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温暖、閉塞前線
54 3. 前線 二つの気団が接するところに前線が形成される。温暖な気団と寒冷な気団が接するところでは、二 つの気団が交じり合うことはなく、主さの違いから、軽い暖気が上側に位置し、重い寒気が下側に位置 し、傾斜した境界面を形成する。この境界面が「前線面」と呼ばれ、境界面が地表に接する線を「前線」 と呼ぶ。 3.1. 寒冷前線 寒冷前線は、寒気が暖気へ接近する際に形成される。重たい寒気が、暖気の下に潜り込んで、暖気 を押し上げることで、対流性の積乱雲が形成される。寒冷前線は、比較的早い速度で移動し、通過の 際には、雷雨や突風が発生する。 前線面の傾きは、70~100km の距離に対して、1km の高度変化とされる。 55 3.2. 温暖前線 温暖前線は、暖気が寒気へ押し寄せるところにできる。軽い暖気は、寒気の上を穏やかに上昇する。 温暖前線には、層状の乱層雲が形成される。温暖前線は、寒冷前線に比べ、移動速度が遅いため、通 過時には、広い範囲で、穏やかで長時間の降雨となる。 前線面の傾きは、200~300km の距離に対して、1km の高度変化とされる。 3.3. 閉塞前線 移動速度の速い寒冷前線が、弱い寒気の温暖前線の下に潜り込んだり、強い寒気の温暖前線の上に 上がってしまったりする。この際に、寒冷前線と温暖前線との間にあった暖気を上空へ押し上げる。 このように、寒冷前線と温暖前線が閉じる現象を閉塞と呼ばれることから、閉塞前線と言う。 寒冷前線の現象と温暖前線の現象が重なって観測される。 56 課題6 アメダスデータから前線の通過時刻を推定しよう。 ① 準備 教材フォルダから「20150609 前線通過」のフォルダを D:¥TEMP へダウンロードする。 千葉と館山の 2015 年 6 月 9 日の気象庁のアメダスデータの一部を用意した。これは、気象庁のアメ ダスサイトにおいて、測点の選択、観測項目の選択、観測期間の選択により、CSV 形式でダウンロー ド可能である。 ② エクセルでの編集 ラインとカラムを次のように修正する。 3.3.1.1. 1,2行目を削除する。 3.3.1.2. B には、日付時刻シリアル値を計算するための年月日 3.3.1.3. C には、日付時刻シリアル値を計算するための時刻 3.3.1.4. G には、風向をグラフに表示するための風向(°) 3.3.1.5. M には、風向をグラフに表示するための風向(°) ③ 日付からシリアル値へ変換関数 B3 =MID(A3,1,SEARCH("日",A3)) 検索対象文字列:A3 開始の文字数:1番目から 文字列の長さ:日の文字数(SEARCH(“日”)) C3 =MID(A3,SEARCH("日",A3)+1,LEN(A3)-1-SEARCH("日",A3)) 検索対象文字列:A3 の文字列、 開始の文字数:日の文字の文字数(SEARCH(“日“))+1、 文字列の長さ:全体の文字数(LEN(A3)) -1 -日までの文字数(SEARCH("日”,A3) D3 =DATEVALUE(B3)+C3/24 日付のシリアル値:DATEVALUE(B3) 時刻を 1 日単位とするため:C3/24 57 ④ 風向から角度への変換テーブル 新しくシートを起こし、 A 列に北から北北西までの 16 方位、 B 列に対応する角度をにゅうりょくする。 ⑤ 風向から角度への変換 G の列:=VLOOKUP(F3,方位角度!A$1:B$16,2,) M の列:=VLOOKUP(L3,方位角度!A$1:B$16,2,) VLOOKUP 縦方向のテーブルから該当する文字列を探し、指定した列のデータを抽出する。 G の列:千葉の風向なので F 列を指定する。 M の列:館山の風向なので G 列を指定する。 検索テーブル:方位角度のシート(方位角度!)の A1 から B16(A1:B16)まで。$1 と$16 は、セルを コピーしたときに変化しないために、絶対アドレスとする。 指定列:2列目の角度を指定する。 ⑥ セルのコピー コピーするセルを選択し、右下のオートフィルのアイコンをダブルクリックする。 58 ⑦ グラフ化その1(千葉の風速、風向(°)、降水量、気温) 千葉の風速、風向(°)、降水量、気温の時間変化を示すため、D 列、E 列、G 列、H 列、I 列の 1 行 目を除き選択する。 挿入からグラフの散布図を指定する。 風向の数値が他の変数に比べて大きいので、第 2 軸へ移動する。このため、風向のポイントを右クリッ クし、 「データ系列の書式設定」を選択する。 59 「軸のオプション」→「表示形式」→「カテゴリ」から時刻を選択し、その上で、「表示形式コード」 を「m/d h;@」と入力し、追加ボタンをクリックする。 グラフ要素の追加から 軸ラベル → 第 1 縦軸 → ラベルを修正する。 軸ラベル → 第 2 縦軸 → ラベルを修正する。 コピー、ペーストにより、ワードへ貼り付ける。 60 ⑧ グラフ化その2(千葉の風向(°)、気圧) 1 行目を除き、D 列、G 列、J 列を選択する。 挿入、グラフ、散布図を選択する。 気圧の変化が、風向に比べて小さいので、風向を第 2 軸へ移 動する。このため、風向のポイントを右クリックし、 「データ 系列の書式設定」を選択する。 マーカーの色の変更 コピー、ペーストにより、 ワードへ貼り付ける。 61 ⑨ グラフ化その3(館山の風速、風向(°)、降水量、気温) 館山の風速、風向(°)、降水量、気温の時間変化を示すため、D 列、K 列、M 列、N 列、O 列の 1 行 目を除き選択する。 挿入からグラフの散布図を指定する。 風向の数値が他の変数に比べて大きいので、第 2 軸 へ移動する。このため、風向のポイントを右クリッ クし、 「データ系列の書式設定」を選択する。 コピー、ペーストにより、ワードへ貼り付ける。 62 ⑩ グラフ化その2(館山の風向(°)、気圧) 1 行目を除き、D 列、M 列、P 列を選択する。 挿入からグラフの散布図を指定する。 気圧の変化が、風向に比べて小さいので、風 向を第 2 軸へ移動する。このため、風向のポ イントを右クリックし、 「データ系列の書式設 定」を選択する。 コピー、ペーストにより、ワードへ貼り付ける。 63 課題6 アメダスデータから前線の通過時刻を推定しよう。 学籍番号 氏名 2015 年 6 月 8 日~10 日にかけて、千葉県上 を温帯低気圧が通過した。この温帯低気圧の南 東側には温暖前線、南西側には寒冷前線をとも なっていた。 千葉の降水量の時間変化を見ると、6 月 9 日 時から雨が降り始め、同日 時頃まで継続 した。6 月 10 日 時頃に、寒冷前線が通過した と考えられ、風向が南東方向から北西方向へ変 化した。同時に、風速の一時的な上昇、気温の一 時的な低下がみられた。 気圧に注目すると、 6 月 9 日 時ごろまでに、 大きく低下した。 館山の降水量に注目すると、6 月 9 日 時頃 から降り始めた雨は、6 月 9 日 時頃に降り止 み、温暖前線が通過した。その後、6 月 9 日 時 ~ 時に降雨が観測され、短時間の間に寒冷前 線が通過した。 温暖前線の通過により、風向きが東風から、 南の風を経て、北西の風まで変化した。また、同 時に気温の低下がみられた。 館山の気圧変化に注目すると、千葉と同様な 低下となり、寒冷前線の通過まで低い気圧が続 いた。