絶査定を受けましたが,
不服審判を
申請は,
結果的に不採択となったものの,
その当時本学が希
請求し,
発明者の加野教授といくつもの問題を克服しながら
望した事業プロモーター数社に対し,本年度の申請に向け
特許査定を得た経緯があり,
非常に思い入れのある特許で
てプレゼン等を行い,特に興味をもっていただいた 360 ip
す。
この特許を基に,大型の研究費を獲得できたことは,
ジャパン㈱と連携して,
本研究が採択となりました。
NUBICとしても大変意義深いものだと考えています。
〈参考〉
文部科学省プレスリリース ▶ URL:http : //www.mext.go.jp/a_menu/kagaku/chiiki/daigaku/1349950.htm
09 NUBIC NEWS
NUBIC インフォメーション
NUBIC の取り組み
「
研究シー
研究
シーズ内
ズ内容説
容説明映
明映像コ
像コンテ
ンテンツ
ンツ」
」始動
始動
「研究シーズ内容説明映像コンテンツ」
新企画
NUBIC では,
本学芸術学部放送学科の協力により,
試作品の
試作
品の助成
品の
助成
試作品の助成
NUBIC では,技術移転の促進を目的に,試
先生方が研究シーズの御説明をされている映像を撮
作品に係る全部又は一部の費用の助成を行っ
影し,
研究シーズポスターと組み合わせることで,
より
ています。
技術内容を分かりやすく紹介する企画を始めました。
収録させていただいたコンテンツは,
NUBIC ホーム
試作品は,
展示会等での公報活動にも活用さ
せていただきます。
ページへの掲載,
各種フェア等での技術紹介で活用さ
※原則として,
特許出願に係る試作に限ります。
視聴
聴
せていただきます。また,
携帯端末等で視聴
NUBIC で決定いたします。
※対象は,
することができます。
。
先生方のご協力をお願い申し上げます。
第一弾
編集中!
!
芸術学部 鈴木 康弘教授
(左)
と医学部 大日方 大亮助教
(右)
NUBIC に来てもうすぐ8 年です。当初は当然 , 失敗したり先
生に叱られたりと, 今思うと恥ずかしいことも多々ありまし
た。幸い今は知的財産の管理のことは大方分かるようにな
り,日々意識していることは , 発明してくださる先生との持続
的で良好な関係の維持と, 1 件でも多く技術を世の中に送り
出すことです。
どちらも大変ですが , 特許利用料でNUBIC 会
館が建てられたらと念じています。
(井上)
コーディネーター紹介
NUBIC 開催・出展イベント
NUBIC では,
他機関,
他大学等との共同主催や,
各種フェアへ
の出展を通し,
先生方の研究シーズを積極的に宣伝しています。
後期開催の主なイベントは次のとおりです。
共催
開催日
名 称
開催地
9/16
日本大学 新技術説明会
JST東京本部別館
1Fホール
9/16
千葉エリア産学官連携
オープンフォーラム
千葉工業大学
11/12~14
アグリビジネス創出フェア2014
5私大アグリビジネスフォーラム
東京ビッグサイト
渡辺 麻裕
松岡 義人
開催日
文理学部
名 称
開催地
9/11~12
イノベーション・ジャパン2014
東京ビッグサイト
10/2~3
第4回おおた研究・開発フェア
大田区産業プラザ
PIO
10/8
第4回かわしんビジネスフェア
かさわき市
とどろきアリーナ
10/15~17
Bio Japan 2014
10/21
朝日ビジネスマッチング2014
東京ドームホテル
11/13~14
第18回いたばし産業見本市
板橋区立
東板橋体育館
編集
後記
パシフィコ横浜
井上 典之
コーディネーター学部メイン担当表
井上
出展
小野 洋一
松岡
●
小野
芸術学部
●
理工学部
(駿河台)
●
理工学部
(船橋)
●
●
生産工学部
●
●
工学部
医学部
●
●
歯学部
●
生物資源科学部
●
上記以外の学部
●
●
●
●
松戸歯学部
薬学部
渡辺
●
●
●
●
●
●
●
NUBIC は設立からまもなく16 年を迎えます。歴代スタッフが培ってきた情熱は脈々と引き継がれていますが,新しいスタッフから出
たアイデアにハッとすることも多く,産学連携活動には,
まだまだ奥深いものがあると感じています。今号での対談や,研究シーズ紹介ビ
デオの制作も,新たな試みの一つです。また,本年 4 月には,研究推進支援機構が設立されました。研究推進の機能強化をしていきます
ので,今後の展開に御期待ください。これからも,企業と研究者をつなぐ架け橋となるべく,産学連携活動に積極的に取り組んで参ります
ので,引き続きの御支援と,NUBIC を御活用いただけると幸甚です。
(K.M)
Nihon University Bussiness, Research and Intellectual Property Center
10
日本大学 キャンパスマップ
工学部
芸術学部
(所沢校舎)
松戸歯学部
松戸歯
松戸歯学部附属歯科衛生専門学校
理工学部
理工学
(船橋校舎)
, 短期大学部
薬学部
生産工学部
(津田沼校舎)
生産工学部
(実籾校舎)
医学部
医学部附属看護専門学校
理工学部
(駿河台校舎)
歯学部
歯学部附属歯科技工専門学校
歯
歯学部附属歯科衛生専門学校
歯
芸術学部
(江古田校舎)
法学部
経済学部
通信教育部
文理学部
商学部
生
生物資源科学部, 短期大学部
国際関係学部, 短期大学部
Nihon University Bussiness,
Research and Intellectual Property Center
至新宿
平成26年9月1日発行
発行
至秋葉原
JR市ヶ谷駅
交番
日本大学産官学連携知財センター
みずほ銀行
お問合せ:日本大学研究推進部 知財課
TEL:03-5275-8139 FAX:03-5275-8328
E-mail:[email protected]
URL:http://www.nubic.jp
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日
テ
レ
通
り
〒102-8275 東京都千代田区九段南4-8-24
A1
A2
三菱東京
UFJ銀行
靖国通り
A4
A3
りそな
銀行
山脇ビル
日本大学会館3F
日本大学産官学連携知財センター
NUBIC
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