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歯科撮影法2(口外法)

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歯科撮影法2(口外法)
口外法
定義:検査側の口腔外にフィルムを置き,反対側からエックス線を照射する撮影法。
※歯科での定義。「口内法以外の撮影法」と、ほぼ同義。
検査に用いるエックス線機器
管球:一般医科用に用いられる回転陽極管を用いた方がいい。
(デンタル撮影装置では不十分)
2016.10.21, 10.28
撮影条件:
歯学科 4 年生講義資料
フィルム・焦点間距離:1.0~1.5m程度
新潟大・歯・西山
管電圧:70~90kVp
管電流×照射時間:40~70mAs程度
エックス線受光系:
フィルム(スクリーンタイプ)、付属の機器: (1:
)、 グリッド、 カセット
CCD、イメージングプレート、フラットパネル
基準線,基準平面
正中矢状面 --- (2:
) --- sagittal
穴埋め解答
耳垂直面 --- 前額断,(3:
) --- coronal
http://www5.dent.niigata-u.ac.jp
横断面 --- (4:
)、横断 --- axial
/~nisiyama/extraoral-ans.pdf
眼窩耳孔線 --- OM line
ドイツ水平線(面) --- FH plane
エックス線入射方向(ベクトル表記)
背側or後方 Posterior
頭側or上方 Superior
腹側or前方 Anterior
尾側or下方 Inferior
S:上方(頭側)
A:前方
FH 平面
P:後方
OML
カンペル平面
P-A
I:下方(尾側)
A:前方
R:右側
L:左側
θ
L-R
P:後方
-1-
左側前方θ度から…
顎顔面部・頭部撮影法の種類
1.上下顎骨,鼻腔,副鼻腔を目的とする投影法
◎後頭-前頭位撮影法,後頭前頭方向;P-A
側方向撮影法;lateral projection
軸方向撮影法(オトガイ-頭頂,頭頂-オトガイ);axial projection
◎Waters法;Waters' method
その他:Caldwell法、Towne法(半軸位)、逆Towne法
2.下顎部を主目的とした投影法
○側斜位撮影法,lateral oblique; Ciezynski
第1斜位
第2斜位
第3斜位
下顎骨側方位
3.顎関節を主目的とした投影法(顎関節X線撮影法)
顎関節側方向撮影法;TMJ lateral projection
◎側斜位経頭蓋撮影法;lateral oblique transcranial projection --- Schüller法
側斜位経咽頭撮影法;lateral oblique transpharyngeal projection
顎関節前後方向撮影法;TMJ frontal projection
○眼窩-下顎枝(頭)方向撮影法;orbito-ramus (condyle) projection --- Grant-Lanting法
○後頭-前頭方向撮影法;postero-anterior projection --- Clementschitsch法
後頭-前頭方向-頭蓋偏心撮影法;postero-anterior cranial excentric projection
前頭-後頭方向撮影法;anterior-posterior projection
顎関節軸方向撮影法;TMJ axial projection
頭頂-オトガイ方向撮影法;vertex-menton projection
△オトガイ-頭頂方向撮影法;mento-vertex projection
その他(顎関節の特殊撮影)
顎関節断層撮影法;TMJ tomography
顎関節造影法;TMJ arthrography
単純造影法;single contrast method、二重造影法;double contrast method
顎関節造影断層撮影法;TMJ arthrotomography
顎関節透視法;TMJ fluoroscopy
エックス線ビデオ撮影法;video fluorography、エックス線映画撮影法;cine fluorography
顎関節エックス線コンピュータ断層撮影法;TMJ X-ray computed tomography (CT)
顎関節核磁気共鳴映像法;TMJ magnetic resonance imaging (MRI)
前頭(冠状)断面;frontal (coronal) section
水平断面;horizontal (axial transverse) section
矢状断面;sagittal section
回転断層方式パノラマエックス線撮影法の応用
上村氏法
◎4分割撮影法
4.特殊撮影
◎回転断層方式パノラマエックス線撮影法
◎頭部X線規格撮影法(セファロ)
正面、側面、45°斜位
造影検査法;contrast examination
○唾液腺;sialography
顎関節;TMJ arthrography
上顎洞、嚢胞、咽頭
○血管;angiography --- DSA(digital subtraction angiography)
リンパ管
撮影には,単純撮影,透視,DSA,断層などを利用する。
○断層撮影法;tomography
◎透視;fluoroscopy
X線ビデオ撮影法;video fluorography、X線映画撮影法;cine fluorography
その他の特殊X線撮影法
近接撮影法、拡大撮影法、高圧撮影法、立体撮影法
-2-
頭部撮影法
上下顎骨,鼻腔,副鼻腔を目的とする投影法
後頭-前頭位撮影法,後頭前頭方向撮影法;(5:
体位:通常座位,または腹臥位
位置づけ: 前頭部と鼻尖をフィルム面に密着し,
頭部矢状面をフィルムに垂直に保つ。
エックス線の入射:外後頭結節と鼻根点を通過。
cf.Caldwell法,Towne法
上顎は重積のために,読影しにくい。
下顎枝 から下顎頭にかけての病変(頬舌的所見)
上顎骨頬骨突起下部から上顎結節(6:
にかけての病変(主に上顎洞)
前頭洞部の病変
眼窩下縁部(骨折)
頭蓋部の骨病変
麻酔前の検査(経鼻挿管時のair wayの確認)
)
)
側方向撮影法;lateral projection
体位:腹臥位,または座位
位置づけ:正中矢状面をフィルム面に平行にする。
患側をフィルムに向ける。(R-L,L-Rの2方向がある)
エックス線の入射:両側外耳孔中心を通過するように入射。
鼻骨骨折,切歯部付近,上顎洞後壁部付近,咽頭部の疾患
頭蓋部の骨病変
軸方向撮影法(オトガイ-頭頂,頭頂-オトガイ);axial projection
体位:腹臥位,または座位
位置づけ:正中矢状面をフィルム面に垂直にする。
患側をフィルムに向ける。
(7:
)の検査(骨折),顎関節の規格撮影,下顎骨形態
検査部位によって,撮影条件が異なる。
歯軸方向撮影法 --- 上顎前歯部
cf.上顎歯軸方向撮影
開口状態で撮影
増感紙必要
-3-
Waters法
体位:座位もしくは,腹臥位
上顎洞内に液が貯留する場合,座位の方が観察しやすい。
(8:
)(air-fluid level, or liquid level)
位置づけ:フィルム面にオトガイ部をつけ,顎を突き出して,
ドイツ水平面を45°後方へ傾ける。
OMLなら,37°
エックス線の入射:フィルムに垂直に,
鼻下点を通過するように入射。
副鼻腔,おもに上顎洞の疾患
頬骨・頬骨弓部
下顎部を主目的とした投影法
側斜位撮影法,lateral oblique; Ciezynski
歯を中心とした顎骨の撮影法で,歯列弓をいくつかに分けて,
頸椎および歯列弓の反対側との重複を避けた撮影法。
分類
第1斜位
前歯部
第2斜位
小臼歯から大臼歯部
第3斜位
大臼歯部
下顎骨側方位
下顎枝,上顎結節
体位:座位,側臥位,もしくは腹臥位
位置づけ:第1斜位:目的側の犬歯部がカセット面の中央に来るように位置づける。
鼻尖とオトガイ部がカセット面と接するようにする。
エックス線の入射:反対側の下顎骨後下方1cmから,+20°傾け,
目的側の犬歯に向ける。中心線とフィルムの角度は約70°。
(第2,第3斜位,側方位は,第1斜位の顔面の傾きを大きくしていたもの)
(側方位:正中矢状面とフィルム面が平行になる)
-4-
顎関節を主目的とした投影法(顎関節X線撮影法)
顎関節側方向撮影法;TMJ lateral projection
(9:
);lateral oblique transcranial projection
(10:
), Lindblom, Law, Grewcock, 沼田法
側頭骨の斜め後上方から入射。(上方+25°,後方5°~15°)
顎関節(11:
)を観察
側斜位経咽頭撮影法;lateral oblique transpharyngeal projection
Pordes, McQueen, Cieszynski,
近接撮影法;Parma, Steinhardt
顎関節前後方向撮影法;TMJ frontal projection
正面像とはいうものの,下顎頭に対しては上方からの角度付けが大きい。
(12:
)があると撮影不可能
眼窩-下顎枝(頭)方向撮影法;orbito-ramus (condyle) projection
Grant-Lanting, Zimmer
水晶体の被曝線量が大きくなるため、Grant-Lanting法は避けるべき。
後頭-前頭方向撮影法;postero-anterior projection
Clementschitsch
後頭-前頭方向-頭蓋偏心撮影法;postero-anterior cranial excentric projection
前頭-後頭方向撮影法;anterior-posterior projection
-5-
顎関節軸方向撮影法;TMJ axial projection
頭頂-オトガイ方向撮影法;vertex-menton projection
オトガイ-頭頂方向撮影法;mento-vertex projection
下顎頭長軸角度,下顎骨形態・偏位
その他
顎関節断層撮影法;TMJ tomography
形態を含めた骨変化の検出
下顎頭位の判定
顎関節造影法;TMJ arthrography
単純造影法;single contrast method
二重造影法;double contrast method
顎関節造影断層撮影法;TMJ arthrotomography
円板の位置,復位の有無,変形
関節腔の状態;癒着、狭窄
後部結合組織の状態;断裂の有無等
顎関節透視法;TMJ fluoroscopy
エックス線映画撮影法;cine fluorography
エックス線ビデオ撮影法;video fluorography
下顎頭運動
顎関節エックス線コンピュータ断層撮影法;TMJ X-ray computed tomography (CT)
顎関節核磁気共鳴映像法;TMJ magnetic resonance imaging (MRI)
回転断層方式パノラマエックス線撮影法の応用
上村氏法
4分割撮影法(経咽頭撮影法に近い像)
-6-
特殊エックス線撮影法
(1)エックス線装置を特殊な条件・操作のもとで撮影するもの
近接撮影法
Parma氏法;管球側の解剖構造を拡大させてぼかす
皮膚線量が高く、現在ほとんど使用されず。
拡大撮影法
通常焦点(0.3~0.1mm→2~3倍)、小焦点(0.05mm→4~6倍)
を用い、半影を極力小さくして、幾何学的に拡大する
高圧撮影法
主に、胸部での撮影に用いられる。(120-140kV)
80-100kV:準高圧、150kV以上:超高圧
管電圧を上げて、骨軟組織間コントラストを低減
立体撮影法
2方向から撮影し立体視するもの
Dv Z
Z vm  M 2 S
Sv (D  Z )
Z vm : 観察系での奥行き
Z : 被写体での奥行き
M : 拡大率
D : 撮影距離
D v : 観察距離
S : 焦点間距離
S v : 瞳孔間距離
(2)特殊な機構を持った装置で撮影するもの
頭部エックス線規格撮影法(セファロ)
回転断層方式パノラマエックス線撮影法(別記)
断層撮影法
透視
(3)一般的なエックス線装置で,被写体に特別な処置をして撮影する
→造影法
頭部X線規格撮影法(セファロ)
P-A, lateral
頭部・顎・顔面形態の計測用
イヤーロッドを用いて、頭部を固定する。
フィルム・被写体中心とフィルム・焦点間距離を一定にする。
ex.フィルム・被写体中心の距離:15cm
フィルム・焦点間距離:150cm
断層撮影法;tomography
上顎洞,口蓋,下顎骨
腫瘍,炎症(上顎洞炎),インプラント
透視;fluoroscopy
エックス線映画撮影法;cine fluorography
エックス線ビデオ撮影法;video fluorography
舌,咽頭部の運動
造影検査と組み合わせることが多い。→ DSA
-7-
15cm
150cm
造影検査法;contrast examination
臓器の内部,もしくは周辺にエックス線の減弱係数の大きい(小さい)造影剤を注入し,
その陰影によって目的とする臓器の検査を行う。
適応部位:
唾液腺;sialography
顎関節;TMJ arthrography
単純造影法;single contrast method
二重造影法;double contrast method
上顎洞 --- CTに置き換わっている
嚢胞 --- CTに置き換わっている
咽頭
燕下運動,発音時の舌,喉頭,咽頭部の検査
血管;angiography --- DSA(digital subtraction angiography)
リンパ管
血管が分布する組織(造影CT, 造影MRIなど)
エックス線で用いられる造影剤の種類:
(13:
)
エックス線減弱係数が人体の諸組織よりもきわめて大きい。
周囲よりも白く写る。エックス線不透過性。
ヨウ素(53I) --- 油性,水溶性(イオン性,非イオン性)
硫酸バリウム(56Ba)
cf. 炭素(6C)、カルシウム(20Ca)
(14:
)
エックス線減弱係数が人体の諸組織よりもきわめて小さい。
周囲よりも黒く写る。エックス線透過性。
空気,酸素,炭酸ガス。
禁忌:ヨウ素を用いる場合,ヨード過敏症患者。
造影剤を注入する部位に急性炎症が存在する場合。
血管造影の場合
(15:
)低下 --- 血中クレアチニン値、GFR(糸球体濾過量)ないし
eGFR(推算糸球体濾過量)で判定。
(16:
)で禁忌
ビグアナイド系糖尿病薬との併用等にも注意。
血管造影で造影されやすい部位(CT, MRI共通の事項)
1.血流の豊富なところ。
2.血管透過性の高いところ。
3.細胞間隙(組織間隙)の広いところ。
(1+2,1+2+3の部位が造影される)
正常組織では、(17:
)組織。同じ理由で腎臓・膀胱も。
(18:
)、(19:
)、(20:
)、(21:
)など。
※造影剤は通常(22:
)排泄。
頭頸部のMRIで通常用いられる造影剤(不対電子が多く、水のプロトンの緩和時間を早める。)
ガドリニウム(64Gd) : そのままでは毒性あるので、キレートで閉じ込めてある。
※注意:腎機能低下時には「腎性全身性線維症」(NSF)を発症することがある。
-8-
断層撮影法
通常のエックス線撮影では、エックス線経路にある被写体の3次元的構造が重なってフィルム上に投影され
る。そのために個々の構造が重積像となり、画像診断が困難になる。
この問題に対応するために断層撮影(tomography)が開発された。断層撮影の主流は、現在ではCTであるが、
原理的には両者は異なる。断層撮影では、障害となる像を幾何学的にボカし、被写体のフィルムに平行な特
定の面を含む薄層内の構造をエックス線像として取り出す。本法によって臓器や病巣の体内における位置,
深さ,形状を知ることができる。
断層面以外の面のボケ

l  2h  M  tan
2
l:ボケの長さ
M:拡大率
α:振角(エックス線管球の運動角度)---通常20°から40°
断層の厚さ
視覚で認識できないボケの大きさの限度(0.1~0.2mm)まではボケを含んでいても鮮明と感じられるので,
断面は一種の層として形成される。これを断層の厚さと一般にいう。
振角50゜で約2mm
振角30゜で約3mm
参照:小角度(厚層)断層撮影法(zonography)
振角を小さくして(5゜前後)撮影する方法
障害陰影
断層面以外の面の像がボケ像として合成され,断層面像に重複して診断の障害となるものである。これ
らの障害陰影を除くために種々のX線管の軌道方式が考えられている。ボケ像はエックス線管運動軌道
と相似な形で現れるが,多くのボケ像が合成されると複雑な障害陰影となる。
ボケ残像
断層面以外の面の像がボケてはいるが,消去しきれずに残るもの。エックス線吸収の高いもので,X線管
移動距離が小さいほど強く出現する。
核陰影
断層面から離れた面のボケ像が次々と重なりあって中心部には核が現れ,周辺部のボケた陰影を形成
する。エックス線管移動方向と断層面以外の被検体構造の配列が関係する。
線陰影
写真上に線上となって記録される陰影であってエックス線管の運動面に沿う被検体内構造によって起こ
る(血管影,肋骨影など)。円軌道式ではボケ像は円を描くが,いくつかの点の円形ボケの包絡線として
線陰影が現れる。
軌道方式
直線,円,楕円,ハイポサイクロイダル,螺旋 etc.
同時多層断層
デジタル断層
-9-
参考図書:診療放射線技術〈上・下巻〉山下 一也 (編集), 速水 昭宗 (編集)、南江堂
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